JP4375993B2 - Vpe欠損モデル - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液胞プロセシング酵素(VPE)欠損モデル、詳細には、液胞プロセシング酵素欠損マウスおよびその作製方法、ならびに治療剤のスクリーニングにおける液胞プロセシング酵素欠損マウスの使用に関する。
【0002】
【従来の技術】
リソソームは、プロテアーゼ、グリコシダーゼおよびリパーゼなどの種々の酸性加水分解酵素を含み、細胞内分解のための主要部分である(例えば、非特許文献1および非特許文献2参照)。ヒトにおいては、分解プロセスの障害により糖原病、ガングリオシドーシスまたはリピドーシスなどの重篤な疾患が引き起こされる(例えば、非特許文献3参照)。したがって、リソソームでの分解は、細胞内だけでなく体全体のホメオスタシスを維持するのに寄与する。このような疾患のほとんどは、リソソーム酵素における変異によって引き起こされる常染色体の劣性遺伝性障害である。
【0003】
液胞プロセシング酵素(VPE)は、最初に高等植物において液胞内での種子内貯蔵タンパク質の成熟化(プロセシング)に関わる酵素として見出され、アスパラギニルエンドペプチダーゼ(AEP)またはレグマインとも呼ばれる(例えば、非特許文献4および非特許文献5参照)。VPEは、リソソーム酵素の生合成において調節的な役割を有すると考えられているが、哺乳動物におけるVPEの生理学的機能はまだ十分には解明されていない。
【0004】
【非特許文献1】
フェイファー(Pfeifer ), 1987 in Lysosome: Their role in protein breakdown, eds. Glaumann, H. & Ballard, F. J. (Academic Press, London), pp. 3-59.
【非特許文献2】
メルマン(Mellman ), 1986 Annu. Rev. Biochem. 55, 663-700.
【非特許文献3】
ノイフェルド(Neufeld ), 1991 Annu. Rev. Biochem. 60, 257-280.
【非特許文献4】
ハラ−ニシムラ(Hara-Nishimura), I, 1991 FEBS Lett. 294, 89-93.
【非特許文献5】
チェン(Chen), 1997 J. Biol. Chem. 272, 8090-8098.
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、VPEの生理学的機能を解明するためのツールとして有用なVPE欠損マウスおよびその作製方法を提供することを目的とする。また本発明は、リソソーム蓄積症の治療剤のスクリーニングにおけるVPE欠損マウスの使用を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、
[1] 液胞プロセシング酵素をコードする遺伝子の改変により得られる、液胞プロセシング酵素が欠損した液胞プロセシング酵素欠損マウスに候補化合物を投与して近位尿細管細胞におけるリソソームを観察し、候補化合物を投与しない場合と比較して正常化するか否かを評価することを特徴とする、前記マウスにおけるリソソームの異常を改善する化合物のスクリーニング方法、
[2] 前記改変が、液胞プロセシング酵素をコードする遺伝子のオープンリーディングフレームの読み枠を破壊するものである、前記[1]記載のスクリーニング方法、
[3] 前記改変が、
(a)液胞プロセシング酵素をコードする遺伝子の一部または全てを欠失させること、
(b)液胞プロセシング酵素をコードする遺伝子の一部または全てを他のポリヌクレオチドにより置換すること、および
(c)液胞プロセシング酵素をコードする遺伝子中に他のポリヌクレオチドを挿入させること
からなる群より選ばれるものである、前記[1]または[2]記載のスクリーニング方法、及び
[4] 前記改変が、下記(a’)〜(c’):
(a’)液胞プロセシング酵素をコードする遺伝子において、配列番号:1に記載の塩基配列中の塩基番号:154〜156、448〜450、および571〜573からなる群より選ばれた少なくとも1つの領域に対応する領域の欠失、
(b’)液胞プロセシング酵素をコードする遺伝子において、配列番号:1に記載の塩基配列中の塩基番号:154〜156、448〜450、および571〜573からなる群より選ばれた少なくとも1つの領域に対応する領域と他のポリヌクレオチドとの置換、および
(c’)液胞プロセシング酵素をコードする遺伝子において、配列番号:1に記載の塩基配列中の塩基番号:154〜156、448〜450、および571〜573との間からなる群より選ばれた少なくとも1つの位置への他のポリヌクレオチドの挿入、
からなる群より選ばれたものである、前記[3]記載のスクリーニング方法
に関する。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の液胞プロセシング酵素欠損マウスは、液胞プロセシング酵素をコードする遺伝子の改変により、液胞プロセシング酵素の生理活性が欠損したノックアウトマウスである。本発明の液胞プロセシング酵素欠損マウスは、腎臓細胞のリソソームが年齢依存的に肥大するという異常な性質を有している。
【0008】
本明細書において、「液胞プロセシング酵素をコードする遺伝子の一部または全ての改変」とは、液胞プロセシング酵素を発現するという本来の機能を欠損させる遺伝的改変であればよく、例えば、液胞プロセシング酵素をコードする遺伝子のオープンリーディングフレームの読み枠を破壊する遺伝的改変が挙げられる。オープンリーディングフレームの読み枠を破壊する遺伝的改変としては、例えば、フレームシフト変異を起こさせるような変異の導入が挙げられる。より具体的には、
(a)液胞プロセシング酵素をコードする遺伝子の一部または全てを欠失させること、
(b)液胞プロセシング酵素をコードする遺伝子の一部または全てを他のポリヌクレオチドにより置換すること、または
(c)液胞プロセシング酵素をコードする遺伝子中に他のポリヌクレオチドを挿入させること
が挙げられる。また、前記(a)、(b)、(c)のうち2つ以上を組み合わせたものであってもよい。
【0009】
ここで、前記「他のポリヌクレオチド」とは、液胞プロセシング酵素をコードする遺伝子に対して異質なポリヌクレオチドをいう。
【0010】
前記(a)〜(c)は、例えば、それぞれ、(a’)液胞プロセシング酵素をコードする遺伝子において、配列番号:1に記載の塩基配列中の塩基番号:154〜156、448〜450、および571〜573からなる群より選ばれた少なくとも1つの領域に対応する領域の欠失、
(b’)液胞プロセシング酵素をコードする遺伝子において、配列番号:1に記載の塩基配列中の塩基番号:154〜156、448〜450、および571〜573からなる群より選ばれた少なくとも1つの領域に対応する領域と他のポリヌクレオチドとの置換、
(c’)液胞プロセシング酵素をコードする遺伝子において、配列番号:1に記載の塩基配列中の塩基番号:154〜156、448〜450、および571〜573との間からなる群より選ばれた少なくとも1つの位置への他のポリヌクレオチドの挿入、
でありうる。また、前記(a’)、(b’)、(c’)のうち2つ以上を組み合わせたものであってもよい。
【0011】
本明細書において、「液胞プロセシング酵素が欠損した」とは、液胞プロセシング酵素をコードする遺伝子の一部または全ての改変により、液胞プロセシング酵素の発現産物が全く発現しないか、または発現しても正常な液胞プロセシング酵素が有する機能を示さないことをいう。
【0012】
本明細書において、「液胞プロセシング酵素遺伝子の一部」とは、液胞プロセシング酵素の機能的発現に必須な部分、活性中心や基質結合部位等をいい、例えば、154〜156、448〜450、および571〜573等の領域をいう。
【0013】
前記(a’)および(b’)における「対応する領域」とは、例えば、HigginsらによるClustalW法によるマルチプルアライメント(例えば、(Gap penalty 5、Fixed Gap penalty 10、windowssize 5、Floating Gap 10) 等により、配列番号:1に記載される塩基配列と最適な状態にアラインメントされたときに対応する領域をいう。
【0014】
前記(c)および(c’)における挿入配列としては、液胞プロセシング酵素をコードする遺伝子のオープンリーディングフレームの読み枠を破壊することが可能であればよく、読み枠に合ったストップコドンを持つ配列、3の倍数以外の塩基数からなるヌヌクレオチド配列、あるいは、マーカーとなる薬剤耐性遺伝子などの独立した遺伝子などが挙げられる。
【0015】
液胞プロセシング酵素をコードする遺伝子としては、配列番号:2に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードする核酸が挙げられる。
【0016】
液胞プロセシング酵素をコードする遺伝子として、配列番号:1に記載の塩基配列からなる核酸を使用することもできる。
【0017】
液胞プロセシング酵素をコードする遺伝子は、配列番号:2に記載のアミノ酸配列において少なくとも1つのアミノ酸が置換、欠失、付加、または挿入されたアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードし、かつ液胞プロセシング酵素の生理活性を有するポリペプチドをコードする核酸であってもよい。なお、本明細書中において「少なくとも1つ」とは、1または数個の意である。
【0018】
液胞プロセシング酵素をコードする遺伝子は、配列番号:2に記載のアミノ酸配列との配列同一性が、前記ClustalW法により、適切にアライメントして、算出した場合、40%以上、好ましくは60%以上、より好ましくは70%以上であるアミノ酸配列を有し、かつ液胞プロセシング酵素の生理活性を有するポリペプチドをコードする核酸であってもよい。
【0019】
また、液胞プロセシング酵素をコードする遺伝子は、配列番号:2に記載されるアミノ酸配列をコードする核酸とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし得、かつ液胞プロセシング酵素の生理活性を有するポリペプチドをコードする核酸であってもよい。
【0020】
なお、前記「液胞プロセシング酵素の生理活性」は、1mM EDTAと100mM DTTを含む0.1Mリン酸バッファー(pH 4.5)中で、Z−Ala−Ala−Asn−MCAを基質として、反応混合物の蛍光の増加を、蛍光分光光度計または蛍光プレートリーダーを用いて励起波長360nm、発光波長460nmで測定することにより評価される。
【0021】
本明細書において、前記「ストリンジェントな条件」とは、モレキュラー・クローニング:ア・ラボラトリーマニュアル第2版〔ザンブルーク(Sambrook)ら編、コールドスプリングハーバーラボラトリープレス刊、1989〕等に記載の条件が挙げられる。具体的には、例えば、
1) 6×SSC(1×SSCの組成:0.15M NaCl、0.015M クエン酸ナトリウム、pH7.0)と0.5% SDSと5×デンハルトと100μg/ml 変性断片化サケ精子DNAと50% ホルムアミドを含む溶液中、プローブとともに42℃で一晩保温するステップ、
2) 非特異的にハイブリダイズしたプローブを洗浄により除去するステップ、ここで、より精度を高める観点からより低イオン強度および/またはより高温の条件下での洗浄を行なうこと等が挙げられる。なお、Tmは、例えば、下記式:
Tm==81.5−16.6 (log10[Na+ ])+0.41 (%G+C)−(600/N)
(式中、Nはオリゴヌクレオチドの鎖長であり、%G+Cはオリゴヌクレオチド中のグアニンおよびシトシン残基の含有量である)
により求められる。
【0022】
本発明の液胞プロセシング酵素欠損マウスは、例えば、
(a)液胞プロセシング酵素をコードする遺伝子中の一部または全てが改変されたポリヌクレオチドを含有し、かつ該ポリヌクレオチドが、液胞プロセシング酵素の生理活性を欠損した産物を生じるものであるターゲティングベクターを得る工程、
(b)マウス胚性幹細胞内で、前記(a)で得られたターゲティングベクターにより液胞プロセシング酵素をコードする遺伝子の相同組換えを行い、液胞プロセシング酵素をコードする遺伝子が欠損したマウス胚性幹細胞を作製する工程、
(c)前記(b)で得られたマウス胚性幹細胞を発生させてキメラマウスを得る工程、および
(d)前記(c)で得られたキメラマウスを交配し、液胞プロセシング酵素をコードする遺伝子が欠損したホモ接合体マウスを得る工程
を含む、液胞プロセシング酵素欠損マウスの作製方法により作製することができる。
【0023】
前記工程(a)において、より詳細には、まず、液胞プロセシング酵素をコードする遺伝子の核酸分子の一部または全てに、マーカーとなる遺伝子、例えば、Neo耐性カセットやDTpAなどの遺伝子の挿入等の液胞プロセシング酵素をコードする遺伝子の機能が欠損するような塩基の置換、欠失および/または付加による改変を行い、変異核酸分子を作製する。ここで、前記液胞プロセシング酵素をコードする遺伝子の核酸分子は、上記のマウス液胞プロセシング酵素をコードする遺伝子の塩基配列情報に基づいて、PCRまたは遺伝子ライブラリーのスクリーニング等により単離することができる。また、塩基配列の改変は、PCRによる増幅核酸の連結または部位特異的変異等の当該分野で慣用の組換え核酸技術により行うことができる。
【0024】
次いで、前記変異核酸分子をターゲティングベクターに導入する。ターゲティングベクターとは、相同組換えによって目的の遺伝子を破壊するための核酸分子である。ターゲティングベクターは、マウスゲノム上の液胞プロセシング酵素をコードする遺伝子の機能が相同組換えにより欠損するという効果を有する限り、特に限定されるものではないが、相同組換えにより得られる胚性幹細胞(ES細胞)の選択をより容易にするために陽性選択マーカーおよび/または陰性選択マーカーを含んでいることが好ましい。陽性選択マーカーとしては、ネオマイシン耐性遺伝子、βガラクトシダーゼ遺伝子等が挙げられ、陰性選択マーカーとしては、HSVチミジンキナーゼ遺伝子、ジフテリア毒素(DT−A)遺伝子等が挙げられる。なお、ターゲティングベクターとして、市販のターゲティングベクター構築用プラスミドベクターを使用することもできる。
【0025】
前記工程(b)での、ES細胞におけるターゲティングベクターによる液胞プロセシング酵素をコードする遺伝子の相同組換えは、ターゲティングベクターをマウスのES細胞に導入することにより達成される。ターゲティングベクターをES細胞に導入する方法は、特に限定されるものではなく、例えば、エレクトロポレーション法、リポソーム法、リン酸カルシウム法、DEAE−デキストラン法等が挙げられる。なお、ES細胞としては、特に限定されるものではなく、例えば、E14.1細胞株、R1株、E14株等が挙げられる。
【0026】
ターゲティングベクター導入後のES細胞を、細胞内での相同組換えが起こっているかを確認するためのサザンブロッティング法やPCR法等の常法によりスクリーニングすることにより、液胞プロセシング酵素をコードする遺伝子が欠損したマウスES細胞が得られる(以下では、VPE欠損ES細胞という)。
【0027】
前記工程(C)において、VPE欠損ES細胞を発生させるには、VPE欠損ES細胞を野生型マウスの胚盤胞または8細胞期の胚内に導入し、当該ES細胞胚を偽妊娠状態の仮親マウスの子宮に移植し、該移植マウスに仔を出産させればよい。VPE欠損ES細胞を胚に導入する方法としては、例えば、マイクロインジュクション法や凝集法が挙げられ、当業者がこれらの方法を適宜改変することもできる。工程(c)において得られるマウスは、通常、成体を構成する細胞として、組換えES細胞由来の細胞とともに正常細胞を含むキメラマウスである。得られたキメラマウスを、例えば、ES細胞が由来する被毛色とは異なる被毛色を有する純系のマウスと交配し、次世代個体にES細胞由来の被毛色が現れることにより、ES細胞がキメラマウス生殖系列に導入されたことを確認することができる。また、キメラマウスからDNAを抽出し、サザンブロット解析やPCRアッセイを行うことによりセレクションを行うこともできる。
【0028】
前記工程(d)において、より詳細には、雄性キメラマウスと雌性野生型マウスと交配してヘテロ接合体マウスを産生させ、生まれた雄性および雌性のヘテロ接合性マウスを交配して、液胞プロセシング酵素欠損ホモ接合体マウスを得ることができる。得られた液胞プロセシング酵素欠損マウスを、雄性、雌性の組み合わせとして一旦得ておけば、それ以降は、適宜繁殖させることにより、より容易に本発明の液胞プロセシング酵素欠損マウスを得ることができる。
【0029】
本発明の液胞プロセシング酵素欠損マウスはまた、コンディショナルなノックアウトマウスの作製において汎用されている、Cre/LoxPのシステム[クーン(Kuhn)ら、Science, 269, 1427-1429, 1995 ]を用いることも可能である。Cer/LoxPのシステムを用いた液胞プロセシング酵素欠損マウスの作製方法は、具体的には、
(a)液胞プロセシング酵素をコードする遺伝子の核酸分子中の欠失させる対象である領域の両端にLoxP配列が挿入された核酸分子を含むターゲティングベクターを得る工程、
(b)マウス胚性幹細胞内で、前記(a)で得られたターゲティングベクターにより液胞プロセシング酵素をコードする遺伝子の相同組換えを行い、マウス胚性幹細胞を作製する工程、
(c)前記(b)で得られ液胞プロセシング酵素をコードする遺伝子が欠損したマウス胚性幹細胞を発生させてLoxP配列を有するキメラマウスを得る工程、
(d)前記(c)で得られキメラマウスを交配し、ヘテロ接合体マウスを得る工程、および
(e)前記(d)で得られヘテロ接合体マウスと、Cre酵素を発現するように形質転換されたマウスとを交配して、液胞プロセシング酵素欠損マウスを得る工程
を含む。
【0030】
前記Cre/LoxPのシステムを使用する方法では、工程(a)においてLoxP配列で挟まれた配列を作製し、それをマウスに相同組換えに導入して得られたヘテロ接合体マウスを、工程(e)において大腸菌のP1ファージ由来の組換え酵素であるCre酵素を発現しているマウスと交配させたときに、Cre酵素がLoxP配列で挟まれた領域を認識して削除するために、その領域を欠損させたマウスを作製することができる。上記以外の工程は、前述のCre/LoxPのシステムを使用しない液胞プロセシング酵素欠損マウスの製造方法と同様である。
【0031】
本発明はまた、リソソーム蓄積症の治療剤のスクリーニングにおける、本発明の液胞プロセシング酵素欠損マウスの使用に関する。
【0032】
本発明の液胞プロセシング酵素欠損マウスは、腎臓細胞のリソソームが年齢依存的に肥大するという性質を有しているため、当該マウスに化合物を投与し、リソソームの肥大の抑制効果を評価することにより、ヒトのリソソーム蓄積症に対して治療効果を有することが期待される治療剤をスクリーニングすることができる。
【0033】
液胞プロセシング酵素欠損マウスへの化合物の投与法としては、経口投与、静脈注射、腹腔内注射を行う。
【0034】
スクリーニング対象の化合物の投与した後、液胞プロセシング酵素欠損マウスを通常条件で1-6 ヶ月間飼育する。
【0035】
リソソームの肥大の抑制効果は、腎臓の組織標本を作製してリソソームの形態の正常化を光学顕微鏡による観察により評価することができる。また、液胞プロセシング酵素欠損マウスのリソソームは自家蛍光を発するので、この蛍光の消失を蛍光顕微鏡による観察で評価することもできる。
【0036】
対照として、野生型のマウスに同様の化合物を投与したものと化合物を投与しなかった液胞プロセシング酵素欠損マウスを用いる。
【0037】
本発明の液胞プロセシング酵素欠損マウスは、腎臓細胞のリソソームが年齢依存的に肥大するという性質を有しているので、液胞プロセシング酵素の生理学的役割を個体レベルで解析するためのモデル動物や、ヒトの腎臓病、特にリソソーム蓄積症の発症や進行のメカニズムの解明のための実験動物として、またかかる疾患に対する治療剤のスクリーニング用動物としてとりわけ有用である。また、液胞プロセシング酵素が、免疫系において外来抗原の抗原提示に関与するということが最近報告されている。また、自己免疫疾患にも関与しているという報告も最近なされている。本発明の液胞プロセシング酵素欠損マウスは、ヒトの自己免疫疾患を含む免疫系の疾患のモデル動物となる可能性がある。
【0038】
【実施例】
以下、特に明記しない限り、「%」は重量パーセントとする。
【0039】
実施例1
VPEをコードするマウスcDNAを11日目の胚のcDNAライブラリー(クロンテック社製)から単離した。VPEのホモログである植物のVPE間で最も保存された領域を、PCRプライマー対:5'−CA(T/C)CA(G/A)GC(G/A/T/C)GA(T/C)GT(G/A/T/C)TG(T/C)CA(T/C)GC-3 ’(配列番号:3)および5'-GC(G/A/T)AT(G/A)TC(G/A)TC(G/A)TACAT-3' (配列番号:4)を設計するために選択した。PCRの条件は、ポリメラーゼ(Ex Taq)と10 pmol/ 反応の上記プライマーを用いて、94℃ 5分反応後、94 ℃ 45 秒、55 ℃ 45 秒、72℃ 30 秒のサイクルを25回行った後、 72℃ 10 分反応させた。前記プライマー対を用いて得られたPCRフラグメントをcDNAライブラリーのスクリーニングのために使用した。
【0040】
次いで、得られたVPE cDNAを用い、VPEの発現の局在性を調べた。具体的には、商品名:Mouse RNA MasterBlot(クロンテック社製)を用いてノーザンブロット解析を行なった。VPEcDNAのSphI−HindIIIフラグメントを鋳型として使用し、商品名:Megaprime DNA標識システム(アマシャム−ファルマシア社)を用いてプローブを調製した。シグナルは、商品名:BAS−IIIイメージングプレートおよびBAS2000(富士写真フィルム社製)を用いて検出した。シグナル強度を、商品名:Image Gageプログラム(富士写真フィルム社製)を用いて定量した。
【0041】
VPEの器官特異的発現を図1Dに示す。VPE mRNA発現は、以前に報告されたように[タナカ(Tanaka)、1996 Cytogenet. Cell Genet. 74, 120-123. 、チェン(Chen)、1997 J. Biol. Chem. 272, 8090-8098.、チェン(Chen)、1998 Biochem. J. 335, 111-117. ]、腎臓においてひときわ高かった。眼、肝臓および肺などの他の器官の発現レベルは、腎臓でのレベルの8分の1未満であった。
【0042】
実施例2
VPEのインビボでの生理学的役割を示すため、VPE−欠損(VPE-/- )マウスを作製した。詳細には以下の通りである。
【0043】
VPE cDNAをプローブとして用い、千葉大学のハタノ・マサヒコ博士から寄贈された129/Sv(129)ゲノムライブラリーからVPEのゲノムクローンを単離した。ターゲティングベクターの構築を図1に模式的に示す。推定される3つのエキソン(このうちの1つはCys−191の触媒中心をコードする)を含むSacI−BamHI 2.2−kbフラグメントは、2つの同一方向のLoxP組換え部位(floxed)に隣接した。ベクターpGK−NeobpA内のネオマイシン耐性遺伝子カセット[ソリアノ(Soriano )、1991 Cell 64, 693-702.]およびベクターpMC1DTpA内のジフテリア毒素(DT−A)遺伝子カセット[ヤギ(Yagi)、1990 Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87, 9918-9922.]を、それぞれ陽性および陰性選択マーカーとして使用した。
【0044】
以前に報告された[アサノ(Asano )、1997 EMBO J. 16, 1850-1857]ようにして 、ターゲティングベクターをSpeI消化により切断し、E14.1胚性幹(ES)細胞内にエレクトロポレートした[クーン(Kuhn)、1991 Science 254, 707-710. ]。
エレクトロポレーション(250V, 500 μF)によりターゲティングベクターを導入したES細胞は、ネオマイシン耐性マウス胎児繊維芽細胞をフィーダー細胞として用いて37℃ 5% CO2の条件下で培養した。エレクトロポレーションの24時間後にG418(ネオマイシン 250 μg ( 活性形態)/ml)を添加し、7〜10日間培養することでネオマイシン耐性を獲得したクローンを選抜した。
【0045】
プライマー;5'-TCTTGTCTTTCAGTATGGGATGGGATGGAGTG-3'(配列番号:5)および5'-TATACGAAGTTATCTCGAGTCGCTCG-3'(配列番号:6)を用いてPCRにより相同的組換えの有無を同定した。PCRスクリーニングの結果を確認するため、PCR−陽性ESクローンから抽出されたゲノムDNAのBglIIフラグメントを、5’−外部プローブとハイブリダイズさせ、EcoRIフラグメントを3’−外部プローブ(図1B、レーン2)とハイブリダイズさせた。578個のネオマイシン耐性クローンのうち7個のESクローンが所望の相同的組換えを起こしていることを示した。
【0046】
また、前記クローンを、neoプローブを用いたサザンブロット解析に供し、単一組込みについて試験した。欠損した対立遺伝子AxCANCreを得るため、Creリコンビナーゼ[カネガエ(Kanegae )、1995 Nucleic Acids Res. 23, 3816-3821 ]を発現するアデノウイルスベクターを2個の別々のESクローンに感染させた。floxed領域(LoxP配列で挟まれた配列領域) を欠くESクローンをPCRにより選択して得た。選択した46個のクローンのうち35個のクローンが所望の欠失を有した。ゲノムDNAのEcoRIフラグメントを、外部3’−プローブを用いたサザンブロット解析に供し、欠失を確認した(図1B、レーン3)。
【0047】
2個のfloxedES細胞クローンおよび2個の欠失ES細胞クローンを用いてサンドイッチ凝集法[ネイジー(Nagy)、1993 Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90, 8424-8428.]によりキメラマウスを作製した。前記キメラマウスにおける生殖細胞系への遺伝を各クローンについて確認した。前記キメラマウスを、C57BL/6J(B6)[日本クレア社供給]の雌と交配することにより該変異についてヘテロ接合体マウスを得た。次いで、得られたヘテロ接合体マウスを同系交配してホモ接合体野生型の同腹仔を得るか、またはB6マウスとさらに戻し交配した。尾DNAのPCRにより遺伝子型を決定した。結果を図1Cに示す。本明細書に記載の表現型を129/B6交配バックグラウンドマウスを用いて調べた結果、対立遺伝子が破壊された2種類の独立したマウス系において同一であった。なお、マウスを、国立基礎生物学研究所のトランスジェニック動植物センターの環境が制御されたクリーンルーム内で、特定の病原体を含まない条件下に維持した。実験は、研究所の動物実験のための倫理ガイドラインおよび遺伝子操作実験のための安全ガイドラインに従って行なった。
【0048】
得られたマウスについて、腎臓から全RNAを単離した。1μgの精製RNAを、商品名:Superscript II逆転写酵素(インビトロゲン社製)およびオリゴ−dTプライマーとともに37℃でインキュベートすることにより第1鎖cDNAを合成した。次いで、得られたcDNAを、VPE転写物についてはプライマー5'-ATGACCTGGAGAGTGGCTG-3' (配列番号:7)および5'-CGTTGATGTCGTCGGGCA-3'(配列番号:8)を、β−アクチン転写物については5'-GTGGGCCGCTCTAGGCACCA-3'(配列番号:9)および5'-CGGTTGGCCTTAGGGTTCAGGGGGG-3' (配列番号:10)を用いたPCRに供した。
【0049】
VPEタンパク質の検出はマウス液胞プロセシング酵素に対する特異抗体を用いたウェスタンブロット法で行った。この特異抗体は、マウス液胞プロセシング酵素のCys-52からHis-164 領域のポリペプチドのN 末端にHis タグを挿入したものを大腸菌で発現させ、これを抗原としてウサギに免疫して作製した。
【0050】
その結果、VPE-/- マウスでは、VPE転写物(図1E)もタンパク質(図3B)も検出されなかった。これは、VPE遺伝子の破壊を示す。ヘテロ接合体(VPE+/- )マウスにおける該転写物およびタンパク質の量は、VPE+/+ マウスと比べてほぼ半分であり、遺伝子量を反映している。
【0051】
VPE+/- マウスの交配により、予期したメンデル頻度で子孫が得られ、これは、VPEが胚の正常発生に必須でないことを示す。VPE-/- マウスは、生殖能があり、肉眼での構造的および形態学的な異常は認められなかったが、野生型(VPE+/+ )マウスおよびVPE+/- マウスよりもやや小さかった(図2)。VPE-/- マウスの体重は、離乳後20週間ではVPE+/+ 同腹仔およびVPE+/- 同腹仔とほぼ同様に増加した。その後、VPE-/- マウスの体重増加は停滞し始めた。40〜50週間後では、VPE-/- マウスの体重はVPE+/+ およびVPE+/- マウスとは有意に異なった(雌ではP<0.05、および雄ではP<0.01)。VPE+/+ およびVPE+/- マウスの平均体重は、50週目において、雌では38.3±6.34g、雄では48.21±6.91gであった。同じ段階で、VPE-/- マウスの体重は、雌では31.1±4.35g、雄では38.7±5.85gであった。50週目のVPE-/- マウスの平均体重は、VPE+/+ およびVPE+/- 同腹仔の体重の約70〜80%であった。
【0052】
実施例3
4ヶ月齢のVPE-/- 、VPE+/- およびVPE-/- マウスの腎臓のホモジネートにおけるリソソームプロテアーゼの活性を調べた。腎臓のホモジネートは、マウスを充分に麻酔し、腎臓を取り出す直前にPBSで灌流した。液体窒素中で器官を急速凍結し、商品名:Cryo−press(マイクロテク(Microtek)社製)で破砕し、適当なバッファー中で商品名:Polytronを用いてホモジナイズすることにより調製した。VPE特異的基質を用い、アスパラギニル結合の切断活性を調べた。
【0053】
各リソソームプロテアーゼについて以前に報告[クローズ(Clause)、1998 J. Biol. Chem. 273, 9842-9851.;チェン、1997 J. Biol. Chem. 272, 8090-8098]されたような条件下、具体的な反応液としては、カテプシンB (CatB)には1 mM EDTA,と2 mMシステインを含む75 mM リン酸バッファー(pH 6.0)を用い、カテプシンBとカテプシンL(CatB/L)には1 mM EDTA,と2 mM DTT, を含む0.1 M 酢酸バッファー(pH 5.5)を用い、カテプシンH (CatH)には 1 mM EDTA, と10 mM システインを含む0.1 M リン酸バッファー(pH 6.8)を用い、ジペプチジルペプチダーゼII(DPP II)には80 mM borateと20 mM クエン酸を含む 0.1 Mリン酸バッファー( pH5.3)を用い、VPEには1 mM EDTA,と100 mM DTTを含む 0.1 Mリン酸バッファー(pH 4.5)用いるとともに、蛍光性基質(1mM)を用いて37℃ですべての酵素活性を測定した。基質として、VPEに対してZ-Ala-Ala-Asn-MCA 、CatBに対してZ-Arg-Arg-MCA 、CatB/Lに対してZ-Phe-Arg-MCA 、CatHに対してArg-MCA 、およびジペプチジルペプチダーゼII(DPP II)に対してLys-Ala-MCA を用いた。すべての蛍光性基質は、ペプチド・インスティテュート社から購入した。励起波長360nm、発光波長460nmを用いて蛍光性基質に由来する蛍光色素を定量した。1単位の酵素活性は、1分あたり1nmolの基質を切断する各酵素の量である。結果を図3Aに示す。VPE-/- マウスにおける活性は、VPE+/+ マウスにおけるVPE活性の10%未満であったが、VPE+/- マウスは、VPE+/+ マウスにおける活性の65%であった。また、CatH、CatB、CatB/LおよびDPPIIに対する特異的基質を用い、他のリソソームプロテアーゼの活性を調べた。興味深いことに、VPE-/- マウスにおけるCatBおよびDPPIIの活性は、VPE+/+ 同腹仔のほぼ2倍に増加した。また、CatL活性においてわずかな増加が観察された。一方、VPE-/- マウスにおけるCatH活性は、VPE+/+ およびVPE+/- マウスのほぼ半分に減少した。VPE+/+ マウスおよびVPE+/- マウスとの間で活性に有意差は認められなかった。
【0054】
次いで、VPEがどのようにリソソームプロテアーゼの活性に影響するかを調査するために、腎臓ホモジネートを、これらのリソソームプロテアーゼのそれぞれに対する抗体を用いてイムノブロット解析に供した。ここで、抗体は以下のように調製した。細菌により発現させた、VPE(Cys−52からHis−164まで)の6×Hisタグ融合タンパク質でウサギを免疫することにより抗−マウスVPE抗体を調製した。発生研究ハイブリドーマ・バンク((Developmental Studies Hybridoma Bank)(DSHB)、アイオワ大学)から入手したLAMP−2(ラットクローンGL2A7)に対するモノクローナル抗体、サンタクルス・バイオテクノロジー(Santa Cruz Biotechnology)社のCatDに対するヤギポリクローナル抗体、順天堂大学のイシドウカズミ博士およびコミナミエイキ教授より寄贈された抗−CatB抗体および抗−CatL抗体の両方、大阪大学のウチヤマヤスオ教授から寄贈された抗−CatH抗体、ジャクソン・イムノリサーチ研究所(Jackson Immunoresearch Laboratory )およびアマシャム・ファルマシア社製のCy−3結合二次抗体、およびモレキュラー・プローブス(Molecular Probes)社製の商品名:Alexa Fluor 488結合二次抗体を使用した。
【0055】
また、イムノブロット解析法は、具体的には、以下の通りである。BSAを標準とし、BCAタンパク質アッセイ試薬(ピアス社製)を用いてタンパク質濃度を測定した。ホモジネートをSDS−PAGEに供した。分離したタンパク質をPVDF膜に電気的に移した後、イムノブロット解析を行なった。商品名:ECLキット(アマシャム−ファルマシア社製)を用いてバンドを可視化し、商品名:LAS1000 plus(富士写真フィルム社製)で解析した。
【0056】
CatH、CatBおよびCatLは、プレプロタンパク質として合成され、かつ単鎖形態を介して二本鎖形態にプロセシングされることが示されている[キルシュケ(Kirschke)、1998 Lysosomal cycteine proteinases. (Oxford University Press, Oxford). ]。前記イムノブロット解析により、単鎖形態および二本鎖形態は、ともにVPE+/+ マウスおよびVPE+/- マウスにおいて見られた(図3B)。これに対し、VPE-/- マウスでは、各リソソームプロテアーゼの単鎖形態しか検出されなかった(図3B)。この結果は、VPEが、CatH、CatBおよびCatLの単鎖形態から二本鎖形態へのプロセシングに寄与することを明白に示す。各カテプシンの量がVPE-/- マウスにおいて増加したことは注目に値する。
【0057】
実施例4
VPEは、腎臓に多量に存在する(図1D)。腎臓におけるVPEの分布を調べるため、抗−VPE抗体を用いて免疫蛍光顕微鏡検査を行なった。1、3および12ヶ月齢マウスの腎臓を灌流により固定し、解析に供した。なお、実施例中において免疫蛍光顕微鏡検査は以下のように行った。
【0058】
マウスを充分麻酔し、4%パラホルムアルデヒド、0.2%ピクリン酸および0.1Mリン酸ナトリウム(pH7.4)を用いて液胞灌流により室温で固定した。固定された腎臓を小片に切り分け、20%スクロースを含有するPBS中で、一晩4℃で低温保護した。試料を、商品名:Tissue−TekOCT化合物(サクラ・ファインテクニカル社製)中に包埋し、液体窒素中で凍結した。クリオスタット(商品名:Frigocut 2800E、Reichert−Jung社製)で6μm厚の切片を作製し、コートされたスライド上に集めた。切片をPBS中で手短かに洗浄し、0.5%BSAおよび0.3%Triton X−100を含有するいずれかのPBS中で浸透させ、VPEおよびCatDの両方を検出した。VPEおよびLAMP−2の二重染色の場合は、0.5%BSAおよび0.3%サポニンを含有するPBS中で切片を浸透させた。切片を一次抗体とともにインキュベートした後、蛍光標識した二次抗体とともにインキュベートした。共焦点レーザー走査イメージングシステム(商品名:LSM510、カール・ツァイス社製)を用いて蛍光画像を調べた。
【0059】
1、3および12ヶ月齢マウスのそれぞれについて、本質的に同じ結果が得られた。VPEは、皮質のごく限られた領域では見られたが(図4A、右)、回収した細管細胞または尿細管細胞を含む髄質では見られなかった。近位尿細管では顕著なVPEシグナルが検出され、遠位尿細管では弱いシグナルが観察され、糸球体では匹敵するシグナルは検出されなかった。予備免疫血清は、全くシグナルを生じなかった。
【0060】
腎臓近位尿細管細胞において、VPEは細胞内の先端領域内の斑点状構造に局在した。構造を解明するため、CatD、リソソームプロテアーゼに対する抗体を用いて、二重標識免疫蛍光顕微鏡検査を行なった(図4B)。VPE含有構造は、細胞の先端側にほぼ限定されたが(図4B、左)、CatD−陽性リソソームは細胞の中央領域に分布した(図4B、中央)。VPEとCatDとの同時局在はほとんどなかった(図4B、右)。これらの結果は、VPEが、リソソームとは異なる非細胞画分に局在することを示す。
【0061】
次に、VPEの局在を、後期エンドソームおよびリソソームに対するマーカーであるLAMP−2[グランジャー(Granger )、1990 J. Biol. Chem. 265, 12036-12043. ]の局在と比較した。抗−VPE抗体で染色された構造の大部分は、抗−LAMP−2モノクローナル抗体で染色された(図4C、右)。この結果は、VPEが腎臓近位尿細管細胞の後期エンドソームに局在することを示した。ほぼすべてのVPEシグナルがLAMP−2のものと重複するため、VPEが初期エンドソームに局在する可能性を排除した。
【0062】
非細胞局在をさらに詳細に示すため、4週齢マウスの腎臓から調製した極薄切片を用いて免疫電子顕微鏡検査を行なった。免疫電子顕微鏡検査は具体的には以下のように行った。
【0063】
4%パラホルムアルデヒドの代わりに2.5%グルタルアルデヒドを用いた以外は上述の免疫蛍光顕微鏡検査の手順と同様にしてマウスを固定した。取出した腎臓を、同じ固定液中でさらに2時間固定し、以前に記載されたような標準的電子顕微鏡検査技術に供した。免疫電子顕微鏡検査のため、予備包埋銀増強イムノゴールド法を使用した。凍結超薄切片を抗−VPE抗体と反応させた後、コロイド状の金を結合した二次抗体と反応させた。金標識は、銀増強キットを用いて増強した。次いで、クリオ切片を脱水し、LR−ホワイト内に包埋し、標準的な電子顕微鏡検査技術に従ってさらに処理した。商品名:日立H700電子顕微鏡(日立社製)下で極細切片を観察した。
【0064】
近位尿細管細胞において、VPEは電子発光性多液胞体様構造である後期エンドソームに局在した(図4D)。VPEの局在を示す金粒子は、高電子密度の均一な構造であるリソソーム上では検出されなかった。この結果は、VPEが腎臓近位尿細管細胞の後期エンドソームに濃縮されることを示す。
【0065】
実施例5
リソソーム/エンドソーム機能に対するVPE欠損の効果を明らかにするため、VPE-/- マウスの腎臓におけるLAMP−2の分布を試験した。4ヶ月齢マウスおよび7ヶ月齢マウスから腎臓を単離し、免疫蛍光顕微鏡検査に供した。4ヶ月齢のVPE-/- マウスおよびVPE+/+ マウスとの間で著しい差は検出されなかった。これに対し、7ヶ月齢VPE-/- マウスの腎臓近位尿細管細胞において、LAMP−2陽性構造の過剰誇大が認められた(図5B)。これらは、最大径1μmの環状構造として観察された。また、LAMP−2含有構造の分布はVPE-/- マウスにおいて影響を受けた。LAMP−2陽性構造は、VPE+/+ 腎臓近位尿細管細胞の先端領域において主に見られたが(図5Aおよび図4C、中央)、それらは、VPE-/- マウスの細胞内に広く分布した(図5B)。遠位尿細管、糸球体または集合管などの腎臓の他の領域ではかかる構造は見られなかった。この構造の性質を解明するため、電子顕微鏡解析を行なった。図5Cは、VPE-/- マウスの近位尿細管細胞においてリソソームのほとんどが肥大し、異常であることを示す。異常リソソームは、高電子密度および/または膜性の物質を含んでいた(図5D)。この結果は、VPE-/- マウスでは腎臓近位尿細管細胞内にリソソームが高填されることを示す。
【0066】
実施例6
スクリーニング対象の化合物をVPE-/- マウスに経口投与し、通常条件で1ヶ月間飼育する。次いで、前記マウスを屠殺し、腎臓の組織標本を作製してリソソームの形態の正常化を光学顕微鏡による観察により評価する。前記腎臓の組織標本を、スクリーニング対象の化合物を投与した野生型マウスの腎臓の組織標本およびスクリーニング対象の化合物を投与しなかったVPE-/- マウスの腎臓の組織標本と比較し、リソソームの形態の正常化が見られるか否かを観察する。
【0067】
【発明の効果】
本発明の液胞プロセシング酵素欠損マウスによれば、リソソーム蓄積症の実験動物が提供されるという優れた効果を奏する。また、本発明の液胞プロセシング酵素欠損マウスの製造方法によれば、液胞プロセシング酵素欠損マウスが提供されるという優れた効果を奏する。また、本発明のリソソーム蓄積症の治療剤のスクリーニングにおける液胞プロセシング酵素欠損マウスの使用によれば、リソソーム蓄積症に対して治療効果を有する化合物をスクリーニングすることができるという優れた効果を有する。
【0068】
【配列表】
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【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、マウスにおけるVPE遺伝子の標的化破壊および野生型マウスにおけるマウスVPEの発現を示す図である。
(A) VPE遺伝子の破壊のためのターゲティングベクターおよび生じた標的化遺伝子座。黒四角はエキソンを表す。LoxP組換え部位およびFRT組換え部位を、それぞれ黒三角および灰色五角形で示す。ネオマイシンカセット(Neo)を陽性選択マーカーとして使用し、ジフテリア毒素遺伝子カセット(DT−A)を陰性選択マーカーとして使用した。制限酵素の略語は、RI:EcoRI、Bg:BglII、Sa:SacI、BH:BamHI、Sp:SpeIである。
(B)野生型ES細胞(レーン1および4)ならびにCreリコンビナーゼによる処理前の標的化ES細胞(レーン2)および処理後の標的化ES細胞(レーン3)から単離したゲノムDNAをEcoRIで消化し、次いで、Aに示した3’−外部プローブを用いてサザンブロット解析に供した。17kbフラグメントを野生型遺伝子座から誘導し、12kbフラグメントを標的化遺伝子座から誘導し、10kbフラグメントを破壊遺伝子座から誘導し、これらをA において両方向矢印で示す。
(C)野生型(+/+)、ヘテロ接合体(+/−)およびホモ接合体(−/−)マウスのテイルDNAを用いてPCRを行なった。150bpおよび290bpのDNAフラグメントを、それぞれ野生型の対立遺伝子および変異対立遺伝子を用いて増幅した。
(D)マウスRNA Master Blot(クロンテック社製)を用い、VPE mRNAの器官特異的発現を調べた。シグナル強度は、Image Gageプログラムを用いて定量した。
(E)野生型(+/+)、ヘテロ接合体(+/−)およびホモ接合体(−/−)マウスの腎臓から調製した全RNAを、VPEまたはβ−アクチンに対する特異的プライマー対を用いてRT−PCRに供した。
【図2】図2は、野生型マウスの体重と比較した50週齢VPE-/- マウスの体重を示すグラフである。
VPE-/- マウス(n=10)および野生型マウス(VPE+/+ およびVPE+/- 、n=10)の体重を、乳離後50週間モニターした。雌マウス(左)ではP<0.05、雄マウス(右)ではP<0.01であると統計学的に算出された。
【図3】図3は、多数のリソソームプロテアーゼのプロセシングを担うVPEを示す図である。
(A) VPE+/+ 、VPE+/- およびVPE-/- マウスの腎臓からホモジネートを調製した。これらのホモジネート中のプロテアーゼの特異的活性を、VPE、カテプシンH、カテプシンB、カテプシンB/LおよびDPPIIのそれぞれに対する特異的基質を用いて測定した。VPE-/- マウス(白色柱)およびVPE+/- マウス(灰色柱)の相対特異的活性は、VPE+/+ マウス(黒色柱)の活性の%で示す。
(B) 腎臓ホモジネート(20μgタンパク質)を、VPE、CatH、CatBおよびCatLのそれぞれに対する特異的抗体を用いてイムノブロットに供した。VPEの欠損は、これらのプロテアーゼの単鎖形態レベルの上昇を引き起こした。各酵素について、単鎖形態(S)および二本鎖形態(T)がブロットで示されている。
【図4】図4は、腎臓近位尿細管細胞の後期エンドソームにおけるVPEの特異的局在を示す図である。
(A) マウス腎臓の凍結切片を、抗−VPE抗体を用いて免疫蛍光顕微鏡検査に供し、共焦点レーザー走査顕微鏡(右)または差異干渉対比顕微鏡(左)で検査した。アスタリスクは近位尿細管を示す。gl:糸球体、d:遠位尿細管。バー=50μm。
(B) 腎臓の凍結切片を、抗−VPE抗体(左)または抗−カテプシンD抗体(中央)のいずれかを用いて二重免疫染色に供し、共焦点レーザー走査顕微鏡で検査した(右)。バー=10μm。
(C) 腎臓の凍結切片を、抗−VPE抗体(左)または抗−LAMP−2モノクローナル抗体(中央)のいずれかを用いて二重免疫染色に供し、共焦点レーザー走査顕微鏡で検査した(右)。バー=10μm。
(D) 抗−VPE抗体で染色した腎臓近位尿細管細胞の銀増強免疫電子顕微鏡画像。矢印部は、金粒子が局在した後期エンドソームを示す。Mt:ミトコンドリア、Ly:リソソーム。バー=10μm。なお、本図については図面参照用写真を提出する。
【図5】図5は、VPE-/- マウスの腎臓近位尿細管細胞におけるリソソームの誇大を示す図である。
VPE+/+ マウス(A)およびVPE-/- マウス(B)から単離した腎臓の凍結切片を、抗−LAMP−2抗体を用いて免疫蛍光顕微鏡検査に供した。矢印部は、VPE-/- マウスにおいて観察された誇大化構造を示す。バー=10μm。(C)VPE-/- マウスの近位尿細管細胞を、電子顕微鏡を用いて検査した。バー=1μm。(D)VPE-/- マウスにおいて見られたリソソームの高倍率画像を示す。バー=1μm。なお、本図については図面参照用写真を提出する。

Claims (4)

  1. 液胞プロセシング酵素をコードする遺伝子の改変により得られる、液胞プロセシング酵素が欠損した液胞プロセシング酵素欠損マウスに候補化合物を投与して近位尿細管細胞におけるリソソームを観察し、候補化合物を投与しない場合と比較して正常化するか否かを評価することを特徴とする、前記マウスにおけるリソソームの異常を改善する化合物のスクリーニング方法。
  2. 前記改変が、液胞プロセシング酵素をコードする遺伝子のオープンリーディングフレームの読み枠を破壊するものである、請求項1記載のスクリーニング方法。
  3. 前記改変が、
    (a)液胞プロセシング酵素をコードする遺伝子の一部または全てを欠失させること、
    (b)液胞プロセシング酵素をコードする遺伝子の一部または全てを他のポリヌクレオチドにより置換すること、および
    (c)液胞プロセシング酵素をコードする遺伝子中に他のポリヌクレオチドを挿入させること
    からなる群より選ばれるものである、請求項1または2記載のスクリーニング方法。
  4. 前記改変が、下記(a’)〜(c’):
    (a’)液胞プロセシング酵素をコードする遺伝子において、配列番号:1に記載の塩基配列中の塩基番号:154〜156、448〜450、および571〜573からなる群より選ばれた少なくとも1つの領域に対応する領域の欠失、
    (b’)液胞プロセシング酵素をコードする遺伝子において、配列番号:1に記載の塩基配列中の塩基番号:154〜156、448〜450、および571〜573からなる群より選ばれた少なくとも1つの領域に対応する領域と他のポリヌクレオチドとの置換、および
    (c’)液胞プロセシング酵素をコードする遺伝子において、配列番号:1に記載の塩基配列中の塩基番号:154〜156、448〜450、および571〜573との間からなる群より選ばれた少なくとも1つの位置への他のポリヌクレオチドの挿入、
    からなる群より選ばれたものである、請求項3記載のスクリーニング方法。
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