JP4375706B2 - 金属缶の開口カール部 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、缶の開口部に外巻きのカール部が形成された金属缶に関し、特に、少なくとも缶の開口部付近を形成する金属板の両面が樹脂被膜により被覆されている金属缶について、その上端開口縁に沿って環状に形成される外巻きのカール部の構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
飲料缶詰の缶容器として、ボトル型に形成された缶体の口頸部にネジ付きのアルミニウム合金板製キャップを着脱可能に装着することで、缶体の上端開口部をキャップによるリシール(再密閉)が可能なようにした所謂ボトル型缶と言われるアルミニウム合金板製の金属缶が、PETボトルと同様にキャップでリシールすることができて、しかも、回収再資源化や容器のガスバリアー性という点でPETボトルよりも有利なことから、近年、ビール,炭酸飲料,お茶等のような様々な飲料の缶詰において数多く使用されているが、そのようなボトル型缶では、口頸部と肩部と胴部を一体成形している金属板の内外両面が樹脂被膜で被覆されていると共に、周壁にネジが形成された口頸部の上端開口縁に沿って環状にカール部が形成されている。
【0003】
このボトル型缶の開口部(口頸部の上端部)に形成されるカール部については、カール部が内巻きであると、消費者が缶を開けて中身の飲料を飲用するときに、カール部により飲料の流れが阻害されてスムーズに注出し難くなり、また、中身を飲み残してキャップで再密閉するときに、カール部に飲料が付着したまま残って不衛生な状態となり、更には、カール部の切断端部が缶の内部に位置することで、カール部の切断端部(金属板が露出した切断端面)に対しても特に塗膜処理を施さないと、缶内に充填された飲料によりカール部の切断端部に腐食の起きる虞があることから、通常は、外巻きのカール部として形成されている。
【0004】
なお、缶の開口部に外巻きのカール部を形成する場合に、切断端部をカール部の内部に巻き込んで閉じ込めるようにカール部を形成するということは従来から公知となっている(例えば、特公昭56−14051号公報,実開昭56−24431号公報,実開昭61−51314号公報,実開昭62−22945号公報等参照)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記のようなボトル型缶の開口部に形成される外巻きのカール部については、飲料を充填した後で、キャップを装着して密封する際に、上方からの大きな押圧力をカール部が受けることから、これに耐え得る強度を有することが必要であり、また、飲料を充填・密封した後の製品(飲料缶詰)として、カートンケース内に収容された輸送・保管時に落下衝撃を受けたり、店頭陳列時に落下衝撃を受けたりしても、容易に変形しないような耐変形性が必要があって、カール部に変形が起きると、キャップのシール材とカール部との間での密封性を良好に維持できないこととなる。
【0006】
一方、一般的に陽圧缶として使用されるボトル型缶に対して装着するアルミニウム合金板製のピルファープルーフキャップの上部には、開栓時のガス抜きの目的でベントスリットと呼ばれる小孔が円周方向に多数設けられており(ベントスリットを設けないと、開栓時にキャップと口頸部の間にガス圧が生じることでキャップが飛ばされることがある)、缶の内部はキャップの頂板裏面に取り付けられたシール材により密封されているが、そのようにキャップにベントスリットを設けることにより、キャップの装着後も口頸部とキャップの間に空気中の湿気や水が入り込んだり、或いは、金属缶の冷却や外気温の急激な変化により空気中の水分が結露したりすることで、口頸部上端のカール部の切断端部(金属板が露出した切断端面)が付着した水分により腐食するような虞がある。
【0007】
そのようなカール部の切断端部での水分による腐食について、アルミ缶の場合にはそれ程の問題はないが、スチール缶の場合には、カール部の切断端部から錆が発生して商品価値を著しく低下させる虞があることから、カール部の切断端部に水分を付着させないようにすることが必要である。そのためには、カール部の切断端部(金属板が露出した切断端面)に対して、溶液の塗料や溶融させた熱可塑性樹脂などで塗膜処理を施すという方法も考えられるが、そのような塗膜処理をカール部の切断端部に対して施す場合には、塗料の飛び散りや樹脂の糸引きというような問題を生じ易く、これを回避するためには新たな装置や新規技術の開発が必要となる。
【0008】
これに対して、既に述べたように、缶の開口部に外巻きのカール部を形成する場合に、切断端部をカール部の内部に巻き込んで閉じ込めるようにカール部を形成するということが、例えば、特公昭56−14051号公報、実開昭56−24431号公報(第6図参照)、実開昭61−51314号公報(第6図参照)、実開昭62−22945号公報等により従来から公知となっており、そのようなカール部の構造によれば、カール部の切断端部に外部からの水分が付着するのを防止することができるため、スチール缶におけるカール部の切断端部の耐錆性という点では効果的である。
【0009】
なお、アルミ缶の場合には、スチール缶のようにカール部の切断端部から錆が発生して商品価値を著しく低下させるような虞はないが、スチール缶かアルミ缶かに関わらず、樹脂被覆金属板から製造される缶体では、何れにしても、製造工程中で缶体の開口部側の端部を切断する際に、金属板に被覆された樹脂被膜の一部が切断端部で毛羽立って剥がれたような状態となることがあり、端部が切断された開口部に形成するカール部が外巻きであると、毛羽立って剥がれた樹脂がカール部の下端で外側から見えて缶の外観が悪いものとなる虞があることから、外巻きのカール部では、切断端部をカール部の内部に巻き込むように形成することが好ましい。
【0010】
しかしながら、そのように形成された従来公知のカール部の構造を見ると、例えば、特公昭56−14051号公報や、実開昭56−24431号公報(第6図参照)に開示されたような構造では、カール部が上方からの大きな押圧力を受けたり、落下衝撃を受けたような時に、強度的に充分な耐変形性を有するものとは思われず、カール部が変形してキャップ(シール材)との間での密封性が悪化する虞がある。
【0011】
一方、例えば、実開昭61−51314号公報(第6図参照)や、実開昭62−22945号公報に開示されたような構造では、樹脂製の筒状体を口頸部に嵌挿した後で、口頸部の上端部分を二重に巻き込むようにカール加工していることから、強度的には優れていると思われるが、樹脂製の筒状体に対してカールが常に強く押し付けられていないと、カール部がスプリングバック(カール加工による巻きが少し元に戻るように弛む)する虞があって、スプリングバックによりカール部の形状や寸法が一定しないことで、キャップ(シール材)との間での密封性にバラツキが生じる虞がある。
【0012】
なお、樹脂製の筒状体を口頸部に嵌挿してカール部により固着した場合には、金属製の缶体(ボトル型缶等)をリサイクルする際に、缶体から樹脂製の筒状体を除去するのが困難であり、しかも、この樹脂製の筒状体がリサイクルの際に無視できない程の比較的大きなものであることから、缶体のリサイクル性が悪いものとなる。
【0013】
本発明は、上記のような問題の解消を課題とするものであり、具体的には、金属缶の開口部に形成されるカール部の構造について、切断端部をカール部の内部に巻き込んで閉じ込めるように形成することで、切断端部での錆の発生を防止したり、切断端部での樹脂の剥離を隠蔽したりすると共に、上方からの押圧力や落下衝撃により変形することなく、また、スプリングバックにより形状や寸法にバラツキを生じることなく、キャップ(シール材)との間で良好な密封性を維持できるようにすることを課題とするものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記のような課題を解決するために、少なくとも缶の開口部付近を形成する金属板の内外両面が樹脂被膜により被覆されており、缶の開口部に外巻きのカール部が形成されていて、上端の切断端部をカール部の内部に巻き込んで閉じ込めるように傾斜面の上方に形成されるカール部が、その下端部付近で傾斜面と接触していると共に、該傾斜面の下方にネジ部が形成されている金属缶において、カール部の内部に巻き込まれた部分が、切断端部を下に向けるようにカール部の内部で更に折り曲げられた状態で、カール部が幅方向で押し潰された状態に形成されていることにより、カール部の上下両端付近を除く大部分では、金属板同士が樹脂被膜を介して互いに略当接するように幅方向で四重に重なっていて、カール部の上部付近では、カール部の頂部に向かって先細りの状態となっていることを特徴とするものである。
【0015】
上記のような開口カール部の構造によれば、切断端部をカール部の内部に巻き込んで閉じ込めるように形成していることで、樹脂の剥離等により切断端部が見苦しくても、これを完全に隠蔽することができ、また、カール部の内部で金属板同士が樹脂被膜を介して互いに略当接するように四重に重なっていることから、カール部の切断端部にまで外部の水分が到達するのを確実に防ぐことができて、切断端部での腐食の発生を効果的に防止することができる。
【0016】
また、カール部を幅方向で押し潰された状態として、カール部の下端部付近を傾斜面に接触させていることから、上方からの押圧力や落下衝撃によりカール部が変形したり、或いは、カール部がスプリングバックを起したりすることは殆どなく、キャップのシール材とカール部との間の密封性を安定的に維持することができる。しかも、カール部の上下両端付近を除く大部分を幅方向で四重に押し潰された状態として、カール部の上端付近では頂部に向けて先細りの状態としていることから、キャップを装着する時に、キャップのシール材にカール部の頂部を食い込ませることで、キャップのシール材とカール部との間の密封性を向上させることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の金属缶の開口カール部の実施形態について、図面に基づいて詳細に説明する。なお、図1は、本発明の実施形態に係るボトル型缶の全体の外観を示すものである。また、図1に示したボトル型缶について、図2は、キャップが装着された状態での開口カール部の構造を拡大して示し、図3は、図2に示した開口カール部の成形工程の一例を示すものである。
【0018】
本発明の実施形態に係る金属缶は、ボトル型のスチール缶(容量が190g)であって、図1に示すように、大径円筒状の胴部4から上方に、縦断面が円弧状のドーム形状(外方に突出する半球面状)の肩部3を介して、小径円筒状の口頸部2が一体的に成形されており、胴部4の下端側を縮径して形成されたネック部5の下端(ネック部5の下端開口縁に形成されたフランジ部)には、金属製で別部材の底蓋6が二重巻締めにより固着されている(なお、胴部4を含む缶本体の素材が鋼板ならば、缶蓋6の素材も鋼板にするのが好ましい)。
【0019】
そのようなボトル型缶1の口頸部2には、その上端開口縁に沿って環状に外巻きのカール部21が形成され、その下方(カール部21の下方の傾斜面22よりも下方)の円筒状の周壁にネジ23が形成され、ネジ23の下方に環状のビード部24が形成されていて、この口頸部2には、図示していないが、缶内に飲料が充填された後で、周知のキャップ装着装置(ロールオン式キャッパー)によって、金属製で別部品のキャップがリシール(再密閉)可能なように装着される。
【0020】
このボトル型缶1の口頸部2と肩部3と胴部4(及び胴部4の下端側に形成されるネック部5やフランジ部)は、鋼板の両面に樹脂被膜が被覆された樹脂被覆鋼板から一体成形されており、そのような樹脂被覆鋼板としては、例えば、ポリエステル樹脂,ポリプロピレン樹脂等の熱可塑性樹脂フィルム(具体的には、PBT:PETを6:4の割合で混合したポリエステル樹脂)を、缶内面側で25μmの厚さとなり、缶外面側で12μmの厚さとなるように、板厚が0.230mmの鋼板(具体的には、電解クロム酸処理鋼板)の両面に予めラミネートした樹脂被覆鋼板がある。
【0021】
樹脂被覆鋼板に基材として使用される鋼板としては、各種の金属メッキを施した後にクロメート処理,リン酸処理,有機無機複合化成処理等の周知の化成処理を施した金属メッキ鋼板、例えば、ニッケルメッキ鋼板,錫メッキ鋼板,極薄錫メッキ鋼板,亜鉛メッキ鋼板,クロムメッキ鋼板や、鋼板に直接化成処理被膜を施した電解クロム酸処理鋼板(TFS−CT),リン酸処理鋼板,有機無機複合化成処理鋼板等の表面処理鋼板を挙げることができる。なお、使用する表面処理鋼板の板厚については、特に限定されるものではないが、0.17〜0.30mmの厚さのものが、強度やコストの面から好ましい。
【0022】
鋼板の両面に樹脂被膜として熱可塑性樹脂フィルムをラミネートする場合、鋼板の両面に熱可塑性樹脂フィルムを直接ラミネートする(熱接着する)場合と、接着剤層を介して熱接着する場合とがある。なお、鋼板の両面に保護被膜として樹脂被膜を被覆する場合、熱可塑性樹脂フィルムのラミネートに限らず、熱硬化型塗料や紫外線硬化型塗料や電子線硬化型塗料を塗装することで樹脂被膜を形成しても良く、その場合には、平らな鋼板に対して予め塗装を施してから、この樹脂被覆鋼板から有底円筒状のシームレス缶体((口頸部や肩部を成形する前の深いカップ形状の中間成形品)を成形する場合と、鋼板を有底円筒状のシームレス缶体(中間成形品)に成形してから、このシームレス缶体(中間成形品)の内外面に対して塗装を施す場合とがある。
【0023】
樹脂被覆鋼板からボトル型缶を製造するための方法について、その概略を以下に説明すると、先ず、樹脂被覆鋼板の両面を被覆する樹脂被膜(熱可塑性樹脂層)の上から適宜の潤滑剤を予め塗布しておいてから、カップ成形工程で、樹脂被覆鋼板を円板状のブランクに打ち抜くと共に、絞り加工を施すことで浅いカップ状に成形した後、更に、缶胴成形工程で、再絞り加工(ストレッチ加工を含む)としごき加工とを組み合わせて施すことにより、胴部が薄肉化された有底円筒状のシームレス缶体(口頸部や肩部を成形する前の深いカップ状の中間成形品)を製造する。
【0024】
次いで、この有底円筒状のシームレス缶体(中間成形品)に対して、トップドーム成形工程で、その底部側に複数回の絞り加工と再成形加工を施すことにより、小径の口頸部(未開口)とドーム状の肩部を成形してボトル型缶の基本形状としてから、更に、口頸部の未開口の端部に2回の口絞り成形を施した後、潤滑剤を揮発させ、胴部の開口端側をトリミングしてシームレス缶体(中間成形品)の高さを一定に切り揃えてから、ネジ・カール成形工程で、未開口の口頸部の先端部を切断して口頸部を開口させてから、口頸部の上端開口縁に沿って環状に外巻きのカール部に成形し、その下方の円筒状の周壁にネジを成形し、ネジの下方に環状のビード部を形成する。
【0025】
そして、ネック・フランジ成形工程で、口頸部とは反対側となる胴部の開口端(下端)付近に対してネック・フランジ加工を施すことで、胴部の下端側にネック部とフランジ部を形成してから、底蓋巻締工程において、ネック部の下端開口縁に形成されたフランジ部に対して、二重巻き締め法により別体の底蓋を一体的に固着することで、図1に示すようなボトル型缶(キャップを装着する前の缶)が製造される。
【0026】
ところで、上記のように製造されるボトル型缶には、缶内に飲料が充填された後で、金属製で別部品のキャップ(ピルファープルーフキャップ)を口頸部に被せてから、周知のロールオン式のキャッパー(キャップ装着装置)を使用して、トッププレッシャーによりキャップの頂部に上から押圧力を加えながら、ネジ形成ロールによりキャップのスカート部を側方から口頸部のネジ部に押圧して該スカート部にネジを形成し、更に、絞り込みロールにより該スカート部の下端部を側方から内側に絞り込むことで、該スカート部の下端部を口頸部の環状ビード部下方の環状凹部に押し込んで口頸部にキャップを固定させているが、そのようなキャップ装着の際には、口頸部上端のカール部には上方からの大きな押圧力(883〜1274N)が作用することとなる。
【0027】
これに対して、本実施形態では、ネジ・カール成形工程において内外両面が熱可塑性樹脂の被膜で被覆された円筒状の口頸部の上端開口縁に沿って環状に成形された外巻きのカール部(開口カール部)が、図2に示すように、開口部の切断端部21aをカール部21の内部に巻き込んで閉じ込めるように、幅方向で押し潰された状態に形成されており、カール部21の内部に巻き込まれた部分が、切断端部21aを下に向けるようにカール部21の内部で更に折り曲げられた状態となっていることで、カール部21の上下両端付近を除く大部分では、金属板同士が樹脂被膜を介して互いに略当接するように、金属板が幅方向で四重に重なった状態となっていて、カール部21の上部付近では、カール部21の頂部に向かって先細りの状態となっている。そして、2回の口絞り成形により口頸部のカール形成部分とネジ形成部分との間に形成された傾斜面22に対して、カール部21の下端部が下方の傾斜面22に接触した状態となっている。
【0028】
そのような金属板が幅方向で四重に重なった状態のカール部21を成形するための工程の一例について説明すると、トップドーム成形工程で形成された未開口の口頸部に対して、ネジ・カール成形工程で、未開口の口頸部の先端部を切断(トリム)して口頸部を開口させてから、ネジ成形工程に先立つカール成形工程において、図3に示すように、切断(トリム)により口頸部が開口されて、傾斜面22から上方が円筒状のカール形成部分21Aとなっている(A)の状態から、先ず、第1工程で、円筒状の開口部の切断端部21aから所定の長さの部分を外方に向けて折り曲げ加工することで、(B)の状態にフランジ成形してから、第2工程で、フランジ成形された部分を下方に向けて折り畳み加工することで、(C)の状態に折り畳み成形して、開口端部に二重の折り畳み部分21Bを形成している。
【0029】
そして、折り畳み部分21Bが形成された開口端部に対して、第3工程で、所定の長さの部分を外方に向けて折り曲げ加工することで、(D)の状態にフランジ成形してから、第4工程で、フランジ成形された部分を下方に向けて折り畳み加工することで、(E)の状態に折り畳み成形して、切断端部を巻き込むように三重構造のカール部21Cを成形している。そして、この三重構造のカール部21Cに対して、更に、第5工程で(F)の状態にフランジ成形し、第6工程で(G)の状態を経て(H)の状態にカール全体を幅方向で押し潰された状態に折り畳み成形することにより、カール部21は、幅方向で金属板が四重に重なった最終的な形状に成形される。この最終形状において、カール部21の上下両端部分を除く大部分では、幅方向で金属板同士が樹脂被膜を介して互いに略当接しており、カール部21の下端部は下方の傾斜面22に接触している。
【0030】
上記のように成形された本実施形態の開口カール部によれば、製造時(未開口の口頸部の先端部を切断して開口した時)に、開口部の切断端部が樹脂被膜の剥離した毛羽立ちにより見苦しい状態となっていても、切断端部21aをカール部21の内部に巻き込んで閉じ込めていることで、そのような見苦しさを完全に隠蔽することができると共に、カール部21の内部では、幅方向で金属板同士が樹脂被膜を介して互いに略当接していることから、キャップ30のベントスリット32から外部の水分が侵入してきても、カール部21の切断端部21aにまで水分が到達するのを確実に防ぐことができ、切断端部21aでの腐食の発生を効果的に防止することができて、その結果、金属缶がスチール缶であっても、切断端部21aで錆が発生するのを防止することができる。
【0031】
また、カール部21を幅方向で押し潰された状態に形成して、カール部21の下端部付近を傾斜面22に接触させていることから、キャップ装着時にキャッパーからの強い押圧力を上方から受けたり、缶詰製造後に誤って商品を落下させることで落下衝撃を受けたりしても、それによりカール部21が変形するようなことはなく、カール部21がスプリングバックを起して形状や寸法にバラツキを生じるようなこともないため、キャップ30のシール材31とカール部21との間の密封性を安定的に維持することができる。
【0032】
さらに、図2に示すように、カール部21の内部に巻き込まれた部分が、切断端部21aを下に向けるようにカール部21の内部で更に折り曲げられた状態で、カール部21が幅方向で押し潰された状態に形成されていて、カール部21の上下両端付近を除く大部分では、金属板同士が幅方向で四重に重なっていることから、カール部21の内部への水分の侵入防止やカール部の耐変形性という点で一層効果的なものとなっている。
【0033】
また、カール部21の上部付近では、カール部21の頂部に向けて先細り状態となっていることにより、キャップ30を装着する際に、キャッパーによる上方からの押圧力によってキャップ30のシール材31とカール部21の頂部とが加圧接触した時に、シール材31の表面にカール部21の頂部が食い込む形となり、その結果、キャップ30のシール材31とカール部21との間の密封性を向上させることができる。なお、密封性を向上させるためには、カール部21の頂部先端の幅を1.5mm以下にするのが好ましく、特に、1.0mm以下にするのがより好ましい。
【0034】
以上、本発明の金属缶の開口カール部の実施形態について説明したが、本発明は、上記のような実施形態に限られるものではなく、対象となる金属缶については、実施形態に示したようなタイプのボトル型缶に限らず、例えば、周知の深絞り加工方法や絞りしごき加工方法により缶胴と缶底を一体的に成形した缶体(所謂ドローアンドリドロー缶やDI缶)に対して、その上端開口部に口頸部や肩部を有する別体の缶蓋を巻締め固着したようなボトル型缶や、その上端開口側に複数段のネックイン加工を施すことで口頸部と肩部を成形した(肩部を滑らかなスムーズネックとしても良い)ようなボトル型缶のような、実施形態とは異なるタイプのボトル型缶であっても良い。
【0035】
また、ボトル型缶に限らず、ネックイン加工したDI缶の上端開口部をネジ付きの口部とした広口タイプのネジ付き缶であっても良いし、さらには、シームレス缶(胴部に縦方向の継ぎ目が無い)に限らず、溶接缶胴を使用した適宜のタイプのボトル型缶や広口タイプのネジ付き缶であっても良い等、缶の開口部に外巻きのカール部が形成される金属缶である限りにおいて、対象となる金属缶のタイプは適宜に変更可能なものである。
【0036】
さらに、対象となる金属缶については、実施形態に示したようなスチール缶に限らず、アルミ缶(アルミ缶の場合には、使用するアルミニウム合金板の板厚は、特に限定されるものではないが、0.25〜0.42mmのものが強度やコストの点で好ましい)であっても良い。なお、アルミ缶の場合には、スチール缶のようにカール部の切断端部から錆が発生して商品価値を著しく低下させるような虞はないが、金属板に被覆された樹脂被膜の一部が切断端部で剥離している場合、それが外側から見えることで商品価値を低下させる虞があることから、やはり、開口カール部を本発明のような構造としておくことが望ましい。
【0037】
【発明の効果】
以上説明したような本発明の金属缶の開口カール部によれば、カール部の切断端部が樹脂の剥離等により見苦しくなっていても、これを完全に隠蔽することができると共に、カール部の切断端部にまで外部の水分が到達するのを確実に防ぐことができて、金属缶がスチール缶であっても、切断端部で錆が発生するのを確実に防止することができる。また、上方からの押圧力や落下衝撃によりカール部が変形することはなく、スプリングバックによりカール部の形状や寸法にバラツキを生じることもないため、キャップのシール材とカール部との間の密封性を安定的に維持することができて、さらに、キャップを装着する時に、キャップのシール材にカール部の頂部を食い込ませることで、キャップのシール材とカール部との間の密封性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の金属缶の開口カール部の実施形態に係るボトル型缶について、(キャップを除いた)缶全体の外観を示す側面図。
【図2】 図1に示したボトル型缶について、キャップが装着された状態での開口カール部の構造を示す拡大断面図。
【図3】 図2に示した開口カール部の成形工程の一例を示す断面説明図。
【符号の説明】
1 ボトル型缶(金属缶)
2 口頸部
3 肩部
2 胴部
21 カール部(開口カール部)
21a 切断端部
22 傾斜壁
Claims (5)
- 少なくとも缶の開口部付近を形成する金属板の内外両面が樹脂被膜により被覆されており、缶の開口部に外巻きのカール部が形成されていて、上端の切断端部をカール部の内部に巻き込んで閉じ込めるように傾斜面の上方に形成されるカール部が、その下端部付近で傾斜面と接触していると共に、該傾斜面の下方にネジ部が形成されている金属缶において、カール部の内部に巻き込まれた部分が、切断端部を下に向けるようにカール部の内部で更に折り曲げられた状態で、カール部が幅方向で押し潰された状態に形成されていることにより、カール部の上下両端付近を除く大部分では、金属板同士が樹脂被膜を介して互いに略当接するように幅方向で四重に重なっていて、カール部の上部付近では、カール部の頂部に向かって先細りの状態となっていることを特徴とする金属缶の開口カール部。
- 金属缶が、両面に樹脂被膜が被覆された樹脂被覆金属板から有底円筒状の缶体に一体成形された状態から、少なくとも口頸部と肩部と胴部が一体的に形成され、口頸部の上端開口縁に外巻きのカール部が形成され、口頸部の周壁にネジが形成されたボトル型缶であることを特徴とする請求項1に記載の金属缶の開口カール部。
- 金属缶が、金属板から一体成形された有底円筒状の缶体の内外両面に樹脂被膜が被覆された状態から、少なくとも口頸部と肩部と胴部が一体的に形成され、口頸部の上端開口縁に外巻きのカール部が形成され、口頸部の周壁にネジが形成されたボトル型缶であることを特徴とする請求項1に記載の金属缶の開口カール部。
- 金属缶が、溶接予定部付近を除く鋼板の両面が樹脂被膜により被覆された樹脂被覆鋼板から円筒状の溶接缶胴に形成された状態から、その一端開口側に口頸部と肩部が形成され、口頸部の上端開口縁に外巻きのカール部が形成され、口頸部の周壁にネジが形成されると共に、その他端開口側に別体の底蓋が固着されたボトル型缶であることを特徴とする請求項1に記載の金属缶の開口カール部。
- カール部の頂部先端の幅が1.5mm以下となっていることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の金属缶の開口カール部。
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