JP2001063715A - ネジ付き缶 - Google Patents

ネジ付き缶

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JP2001063715A
JP2001063715A JP24249699A JP24249699A JP2001063715A JP 2001063715 A JP2001063715 A JP 2001063715A JP 24249699 A JP24249699 A JP 24249699A JP 24249699 A JP24249699 A JP 24249699A JP 2001063715 A JP2001063715 A JP 2001063715A
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mouth
neck
screw
curl
inclined wall
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JP24249699A
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Yoshihiko Matsukawa
義彦 松川
Takeshi Hara
武司 原
Minoru Tsuchida
穣 土田
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Daiwa Can Co Ltd
Original Assignee
Daiwa Can Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 合成樹脂被膜で被覆された金属薄板により口
頸部が成形されるネジ付き缶について、上端開口縁に沿
ってリング状に外巻きにカール部が形成された口頸部
を、特に材料の厚みを増加させたり高強度材を使用する
ことなく、キャップを装着する際に口頸部に大きな垂直
荷重が加わっても、カール部の下方の傾斜壁を座屈させ
てカール部を陥没させるようなことなく、キヤップと口
頸部とによる密封を確実なものとできるようにする。 【解決手段】 合成樹脂被膜で被覆された厚さ0.1〜
0.4mmの金属薄板からの成形によって、少なくと
も、上端開口縁に沿ってリング状に形成される外巻きの
カール部11と、該カール部11から下方且つ外方に延
びる傾斜壁12と、該傾斜壁12から下方に延びるネジ
形成部分13とを備えた口頸部5が一体成形されている
ネジ付き缶において、カール部11の下方に続く傾斜壁
12を、縦断面が円弧形となる外方に脹らんだ曲面に成
形することで、その下方のネジ形成部分13に対し、曲
率半径の小さい屈曲部分を介することなく滑らかな状態
で接続させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ネジキャップを冠
着させるための口頸部を備えたネジ付き缶に関し、特
に、合成樹脂被膜で被覆されたアルミニウム合金板や表
面処理鋼板等の金属薄板により一体成形され、且つ、上
端開口部に沿って外巻きのカール部が形成されている缶
の口頸部について、その強度を向上させることでキャッ
プを冠着したときの密封性を改善させるようにしたネジ
付き缶の構造に関する。
【0002】
【従来の技術】飲料や食用油等を内容液とする液体缶詰
の缶容器をリシール可能なものとするために、缶容器に
ネジ付きの口頸部を設け、該口頸部にネジキャップを着
脱可能に冠着させることで、口頸部の上端開口部をネジ
キャップにより密閉するようにした、所謂ネジ付き缶と
いうものが従来から提案されており、そのようなネジ付
き缶において、アルミニウム合金板や表面処理鋼板等の
金属薄板により一体成形される口頸部として、キャップ
のネジ部と螺合するネジ形成部分が周面に形成された口
頸部の上端に、開口縁に沿って内巻き又は外巻きのカー
ル部を形成したような構造が従来から公知となってい
る。
【0003】すなわち、例えば、特表平10−5090
95号公報中には、絞り・しごき加工により缶底と缶胴
を一体成形したDI缶の缶胴上端に巻き締め固定される
缶蓋の部分に口頸部を形成したタイプや、絞り・しごき
加工により缶底と缶胴を一体成形したDI缶の缶胴上部
を絞って口頸部を形成したタイプや、絞り・しごき加工
により口頸部と肩部と缶胴を一体成形したDI缶の缶胴
下端開口部に底蓋を巻き締め固定したタイプ等の様々な
タイプのボトル形状の缶について、また、特開平1−2
10136号公報中には、ネックイン加工したDI缶の
缶胴上端部を口頸部とした広口タイプの缶について、何
れも、口頸部の上端開口縁に沿って内巻き又は外巻きの
カール部を形成した構造がそれぞれ開示されている。
【0004】上記のようなネジ付き缶では、缶内に内容
液を充填した後で口頸部にキャップを装着させるため
に、キャップを口頸部に被せて上から押さえ付けながら
キャップの側壁を口頸部のネジ形成部分にロールで半径
方向に押し付けて変形させることでキャップにネジ部を
成形しながら装着させる方式や、ネジ付きキャップとネ
ジ付き缶を相対的に回転させて装着する方式や、ネジ用
の突起付きキャップをネジ付き缶の口頸部に被せて上か
ら強制的に押し込む打栓方式等が採用されており、この
ような各方式によりキャップを装着する際には、充分な
密封を得るために、何れにしても、缶の口頸部には上方
から最大で130〜140kgf程の垂直荷重を加える
ことが必要となる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記のよう
に口頸部の上端開口縁にカール部を設けたネジ付き缶に
ついては、カール部が内巻きであると、消費者が缶を開
けて中身の液体を注出するときに、カール部により液体
の流れが阻害されてスムーズに注出し難くなり、また、
中身を缶内に残してキャップで再密閉するときに、カー
ル部に液体が付着したまま残って不衛生な状態となり、
更には、カール部の端面(金属板の切断端面)が缶の内
部に位置することで、カール部の端面に対しても特に塗
膜処理を施さないと、缶内に充填された液体によりカー
ル部の端面に腐食の起きるような虞れもあることから、
口頸部の上端に形成されるカール部は外巻きとすること
が望ましい。
【0006】しかしながら、金属薄板から形成されてい
るネジ付き缶の口頸部では、カール部が内巻きであれ
ば、カール部からネジ形成部分に続く部分を略垂直壁と
することで、キャップ装着の際に上方からカール部に加
えられる垂直荷重に対して、それに耐えられる口頸部の
強度が比較的得られ易いのに対して、カール部を外巻き
にすると、キャップを着脱自在に螺着させるために、カ
ール部外径がネジ形成部分よりも半径方向外方に突出し
ないように、カール部からネジ形成部分に続く部分を該
カール部から下方且つ外方に延びる傾斜壁とする必要が
あることから、キャップの装着の際に、上方から口頸部
に加えられる垂直荷重によって傾斜壁の部分が座屈を起
こし易くなる。
【0007】このような座屈が発生してしまうと、キャ
ップによる完全な密封状態が得られず、内容物の変敗が
起きたり、開栓後の再封鎖が不可能となったり、密封が
不充分になってしまうことから、そのような口頸部の座
屈の問題の対応策として、材料の厚みを増加させたり高
強度材を使用することが考えられるが、前者は経済的で
なく、後者は、成形時に口頸部のカール部やネジ形成部
分にひびや割れを発生させてしまう虞がある。
【0008】本発明は、上記のような問題の解消を課題
とするものであり、具体的には、合成樹脂被膜で被覆さ
れた金属薄板により口頸部が成形されるネジ付き缶につ
いて、上端開口縁に沿ってリング状に外巻きにカール部
が形成された口頸部を、特に材料の厚みを増加させたり
高強度材を使用することなく、キャップを装着する際に
口頸部に大きな垂直荷重が加わっても、カール部の下方
の傾斜壁を座屈させてカール部を陥没させるようなこと
なく、キヤップと口頸部とによる密封を確実なものとで
きるようにすることを課題とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記のような
課題を解決するために、合成樹脂被膜で被覆された厚さ
0.1〜0.4mmの金属薄板からの成形によって、少
なくとも、上端開口縁に沿ってリング状に形成される外
巻きのカール部と、該カール部から下方且つ外方に延び
る傾斜壁と、該傾斜壁から下方に延びるネジ形成部分と
を備えた口頸部が一体成形されているネジ付き缶におい
て、カール部の下方に続く傾斜壁を、縦断面が円弧形と
なる外方に脹らんだ曲面に成形することで、その下方の
ネジ形成部分に対し、曲率半径の小さい屈曲部分を介す
ることなく滑らかな状態で接続させることを特徴とする
ものである。
【0010】上記のような構成のネジ付き缶によれば、
特に材料の厚みを増加させたり高強度材を使用すること
なく、合成樹脂被膜で被覆された厚さが0.1〜0.4
mmの金属薄板により口頸部が成形されており、しか
も、カール部が外巻きに形成されて、カール部とネジ形
成部分との間が傾斜壁とされているにもかかわらず、キ
ャップを装着させる際に、口頸部に上方から最大で13
0〜140kgf程の大きな垂直荷重が加わっても、カ
ール部からネジ形成部分に続く傾斜壁の部分が座屈を起
こしてカール部が陥没してしまうようなことがなく、キ
ャップとの密封が確実なものとなる。
【0011】また、片面(缶の内面となる面)或いは両
面が予め合成樹脂被膜で被覆された金属薄板から口頸部
が成形されていることで、後塗装し難い構造の小径でネ
ジ付きの口頸部でも充分な耐食性を有するようにするこ
とができる。なお、金属薄板の金属面を被覆している合
成樹脂被膜が熱可塑性樹脂フィルム層を有するものであ
ると、口頸部を成形するための金属薄板の絞り加工時に
熱可塑性樹脂フィルム層が潤滑剤の役目をすることと、
カール成形加工,ネジ部形成加工等の金属薄板の伸び及
び曲げ加工時に熱可塑性樹脂フィルム層が追従して伸び
たり曲がったりできることによって、被膜の被覆状態を
良好に維持することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、ネジ付き缶の実施形態につ
いて、図面に基づいて詳細に説明する。
【0013】図1は、本発明のネジ付き缶の一実施形態
に係るボトルタイプのネジ付き缶の全体の外観を示すも
ので、本実施形態のネジ付き缶1は、内容液の注出口を
備えた缶蓋2が、3ピース缶用の円筒状の缶胴3の上端
開口部に巻き締め固着され、この缶胴3の下端開口部
が、底蓋4の巻き締め固着により閉鎖されている、3ピ
ース缶によるボトルタイプの缶体であって、缶蓋2には
内容液の注出口となる小径の口頸部5が一体的に成形さ
れている。
【0014】ネジ付き缶の缶胴3については、一方の面
に合成樹脂被膜を施し他方の面に標章等の印刷模様を施
した表面処理鋼板の長方形のブランクを材料として、印
刷模様が外側になるようにブランクを丸めてその両端部
の重ね合わせ部を従来の電気抵抗溶接方法によりシーム
溶接し、溶接した継ぎ目に保護塗装を施して円筒体に形
成したものであって、該円筒体の上下両方の開口端部に
それぞれネック&フランジ加工が施された缶胴3に対し
て、その上端開口部に注出口付きの缶蓋2が二重巻き締
めにより固着され、その下端開口部に閉鎖用の底蓋4が
二重巻き締めして固着される。
【0015】缶胴3の下端開口部を閉鎖する底蓋4は、
アルミニウム合金板や表面処理鋼板の両面に合成樹脂被
膜を施した金属薄板を材料として、外周縁にフランジ部
が形成されるようにプレス加工で一体成形されたもので
あって、缶胴3との巻き締め部分となるフランジ部に
は、合成樹脂とゴムとからなるシーリングコンパウンド
が密封のために塗布されている。なお、缶胴3と底蓋4
の内面側の合成樹脂被膜を厚いものにすれば、合成樹脂
とゴムとからなるシーリングコンパウンドをフランジ部
に施さない底蓋を使用しても密封には差し支えない。
【0016】上記の缶胴3と底蓋4については、別部材
である缶胴と底蓋を巻き締めにより一体的に固着した3
ピース缶ではなく、アルミニウム合金板や表面処理鋼板
の内外面に合成樹脂被膜(例えば、熱可塑性合成樹脂フ
ィルム等)を施した金属薄板から、周知の深絞り加工方
法や絞りしごき加工方法により、缶胴と缶底を一体的に
成形した、所謂ドローアンドリドロー缶やDI缶を使用
しても良く、その場合、アルミニウム合金板や表面処理
鋼板から缶胴と缶底を一体的に成形した後で、その必要
な面に合成樹脂被膜を施しても良い。
【0017】缶胴3の上端開口部に巻き締めにより固着
される缶蓋2については、アルミニウム合金板や表面処
理鋼板の片面(缶の内面となる面)或いは両面に熱可塑
性樹脂フィルムのラミネートによる合成樹脂被膜を施し
た金属薄板を材料として、複数工程の絞り加工により上
端を塞がれた口頸部を有する基本形状に一体成形してか
ら、口頸部の上端を開口させてその周壁にカールやネジ
等を成形したものである。
【0018】なお、缶蓋2の材料となる金属薄板におけ
る熱可塑性樹脂フィルムのラミネートの仕方としては、
熱可塑性樹脂フィルムを金属薄板の金属面に直接熱接着
させる方法の他に、接着性プライマー層又は硬化型の接
着剤層若しくは熱接着性の良好な熱可塑性樹脂層を介し
て熱可塑性樹脂フィルムを金属薄板の金属面に熱接着す
る方法がある。
【0019】図2は、缶胴3に巻き締められる前の缶蓋
2の形状を示すものであって、缶蓋2には、その外周縁
部に、缶胴3との巻き締め部分となるフランジ部8が形
成され、フランジ部8の内側に、缶蓋2と缶胴3のフラ
ンジ部同士を二重巻き締めするときに二重巻き締め装置
のチャックが嵌入するためのカウンターシンク部7が縦
断面略V字状で環状に形成され、カウンターシンク部7
から内側上方に肩部6が形成され、注出口となる略円筒
状の口頸部5が、肩部6の中央部から上方に立設されて
いる。
【0020】なお、図示していないが、外周端縁をカー
ルさせたフランジ部8の下面側には、通常は、合成樹脂
とゴムとからなるシーリングコンパウンドが密封のため
に塗布されることとなるが、缶蓋2と缶胴3の内面側の
合成樹脂被膜を厚いものにすれば、合成樹脂とゴムとか
らなるシーリングコンパウンドをフランジ部8に施さな
くても差し支えない。
【0021】上記のような缶蓋2の注出口となる略円筒
状の口頸部5には、その上端開口縁に、外巻きのカール
部11が、全体の形状が上端開口縁に沿ったリング状と
なり、カール幅の縦断面(リングの一部を縦方向に切断
した断面)が略円形となるように形成されており、カー
ル部11のカール幅中央の真下あたりから下方且つ外方
に向かって、縦断面が円弧形となるように外方に脹らん
だ曲面に成形された傾斜壁12が延びていて、カール部
11の先端下面は、傾斜壁12の始端付近に当接してい
る。
【0022】そのため、カール部11の先端面(口頸部
5の上端破断面)は、合成樹脂被膜に覆われない金属破
断面であるにもかかわらず、上記のようにカール部11
の先端下面が傾斜壁12の始端付近に当接していてカー
ル部11の先端面が外部から隠れていることで、腐食さ
れ難いものとなっており、また、口頸部5に直接口を付
けて内容液を飲むような場合には、金属破断面が唇と接
触することの無い安全なものとなっている。
【0023】外巻きのカール部11から下方且つ外方に
延びる傾斜壁12の下端は、曲率半径の小さい屈曲部分
を介することなく滑らかな状態で、その下方のネジ形成
部分13に続いており、ネジ形成部分13には、キャッ
プのネジ部と螺合するためのネジが形成されている。な
お、ネジ形成部分13に形成されるネジの形状について
は、特に限定されるものではなく、ネジ形成部分13の
円筒状の基部を巻回する凸部や凹部からなるネジや、不
連続に形成された凸条や凹溝からなるネジであっても良
く、また、一条ネジ或いは二条ネジの何れでも良い。
【0024】ネジ形成部分13の下方には環状のビード
部14が設けられており、ビード部14の略円筒状の外
周面は、上方に向かって僅かに窄むように傾斜して円筒
面に近似したテーパー面となっていて、ビード部14の
下端は、係止部15となる内方への段部を介して小径円
筒部16に続き、小径円筒部16の下端は、外方への段
部を介して肩部6の上端に続いている。
【0025】なお、ビード部14の下端の係止部15
(内方への段部)とそれに続く小径円筒部16は、金属
製のキャップを口頸部に装着する際に、小径円筒部16
にキャップ装着装置のローラーが入り込み、キャップの
下端壁を変形させて、キャップの下端壁を係止部15に
押し付けることで、口頸部5にキャップをピルファープ
ルーフの状態で係止させるためのものである。
【0026】図3(A)〜(F)は、上記のような構造
の口頸部5を成形するための工程を示すものであって、
図示していないが、先ず、合成樹脂被膜で被覆された金
属薄板をカップに打ち抜き、次に、該カップに再絞り加
工を施して外周縁部に水平なフランジ部を備えたフラン
ジ付きカップに成形し、該フランジ付きカップを徐々に
絞り加工することで、図3(A)に示すように、上端小
径部を端壁17で塞がれた未成形の口頸部5,肩部6,
カウンターシンク部7,および水平なフランジ部8を備
えた蓋部材が一体成形される。
【0027】そして、図3(A)に示した蓋部材を缶蓋
の最終形状に成形するために、先ず、図3(B)に示す
ように、端壁17を打ち抜いて口頸部5の上端小径部を
開口させると共に、金属薄板の結晶方向等で伸び方が異
なって円形でないフランジ部8を円形に打ち抜いてトリ
ミングしてから、図3(C)に示すように、口頸部5の
上端開口縁を僅かに外方にプレカールさせると共に、フ
ランジ部8の外周端縁を下向きにカールさせる。
【0028】次いで、口頸部5の上端小径部の下方に形
成された傾斜壁12に対して、該傾斜壁12を縦断面が
円弧状となる外方に膨らんだ曲面に成形するための上端
周縁に円弧状部を備えた金型を口頸部5の内側に挿入し
た状態で、上方からカール成形パンチを押し下げること
により、図3(D)に示すように、口頸部5の上端開口
縁に外巻きのカール部11を成形すると共に、それから
下方の傾斜壁12を縦断面が円弧形となる外方に膨らん
だ曲面に成形する。
【0029】そのように口頸部5の上端開口縁に外巻き
カール部11を成形し、その下方の傾斜壁12を外方に
膨らんだ曲面に成形した後、図3(E)に示すように、
傾斜壁12の下方の口頸部5にネジ形成部分13を成形
する。その際のネジ形成部分13のネジ山とネジ谷の成
形方法については、口頸部5の内側に雌型を挿入して外
側からロールを押し付けて成形する方法と、口頸部5の
内側からロールを押し付けて形成させる方法がある。
【0030】そのようにネジ形成部分13を成形した
後、図3(F)に示すように、ネジ形成部分13の下方
の口頸部5を元の円筒形状に所定の幅だけ環状のビード
部14として残した状態で、該ビード部14の下方にロ
ールを外側から押し付けることによって、口頸部5の下
端を小径円筒部16に成形した後に、合成樹脂とゴムと
から成るシーリングコンパウンドを、外周端縁をカール
させたフランジ部8の下面に塗布して、それを乾燥させ
て固着させる。
【0031】上記のような工程により注出口となる口頸
部5が缶蓋2に成形されている本実施形態のネジ付き缶
1の具体的な一実施例について以下に説明する。
【0032】缶蓋2に使われる金属薄板は、厚さ0.3
15mmのアルミニウム合金板(3004−H191)
の両面に対して、イソフタル酸と他のジカルボン酸成分
及びグリコール成分との共重合ポリエステル製のフィル
ムを12μmの厚さで熱融着させ急冷させて非晶質化さ
せたフィルムを積層したものを使用した。
【0033】なお、このフィルムは、外層と内層で融点
の異なるイソフタル酸と他のジカルボン酸成分及びグリ
コール成分との共重合ポリエステルを同じ厚さで積層さ
せた二層のフィルムで、外層側に割れが発生した場合
に、その割れが内層側にまで及ばなくなっており、更
に、外層側の融点が内層側の融点よりも高く、且つ、ア
ルミニウム合金板の外面側の二層フィルムの融点の方
が、内面側の二層フィルムの融点よりも高い性質を備え
ていて、この性質によって、フィルムの内層側が外層側
よりも変形し易く、さらに、内面側が外面側よりも変形
し易くなっているので、外面側の内層よりも変形量の大
きい内面側の内層が最も変形し易く、金属薄板の変形に
フィルム全体が滑らかに追従し、フィルムが割れ難くな
っている。
【0034】そのようなフィルムが積層された金属薄板
を、先ず、直径87mm、高さ16mmのカップに打ち
抜き、既に述べたような成形工程を経ることで、全体の
高さが45mm、フランジ部8の外径が70mm、フラ
ンジ部8からカウンターシンク部7の底までの深さが
6.9mm、小径円筒部16の外径が26mm、小径円
筒部16の幅(高さ)が2.4mm、ビード部14の外
径が27.6mm、ネジ形成部分13におけるネジ山の
外径が27.6mm,ネジ谷の外径が26mm、傾斜壁
12の曲率半径が5mm、カール部11のリング内径が
19.9mm,リング外径が24.9mmとなるよう
に、図2に示した形状の缶蓋2を成形してから、該缶蓋
2に対して、合成樹脂とゴムとから成るシーリングコン
パウンドを外周端縁をカールさせたフランジ部8内に約
65mg塗布し、それを室温にて貯蔵し、溶剤を自然乾
燥させて固着させた。
【0035】缶胴3は、厚さ0.22mmの極薄スズメ
ッキ鋼板の内外面の溶接継ぎ目となる部分以外にエポキ
シ樹脂塗料を塗布し、外面側に印刷模様を施し、従来法
で継ぎ目を溶接し、該継ぎ目の内外面をエポキシ樹脂塗
料で被覆し、両開口端部にネックイン部と水平フランジ
部を形成させ、直径約65mm、高さ235mmにした
ものを使用した。
【0036】底蓋4は、厚さ0.21mmのクロムメッ
キ鋼板の内外面にエポキシ樹脂塗料を塗布し、従来法に
よって、カール外径約72mmに成形し、合成樹脂とゴ
ムとから成るシーリングコンパウンドを、缶蓋2と同様
に、外周端縁をカールさせたフランジ部内に約65mg
塗布したものを使用した。
【0037】そして、上記の缶胴3に、先ず、底蓋4を
二重巻き締め法で固着させ、次いで、缶蓋2を缶胴3に
二重巻き締め法で固着させて、内容量が1000ccの
ネジ付き缶とした。
【0038】上記のような実施例のネジ付き缶につい
て、その口頸部に上方から荷重を与えたときに、図3
(D)に示した成形工程により、図4(A)に示すよう
な形状で、口頸部5の傾斜壁12を曲率半径R1 が5m
mの曲面に成形した本実施例の缶の場合には、133〜
135kgfの垂直荷重にも傾斜壁12が変形すること
なく耐えたのに対して、上記の実施例と同じ仕様によ
り、図4(B)に示すような形状で、口頸部5の傾斜壁
12だけを縦断面が直線状のテーパー面として、傾斜壁
12からネジ形成部分13に続く接続部を曲率半径R2
が0.5mmの屈曲部分とした比較例の缶の場合には、
55kgfの垂直荷重によりテーパー面となっている傾
斜壁12の部分で座屈を起こした。
【0039】上記のような実施例を含む本実施形態のネ
ジ付き缶1によれば、その口頸部5において、カール部
11の下方に続く傾斜壁12の部分を、縦断面が円弧形
となる外方に脹らんだ曲面に成形して、傾斜壁12の下
端を、曲率半径の小さい屈曲部分を介することなく平滑
な状態で、その下方のネジ形成部分に接続させているこ
とにより、キャップ装着時等に加えられる垂直荷重に対
して口頸部5の傾斜壁12が座屈し難いものとなってい
る。
【0040】すなわち、本実施形態では、図3(D)に
示した口頸部の成形工程において、図4(A)に示すよ
うに、曲面に成形された傾斜壁12の縦断面の円弧形の
曲率半径R1 が、カール部11の幅方向中心から口頸部
5の円筒外周面(最終成形後にはビード部14として残
される)までの水平距離L1 よりも若干大きくなる(大
きくなり過ぎない)ように、傾斜壁12の部分全体を外
方に脹らんだ曲面に成形しており、傾斜壁12の下端と
その下方の円筒部(ネジ形成部分13となる部分)とを
滑らかな状態で接続している。
【0041】これに対して、図4(B)に示すような、
本実施形態の口頸部5と比べて傾斜壁12だけを縦断面
が直線状のテーパー面とした比較例では、傾斜壁12と
その下方の円筒部(ネジ形成部分13となる部分)とが
小さい曲率半径R2 を持つ屈曲部分を介して接続される
こととなり、そのため、カール部11の上方から垂直荷
重が加えられたときに、図4(A)に示す本実施形態の
ものでは、カール部11にかかる荷重のモーメントが傾
斜壁12全体に分散されるのに対して、図4(B)に示
す比較例のものでは、カール部11にかかる荷重のモー
メントが小さい曲率半径R2 の屈曲部分に集中して当該
部分が変形することにより座屈を起こすこととなる。
【0042】なお、縦断面が円弧形の曲面とした傾斜壁
の最も強度の有る形状については、傾斜壁の下端をその
下方(ネジ形成部分)に平滑に接続させることができ
て、しかも、円弧形の曲率半径が最も小さいような形
状、即ち、縦断面が円弧形の曲面とした最も強度のある
形状は円形の四分の一の円弧形であって、傾斜壁の曲率
半径がカール部の幅方向中心から口頸部の円筒外周面ま
での水平距離に等しい場合であると考えられる。
【0043】さらに、上記のような強度の問題とは別
に、本実施形態のネジ付き缶1では、アルミニウム合金
板や表面処理鋼板の片面(缶の内面となる面)或いは両
面に合成樹脂被膜を施した金属薄板から口頸部が成形さ
れていることにより、後塗装し難い構造の小径でネジ付
きの口頸部でも充分な耐食性を有するようにすることが
でき、また、金属薄板の金属面を被覆している合成樹脂
被膜が熱可塑性樹脂フィルム層を有するものであること
により、口頸部を成形するための金属薄板の絞り加工時
に熱可塑性樹脂フィルム層が潤滑剤の役目をすること
と、カール成形加工,ネジ部形成加工等の金属薄板の伸
び及び曲げ加工時に熱可塑性樹脂フィルム層が追従して
伸びたり曲がったりできることによって、口頸部におけ
る被膜の被覆状態を良好に維持することができる。
【0044】以上、本発明のネジ付き缶の一実施形態に
ついて説明したが、本発明は、上記の実施形態に示した
ような缶胴上端開口部に巻き締め固着される缶蓋に対し
て口頸部を成形したタイプのボトル形状の缶に限らず、
絞り・しごき加工により缶底と缶胴を一体成形したDI
缶の缶胴上部を絞って口頸部を形成したタイプや、絞り
・しごき加工により口頸部と肩部と缶胴を一体成形した
Dl缶の缶胴下端開口部に底蓋を巻き締め固定したタイ
プ等の異なるタイプのボトル形状の缶についても適用可
能であり、更には、ネックイン加工したDl缶の缶胴上
端部を口頸部とした広口タイプの缶に対しても適用可能
である。
【0045】
【発明の効果】以上説明したような本発明のネジ付き缶
によれば、材料の厚みを増加させたり高強度材を使用し
なくても、キャップを装着させる際に、口頸部に上方か
ら大きな垂直荷重が加えられた時に、外巻きのカール部
からネジ形成部分に続く傾斜壁の部分が座屈を起こして
カール部が陥没するようなことをなくすることができ、
缶の口頸部にキヤップを適正に装着することができて、
缶の口頸部の変形に起因する内容物の漏洩等を防止する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のネジ付き缶の一実施形態に係る3ピー
ス缶によるボトル形状のネジ付き缶を示す側面図。
【図2】図1に示したネジ付き缶の缶蓋を示す部分断面
側面図。
【図3】図2に示した缶蓋の口頸部の成形工程について
(A)〜(F)の順に示す断面説明図。
【図4】ネジ付き缶の口頸部の外巻きカール部とネジ形
成部分の間に形成される傾斜壁の形状について、(A)
本発明のネジ付き缶の傾斜壁と、(B)比較例のネジ付
き缶の傾斜壁とをそれぞれ示す断面説明図。
【符号の説明】
1 ネジ付き缶 2 缶蓋 3 缶胴 4 底蓋 5 口頸部 11 カール部 12 傾斜壁 13 ネジ形成部分
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 土田 穣 神奈川県相模原市西橋本5−5−1 大和 製罐株式会社技術開発センター内 Fターム(参考) 3E033 AA01 AA06 BA07 BA11 BA13 BB07 BB08 DA03 DB01 DD05 EA10 GA02 3E061 AA24 AB04 AB21 BA02 BA05 BB07 DB08

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 合成樹脂被膜で被覆された厚さ0.1〜
    0.4mmの金属薄板からの成形によって、少なくと
    も、上端開口縁に沿ってリング状に形成される外巻きの
    カール部と、該カール部から下方且つ外方に延びる傾斜
    壁と、該傾斜壁から下方に延びるネジ形成部分とを備え
    た口頸部が一体成形されているネジ付き缶において、カ
    ール部の下方に続く傾斜壁が、縦断面が円弧形となる外
    方に脹らんだ曲面に成形されることで、その下方のネジ
    形成部分に対し、曲率半径の小さい屈曲部分を介するこ
    となく滑らかな状態で接続されていることを特徴とする
    ネジ付き缶。
  2. 【請求項2】 上記の合成樹脂被膜が、少なくとも1層
    の熱可塑性樹脂フィルム層を有するものであることを特
    徴とする請求項1に記載のネジ付き缶。
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