JP4375590B2 - 耐候性・耐薬品性熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

耐候性・耐薬品性熱可塑性樹脂組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐候性、耐薬品性、さらには耐汚染性に優れた熱可塑性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
エチレン−α・オレフィン系共重合ゴム、アクリル系ゴムなどをベースゴムとして、スチレン、アクリロニトリルをグラフト重合した樹脂は、AES樹脂、ASA樹脂として知られており、物理的性質、化学的性質、機械的性質および電気的性質に優れていることから、各種成形法で成形品を得て、幅広い分野で使用されている。
上記のエチレン−α・オレフィン系共重合ゴムをベースゴムとしたAES樹脂は、共役ジエン系ゴムを用いたABS樹脂に比べ、紫外線、酸素およびオゾンに対する抵抗性が大きく、格段に耐候性が良いことが知られている。しかし、AES樹脂は、耐薬品性が劣るため、ゴム量を低減するなどの対策が必要で、その結果、強度の低下を招いている。
一方、アクリル系ゴムをベースゴムとしたASA樹脂は、ゴム分子が紫外線と酸素に対して安定なため、暴露による変化がほとんどなく、耐候性に優れているが、層状剥離が起こりやすく、ノッチ付き衝撃強度が必ずしも高くないという問題点を有する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来技術の課題を背景になされたもので、耐候性・耐薬品性熱可塑性、さらには耐汚染性に優れた熱可塑性樹脂組成物を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、
(A)エチレン−α・オレフィン系共重合ゴムおよび/またはジエン系重合体の水素添加物からなるゴム(a)の存在下に、芳香族ビニル化合物(b)40〜98重量%、シアン化ビニル化合物(c)2〜60重量%および必要に応じてこれらと共重合可能な他のビニル系単量体30重量%以下からなる単量体成分(ただし、単量体成分の合計を100重量%とする)をグラフト重合してなるゴム強化熱可塑性樹脂5〜40重量部、
(B)アクリル系ゴム(d)の存在下に、芳香族ビニル化合物(b)40〜98重量%、シアン化ビニル化合物(c)2〜60重量%および必要に応じてこれらと共重合可能な他のビニル系単量体30重量%以下からなる単量体成分(ただし、単量体成分の合計を100重量%とする)をグラフト重合してなるゴム強化熱可塑性樹脂5〜40重量部、
(C)芳香族ビニル化合物(b)40重量%以上、シアン化ビニル化合物(c)35重量%を超え60重量%以下および必要に応じてこれらと共重合可能な他のビニル系単量体10重量%以下からなる単量体成分(ただし、単量体成分の合計を100重量%とする)を共重合してなる共重合体10〜45重量部、ならびに
(D)芳香族ビニル化合物(b)65〜90重量%、シアン化ビニル化合物(c)10〜35重量%および必要に応じてこれらと共重合可能な他のビニル系単量体10重量%以下からなる単量体成分(ただし、単量体成分の合計を100重量%とする)を共重合してなる共重合体10〜65重量部、
〔だたし、上記の(A)+(B)+(C)+(D)の合計量=100重量部〕
を主成分とする熱可塑性樹脂組成物である
この熱可塑性樹脂組成物は、上記(A)〜(D)成分の合計量100重量部に対し、さらに(E)タルク、耐候剤および滑剤の群から選ばれた少なくとも1種を0.01〜20重量部配合してもよい

【0005】
【発明の実施の形態】
本発明の(A)ゴム強化熱可塑性樹脂は、エチレン−α・オレフィン系共重合ゴムおよび/またはジエン系重合体の水素添加物からなるゴム(a)の存在下に、芳香族ビニル化合物(b)、シアン化ビニル化合物(c)および必要に応じてこれらと共重合可能な他のビニル系単量体からなる単量体成分をグラフト重合してなる。
(A)ゴム強化熱可塑性樹脂に用いられるエチレン−α・オレフィン系共重合ゴム(a)としては、エチレン/炭素数3〜20のα・オレフィン/非共役ジエン=5〜95/95〜5/0〜30重量%の混合比からなる単量体を共重合して得られる共重合ゴムが好ましい。
ここで、炭素数3〜20のα・オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセンなどが挙げられ、好ましくはプロピレン、1−ブテン、1−オクテン、さらに好ましくはプロピレンである。これらのα・オレフィンは、1種単独で、あるいは2種以上を併用することができる。
α・オレフィンの炭素数は、3〜20であるが、好ましくは3〜12、さらに好ましくは3〜8である。炭素数が20を超えると、共重合性が極端に低下するため好ましくない。
エチレンとα・オレフィンの重量比は、好ましくは5〜95/95〜5、さらに好ましくは60〜88/40〜12、特に好ましくは70〜85/30〜15である。
【0006】
また、エチレン−α・オレフィン系共重合ゴムに用いられることのある非共役ジエンとしては、アルケニルノルボルネン類、環状ジエン類、脂肪族ジエン類などが挙げられ、好ましくは5−エチリデン−2−ノルボルネン、ジシクロペンタジエンである。これらの非共役ジエンは、1種単独で、あるいは2種以上を併用することができる。
エチレン−α・オレフィン系共重合ゴム中の非共役ジエンの含有量は、0〜30重量%、好ましくは0〜15重量%である。
なお、この共重合ゴムの不飽和基量は、ヨウ素価に換算して、0〜40の範囲が好ましい。
【0007】
上記エチレン−α・オレフィン系共重合ゴム(a)を製造するには、不均一系、均一系いずれの触媒を用いてもよい。
不均一系触媒としては、例えばバナジウム化合物と有機アルミニウム化合物とを組み合わせたバナジウム系触媒を挙げることができる。
また、均一系触媒としては、例えばメタロセン系触媒を挙げることができる。特に、炭素数6〜20のα・オレフィンを用いた上記ゴムを製造するには、メタロセン系触媒が有効である。
【0008】
本発明の効果を発現するためには、使用するゴム(a)および下記(d)自体が相溶化し易いゴム構造に加え、グラフト重合する際に、均一にグラフト反応が進むような有機過酸化物や溶媒の選択をすること、ゴム(a)および下記(d)を均一溶液に溶解させて重合を開始したり、予め溶融混練りしたものを溶液に溶解し、溶液重合または塊状重合することや、再乳化したものを乳化重合または懸濁重合することなど、重合方法を工夫することで、目的の効果を得ることができる。
【0009】
なお、エチレン−α・オレフィン系共重合ゴム(a)のムーニー粘度(ML1+4 ,100℃)は、好ましくは40以下、さらに好ましくは25〜35である。ムーニー粘度は、分子量調節剤の種類・量や、モノマー濃度および反応温度などを変更することにより、調整することができる。
また、エチレン−α・オレフィン系共重合ゴム(a)は、ポリスチレン換算の重量平均分子量100万以上の成分の含有率が好ましくは10重量%以下、さらに好ましくは8重量%以下である。このような共重合ゴムは、分子量調節剤の種類・量、触媒の種類・量を変更することにより、製造することができる。
さらに、エチレン−α・オレフィン系共重合ゴム(a)のガラス転移温度(Tg)は、好ましくは−110〜−40℃、さらに好ましくは−70〜−50℃、融点(Tm)は、好ましくは30〜110℃、さらに好ましくは40〜70℃である。
【0010】
一方、ゴム(a)を構成するジエン系重合体の水素添加物としては、スチレン−ブタジエン(ブロック)共重合体の水素添加物、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体の水素添加物、ブタジエン−(メタ)アクリル酸エステルの水素添加物、スチレン−ブタジエンランダム共重合体の水素添加物、その他のブタジエン系(共)重合体の水素添加物などが挙げられる。
【0011】
(A)ゴム強化熱可塑性樹脂中に分散しているゴム(a)の平均粒径は、好ましくは0.1〜2μm、さらに好ましくは0.2〜1μmである。
【0012】
以上のゴム(a)は、1種単独で、あるいは2種以上を併用することができる。
(A)ゴム強化熱可塑性樹脂中のゴム(a)の含量は、好ましくは5〜60重量%、さらに好ましくは5〜35重量%、特に好ましくは5〜30重量%である。5重量%未満であると、耐衝撃性が劣る。一方、60重量%を超えると、表面硬度が劣る。
【0013】
(a)成分とグラフト重合させる芳香族ビニル化合物(b)としては、例えば、スチレン、t−ブチルスチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、1,1−ジフェニルスチレン、N,N−ジエチル−p−アミノエチルスチレン、N,N−ジエチル−p−アミノメチルスチレン、ビニルピリジン、ビニルキシレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、モノブロモスチレン、ジブロモスチレン、トリブロモスチレン、フルオロスチレン、ビニルナフタレンなどが挙げられ、特にスチレン、α−メチルスチレンが好ましい。
(A)ゴム強化熱可塑性樹脂に使用される芳香族ビニル化合物(b)は、全単量体成分中に、通常、40〜98重量%、好ましくは50〜95重量%程度用いられる〔ただし、(b)+(c)+他のビニル系単量体=100重量%、以下同様〕。
【0014】
シアン化ビニル化合物(c)としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどが挙げられ、好ましくはアクリロニトリルである。
シアン化ビニル化合物(c)は、全単量体成分中に、通常、2〜60重量%、好ましくは5〜50重量%程度用いられる。
【0015】
さらに、共重合可能な他のビニル系単量体としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、アミルアクリレート、ヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ドデシルアクリレート、オクタデシルアクリレート、フェニルアクリレート、ベンジルアクリレートなどのアクリル酸エステル;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート、アミルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、オクチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、オクタデシルメタクリレート、フェニルメタクリレート、ベンジルメタクリレートなどのメタクリル酸エステル;無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸などの不飽和酸無水物;アクリル酸、メタクリル酸などの不飽和酸;マレイミド、N−メチルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−(p−メチルフェニル)マレイミド、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミドなどのα,β−不飽和ジカルボン酸のイミド化合物;グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテルなどのエポキシ基含有不飽和化合物;アクリルアミド、メタクリルアミドなどの不飽和カルボン酸アミド;アクリルアミン、メタクリル酸アミノメチル、メタクリル酸アミノエーテル、メタクリル酸アミノプロピル、アミノスチレンなどのアミノ基含有不飽和化合物;3−ヒドロキシ−1−プロペン、4−ヒドロキシ−1−ブテン、シス−4−ヒドロキシ−2−ブテン、トランス−4−ヒドロキシ−2−ブテン、3−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロペン、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシスチレンなどの水酸基含有不飽和化合物;ビニルオキサゾリンなどのオキサゾリン基含有不飽和化合物などが挙げられる。
共重合可能な他のビニル系単量体は、全単量体成分中に、通常、50重量%以下、好ましくは30重量%以下程度用いられる。
上記単量体成分として挙げられた単量体は、1種単独で使用することも、あるいは2種以上を混合して用いることもできる。
【0016】
また、(A)ゴム強化熱可塑性樹脂は、公知の重合法である乳化重合、懸濁重合、溶液重合、塊状重合、あるいはこれらを組み合わせた重合法によって得ることができる。
【0017】
溶液重合法では、溶剤が用いられる。この溶剤は、通常のラジカル重合で使用される不活性重合溶剤であり、例えばエチルベンゼン、トルエンなどの芳香族炭化水素、メチルエチルケトン、アセトンなどのケトン類、ジクロロメチレン、四塩化炭素などのハロゲン化炭化水素などが用いられる。溶剤の使用量は、上記ゴム質重合体および単量体成分の合計量100重量部に対し、好ましくは20〜200重量部、さらに好ましくは50〜150重量部である。
【0018】
上記重合開始剤は、重合法に合った一般的な開始剤が用いられ、溶液重合に際しては、例えばケトンパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、パーオキシエステル、ハイドロパーオキサイドなどの有機過酸化物が重合開始剤として用いられる。また、重合開始剤は、重合系に、一括または連続的に添加することができる。重合開始剤の使用量は、単量体成分に対し、通常、0.05〜2重量%、好ましくは0.2〜0.8重量%である。
【0019】
また、乳化重合には、ラジカル重合開始剤、乳化剤、連鎖移動剤などが用いられ、単量体成分は、一括または分割添加できる。
ラジカル重合開始剤としては、例えばクメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、パラメンタンハイドロパーオキサイド、t−ブチルパーオキシラウレイトなどの有機ハイドロパーオキサイド類からなる酸化剤と、含糖ピロリン酸鉄処方、スルホキシレート処方、含糖ピロリン酸鉄処方/スルホキシレート処方の混合処方などの還元剤との組み合わせによるレドックス系の開始剤;過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩;アゾビスイソブチロニトリル、ジメチル−2,2′−アゾビスイソブチレート、2−カルバモイルアザイソブチロニトリルなどのアゾ化合物;ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイドなどの有機過酸化物などを挙げることができ、好ましくは過硫酸カリウムなどの水溶性開始剤である。これらのラジカル重合開始剤の使用量は、使用される単量体成分100重量部に対し、通常、0.05〜5重量部、好ましくは0.1〜3重量部程度である。
【0020】
乳化剤としては、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、コハク酸ジアルカリエステルスルホン酸ナトリウム、炭素数10〜20の脂肪族カルボン酸のナトリウム塩もしくはカリウム塩、ロジン酸のナトリウム塩もしくはカリウム塩などのアニオン系乳化剤、あるいはポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテルなどのノニオン系乳化剤が挙げられ、これらは、1種単独で使用することも、あるいは2種以上を混合して用いることもできる。なお、乳化剤としては、臨界ミセル濃度の低いものを用いる方法が好ましい。ここで、臨界ミセル濃度としては、30ミリモル/リットル以下の乳化剤が好ましく、さらに好ましくは15ミリモル/リットル以下のものである。乳化剤の使用量は、上記単量体成分100重量部に対して、通常、0.5〜5重量部である。
【0021】
連鎖移動剤としては、オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−ヘキシルメルカプタン、n−ヘキサデシルメルカプタン、n−テトラデシルメルカプタン、t−テトラデシルメルカプタンなどのメルカプタン類、テトラエチルチウラムスルフィド、四塩化炭素、臭化エチレン、ペンタフェニルエタンなどの炭化水素塩類、テルペン類、またはアクロレイン、メタクロレイン、アリルアルコール、2−エチルヘキシルチオグリコール、α−メチルスチレンダイマーなどが挙げられる。これら連鎖移動剤は、単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。
連鎖移動剤の使用量は、単量体成分100重量部に対し、通常、0〜1重量部用いられる。
【0022】
(A)成分の重合に際しては、ラジカル重合開始剤、乳化剤、連鎖移動剤などのほかに、必要に応じて各種電解質、pH調整剤などを併用して、単量体成分100重量部に対して、通常、水を100〜500重量部と、上記ラジカル重合開始剤、乳化剤、連鎖移動剤などを上記範囲内の量使用し、通常、重合温度40〜100℃、好ましくは50〜90℃、重合時間1〜10時間の条件で乳化重合される。
【0023】
本発明に用いられる(A)成分は、上記の乳化重合により得られるラテックスを、通常法により凝固させ、得られる粉末を水洗したのち、乾燥することによって精製される。
ここで、凝固剤としては、例えば塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化アルミニウム、硫酸マグネシウム、硫酸第1鉄、硫酸第2鉄、塩化第2鉄、硫酸アルミニウム、活性シリカ、リン酸カルシウム、硫酸、酢酸などが挙げられる。
【0024】
(A)ゴム強化熱可塑性樹脂のグラフト率は、特に限定されないが、通常、5〜200%、好ましくは20〜140%である。
また、(A)ゴム強化熱可塑性樹脂のメチルエチルケトン可溶分のメチルエチルケトンを溶媒として30℃で測定した極限粘度〔η〕は、好ましくは0.1〜1.0dl/g、さらに好ましくは0.2〜0.7dl/g、特に好ましくは0.24〜0.6dl/gである。
ここで、極限粘度〔η〕は、(A)成分0.1gをメチルエチルケトン100mlに溶解し、30℃の温度条件下で、ウベローデ型粘度計で測定した値である。
上記(A)成分のグラフト率、極限粘度は、重合開始剤、連鎖移動剤、乳化剤、溶媒などの種類や量を変えることで制御することができる。また、単量体成分の添加方法、添加時間、さらに重合時間、重合温度などを変えることによっても、制御することができる。
【0025】
本発明の熱可塑性樹脂組成物における(A)ゴム強化熱可塑性樹脂の使用量は、5〜40重量部、好ましくは10〜35重量部、さらに好ましくは10〜30重量部である〔ただし、(A)+(B)+(C)+(D)=100重量部〕。5重量部未満では、耐候性が劣る。一方、40重量部を超えると、耐薬品性が劣る。
【0026】
次に、本発明の(B)ゴム強化熱可塑性樹脂は、アクリル系ゴム(d)の存在下に、上記(b)成分、(c)成分および必要に応じてこれらと共重合可能な他のビニル系単量体からなる単量体成分をグラフト重合してなる。
(B)ゴム強化熱可塑性樹脂に用いられるアクリル系ゴム(d)としては、アルキル基の炭素数が2〜8のアクリル酸アルキルエステルの重合体であり、アクリル酸アルキルエステルの具体例としては、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシルなどが挙げられ、これらは、1種単独で、あるいは2種以上を併用することができる。好ましいアクリル酸アルキルエステルとしては、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸i−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシルである。
なお、アクリル酸アルキルエステルの一部は、最高20重量%まで、共重合可能な他の単量体で置換することができる。この他の単量体としては、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、ビニルエステル、メタクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸、アクリル酸、スチレンなどが挙げられる。
【0027】
上記アクリル系ゴム(d)は、ガラス転移温度を−10℃以下になるように、単量体の種類と共重合量を選ぶことが好ましい。
また、アクリル系ゴム(d)は、適宜、架橋性単量体を共重合することが好ましく、架橋性単量体の使用量は、アクリル系ゴム中に、好ましくは0〜10重量%、さらに好ましくは0.01〜10重量%、特に好ましくは0.1〜5重量%である。
【0028】
好適な架橋性単量体としては、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレートなどのモノまたはポリエチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレートなどのモノまたはポリエチレングリコールジメタクリレート、ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート、ジアリルマレエート、ジアリルサクシネート、トリアリルトリアジンなどのジまたはトリアリル化合物、アリルメタクリレート、アリルアクリレートなどのアリル化合物、さらに1,3−ブタジエンなどの共役ジエン化合物などが挙げられる。これらは、1種単独で、あるいは2種以上を併用することができる。
【0029】
上記アクリル系ゴム(d)は、公知の重合法で製造されるが、好ましくは乳化重合法である。
(B)ゴム強化熱可塑性樹脂中に分散しているアクリル系ゴム(d)の平均粒径は、好ましくは0.07〜1μm、さらに好ましくは0.1〜0.8μmである。
(B)ゴム強化熱可塑性樹脂中のアクリル系ゴム(d)の含量は、好ましくは5〜60重量%、さらに好ましくは5〜50重量%、特に好ましくは5〜40重量%である。5重量%未満であると、耐薬品性が劣る。一方、60重量%を超えると、表面硬度が劣る。
【0030】
(B)成分に使用される芳香族ビニル化合物(b)としては、上記(A)成分に用いられる芳香族ビニル化合物がすべて使用でき、好ましくはスチレンである。
また、(B)成分に使用されるシアン化ビニル化合物(c)としては、上記(A)成分に用いられるものと同様であり、好ましくはアクリロニトリルである。
さらに、(B)成分に使用される共重合可能な他のビニル系単量体としては、上記(A)成分に挙げられたものと同様なものが挙げられる。
上記単量体成分として挙げられた単量体は、1種単独で使用することも、あるいは2種以上を混合して用いることもできる。
なお、(B)成分に用いられる単量体成分のうち、芳香族ビニル化合物(b)、シアン化ビニル化合物(c)および他のビニル系単量体の割合も、上記(A)成分における単量体成分の割合と同様である。
【0031】
また、(B)ゴム強化熱可塑性樹脂は、公知の重合法である乳化重合、懸濁重合、溶液重合、塊状重合、あるいはこれらを組み合わせた重合法によって得ることができる。
さらに、(B)ゴム強化熱可塑性樹脂のグラフト率は、特に限定されないが、通常、10〜150%、好ましくは15〜100%である。
また、(B)ゴム強化熱可塑性樹脂のメチルエチルケトン可溶分のメチルエチルケトンを溶媒として30℃で測定した極限粘度〔η〕は、好ましくは0.2〜1.0dl/g、さらに好ましくは0.25〜0.8dl/gである。
上記(B)成分のグラフト率、極限粘度は、重合開始剤、連鎖移動剤、乳化剤、溶媒などの種類や量を変えることで制御することができる。また、単量体成分の添加方法、添加時間、さらに重合時間、重合温度などを変えることによっても、制御することができる。
【0032】
本発明の樹脂組成物における(B)ゴム強化熱可塑性樹脂の使用量は、5〜40重量部、好ましくは10〜35重量部、さらに好ましくは10〜30重量部である〔ただし、(A)+(B)+(C)+(D)=100重量部〕。5重量部未満では、耐薬品性が劣る。一方、40重量部を超えると、耐汚染性が劣る。
【0033】
次に、本発明の樹脂組成物における上記(C)共重合体は、(b)成分、(c)成分、および必要に応じてこれらと共重合可能な他のビニル系単量体からなる単量体成分であって、単量体成分中の(c)成分の配合量が35重量%を超え60重量%以下である単量体成分を共重合してなるものである。(C)共重合体に使用される単量体成分は、上記(b)成分、(c)成分、および必要に応じてこれらと共重合可能な他のビニル系単量体と同様である。(C)共重合体に使用される単量体成分中の(c)成分の配合量は、35重量%を超え60重量%以下、好ましくは36〜60重量%、さらに好ましくは37〜50重量%である〔ただし、(b)+(c)+他のビニル系単量体=100重量%、以下同様〕。(c)成分の配合量が35重量%以下であると、耐薬品性が劣る。一方、60重量%を超えると、熱安定性が劣る。なお、(C)共重合体に使用される単量体成分中の上記(b)成分の割合は、通常、40重量%以上、65重量%未満、好ましくは40〜64重量%、さらに好ましくは50〜63重量%である。また、(C)共重合体に必要に応じて使用される単量体成分中の上記共重合可能な他のビニル系単量体は、10重量%以下の範囲で共重合してもよい
【0034】
上記(C)共重合体の極限粘度〔η〕、好ましくは0.2〜1.0dl/g、さらに好ましくは0.2〜0.8dl/g、特に好ましくは0.25〜0.8dl/gである。極限粘度が0.2dl/g未満では、耐薬品性が劣り、一方、1.0dl/gを超えると、(C)共重合体の分散不良が起こり好ましくない場合がある。
【0035】
本発明に用いられる(C)共重合体の極限粘度は、重合開始剤、連鎖移動剤、乳化剤、溶媒などの種類や量を変えることで制御することができる。また、単量体成分の添加方法、添加時間、さらに重合時間、重合温度などを変えることによって、制御することができる。ここで、重合方法としては、公知の重合法である乳化重合、溶液重合、懸濁重合、塊状重合、あるいはこれらを組み合わせた重合法が使用でき、好ましくは乳化重合である。
【0036】
本発明の樹脂組成物における(C)共重合体の使用量は、10〜45重量部、好ましくは15〜40重量部、さらに好ましくは20〜40重量部である〔ただし、(A)+(B)+(C)+(D)=100重量部〕。10重量部未満では、耐薬品性が劣る。一方、45重量部を超えると、耐衝撃性が劣る。
【0037】
次に、本発明の組成物における上記(D)共重合体は、(b)成分、(c)成分、および必要に応じてこれらと共重合可能な他のビニル系単量体からなる単量体成分であって、単量体成分中の(c)成分の配合量が10〜35重量%である単量体成分を共重合してなるものである。(D)共重合体に使用される単量体成分は、上記(b)成分、(c)成分、および必要に応じてこれらと共重合可能な他のビニル系単量体と同様である。(D)共重合体に使用される単量体成分中の(c)成分の配合量は、10〜35重量%、好ましくは15〜29重量%、さらに好ましくは15〜28重量%である〔ただし、(b)+(c)+他のビニル系単量体=100重量%、以下同様〕。(c)成分の配合量が10重量%未満であると、耐薬品性が劣る。一方、35重量%を超えると、成形加工性が劣る。なお、(D)共重合体に使用される単量体成分中の上記(b)成分の割合は、65〜90重量%、好ましくは71〜85重量%、さらに好ましくは72〜85重量%である。また、(D)共重合体必要に応じて使用される単量体成分中の上記共重合可能な他のビニル系単量体は、10重量%以下の範囲で使用しても差し支えない。
【0038】
上記(D)共重合体の極限粘度〔η〕は、好ましくは0.2〜1.0dl/g、さらに好ましくは0.2〜0.8dl/g、特に好ましくは0.25〜0.8dl/gである。極限粘度が0.2dl/g未満では、耐薬品性が劣り、一方、1.0dl/gを超えると、(D)共重合体の分散不良が起こり好ましくない場合がある。
【0039】
上記(D)共重合体の極限粘度〔η〕の調整、重合方法などは、上記(C)共重合体と同様である。本発明の樹脂組成物における(D)共重合体の使用量は、10〜65重量部であり、好ましくは15〜50重量部である〔ただし、(A)+(B)+(C)+(D)=100重量部〕。(D)共重合体の量が65重量%を超えると耐薬品性が劣る。

【0040】
本発明の組成物は、上記(A)〜(D)成分の合計量100重量部に対し、さらに(E)タルク、耐候剤および滑剤の群から選ばれた少なくとも1種を0.01〜20重量部配合してもよい。
タルクは、充填剤として使用され、タルクの平均粒径としては好ましくは0.5〜20μm、さらに好ましくは1〜15μm、特に好ましくは1.3〜13μmである。平均粒径が0.5μm未満であると、混練り時に凝集を起こし、成形品外観が劣り、一方、20μmを超えると耐衝撃性などの物性および成形品外観を損なう。
【0041】
上記タルクは、シランカップリング剤で表面を処理したものも使用できる。シランカップリング剤の配合量は、タルクに対して、好ましくは0.1〜5重量%、さらに好ましくは0.5〜3重量%である。シランカップリング剤としては、エポキシ基、アミノ基、ビニル基、ヒドロキシル基などの官能基を有するものが使用できる。中でもエポキシ基、アミノ基を有するものが好ましい。
これらのタルクの配合量は、本発明の(A)〜(D)成分の合計量100重量部に対し、好ましくは0.5〜20重量部、さらに好ましくは0.5〜15重量部である。タルクの配合量が0.5重量部未満であると、タルク配合による剛性付与効果が小さく、一方、20重量部を超えると、耐衝撃性、成形品外観を損なう。
【0042】
また、耐候剤としては、例えばベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤などが挙げられる。
このうち、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、例えば2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2 −(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−5′−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾールなどが挙げられる。好ましくは、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾールである。
【0043】
また、ヒンダードアミン系光安定剤としては、例えばビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、N−N′−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン−2,4−ビス〔N−ブチル−N−(1,2,2,6,6,−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ〕−6−クロロ−1,3,5−トリアジン縮合物などが使用される。好ましくは、ビス−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケートである。
樹脂組成物における耐候剤の使用量は、上記(A)〜(D)成分の合計量100重量部に対し、好ましくは0.01〜10重量部、さらに好ましくは0.05〜8重量部である。0.01重量部未満では、添加効果が不充分である。一方、10重量部を超えると、それ以上の添加効果が得られない。
【0044】
さらに、滑剤としては、公知の滑剤を使用することができる。具体的には、長鎖のアルキル基と官能基とを有する化合物、エチレン、プロピレンなどのα−オレフィン(共)重合体、ジメチルポリシロキサンなどのシリコーン含有重合体、α−オレフィンと官能基含有不飽和化合物との共重合体、エチレン系共重合体、プロピレン系共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、シリコーン含有重合体などの重合体に官能基含有不飽和化合物を付加した重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体などを酸化し、カルボキシル基などを付加する方法によって得られる重合体などが挙げられる。
【0045】
ここで、上記官能基含有不飽和化合物の官能基としては、カルボキシル基またはその金属塩、水酸基、オキサゾリン基、酸無水物基、エステル基、アミノ基、アミド基、エポキシ基、イソシアネート基、ウレタン基、ユリア基などが挙げられる。好ましい官能基としては、カルボキシル基またはその2価の金属塩、エステル基、アミド基である。カルボキシル基の塩としては、ナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム、亜鉛、バリウム、カドミウム、マンガン、コバルト、鉛、スズなどの金属塩が挙げられる。
上記官能基含有不飽和化合物としては、上記したものがすべて使用される。好ましくは、長鎖のアルキル基と官能基とを有する化合物、エチレン系共重合体である。
【0046】
樹脂組成物における滑剤の使用量は、上記(A)〜(D)成分100重量部に対し、好ましくは0.01〜10重量部、さらに好ましくは0.05〜8重量部である。0.01重量部未満では、添加効果が不充分である。一方、10重量部を超えると、溶融混練り時にサージングを生じ混練りできない。
【0047】
なお、本発明の樹脂組成物には、公知のカップリング剤、抗菌剤、防カビ剤、難燃剤、難燃助剤、ヒンダードフェノール系、リン系、イオウ系などの酸化防止剤、可塑剤、界面活性剤、着色剤(顔料、染料など)、紫外線吸収剤、金属粉、帯電防止剤、加工助剤などの添加剤を配合することができる。これら添加剤は、混練り時に配合してもよく、また外部添加することもできる。また、これらの各種添加剤を高濃度に配合したマスターバッチを添加することもできる。
【0048】
本発明の樹脂組成物は、目的に応じて、他の(共)重合体をブレンドすることができる。他の(共)重合体としては、例えばエチレン、プロピレン、ブテン−1、3−メチルブテン−1、3−メチルペンテン−1、4−メチルペンテン−1などのα−オレフィンの単独重合体や、これらの共重合体などが挙げられる。代表例としては、高密度、中密度、低密度ポリエチレンや直鎖状低密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体などのポリエチレン類、プロピレン単独重合体、プロピレン−エチレン−ジエン系化合物共重合体などのポリプロピレン類、ポリブテン−1、ポリ−4−メチルペンテン−1などが挙げられる。これらの中で、結晶性ポリエチレン、結晶性ポリプロピレンが好ましい。
【0049】
上記結晶性ポリエチレンとしては、市販の結晶性を有する高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレンや、直鎖状低密度ポリエチレンを使用することができる。ポリエチレンの分子量は、特に限定されないが、数平均分子量が1,000〜20,000のものが好ましい。
また、結晶性ポリプロピレンとしては、例えば結晶性を有するアイソタクチックプロピレン単独重合体や、エチレン単位の含量が少ないエチレン−プロピレン共重合体からなる共重合部とから構成された、いわゆるプロピレンブロック共重合体として市販されている、実質上、結晶性のプロピレンとエチレンとのブロック共重合体、あるいはこのブロック共重合体における各ホモ重合部または共重合部が、さらにブテン−1などのα−オレフィンを共重合したものからなる、実質上、結晶性のプロピレン−エチレン−α−オレフィン共重合体などが好ましく挙げられる。
【0050】
また、上記他の(共)重合体としては、本発明の樹脂組成物の成分以外のゴム変性されたスチレン系樹脂が挙げられる。このゴム変性スチレン系樹脂としては、例えばハイインパクトポリスチレン、ABS樹脂、ACS樹脂などが挙げられる。これらの樹脂を、少量の官能基で変性した官能基変性スチレン系樹脂であってもよい。これらの中で、好ましくはABS樹脂である。
さらに、上記他の(共)重合体としては、ポリ塩化ビニル、ポリフェニレンエーテル、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアセタール、ポリアミド、ポリフッ化ビニリデン、ポリスチレン、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、塩素化ポリエチレンなどが挙げられる。
これらの他の(共)重合体は、1種単独で使用することも、あるいは2種以上を混合して用いることもできる。
【0051】
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、各種押し出し機、バンバリーミキサー、ニーダー、ロール、フィーダールーダーなどを用い、各成分を混練りすることによって得られる。好ましい製造方法は、押し出し機、バンバリーミキサーを用いる方法である。各成分を混練りするに際しては、各成分を一括して混練りしてもよく、数回に分けて添加混練りしてもよい。混練りは、押し出し機で多段添加式で混練りしてもよく、またバンバリーミキサー、ニーダーなどで混練りし、その後、押し出し機でペレット化することもできる。
【0052】
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、異形押し出し成形、射出成形、シート押し出し成形、真空成形、プレス成形、ブロー成形、発泡成形、インジェクションプレス、ガスアシスト成形、カレンダー加工、インフレーション成形、積層成形などの成形法によって成形することができる。なかでも、発泡ABS樹脂との共押し出しによる2層成形が好ましい。
ここで、発泡ABS樹脂とは、例えば、ABS樹脂に対し、発泡剤を配合したものであり、発泡成形に供するものである。ABS樹脂としては、市販のものが使用できる。発泡剤としては、アゾジカルボンアミド(ADCA)などが挙げられる。
【0053】
上記成形法によって得られる本発明の耐候性・耐薬品性熱可塑性樹脂組成物の成形品は、その優れた性質を利用して、OA・家電分野、車両・船舶分野、家具・建材分野などの住宅関連分野、サニタリー分野、玩具・スポーツ用品分野、そのほか雑貨などの幅広い分野に使用することができる。なかでも、本発明の樹脂組成物を表層材とした、上記発泡ABS樹脂との2層成形品は、耐候性に優れ、かつ、シャンプー、浴用香料などに対する耐薬品性、髪染用薬剤などに対する耐汚染性に優れているため、ユニットバスの窓枠として好適に使用できる。
【0054】
【実施例】
以下、実施例を挙げ、本発明をさらに具体的に説明する。なお、実施例中の部および%は、特に断らない限り重量部および重量%である。
また、実施例中、各種測定項目は、下記に従った。
【0055】
グラフト率
ゴム強化熱可塑性樹脂の一定量(x)を、アセトンに投入し、振とう機で2時間振とうし、遊離の共重合体を溶解させ、遠心分離機を用いて、この溶液を23,000rpmで30分間、遠心分離し不溶分を得たのち、真空乾燥機を用いて、120℃で1時間乾燥し、不溶分(y)および遊離の重合体を得て、下記式よりグラフト率を算出した。
グラフト率(%)=〔(y−x×ゴム強化熱可塑性樹脂中のゴム成分率)/(x×ゴム強化熱可塑性樹脂中のゴム成分率)〕×100
【0056】
極限粘度
共重合体を、メチルエチルケトンに完全に溶解させ、濃度の異なる5点を作り、ウベローデ粘度管を用い、30℃の各濃度の還元粘度ηSP/cを測定した結果から、極限粘度〔η〕を求めた。
アイゾット衝撃強度
ASTM D256に準拠して測定した(断面1/4×1/2インチ、ノッチ付き)。単位は、kg・cm/cmである。
流動性(メルトフローレート)
ASTM D1238に準じて測定した。測定温度は220℃、荷重は10kg、単位はg/10分である。
【0057】
耐候性
カーボンアークを光源とするサンシャインウェザーメーター〔スガ試験機(株)製、WEL−6XS−DC〕に1,000時間曝露し、アイゾット衝撃強度を測定し、保持率(%)を算出した。
試験条件;
ブラックパネル温度 63±3℃
槽内湿度 60±5%RH
降雨サイクル 2時間毎に18分
カーボン交換サイクル 60時間
アイゾット衝撃強度 ASTM D256
【0058】
耐薬品性
黒色配合ペレット(配合樹脂100部、カーボンブラック0.5部、ステアリン酸カルシウム0.3部)による成形品を、JIS 6号灯油(灯油温度80℃)に浸漬し、1時間放置後、表面を拭き取り、乾燥させたのち、以下の目視判定で評価した。
○;変化および光沢低下が全く無い。
×;白化、光沢低下などの劣化が見られる。
【0059】
耐汚染性
白色配合ペレット(配合樹脂100部、酸化チタン3部、ステアリン酸カルシウム0.3部)による成形品を、ビゲンヘアカラー7G〔ホーユー(株)製〕に浸漬し、24時間放置後、表面を拭き取り乾燥させたのち、以下の目視判定で評価した。
○;変色が全くない。
△;わずかに変色が見られる。
×;明らかに変色が見られる。
【0060】
参考例1(AES樹脂の調製)
AES−1;
▲1▼エチレン−プロピレン共重合体ゴム含率が30%、▲2▼スチレン−アクリロニトリル成分の共重合体含率が70%、▲3▼グラフト率が50%、▲4▼上記▲2▼共重合体中のアクリロニトリル含率が35%のAES樹脂を用いた。
AES−2;
▲1▼エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体ゴム含率が22%、▲2▼スチレン−アクリロニトリル成分の共重合体含率が78%、▲3▼グラフト率が61%、▲4▼上記▲2▼共重合体中のアクリロニトリル含率が30%のAES樹脂を用いた。
【0061】
参考例2(ASA樹脂の調製)
ASA−1;
▲1▼アクリル酸ブチルエステル重合体ゴム含率が31%、▲2▼スチレン−アクリロニトリル成分の共重合体含率が69%、▲3▼グラフト率が50%、▲4▼上記▲2▼共重合体中のアクリロニトリル含率が35%のASA樹脂を用いた。
【0062】
参考例3(AS樹脂の調製)
ASH−1;
スチレンとアクリロニトリルの共重合体であって、アクリロニトリル含率が40%、〔η〕が0.43dl/gのAS樹脂を用いた。
ASL−1;
スチレンとアクリロニトリルの共重合体であって、アクリロニトリル含率が31%、〔η〕が0.57dl/gのAS樹脂を用いた。
【0063】
参考例4〔(E)成分の調製〕
(E)成分として、下記のものを使用した。
タルク:嵩密度0.9〜1.3ml/g
耐候剤:
▲1▼2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール(略称;HMPBT)
▲2▼ビス(2,2′,6,6′−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート(略称;TMPS)
滑剤:ステアリン酸マグネシウム
【0064】
実施例1〜4、比較例1〜3
上記各成分を、表1の配合処方で混合し、二軸押し出し機を用いて溶融混練りして押し出し、ペレット形状の組成物を得た。得られたペレットを充分に乾燥し、市販のABS樹脂〔テクノポリマー(株)製、ABS150〕100部に対し、発泡剤としてアゾジカルボンアミド(ADCA)を0.5部配合したものを、共押し出し機を用い、180℃で発泡共押し出しし、シート状成形品を得た。シート状成形品の厚み5mmにおける本発明の樹脂組成物とABS樹脂との重量割合は、1/9であった。評価結果を表1に示す。
【0065】
【表1】
【0066】
表1から、本発明の熱可塑性樹脂組成物は、耐候性、耐薬品性、耐汚染性に優れていることが分かる。
これに対し、比較例1は(A)成分と(B)成分の使用量が少ないため、耐候性と耐薬品性が劣り、比較例2は(A)成分の使用量が多いため、耐薬品性が劣り、比較例3は(B)成分の使用量が多いため、耐汚染性が劣る。
【0067】
【発明の効果】
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、耐候性、耐薬品性、さらには耐汚染性に優れ、その成形品は、その優れた性質を利用して、OA・家電分野、車両・船舶分野、家具・建材分野などの住宅関連分野、サニタリー分野、玩具・スポーツ用品分野、そのほか雑貨などの幅広い分野に使用することができる。なかでも、上記発泡ABS樹脂との2層成形品は、耐候性に優れ、かつ、シャンプー、浴用香料などに対する耐薬品性、髪染用薬剤などに対する耐汚染性に優れているため、ユニットバスの窓枠として好適に使用できる。

Claims (1)

  1. (A)エチレン−α・オレフィン系共重合ゴムおよび/またはジエン系重合体の水素添加物からなるゴム(a)の存在下に、芳香族ビニル化合物(b)40〜98重量%、シアン化ビニル化合物(c)2〜60重量%および必要に応じてこれらと共重合可能な他のビニル系単量体30重量%以下からなる単量体成分(ただし、単量体成分の合計を100重量%とする)をグラフト重合してなるゴム強化熱可塑性樹脂5〜40重量部、
    (B)アクリル系ゴム(d)の存在下に、芳香族ビニル化合物(b)40〜98重量%、シアン化ビニル化合物(c)2〜60重量%および必要に応じてこれらと共重合可能な他のビニル系単量体30重量%以下からなる単量体成分(ただし、単量体成分の合計を100重量%とする)をグラフト重合してなるゴム強化熱可塑性樹脂5〜40重量部、
    (C)芳香族ビニル化合物(b)40重量%以上、シアン化ビニル化合物(c)35重量%を超え60重量%以下および必要に応じてこれらと共重合可能な他のビニル系単量体10重量%以下からなる単量体成分(ただし、単量体成分の合計を100重量%とする)を共重合してなる共重合体10〜45重量部、ならびに
    (D)芳香族ビニル化合物(b)65〜90重量%、シアン化ビニル化合物(c)10〜35重量%および必要に応じてこれらと共重合可能な他のビニル系単量体10重量%以下からなる単量体成分(ただし、単量体成分の合計を100重量%とする)を共重合してなる共重合体10〜65重量部、
    〔だたし、上記の(A)+(B)+(C)+(D)の合計量=100重量部〕
    を主成分とする熱可塑性樹脂組成物。
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