JP4375566B2 - 高耐力アンカー - Google Patents
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Description
かかるロープ交差部や端部の固定手段として土中アンカーと称される杭体が汎用され、頂部にロープを取り付け、落石などにより発生するロープに対する引っ張り力を杭の抵抗でアンカーしている。
しかしながら、一文字状または十字状の羽根式土圧抵抗板を組み合わせたものは、設置時の羽根の向きによって土圧に対する抵抗力が大きく異なるので、土質および土量によって変位量に大きなばらつきが発生し、耐力の大幅な向上と変位量の低減は望めない問題があった。 また、前記抵抗板は中心にパイプを有し、これをアンカーパイプに差込んで地中に打ち込むことから打撃力がロスし、打ち込めない場合が生ずる問題もあった。
また、本発明の第2の目的は、一段と傾き抑止高耐力が得られる高耐力アンカーを提供することにある。
また、アンカー本体を筒状抵抗体に挿通して地中にアンカー本体を打ち込む際にリングがガイドとして機能するので、アンカー本体と筒状抵抗体を正確に同心状に埋設することができる。
また、打ち込みのための現場でのセットも容易で、打ち込み時に的確なセンタリングを行なえるので、施工を容易に行なえる。
アンカー本体の頭部内にロープの交差部と緊締具の収容室が形成されており、この収容室にロープの交差部と緊締具が収められるので体裁がよくなるばかりか、交差部より先のロープが頭部壁に形成した90度間隔のロープ導出溝から導出されることでロープの左右のずれが阻止され、頭部にキャップが取り付けられることで収容室が閉じられて交差部や緊締具の上方への脱出が阻止されるので、ロープの交差部をしっかりと固定しつつロープを地表に極めて接近させて這わせることができ、これにより、水平方向からの荷重に対する筒状抵抗体の転倒モーメントを極小化することができ、また、落石防止ネットなどに適用した場合に、浮き石を抑える効果が良好になる。
これによれば、アンカーの回転中心点を地表レベルに近くしつつ筒状抵抗体の大きさを打ち込みやすい適正なものにすることができる。
図1は本発明を土中アンカーに適用した一実施例を単体の状態で示しており、図2ないし図4は使用状態を示している。図2ないし図4において、1はアンカー本体、2はアンカー本体1の頭部付近から地中に埋め込まれた筒状抵抗体、3はアンカー本体1の頭部に冠着されたキャップ、R1とR2は交差状のロープである。
頭部壁内にはロープ交差部収容室11が画成され、前記つば部1aから上方の頭部壁には、周方向で90度の間隔ごとしたがって4つのロープ導出用の縦溝10が形成されている。そして、縦溝10の存しない壁部位にはキャップ3の固定用部12が設けられている。この例では、複数の台形状凸部から構成され、等間隔で設けられている。
前記筒部2aの内部にはセンター合わせのために、アンカー本体1の外径とほぼ一致する心合わせガイド22を設けている。この例では周方向で間隔をおいて複数の求心状板を配し、基端側を筒部内面に溶接している。
筒状抵抗体の径Dはアンカー本体1の直径dの2〜10倍程度であることが望ましい。D/dが2未満では、面積が小さいので転倒防止効果が乏しくなるため適切でなく、D/dが10以上では、土中への打ち込みが難しくなるためあまり適切でない。
また、土の側面圧縮耐力σを3.0kg/cm2とし、この条件で水平荷重Tを2500kgとすると、筒状抵抗体の必要有効高さH0は28.7cm、Tが3500kgの場合、H0は40.2cmであればよい。したがって、筒状抵抗体の全高Hとしては、40〜50cm程度あればよい。
筒状抵抗体2は、材料として鋼管を使用でき、直径が一定であれば使用長さを調整するだけで各種荷重に対応することができる。実施例では天板部が矩形であるから、角鋼板を加工し筒部素材に溶接すればよいので、製作コストも安価にすることができる。
アンカー本体1を対象の法面と直角に臨ませ、たとえばエア式打ち込み機などの打撃手段で地中に打ち込めば、筒状抵抗体2は筒部内に心合わせガイド22を有しているので、これにガイドされてアンカー本体1は土中に推進され続け、つば部1aが筒状抵抗体2の天板部2bの上面に当接すると、筒状抵抗体2は打撃力が伝達され、アンカー本体1は土中に推進されるのと同時に筒状抵抗体2の筒部2aは先鋭部20によって抵抗が低減されつつ地中に推進され、図2のように天板部2bが地表GLに近接するまで埋め込まれる。
このときに、アンカー本体1が天板部2bの穴21を貫通しており、筒部2a内で求心状の心合わせガイド22がアンカー本体1をガイドするので、筒状抵抗体2は傾かず、アンカー本体1と同心状態に埋設される。
したがって打ち込み施工性がよく、多数本のアンカーを迅速、能率的に予定箇所に埋設することができる。
また、ロープ交差部と交差部緊締金具4はアンカー本体1の頭部内に格納されているので、図2と図4のように縦ロープR1と横ロープR2が地表GLに非常に接近した関係で敷設されることになる。このため落石防止施設に適用した場合に、浮石の遊離や移動を的確に防止することができる。
この引張り荷重でアンカー本体1は引張り力が作用する方向に傾かされようとするが、本発明ではアンカー本体1の上端部付近の地中に筒状抵抗体2が存しており、しかも、抵抗壁がアンカー本体1の軸線を中心として360度の全範囲に存している。
このため、いずれの方向からの外力に対しても抵抗作用が発揮され、回転中心点がアンカー本体の下端でなく地表近くになり、アンカーに作用する転倒モーメントを極小にすることができる。
したがって、筒状抵抗体2が傾いて浮き上がろうとする動きが阻止され、それゆえ、アンカー本体1と土の摩擦力による引き抜き抵抗力が筒状抵抗体2に作用する上方向荷重よりも大きい限り、筒状抵抗体2はアンカー本体1の軸心と同軸すなわち法面に対して水平を保ち、傾くことがない。このため、アンカーとして耐力が高く、変位量が極小になり、従来の土中アンカーに対して、荷重1.5倍以上、変位量0.3倍以下の高耐力が得られる。
実験は図10のように容器に土を入れ、アンカーを埋め込み、頭部にワイヤーを連結し、それをばね秤を介して牽引し、荷重と変位量を測定した。
その結果を図11に示す。この図から明らかなように本発明のアンカーは荷重18kgにおいて変位量がわずか2mmであり、荷重14kgにおいて、変位量が20mmの従来品と格段に相違している。
アンカー本体は直径12cm、有効長さ150cmとし、筒状抵抗体は鋼製で、筒部は直径290mm、全高400mm、板厚2mmとし、天板部として280mm角で厚さ:3.2mmの鋼板を用い、これを筒部に溶接した。
かかる筒状抵抗体を、角度20度、土質:礫土の法面に打ち込み、筒状抵抗体から突出するアンカー本体頂部にワイヤロープをU状に掛け、該ワイヤロープをばね秤を介して牽引し、荷重・変位を測定した。
この実施例においては、筒状抵抗体2の筒部2aの天板部2bの穴21がアンカー本体1の外径よりも著しく大きくされる一方、高さ方向の所要部位、通常、全高Hの1/2の位置よりも下の位置(H2≦H1)に筒壁から複数枚のリブ23を求心状に張り出させ、それらリブ23の先端にアンカー本体1の外径よりも適度に大きい内径のリング24を接合している。リング24の中心は筒状抵抗体2の筒部2aの中心と合致している。なお、「リング」とは、短めな筒の概念を包含する。
その他の構成は第1実施例と同様であるから説明は援用することとし、同じ部品や部分に同じ符号を付すにとどめる。
アンカー本体1が天板部2bの穴21を遊挿しても、筒部2a内のリング24がアンカー本体1を正確にガイドするので、筒状抵抗体2は傾くことなくアンカー本体1と同心状態に埋設される。したがって打ち込み施工性がよい。
また、実施例1ではガイド22が筒部内に張り出す求心状の板であるため、接点が線状であるため集中荷重が発生する可能性があるが、本発明は円筒状であるためアンカー本体1を傷めずに良好な接点を構成できる。
本発明者らにより実施例1と同じ実験を実施した結果、荷重1700kgにおいて変位量が7mm、2400kg荷重においても20mmの良好な結果が得られることが確認された。
1)本発明において、筒状抵抗体の筒部2aは円形断面でなく角形断面であってもよい。
2)天板部2bは平面角形でなく、実施例2のように円形であってもよい。また、囲壁を有するカップ状に構成し、これを筒部に被せてリベットやねじなどで結合してもよい。それらの場合、板面に複数個の空気抜き穴を設けることが好ましい。さらには、天板部2bと筒部2aは、深絞り加工などにより一体成形されていてもよい。
3)アンカー本体1は、パイプでなく、棒鋼など中実構造でもよい。
4)キャップ3は外嵌め式でなく、内嵌め式であってもよい。
また、キャップ3は、ロープを挟んで緊締する2つ割りの押え金具の一部を連結するためのボルトを突設させた形態としてもよい。この場合には、頭部1Aの縦溝10、10は不要である。
1A 頭部
1a つば部
2 筒状抵抗体
2a 筒部
2b 天板部
3 キャップ
10 割溝
11 収容室
21 穴部
22 心合わせガイド
24 リング
Claims (2)
- ロープの交差部を地盤に固定するためのアンカーにおいて、頭部につば部1aを有するアンカー本体1と、該アンカー本体1の頭部下に位置して地中に押し込まれる筒状抵抗体2とを具備し、前記筒状抵抗体2が、アンカー本体1の直径に対して2〜10倍の径を有し、有効高さH0が、水平荷重:T/(円筒部径:D×土の側面圧縮耐力:σ)の±20%である筒部2aを備え、筒部は上端にアンカー本体1の遊挿を許すとともにアンカー本体1のつば部1aに当接して打撃力が伝達される天板部2bを有し、かつ、前記筒部内には、筒部全高Hの1/2の位置よりも下の位置の筒壁から求心状に張り出す複数のリブ23を有し、該リブの先端にアンカー本体1の外径よりも大きい内径のリング24を有していることを特徴とする高耐力アンカー。
- アンカー本体頭部内にロープの交差部と緊締具の収容室が形成され、頭部壁に90度間隔でロープ導出溝を有していることを特徴とする請求項1に記載の高耐力アンカー。
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