a.第1実施形態
以下、本発明の第1実施形態について図面を用いて説明すると、図1および図2は第1実施形態に係る蓄圧装置の全体を示す概略図である。この蓄圧装置は、例えば車両に適用されて高圧の空気圧を蓄積しておいて、車両の制御に利用される。
蓄圧装置は、動力を発生する動力源としての駆動装置11と、駆動装置11から伝達される動力を用いて流体圧としての空気圧を変換する圧力変換機構20と、駆動装置11から圧力変換機構20に動力を伝達する動力伝達機構30と、圧力変換機構20にて変換された高圧の空気を蓄積する蓄圧器としてのアキュムレータ12と、圧力変換機構20とアキュムレータ12との間に介装された切り換え弁機構40とを備えている。
駆動装置11は、例えばエンジンおよび同エンジンの駆動力を出力する出力装置から構成される。アキュムレータ12には、利用装置13が接続されている。利用装置13は、アキュムレータ12に蓄積されている高圧の空気を利用する装置で、例えば車両における運転者のブレーキペダルの踏み込み操作をアシストするブレーキアシスト装置である。
圧力変換機構20は、底部21aを有する円筒状のシリンダ21を備えている。シリンダ21は、外周面上にシール部材としてのオーリング22aを組み付けたピストン22を軸線方向に気密的かつ摺動可能に収容している。ピストン22は、シリンダ21内の底部21a側に圧力変換室PRを形成している。圧力変換室PR内にはコイルスプリング23が組み込まれている。コイルスプリング23は、ピストン22を図示下方に付勢している。ピストン22の圧力変換室PRとは反対側の端面にはピストンロッド24の一端が固着されている。
シリンダ21の底面21aには、底面21aを貫通する流路21bが形成されている。圧力変換室PRは、流路21bを介して一方向性弁で構成された吸入弁25の下流と一方向性弁で構成された吐出弁26の上流を接続した接続位置に連通している。吸入弁25は、その上流にて大気に連通し、ピストン22の図示下方への移動時に大気を圧力変換室PRに供給する。吐出弁26は、その下流にてアキュムレータ12に連通し、ピストン22の図示上方への移動時に圧力変換室PRにて高圧に変換された空気をアキュムレータ12に吐出する。
動力伝達機構30は、駆動装置11によって軸線周りに回転駆動される回転ロッド31と、偏心カム32とからなる。偏心カム32は、円形プレート32a、リング32bおよび多数のボール32cからなる。円形プレート32aは、偏心させた位置にて回転ロッド31に一体回転するように固定されている。リング32bは、その内周面上にて多数のボール32cを介して円形プレート32aの外周面上に円形プレート32aと相対回転するように組み付けられるとともに、その外周面上の一部(図示上部位置)にてピストンロッド24の下面を摺動可能に支持している。したがって、偏心カム32は、回転ロッド31の回転に伴う円形プレート32aの回転により、リング32bの図示上端位置を上下動させてピストンロッド24を軸線方向すなわち図示上下方向に所定範囲で往復運動させる。
切り換え弁機構40は、一対の底部41a,41bを有する円筒状のシリンダ41を備えている。シリンダ41は、外周面上にシール部材としてのオーリング42を組み付けたピストン43を気密的かつ軸線方向に摺動可能に収容している。シリンダ41内には、ピストン43によって区画された第1および第2室R1,R2が形成されている。第1室R1は底部41aに設けた流路41cを介してアキュムレータ12に連通している。なお、第1室R1は、本発明の流体室に対応する。第2室R2は、シリンダ41の側壁に設けた流路41dを介して、シリンダ21の圧力変換室PRに連通している。また、第2室R2内にはコイルスプリング44が組み込まれ、同コイルスプリング44はピストン43を第1室R1側に付勢している。
ピストン43の第1室R1側端面には、中央にて円柱状の突起部43aを有するとともに、その外側に環状部43b(段部)を有する段付きに形成されている。突起部43aの先端部外周面上には、断面U状かつリング状に形成された面シール部材45が組み付けられている。面シール部材45は、ピストン43の突起部43aがシリンダ41の内端面に当接した状態で、突起部43aの端面とシリンダ41の内端面の間の隙間と、第1室R1との連通を禁止する。
ピストン43の第2室R2側端面には、中央にて円柱状のロッド43cが一体的に設けられて軸線方向に延設されている。ロッド43cは、シリンダ41の底部41bの中央に設けた貫通孔41eを進退可能に貫通して、シリンダ41の外部に突出している。ロッド43cの先端には、弁体を構成するボール46が組み付けられている。ボール46は、ピストン43の第1室R1側への変位状態(図1の状態)にて、シリンダ41の底部41b上であって、貫通孔41eの径方向外側に形成した弁座部41fに着座して第2室R2と大気との連通を禁止する。一方、ピストン43が第2室R2側へ変位した状態(図2の状態)では、第2室R2は大気に連通する。
次に、上記のように構成した第1実施形態の動作について説明する。回転ロッド31が駆動装置11によって回転駆動されると、偏心カム32はピストンロッド24およびピストン22を上下に往復運動させ始める。偏心カム32が、ピストンロッド24およびピストン22をコイルスプリング23の下方への付勢力に抗して上方へ押し上げると、シリンダ21内の圧力変換室PR内の空気は圧縮されて高圧に変換される。いま、切り換え弁機構40内のピストン43は、コイルスプリング44の付勢力によって図1の位置にあるものとする。この状態では、ボール46は弁座部41fに着座していて、シリンダ41の第2室R2を大気へ連通させていない。したがって、前記高圧に変換された空気は、吐出弁26を介してアキュムレータ12およびシリンダ41の第1室R1に供給される。
そして、ピストン22が最上位点に達すると、次に、ピストン22およびピストンロッド24は、コイルスプリング23の付勢力、ピストン22およびピストンロッド24の自重による力(以下、この力をコイルスプリング23などによる付勢力という)によって下方に移動する。ただし、シリンダ21の軸線方向が垂直方向でなければ、ピストン22およびピストンロッド24の自重による力は前記軸線方向に応じて変化する。ピストン22の下方への移動により、シリンダ21の圧力変換室PR内には、吸入弁25を介して大気圧の空気が吸入される。そして、ピストン22およびピストンロッド24が最下点に達した後には、前述のように、ピストン22およびピストンロッド24は偏心カム32によって上方へ移動されて、圧力変換室PR内の圧縮された高圧の空気がシリンダ41の第1室R1およびアキュムレータ12に供給される。このようなピストン22およびピストンロッド24の往復運動により、図3に示すように、アキュムレータ12内の空気は徐々に高圧Pになり、アキュムレータ12内に高圧の空気が蓄積されることになる。
この状態では、面シール部材45は突起部43aの先端面とシリンダ41の内端面との間をシールしているので、シリンダ41内のピストン43は突起部43aの先端面にて第1室R1内の空気圧Pを受けることなく、環状部43bのみにて第1室R1内の空気圧Pを受けている。そして、アキュムレータ12およびシリンダ41の第1室R1内の空気圧Pが上昇して、環状部43bにて受ける空気圧Pによる力がコイルスプリング44の付勢力に打ち勝つと、ピストン43は図示右方向に変位して切り換え弁機構40は図2の状態となる。すなわち、環状部43bの面積をBとし、コイルスプリング44の付勢力をFとすると、P・B>Fの条件が成立したときピストン43は図示右方向に変位する。このときのアキュムレータ12およびシリンダ41の第1室R1の空気圧Pを、図3にてP1として示す。
この状態では、ボール46の弁座部41fへの着座が解除され、シリンダ41の第2室R2は大気に連通する。そして、シリンダ21の圧力変換室PRはシリンダ41の第2室R2を介して大気に連通するので、圧力変換機構20内のピストン22が往復運動しても、シリンダ21内の圧力変換室PRは常にほぼ大気圧に保たれる。その結果、駆動装置11および圧力変換機構20に不必要な負荷を負わせることを避けることができる。
一方、アキュムレータ12に蓄積された高圧の空気圧Pは、利用装置13によって利用される。この利用装置13による利用により、図3に示すように、アキュムレータ12内の空気圧Pが低下すると、シリンダ41の第1室R1内の空気圧Pも徐々に低下する。そして、この空気圧Pの低下により、ピストン43は第1室R1側に変位し始める。しかし、ピストン43が図2の状態にある場合には、ピストン43は突起部43aの先端面と環状部43bの両者で第1室R1内の空気圧Pを受ける。すなわち、突起部43aの先端面の面積をAとすると、ピストン43は第1室R1内の空気圧PによりP・(A+B)の力で第2室R2側に押圧されている。したがって、第1室R1内の空気圧Pが所定圧P1よりも若干だけ下がっても、ピストン43の突起部43aの先端面がシリンダ41の内端面に到達することはない。
利用装置13によるアキュムレータ12内の空気圧の利用により、アキュムレータ12およびシリンダ41の第1室R1内の空気圧Pがさらに低下して、ピストン43が第1室R1内の空気圧Pにより受ける力P・(A+B)が前記コイルスプリング44の付勢力Fよりも小さくなると、ピストン43の突起部43aの先端面はシリンダ41の内端面に当接して図1の状態に戻る。このとき、ボール46は弁座部41fに着座してシリンダ41の第2室R2と大気との連通は禁止され、かつ面シール部材45は突起部43aの先端面とシリンダ41の内端面との間をシールする。このときのアキュムレータ12およびシリンダ41の第1室R1の空気圧Pを、図3にてP0として示す。
そして、圧力変換機構20内のピストン22の往復運動により、再び大気圧が高圧に変換されてアキュムレータ12に蓄積されるようになる。以降、前述した動作を繰り返す。したがって、アキュムレータ12およびシリンダ41の第1室R1の空気圧Pは、所定圧P0,P1間にて変化する。
上記作動説明からも理解できるように、切り換え弁機構40は、アキュムレータ12の空気圧PがP・(A+B)<Fを満足する所定圧P0まで低下したとき、圧力変換機構20にて変換された空気圧のアキュムレータ12への出力を許容するように切り換える。そして、アキュムレータ12の空気圧PがP・B>Fを満足する所定圧P1まで上昇したとき、圧力変換機構20にて変換された空気圧のアキュムレータ12への出力を禁止するように切り換える。すなわち、切り替え弁機構40は、ピストン43の突起部43aの先端面の面積Aに応じたヒステリシス特性をもって切り換え制御されるので、切り換え弁機構40の切り換え頻度を下げることができる。
b.第2実施形態
次に、本発明の第2実施形態に係る蓄圧装置について図4および図5を用いて説明する。この蓄圧装置は、上記第1実施形態の切り換え弁機構40を変更したものである。その他の部分に関しては上記第1実施形態と同じであるので、上記第1実施形態と同一部分には同一符号を付してその説明を省略する。
切り換え弁機構40は、両端に底部51a,51bを有する円筒状のシリンダ51を備えている。シリンダ51内には、円筒状のピストン52が軸線方向に摺動可能に収容されている。ピストン52は、シリンダ51を第1室R1および第2室R2に区画している。第1室R1は、底部51aに設けた流路51cを介してアキュムレータ12に連通している。第2室R2は、底部51bに設けた流路51dを介して大気に連通している。第2室R2内にはコイルスプリング53が収容されている。コイルスプリング53は、一端にてピストン52の第2室R2側の端面から軸線方向に円柱状に延設した穴部52aの底面にて支持され、他端にてシリンダ51の底部51bの内側面にて支持され、ピストン52を第1室R1側に付勢している。
ピストン52の第1室R1側の端面は、中央にて円柱状の突起部52bを有するとともに、その外側に環状部52c(段部)を有する段付きに形成されている。シリンダ51の底部51aの内端面の突起部52bに対向する位置には、円柱状の凹部51fが形成され、ピストン52の軸線方向の変位によって突起部52bが凹部51f内に侵入するようになっている。突起部52bの外周面上には、シール部材としてのオーリング54が組み付けられている。オーリング54は、ピストン52の突起部52bが凹部51fに侵入した状態で、突起部52bの端面と凹部51fの底面との間の隙間と、第1室R1との連通を禁止する。
ピストン52の外周面上であって軸線方向中央部には、環状の凹部52dが形成されている。ピストン52の凹部52dの各外側外周面上には、断面U状かつリング状に形成された一方向性弁55,56が組み付けられている。一方向性弁55は、シリンダ51の第2室R2からシリンダ51の内周面と凹部52dとの間の空間への空気の通過を許容し、逆方向の空気の通過を禁止して、圧力変換機構20のシリンダ21内の圧力変換室PRへの大気の吸入弁として機能する。一方向性弁56は、シリンダ51の内周面と凹部52dとの間の空間からシリンダ51の第1室R1への空気の通過を許容し、逆方向の空気の通過を禁止して、圧力変換機構20のシリンダ21内の圧力変換室PRから第1室R1への高圧空気の吐出弁として機能する。
シリンダ51の軸線方向中央の側部には流路51gが形成され、シリンダ51の内周面と凹部52dとの間の空間は、流路51gを介してシリンダ21の圧力変換室PRに連通している。なお、この流路51gは、ピストン52が軸線方向に変位しても、一方向性弁55,56の間に位置する。また、シリンダ51の側部には大気中に開口した流路51hも形成されている。この流路51hは、ピストン52が第1室R1側に変位して図4の状態にあるとき、一方向性弁55の外側に位置する。一方、ピストン52が第2室R2側に変位して図5の状態にあるとき、流路51hは一方向性弁55、56間に位置する。
次に、上記のように構成した第2実施形態の動作について説明する。この第2実施形態においても、圧力変換機構20内のピストン22は、動力伝達機構30を介して駆動装置11によって往復運動する。いま、切り換え弁機構40内のピストン52が図4の位置にあるものとすれば、ピストン22の図示上昇時に、高圧に変換されたシリンダ21の圧力変換室PR内の空気は、シリンダ21の流路21b、シリンダ51の流路51g、凹部52dおよび一方向性弁(吐出弁)56を介してシリンダ51の第1室R1およびアキュムレータ12に供給される。
一方、ピストン22の図示下降時には、シリンダ21の圧力変換室PR内に、切り換え弁機構40のシリンダ51の流路51d,51h、第2室R2、一方向性弁(吸入弁)55、凹部52d、流路51gおよびシリンダ21の流路21bを介して大気圧の空気が吸入される。このようなピストン22およびピストンロッド24の往復運動により、アキュムレータ12内の空気は徐々に高圧になり、アキュムレータ12内に高圧の空気が蓄積されることになる。
この状態では、ピストン52の突起部52bは凹部51f内に侵入していて、オーリング54が突起部52bの端面とシリンダ51の凹部51fの底面との間の空間と、第1室R1とを遮断している。したがって、ピストン52は突起部52bの先端面にて第1室R1内の空気圧Pを受けることなく、環状部52cのみにて第1室R1内の空気圧Pを受けている。そして、アキュムレータ12およびシリンダ51の第1室R1内の空気圧Pが上昇して、環状部52cにて受ける空気圧Pによる力がコイルスプリング53の付勢力に打ち勝つと、ピストン52は図示右方向に変位して切り換え弁機構40は図5の状態となる。すなわち、環状部52cの面積をBとし、コイルスプリング53の付勢力をFとすると、P・B>Fの条件が成立したときピストン52は図示右方向に変位する。この第2実施形態においても、このときのアキュムレータ12およびシリンダ41の第1室R1の空気圧PをP1とする(図3参照)。
この状態では、シリンダ51とピストン52の凹部52dとの間の空間は、流路51hを介して大気に連通する。したがって、圧力変換機構20内のピストン22が往復運動しても、シリンダ21内の圧力変換室PRは常にほぼ大気圧に保たれる。その結果、この第2実施形態においても、駆動装置11および圧力変換機構20に不必要な負荷を負わせることを避けることができる。
一方、アキュムレータ12に蓄積された高圧の空気圧Pは、利用装置13によって利用される。この利用装置13による利用により、図3に示すように、アキュムレータ12内の空気圧Pが低下すると、シリンダ41の第1室R1内の空気圧Pも徐々に低下する。そして、この空気圧Pの低下により、ピストン52は第1室R1側に変位し始める。しかし、ピストン52が図5の状態にある場合には、ピストン52は突起部52bの先端面と環状部52cの両者で第1室R1内の空気圧Pを受ける。すなわち、突起部52bの先端面の面積をAとすると、ピストン52は第1室R1内の空気圧PによりP・(A+B)の力で第2室R2側に押されている。したがって、第1室R1内の空気圧Pが所定圧P1よりも若干だけ下がっても、ピストン52の突起部52bがシリンダ51の凹部51f内に侵入することはない。
利用装置13によるアキュムレータ12内の空気圧の利用により、アキュムレータ12およびシリンダ51の第1室R1内の空気圧Pがさらに低下して、ピストン52が第1室R1内の空気圧Pにより受ける力P・(A+B)が前記コイルスプリング53の付勢力Fよりも小さくなると、ピストン52の突起部52bはシリンダ51の凹部51f内に侵入して図4の状態に戻る。このとき、オーリング54が突起部52bの先端面とシリンダ51の凹部51fの底面との間の空間と、第1室R1とを遮断する。このときのアキュムレータ12およびシリンダ51の第1室R1の空気圧PをP0とする(図3参照)。
そして、圧力変換機構20内のピストン22の往復運動により、再び大気圧が高圧に変換されてアキュムレータ12に蓄積されるようになる。以降、前述した動作を繰り返す。したがって、アキュムレータ12およびシリンダ51の第1室R1の空気圧Pは、所定圧P0,P1間にて変化する。
上記作動説明からも理解できるように、この第2実施形態においても、切り換え弁機構40は、アキュムレータ12の空気圧PがP・(A+B)<Fを満足する所定圧P0まで低下したとき、圧力変換機構20にて変換された空気圧のアキュムレータ12への出力を許容するように切り換える。そして、アキュムレータ12の空気圧PがP・B>Fを満足する所定圧P1まで上昇したとき、圧力変換機構20にて変換された空気圧のアキュムレータ12への出力を禁止するように切り換える。したがって、切り換え弁機構40の切り換え頻度を下げることができる。
c.第3実施形態
次に、本発明の第3実施形態に係る蓄圧装置について図6および図7を用いて説明する。この蓄圧装置は、上記第1および第2実施形態の圧力変換機構20および切り換え弁機構40を変更したもので、上記第1実施形態と同一部分には同一符号を付してその説明を省略する。
この蓄圧装置は、圧力変換機構20および切り換え弁機構40を同軸的に配置するとともに、一体的に構成したものである。切り換え弁機構40は、一対の底部61a,61bを有する円筒状のシリンダ61を備えている。シリンダ61は、底部62aを有する円筒状の第1ピストン62を軸線方向に摺動可能に収容しており、第1ピストン62により第1室R1および第2室R2に区画されている。第1室R1は、シリンダ61の側部に設けた流路61cを介してアキュムレータ12に連通している。第2室R2は、シリンダ61の底部61aに設けた流路61dを介して大気に連通している。第1ピストン62の軸線方向両端部の外周面上には、シール部材としてオーリング63a、63bが組みつけられている。
第1ピストン62の第1室R1側端部は、中央にて環状の突起部62bを有するとともに、その外側に環状部62c(段部)を有する段付きに形成されている。突起部62bの先端部外周面上には、断面U状かつリング状に形成された面シール部材64が組み付けられている。面シール部材64は、第1ピストン62の突起部62bがシリンダ61の内端面に当接した状態で、突起部62bの先端面とシリンダ61の内端面との間の隙間と、第1室R1との連通を禁止する。第1ピストン62内には、シリンダ61の底部61bに設けた貫通孔61eを介して図示下方から第2ピストン65が進退可能に侵入していて、第2ピストン62の内部上方に圧力変換室PRを形成している。なお、この第3実施形態においては、圧力変換機構20は第1ピストン62および第2ピストン65によって構成されている。
第2ピストン65の外周面上には、オーリング66a,66bが組み付けられている。オーリング66aは、圧力変換室PRと第1室R1との連通を禁止する。オーリング66bは、第1室R1の大気への連通を禁止する。圧力変換室PRは、第1ピストン62の側壁を貫通した流路62dおよびシリンダ61の側壁を貫通した流路61fを介して、吸入弁67の下流と吐出弁68の上流との接続部に連通している。吸入弁67の上流は大気に連通している。吐出弁68の下流はアキュムレータ12に連通している。
第2ピストン65の両端面部には、軸線方向に延設された円柱状のロッド71,72の各一端が一体的に接続されている。ロッド71の他端(図示下端)は、偏心カム32のリング32bによって摺動可能に支持されている。ロッド72の上部は、第2ピストン62の底部62aに設けた貫通孔62eを介して第2室R2内に進退可能に侵入している。貫通孔62eの内周面上には、第2室R2と圧力変換室PRとの連通を禁止するために、シール部材としてのオーリング73が組みつけられている。ロッド72の上端には、貫通孔62eよりも大径のプレート74が一体的に固着されており、プレート74はロッド72の図示下方への変位を規制する。プレート74とシリンダ61の底部61aの内側面との間には、コイルスプリング75が介装されている。コイルスプリング75は、常に第2ピストン65を図示下方に付勢している。
次に、上記のように構成した第3実施形態の動作について説明する。この第3実施形態においても、第2ピストン65は、動力伝達機構30を介して駆動装置11によって往復運動する。いま、第1ピストン62が図6の位置にあるものとすれば、第2ピストン65の図示上昇時に、高圧に変換された圧力変換室PR内の空気は、第2ピストン62の流路62d、シリンダ61の流路61fおよび吐出弁68を介してアキュムレータ12および第1室R1に供給される。
一方、第2ピストン65の図示下降時には、圧力変換室PR内に、吸入弁67、シリンダ61の流路61fおよび第2ピストン62の流路62dを介して大気圧の空気が吸入される。このような第2ピストン65の往復運動により、アキュムレータ12内の空気は徐々に高圧になり、アキュムレータ12内に高圧の空気が蓄積されることになる。
この状態では、第2ピストン62の突起部62bの先端面はシリンダ61の底部61bの内側面に当接していて、面シール部材64が突起部62bの先端面とシリンダ61の底部61bの内側面との間の空間と、第1室R1とを遮断している。したがって、第1ピストン62は突起部62bの先端面にて第1室R1内の空気圧Pを受けることなく、環状部62cのみにて第1室R1内の空気圧Pを受けている。そして、アキュムレータ12および第1室R1内の空気圧Pが上昇して、環状部62cにて受ける空気圧Pによる力がコイルスプリング75の付勢力に打ち勝つと、第1ピストン62は第2ピストン65と共に図示上方に変位して圧力変換機構20および切り換え弁機構40は図7の状態となる。すなわち、環状部62cの面積をBとし、コイルスプリング75の付勢力をFとすると、P・B>Fの条件が成立したとき第1ピストン62および第2ピストン65は図示上方向に変位する。この第3実施形態においても、このときのアキュムレータ12およびシリンダ41の第1室R1の空気圧PをP1とする(図3参照)。なお、力のバランスにおいて、第1ピストン62、第2ピストン65などの自重は無視することにする。
この状態では、ロッド71は偏心カム32から離れ、第2ピストン65は偏心カム32によって駆動されない。したがって、この第3実施形態においても、駆動装置11に不必要な負荷を負わせることを避けることができる。
一方、アキュムレータ12に蓄積された高圧の空気圧Pは、利用装置13によって利用される。この利用装置13による利用により、図3に示すように、アキュムレータ12内の空気圧Pが低下すると、第1室R1内の空気圧Pも徐々に低下する。そして、この空気圧Pの低下により、第1ピストン62は第1室R1側に変位し始める。しかし、ピストン62が図7の状態にある場合には、第1ピストン62は突起部62bの先端面と環状部62cの両者で第1室R1内の空気圧Pを受ける。すなわち、突起部62bの先端面の面積をAとすると、第2ピストン62は第1室R1内の空気圧PによりP・(A+B)の力で第2室R2側に押されている。したがって、第1室R1内の空気圧Pが所定圧P1よりも若干だけ下がっても、第1ピストン62の突起部62bの先端面がシリンダ61の底部61bの内側面に当接することはない。
利用装置13によるアキュムレータ12内の空気圧の利用により、アキュムレータ12およびシリンダ51の第1室R1内の空気圧Pがさらに低下して、第2ピストン62が第1室R1内の空気圧Pにより受ける力P・(A+B)が前記コイルスプリング75の付勢力Fよりも小さくなると、第2ピストン62の突起部62bの先端面がシリンダ61の底部61bの内側面に当接して図6の状態に戻る。このとき、面シール部材64が突起部62bの端面とシリンダ61の底部61bの内側面との間の空間と、第1室R1とを遮断する。このときのアキュムレータ12および第1室R1の空気圧PをP0とする(図3参照)。
そして、第2ピストン65の往復運動により、再び大気圧が高圧に変換されてアキュムレータ12に蓄積されるようになる。以降、前述した動作を繰り返す。したがって、アキュムレータ12および第1室R1の空気圧Pは、所定圧P0,P1間にて変化する。
上記作動説明からも理解できるように、この第3実施形態においても、切り換え弁機構40は、アキュムレータ12の空気圧PがP・(A+B)<Fを満足する所定圧P0まで低下したとき、圧力変換機構20にて変換された空気圧のアキュムレータ12への出力を許容するように切り換える。そして、アキュムレータ12の空気圧PがP・B>Fを満足する所定圧P1まで上昇したとき、圧力変換機構20にて変換された空気圧のアキュムレータ12への出力を禁止するように切り換える。したがって、切り換え弁機構40の切り換え頻度を下げることができる。
d.第4実施形態
次に、本発明の第4実施形態に係る蓄圧装置について図8および図9を用いて説明する。この蓄圧装置は、上記第1実施形態の切り換え弁機構40を変更したものである。その他の部分に関しては上記第1実施形態と同じであるので、上記第1実施形態と同一部分には同一符号を付してその説明を省略する。
切り換え弁機構40は、両端に底部81a,81bを有する円筒状のシリンダ81を備えている。シリンダ81の軸線方向中間部の内周面上には、環状突起部81cが設けられている。シリンダ81内には、円柱状のピストン82が軸線方向に変位可能に収容されている。ピストン82は、軸線方向中間部を大径に形成して、両端部に中間部よりも小径の円柱状の第1および第2突起部82a,82bを有するとともに第1および第2環状部82c,82d(段部)を有するように形成されている。第1突起部82aの直径は第2突起部82bの直径よりも小さく設定されている。ピストン82の軸線方向中間部の外周面上には、シール部材としてのオーリング83が組み付けられている。また、シリンダ81の環状突起部81cの内周面上には、シール部材としてのオーリング84が組み付けられている。これらのオーリング83,84により、シリンダ81内には、ピストン82の第1環状部82cとシリンダ81の底部81aの間に第1室R1が形成されているとともに、ピストン82の第2環状部82dとシリンダ81の環状突起部81cとの間に第2室R2が形成されている。
第1室R1は、底部81aに設けた流路81dを介してアキュムレータ12に連通している。第1室R1と第2室R2は、ピストン82内に設けたピストン通路82eを介して連通している。ピストン82の第1突起部82aの先端部外周面上には、断面U字状かつリング状の面シール部材85が組み付けられて、第1突起部82aの先端面がシリンダ81の底部81aの内側面に当接した状態では、第1突起部82aの先端面と底部81aとの間の隙間と、第1室R1とが遮断されるようになっている。ピストン82の第2環状部82d上には、環状の面シール部材86が組み付けられている。面シール部材86は、ピストン82が図示右方向に変位して環状突起部81cに当接した状態(図9の状態)になると、ピストン通路82eを介した第1室R1と第2室R2(面シール部材86と環状突起部81cとの間の隙間)との連通が禁止されるようになっている。
ピストン82の大径部外周面上であって第1室R1側の端部には、断面U字状かつリング状の一方向性弁87が組み付けられている。一方向性弁87は、油圧変換室PRから吐出された空気を、シリンダ81の側壁に設けた流路81eおよびピストン82の外周面とシリンダ81の内周面との間の空間から第1室R1への供給のみを許容する吐出弁を構成する。なお、この一方向性弁87に代えてオーリングを用いるとともに、上記第1実施形態の吐出弁26(図1参照)を介して油圧変換室PRからの高圧の空気をアキュムレータ12および第1室R1に導くようにしてもよい。
シリンダ81の側壁であって流路81eよりも第2室R2側には、大気に連通した流路81fが設けられている。また、ピストン82の大径部外周面上には、ピストン82が図8の状態にあるとき流路81e,81f間に位置し、ピストン82が図示右方向に変位して図9の状態になると流路81fよりも第2室R2側に位置するように、シール部材としてオーリング88が組み付けられている。
シリンダ81の環状突起部81cを挟んで第2室R2と反対側には、第3室R3が設けられている。第3室R3は、シリンダ81の底部81bに設けた貫通孔81gを介して大気に連通している。この第3室R3内には、両端をピストン82の第2突起部82bの端面とシリンダ81の底部81bの内側面とに支持させたコイルスプリング89が収容されている。コイルスプリング89は、ピストン82を常に図示左方向に付勢している。
次に、上記のように構成した第4実施形態の動作について説明する。この第4実施形態においても、圧力変換機構20内のピストン22は、動力伝達機構30を介して駆動装置11によって往復運動する。いま、切り換え弁機構40内のピストン82が図8の位置にあるものとすれば、ピストン22の図示上昇時に、高圧に変換されたシリンダ21内の圧力変換室PR内の空気は、シリンダ21の流路21b、シリンダ81の流路81e、シリンダ81の内周面とピストン82の外周面との間の空間、および一方向性弁87を介して第1室R1およびアキュムレータ12に供給される。
一方、ピストン22の図示下降時には、シリンダ21の圧力変換室PR内に、吸入弁25およびシリンダ21の流路21bを介して、大気圧の空気が吸入される。このようなピストン22およびピストンロッド24の往復運動により、アキュムレータ12内の空気は徐々に高圧になり、アキュムレータ12内に高圧の空気が蓄積されることになる。
この状態では、面シール部材85がシリンダ81の底部81aの内側面に当接していて、第1突起部82aの先端面と底部81aの内側面との間の空間と、第1室R1とを遮断している。したがって、ピストン82は第1突起部82aの先端面にて第1室R1内の空気圧Pを受けることなく、第1環状部82cのみにて第1室R1内の空気圧Pを図示右方向に受けている。また、第2室R2はピストン通路82eを介して第1室R1に連通しているので、ピストン82は第2室R2内の空気圧Pを図示左方向に受けている。さらに、ピストン82は、コイルスプリング89によって図示左方向のばね力を受けるとともに、面シール部材85の弾性反発力により図示右方向の力も受けている。
この場合、ピストン82の第1突起部82aの先端面の面積をAとし、第1環状部82cの面積をBとし、第2環状部82dの面積をCとする。面シール部材85の弾性反発力をFpaとし、ピストン82の第2環状部82d上の面シール部材86がシリンダ81の環状突起部81cに当接した状態(図9の状態)における面シール部材86の弾性反発力をFpcとする。また、コイルスプリング89のばね定数をkとし、ピストン82の第1突起部82aの先端面がシリンダ81の底部81aの内側面に当接した状態(図8の状態)におけるコイルスプリング89のばね力をF0とし、面シール部材86がシリンダ81の環状突起部81cに当接した状態(図9の状態)におけるコイルスプリング89のばね力をF1とし、コイルスプリング89の最大ストロークをS1とする。
いま、前述のように、ピストン82の第1突起部82aの先端面がシリンダ81の底部81aの内側面に当接した状態(図8の状態)においては、下記式1が成立する。
P・B+Fpa=F0+P・C=F1−k・S1+P・C …式1
そして、アキュムレータ12およびシリンダ81の第1室R1内の空気圧Pが上昇して、第1環状部82cにて受けるピストン82を図示右方向に押圧する力P・Bが、コイルスプリング53の付勢力F0と、第2環状部82dにて受ける空気圧Pによる押圧力P・Cとの合力によるピストン82を図示左方向に押圧する力F0+P・Cに打ち勝つと、ピストン82は図示右方向に変位する。この場合、ピストン82の第1突起部82aがシリンダ81の底部81aの内側面から離れる寸前の状態では、下記式2が成立する。ただし、このときにおける第1室R1および第2室R2内の空気圧をP1とする(図3参照)。
P1・B=F0+P1・C …式2
この式2からも理解できるように、ピストン82の変位を実現するためには、第1環状部82cの面積Bと第2環状部82dの面積Cとの間には、B>Cなる関係が必要であることが理解できる。
一方、ピストン82が図8の状態から図示右方向に変位し始めると、ピストン82の第1突起部82aの先端面も第1室R1内の空気圧Pを受け、ピストン82は力P・(A+B)で図示右方向に押圧される。そして、面シール部材86の端面が環状突起部81cに当接して図9の状態となり、第2室R2と第1室R1との連通を禁止するためには、下記式3の条件が成立する必要がある。ただし、この場合、コイルスプリング89は最大ストローク量S1だけ縮んで、ばね力F1(=F0+k・S1)でピストン82を図示左方向に押圧する。
P1・(A+B)>F0+k・S1+P1・C …式3
この式3は式2を用いて下記式4のように変形される。
P1・A>k・S1 …式4
したがって、面シール部材86の先端面が環状突起部81cに当接して第2室R2(面シール部材86の先端面と環状突起部81cとの間の空間)と第1室R1との連通を禁止するためには、前記式4の関係が成立する必要があることが理解できる。
この状態では、オーリング88が流路81fに対して第2室R2側に位置する。したがって、シリンダ21の圧力変換室PRは、シリンダ21の流路21b、シリンダ81の流路81e、シリンダ81の内周面とピストン82の外周面の間の空間、およびシリンダ81の流路81fを介して大気に連通する。したがって、圧力変換機構20内のピストン22が往復運動しても、シリンダ21内の圧力変換室PRは常にほぼ大気圧に保たれる。その結果、この第4実施形態においても、駆動装置11および圧力変換機構20に不必要な負荷を負わせることを避けることができる。
そして、この面シール部材86がシリンダ81の環状突起部81cに当接して第2室R2と第1室R1との連通を禁止している状態(図9の状態)では、下記式5が成立してピストン82の変位が規制されている。
P・(A+B)=F1+Fpc=F0+k・S1+Fpc …式5
一方、アキュムレータ12に蓄積された高圧の空気圧Pは、利用装置13によって利用される。この利用装置13による利用により、図3に示すように、アキュムレータ12および第1室R1内の空気圧Pが低下して、コイルスプリング89の付勢力F1および面シール部材86の弾性反発力Fpcとの合力によるピストン82を図示左方向に押圧する力F1+Fpcが、第1突起部82aの先端面と第1環状部82cにて受けるピストン82を図示右方向に押圧する力P・(A+B)に打ち勝つと、ピストン82は図示左方向に変位する。この場合、面シール部材86がシリンダ81の環状突起部81cの内側面から離れる寸前の状態では、下記式6が成立する。ただし、このときにおける第1室R1および第2室R2内の空気圧をP0とする(図3参照)。
P0・(A+B)=F1 …式6
一方、ピストン82が図9の状態から図示左方向に変位し始めると、第1室R1と第2室R2とが連通して、ピストン82の第2環状部82dも第1室R2内の空気圧を受け、ピストン82はこの空気圧とコイルスプリング89の付勢力によって図示左方向に押圧される。そして、面シール部材85がシリンダ81の底部81aの内側面に当接して図8の状態となり、ピストン82の第1突起部82aの先端面とシリンダ81の底部81aの内側面との間の空間と、第1室R1との連通を禁止するためには、下記式7の条件が成立する必要がある。ただし、この場合、コイルスプリング89は最大ストローク量S1だけ伸びて、ばね力F0(=F1−k・S1)でピストン82を図示左方向に押圧する。
P0・(A+B)<F1−k・S1+P0・C …式7
この式7は式6を用いて下記式8のように変形される。
P0・C>k・S1 …式8
したがって、面シール部材85がシリンダ81の底部81aの内側面に当接して、ピストン82の第1突起部82aの先端面とシリンダ81の底部81aの内側面との間の空間と、第1室R1との連通を禁止するためには、前記式8の関係が成立する必要があることが理解できる。
そして、ピストン22の往復運動により、再び大気圧が高圧に変換されてアキュムレータ12に蓄積されるようになる。以降、前述した動作を繰り返す。したがって、アキュムレータ12および第1室R1の空気圧Pは、所定圧P0,P1間にて変化する。
上記作動説明からも理解できるように、この第4実施形態においても、切り換え弁機構40は、アキュムレータ12の空気圧Pが所定圧P0まで低下したとき、圧力変換機構20にて変換された空気圧のアキュムレータ12への出力を許容するように切り換える。そして、アキュムレータ12の空気圧Pが所定圧P1まで上昇したとき、圧力変換機構20にて変換された空気圧のアキュムレータ12への出力を禁止するように切り換える。したがって、切り換え弁機構40の切り換え頻度を下げることができる。
また、この第4実施形態においては、アキュムレータ12内の空気圧Pが所定圧P0に達すると、ピストン82を第1室R1側に確実に変位させる。一方、アキュムレータ12内の空気圧Pが所定圧P1に達すると、ピストン82を第2室R2側に確実に変位させる。その結果、切り換え弁機構40の確実な切り換え動作が期待され、圧力変換室PRにて圧力変換された流体のアキュムレータ12への出力の禁止および許容の切り換えが確実に行われるようになる。
さらに、本発明は上記第1実施形態ないし第4実施形態に限定されることなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。
例えば、上記第1実施形態に係る蓄圧装置を車両のタイヤ空気圧調整に適用できる。この場合、図10に示すように、切り換え弁機構40および圧力変換機構20は、車輪のホイール91およびスポーク92内に収容されている。切り換え弁機構40内のシリンダ41の側壁を貫通した流路41gを介して、第1室R1はタイヤ93の内部に連通している。そして、上記第1実施形態のアキュムレータ12および利用装置13はタイヤ93に対応し、圧力変換機構20によって高圧に変換された空気はタイヤ93内に蓄積される。
また、圧力変換機構20内のシリンダ21には、中央部に貫通孔を有する底部21cが設けられている。ピストン22と底部21cとの間には、ピストン22を車輪の径方向外側(図示上方)に付勢するコイルスプリング25が組み込まれている。なお、コイルスプリング25が組み込まれた室は、大気に連通している。そして、この変形例においては、上記第1実施形態の駆動装置11および動力伝達機構30が省略されている。その他の構造は、上記第1実施形態の場合と同様である。
このように構成した変形例においては、車両の走行により車輪が回転すると、車輪の回転速度に応じて大きさの変化する遠心力がピストン22に作用して、ピストン22は車両の走行中に車輪の径方向すなわち図示上下方向に往復運動する。そして、切り換え弁機構40内のピストン43がシリンダ41の第1室R1側に変位している状態(すなわち、図示状態)では、上記第1実施形態の場合と同様に、前記ピストン22の往復運動により、圧力変換機構20は大気を高圧に変換して切り換え弁機構40を介してタイヤ93内に高圧の空気を供給する。
そして、この場合も、タイヤ93内の空気圧が所定圧以上になると、シリンダ41の第1室R1内の空気圧も高くなって、ピストン43をコイルスプリング44の付勢力に抗して図示右方へ変位させる。この状態では、上気第1実施形態の場合と同様に、圧力変換機構20の圧力変換室PRは、シリンダ21の流路21b、シリンダ41の流路41d、第2室R2を介して大気に連通するので、圧力変換機構20によって圧力変換が行われなくなる。そして、タイヤ93内の空気圧が低下すれば、切り換え弁機構40内のピストン43が図示位置に変位するので、タイヤ93内にふたたび高圧の空気が供給され始める。これにより、タイヤ93内の空気圧は常に一定に維持される。
また、上記変形例においては、上記第1実施形態に係る蓄圧装置を車両のタイヤ93の空気圧調整に利用するようにしたが、上記第2ないし第4実施形態に係る蓄圧装置も車両のタイヤ93の空気圧調整に利用することができる。上記第2および第4実施形態の場合には、上記第1実施形態の変形例の場合と同様に、車輪の遠心力によってピストン22をシリンダ21内にて往復運動させるようにすればよい。また、上記第3実施形態の場合には、車輪の遠心力によって第2ピストン65をシリンダ61および第1ピストン62内にて往復運動させるようにすればよい。
さらに、上記第1、第2および第4実施形態のシリンダ21およびピストン22の軸線方向が車輪の周方向になるように、圧力変換機構20および切り換え弁機構40をホイール91およびスポーク92内に組み付けて、車両の加減速に伴う車輪の周方向の力により、ピストン22を往復動させるようにしてもよい。また、上記第3実施形態の場合も、シリンダ61、第2ピストン62および第2ピストン65の軸線方向が車輪の周方向になるように、圧力変換機構20および切り換え弁機構40をホイール91およびスポーク92内に組み付けて、車両の加減速に伴う車輪の周方向の力により、第2ピストン65を往復動させるようにしてもよい。
また、上記各実施形態および変形例においては、流体として空気を用いた例について説明したが、空気以外の気体、または油などの液体を用いた流体の蓄圧装置にも本発明は利用できる。なお、流体として液体を用いた場合には、上記説明中の各シール部材は、シール部材の両側の部材間の液密性を保つために利用される。また、本発明に係る蓄圧装置は、ブレーキ装置以外の車両用装置にも適用できることはもちろんこと、車両以外の機器にも適用できる。
11…駆動装置、12…アキュムレータ、13…利用装置、20…圧力変換機構、25,67…吸入弁、26,68…吐出弁、30…動力伝達機構、40…切り換え弁機構、41,51,61,81…シリンダ、43,52,62,65,82…ピストン、44,53,75,89…コイルスプリング、45,64,85,86…面シール部材、46…ボール、54…オーリング、55,56,87…一方向性弁、93…タイヤ