JP4375271B2 - 内燃機関の制御装置 - Google Patents

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Description

この発明は、内燃機関の制御装置に係り、特に、減速時の燃料カット実行中に排気ガスを還流させる内燃機関を制御する装置として好適な内燃機関の制御装置に関する。
従来、例えば特許文献1には、減速時の燃料カットの実行中に排気ガスを還流させる内燃機関が開示されている。高温の触媒にリーンなガスが流入すると、触媒の劣化が進行し易い。上記従来の技術によれば、燃料カット期間中に触媒に新気が流入するのを抑制することができ、これにより、触媒の劣化を抑制することができる。
特開平7−293230号公報 特開平11−44235号公報 特開2000−120473号公報
減速時に燃料カットが実行されている内燃機関において、燃料カットから復帰する際の態様としては、ドライバーからのアクセル要求に基づく場合の復帰(強制復帰)と、機関回転数がアイドリング回転数近辺にまで低下した場合の復帰(自然復帰)がある。上述した従来の内燃機関のように減速時の燃料カットの実行中に排気ガスを還流させている場合には、上記復帰時に、失火や機関のストールが生じないように復帰動作を実行する必要がある。
具体的には、強制復帰の場合には、アクセル要求に基づく強制復帰条件の成立が検出された時点で直ちに燃料噴射を再開させるのではなく、筒内の残留ガスが十分に掃気されるのを待ってから、言い換えれば、当該強制復帰条件の成立後に所定の掃気時間(ディレー時間)が経過した後に、復帰させる必要がある。一方、自然復帰の場合には、燃料噴射の再開に先立って所定の掃気時間(ディレー時間)を確保する必要がある。つまり、燃料噴射を再開させる機関回転数に比して高い機関回転数で残留ガスの掃気を開始させる必要がある。
しかしながら、上記のようなディレー時間が一律に長く設けられていると、強制復帰の場合には、機関のドライバビリティの悪化が生じてしまう。一方、自然復帰の場合には、残留ガスの掃気を開始させる機関回転数が高く設定され過ぎると、触媒の劣化抑制効果を長く得ることができなくなってしまう。
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、減速時に燃料カットが実行され、当該燃料カットからの復帰時には所定のディレー時間の経過後に燃料噴射の再開が実行される内燃機関において、強制復帰時の機関のドライバビリティを改善し、また、自然復帰がされる場合の触媒の劣化抑制効果を良好に確保することのできる内燃機関の制御装置を提供することを目的とする。
第1の発明は、上記の目的を達成するため、内燃機関の減速時に燃料カットを行う燃料カット実行手段と、
燃料カット実行中に、スロットルバルブが略全閉となるように制御するスロットル制御手段と、
燃料カット時に排気ガス再循環量を増量するEGR制御手段と、
燃料カットからの復帰時に排気再循環ガスを掃気させるための時間であって当該掃気の開始から当該掃気が終了するまで燃料噴射の再開を遅らせるために設定される時間であるディレー時間を設定するディレー時間設定手段と、
排気ガス再循環経路における空燃比を取得する空燃比取得手段と、
前記空燃比取得手段により取得された空燃比に基づいて、燃料カット実行中の空燃比の状態を判別する空燃比状態判別手段と、
前記空燃比状態判別手段により空燃比がリーンであると判定された場合は、前記ディレー時間が短くなるように修正するディレー時間修正手段と、
を備えることを特徴とする。
また、第2の発明は、第1の発明において、前記ディレー時間が短い場合は、燃料カットからの自然復帰回転数を下げることを特徴とする。
また、第の発明は、第1または第2の発明において、燃料カット実行中に機関回転数が第1所定回転数まで低下した時点で前記EGR制御手段により排気再循環ガスの掃気を開始させ、機関回転数が前記第1所定回転数より低い第2所定回転数まで低下した時点で当該燃料カットからの自然復帰を行う内燃機関の制御装置であって、
前記空燃比状態判別手段により空燃比がリーンであると判定された場合は、前記第1所定回転数が低くなるように修正する掃気開始回転数修正手段を備えることを特徴とする。
第1の発明によれば、燃料カット実行中の排気ガス再循環径路における空燃比の状態に基づいて、排気再循環ガスを掃気する時間としてのディレー時間が修正される。燃料カットの実行期間が長くなるにつれ、スロットルバルブ全閉時の新気漏れに伴って、空燃比は次第にリーンになっていく。このような状況下において、ディレー時間が常に一律に長く設けられていると、強制復帰の場合には、排気再循環ガスの掃気が十分に行われているにも関わらず、不必要なディレー時間が継続されることになり、自然復帰の場合には、不必要に早いタイミングで掃気が開始されることになる。これに対し、本発明によれば、燃料カット実行中の排気ガス再循環径路における空燃比がリーンである場合には、ディレー時間が短くなるように修正される。このため、強制復帰の場合には、機関のドライバビリティを改善し、また、自然復帰の場合には、触媒の劣化抑制効果を良好に確保することができる。
ディレー時間が短くされていれば、機関のストールを回避するために燃料カットからの自然復帰回転数を上げておく必要がなくなるので、その分だけ当該自然復帰回転数を下げることが可能となる。従って、第2の発明よれば、燃料カットからの自然復帰時の機関回転数の過上昇を抑制することができる。これにより、燃料カット実行時間を適切に長く確保することができ、燃料消費量の低減を実現することができる。
の発明によれば、燃料カット実行中の排気ガス再循環径路における空燃比がリーンである場合には、第1所定回転数が低くなるように修正される。このため、本発明によれば、自然復帰の場合の掃気開始回転数を適切なものとすることができ、触媒の劣化抑制効果を良好に確保することができる。
実施の形態1.
[システム構成の説明]
図1は、本発明の実施の形態1の構成を説明するための図を示す。図1に示すように、本実施形態のシステムは、内燃機関10を備えている。内燃機関10の筒内には、燃焼室12が形成されている。燃焼室12には、吸気通路14および排気通路16が連通している。
吸気通路14には、スロットルバルブ18が配置されている。スロットルバルブ18は、アクセル開度に基づいてスロットルモータにより駆動される電子制御式のバルブである。スロットルバルブ18の近傍には、スロットル開度TAを検出するためのスロットルポジションセンサ20が配置されている。このような構成によれば、スロットルバルブ18の開度TAをアイドル開度TA0とすることにより、内燃機関10の機関回転数NEを所定のアイドリング回転に制御することができる。尚、このような構成に限らず、吸気通路14に、スロットルバルブ18をバイパスするバイパス通路を設け、そのバイパス通路の途中にISC弁を配置させ、そのISC弁の開度を調整することによりアイドリング回転数を所定の値に制御する構成であってもよい。
内燃機関10は、複数の気筒を有する多気筒式の機関であり、図1は、そのうちの一気筒の断面を示している。内燃機関10が備える個々の気筒には、吸気通路14に通じる吸気ポート、および排気通路16に通じる排気ポートが設けられている。吸気ポートには、その内部に燃料を噴射するための燃料噴射弁22が配置されている。また、吸気ポートおよび排気ポートには、それぞれ、燃焼室12と吸気通路14、或いは燃焼室12と排気通路16を導通状態または遮断状態とするための吸気弁24および排気弁26が設けられている。
内燃機関10は、クランク軸の近傍にクランク角センサ28を備えている。クランク角センサ28は、クランク軸が所定回転角だけ回転する毎に、Hi出力とLo出力を反転させるセンサである。クランク角センサ28の出力によれば、クランク軸の回転位置や回転速度、更には、機関回転数NEなどを検知することができる。
内燃機関10の排気通路16には、排気ガスを浄化するための上流触媒(SC)30および下流触媒(UF)32が直列に配置されている。また、上流触媒30の上流には、その位置で排気空燃比を検出するための空燃比センサ34が配置されている。更に、上流触媒30と下流触媒32との間には、その位置の空燃比がリッチであるかリーンであるかに応じた信号を発生する酸素センサ36が配置されている。
図1に示すシステムは、吸気通路14と排気通路16とを連通する排気ガス還流通路38を備えている。排気ガス還流通路38の途中には、EGR弁40が設けられている。更に、排気ガス還流通路38には、吸気通路14に還流される排気ガスを冷却する排気ガス冷却器(EGRクーラ)42が設けられている。このような構成によれば、排気ガス還流通路38、吸気通路14、燃焼室12、および排気通路16によって、排気ガス再循環経路を形成することができる。
図1に示すシステムは、ECU(Electronic Control Unit)50を備えている。ECU50には、上述した各種センサに加え、アクセル開度PAを検出するためのアクセルポジションセンサ52や、上述した各種アクチュエータが接続されている。ECU50は、それらのセンサ出力に基づいて、内燃機関10の運転状態を制御することができる。
[排気ガス循環による触媒劣化抑制制御の概要]
上記のように構成された本実施形態のシステムは、内燃機関10の運転中にスロットル開度TAがアイドル開度TA0とされた場合に、燃料の噴射を停止する処理、つまり、燃料カット(F/C)を実行する。F/Cは、内燃機関10の運転中に、スロットル開度TAが急激に閉じられることにより開始される。このため、F/Cの開始後は、吸気管圧力PMが大きく負圧化し易い状態が形成される。この際、吸気管圧力PMが過大に負圧化すると、内燃機関10においてオイル上がりが発生し、オイル消費量が増大する事態が生ずる。
ところで、吸気管圧力PMの負圧化は、スロットル開度TAを大きくすることにより回避することができる。従って、F/Cの開始後、スロットル開度TAを、基本のアイドル開度TA0より大きな開度に保てば、吸気管圧力PMが過大に負圧化するのを防ぐことが可能、すなわち、オイル上がりの発生を防ぐことが可能である。しかしながら、F/Cの実行中は、燃料噴射が行われないことから、触媒(上流触媒30および下流触媒32)に流れ込むガスは極端にリーンに偏ったものとなる。そして、高温の触媒にリーンなガスが流入すると、触媒の劣化が進行し易い。このため、F/Cの開始後にスロットル開度TAを開いてリーンガスの流通量を増やすと、オイル消費量の増加は防げるものの、上流触媒30および下流触媒32の劣化は促進されることとなる。
図1に示すシステムによれば、EGR弁40の開度を適当に調整することにより、吸気通路14を介して燃焼室12に排気ガスを還流させることができる(外部EGR制御)。吸気管圧力PMは、スロットルバルブ18の下流におけるガス量が多いほど大気圧に近づく。そして、そのガス量は、スロットルバルブ18を通過した新気ガスの量と、外部EGR制御により生じた排気ガス再循環量(以下、EGRガス量)との和である。このため、EGRガス量が十分に多量であれば、スロットル開度TAが如何に小さくても、吸気管圧力PMが過度に負圧化することはない。
以上説明した通り、図1に示すシステムによれば、EGR弁開度を十分な値とした状態でスロットル開度TAを十分に絞ることとすれば、十分なEGR量を生じさせることができ、オイル上がりの発生を防ぎつつ、上流触媒30および下流触媒32の劣化進行を有効に抑制することが可能である。以下、そのような制御、すなわち、減速時のF/C実行中に燃焼室12にEGRガスを導入することにより触媒30、32の劣化を抑制させる制御を、「排気ガス循環による触媒劣化抑制制御」、または単に「触媒劣化抑制制御」と称する。
[実施の形態1の特徴部分]
減速時のF/Cから復帰する際の態様としては、ドライバーからのアクセル要求に基づく場合の復帰(強制復帰)と、機関回転数NEがアイドリング回転数近辺にまで低下した場合の復帰(自然復帰)がある。本実施形態のシステムにように、減速時のF/C中に上記触媒劣化抑制制御を実行している場合には、筒内の残留ガス割合によっては復帰時に失火が生ずるおそれがある。従って、F/Cからの復帰時には、所定の掃気期間(ディレー時間TD)を設けた後に復帰実行、すなわち、燃料噴射を再開させる必要がある。
具体的には、先ず、強制復帰の場合には、失火の発生を抑制すべく、アクセル要求に基づく強制復帰条件の成立が検出された時点で直ちに燃料噴射を再開させるのではなく、筒内のEGRガスが十分に掃気されるのを待ってから、言い換えれば、当該強制復帰条件の成立後に所定のディレー時間TDが経過した後に、燃料噴射を再開させる必要がある。しかしながら、このようなディレー時間TDを長く設定していくことは、機関のドライバビリティの悪化、より具体的には、アクセル要求に対する加速レスポンスの低下や、スロットル開度が大きく制御されることで吸入空気量が多量となった時点で燃料噴射が再開されることによるトルクショックの発生などを生じさせてしまう。
図2は、減速時のF/Cからの復帰態様が自然復帰である場合の復帰動作を説明するための図である。自然復帰の場合には、上記触媒劣化抑制制御を実行していない場合と同様の復帰回転数NE1が到来した時点t2からEGRガスの掃気を開始させたのでは、その掃気中に機関がストールしてしまうおそれがある。そこで、図2に示すように、上記触媒劣化抑制制御が実行されている場合には、燃料噴射の再開に先立ってEGRガスを掃気させるべく、所定のディレー時間TDを確保した後に復帰を実行する必要がある。つまり、復帰回転数NE1に比して高い掃気開始回転数NE2が到来した時点t1でEGRガスの掃気を開始させる必要がある。しかしながら、ディレー時間TDを長く設定していくことは、すなわち、掃気開始回転数NE2を高く設定していくことは、上記触媒劣化抑制制御の実行期間の減少に繋がり、その結果、触媒の劣化抑制効果が良好に確保されなくなってしまう。
図3は、減速時のF/C中における本実施形態のシステムの特徴的動作を説明するためのタイミングチャートである。より具体的には、図3(A)は、F/C中の実空燃比A/Fの変化を、図3(B)は、強制復帰時のディレー時間TDの設定を、図3(C)は、自然復帰時における掃気開始回転数NE2の設定を、それぞれ示している。尚、図3(A)に示す実空燃比A/Fの値は、上述した空燃比センサ34の出力に基づくものであり、排気ガス再循環経路における実空燃比A/Fを示している。
スロットル開度TAを全閉位置に制御しつつ、上記触媒劣化抑制制御を実行することとすれば、図3(A)に示すように、燃焼が行われていないF/C中の実空燃比A/Fをストイキ近傍に維持することが可能となる。しかしながら、吸気通路14とスロットルバルブ18との間には、固着防止や熱膨脹を吸収するためのクリアランスを設けておく必要性があるため、スロットル開度TAを全閉位置に制御した場合であっても、完全に新気の流入を遮断することはできない。その結果、図3(A)に示すように、F/C中の実空燃比A/Fは、F/C実行時間の経過と共に徐々にリーンになっていく。
そこで、本実施形態のシステムでは、F/C実行中の排気ガス再循環経路における実空燃比A/Fの状態に基づいて、F/Cからの復帰動作の開始(本実施形態の場合は、EGRガスの掃気開始)から燃料噴射再開までの時間を修正することとした。具体的には、強制復帰の場合には、図3(B)に示すように、排気ガス再循環経路における実空燃比A/Fが所定値af[0]よりもリーンでないときは、ディレー時間TDを所定時間TD0に設定し、当該実空燃比A/Fがaf[0]よりもリーンであるときは、ディレー時間TDをゼロに設定することとした。一方、自然復帰の場合には、図3(C)に示すように、上記実空燃比A/Fが所定値af[0]よりもリーンでないときは、掃気開始回転数NE2を所定値Aに設定し、当該実空燃比A/Fがaf[0]よりもリーンであるときは、掃気開始回転数NE2を所定値Aに比して低い所定値Bとなるように設定することとした。
次に、図4を参照して、実施の形態1における具体的な処理について説明する。
図4は、上記の機能を実現するために、本実施の形態1においてECU50が実行するルーチンのフローチャートである。尚、本ルーチンは、所定時間毎に周期的に実行されるものとする。
図4に示すルーチンでは、先ず、減速時のF/C実行中であるか否かが判別される(ステップ100)。その結果、F/C実行中であると認められた場合には、実空燃比A/Fが所定値af[0]よりリーンであるか否かが、空燃比センサ34の出力に基づいて判別される(ステップ102)。この所定値af[0]は、排気ガス再循環経路における実空燃比A/Fが燃料噴射を再開させても失火が生じない程度の値となっているか否かを判別できる値となるように予め設定されたものである。
上記ステップ102において、実空燃比A/Fが所定値af[0]よりリーンでないと判定された場合には、強制復帰時に使用されるディレー時間TDが所定時間TD0に設定される(ステップ104)と共に、自然復帰時に使用される掃気開始回転数NE2として所定値Aが選択される(ステップ106)。尚、上記ステップ104においては、ディレー時間TDを所定時間TD0に設定することとしているが、強制復帰時の燃料噴射の再開時点の設定手法はこれに限らず、強制復帰条件の成立後に必要となる内燃機関10のサイクル数Xに基づいて、当該燃料噴射の再開時点を設定するものであってもよい。
一方、上記ステップ102において、実空燃比A/Fが所定値af[0]よりリーンであると判定された場合には、強制復帰時に使用されるディレー時間TDがゼロに設定される(ステップ108)と共に、自然復帰時に使用される掃気開始回転数NE2として、上記所定値Aに比して低い所定値Bが選択される(ステップ110)。
上述したように、F/C実行期間が長くなるにつれ、実空燃比A/Fは次第にリーンになっていく。このような状況下において、ディレー時間TDが常に一律な値に設定されていると、強制復帰の場合には、EGRガスの掃気が十分に行われているにも関わらず、不必要なディレー時間TDが継続されることになる。すなわち、機関のドライバビリティの悪化を大きく招くことになる。また、上記のような状況下において、ディレー時間TDが常に一律な値に設定されていると、すなわち、掃気開始回転数NE2が常に一律な値に設定されていると、自然復帰の場合には、EGRガスの掃気が十分に行われているにも関わらず、不必要に早いタイミングで掃気が開始されることになる。すなわち、触媒30、32の劣化抑制効果が低減してしまうことになる。
これに対し、以上説明した図4に示すルーチンによれば、F/C実行中の排気ガス再循環経路における実空燃比A/Fの状態に基づいて、不必要なディレー時間TDの実行や不必要な掃気開始回転数NE2の早期化を回避することができる。このため、本実施の形態のシステムによれば、強制復帰時の機関のドライバビリティを改善し、また、自然復帰がされる場合の触媒30、32の劣化抑制効果を良好に確保することができる。
尚、上述した実施の形態1においては、ECU50が、内燃機関の減速時にF/Cを実行することにより前記第1の発明における「燃料カット実行手段」が、減速時のF/C実行中にスロットルバルブ18を全閉に制御することにより前記第1の発明における「スロットル制御手段」が、EGR弁40の開度を適当に調整して外部EGR量を制御することにより前記第1の発明における「EGR制御手段」が、上記ステップ104の処理を実行することにより前記第1の発明における「ディレー時間設定手段」が、空燃比センサ34の出力に基づいて実空燃比A/Fを取得することにより前記第1の発明における「空燃比取得手段」が、上記ステップ102の処理を実行することにより前記第1の発明における「空燃比状態判別手段」が、上記ステップ108の処理を実行することにより前記第1の発明における「ディレー時間修正手段」が、それぞれ実現されている
た、上述した実施の形態1においては、掃気開始回転数NE2が前記第3の発明における「第1所定回転数」に、復帰回転数NE1が前記第3の発明における「第2所定回転数」に、それぞれ相当していると共に、ECU50が上記ステップ110の処理を実行することにより前記第3の発明における「掃気開始回転数修正手段」が実現されている。
実施の形態2.
次に、図5および図6を参照して、本発明の実施の形態2について説明する。
本実施形態のシステムは、図1に示すハードウェア構成を用いて、ECU50に図4のルーチンに代えて、後述する図6のルーチンを実行させることにより実現されるものである。
図5は、本実施の形態2におけるEGRガスの掃気時間を切り替えるための所定値af[3]の取得手法を説明するためのタイミングチャートである。より具体的には、図5(A)は、F/C中の実空燃比A/Fの変化およびその後の予測値を、図5(B)は、強制復帰時のディレー時間TDの設定を、図5(C)は、自然復帰時における掃気開始回転数NE2の設定を、それぞれ示している。尚、図5(A)に実線で示す部分の空燃比A/Fの値は、上述した空燃比センサ34の出力に基づくものであり、また、図5(A)に中に破線で示す部分の空燃比A/Fの値は、予測値を示している。
空燃比センサ34の仕様によっては、図5(A)に示すように、EGRガスの掃気時間を切り替えるための空燃比A/Fの所定値af[3]が、空燃比センサ34の計測限界値af[2]よりも更にリーン側となる場合がある。本実施形態のシステムは、そのような場合に適用されるシステムである。以下、そのような場合に、ECU50が実行する具体的な処理について、図6に示すルーチンを参照しながら説明する。尚、本ルーチンは、所定時間毎に周期的に実行されるものとする。また、図6において、実施の形態1における図4に示すステップと同一のステップについては、同一の符号を付してその説明を省略または簡略する。
図6に示すルーチンでは、先ず、減速時のF/C実行中であるか否かが判別され(ステップ100)、F/C実行中でないと判定された場合には、ECU50が備えるタイマーがリセットされた後(ステップ200)、今回のサイクルの処理が終了される。一方、F/C実行中であると判定された場合には、強制復帰時に使用されるディレー時間TDが所定時間TD0に設定される(ステップ104)と共に、自然復帰時に使用される掃気開始回転数NE2として所定値Aが選択される(ステップ106)。
次に、実空燃比A/F<所定値af[1]が成立するか否かが判別される(ステップ202)。所定値af[1]は、空燃比変化量ΔA/Fを算出する際の実空燃比A/Fの計測開始時点t3を決定するためのしきい値である。上記ステップ202において、実空燃比A/Fが所定値af[1]よりリッチであると判定された場合には、タイマーがクリアされる(ステップ200)。
一方、実空燃比A/Fが所定値af[1]よりリッチでないと判定された場合には、次いで、実空燃比A/F=所定値af[1]が成立するか否かが判別され(ステップ204)、実空燃比A/F=所定値af[1]が成立すると判定された場合には、タイマーの計測が開始される(ステップ206、図5(A)中に示す時点t3参照)。
上記ステップ204において、実空燃比A/F=所定値af[1]が不成立であると判定された場合には、次いで、実空燃比A/F=所定値af[2]が成立するか否かが判別される(ステップ208)。所定値af[2]は、実空燃比A/Fの計測限界値であると共に、空燃比変化量ΔA/Fを算出する際の実空燃比A/Fの計測終了時点t4を決定するためのしきい値である。上記ステップ208において、実空燃比A/Fが所定値af[2]に達するまでの間は、上記ステップ208の条件が不成立となり、次いで、実空燃比A/F>所定値af[2]を判定するステップ210の条件も不成立となる。
一方、上記ステップ208において、実空燃比A/F=所定値af[2]の成立が認められた場合には、実空燃比A/Fの計測が終了され(図5(A)中に示す時点t4参照)、所定値af[1]から所定値af[2]に達するまでのタイマー値T1に基づいて、当該時間T1当たりの空燃比変化量ΔA/Fが算出される(ステップ212)。次いで、当該空燃比変化量ΔA/Fに基づいて、タイマーの計測開始時点t3から実空燃比A/Fが所定値af[3]に到達する時点t5までの時間T2が算出される(ステップ214)。
図6に示すルーチンでは、減速時のF/C実行中に(ステップ100)、上記ステップ210において、実空燃比A/F>所定値af[2]の成立が判定された場合には、現在のタイマー値≧タイマー値T2が成立するか否かが判別される(ステップ216)。その結果、現在のタイマー値≧タイマー値T2の成立が認められた場合には、強制復帰時に使用されるディレー時間TDが所定時間TD0からゼロに変更され(ステップ108)、また、自然復帰時に使用される掃気開始回転数NE2として所定値Aから所定値Bに変更される(ステップ110)。
以上説明した通り、図6に示すルーチンによれば、EGRガスの掃気時間を切り替えるための空燃比A/Fの所定値af[3]が空燃比センサ34の計測限界値af[2]を超えるような場合であっても、ディレー時間TDや掃気開始回転数NE2を切り替えるための適切なタイミングを取得することができる。
実施の形態3.
次に、図7乃至図9を参照して、本発明の実施の形態3について説明する。
本実施形態のシステムは、図1に示すハードウェア構成を用いて、ECU50に図4のルーチンに代えて、後述する図9のルーチンを実行させることにより実現されるものである。
図7は、本実施の形態3における自然復帰時の復帰動作を説明するための図である。図7において、NE1が、通常時、すなわち上記触媒劣化抑制制御を実行していない場合のF/Cからの復帰回転数(燃料噴射再開回転数)であり、NE2が、上記触媒劣化抑制制御を実行している場合におけるEGRガスの掃気開始回転数である点は、上述した実施の形態1等と同様である。上述したように、上記触媒劣化抑制制御を実行している場合において、不実行の場合と同様の復帰回転数NE1が到来した時点t2で、EGRガスの掃気を開始させ、かつ、燃料噴射を再開させたのでは、機関がストールしてしまうことになる。そこで、本実施形態においても、燃料噴射の再開に先立って、掃気回転数NE2でEGRガスの掃気を開始させている。
本実施形態のシステムは、上記触媒劣化抑制制御を実行している場合には、原則として、通常時の復帰回転数NE1からそのNE1に比して高く設定された触媒劣化抑制制御実行時の復帰回転数NE3に変更しているという点で、上述した実施の形態1等と異なっている。すなわち、ディレー時間TDを設けているときに通常時の復帰回転数NE1でF/Cから復帰を行おうとすると、ディレー時間TDの経過中に機関がストールに至る可能性があるので、その分を見込んで復帰回転数をNE1からNE3に上げている。しかし、F/Cからの復帰回転数をNE1からNE3に上げることは、F/C実行時間の短縮に繋がるため、燃費低減の観点からは不利となる。ところが、ディレー時間TDが短くされていれば、前記のように復帰回転数をNE1からNE3に上げる必要がなくなるので、その分だけ復帰回転数を下げることができる。そこで、本実施形態のシステムでは、以下の図8に示す手法のように、ディレー時間TDの設定に応じて、復帰回転数NE3を変更することとした。
F/C実行中の排気ガス再循環経路における実空燃比A/Fは、図8(A)に示すように、F/C実行時間の経過に応じてリーンになっていく。そこで、本実施形態では、図8(B)に示すように、上記実空燃比A/Fが所定値af[0]よりもリーンでないときは、上述した実施の形態1等と同様に、ディレー時間TDを所定時間TD0に設定することとし、この場合には、復帰回転数NE3を所定値Cに設定することとした。また、当該実空燃比A/Fがaf[0]よりもリーンであるときは、EGRガスの掃気が進行していると判断できるため、ディレー時間TDを短くし、より具体的には、ゼロにする。そして、この場合には、復帰回転数NE3を所定値Cに比して低い所定値Dとなるように設定することとした。
図9は、上記の機能を実現するために、本実施の形態3においてECU50が実行するルーチンのフローチャートである。尚、図9において、実施の形態1における図4に示すステップと同一のステップについては、同一の符号を付してその説明を省略または簡略する。図9に示すルーチンでは、減速F/C中に実空燃比A/Fが所定値af[0]よりリーンでないと判定された場合には(ステップ100および102)、上述したステップ104の処理が実行されると共に、自然復帰時に使用される復帰回転数NE3として、所定値Cが選択される(ステップ300)。
一方、上記ステップ102において、実空燃比A/Fが所定値af[0]よりリーンであると判定された場合には、上述したステップ108の処理が実行されることにより、ディレー時間TDがゼロに設定される。本ルーチンでは、ディレー時間TDがゼロに設定されている場合には、自然復帰時に使用される復帰回転数NE3として、上記所定値Cに比して小さい所定値Dが選択される(ステップ302)。
以上説明した通り、図9に示すルーチンによれば、ディレー時間TDがゼロに設定された場合には、F/Cからの復帰回転数NE3は、触媒劣化抑制制御実行時の通常の復帰回転数(所定値C)に比して低い復帰回転数(所定値D)に変更される。ディレー時間TDが短くされていれば、復帰回転数NE3を上げる必要がなくなるので、その分だけ復帰回転数を下げることができる。このため、本実施形態のシステムによれば、F/Cからの自然復帰時の機関回転数の過上昇を抑制することができる。これにより、F/C実行時間を適切に長く確保することができ、燃料消費量の低減を実現することができる。
ところで、上述した実施の形態3においては、空燃比センサ34の実測値に基づいて、実空燃比A/Fが所定値af[0]よりリーンであるか否かを判定し、その判定結果に基づいてディレー時間TDを変更し、当該ディレー時間TDに応じて、復帰回転数NE3を変更することとしている(図9のルーチン参照)が、本発明はこれに限定されるものではなく、上述した図6に示すルーチンの手法を適用して、ディレー時間TDに応じて復帰回転数NE3を変更してもよい。
[変形例]
上述した実施の形態1乃至3においては、排気通路16における上流触媒30の上流側に設けられた空燃比センサ34の出力に基づいて、排気ガス再循環経路における実空燃比A/Fを計測することとしているが、当該空燃比A/Fを取得する目的での空燃比センサの配置場所は、排気ガス再循環経路中に設けられてさえいれば、これに限定されるものではない。
また、上述した実施の形態1乃至3においては、実空燃比A/Fが所定値af[1]や所定値af[3]よりリーンであるか否かに基づいて、ディレー時間TD、掃気開始回転数NE2、或いは復帰回転数NE3を切り替えることとしているが、本発明において、F/C実行中の排気ガス再循環経路における空燃比A/Fの状態に基づいて、F/Cからの復帰動作の開始(EGRガスの掃気開始)から燃料噴射再開までの時間を修正するための手法は、これに限定されるものではなく、例えば、実空燃比A/Fがよりリーンになるほど、ディレー時間TDを徐々に短くしていき、また、掃気開始回転数NE2や復帰回転数NE3を徐々に低くしていくものであってもよい。
また、上述した実施の形態1乃至3においては、減速時のF/C実行中にEGR弁40の開度を適当に調整することにより、吸気通路14を介して燃焼室12に排気ガスを還流させることとしているが(外部EGR制御)、減速時のF/C実行中に排気ガスを還流させる手法はこれに限定されるものではない。すなわち、弁体の開弁特性(開弁時期、作用角、リフト量など)を変更することが可能な可変動弁機構を、吸気弁24および排気弁26の少なくとも一方を駆動する機構として備え、当該可変動弁機構の状態を変えることによりバルブオーバーラップ期間を変化させ、その結果として内部EGR量を変化させるものであってもよい。また、内部EGR量を変化させる手法は、バルブオーバーラップ期間を増減させる手法に限定されるものではない。例えば、排気弁26の閉弁時期を、排気上死点以前のクランク角領域に設定した場合、その閉弁時期を前後させることにより、排気行程において筒内に閉じ込められる残留ガス量が増減する。このため、内部EGR量は、排気弁26の閉弁時期を排気上死点以前のクランク角領域で調整することにより増減させることとしてもよい。
本発明の実施の形態1の構成を説明するための図である。 減速時のF/Cからの復帰態様が自然復帰である場合の復帰動作を説明するための図である。 減速時のF/C中における本発明の実施の形態1のシステムの特徴的動作を説明するためのタイミングチャートである。 本発明の実施の形態1において実行されるルーチンのフローチャートである。 本発明の実施の形態2におけるEGRガスの掃気時間を切り替えるための所定値af[3]の取得手法を説明するためのタイミングチャートである。 本発明の実施の形態2において実行されるルーチンのフローチャートである。 本発明の実施の形態3における自然復帰時の復帰動作を説明するための図である。 減速時のF/C中における本発明の実施の形態3のシステムの特徴的動作を説明するためのタイミングチャートである。 本発明の実施の形態3において実行されるルーチンのフローチャートである。
符号の説明
10 内燃機関
14 吸気通路
16 排気通路
18 電子制御式スロットルバルブ
30 上流触媒
34 空燃比センサ
38 排気ガス還流通路
40 EGR弁
50 ECU(Electronic Control Unit)
52 アクセルポジションセンサ

Claims (3)

  1. 内燃機関の減速時に燃料カットを行う燃料カット実行手段と、
    燃料カット実行中に、スロットルバルブが略全閉となるように制御するスロットル制御手段と、
    燃料カット時に排気ガス再循環量を増量するEGR制御手段と、
    燃料カットからの復帰時に排気再循環ガスを掃気させるための時間であって当該掃気の開始から当該掃気が終了するまで燃料噴射の再開を遅らせるために設定される時間であるディレー時間を設定するディレー時間設定手段と、
    排気ガス再循環経路における空燃比を取得する空燃比取得手段と、
    前記空燃比取得手段により取得された空燃比に基づいて、燃料カット実行中の空燃比の状態を判別する空燃比状態判別手段と、
    前記空燃比状態判別手段により空燃比がリーンであると判定された場合は、前記ディレー時間が短くなるように修正するディレー時間修正手段と、
    を備えることを特徴とする内燃機関の制御装置。
  2. 前記ディレー時間が短い場合は、燃料カットからの自然復帰回転数を下げることを特徴とする請求項1記載の内燃機関の制御装置。
  3. 燃料カット実行中に機関回転数が第1所定回転数まで低下した時点で前記EGR制御手段により排気再循環ガスの掃気を開始させ、機関回転数が前記第1所定回転数より低い第2所定回転数まで低下した時点で当該燃料カットからの自然復帰を行う内燃機関の制御装置であって、
    前記空燃比状態判別手段により空燃比がリーンであると判定された場合は、前記第1所定回転数が低くなるように修正する掃気開始回転数修正手段を備えることを特徴とする請求項1または2記載の内燃機関の制御装置。
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