本発明に係る触媒燃焼装置によれば、燃料ガスを供給するガス供給部と、ガス供給部に連通して配設され燃料ガスを触媒燃焼させる触媒を担持する触媒燃焼部とを備える。ガス供給部としては、改質原料を改質させて改質ガスを燃料ガスとして生成する改質部とすることができる。改質ガスは、燃料ガスは水素を主要成分とするガスである形態を例示することができる。水素は比重及び粘性が小さく、比熱及び拡散係数が高く、更に燃焼速度が速く、燃焼により水分が生成されるという性質を有する。
触媒燃焼部は、ガス供給部に連通して配設されており、燃料ガスを触媒燃焼させる触媒を担持する。触媒燃焼は、燃料ガスと酸素とを触媒の存在下で酸化反応させる燃焼であり、多くの場合には無炎燃焼の形態(場合によっては有炎燃焼)で燃焼し、触媒を用いない通常の燃焼に比較して燃焼開始温度及び燃焼温度が低く、高温燃焼領域を発生させることなく燃焼させ得る。またガスの組成が変動するときであっても、着火性、燃焼性を安定化させ得る。なお、無炎燃焼は目視で炎が実質的に視認できない酸化燃焼の形態をいう。用いられる触媒としては、白金、ロジウム、パラジウム、ルテニウム、イリジウム、オスミウム等の白金属金属、あるいは、ニッケル、コバルト、鉄、マンガン、クロム、銀等を含む金属酸化物のうちの少なくとも1種を例示できる。触媒は担体に担持されていてもよい。担体としてはペレット担体でも、モノリス担体でもよい。
触媒燃焼部の触媒燃焼を制御する触媒燃焼制御部が設けられている。触媒燃焼制御部は、燃料ガスと空気とが火炎を生成しつつ燃焼する可燃範囲から外れる領域において触媒燃焼部を着火させる着火操作と、着火操作後あるいは着火判定後に、触媒燃焼部に供給する単位時間当たりの空気量を着火操作時よりも増加させる増量操作とを実行する。着火は、酸化燃焼反応が開始され、持続するようになる現象をいう。着火の有無については、例えば、触媒燃焼部の温度がある温度上昇することにより着火と判定することができる。その温度は触媒、燃料ガス等の種類によって変わり得る。
触媒燃焼における燃焼性は良好であるため、可燃範囲から外れる領域においても触媒燃焼部を着火させることができる。着火操作においては、可燃範囲から外れる領域であるものの、可燃限界に近い領域で着火させることができる。着火を良好に行うためである。この場合、可燃限界で規定される単位時間当たりの空気流量[Nl/min]を相対比で100としたとき、改質用燃料(天然ガス13A)の流量として例えば40〜98、殊に50〜90に設定することができる。
触媒燃焼制御部の増量操作は、着火操作後あるいは着火判定後に、触媒燃焼部に供給する燃料ガスの単位時間当たりの流量の変化を抑えつつ、触媒燃焼部に供給する単位時間当たりの空気量を着火操作時よりも増加させることにより実行する形態を例示することができる。この場合、増量操作において、触媒燃焼部に供給する燃料ガスの流量の変化が抑えられているため、燃料ガスの制御が容易である。
また、触媒燃焼制御部の増量操作は、触媒燃焼部に供給する燃料ガスの単位時間当たりの流量を減少させつつ、触媒燃焼部に供給する単位時間当たりの空気量を着火時よりも増加させることにより実行する形態を例示することができる。この場合、触媒燃焼部に供給する燃料ガスの流量が減少されるため、触媒燃焼部に供給する空気量の割合を効率よく増加させることができる。
増量操作において、触媒燃焼部に担持されている触媒の耐熱温度域に触媒燃焼部の温度が長い時間(例えば30分以上)保持されないように設定されている形態を例示することができる。この場合、触媒燃焼部に担持されている触媒の熱劣化が抑制され、触媒の長寿命化を図り得る。殊に、増量操作において、触媒燃焼部に担持されている触媒の耐熱温度域よりも触媒燃焼部の温度が低くなるように設定されている形態を例示することができる。
なお、着火操作時において、空燃比λは例えば0.10〜0.13に設定することができるが、これに限定されるものではない。増量操作において、空燃比λは例えば0.10〜0.30、0.13〜0.25に設定することができるが、これに限定されるものではない。空燃比λは、可燃性の燃料流量に対する空気流量の比である。また水素は着火エネルギが小さいため、触媒燃焼として水素を使用すれば、低温でも着火できる(着火性良好)。
触媒燃焼部の温度を検知する温度センサ等の温度検知手段が設けられており、温度検知手段で検知される触媒燃焼部の温度が着火操作前よりも設定温度以上越えたとき、触媒燃焼制御部は触媒燃焼部が着火したと判定する形態を例示することができる。この場合、温度センサ等の温度検知手段により着火を確認できる。触媒燃焼部が着火したと判定されないときには、触媒燃焼制御部は異常と判定することができる。
本発明によれば、触媒燃焼部により暖機される暖機対象物が設けられている。暖機対象物は、ガス供給部から供給された燃料ガスを浄化させる浄化部とすることができる。この場合、触媒燃焼部は、燃料ガスが流れる流路においてガス供給部と浄化部との間に配設されており、且つ、浄化部を暖機する形態を例示することができる。浄化部としては、燃料ガスに含まれている不純物(例えば一酸化炭素)を低減させる不純物低減部を例示することができる。また、不純物低減部としては、燃料ガスに含まれている一酸化炭素と燃料ガスとを分離させる分離膜を例示することができる。また、不純物低減部としては、燃料ガス中のCOを低減させるCO低減部を例示できる。CO低減部は、燃料ガスに含まれている一酸化炭素の濃度を低減させる機能を有するものであればよい。CO低減部は、燃料ガスに含まれている一酸化炭素の濃度を低減させるCO第1低減部と、燃料ガスに含まれている一酸化炭素の濃度を更に低減させるCO第2低減部とを有することができる。CO第1低減部及びCO第2低減部のうちの一方は、COとH2Oとを反応させてCOを低減させる方式を例示することができる。CO第1低減部及びCO第2低減部のうちの他方は、COとO2とを反応させてCOを低減させる方式、COとH2とを反応させてCH4とH2Oを生成しCOを低減させる方式を例示することができる。
本発明に係る触媒燃焼装置によれば、浄化部等の暖機対象物が設定温度以上に到達したら、触媒燃焼制御部は、触媒燃焼部への空気の供給を停止又は減少させる。暖機対象物が設定温度以上に到達したら、浄化部に対する暖機の必要性が解消されるため、触媒燃焼部で燃焼を継続させなくても良いためである。
更にまた、改質部と触媒燃焼部との間に冷却部が設けられている形態を例示することができる。冷却部は、改質部で改質された改質ガスが触媒燃焼部に供給される前に高温の改質ガスを冷却する。ここで、冷却部は、改質部で改質され触媒燃焼部に供給される改質ガスの温度を冷却すると共に、改質部に供給される前の改質原料を加熱する熱交換機能を有する形態を例示することができる。
また、燃料ガスに含まれている湿分を低減させる湿分低減手段が触媒燃焼部の上流に設けられている形態を例示することができる。この場合、触媒燃焼の着火性、燃焼性を一層高めることができる。
以下、本発明の実施例1を図1〜図4を参照して具体的に説明する。本実施例に係る改質装置は燃料電池発電システムに適用したものである。図1は改質装置のシステム図である。図2は改質装置の要部を模式的に示す図である。図3及び図4は触媒燃焼部を示す。
図1に示すように、燃料電池のスタック1が設けられている。スタック1は燃料電池の複数のセルを積層したものである。セルは、改質ガス(燃料ガス)が供給される燃料極10と、酸化剤としての酸素を含む酸素含有ガスが供給される酸化剤極11と、燃料極10及び酸化剤極11で挟持された電解質膜12とを有する。
ガス供給装置として機能できる改質装置2は、改質原料を水蒸気改質させることにより水素を主要成分とする改質ガス(燃料ガス)を生成する改質装置(ガス供給部)2と、改質装置2で生成された改質ガスに含まれている不純物としての一酸化炭素を低減させるCO低減部3A(浄化部)とを備えている。改質原料は燃料系原料及び水系原料である。燃料系原料は例えば都市ガス、LPG、灯油、メタノール等のアルコール類、ジメチルエーテル等のエーテル類等の炭化水素系燃料が例示される。
図2に示すように、改質装置2は、改質反応を促進させる改質触媒20cを有する改質部20と、燃料系原料及び空気が供給されるバーナ21と、燃料系原料が燃焼する燃焼帯22と、燃焼帯22から伝達された熱により水系原料を蒸発させる蒸発部23とを有する。燃焼帯22の熱は改質部20及び蒸発部23に伝達される。改質部20に設けられている改質触媒20cの活性温度域は、一般的には500〜800℃であるが、これに限られるものではない。
図2に示すように、バーナ21には燃料系原料と燃焼用の空気とが供給され、燃料系原料の燃焼により改質部20が高温領域に加熱される。改質部20は、下記の式(1)に基づいて、改質原料(燃料系原料と水系原料)とを反応させて水蒸気改質を行い、水素を主要成分とする改質ガスを生成する。改質部20で生成された改質ガスにはCOが副生成物として生じることがある。この場合、COの濃度は一般的には5〜15%であるが、これに限られるものではない。なおCOの濃度はモル%を基準とする。
図1に示すように、CO低減部3Aは改質装置2の下流に配設されており、CO第1低減部としてのシフト部3と、CO第2低減部としてのCO浄化部4とで形成されている。シフト部3は、下記の式(2)に基づいてシフト反応を促進させるシフト触媒3cを有する。シフト触媒3cの活性温度域は一般的には200〜300℃であるが、これに限られるものではない。シフト触媒3cは例えば銅−亜鉛系の触媒を主要成分とするが、これに限定されるものではない。
CO浄化部4は、下記の式(3)に基づいてCOを二酸化炭素に酸化させて低減させる反応を促進させる浄化触媒4c(例えばルテニウム系)を有しており、更に、浄化触媒4cを担持したセラミックス製の担体(例えばアルミナ系)を有する。浄化触媒4cの活性温度域は一般的には100〜200℃であるが、これに限られるものではない。
シフト部3で浄化された改質ガスに含まれているCOの濃度は、一般的には0.2〜1%であるが、これに限られるものではない。CO浄化部4で浄化された改質ガスに含まれているCOの濃度は一般的には10ppm以下であるが、これに限られるものではない。
式(1)…CH4+H2O→3H2+CO
式(2)…CO+H2O→H2+CO2
式(3)…CO+1/2O2→CO2
図1に示すように、触媒燃焼させる触媒燃焼部として機能する触媒燃焼部5は、CO低減部としてのシフト部3と改質装置2との間に介在しており、シフト部3を暖機させる暖機部として機能できる。触媒燃焼部5は、改質装置2に連通する入口5sと、シフト部3に連通する出口5eとを有する。触媒燃焼部5は、シフト部3を昇温させやすいように、改質装置2の下流で且つシフト部3の上流側において、シフト部3に隣接して配設されている。つまり、起動時に改質装置2で生成された改質ガスがシフト部3(浄化部)に向けて流れる流路において、改質装置2の下流で且つシフト部3の上流に触媒燃焼部5の触媒燃焼部本体50を配置することにより構成されている。これが触媒燃焼部本体昇温促進手段を構成する。
起動時には、触媒燃焼部5の触媒燃焼部本体50の暖機用導入口5iに、改質装置2で生成された改質ガス(燃料ガス)が導入される。よって触媒燃焼部本体50は、改質ガスを燃焼させて燃焼熱を用いてシフト部3(暖機対象物)を起動時に暖機するものである。暖機により、改質ガス中の一酸化炭素をシフト部3において低減させる反応を促進させる。
図3及び図4は上記した触媒燃焼部5の概念を示す。触媒燃焼部5は触媒燃焼機能を有するものであり、触媒燃焼させる触媒5c(例えばPt−Pd系)を有する。具体的には、触媒燃焼部5は、触媒燃焼用の触媒5cを担持したセラミックス製の担体(例えばアルミナ)を備えた複数の触媒燃焼部本体50と、複数の改質ガス通路51と、改質ガス通路51を遮蔽する遮蔽部52とを有する。触媒燃焼部本体50は通気性を有しており、改質ガスを燃焼させつつ透過させることができる。触媒5cを担持する担体はペレット状でも、モノリス状でも良い。前述したように、触媒燃焼は、燃料ガスと酸素とを酸化反応させる触媒であり、一般的には無炎燃焼であり(場合によっては有炎燃焼)、燃焼触媒を用いない通常の燃焼に比較して燃焼が安定していると共に燃焼温度が低い。
図3に示すように、触媒燃焼部5の改質ガス通路51の一端部側の入口5sは改質部20に連通している。改質ガス通路51の他端部側の出口5eはシフト部3に連通している。従って、改質部20で生成された改質ガスは、触媒燃焼部5において、入口5s→改質ガス通路51→出口5eを通過し、シフト部3に向かう。図4に示すように、触媒燃焼部5において、触媒燃焼部本体50と改質ガス通路51とは互いに対面している。これにより改質ガス通路51を通過する高温の改質ガスにより、起動時における触媒燃焼部本体50の昇温速度は高められている。
本実施例によれば、図1に示すように、改質装置2と触媒燃焼部5との間に冷却部6が設けられている。冷却部6は、改質装置2で改質された改質ガスが触媒燃焼部5に供給される前に高温の改質ガスを冷却するためのものである。ここで、図2に示すように、冷却部6は、改質部20で改質された改質ガスを触媒燃焼部5の改質ガス通路51に向けて供給するガス通路60と、改質部20に供給される前の改質原料(燃料系原料及び水系原料)を通過させる原料通路61を有する。この結果、ガス通路60を通過する改質ガスを冷却すると共に、原料通路61を通過する改質原料を加熱する。このため冷却部6は、改質装置2に供給される前であり温度が相対的に低い改質原料と、改質装置2から吐出された後であり温度が相対的に高い改質ガスとを熱交換させる熱交換部として機能することができる。
図1を参照して配管系について更に説明を加える。燃料系原料を改質原料としてバーナ21または改質部20に供給する第1通路71が設けられている。第1通路71には、燃料系原料をバーナ21に搬送するポンプ等の搬送要素71mが設けられ、燃料系原料を改質部20に搬送するポンプ等の搬送要素71nが設けられている。更に、水系原料を改質原料として改質部20に供給する第2通路72が設けられている。第2通路72には水系原料を搬送するポンプ等の搬送要素72mが設けられている。空気(酸素含有ガス)を第1バルブ81を介して触媒燃焼部5の暖機用導入口5i側に供給する第3通路73が設けられている。第3通路73には空気を搬送するファン、コンプレッサ、ブロア、ポンプ等の搬送要素73mが設けられている。更に、空気をバーナ21に供給する空気通路76が第3通路73に連通するように搬送要素73xと共に設けられている。空気をスタック1の酸化剤極11に供給する酸化剤通路11kが第3通路73に連通するように搬送要素73wと共に設けられている。
図1に示すように、CO浄化用の空気を第2バルブ82を介してCO浄化部4に供給する第4通路74が設けられている。シフト部3とCO浄化部4とを繋ぐ接続通路77が設けられている。CO浄化部4の出口4p側とスタック1の燃料極10の入口10i側とを第3バルブ83を介して繋ぐ第5通路75が凝縮器87’と共に設けられている。燃料電池のスタック1の燃料極10の出口10p側と改質装置2のバーナ21とを繋ぐ第1リターン通路78が設けられている。第1リターン通路78には、第4バルブ84、凝縮器87、第5バルブ85が直列にスタック1からバーナ21に向かうにつれて順に設けられている。
図1に示すように、スタック1を迂回するように、CO浄化部4の出口4p側と凝縮器87の入口87i側とを迂回用のバルブ79vを介して繋ぐ第1迂回通路79が設けられている。更に、凝縮器87の出口87p側と触媒燃焼部5の暖機用導入口5i側とを第6バルブ86を介して繋ぐ第2迂回通路80が設けられている。改質ガスを流す第2迂回通路80は、空気用を流す第3通路73と合流部80xで合流する。触媒燃焼部5の暖機用導出口5p側とバーナ21とを繋ぐ第2リターン通路70が設けられている。
更に、図2を参照して説明を加える。図2に示すように、改質部20は内側部20iと外側部20pと折り返し部20mとを有する。そして燃料電池システムの起動時、つまり、改質装置の起動時には、燃料系原料と燃焼用の空気とをバーナ21に供給しつつバーナ21を着火させ、燃料系原料を改質装置2において燃焼させる。これにより改質部20及び蒸発部23が次第に加熱される。この状態で、燃料系原料と水系原料とが改質部20に供給される。この場合、水系原料は蒸発部23を通過するときに水蒸気化される。水蒸気と燃料系原料とは合流域71sで合流し、冷却部6の原料通路61を介して矢印B2,B3方向に流れ、改質部20の外側部20pに供給される。このように改質原料が冷却部6の原料通路61を通過するとき予熱される。
図2において、上記した改質原料は、改質部20の外側部20pに流入し、外側部20pにおいて矢印B4方向に進み、更に、改質部20の折り返し部20mにおいて矢印B5方向に折り返し、更に、改質部20の内側部20iを矢印B6方向に進む。このように改質原料が改質部20の内部を通過するときに水蒸気改質され、改質ガスが生成される。生成された改質ガスは冷却部6のガス通路60を矢印C1方向に進み、触媒燃焼部5の改質ガス通路51を経てシフト部3に至る。
ここで本実施例によれば、上記した式(1)に基づいて水蒸気改質が行われ、COを含む水素リッチな改質ガスが生成される。シフト部3においては、上記した式(2)のシフト反応に基づいて改質ガス中のCOが低減される。CO浄化部4においては、上記した式(3)に基づいて改質ガス中のCOが更に低減される。これによりスタック1での発電反応に適するように、改質ガス中のCOが低減される。
ところで、起動時においては、改質部20の温度が低く、改質部20で生成される改質ガスのCO濃度が高く、しかも、シフト部3の温度は低いためこれの活性温度域には到達していない。故にシフト部3によるCO低減効果には限界があり、改質ガスをスタック1での発電に用いるには必ずしも充分ではない。このため起動時においては、改質部20で生成された改質ガスをスタック1に供給することなく、スタック1を迂回させる。つまり、図1に示すように、CO浄化部4を経た改質ガスを迂回用のバルブ79v、第1迂回通路79を介して凝縮器87の入口87iに供給し、凝縮器87において改質ガスを冷却させて、改質ガスに含まれている湿分を凝縮させて、改質ガスに含まれている湿分を低減させる。
そして、凝縮器87で湿分を低減させた改質ガスを、凝縮器87の出口87p、第6バルブ86、第2迂回通路80を経て触媒燃焼部5の暖機用導入口5iに導入する。このとき、第1バルブ81を開放させ、空気を第1バルブ81を介して触媒燃焼部5の暖機用導入口5iに導入する。なお本実施例において、改質ガスと空気とは合流域80xで、触媒燃焼部5の暖機用導入口5iに導入される前に合流するが、この形態に限られるものではない。
触媒燃焼部5の暖機用導入口5iに導入された改質ガスは、触媒燃焼部5の暖機用導入口5iに導入された空気と共に、触媒燃焼部本体50の内部を矢印E1方向(図4参照)に通過し、触媒燃焼部本体50において触媒5cにより触媒燃焼される。このため触媒燃焼部本体50で燃焼させない方式に比較して、触媒燃焼部5の触媒燃焼部本体50を早期に昇温させることができる。この結果、起動時において触媒燃焼部5によりシフト部3を早期に昇温することができる。
触媒燃焼部5で触媒燃焼された後のオフガスは、触媒燃焼部5の暖機用導出口5pから下流に至り、第2リターン通路70、第1リターン通路78を経てバーナ21に戻される。このオフガスには燃焼成分が含まれている可能性があるが、この燃焼成分はバーナ21で燃焼され、その後、排気される。
上記したように触媒燃焼部5を触媒燃焼で加熱する暖機運転時には、第3バルブ83、第4バルブ84、第5バルブ85は閉鎖されているものの、迂回用のバルブ79v、第1バルブ81、第6バルブ86は開放されている。なお、上記したように暖機運転時には、一般的には第2バルブ82を閉鎖しておくが、必要に応じて第2バルブ82を開放し、空気をCO浄化部4に供給しても良い。
起動時から所定時間が経過すれば、改質部20およびシフト部3が次第に加熱され、シフト部3におけるCO低減効果が向上するため、暖機運転から定常運転に移行することができる。定常運転では、第3バルブ83、第4バルブ84、第5バルブ85、第2バルブ82を開放すると共に、迂回用のバルブ79v、第6バルブ86、第1バルブ81を閉鎖する。これにより第1迂回通路79、第2迂回通路80を遮断する。このため定常運転時においては、改質部20で水蒸気改質された改質ガスは、冷却部6、触媒燃焼部5の改質ガス通路51、シフト部3、接続通路77、CO浄化部4、第3バルブ83、第5通路75を順に経て、スタック1の燃料極10の入口10iに供給される。更に、定常運転では酸化剤ガスである空気が酸化剤通路11kのバルブ11vを介してスタック1の酸化剤極11に供給される。これによりスタック1において発電反応が発生し、電気エネルギが生成される。発電に使用された改質ガスのオフガスは、スタック1の燃料極10の出口10p側から、第1リターン通路78、凝縮器87、第5バルブ85を経てバーナ21に供給される。発電に使用された改質ガスのオフガスには燃焼成分が含まれ得るため、この燃焼成分はバーナ21で燃焼された後、排気される。
上記した改質装置の起動時においては、触媒燃焼部5の触媒燃焼部本体50の温度は低く、触媒燃焼部5がシフト部3を暖機させる機能も必ずしも充分ではない。そこで起動時においては改質ガスを触媒燃焼部5の触媒燃焼部本体50に供給して燃焼触媒により燃焼させて触媒燃焼部5を早期に昇温させるものである。
本実施例によれば、前述したように、改質装置2で生成された改質ガスがシフト部3(浄化部)に向けて流れる流路において、改質装置2の下流で且つシフト部3およびCO浄化部4の上流に、触媒燃焼部5の触媒燃焼部本体50を配置することにより、触媒燃焼部本体昇温促進手段が構成されている。このため改質装置2で生成された改質ガスを用いて触媒燃焼部5の触媒燃焼部本体50において燃焼を発生させ、触媒燃焼部本体50を早期に昇温させることができる。
しかも、昇温した触媒燃焼部5の熱を、触媒燃焼部5よりも下流に位置するシフト部3およびCO浄化部4に効果的に伝達させることができる。この結果、起動時においても、シフト部3およびCO浄化部4の昇温速度を早め、シフト部3およびCO浄化部4をこれらの触媒3c,4cの活性温度域に早期に到達させることができ、改質ガスの浄化効率を早期に高めることができる。
また、上記したように触媒燃焼部5を昇温させるときにおいて、触媒燃焼部5の暖機用導入口5iに供給される改質ガスは湿分を有することが多い。改質ガスは水蒸気改質を経ているためである。このため 改質ガスは飽和蒸気圧相当の湿分を有する可能性がある。更に、凝縮器87から触媒燃焼部5に向かう第2迂回通路80において改質ガスが冷却されるため、触媒燃焼部5の暖機用導入口5iに供給される改質ガスには湿分が水滴として含まれていることがある。
そこで本実施例によれば、図3及び図4に示すように、触媒燃焼部5において触媒燃焼部本体50の暖機用導入口5i側には、第1ガス接触部材9が設けられている。ここで、触媒燃焼部本体50の暖機用導入口5iは、起動時において改質ガスが第1ガス接触部材9(湿分低減手段)を介して流れる流路のうち、触媒燃焼部本体50よりも上流に位置している。また触媒燃焼部本体50の暖機用導出口5pは、起動時において改質ガスが第1ガス接触部材9(湿分低減手段)を介して流れる流路のうち、触媒燃焼部本体50よりも下流に位置している。
図3および図4に示すように、第1ガス接触部材9は、暖機運転時において、触媒燃焼部5の触媒燃焼部本体50に供給される改質ガスが衝突して接触する接触部90をもつ邪魔板機能を奏するように板状をなしている。第1ガス接触部材9は、凝縮器87の出口87pから第2迂回通路80を経て供給された改質ガスが流れる通路部分80aに対向している。具体的には、図4に示すように、第1ガス接触部材9は、第2迂回通路80のうち触媒燃焼部5の暖機用導入口5iに繋がる通路部分80aの軸線P1に対して交差する方向に指向している。つまり、第1ガス接触部材9は第2迂回通路80のうち触媒燃焼部5に繋がる通路部分80aの軸線P1に対して直交する方向に指向している。
従って、上記したように改質装置の起動時において、つまり、触媒燃焼部5を昇温させる暖機運転時において、改質ガスが触媒燃焼部5の暖機用導入口5iに導入するとき、その改質ガスは第1ガス接触部材9の接触部90に衝突する。従って、改質ガスに含まれている湿分(水蒸気、水滴等)は、第1ガス接触部材9の接触部90に捕獲され、改質ガスから除去される。殊に本実施例によれば、改質ガスが第1ガス接触部材9の接触部90に衝突する衝突角度θ1及びθ2は90度または90度に近いため、衝突性が高く、改質ガスに含まれている水滴の捕獲に有利である。改質ガスが過飽和状態の水蒸気を含むときには、衝突時の衝撃により液化が進行しやすい。本実施例では、第1ガス接触部材9は、起動時において改質ガスの湿分が触媒燃焼部5の触媒燃焼部本体50に付着することを抑制する湿分抑制手段として機能することができる。
このような本実施例によれば、起動時に、改質ガスに含まれている湿分(水蒸気、水滴等)が触媒燃焼部5の触媒燃焼部本体50、殊に、触媒燃焼部本体50の構成要素である触媒5cの反応サイトに付着することは抑制される。故に、起動時において、触媒燃焼を行う触媒燃焼部本体50における着火性、燃焼性、昇温性を高めることができる。つまり、触媒燃焼部本体50による触媒燃焼を早期に立ち上げ、触媒燃焼部本体50を早期に昇温させることができる。ひいてはシフト部3を早期に昇温させて立ち上げることができる。更に第1ガス接触部材9は、触媒燃焼部5において複数の改質ガス通路51に改質ガスを分散させる機能も奏する。
更に本実施例によれば、図3に示すように、触媒燃焼部5の触媒燃焼部本体50の上流である暖機用導入口5i側には、上流側湿分貯留部53が設けられている。上流側湿分貯留部53は、触媒燃焼部本体50に供給される改質ガスから捕獲した湿分を貯留する空間53rをもつ。上流側湿分貯留部53の底面53dには第1ガス接触部材9が立設されている。上流側湿分貯留部53の底面53dは、触媒燃焼部本体50の底面50dよりも低い位置に設定されている。従って、第1ガス接触部材9の接触部90に付着した湿分が水滴として流下したとしても、上流側湿分貯留部53の底面53dに溜まるものの、触媒燃焼部本体50に進入することは抑えられる。この意味においても、触媒燃焼部本体50を早期に昇温させて、触媒燃焼部本体50による暖機作用を早期に立ち上げることができ、シフト部3を早期に昇温させて立ち上げることができる。
また第2リターン通路70で凝縮した水滴が流下して触媒燃焼部5の下流側に進入するおそれがある。この点について本実施例によれば、図3に示すように、触媒燃焼部5の触媒燃焼部本体50の下流側である暖機用導出口5p側には、湿分を貯留する空間55rをもつ下流側湿分貯留部55が設けられている。下流側湿分貯留部55の底面55dは、触媒燃焼部本体50の底面50dよりも低い位置に設定されている。このため下流側湿分貯留部55に湿分が液体として貯留されたとしても、その湿分が触媒燃焼部本体50に進入することを抑えることができる。この意味においても、触媒燃焼部本体50を早期に昇温させて、触媒燃焼部本体50による暖機作用を早期に立ち上げることができ、シフト部3を早期に昇温させて立ち上げることができる。暖機用導出口5pは、起動時において改質ガスが第1ガス接触部材9を介して流れる流路において触媒燃焼部本体50よりも上流に位置している。
なお、湿分が上流側湿分貯留部53の底面53d、下流側湿分貯留部55の底面55dに液体として溜まるとしても、例えば100cc程度であり、多量ではない。起動時から燃料電池発電システムの定常運転に移行すれば、触媒燃焼部5の上流側湿分貯留部53及び下流側湿分貯留部55は、かなり昇温される。例えば100〜300℃程度に昇温される。このため、起動時に上流側湿分貯留部53の底面53d、下流側湿分貯留部55の底面55dに湿分が溜まったとしても、その湿分は、定常運転時において蒸気化して消失する。故に、湿分が触媒燃焼部本体50に進入することを抑えるのに一層有利となる。
なお、図3及び図4に示すように、触媒燃焼部本体50の下流に設けられている下流側湿分貯留部55には板状の第2ガス接触部材95が立設されている。第2ガス接触部材95は、第2リターン通路70から流下した水が触媒燃焼部本体50に進入することを抑制する。
さて本実施例の要部について説明を加える。図5は可燃限界と断熱火炎温度との関係を示すグラフを示す。断熱火炎温度は、燃料ガスである改質ガスを断熱状態で完全燃焼させたときにおける火炎の理論温度である。図5の横軸は改質原料としての原料ガス(天然ガス13A)が改質装置2に単位時間当たり供給される流量を示す。図5の一方の縦軸は改質ガスの断熱火炎温度を示す。図5の他方の縦軸は可燃限界において単位時間当たり供給される空気流量を示す。ここで、可燃範囲は、酸化燃焼による火炎が伝播して持続できる条件の範囲をいう。可燃限界は可燃範囲の限界をいう。特性線W1は、可燃限界において単位時間当たり供給される空気流量を示す。図5において特性線W1よりも上の領域は、火炎の伝搬が持続する可燃範囲に相当する。特性線W1よりも下の領域は可燃範囲外に相当する。特性線S1〜S6は、触媒燃焼部5に導入される温度に対応する空気流量(飽和蒸気)を示す。図5において、S1は空気(40℃飽和蒸気)が2NL/minを示す。S2は空気(60℃飽和蒸気)が2NL/minを示す。S3は空気(40℃飽和蒸気)が1.5NL/minを示す。S4は空気(60℃飽和蒸気)が1.5NL/minを示す。S5は空気(40℃飽和蒸気)が1NL/minを示す。S6は空気(60℃飽和蒸気)が1NL/minを示す。またTCは触媒燃焼部本体50の触媒5cの耐熱温度を示し、本実施例では750℃に設定されている。なお触媒の耐熱温度は、触媒の劣化を抑えつつ常用される温度の上限をいい、具体的には、その温度において所定時間(例えば1万時間)保持したとき触媒の反応サイトの数が半分低下となる温度をいう。触媒の耐熱温度は触媒の種類によって相違する。
本実施例では、触媒燃焼部5における触媒燃焼を制御する触媒燃焼制御部100が設けられている。触媒燃焼制御部100により触媒燃焼部5の触媒燃焼本体部50に対する着火操作および増量操作が実行される。着火操作によれば、触媒燃焼部5の燃焼開始時において、燃料ガスと空気とが火炎を生成しつつ燃焼する可燃範囲から外れる領域K1(図5)となるように、開放状態の第1バルブ81から空気を、開放状態の第6バルブ86から改質ガスを触媒燃焼部5の暖機用導入口5iに導入し、この結果、領域K1内の条件において触媒燃焼部本体50を着火させる。ここで、領域K1は、改質ガスが燃焼しても火炎が発生しない無炎領域に相当ものであり、触媒5cの耐熱温度を示す特性線W1よりも下方の領域に相当する。領域K1は線K2〜K6で区画されている。触媒燃焼の燃焼性は良好であるため、可燃範囲から外れる領域K1であっても、触媒燃焼部5の触媒燃焼部本体50を着火させることができる。
本実施例によれば、触媒燃焼部本体50が着火したと判定された後に、触媒燃焼制御部100は、触媒燃焼部5の暖機用導入口5iに供給する単位時間当たりの空気量を、着火操作時よりも増加させる増量操作を実行する。この場合、当該空気量を、可燃範囲限を示す特性線W1を越えて可燃範囲内となるようにする。ここで、触媒燃焼部本体50の着火の判定としては、触媒燃焼部本体50の温度が着火操作前の温度T1よりもΔTa(例えば80℃)以上昇温したら、触媒燃焼部本体50が着火したと判定することができる。ΔTaは改質ガスの基本組成、触媒5c等の種類に応じて適宜設定できる。
上記した増量操作時には、第6バルブ86の開度は一定であり、触媒燃焼部5の暖機用導入口5iに供給する燃料ガスの単位時間当たりの流量は、基本的には変化しない。即ち、増量操作では、図5の矢印M1方向に向けて空気を増量させる。このように暖機用導入口5iに供給する改質ガスの単位時間当たりの流量は基本的には変化しないため、増量操作は簡素化され、制御が容易となる。
上記した増量操作においては、触媒燃焼部5の触媒燃焼部本体50の温度が、触媒燃焼部本体50に担持されている触媒5cの耐熱温度TCを越えないように、あるいは、触媒5cの耐熱温度TCを一時的に越えることがあるとしても、越える頻度が過剰になり過ぎないように設定されている。この結果、触媒燃焼部本体50に担持されている触媒5cの熱劣化が抑制されるため、触媒5cの長寿命化に有利である。なお、触媒燃焼部本体50の温度が触媒5cの耐熱温度TCに到達または接近すると、暖機用導入口5iに供給される空気量を低減させることができる。また、触媒燃焼部50の温度が触媒5cの耐熱温度TCを越えると、暖機用導入口5iに供給される空気量の供給を停止させることができる。
上記したように本実施例によれば、改質ガスに含まれている可燃成分と空気との比である空燃比が変動するときであっても、あるいは、触媒5cの温度が低い、燃料ガスに水蒸気や水滴などの湿分が存在しているとき等であっても、触媒燃焼部本体50の着火を良好に行うことができる。故に着火時において、触媒燃焼部5よりも下流配管で火炎が発生するといったことを回避でき、触媒燃焼部5の触媒燃焼部本体50の燃焼の制御に容易となる。更に、着火した後、触媒燃焼部5の触媒燃焼部本体50の燃焼を良好に行うことができるため、触媒燃焼部5における発熱量を確保するのに有利となる。
図6は触媒燃焼制御部100が実行する制御のフローチャートの一例を示す。制御はこのフローチャートに限定されるものではない。まず、改質原料である燃料系原料、水系原料を改質装置2に供給する(ステップS102)。これにより改質装置2により改質ガスが生成される。改質ガスが触媒燃焼部5の改質ガス通路51を通過するため、触媒燃焼部本体50は次第に昇温される。次に、触媒燃焼部本体50の触媒5cの温度が第1設定温度T1(T1:例えば90℃)以上か否か判定する(ステップS104)。なお触媒5cが低温すぎるときには、燃焼触媒の着火は起こりにくいため、触媒燃焼部本体50の触媒5cの温度が第1設定温度T1に到達していなければ、温度が低すぎるため、第1設定温度T1に到達するまで待機する。従って、ステップS104は、触媒燃焼部本体50の触媒5cの温度が着火に適する温度であるか否かを判定する着火適温判定手段を構成する。
触媒燃焼部本体50の触媒5cの温度が第1設定温度T1以上であれば、第6バルブ86を開放させ、改質ガスを第2迂回通路80を介して触媒燃焼部5の暖機用導入口5iに供給する(ステップS106)。一定時間経過した後(ステップS108)、第1バルブ81を開放させ、空気を触媒燃焼部5の暖機用導入口5iに供給し(ステップS110)、触媒燃焼部5を着火させる着火操作を行う。なお、改質ガスを暖機用導入口5iに供給した後に、暖機用導入口5iに空気を供給するのは、無用な着火防止のためである。従って、ステップ106,S108,S110は、燃料ガスを空気よりも優先して触媒燃焼部5に供給する燃料ガス優先手段を構成する。
そして、シフト部3の測温場所が第2設定温度T2(T2:例えば170℃)以下であるか否か判定する(ステップS112)。以上であれば、シフト部3の活性化が充分であり、シフト部3の暖機が必要でないと判定されるため、メインルーチンにリターンする。シフト部3の測温場所が第2設定温度T2未満であれば、シフト部3の活性化が充分ではなく、シフト部3を暖機させる必要があり、ひいては触媒燃焼部5の昇温が必要であると判定される。従ってステップS112は、触媒燃焼部5を昇温させてシフト部3を暖機させる必要性があるか否かを判定する暖機必要性判定手段を構成する。
そして、触媒燃焼部5の触媒燃焼部本体50の触媒5cの温度が第1設定温度T1よりもΔTa(ΔTa:例えば80℃)上昇したか否か判定する(ステップS114)。第1設定温度T1よりもΔTa上昇していれば、触媒燃焼部5の触媒燃焼部本体50の触媒5cが着火したと判定し、着火判定信号を出力する(ステップS116)。従ってステップS114は、触媒燃焼部5の触媒燃焼部本体50における着火の有無を判定する着火判定手段を構成する。その後、第1バルブ81の開放度を増加するか、搬送要素73mの空気搬送量を増加させることにより、触媒燃焼部5の暖機用導入口5iに供給する単位時間当たりの空気の流量を増加させ(ステップS118)、増量操作を行う。これにより触媒燃焼部5における触媒燃焼性が進み、発熱量が確保される。
次に、触媒燃焼部5に装備されている温度センサ50x(温度検知手段)により、触媒燃焼部5の温度が触媒燃焼部本体50の触媒5cの耐熱温度TC以下であるか否か判定する(ステップS120)。触媒燃焼部5の温度が触媒燃焼部本体50の触媒5cの耐熱温度TCを越えていれば、触媒5cを保護するため、触媒燃焼部5の暖機用導入口5iへの空気の供給を停止させ(ステップS126)、触媒燃焼部5による暖機運転を停止させる。従って、ステップS120,S126は、触媒燃焼部5の触媒5cを熱的に保護する触媒保護手段を構成する。
また、シフト部3の暖機が終了したか否か判定する(ステップS124)。つまり、シフト部3の測温場所が第2設定温度T2以上であるか否か判定する。第2設定温度T2以上であれば(YES)、シフト部3の暖機が終了したと判定されるため、暖機用導入口5iへの空気の供給を停止させ(ステップS126)、触媒燃焼部5による暖機運転を停止させ、メインルーチンにリターンする。シフト部3の測温場所が第2設定温度T2未満であれば(NO)、シフト部3の暖機がまだ終了していないため、ステップS120にリターンし、暖機用導入口5iへの空気の供給を継続させ、増量操作を継続させる。従ってステップS124は、触媒燃焼部5による暖機運転を終了する時期を判定する暖機終了判定手段を構成する。
ステップS114において、触媒燃焼部5の触媒燃焼部本体50の触媒5cの温度が第1設定温度T1よりもΔTa上昇していないときには、触媒燃焼部本体50が着火していないと推定されるので、上記した着火操作時から一定時間経過したか判定し(ステップS130)、一定時間経過していなければ、ステップS114に戻り、着火の有無の判定を継続する。一定時間経過しても着火していなければ、燃料電池発電システムが異常であると判定し(ステップS132)、当該システムを停止させる(ステップS134)。従ってステップS114,S130は触媒燃焼部5の着火不良を判定する着火不良判定手段を構成する。
(試験例)
この試験例では、バーナ21に供給される改質原料の天然ガス(13A)を0.8NL/minに設定し、第1バルブ81を経て暖機用導入口5iに供給される空気を1.0NL/minに設定した。この条件は図5において点R1として示される。点R1は、可燃範囲から外れる領域K1内であるものの、可燃限界を示す特性線W1の近くに設定されている。そして着火(触媒燃焼部本体50の温度がΔTa以上上昇したこと)を確認した後、第1バルブ81を経て暖機用導入口5iに供給される空気を1.5NL/min(図5において点R2)に増量させる増量操作を行なった。これにより触媒燃焼部5における発熱量を確保した。このようにすれば、安全性と着火性との両立に有利である。