JP4375057B2 - 液体の充填方法および連続自動充填装置 - Google Patents

液体の充填方法および連続自動充填装置 Download PDF

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本発明は、電子部品材料、塗料およびワニスなどの粘性液体や固形分を含有する液体等流動性液体の吐出、射出および塗布工程を必要とする工程にかかわる、液体を液体充填容器に充填する方法と、それに用いられる連続自動充填装置に関するものである。
従来、粘性液体や流動性液体の吐出や塗布工程において、当該液体中に気泡が含まれていると、液体が吐出されない箇所(抜け)が発生したり、塗布むらが発生するという問題があった。そのため、吐出や塗布工程の前に液体を減圧状態に保ち、液体中の気泡を除去する、いわゆる脱気を行うことが一般に行われている。特に、電子材料に関わる部品や基板に抜けや塗布むらがあった場合は、直ちに欠陥品となる。そのため、特に、塗布液の気泡に対しては完全に除去する必要がある。しかしながら、せっかく完全に脱気した液体であっても、液体の液体充填容器等への充填工程などその後の工程において、液体中に気泡が混入する危険性がある。
液体の充填工程における一般的な充填方法は、まず液体を液体貯留容器に入れて貯留し、そこから接続配管などを経由して、液体充填容器に液体を送液する方法である。送液手段としては、モーノポンプ、ダイヤフラムポンプやギアポンプ、あるいはバタフライポンプなどの動力を用いて、液体を送液(充填)する方法が一般的によく用いられている。しかしながら、これらの方法の場合、液体がポンプ部品に接触しており、送液する毎に液体の躍動でポンプおよびそれ以後の配管に圧力負荷がかかり、ポンプ表面や配管内面の表面が擦れ、液体にその材質の屑が少しずつ混入(いわゆるコンタミ)するという問題がある。これが特に顕著なのは、配管やポンプ材質に耐摩耗性の劣った材質を使用していた場合や、高粘度液体を充填する場合である。さらに別の問題として、例えば、ピストンを用いて送液する場合、ピストンが駆動する度ごとに液体に気泡が巻き込まれるという問題がある。また、液体の特性によっては液体の固化や変質を防止するため、定期的にポンプを分解し洗浄する必要があり、非常に手間がかかる。
上記のようなコンタミや気泡の巻き込みを防止し液体を充填する方法として、ポンプなどの動力を使用することなく液体を充填する方法がある。具体的には、液体充填容器側を減圧にするか、あるいは液体貯留容器側を加圧して、圧送する方法である。これらの方法の場合、ポンプを使用しないため、ポンプ本体およびその部品を洗浄する必要がなく、配管洗浄のみ行えばよい。このように圧送によって液体を充填する方法として、液体の充填容器側の圧力を貯留容器側の圧力よりも低い圧力にすることにより、気泡の巻き込みがなく液体を充填する方法およびその装置が提案されている(特許文献1参照)。
しかしながら、この方法の場合、液体の貯留容器と充填容器とを接続する配管間内に液体が充填されることがあると同時に、液体の貯留容器を加圧して充填を開始するために、配管内に気泡が巻き込まれた状態で充填が開始されるという問題がある。すなわち、液体の充填容器の圧力を低圧にすると同時に液体の貯留容器の圧力を高圧にするため、配管内の空気が十分に排気されない状態で液体の充填が開始され配管内の空気が液体によって閉じこめられるという問題がある。特に、バルブと配管の接続部や配管径が細い部分、および枝分かれ部分などにおいては、隅々まで液体が充填されないことがある。このような状態で液体の充填を開始すると、配管内に閉じこめられた気泡が、液体の送液に伴って徐々に液体の充填容器に混入するという問題がある。この現象が特に顕著なのは、配管径が細い箇所や配管構造が非常に複雑で枝割れ箇所が多い場合、および液体が高粘度の場合である。液体が高粘度の場合とは、具体的には、例えば、粘度が10,000mPa・s以上のような場合である。液体がこのように高粘度の場合は、液体自体の流動性が非常に悪く、配管内の細かい部分まで液体が浸透配給液されにくい。また、高粘度の液体の場合、一旦、気泡が巻き込まれた場合、その高粘性のために気泡を除去することが非常に困難である。
これらの理由から、接続配管に細い箇所がある場合や、配管構造が非常に複雑で枝割れ箇所が多い配管を用いて液体を送液充填する場合、および高粘度の液体を充填するときには、接続配管内の空気を十分に排気した後、ゆっくりと液体を浸透させ、液体の充填を開始することが必要である。
特開2000−335505号公報
本発明の目的は、液体定量技術に関し、液体貯留容器から液体充填容器に液体を充填する際に、気泡の巻き込みのない液体の充填方法および連続自動充填装置を提供することにある。また、本発明の他の目的は、複数個の液体充填容器に連続的にかつ定量的に液体の充填を自動で行うことを可能にした液体の充填方法と連続自動充填装置を提供することにある。
本発明は、上記目的を達成せんとするものであり、本発明の液体の充填方法は、予め液体を貯めた液体貯留容器から配管を通じて液体充填容器に液体を充填する方法であって、該液体充填容器内および該液体充填容器側の配管を減圧に保持し、かつ該液体貯留容器上部の空間を大気圧に保持した状態で該液体貯留容器から該液体充填容器への液体の充填を開始した後、液体充填容器に液体が充填され始めた後に、該液体貯留容器上部の空間を加圧することを特徴とする液体の充填方法である。
また、本発明の液体の充填方法の好ましい態様としては、次の態様が含まれている
(a) 粘度が25℃で10,000mPa・s以上である液体を充填すること。
(b) 予め脱気した液体を充填すること。
(c) 液体の充填終了後、液体充填容器を減圧に保持すること。
本発明の液体の連続自動充填装置は、加圧機構を備えた液体貯留容器と減圧機構を備えた液体充填容器と該液体貯留容器と該液体充填容器を接続する配管を有し、上記した液体の充填方法に用いるための液体の連続自動充填装置であって、該液体充填容器の満量を検知し、該液体充填容器への液体の充填を自動的に停止する機能を備えてなることを特徴とする液体の連続自動充填装置である。
また、本発明の液体の連続自動充填装置においては、次の好ましい態様が含まれている。
(e) 液体充填容器および液体充填容器と液体貯留容器を接続する配管の真空漏れ検査を実施した後、液体の充填を開始し終了する連続自動充填機能を備えてなること。
(f) 液体貯留容器の残量を検知し、液体の液体充填容器への充填を自動的に停止する機能を備えてなること。
(g) 複数個の液体充填容器を有し、該液体充填容器に順番に液体を連続的に自動充填する機能を備えてなること。
本発明によれば、気泡を巻き込むことなく液体貯留容器から液体充填容器に液体を充填することができ、また、複数個の液体充填容器に連続的にかつ定量的に液体の充填を自動で行うことが可能となるため、省人化と工数削減が可能で、大幅に経費節減することができる。
本発明の液体の充填方法においては、予め液体を貯めた液体貯留容器から配管を通じて液体充填容器に液体を充填する際に、まず液体充填容器側を減圧に保持した状態で液体を液体貯留容器から配管を通し液体充填容器への充填を開始した後、液体貯留容器側を加圧する。
本発明の上記液体の充填方法に用いられる連続自動充填装置は、加圧機構を備えた液体貯留容器と減圧機構を備えた液体充填容器と該液体貯留容器と該液体充填容器を接続する配管を有し、該液体充填容器の満量を検知し、該液体充填容器への液体の充填を自動的に停止する機能を備えている。
ここで、図面に基づいて本発明を説明する。図1は、本発明の一実施形態にかかる液体の充填方法と連続自動充填装置を説明するための系統図である。
図1において、コンピュータ制御部12により、まずバルブ1とバルブ8とバルブ9とを自動的に開け、真空配管10にて液体充填容器15、フィルタ20内および真空配管10内を減圧にする。その後、バルブ1を閉じ、液体充填容器15(25)、フィルタ20内および真空配管10内の真空漏れ確認(リークテスト)を実施する(真空計22)。真空漏れが無いことを確認した後、次にバルブ3とバルブ4を開け(大気圧17)、フィルタ20内および真空配管11内を減圧に保持する。このとき、液体貯留容器14は加圧しない。この状態でしばらく放置すると、フィルタ20および真空配管10の減圧により、液体が徐々に送液され、フィルタ20内への充填が始まる。充填が開始されたら、バルブ5を開け、フィルタ20内の初留を排出する(フィルタ20内の初留出し18)。次にバルブ5を閉じてバルブ6を開け、真空配管11内の初留を排出する(真空配管11内の初留出し19)。次に、バルブ3を閉じ、液体充填容器15にペーストが充填され始めたのを確認した後、バルブ4を閉じてバルブ7を開け、液体貯留容器14を加圧16し(圧力計24)、充填を開始する。液体貯留容器14の重量(計量器13で感知する)減少が設定量に達したら(または、液体充填容器15の重量(計量器21で感知する)が設定量に達したら)、液体の液体充填容器15への充填をコンピュータ制御部12により自動的に停止し、バルブ2を閉じ、バルブ1とバルブ8を開けて、液体充填容器15内に貯まった液体の脱気を行う。液体の充填後、液体充填容器15を減圧に保持する。図1の態様においては、液体の液体充填容器15を複数個の液体充填容器25等とすることで、個々の液体充填容器15、25等に液体を連続的に自動充填することができる。
本発明において、充填する液体としては、例えば、電子部品材料、塗料、ワニスおよびペーストなど粘性流体のみならず、粉末等の固形分を含有する液体等の流動性液体等が挙げられる。ペーストについては、例えば、PDP(プラズマディスプレイパネル)の背面板用の電極ペースト、誘電体ペースト、隔壁ペースト、蛍光体ペーストや前面板用の電極ペーストおよび誘電体ペーストなどが挙げられる。
本発明は、充填する液体の粘度が10,000mPa・s(25℃)以上の高粘度の液体の充填に特に有効である。粘度が、9,999mPa・s未満の場合、気泡の巻き込みが少なく、また、容易に気泡が抜けるため、特に充填方法に気を付ける必要がないからである。本発明は、粘度が10,000Pa・s〜60,000Pa・sの液体に好適である。粘度は、BROOKFIELD RVDV−II+型(BROOKFIELD ENGINEERING LABS.INC.)で25.0±0.1℃で測定した。粘度の測定は液体を恒温ジャケット付きサンプルカップに入れ、5分間調温する。その後、スピンドルを3rpmの回転にて5分間回転させた後、粘度測定を行った。
また、本発明の液体の充填方法には、予め脱気した液体を用いると実施に当たりさらに有効である。液体の脱気方法は、例えば、真空ポンプなどにより、液体の入っている容器を0.3kPa程度にまで減圧し、約1時間程度真空状態に保持する。さらに、プラネタリーミキサーなどの装置を使用すれば、液体の攪拌が可能となり、より効果的に液体内の気泡を取り除くことができる。
本発明では、液体充填容器側を減圧に保持した状態で液体充填容器への充填を開始する。そのため、減圧機構を備えた液体充填容器を用いる。減圧する方法としては、例えば、一般的によく知られている方法、すなわち真空ポンプなどを使用することができる。真空度は0.2kPa程度の減圧が可能であればよく、そのための真空ポンプは特に問わない。また、液体充填容器については0.2kPa程度の真空度に耐えうる容器であれば材質、大きさおよび形状などは特に問わない。
また、本発明では、液体充填容器側を減圧に保持し液体充填容器への充填を開始した後、液体貯留容器側を加圧する。液体貯留容器側の加圧は、液体充填容器に液体が充填され始めた後に、具体的には配管が液体で完全に充填された後、液体貯留容器側を加圧することが好ましい。そのため、加圧機構を備えた液体貯留容器を用いる。加圧する装置としては、例えば、良く知られているコンプレッサーなどを使用することができる。加圧の程度は0.2MPa程度の加圧ができればよい。0.2MPa程度の加圧することができれば、コンプレッサーなどの特性は問わない。また、液体貯留容器については0.2MPa程度の加圧が耐えうる容器であれば、材質、大きさおよび形状などは特に問わない。
また、本発明では、液体の充填終了後、液体充填容器を減圧に保持(真空引き)することが好ましい。これを行うことにより、万一何らかの理由により、液体中に気泡が巻き込まれていた場合、この充填後の真空引きにより、気泡を取り除くことができるからである。減圧は0.2kPa程度で約1時間程度減圧状態にすればよい。
本発明で用いられる液体貯留容器、液体充填容器およびこれらの接続のための配管の材質は、充填する液体に対して腐食、劣化および膨張などが生じなければどのような材質のものでもよい。具体的な材料としては、例えば、SUS304でその内面をバフ仕上げ(#400)を行い、その後、酸処理を施したものが好ましい。
また、充填速度および圧力損失の観点から、作業性が悪くならない範囲で、配管径は大きければ大きいほど、配管長は短ければ短いほど良い。極端に細い配管は、高粘度の液体を充填するとき、配管内に液体が充填されにくいため、使用しない方がよい。通常使用する配管径は直径20mmから100mm程度で、好ましい配管長さは最大約4mまでである。これ以上配管径が太い場合、あるいは配管長さが4mを超えると、液体の充填速度が非常に遅くなり、実用的でなくなるからである。
液体貯留容器は、加圧するため、使用圧力に耐え得る容器であれば大きさや形状などは問わない。また、液体充填容器は減圧に保持するため、真空漏れが起きないような容器であれば大きさや形状などは問わない。使用する容器の大きさは20L〜200L程度で円柱型のものが好ましい。
フィルタについても、減圧に保持するため、真空漏れが生じないフィルタであれば、大きさ、形状は特に限定されない。フィルタの目開きについては所望する目開きのフィルタを使用すればよい。フィルタの素材は金属製のメッシュや不織布などを使用することができる。具体的には、例えばロキテクノ製のSIPD−XSなどを使用することができる。
洗浄の作業性を考慮すると、フィルタは交換が容易なカートリッジ式のものがよい。
本発明の液体の連続自動充填装置は、好ましくは液体充填容器の満量を検知し、その液体充填容器への液体の充填を自動的に停止する機能を備えており、また、好ましくは液体貯留容器の残量を検知し、液体の液体充填容器への充填を自動的に停止する機能を備えている。
液体充填容器に充填された液体の充填量の計測手段は、液体充填容器に充填された液体の量を計測できるものであればよく、例えば、容量を計測する装置であっても、また重量を計測する装置であってもよい。好ましくは重量計測装置である。液体充填容器に設定量の液体を充填するために、液体充填容器側の重量を測定するための計量器をセットして、設定量の液体が充填されたら、自動的にバルブを閉じる。この方法の場合は、液体充填容器の個数だけ、計量器が必要となるが、1つの液体充填容器に液体の充填が終了したら、次の液体充填容器を自動的に計量器に移動させる手段を用いることもできる。液体充填容器の移動手段は、複数の液体充填容器を所望位置に連続的に搬送移動することのできるものであればよく、特に制限はされないが、例えば、自動的にレーンが動くことによって、該レーン下の複数の液体充填容器を連なって搬送することのできるベルトコンベアやチェーンコンベア等を使用することができる。
また、複数の液体充填容器の位置は固定した状態で、液体貯留容器側の重量を測定する計量器をセットし、液体貯留容器の重量減少をもって、液体充填容器に設定量の液が充填されたと考える”ロスウェイト”方式を用いることもできる。すなわち、液体充填容器に設定量の液体が充填されたら、次の液体充填容器に順次充填を開始する方法である。この方法の場合、計量器は液体貯留容器の重量減少を測定するための計量器1台で済む。さらに液体充填容器を自動的に計量器に移動させる手段などは不要であるため、もっとも安価で経費がかからない方法である。
液体貯留容器の残量検知方法としては、重量検知や液面センサなどを用いる方法がある。液体貯留容器または液体充填容器に残量検知装置を取り付け、コンピュータ制御部12にて、充填容器に設定量の量が送液されたら(あるいは貯留容器が設定量減少したら)バルブ2を閉じる。これにより充填容器に液体が自動的に充填される。
液体貯留容器から液体充填容器までの一連の充填ラインは複数のラインであってもかまわない。この場合、複数のラインがあるため、同一または複数の品種を同時に充填することができ、生産効率が非常に高くなる。また、1つのラインしかない場合で複数の品種を充填する場合は品種の切替ごとに配管の洗浄を行う必要があるが、複数のラインの場合は洗浄を行う必要がないため、効率がよい。当該液体充填計測手段は、例えば、コンピュータなどのように計測データを処理もしくは保存管理する装置、また必要に応じて個々の受け容器に充填量を印字する印字装置を備えることもできる。
液体充填容器と液体貯留容器を接続する配管の真空漏れは、液体の充填を開始する前に確認する必要がある。万一、洩れていた場合、気泡が混入した状態で液体貯留容器に液体が充填されるからである。
以下、本発明について実施例を用いてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
下記の組成比(重量%)のPDP背面板用の赤色(レッド)ペーストの原料を、150Lプラネタリーミキサーの下釜に総量で150kg仕込んだ。
赤色蛍光体粉末 :42.5%
エチルセルロース溶液(粘度72,125mPa・s、25℃) :50.5%
ベンジルアルコール : 7.0%
その後、プラネタリーミキサーで1時間攪拌した後、3本ロールにて混練を行った。次に、3本ロール混練後の蛍光体ペーストを、真空機能付きプラネタリーミキサー(これは図1の液体貯留容器14に相当する。)で5分間減圧・攪拌した。攪拌した後、約10分間かけて大気圧から0.05kPaまでゆっくりと減圧にした。(このとき、急激に減圧状態にすると、ペーストの液面が急上昇し、プラネタリーミキサーのフード部や羽根の上部にペーストが付着し、ペーストが汚染されるため注意が必要である。このため、減圧状態への移行はゆっくりと行うことが重要である。)次に、0.05kPaの減圧状態で1時間攪拌した。その後、5分かけてゆっくりと大気圧まで戻した。このように十分に脱気した蛍光体ペースト(粘度 約51,000mPa・s、25℃)を、図1に示す計量器13上にセットし、配管を接続した。次に、液体充填容器15((1))を真空配管10、11に接続した。
ここからは自動充填運転モードに入る。まず、コンピュータ制御部にて液体充填容器15((1))の液体設定量を20kgを入力した。次に、充填開始ボタンを押すことにより、バルブ1、8、9が開き、フィルタ20および液体充填容器15((1))、真空配管10内が減圧になる。真空配管10の真空度が0.03kPaに到達したとき、バルブ1が一旦閉じられる。この状態で30分間減圧状態を保つ。30分後に+0.1kPa未満の減圧度変化しかない場合は、引き続き自動充填作業が行われる。(万一、+0.1kPa以上減圧度が低下していた場合、真空漏れが発生している。このときは、アラームにて警告を発し、手動操作によって、次の作業を行う。一旦、真空配管10の真空度を開放した状態でフィルタ20および液体充填容器15の真空漏れ確認を行う。具体的には、液体充填容器およびフィルタの本体と蓋の間のO−リング、パッキンや固定ボルトや固定ネジの締め直しを行い、再度真空引きを行う。)次に、バルブ8とバルブ9が閉じられる。(このとき、液体充填容器15((1))および真空配管(1)10内は減圧状態で保持されている。)次に、バルブ3とバルブ2とバルブ4が開き、バルブ7が閉じ、真空配管11とフィルタ20内が真空になる。この状態では真空配管およびフィルタ20内が減圧状態であるため、液体貯留容器内の蛍光体ペーストが減圧によって少しずつ配管内を充填する。このとき、液体貯留容器を加圧にしないことが重要である。もし、加圧した場合、真空配管11内およびフィルタ20内の気泡が充分に排気される前にペーストが充填され始めるために、配管内およびフィルタ内に気泡が巻き込んだ状態になる。次に、バルブ5が開き、フィルタ20内の初留出しが行われる。次に、バルブ5が閉じてバルブ6が開き、真空配管11内の初留出しが行われる。次に、バルブ6とバルブ3が閉じられる。次に、バルブ9が閉じられ、バルブ1とバルブ8が開き、真空配管10により、液体充填容器15内が減圧になる。この状態で真空配管11からバルブ2を通り、蛍光体ペーストが液体充填容器15に垂れ落ち、充填が開始される。バルブ2から蛍光体ペーストが垂れ落ち始めた後、バルブ4が閉じてバルブ7が開き、液体貯留容器14が0.1MPaの圧力で加圧される。このようにして、液体充填容器15((1))に液体が自動充填され始める。プラネタリーミキサー下釜(液体貯留容器14に相当する。)の計量器13の重量が予め設定された値50kg(正味の充填量20kg+配管内充填分20kg+フィルタ5kgおよび配管(2)の初留出し分5kg=50kg)の重量減少になった時点で、バルブ2が閉じる。その後、真空配管10により、充填容器15((1))を0.03kPaの減圧下にて1時間保持する。その後、バルブ8が閉じられる。以上までの作業が自動充填である。次に、液体充填容器15((1))を真空配管10、11から切り離す。このようにして、充填された液体充填容器15((1))をノズル装置(ノズル径80μm*ノズル長30mm*120本)に接続する。次に、135μmピッチ、隔壁幅35μm、高さ160μmの隔壁を形成している基板上に先ほどのノズルをセットする。次に、液体充填容器に蓋をして、圧力2.5kPaの圧力で加圧し、蛍光体ペーストを吐出しながら、隔壁ピッチ間にノズルを走行させた。約15kg分のペーストを吐出し、隔壁ピッチ間に蛍光体ペーストをノズル塗布した後、IR乾燥機で焼成(500℃、30分)して隔壁の側面(膜厚15μm)および底部(25μm)に蛍光体層を形成した。その後、欠陥検査装置(Vテクノロジー社、スーパーネプチューン 9000TR)にて、蛍光体が塗布されていない箇所(いわゆる、抜け)が何カ所あるのか、その個数の検査・測定を行ったところ、液体貯留容器15について抜けは0(ゼロ)であった。結果を表1に示す。
(比較例1)
実施例1と同様に蛍光体ペーストの脱気を行った。ただし、真空配管(1)(2)10、11内を減圧にせず、液体充填容器15((1))を減圧にすると同時にプラネタリーミキサー下釜(液体貯留容器14に相当する。)を加圧し、充填を開始した。その後の操作については、実施例1と全く同様に行った。欠陥検査装置にてペーストが塗布されていない箇所の検査・測定を行ったところ、液体貯留容器15について抜けは10ヶ所であった。結果を表1に示す。
(実施例2)
30Lの液体充填容器15((1)〜(4))の4台を図1に示すように真空配管10、11に接続した。次に、150Lプラネタリーミキサーの下釜(液体貯留容器14に相当する。)に実施例1で使用した蛍光体ペーストを150kgを投入し、計量器13上にセットした。実施例1と同様に真空配管10、11および液体貯留容器15((1)〜(4))の4台全ての真空漏れを同時に実施した。その後、フィルタ20および真空配管の初留出しをそれぞれ5kgずつ行った。制御部12にて計量器13に20kgと設定し、実施例1と同様にフィルタ20および真空配管の初留出しを行った。液体充填容器15(1)に自動充填が開始され、計量器13が50kgの重量減少になった時点でバルブ2が閉じ、液体充填容器15(1)にペーストが自動充填開始された。このようにして、4台全ての液体充填容器にペーストが充填された後、液体充填容器15((1)〜(4))について、真空配管10により、0.03kPaの減圧状態で1時間保持した。このようにして充填を終えた液体充填容器15((1)〜(4))をそれぞれ個別にノズル装置に接続した後、ノズル塗布を行った。その後、IR乾燥機で焼成(500℃、30分)して隔壁の側面(膜厚15μm)および底部(25μm)に蛍光体層を形成した。欠陥検査装置を用いて蛍光体が塗布されていない箇所の検査・測定を行ったところ、液体貯留容器15((1)〜(4))全てについて抜けは0(ゼロ)であった。結果を表1に示す。
Figure 0004375057
表1の結果から、実施例1と2は、比較例1に比べて、気泡に基づく抜けの個数が大幅に削減された。
(実施例3)
下記の組成比(重量%)のPDP背面板用隔壁ペースト150kgを、実施例1と同様に、プラネタリーミキサーにかけ、次に3本ロールにて、混練を行った。その後、真空機能付きプラネタリーミキサーで1時間真空・攪拌を実施した(粘度約30,000mPa・s、25℃)。
ポリマー :スチレン/アクリル酸共重合体、重量組成比60/40を40重 量%のN−メチル−2−ピロリドン溶液にしたもの
モノマー :ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
溶媒 :γ−ブチロラクトン
光開始剤 :ベンゾフェノン
酸化防止剤 :1,6−ヘキサンジオール−ビス[(3,5−ジ−t−ブチル− 4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]
有機染料 :ベーシックブルー26
ガラス粉末 :酸化鉛、酸化ホウ素、酸化亜鉛、酸化シリコン、酸化バリウムの 物質が主成分のガラスを粉砕した平均粒径2μmのガラス粉末
チクソトロピー付与剤:脂肪酸アマイドワックス34%とイソプロピルアルコール66% 有機ビヒクル成分の配合割合(重量%)
・バインダー
ポリマー:30.8%
モノマー:15.0%
溶媒 :48.0%
・バインダーに溶解する成分(重量%)
光開始剤 :4.0%
酸化防止剤:2.0%
有機染料 :0.2%
・隔壁用ペースト組成の配合割合(重量%)
有機ビヒクル:58.1%
ガラス粉末 :40.9%
チクソ付与剤: 1.0%
このようにして、脱泡した隔壁ペーストを自動充填配管に接続し、液体充填容器(1)〜(4)の4台に実施例1と同様にして充填を行った後、1時間真空引きを実施した。このようにして充填した液体充填容器(1)〜(4)の4台をスリットダイコート装置に接続し、誘電体を形成したガラス基板(500×500mm、厚さ2.8mmサイズ)上に塗布した。塗布条件を以下に示す。
口金厚み :460μm
wet厚み:400μm
口金幅 :440mm
塗布速度 :0.5m/min
吐出圧力 :0.2MPa
その後、IR乾燥機で140℃の温度で120分間乾燥させた。乾燥後の膜厚は160μmであった。その後、露光装置を用いて露光を行った。用いたマスクはピッチ135μm、線幅25μmのクロムマスクである。次に、0.2%濃度の2−アミノエタノール水溶液を用いて、水温35℃でシャワー現像を行い、未露光部を洗い流し、隔壁パターンを形成した。塗布した隔壁ペーストを欠陥検査装置にかけ、塗布されていない箇所(いわゆる、抜け)が何カ所あるのかその個数の検査・測定を行ったところ、液体充填容器(1)〜(4)すべてにおいて、0(ゼロ)であった。結果を表2に示す。
Figure 0004375057
(比較例2)
実施例3と同様にして隔壁ペーストを作製した。ただし、真空配管(1)(2)10、11内を減圧にせず、液体充填容器15((1)〜(4))を減圧にすると同時にプラネタリーミキサー下釜(液体貯留容器14)を加圧し、充填を開始した。このようにして塗布した隔壁ペーストを欠陥検査装置で抜け個数を測定したところ、抜けはそれぞれ、液体充填容器(1):8個、液体充填容器(2):12個、液体充填容器(3):7個、および体充填容器(4):13個であった。結果を表3に示す。
Figure 0004375057
表2と表3の結果から、実施例3は比較例2に比べて、気泡に基づく抜けの個数が大幅に削減された。
以上のとおり、液体貯留容器14から液体充填容器15に液体を充填する際に、始めに液体充填容器15側を減圧に保持した状態で配管内に液体を充填した後、液体貯留容器14側を加圧して充填することにより、配管内および充填容器に気泡を巻き込むことなく液体を充填することが可能となった。
本発明の液体の充填方法は、配管内および充填容器に気泡を巻き込むことなく液体を充填することができ、また、複数の充填容器に連続的にかつ定量的に自動充填することが可能であるため、省人化と工数削減、および大幅な経費節減の点で、産業上有効である。
図1は、本発明の一実施形態にかかる液体の充填方法と連続自動充填装置を説明するための系統図である。
符号の説明
1・・バルブ
2・・バルブ
3・・バルブ
4・・バルブ
5・・バルブ
6・・バルブ
7・・バルブ
8・・バルブ
9・・バルブ
10・・真空配管
11・・真空配管
12・・制御部
13・・計量器
14・・液体貯留容器
15・・液体充填容器
16・・加圧
17・・大気圧
18・・フィルタ内の初留出し
19・・真空配管内の初留出し
20・・フィルタ
21・・計量器
22,23・・真空計
24・・圧力計
25・・液体充填容器
26・・計量器

Claims (8)

  1. 予め液体を貯めた液体貯留容器から配管を通じて液体充填容器に液体を充填する方法であって、該液体充填容器内および該液体充填容器側の配管を減圧に保持し、かつ該液体貯留容器上部の空間を大気圧に保持した状態で該液体貯留容器から該液体充填容器への液体の充填を開始した後、該液体充填容器に液体が充填され始めた後に、該液体貯留容器上部の空間を加圧することを特徴とする液体の充填方法
  2. 粘度が25℃で10,000mPa・s以上である液体を充填することを特徴とする請求項1記載の液体の充填方法。
  3. 予め脱気した液体を充填することを特徴とする請求項1または2に記載の液体の充填方法。
  4. 液体の充填終了後、液体充填容器を減圧に保持することを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の液体の充填方法。
  5. 加圧機構を備えた液体貯留容器と減圧機構を備えた液体充填容器と該液体貯留容器と該液体充填容器を接続する配管を有し、請求項1〜のいずれかに記載の液体の充填方法に用いるための液体の連続自動充填装置であって、該液体充填容器の満量を検知し、該液体充填容器への液体の充填を自動的に停止する機能を備えてなることを特徴とする液体の連続自動充填装置。
  6. 液体充填容器および液体充填容器と液体貯留容器を接続する配管の真空漏れ検査を実施した後、液体の充填を開始し終了する連続自動充填機能を備えてなることを特徴とする請求項記載の液体の連続自動充填装置。
  7. 液体貯留容器の残量を検知し、液体の液体充填容器への充填を自動的に停止する機能を備えてなることを特徴とする請求項または記載の液体の連続自動充填装置。
  8. 複数個の液体充填容器を有し、該液体充填容器に順に液体を連続的に自動充填する機能を備えてなることを特徴とする請求項のいずれかに記載の液体の連続自動充填装置。
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