JP2010005622A - ペーストおよびその製造方法ならびにプラズマディスプレイパネル用部材の製造方法 - Google Patents

ペーストおよびその製造方法ならびにプラズマディスプレイパネル用部材の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】異物量が少なく、短い処理時間で、分散性の優れたペーストを提供する。
【解決手段】円筒容器内にローラーが装入された分散機を用いてペーストを処理することを特徴とするペーストの製造方法とする。
【選択図】図2

Description

本発明は、ペーストおよびその製造方法に関するものであり、特にディスプレイ用ペーストに関する。
薄型・大型テレビに使用できるディスプレイとして、プラズマディスプレイパネル(以下、PDPと略す)が注目されている。PDPは、例えば、表示面となる前面板側のガラス基板には、対をなす複数のサステイン電極が銀やクロム、アルミニウム、ニッケル等の材料で形成されている。さらにサステイン電極を被覆してガラスを主成分とする誘電体層が20〜50μm厚みで形成され、誘電体層を被覆してMgO層が形成されている。一方、背面板側のガラス基板には、複数のアドレス電極がストライプ状に形成され、アドレス電極を被覆してガラスを主成分とする誘電体層が形成されている。誘電体層上に放電セルを仕切るための隔壁が形成され、隔壁と誘電体層で形成された放電空間内に蛍光体層が形成されてなる。フルカラー表示が可能なPDPにおいては、蛍光体層は、RGBの各色に発光するものにより構成される。前面板側のガラス基板のサステイン電極と背面板側のアドレス電極が互いに直交するように、前面板と背面板が封着され、それらの基板の間隙内にヘリウム、ネオン、キセノンなどから構成される希ガスが封入されPDPが形成される。スキャン電極とアドレス電極の交点を中心として画素セルが形成されるので、PDPは複数の画素セルを有し、画像の表示が可能になる。
このような電極、誘電体、隔壁、蛍光体層は、通常、金属粉末、ガラス粉末、蛍光体粉末などの無機粉末をバインダー樹脂に分散させたペーストが用いられている。これら無機粉末をバインダー樹脂に分散させる方法としては、従来から3本ローラーなどのロールミルが多用されている。
しかしながら、3本ローラーは、装置が開放系で、バッチ式であるために品質、製造コスト、作業環境上、様々な問題があった。例えば、ペーストから溶媒が蒸発することによる作業環境の悪化、粘度が変化するために再度粘度調整を行うなどの工程増加、作業環境からの異物の混入、連続で処理するために3本ローラーの前後の工程との連結の困難さ、処理量を多くするためにロールの径を大きくし、ロール長を長くすると、装置が重くなる問題やロールの間隙の不均一に起因する分散不良の問題などである。
これら開放系でバッチ式の3本ローラーに代わるものとしてサンドミルがある(例えば、特許文献1参照)。サンドミルは、密閉構造とすることができ、連続処理も可能であるが、PDP用ペーストの分散に用いると粉砕条件のコントロールが難しく、PDP用ペーストの製造に適用するには困難であった。具体的には、例えば、蛍光体粉末の粒径の変化による輝度低下や金属粉末やガラス粉末の粒度分布の変化が起こり、感光性ペーストの感光特性の変化を招いたりする問題などである。また、PDP用ペーストは、無機粉末を多量に含んでいるため、ペースト粘度が数万mPa・sあり、サンドミルの出口部分に配置されているスクリーンやギャップセパレーターに媒体が集中し、運転ができなくなる問題もあった。
実開平7−7740号公報(第1〜4頁)
そこで、本発明は、上記従来技術の問題点に鑑みて、高品質で低コストのペーストを提供することを目的とする。
また、本発明の他の目的は、かかるペーストを用いた、高品質で、低コストのプラズマディスプレイパネル用部材の製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明は、円筒容器内にローラーが装入された分散機を用いてペーストを処理することを特徴とするペーストの製造方法およびその方法によって製造されたペーストならびにプラズマディスプレイパネル用部材の製造方法である。
円筒容器内にローラーが装入された分散機で処理することにより、異物量が少なく、短い処理時間で、分散性の優れたペーストが得られる。また、本ペーストを使用することにより、高品質で、低コストのディスプレイパネル用部材の製造が可能なペーストを提供できる。
本発明で使用する分散機の概略を示す横面図。 本発明で使用する分散機の最も好ましい態様を示す横断面図。 図2のローラー部の拡大図。 ローラーを用いた分散機の一例の原理図。 テーパーローラーベアリングを用いた分散機の原理図。
本発明のペーストの分散に用いる分散機の一例としては、図1に示すとおり、円筒容器1内にローラー5が装入されているものである。図1の装置は、円筒容器1の一方にペースト供給口を、他方にペースト吐出口を備えているため、連続処理が可能となり、より好ましい。
連続処理の方法としては、ペースト供給口に定量ポンプを用いてペーストを供給する方法が好ましい。定量ポンプの具体例としては、単段渦巻ポンプ、多段渦巻くポンプ、単段タービンポンプ、ボアーホールポンプなどの遠心ポンプ、軸流ポンプ、斜流ポンプなどのプロペラポンプ、単段渦流ポンプ、多段渦流ポンプなどの粘性ポンプ、横ピストンポンプ、堅ピストンポンプ、横型ブランヂャーポンプ、堅型ブランヂャーポンプ、ダイヤフラムポンプ、チューブポンプ、ウイングポンプなどの往復動ポンプ、エクスターナルギアーポンプ、インターナルギアーポンプ、偏心ネジポンプ、ベーンポンプ、ローラーポンプなどの回転ポンプなどが挙げられる。粘度の高いペーストを供給するのには、ダイヤフラムポンプ、偏心ネジポンプが好ましい。定量ポンプを用いることで、分散性の安定したペーストを得ることができる。また、接液部がジルコニア、サイロンなどのセラミックス材で作製されていることが、耐摩耗性を向上できるため好ましい。
さらに、図2の一部を拡大した図3に示す分散機であることが好ましい。円筒容器1と同軸状に回転可能なローター2を配置し、ローター2の外周部にその回転軸3と平行な溝4を複数有し、各溝4内にローター2の回転による遠心力で少なくとも「溝4の内壁とローラーの間」にわずかな隙間6が形成され、かつ、円筒容器1の内壁面に当接して自転しながら円筒容器1内を公転するローラー5がそれぞれ装入された分散機であるため、分散未処理のペーストが通過(ショートパス)することがなく、ペースト全体を均一に分散できるからである。
円筒容器中に装入されるローラーとしては、直径が5〜50mm、長さが10〜100mmの範囲であることが好ましく、より好ましくは、直径が6〜30mm、長さが15〜80mmの範囲である。ローラーがこの範囲にあることで、分散性の優れたペーストを得ることができる。
上記分散機は、ローター2が円筒容器1内で回転すると、その遠心力でローター2の各溝4内に装入されているローラー5が少なくとも円筒容器1の内壁面に当接して、いずれも自転しながら円筒容器1内を公転する。そして、供給口から円筒容器内1に送られてきたペーストは、このローラー5により円筒容器1の内壁面に押しつけられ、吐出口へと押し出される。また、ローラー5がローター2の溝4内に挿入されているため、ローター2の回転数がローラー5の公転速度となる。したがって、ローター2の回転による遠心力でペーストは円筒容器1の内壁面に強く押しつけられ、圧縮、剪断作用を繰り返し受けることになる。
この場合、ペーストが通過する領域は円筒容器1の内壁面のごく近辺に限定される。換言すると、図3に示すように、円筒容器1の内壁面とローター2の外周面との間である隙間7部分がペーストの通過領域である。そして、この特定領域において、ローター2の撹拌作用により常に図3の矢印で示すペーストの流れ現象が生じる。この結果、ペーストはこの特定領域において常に循環せしめられ、均一に分散される。
さらに、本発明で用いられる分散機について、図2を用いて説明する。ローター2の回転による遠心力により、溝4の内壁とローラー5の外周面との間に隙間6が形成され、この隙間6にもペーストが入り込み、溝4で回転するローラー5により、ここでも強力な剪断作用を受ける。
ここで、溝4は放射状に多数配置されていることが、分散性向上の観点から好ましい。溝4が放射状に多数配置されていることで、溝4に装入されているローラー5により、ペーストが均一に圧縮、剪断作用を受ける。さらに、ローラー5は、一つの溝4に対して回転軸と平行方向に複数密着して装入されていることが好ましい。ローラー5が一つの溝4に対して回転軸と平行方向に複数密着して装入されていることで、円筒容器1の内壁面全体を分散領域とすることができ、一つの溝4内に装入されている各ローラーがそれぞれ独立した圧縮、剪断作用を受け、分散性が向上したペーストを得ることができる。
また、図示したような上記以外の分散機でも円筒容器内にローラーが装入されているものであれば使用できる。例えば、図4に示すような、ローラー5が自転しながら円筒容器内1内を公転することにより容器内壁8との間でペーストに圧縮、剪断作用を与えるものや図5に示すような円筒容器に複数のテーパーローラーベアリング10を配置し、ベアリングローラー9の転動による転動面での押圧により分散を行うものが挙げられる。
これらの分散機は、少なくとも円筒容器内壁およびローラーがジルコニア、サイロンなどのセラミック材で作製されていることが、耐摩耗性を向上できるため好ましい。
本発明におけるペーストは、無機粉末とバインダー樹脂から主として構成される。無機粉末の含有量は、35〜95重量%、さらには、40〜90重量%であることが焼成時の収縮率が小さく、焼成による形状変化が小さくなり好ましい。
ペースト中の無機粉末としては、ガラス粉末、蛍光体粉末、金属粉末などが挙げられる。
ガラス粉末は、50〜400℃の熱膨張係数が50×10−7〜100×10−7であることが好ましい。また、ガラス中に酸化珪素を3〜60重量%、酸化硼素を5〜50重量%の範囲で配合することによって、電気絶縁性、強度、熱膨張係数、絶縁層の緻密性などの隔壁として要求される電気、機械および熱的特性を向上することができる。本発明におけるガラス粉末としては、主として低融点ガラス粉末からなることが好ましい。低融点ガラス粉末のガラス転移温度は、430〜500℃、ガラス軟化点は、470〜620℃であることが好ましい。ガラス転移温度とガラス軟化点がこの範囲にあると、焼成時に基板の歪みが小さく、また、緻密な隔壁層が得られる。ガラス粉末の粒子径は、作製しようとする隔壁の線幅や高さを考慮して選ばれるが、体積基準分布の中心径が1〜6μm、最大粒子サイズが30μm以下、比表面積1.5〜4cm/gであることが好ましい。
蛍光体粉末としては、例えば、赤色では、Y:Eu、YVO:Eu、(Y,Gd)BO:Eu、YS:Eu、γ−Zn(PO:Mn、(ZnCd)S:Ag+Inなどがあげられる。緑色では、ZnGeO:M、BaAl1219:Mn、ZnSiO:Mn、LaPO:Tb、ZnS:Cu,Al、ZnS:Au,Cu,Al、(ZnCd)S:Cu,Al、ZnSiO:Mn,As、YAl12:Ce、CeMgAl1119:Tb、GdS:Tb、YAl12:Tb、ZnO:Znなどがあげられる。青色では、Sr(POCl:Eu、BaMgAl1423:Eu、BaMgAl1627:Eu、BaMgAl1424:Eu、ZnS:Ag+赤色顔料、YSiO:Ceなどがあげられる。
また、ツリウム(Tm)、テルビウム(Tb)およびユーロピウム(Eu)からなる群より選ばれた少なくとも1つの元素で、イットリウム(Y)、ガドリウム(Gd)およびルテチウム(Lu)から選ばれた少なくとも1つの母体構成希土類元素を置換したタンタル酸稀土類蛍光体を用いることもできる。好ましくは、タンタル酸稀土類蛍光体が組成式Y1−XEuTaO(式中、Xは、およそ0.005〜0.1である)で表されるユーロピウム付活タンタル酸イットリウム蛍光体である。赤色蛍光体には、ユーロピウム付活タンタル酸イットリウムが好ましく用いられ、緑色蛍光体には、タンタル酸稀土類蛍光体が組成式Y1−XTbTaO(式中、Xは、およそ0.001〜0.2である)で表されるテルビウム付活タンタル酸イットリウムが好ましく用いられる。また、青色蛍光体には、タンタル酸稀土類蛍光体がY1−XTmTaO(式中、Xは、およそ0.001〜0.2である)で表されるツリウム付活タンタル酸イットリウムが好ましく用いられる
本発明の蛍光体ペーストに使用される蛍光体粉末は、面積平均径(Ds)が1.0〜2.5μm、体積基準分布の中心径(Dv)が1.8〜4.5μm、Ds/Dvが1.2〜2.5であることが好ましく、さらに好ましくは、Dsが1.2〜2.3μm、Dvが2.0〜4.2μm、Ds/Dvが1.3〜2.3の範囲内である。Ds、DvおよびDs/Dvがこの範囲にあることで、ペーストの濾過性が向上できるので好ましい。
金属粉末としては、Ag、Au、Pd、Ni、Cu、AlおよびPtの群から選ばれる少なくとも1種を含むものが使用できる。これらは、単独、合金、混合粉末のいずれの状態であっても用いることができる。金属粉末の粒子径としては、体積基準分布の中心径が0.7〜6μmが好ましい。より好ましくは1.3〜4μmである。粒子径がこの範囲にあることで、緻密な微細パターンの形成が可能となる。
本発明のペーストにおけるバインダー樹脂は、焼成時に酸化または/および分解または/および気化し、炭化物が無機物中に残存しないことが好ましく、エチルセルロース、メチルセルロース、ニトロセルロース、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート等のセルロース系樹脂、または、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ノルマルブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、2−エチルメチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシルエチル(メタ)アクリレート等の重合体もしくは共重合体からなるアクリル樹脂、ポリ−α−メチルスルホン、ポリビニルアルコール、ポリブテン等が好ましく用いられる。本発明のペーストにおけるバインダー樹脂の含有量は、5〜65重量%、さらには、10〜60重量%であることが好ましい。
本発明のペーストのその他の構成成分としては、有機溶剤、可塑剤、酸化防止剤、消泡剤、分散剤、レベリング剤などの添加物成分や耐火物フィラーを挙げることができる。また、特に本発明のペーストを感光性ペーストとして用いる場合には、感光性ポリマー、感光性オリゴマー、感光性モノマーといった感光性成分や光重合開始剤、増感剤、紫外線吸収剤、重合禁止剤などの添加物成分を加えることができる。
ペーストを基板に塗布する時の粘度を塗布方法に応じて調整するために有機溶剤が使用される。このとき使用される有機溶剤としては、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールジイソブチレート、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、テルピネオール、ベンジルアルコール、1−ブトキシ−2−プロパン、1,2−ジアセトキシプロパン、1−メトキシ−2−プロパノール、2−アセトキシ−1−エトキシプロパン、(1,2−メトキシプロポキシ)−2−プロパノール、(1,2−エトキシプロポキシ)−2−プロパノール、2−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、3−メトキシ−3−メチルブチルアセテート、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−(メトキシメトキシ)エタノール、2−イソプロポキシエタノール、2−ブトキシエタノール、2−(イソペンチルオキシ)エタノール、2−(ヘキシルオキシ)エタノール、2−フェノキシエタノール、2−(ベンジルオキシ)エタノール、ベンジルアルコール、フルフリルアルコール、テトラフルフリルアルコール、2,2’−ジヒドロキシジエチルエーテル、2−(2−メトキシエトキシ)エタノール、2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]エタノール、2−メチル−1−ブタンノル、3−メチル−2−ブタノール、2−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、2−エチル−1−ブタノール、2−メトキシエチルアセテート、2−エトキシエチルアセテート、2−ブトキシエチルアセテート、2−フェノキシエチルアセテート、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、1,2−ジブトキシエタン、シクロヘキサンノン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、1−メチルペンチルアセテート、2−エチルブチルアセテート、2−エチルヘキシルアセテート、酢酸シクロヘキシル、酢酸ベンジル、ヘキサン、シクロヘキサン、メチルエチルケトン、2−ペンタノン、3−ペンタノン、2−ヘキサノン、メチルイソブチルケトン、2−ヘプタノン、4−ヘプタノン、ジイソブチルケトンなどが挙げられる。有機溶剤は、用いるバインダー樹脂に対して良溶媒であることが好ましい。更に、溶剤の選定は、溶剤の揮発性と使用するバインダー樹脂の溶解性を主に考慮して選定して選定される。バインダー樹脂に対する溶剤の溶解性が低いと固形分比が同一でも塗工液の粘度が高くなってしまい、塗布特性が悪化するという傾向があるためである。
有機溶剤の含有率は、少なすぎると蛍光体ペーストの粘度が高くなりすぎ隔壁形成材料内の気泡を抜くことが困難となり、レベリング不良により塗布面の平滑性が不良となる傾向がある。反対に多すぎる場合には、分散粒子の沈降が速くなり、蛍光体ペーストの組成を安定化することが困難となったり、乾燥に多大なエネルギーと時間を要したりする等の問題を生じる傾向があるため、溶剤の好ましい含有率はペースト中に35〜65wt%、更に好ましくは、40〜60wt%である。
耐火物フィラーは、焼成時の形状を安定させるために好ましく添加される。耐火物フィラーとしては、500〜650℃程度の焼成温度で軟化しないものが広く使用でき、高融点ガラスやアルミナ、マグネシア、カルシア、コーディエライト、シリカ、ムライト、ジルコン、ジルコニア等のセラミックス粉末が例示できる。PDPの外光反射を低減し、実用上のコントラストを上げるために隔壁を暗色にする場合には、耐火性の黒色顔料として、Co−Cr−Fe、Co−Mn−Fe、Co−Fe−Mn−Al、Co−Ni−Cr−Fe、Co−Ni−Mn−Cr−Fe、Co−Ni−Al−Cr−Fe、Co−Mn−Al−Cr−Fe−Si等の顔料を用いてもよい。一方、蛍光体の発光を有効にパネル前面に導く目的で隔壁を白くする場合には、耐火性の白色顔料としてチタニアなどを用いてもよい。
感光性モノマーとしては、活性な炭素−炭素不飽和二重結合を有する化合物が多く用いられている。官能基として、ビニル基、アリル基、アクリレート基、メタクリレート基、アクリルアミド基を有する単官能および多官能化合物が応用できる。具体的には、2−(2−エトキシエトキシ)エチルアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、ペンタエリストールトリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、グリシジルメタクリレートなどが挙げられる。
本発明のペーストを感光性ペーストとして用いる場合には、バインダー樹脂として感光性ポリマーまたは/および感光性オリゴマーを用いるのが好ましい。そのオリゴマーまたはポリマーは、炭素−炭素二重結合を有する化合物から選ばれた成分の重合または共重合により得られる。
不飽和カルボン酸などの不飽和酸を共重合することによって、感光後のアルカリ水溶液での現像性を向上することができる。不飽和カルボン酸の具体的な例として、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、ビニル酢酸またはこれらの酸無水物などが挙げられる。
こうして得られた側鎖にカルボキシル基などの酸性基を有するポリマーもしくはオリゴマーの酸価は50〜180、さらには70〜140の範囲が好ましい。
光重合開始剤は、感光性ペーストに対して0.005〜5重量%の範囲で添加するのが、感光特性上好ましい。
本発明のペーストは、各種成分を所定の組成となるように調合した後、プラネタリーミキサー等のミキサーによって予備分散した後、上述の円筒容器内にローラーが装入された分散機で分散・混練によって均質に作製する。
次に、本発明のペーストの製造方法によって製造されたペーストをディスプレイパネル用部材への適用する例について説明する。
基板上に、書き込み電極として、感光性銀ペーストを用いてフォトリソグラフィー法により、ストライプ状電極を形成し、この基板に誘電体ペーストをスクリーン印刷法により塗布した後、500〜600℃で焼成して、誘電体層を形成する。
さらに、誘電体層上に感光性ガラスペーストを用いて、フォトリソ法でパターン形成後、500〜600℃で10〜60分間焼成し、ストライプ状の隔壁パターンを形成する。
このようにして形成された隔壁に、上記蛍光体ペーストを形成する。蛍光体の形成方法は特に限定されないが、例えば、スクリーン印刷法、口金から蛍光体ペーストを吐出する方法、感光性ペースト法などが挙げられるが、この中でも口金から蛍光体ペーストを吐出する方法、スクリーン印刷法が簡便で、低コストのPDPを得ることができるため好ましい。蛍光体ペーストを塗布して乾燥させた後、例えば、500℃で30分焼成して隔壁の側面および底部に蛍光体層を形成する。
以下に、本発明を実施例により具体的に説明する。ただし、本発明はこれに限定されるものではない。実施例中の濃度(%)は重量%である。
(ペースト組成)
(1)隔壁ペースト
酸化鉛、酸化ホウ素、酸化亜鉛、酸化シリコン、酸化バリウムの物質が主成分となるガラスを粉砕した平均粒径2μmのガラス粉末52%、メチルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(重量組成比60/40、重量平均分子量32000)12%、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート12%、ベンゾフェノン1.94%、1,6−ヘキサンジオール−ビス[(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]0.05%、有機染料(ベーシックブルー7)0.01%、有機溶媒(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)22%からなる感光性ペースト。
(2)赤色蛍光体ペースト
(Y,Gd,Eu)BOの平均粒径3μmの蛍光体粉末35%、エチルセルロース7%、有機溶剤(テルピネオール)58%。
(3)緑色蛍光体ペースト
(Zn,Mn)SiOの平均粒径2.5μmの蛍光体粉末33.5%、エチルセルロース6.5%、有機溶剤(テルピネオール)60%。
(4)青色蛍光体ペースト
(Ba,Eu)MgAl1017の平均粒径2μmの蛍光体粉末33.5%、エチルセルロース6.5%、有機溶剤(テルピネオール)60%。
(5)誘電体ペースト
軟化点410℃の平均粒径5μmのホウケイ酸鉛ガラス80%、エチルセルロース2%、有機溶剤(テルピネオール)18%。
(6)電極ペースト
酸化ビスマス、酸化珪素、酸化硼素、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化アルミニウムからなるガラスを粉砕した平均粒径0.8μmのガラス粉末3%、メチルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(重量組成比60/40、重量平均分子量32000)6%、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート3%、ベンゾフェノン1%、平均粒径1.2μmのAg粉末74%、有機溶剤(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)13%からなる感光性ペースト。
(7)前面板用誘電体ペースト
軟化点475℃、平均粒径3.8μmのPbO・B・SiOガラス75%、エチルセルロース3%、有機溶剤(プロピレングリコールn−プロピルエーテル/トリプロピレングリコールn−ブチルエーテル=80/20)22%。
(8)黒色ペースト
平均粒径0.25μmのCu−Fe−Mn黒色顔料28%、酸化ビスマス、酸化珪素、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化アルミニウムからなるガラスを粉砕した平均粒径1.0μmのガラス粉末35%、メチルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(重量組成60/40、重量平均分子量32000)12%、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート5%、ベンゾフェノン1%、有機溶剤(ジプロピレングリコールメチルエーテル)19%からなる感光性黒色ペースト。
(ペーストの評価方法)
(1)粘度
装置:フィールド型の粘度計(ブルックフィールド社製、モデルDV−1)
測定:回転数3rpm、測定温度25℃
(2)分散性
装置:グラインドゲージ(エリクセン製、0〜50μm)
評価:粒の分布密度を観察し、密集した粒が現れた箇所の目盛りを読みとった。ただし、密集した粒の境界線が目盛りと目盛りの中間に現れたとき、または2本の溝の数値が異なるときは、数値の大きい方の目盛りを読みとり、3回の測定値の中央値をペーストの分散度とした。
(3)異物量
分散後のペースト20kgを293mmφのディスクフィルター(濾過圧:0.2MPa、フィルター:500メッシュ)で濾過した後、フィルターをクリーン容器に入れ、クリーンアセトンで浸し、超音波洗浄機で30分間洗浄した。洗浄後、その洗浄液を更に25mmφのディスクフィルター(濾過圧:0.05MPa、フィルター:ナイロンネット[孔径11μm])で濾過しフィルター上に残った異物量を精密天秤で測定した。
(実施例1〜5)
各ペーストを所定量計量後、プラネタリーミキサー(井上製作所製)で予備分散した。この時の条件は、30rpmで60分行った。予備分散終了後、ミキサーの下釜に上釜をセットし、テフロン(登録商標)製の18mmφのチューブで円筒容器内にローラーが装入された分散機と接続した。ミキサーの釜に圧空0.2MPaをかけ、ミキサー釜内のペーストを分散機の円筒容器に押し出した。分散機の運転条件は、300rpmとした。続いて、分散が終了したペーストの濾過を実施した。濾過は、293mmφのディスクフィルター(濾過圧:0.2MPa、フィルター:500メッシュ)で行った。
各ペーストの処理量は、20kgとし、20kgの分散処理に要した時間、分散処理後の分散度、粘度、ディスクフィルター上の異物量を測定した結果を表1および表2に示した。
次に、340×260×2.8mmサイズのガラス基板(旭硝子(株)製“PD−200”)を使用してAC(交流)型プラズマディスプレイパネルの背面板を形成した。
基板上に、書き込み電極として、感光性電極ペーストを用いてフォトリソグラフィー法により、ピッチ140μm、線幅60μm、焼成後厚み4μmのストライプ状電極を形成した。この基板に誘電体ペーストをスクリーン印刷法により塗布した後、550℃で焼成して、厚み10μmの誘電体層を形成した。
さらに、誘電体層上に隔壁ペーストを用いて、フォトリソ法でパターン形成後、570℃で15分間焼成し、ピッチ140μm、線幅20μm、高さ100μmのストライプ状の隔壁パターンを形成した。
このようにして形成された隔壁に、蛍光体ペーストを口金から蛍光体ペーストを吐出する方法を用いて塗布して隔壁の側面および底部に蛍光体層を形成した。
次に、前面板を以下の工程によって作製した。まず、背面板と同じガラス基板上に、ITOをスパッタ法で形成後、レジスト塗布し、露光・現像処理、エッチング処理によって厚み0.1μm、線幅200μmの透明電極を形成した。また、黒色銀粉末からなる感光性電極ペーストを用いてフォトリソグラフィー法により、焼成後厚み10μmのバス電極を形成した。電極はピッチ140μm、線幅60μmのものを作製した。
さらに、電極を形成した前面板上に透明誘電体ペーストを20μm塗布し、430℃で20分間保持して焼き付けた。次に形成した透明電極、黒色電極、誘電体層を一様に被覆するように電子ビーム蒸着機を用いて、厚みは0.5μmのMgO膜を形成して前面板を完成させた。
得られた前面ガラス基板を、前記の背面ガラス基板と貼り合わせ封着した後、放電用ガスを封入し、駆動回路を接合してプラズマディスプレイ(PDP)を作製した。このパネルに電圧を印加して表示状態を観察した。観察結果を表1および表2に示した。
(比較例1〜3)
各ペーストを所定量計量後、プラネタリーミキサー(井上製作所製)で予備分散した。この時の条件は、30rpmで60分行った。予備分散終了後、2リッターのPE容器に小分けし、手投入し、3本ローラー(井上製作所)で分散処理を行った。処理条件は、ローラーの回転数を40rpmとした。比較例1では、3本ローラーのパス回数を1回、比較例2では、パス回数を2回、比較例3では、パス回数を3回とした。続いて、分散が終了したペーストの濾過を実施した。濾過は、293mmφのディスクフィルター(濾過圧:0.2MPa、フィルター:500メッシュ)で行った。
各ペーストの処理量は、20kgとし、20kgの分散処理に要した時間、分散処理後の分散度、粘度、ディスクフィルター上の異物量を測定した結果を表1および表2に示した。
パネルの表示状態の観察は、実施例1〜5と同様に行った。結果を表1および表2に示した。
Figure 2010005622
Figure 2010005622
実施例1〜3で得られたペーストは、異物量が少なく、分散性の良好なペーストが短時間で得られた。また、これらのペーストを使用して得られたパネルは、表示特性が良好であった。
実施例4〜5では、やや分散性に劣るものの異物量は少なく、パネル表示特性は良好であった。
実施例6で得られたペーストは、異物量が少なく、分散性の優れたペーストが短時間で得られた。また、これらのペーストを使用して得られたパネルは、表示特性が良好であった。
比較例1〜3では、各ペースト共に異物量が多く見られた。分散性は、パス回数を増すと良好になったが、異物量およびペースト粘度が増加した。分散性を良好にするには、パス回数は3回必要となり、長い処理時間が必要であった。また、パネル表示特性では、異物起因のパネル不灯箇所が多く存在し、不良であった。
1 円筒容器
2 ローター
3 回転軸
4 溝
5 ローラー
6 わずかな隙間
7 隙間
8 容器内壁
9 ベアリングローラー
10 テーパーローラーベアリング

Claims (13)

  1. 円筒容器内にローラーが装入された分散機を用いてペーストを処理することを特徴とするペーストの製造方法。
  2. 分散機が、円筒容器の一方にペースト供給口を、他方にペースト吐出口を備えた分散機であることを特徴とする請求項1記載のペーストの製造方法。
  3. ペースト供給口に定量ポンプを用いてペーストを供給することを特徴とする請求項2記載のペーストの製造方法。
  4. 分散機が、円筒容器内に回転可能なローターを配置し、ローターの外周部にその回転軸と平行な溝を複数有し、各溝内にローターの回転による遠心力で少なくとも溝の内壁との間に隙間が形成され、かつ、円筒容器の内壁面に当接して自転しながら円筒容器内を公転するローラーがそれぞれ装入された分散機であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のペーストの製造方法。
  5. ローラーの直径が5〜50mmの範囲内、長さが10〜100mmの範囲内であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のペーストの製造方法。
  6. 分散機の円筒容器の内壁およびローラーがセラミック材で作製されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のペーストの製造方法。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載のペーストの製造方法によって製造されたことを特徴とするペースト。
  8. ペーストが無機粉末を含むことを特徴とする請求項7記載のペースト。
  9. ペースト中の無機粉末の含有量が35〜95重量%の範囲であることを特徴とする請求項8記載のペースト。
  10. 無機粉末が、ガラス、蛍光体、金属から選ばれる少なくともいずれか1種であることを特徴とする請求項8または9記載のペースト。
  11. ペーストが不飽和二重結合を有する化合物を含むことを特徴とする請求項7〜10のいずれかに記載のペースト。
  12. ディスプレイの電極、誘電体、隔壁、蛍光体形成に用いられることを特徴とする請求項7〜11のいずれかに記載のペースト。
  13. 少なくとも基板上にペーストが塗布される工程を含むディスプレイパネル用部材の製造方法であって、ペーストが請求項7〜12のいずれかに記載のペーストであることを特徴とするプラズマディスプレイパネル用部材の製造方法。
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