JP2002117760A - プラズマディスプレイパネルの製造方法及び製造装置 - Google Patents

プラズマディスプレイパネルの製造方法及び製造装置

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JP2002117760A
JP2002117760A JP2001184142A JP2001184142A JP2002117760A JP 2002117760 A JP2002117760 A JP 2002117760A JP 2001184142 A JP2001184142 A JP 2001184142A JP 2001184142 A JP2001184142 A JP 2001184142A JP 2002117760 A JP2002117760 A JP 2002117760A
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nozzle
groove
phosphor
phosphor ink
ink
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JP2001184142A
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English (en)
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Hiroyuki Kawamura
浩幸 河村
Shigeo Suzuki
茂夫 鈴木
Masaki Aoki
正樹 青木
Kanako Miyashita
加奈子 宮下
Keisuke Sumita
圭介 住田
Nobuyuki Kirihara
信幸 桐原
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Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 長時間にわたって連続して蛍光体インキを塗
布することが可能であって、微細なセル構造の場合でも
容易に精度良く均一的に蛍光体層を形成することができ
るPDPの製造方法、並びにそれに適したインキ塗布装
置及び蛍光体インキを提供する。 【解決手段】 ノズルヘッド53から蛍光体インキを吐
出しながらX方向に走査するときに、ノズル54が走査
ラインに沿うよう、ノズルヘッド53のY方向の位置も
調整しながら走査する。蛍光体インキとしては、平均粒
径が0.5〜5μmの蛍光体粉末、OH基を末端に持つ
溶剤であるターピネオール,ブチルカービトールアセテ
ート,ブチルカルビトール,ペンタンジオール,リモネ
ン等の混合溶剤、セルロース分子内のエトキシ基含有量
が49%以上のエチルセルロース、或はエチレンオキサ
イド系ポリマーからなるバインダーに、更に分散剤を添
加したものを用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、プラズマディスプレイ
パネルの製造方法に関し、特に蛍光体層を形成するのに
用いる蛍光体インキや蛍光体塗布装置の改良に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】近年、ハイビジョンをはじめとする高品
位で大画面のテレビに対する期待が高まっている中で、
CRT,液晶ディスプレイ(LCD),プラズマディス
プレイパネル(Plasma Display Panel,以下PDPと記
載する)といった各ディスプレイの分野において、これ
に適したディスプレイの開発が進められている。
【0003】従来からテレビのディスプレイとして広く
用いられているCRTは、解像度・画質の点で優れてい
るが、画面の大きさに伴って奥行き及び重量が大きくな
る点で40インチ以上の大画面には不向きである。ま
た、LCDは、消費電力が少なく、駆動電圧も低いとい
う優れた性能を有しているが、大画面を作製するのに技
術上の困難さがある。
【0004】これに対して、PDPは、小さい奥行きで
大画面を実現することが可能であって、既に50インチ
クラスの製品も開発されている。PDPは、駆動方式に
よって直流型(DC型)と交流型(AC型)とに大別さ
れるが、現在は、微細なセル構造のパネルを形成するの
に適しているAC型が主流となっている。
【0005】AC型として代表的な交流面放電型PDP
は、一般的に、表示電極を配したフロントカバープレー
トとアドレス電極を配したバックプレートとが、両電極
はマトリックスを組むように、間隙をおいて平行に配さ
れ、両プレート間の間隙は、ストライプ状の隔壁で仕切
られている。そして、隔壁と隔壁との間の溝には、赤,
緑,青の蛍光体層が形成されると共に放電ガスが封入さ
れて構成されており、駆動回路で各電極に電圧を印加す
ることによって放電すると、紫外線が放出され、蛍光体
層の蛍光体粒子(赤,緑,青)がこの紫外線を受けて励
起発光することによって画像表示されるようになってい
る。
【0006】このようなPDPは、通常、バックプレー
ト側に隔壁を配設し、隔壁間の溝に蛍光体層を形成し、
その上にフロントカバープレートを重ねて放電ガスを封
入することによって製造される。ところで、隔壁間の溝
に蛍光体層を形成する方法としては、特開平6−520
5号公報に開示されているように、蛍光体ペーストを隔
壁間の溝に充填して焼成する方法(スクリーン印刷法)
が多く用いられてきたが、精細なセル構造のPDPに対
しては、スクリーン印刷法を適用することは難しい。
【0007】例えば、フルスペックのハイビジョンテレ
ビの画素レベルでは、画素数が1920×1125とな
り、42インチクラスでの隔壁のピッチ(セルピッチ)
は0.1〜0.15mm程度と細かくなり、隔壁間の溝
幅は、0.08〜0.1mm程度と非常に狭くなってし
まうが、スクリーン印刷で用いる蛍光体インキは粘度が
高いので(通常、数万センチポイズ)、このような狭い
隔壁間に精度良く高速に蛍光体インキを流し込むことは
困難である。また、このような精細な構造のPDPに合
わせてスクリーン板を作成することも困難である。
【0008】また、蛍光体層の形成方法として、スクリ
ーン印刷法以外にも、フォトレジストフィルム法やイン
キジェット法が開発されている。フォトレジストフィル
ム法は、特開平6−273925号公報に開示されてい
るように、各色蛍光体を含む紫外線感光性樹脂のフィル
ムを、隔壁と隔壁の間に埋め込み、該当する色の蛍光体
層を形成しようとする部分だけに露光現像を施し、露光
しない部分を洗い流す方法であって、この方法によれ
ば、セルピッチが小さい場合にも、ある程度精度良く隔
壁間にフィルムを埋め込むことが可能である。
【0009】しかし、3色各色について、フィルムの埋
め込み,露光現像及び洗い流しを順次行う必要があるた
め、製造工程が複雑であると共に混色が生じやすいとい
う問題があり、更に、蛍光体は比較的高価であり且つ洗
い流された蛍光体を回収することも困難なためコスト高
になるという問題がある。一方、インキジェット法は、
特開昭53−79371号公報や特開平8−16201
9号公報に開示されているように、蛍光体と有機バイン
ダーからなるインキ液を加圧してノズルから噴射させな
がら走査することにより、所望のパターンで蛍光体イン
キを絶縁基板上に付着させる方法である。インキジェッ
ト法では、エチルセルロース,アクリル樹脂、或はポリ
ビニルアルコール等を有機バインダーとし、ターピネオ
ールやブチルカルビトールアセテートなどが溶剤とし、
ペイントシェーカーのような分散器を用いて、有機バイ
ンダーと溶剤との混合物に蛍光体を分散させることによ
って製造された蛍光体インキが一般的に用いられてい
る。
【0010】このようなインキジェット法によれば、狭
い隔壁間の溝にも精度良くインキを塗布することが可能
であるが、噴射されたインキが液滴となって間欠的に付
着するので、ストライプ状に配設されている隔壁間の溝
に沿って円滑に塗布することは難しい。この点につい
て、本発明者等が先に出願した特願平8−245853
号あるいは特願平9−253749号に開示されている
ように、粘度の低い流動性のよい蛍光体インキを加圧し
てノズルから連続的に噴射しながら走査すれば、円滑に
塗布することが可能である。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この方
法で蛍光体インキを塗布した場合でも、出来上がったP
DPを駆動した時に、隔壁に沿って筋状のむらが発生し
たり、アドレス電極の切れ目に沿って筋状のむらが発生
しやすく、特に白色表示をしたときに筋状のむらが目立
つという問題がある。 このような筋状のむらが発生す
る理由は、各溝に形成される蛍光体層に若干のばらつき
あるいは混色が生じるためと考えられる。そして、ばら
つきを生じさせる要因として、次のようなものが挙げら
れる。
【0012】(1)蛍光体インキを塗布する際に、蛍光
体インキに電荷(チャージ)が発生すると共に、作業環
境や作業条件によって発生する電荷量も左右されやすい
ため、蛍光体インキの付着量が場所毎に変化しやすい。 (2)RGBの3色の蛍光体インキを、1色づつ順に塗
布していく場合、2色目、3色目の蛍光体インキを塗布
する時には、前に塗布した蛍光体インキが隣接する溝に
塗布されており、その隣接する蛍光体インキによるレオ
ロジー的な影響を受けるため、塗布される蛍光体インキ
の付着状態が一定になりにくい。
【0013】なお、一色を塗布するごとに十分乾燥させ
てから次の色を塗布するようにすれば、このレオロジー
的な影響をなくすことはできるが、その場合、乾燥工程
が多くなるので、そのための設備が必要な上、生産工程
も繁雑となってしまう。 (3) 蛍光体インキを隔壁間の溝に塗布する際に、均
一的に塗布するには、ノズルが常に隔壁間の溝の中央部
に位置するように走査するのが望ましいが、ノズルをま
っすくに走査したとしても、隔壁間の溝の幅がばらつい
ていたり溝が彎曲していたりすると、ノズルが溝の中央
部からずれてしまう箇所が生じるため、なかなか均一的
に塗布することできない。特に精細なセル構造の場合は
問題になりやすい。
【0014】(4)流動性のよい蛍光体インキを微細な
ノズルから噴射させると、ノズルからの吐出をオン・オ
フする際に、吐出量が変化したり噴出されるジェットの
方向が変化するため、蛍光体インキが隔壁内に精度よく
充填されにくい。更に別の問題として、一般的に、隔壁
間の溝に塗布された蛍光体インキは、隔壁側部には付着
しにくく、溝の底に多く付着する傾向があるので、隔壁
側部と溝底部にバランスよく蛍光体層を形成するのが難
しい。そして、蛍光体層の隔壁側部と溝底部とのバラン
スがよくないと、高いパネル輝度を得にくいという問題
がある。
【0015】また、インキジェット法で使用するノズル
径は、隔壁間隔に合わせて狭く設定する必要があるの
で、ノズルに目づまりが起こりやすく、長時間連続して
蛍光体を塗布することが困難という問題もある。特に、
隔壁ピッチが0.15mm以下の高精細なPDPを製造
する場合、ノズル径をこれよりかなり小さく設定する必
要があるため、目づまりの問題が生じやすい。
【0016】本発明は、このような課題に鑑み、長時間
にわたって連続して蛍光体インキを塗布することが可能
であって、微細なセル構造の場合でも容易に精度良く均
一的に蛍光体層を形成することができるPDPの製造方
法、並びにそれに適したインキ塗布装置及び蛍光体イン
キを提供し、これによって、PDPを高画質で筋むらが
発生しにくくし、且つ高輝度で画像表示することができ
るようにすることを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】そのため、本発明では、
ノズルから蛍光体インキを連続的に吐出させながら、プ
レートに配設された隔壁間の溝に沿って相対的に走査す
ることによって蛍光体インキを塗布する際に、各溝に関
する位置情報に基づいてノズルが通過する溝内の位置を
調整しながら行うようにした。
【0018】これによって、溝が彎曲しているような場
合でも、ノズルが常に溝の中央部を通るように走査する
ことができるので、各溝に蛍光体インキを均一的に塗布
し、且つ各溝内の底と隔壁側面とにバランスよく付着さ
せることができる。また、本発明では、ノズルから蛍光
体インキを連続的に吐出させながら、プレートに配設さ
れた隔壁間の溝に沿って相対的に走査することによって
蛍光体インキを塗布する際に、各溝の幅を溝長手方向に
わたって測定し、測定した溝幅に応じて、隔壁長さ当た
りに塗布する蛍光体インキ量を調整しながら蛍光体イン
キをノズルから吐出させるようにした。 これによっ
て、溝幅にばらつきがあったり、溝の中で幅が変動して
いるような場合でも、蛍光体インキを均一的に塗布する
ことができる。
【0019】また、本発明では、蛍光体インキを複数の
溝に順次塗布する際に、ノズルが溝上から外れた位置に
あるときにもノズルから蛍光体インキを連続して吐出す
る状態を維持しながら塗布するようにした。これによっ
て、ノズル出口付近における蛍光体インキの付着を防止
できるので、安定したインキジェットの流れを得ること
ができる。従って、複数の溝に対して、均一的に蛍光体
インキを塗布することができる。
【0020】また、本発明では、ノズルから蛍光体イン
キを連続的に吐出させる前に、インキを分散器で再分散
させることとした。これによっても、塗布される蛍光体
インキの分散性が向上するので、蛍光体インキを、各溝
内の底と隔壁側面とにバランスよく付着させることがで
きる。また、本発明では、PDPの製造に用いる蛍光体
インキにおいて、平均粒径が0.5〜5μmの蛍光体粉
末、OH基を末端に持つ溶剤であるターピネオール,ブ
チルカービトールアセテート,ブチルカルビトール,ペ
ンタンジオール,リモネン等の混合溶剤を用いると共
に、バインダーとして、セルロース分子内のエトキシ基
(−OC25)含有量が49%以上のエチルセルロース
(セルロース分子内の水酸基(−OH)がエトキシ基で
置換されたもの)、或はエチレンオキサイド系ポリマー
を用い、更に分散剤を添加した。ここで、エトキシ含有
量というのは、セルロース分子内でのエトキシ基の含有
量のことであって、例えば、セルロースの水酸基が完全
にエトキシ基で置換されたものは、エトキシ基含有量が
54.88%である。
【0021】蛍光体インキの粘度は、2000センチポ
イズ以下(好ましくは10〜500センチポイズ)の低
粘度に設定するのがよい。PDP用の蛍光体インキにお
いて、従来から、バインダーとして、エチルセルロース
系、アクリル系、ポリビニールアルコール系の樹脂が用
いられ、ターピネオールやブチルカービトールなどの溶
剤も使われているが、一般的にバインダーが溶剤に十分
に溶解しにくく、蛍光体粒子や樹脂の分散状態が良くな
りにくいという問題がある。
【0022】これに対して、上記のように蛍光体インキ
に用いるバインダーの種類と、溶剤の種類とを規定する
ことによって、バインダーの溶剤に対する溶解性が良好
となり、蛍光体の分散性も高められ、これによって、隔
壁間の溝に充填された蛍光体インキは、隔壁側面にもよ
く付着し、上記の隣接する蛍光体インキによるレオロジ
ー的影響が表れにくいことになる。従って、蛍光体イン
キを、各溝内の底と隔壁側面とにバランスよく付着させ
ることができる。
【0023】蛍光体インキに添加する好ましい分散剤の
例としては、脂肪酸塩,アルキル硫酸,エステル塩,ア
ルキルベンゼンスルフォン酸塩,アルキルスルホコハク
酸塩及びナフタレンスルフォン酸ポリカルボン酸高分子
から選択されたる陰イオン性界面活性剤、或は、ポリオ
キシエチレンアルキルエーテル,ポリオキシエチレン誘
導体,ソルビタン脂肪酸エステル,グリセリン脂肪酸エ
ステル及びポリオキシエチレンアルキルアミンから選択
される非イオン性界面活性剤、或は、アルキルアミン
塩,第4級アンモニウム塩,アルキルベタイン,アミン
オキサイドから選択される陽イオン性界面活性剤を挙げ
ることができる。
【0024】また、本発明では、PDP製造用の蛍光体
インキにおいて、更に除電物質を添加することとした。
これによって、精細な構造のPDPの場合でも、隔壁間
の溝に均一的に蛍光体インキを塗布することができ、ま
た出来上がったPDPを駆動したときに筋むらが発生す
ることもほとんどない。これは、蛍光体インキに除電物
質や分散剤を添加すると、蛍光体インキを塗布する際に
帯電が防止されるため、蛍光体インキの盛り上がり等の
減少が抑えられるためと考えられる。
【0025】除電物質としては、カーボン微粒子,グラ
ファイト微粒子,金属微粒子,金属酸化物の微粒子とい
った導電性微粒子、或は、上で分散剤として挙げたよう
な各種界面活性剤も除電物質として挙げられる。更に、
添加する除電物質が、界面活性剤やカーボン微粒子のよ
うに、焼成時に蛍光体層から消失される性質もしくはそ
の導電性が失われる性質を有するものであれば、蛍光体
層中に除電物質が残存することによりPDP駆動に支障
が生じる可能性もない。
【0026】
【発明の実施の形態】[実施の形態1] 〔PDPの全体構成及び製法について〕図1は、実施の
形態に係る交流面放電型PDPを示す斜視図であり、図
2は、このPDPに回路ブロックを実装した表示装置の
構成図である。
【0027】このPDPは、前面ガラス基板11上に放
電電極12(走査電極12a,維持電極12b)、誘電
体層13、保護層14が配されてなる前面パネル10
と、背面ガラス基板21上にアドレス電極22、誘電体
層23が配された背面パネル20とが、電極12a,1
2bとアドレス電極22とを対向させた状態で間隔をお
いて互いに平行に配されて構成されている。そして、前
面パネル10と背面パネル20との間隙は、ストライプ
状の隔壁30で仕切られることによって放電空間40が
形成され、当該放電空間40内には放電ガスが封入され
ている。
【0028】また、この放電空間40内において、背面
パネル20側には、蛍光体層31が配設されている。こ
の蛍光体層31は、赤,緑,青の順で繰返し並べられて
いる。放電電極12及びアドレス電極22は、共にスト
ライプ状であって、放電電極12は隔壁30と直交する
方向に、アドレス電極22は隔壁30と平行に配されて
いる。
【0029】なお、図2に示すように、各放電電極12
は、パネルの端から端まで連続して横切っているが、各
アドレス電極22は、パネルの中央部で分割されデュア
ルスキャン方式で駆動できるようになっている。放電電
極12,アドレス電極22は、銀,金,銅,クロム,ニ
ッケル,白金等の金属単独で形成してもよいが、放電電
極12については、ITO,SnO2,ZnO等の導電
性金属酸化物からなる幅広の透明電極の上に幅細の銀電
極を積層させた組み合わせ電極を用いることが、セル内
の放電面積を広く確保する上で好ましい。
【0030】そして、放電電極12とアドレス電極22
が交差するところに、赤,緑,青の各色を発光するセル
が形成されたパネル構成となっている。誘電体層13
は、前面ガラス基板11の放電電極12が配された表面
全体を覆って配設された誘電物質からなる層であって、
一般的に、鉛系低融点ガラスが用いられているが、ビス
マス系低融点ガラス、或は鉛系低融点ガラスとビスマス
系低融点ガラスの積層物で形成しても良い。
【0031】保護層14は、酸化マグネシウム(Mg
O)からなる薄層であって、誘電体層13の表面全体を
覆っている。誘電体層23は、可視光反射層としての働
きも兼ねるように、TiO2粒子が混合されている。隔
壁30は、ガラス材料からなり、背面パネル20の誘電
体層23の表面上に突設されている。
【0032】(PDPの作製方法)このPDPを作製す
る方法について、以下に説明する。 前面パネルの作製:前面パネルは、前面ガラス基板11
上に放電電極12を形成し、その上を鉛系の誘電体層1
3で覆い、更に誘電体層13の表面に保護層14を形成
することによって作製する。 放電電極12は銀からな
る電極であって、電極用の銀ペーストをスクリーン印刷
法で塗布し焼成することによって形成する。なお、この
放電電極12は、インキジェット方式やフォトリソグラ
フィー方式で形成することもできる。
【0033】誘電体層13は、例えば、70重量%の酸
化鉛[PbO],15重量%の酸化硼素[B23],1
0重量%の酸化硅素[SiO2]及び5重量%の酸化ア
ルミニウムと有機バインダー[α−ターピネオールに1
0%のエチルセルローズを溶解したもの]とを混合して
なる組成物を、スクリーン印刷法で塗布した後、520
℃で20分間焼成することによって膜厚約20μmに形
成する。
【0034】保護層14は、酸化マグネシウム(Mg
O)からなるものであって、一般的にはスパッタリング
法によって形成するが、ここではCVD法で1.0μm
の膜厚に形成する。CVD法による酸化マグネシウム保
護層の形成は、CVDの装置内に前面ガラス基板をセッ
トし、これにソースとしてのマグネシウム化合物及び酸
素を送り込んで反応させることによって行う。ここで用
いるソースの具体例としては、アセチルアセトンマグネ
シウム[Mg(C5722],シクロペンタジエニル
マグネシウム[Mg(C552]を挙げることができ
る。
【0035】背面パネルの作製:背面ガラス基板21上
に、放電電極12と同様にスクリーン印刷法を用いて、
アドレス電極22を形成する。次に、TiO2粒子が混
合されたガラス材料をスクリーン印刷法を用いて塗布し
焼成することによって誘電体層23を形成する。
【0036】次に、スクリーン印刷法でガラス材料を繰
返し塗布した後、焼成することによって隔壁30を形成
する。そして、隔壁30の間の溝に蛍光体層31を形成
する。この蛍光体層31の形成方法については後で詳述
するが、ノズルから蛍光体インキを連続的に噴射しなが
ら溝に沿って走査する方法で蛍光体インキを塗布し、塗
布後に、蛍光体インキに含まれている溶剤やバインダー
を除去するため焼成することによって形成する。
【0037】なお、蛍光体インキが乾燥するときに隔壁
の側面にも蛍光体が多く付着するようにするため、隔壁
30の材料を選択する際に、蛍光体インキの隔壁30の
側面に対する接触角が、溝の底面に対する接触角よりも
小さくなるようなものを選択するのが好ましい。また、
本実施形態では、40インチクラスのVGAやハイビジ
ョンテレビに合わせて、隔壁の高さは0.1〜0.15
mm、隔壁のピッチは0.15〜0.36mmとする。
【0038】パネル貼り合わせによるPDPの作製:次
に、このように作製した前面パネルと背面パネルとを封
着用ガラスを用いて貼り合せると共に、隔壁30で仕切
られた放電空間40内を高真空(例えば8×10-7To
rr)に排気した後、放電ガス(例えばHe−Xe系,
Ne−Xe系の不活性ガス)を所定の圧力で封入するこ
とによってPDPを作製する。
【0039】なお、本実施形態では、放電ガスにおける
Xeの含有量を5体積%以上とし、封入圧力は500〜
800Torrの範囲に設定する。PDPを駆動表示す
る際には、図2のように回路ブロックを実装して駆動を
行う。 〔蛍光体インキ、インキ塗布装置及び塗布方法について
の説明〕蛍光体インキは、各色蛍光体粒子が、バインダ
ー、溶剤、分散剤などの混合物に分散され、適度な粘度
に調整されたものである。
【0040】蛍光体粒子としては、一般的にPDPの蛍
光体層に使用されているものを用いることができるが、
その具体例としては、 青色蛍光体: BaMgAl1017:Eu2+ 緑色蛍光体: BaAl1219:MnあるいはZn2
iO4:Mn 赤色蛍光体:(YxGd1-x)BO3:Eu3+あるいはY
BO3:Eu3+ を挙げることができる。
【0041】蛍光体インキの組成などについての詳細な
説明は後述する。図3は、蛍光体層31を形成する際に
用いるインキ塗布装置50の概略構成図である。 図3
に示されるように、インキ塗布装置50において、蛍光
体インキを貯えるインキサーバ51、インキサーバ51
内の蛍光体インキを加圧して送出する加圧ポンプ52、
加圧ポンプ52から送られる蛍光体インキを吐出するノ
ズルヘッド53、基板(ストライプ状の隔壁30が形成
された背面ガラス基板21)を載置する基板載置台5
6、基板載置台56上に載置される背面ガラス基板21
の溝32(隔壁30どうしの間)の位置を検出するため
の溝置検出用ヘッド55等が備えられている。
【0042】このインキ塗布装置50において、背面ガ
ラス基板21は、基板載置台56上で隔壁30が図中X
軸方向に沿うように配置される。また、ノズルヘッド5
3及び溝検出用ヘッド55を、基板載置台56に対して
相対的に駆動する駆動機構(不図示)が設けられ、制御
器60からの指示に従って、基板載置台56の表面に沿
ってX軸方向及びY軸方向に走査できるようになってい
る。なお、この駆動機構としては、3軸ロボット等に用
いられている送りネジ機構やリニアモータ、或はエアシ
リンダ機構を用いて、ノズルヘッド53及び溝検出用ヘ
ッド55、若しくは基板載置台56を駆動すればよく、
その具体例については、実施の形態2において説明す
る。
【0043】また、各ヘッド53,55の基板載置台5
6上におけるX軸・Y軸方向の位置、即ち(X,Y)座
標を検出する位置検出機構(不図示)が設けられ、制御
器60ではこれらの座標位置が検出できるようになって
いる。この位置検出機構としてリニアセンサを設けても
よいが、例えば、X軸あるいはY軸駆動機構において、
パルスモータのように駆動量を正確に制御できる駆動源
を用いる場合は、X軸あるいはY軸の基準位置を通過す
るときにそれを検知することのできる基準位置検出セン
サを設ければ、当該駆動源の駆動量からX軸あるいはY
軸方向の位置を測定することができる。
【0044】ノズルヘッド53は、金属材料を機械加工
並びに放電加工することによって、インキ室53aやノ
ズル54の部分も含めて一体成形されたものであって、
加圧ポンプ52から供給される蛍光体インキは、一旦イ
ンキ室53aに貯えられ、ノズル54から連続的にイン
キジェットを噴射するようになっている。ここでは、ノ
ズルヘッド53にはノズル54が1本だけ設けられてい
るものとするが、複数本のノズル54を設けて複数のイ
ンキジェットを噴射するようにすることもでき、この場
合、インキ室53aで蛍光体インキが分配されると共に
ノズル毎に加わる圧力が均一化される.ノズル54の口
径は、後の図11で説明するように隔壁間の溝からイン
キジェットがはみ出ないようにすることを考慮して、隔
壁ピッチと比べてかなり小さく設定するのがよいが、ノ
ズルの目詰まり起こさないようにすることも必要であ
る。通常は、数十〜数百μm程度の範囲に設定するが、
これは蛍光体インキの吐出量などの条件によっても変っ
てくる。
【0045】また、インキサーバ51には、貯蔵される
蛍光体インキ中の粒子(蛍光体粒子など)が沈殿するの
を防止するため、攪拌機51aが設けられている。溝検
出用ヘッド55は、基板載置台56上に載置される背面
ガラス基板21の表面に沿って走査され、当該表面の各
位置における特性(例えば表面から反射される光量や、
表面の誘電率など)を測定するものであって、この溝検
出用ヘッド55の測定結果に基づいて、背面ガラス基板
21における各溝32の位置情報を得ることができるよ
うになっている。
【0046】ここでは、図3に示されるように、溝検出
用ヘッド55は、Y軸方向に延びるCCDラインセンサ
57と、背面ガラス基板21の上面から反射される光を
CCDラインセンサ57上に結像させるレンズ58とを
備え、CCDラインセンサ57のY軸方向幅に相当する
背面ガラス基板21の上面の画像データを取り込んで制
御器60に送るようになっているものとする。
【0047】〔インキ塗布装置50による溝位置検出及
びインキ塗布操作の説明〕このようなインキ塗布装置5
0を用いて、隔壁30間の溝32a,32b,32cの
位置情報を得、それに基づいてノズルヘッド53が通過
する溝内の位置を制御しながら各色蛍光体インキを各溝
32a,32b,32cに順に塗布する。以下、その具
体例を示す。
【0048】先ず、基板載置台56上に背面ガラス基板
21を載置し、溝検出用ヘッド55を、X軸方向に走査
しながら撮像する操作を、Y軸方向にずらしつつ繰返し
て行うことによって、背面ガラス基板21表面全体にわ
たる画像データを制御器60に順に送る。制御器60で
は、溝検出用ヘッド55から送られてくる画像データを
取り込んで、基板載置台56上の座標と輝度とを対応さ
せた画像データをメモリに格納する。
【0049】図4は、このようにして得られた画像デー
タを模式的に示すものであって、図中、斜線部が背面ガ
ラス基板21に相当し、その中の白抜き部は隔壁30の
上面に相当する部分である。次に、得られた画像データ
に基づいて、走査ラインを設定する。図4において斜線
表示及び白抜き表示で区別しているように、この画像デ
ータにおいて、隔壁30間の溝32a,32b,32c
に相当する部分と、隔壁30の上面に相当する部分と
は、輝度レベルが異なる(一般的には溝部分の方が隔壁
上面部分よりも反射する光量が少ないので暗くなる)と
考えられるので、輝度レベルが急に変化する箇所を各溝
32a,32b,32cの縁(溝と隔壁との境界線)と
見なし、各溝32a,32b,32cにおいて両縁の中
間に走査ラインSを設定すればよい。
【0050】以下、走査ラインSを設定する手法につい
て、更に具体的に説明する。図4の画像データにおい
て、隔壁30を横切るように、Y軸に平行に等ピッチで
複数の検索ラインLを引く。図5(a)は、図4の部分
拡大図であって、図中、検索ラインL1,L2,L3…L6
が引かれている。
【0051】図5(b)は、検索ラインL1上の各位置
における輝度を模式的に示すグラフであって、隔壁30
の上面に相当する位置では高輝度、溝32a,32b,
32cに相当する位置で低輝度となっている様子が示さ
れている。図5(a)における検索ラインL1上におい
て、輝度が急激に変化する点(P11,P12,P13,…,
P18)のY座標、即ち、図5(b)のグラフにおいて立
ち上がり及び立ち下がりのY座標を求める。同様に、図
5(a)における検索ラインL2、L3、…L6について
も、輝度が急激に変化する輝度変化点(P21,P22,P
23,…,P28)、輝度変化点(P31,P32,P33,…,
P38)、…輝度変化点(P61,P62,P63,…,P68)
のY座標を求める。
【0052】そして、輝度変化点P11とP12の中点Q1
1、輝度変化点P21とP22の中点Q21、…、変化P61と
P62の中点Q61の座標を求め、中点Q11,中点Q21,…
中点Q61を連結することによって、図5(a)の左端の
溝32aについての走査ラインS1を設定する。図5
(a)の左から2番目,3番目,4番目の溝について
も、これと同様に、輝度変化点の中点の座標を結ぶこと
によって、走査ラインS2,S3,S4を設定する。
【0053】このように走査ラインSを設定した後、各
走査ラインに沿ってノズル54を走査しながら、各色蛍
光体インキをノズル54から噴射することによって、溝
32a,32b,32cに蛍光体インキを塗布する。具
体的には以下のように行う。まず、インキサーバ51
に、青・緑・赤の中、第1色目(例えば青色)の蛍光体
インキを入れる。
【0054】制御器60は、最初に塗布しようとする溝
32aの走査ラインSの端にノズルヘッド53を移動
し、加圧ポンプ52を駆動して蛍光体インキを圧送す
る。これによって、ノズル54から蛍光体インキが連続
流となって吐出される。ノズル54の下端と隔壁上面と
の距離は、インキ吐出量などの条件にもよるが、通常
0.5〜3mmに設定する。
【0055】この状態で、制御器60は、ノズルヘッド
53をX方向に走査するが、ノズル54が走査ラインS
に沿うよう、ノズルヘッド53のY方向の位置も調整し
ながら走査する。制御器60は、次に、ノズルヘッド5
3をy軸方向にずらして、次に塗布しようとする溝32
aの走査ラインSの端にノズルヘッド53を移動し、ノ
ズルから蛍光体インキを吐出しながら、背面ガラス基板
21を反対向きに高速で走査することによって、ノズル
54が走査ラインSに沿うようにノズルヘッド53を走
査しながら蛍光体インキを塗布する。 そして、このよ
うな操作を繰り返すことによって、第1色目の蛍光体イ
ンキを、背面ガラス基板における全ての溝32aに塗布
する。
【0056】次に、同様にして、隣接する溝32bに、
第2色目(例えば緑色)の蛍光体インキを塗布し、更に
隣接する溝32cに第3色目(例えば赤色)の蛍光体イ
ンキを塗布する。これによって、3色の蛍光体インキ
が、各溝32a,32b,32cに塗布される。以上の
ような蛍光体インキの塗布方法によれば、図6(a)に
示すように溝32a,32b,32cがX軸に対して傾
いていたとしても、或は図6(b)に示すように溝32
a,32b,32cが彎曲していたとしても、常に各溝
の中央部を通るように走査ラインSが設定され、その走
査ラインSに沿ってノズル54が走査されるので、蛍光
体インキが常に溝の両側の隔壁側面に塗布され、溝に沿
って均一的に蛍光体インキが塗布されることになる。
【0057】即ち、図6(a),(b)に示すように溝
32a,32b,32cがX軸に対して傾いていたり彎
曲している場合、仮にノズル54をY軸方向は移動させ
ることなくX軸に平行に直線的に走査したとすれば、図
7(a)に示すように、ノズル54が溝32の中央部か
らはずれてどちらか一方(図7では左側)の隔壁30に
近づく箇所が存在し、このような箇所では、近い側の隔
壁側面に蛍光体インキが多く付着しやすく、形成される
蛍光体層も、図7(b)に示すように、片側の隔壁側面
上に厚く形成されやすい。そして極端な場合はノズル5
4が溝から外れて混色する可能性もある。これに対し
て、本実施形態の塗布方法を用いれば、いずれの箇所で
も両側面に均等に蛍光体インキが塗布される。
【0058】なお、ノズルは必ずしも設定された走査ラ
インの真上を走査しなくても、各走査ラインからあまり
離れることなく走査すれば、このような効果を得ること
はできる。 (蛍光体インキの吐出量制御について)ところで、隔壁
30のピッチが一定で、各溝32a,32b,32cの
溝幅が均一であれば、ノズルの走査速度及びインキの吐
出量(単位時間当たりのノズルからの吐出量)は一定に
設定すればよいが、溝幅にばらつきがあったり、溝の中
で幅が変動しているような場合、ノズルの走査速度及び
インキの吐出量を一定にすると、蛍光体インキの付着状
態(溝の底及び側面への付着バランス)が不均一にな
る。これは、溝幅の広いところでは、溝幅の狭いところ
と比べて、塗布される蛍光体インキが広い面積に分散さ
れるため隔壁側面への蛍光体インキの塗布が少なくなる
ためである。
【0059】また溝幅が小さいところでは、蛍光体イン
キの塗布量が過大となり、隣接する溝にあふれて混色を
引き起こす可能性もある。これに対して、以下のよう
に、溝幅の変動に対応して、蛍光体インキを加圧する圧
力を調整して吐出量を制御するか、走査速度を制御する
ことによって解消することができる。 図4の画像デー
タにおいて、検索ラインL上において、各溝32a,3
2b,32cごとの溝幅を測定しておき、ノズル54を
走査してインキを塗布するときにそれに基づいて、X軸
方向の単位長さ当たりのインキ塗布量が溝幅に比例する
ように、加圧ポンプ52の圧力、或はX軸駆動機構によ
る駆動速度を制御する。
【0060】例えば、図5(a)の走査ラインS1につ
いては、点Q11における溝幅(点P11と点P12間距
離),点Q21,…点Q61における溝幅を測定しておく。
そして、ノズル54で走査ラインS1上を走査する際、
ノズル54が各点Q11,Q21,…Q6上を通過する時
に、加圧ポンプ52による加圧力を、上記の測定した溝
幅に比例させる。
【0061】このように制御することによって、X軸方
向単位長さあたりに塗布される蛍光体インキ量は、溝幅
に略比例することになるので、溝幅にばらつきや変動が
ある場合でも、蛍光体インキの付着状態は均一的とな
り、また、溝幅が小さいところでも混色が生じない。 (溝の位置情報を得る方法やノズル走査方法についての
変形例など)本実施の形態では、溝検出用ヘッド55で
背面ガラス基板21の上面全体の画像を撮り、その画像
データから溝の位置情報を得て、それを用いて走査ライ
ンを設定する例を示したが、走査ラインを設定する方法
は、これに限られることはなくいろいろある。
【0062】例えば、X軸方向に延びるCCDラインセ
ンサを備えたヘッドを、隔壁30を横切るようにY軸方
向に走査することによっても輝度変化点を求めることが
できる。即ち、図5(a)の検索ラインL1,L2…に相
当するライン上の輝度を検出すれば、同様に輝度変化点
を求めることができ、走査ラインを設定することができ
る。
【0063】また、上記実施の形態では、輝度が急激に
変化する点を検出し、それを溝の縁と判定するようにし
たが、例えば、溝検出用ヘッド55に距離センサを配置
して、同様に背面ガラス基板21の上面を走査し、距離
センサからの距離が急減に変化する点を検出し、それを
溝の縁と判定することも可能である。あるいは、溝検出
用ヘッド55に誘電率を測定する誘電体測定センサーを
配置して、同様に背面ガラス基板21の上面を走査し、
誘電体が急減に変化する点を検出し、それを溝の縁と判
定することも可能である。
【0064】また、上記インキ塗布装置50において
は、ノズルヘッド53と溝検出用ヘッド55とそれぞれ
独立して駆動できるようにしたが、これらを一体で駆動
するようにしても、上記と同様の操作を行うことはでき
る。上記インキ塗布装置50においては、予め背面ガラ
ス基板21の上面全体にわたって、溝検出用ヘッド55
で溝の位置を検出して走査ラインを設定し、その後、蛍
光体インキの塗布を開始する例を示したが、並行して行
うことも可能である。即ち、ノズルヘッド53を走査し
て蛍光体インキを塗布しながら、後でインキを塗布しよ
うとする溝について画像データを得ると共に走査ライン
を設定し、その溝にインキを塗布する際に当該走査ライ
ンに合わせてノズルヘッド53を制御しながら走査する
こともできる。
【0065】即ち、ノズルヘッド53を走査するのに先
行して走査ラインを設定すれば、ノズルヘッド53をそ
れに合わせて制御することはでき、上記実施の形態と同
様の効果を奏するものと考えられる。従って、例えばノ
ズルヘッド53に、その走査方向前方で溝の中央位置を
検出する溝検出器(CCDラインセンサ)を付設してお
き、ノズルヘッド53を走査する際に、この溝検出器
で、ノズルヘッド53に先行して溝の中央位置を検出
し、検出した中央位置を通るようにノズルヘッド53を
制御しながら走査するようにすることも可能である。但
しこの場合、溝の中央位置検出及びy軸方向ヘの駆動は
迅速に行えるようにしておく必要がある。
【0066】更にこの他に、ノズルヘッド53に溝検出
器を付設しておき、当該溝検出器で検出する溝の中央位
置とノズルとの位置ずれを算出し、位置ずれをなくすよ
うノズルヘッド53をy軸方向に駆動させるフィードバ
ック補正を行うことも可能である。また、上記実施の形
態では、ノズルヘッド53にノズル54を1つ設ける場
合について説明したが、ノズルヘッド53に複数のノズ
ル54を設ける場合でも、同様に実施することができ
る。
【0067】この場合、各ノズル54を各走査ラインに
沿うようにノズルヘッド53をY軸方向に調整しながら
走査する。例えば、ノズルピッチを隔壁ピッチの3倍に
設定し、ノズルヘッド53の位置調整は、各溝32aの
中央に設定された各走査ラインを平均化したものをノズ
ルヘッド53の走査ラインとし、そのヘッド走査ライン
に一致するようノズルヘッド53をY軸方向に調整しな
がら走査する。
【0068】これによって、複数の溝に対しても、並行
して蛍光体インキを塗布を行うことができる。ノズルヘ
ッド53に設けるノズル54の数が1本であれば、溝3
2a,32b,32cの本数分だけタクト回数も必要で
あるが、上記のようにノズルヘッド53に設けるノズル
54の数を多くすれば、タクト回数を少なくすることが
できる。例えばノズルヘッド53に3本のノズル54を
設ければ、1回の走査で3本の溝に塗布できるので、タ
クト回数を1/3とすることができることはいうまでも
ない。
【0069】高精細のPDPでは、背面ガラス基板21
に設ける溝32a,32b,32cの本数は数百から数
千本と非常に多い(例えば、42インチクラスの16:
9タイプVGAレベルのPDP表示装置では、各色ごと
に850本程度の溝があり、HDタイプでは各色ごとに
1920本の溝がある)。従って、ノズル54の数を多
くすることによって作業効率をかなり向上できる。
【0070】また、本実施形態では、第1色目の蛍光体
インキを塗布し終えてから次の色を塗布するという方法
を示したが、インキ塗布装置50に3色分のノズルヘッ
ドを設けておいて、3色の蛍光体インキを並行して塗布
することも可能である。 〔蛍光体インキの組成について〕 (1)蛍光体粒子 ノズルの目づまりや蛍光体粒子の沈殿を抑制するため
に、蛍光体インキに用いる蛍光体粒子の平均粒径は、5
μm以下とするのがよい。また、蛍光体が良好な発光効
率を得るために、蛍光体の平均粒径は0.5μm以上と
するのがよい。従って、蛍光体粒子としては、平均粒径
が0.5〜5μmを用いるのが好ましく、特に2〜3μ
mの範囲にあるものを用いるのが好ましい。
【0071】また、蛍光体粒子の分散性を向上させるた
めに、以下のようにして、蛍光体粒子の表面に、酸化物
やフッ化物を付着あるいはコーティングすることが有効
である。蛍光体粒子の表面に付着あるいはコーティング
させる金属酸化物の例としては、酸化マグネシウム(M
gO),アルミニウム酸化物(Al23),酸化珪素
(SiO2),酸化インジウム(InO3),酸化亜鉛
(ZnO),酸化イットリウム(Y23)が挙げられ
る。この中で、SiO2は負に帯電する酸化物として知
られ、一方、ZnO,Al23,Y23は正に帯電する
酸化物として知られており、特にこれらの酸化物を付着
あるいはコーティングさせることは有効である。
【0072】付着させる酸化物の粒径は、蛍光体粒子の
粒径と比べてかなり小さく、これらの酸化物の蛍光体粒
子表面ヘの付着量は、蛍光体粒子に対して0.05〜
2.0重量%の範囲とするのが適当である。これは、こ
の範囲より少なすぎると効果が少なく、多すぎるとプラ
ズマ中で発生する真空紫外線を吸収していまい、パネル
輝度が低下するためである。
【0073】蛍光体粒子の表面に付着あるいはコーティ
ングさせるフッ化物の例としては、フッ化マグネシウム
(MgF2)やフッ化アルミニウム(AlF3)が挙げら
れる。 (2)バインダー 蛍光体粒子を良好に分散させるのに適したバインダーと
しては、エチルセルロースあるいはポリエチレンオキサ
イド(エチレンオキサイドのポリマ)が挙げら、特に、
エトキシ基(−OC25)の含有率が49〜54%のエ
チルセルロースを用いるのが好ましい。
【0074】また、バインダーとして光感光性樹脂を用
いてもよい。 (3)溶剤 溶剤としては、水酸基(OH基)を有する有機溶剤を混
合したものを用いるのが好ましく、その有機溶剤の具体
例としては、ターピネオール(C1018O),ブチルカ
ルビトールアセテート,ペンタンジオール(2,2,4
−トリメチルペンタンジオールモノイソブチレート),
ジペンテン(Dipentene、別名Limonen),ブチルカルビ
トール等が挙げられる。
【0075】これらの有機溶剤を混合した混合溶剤は、
上記のバインダーを溶解させる溶解性に優れており、蛍
光体インキの分散性を優れたものとする。蛍光体インキ
中における蛍光体の含有量としては35〜60重量%、
バインダーの含有量としては0.15%〜10重量%の
範囲内が適当である。なお、後述するようい溝に塗布さ
れる蛍光体インキの形状を整えるため、バインダーの含
有量は、インキ粘度が高くなり過ぎない範囲内で大き目
に設定するのが好ましい。
【0076】(4)分散剤 上記のような組成の蛍光体インキに、更に分散剤を添加
することによって、インキ中における蛍光体粒子の分散
性を向上させることができる。分散剤の例としては、以
下のような界面活性剤が挙げられる。 *陰イオン性界面活性剤:脂肪酸塩,アルキル硫酸,エ
ステル塩,アルキルベンゼンスルフォン酸塩,アルキル
スルホコハク酸塩,ナフタレンスルフォン酸ポリカルボ
ン酸高分子。
【0077】*非イオン性界面活性剤:ポリオキシエチ
レンアルキルエーテル,ポリオキシエチレン誘導体,ソ
ルビタン脂肪酸エステル,グリセリン脂肪酸エステル,
ポリオキシエチレンアルキルアミン。 *陽イオン性界面活性剤:例えば、アルキルアミン塩,
第4級アンモニウム塩,アルキルベタイン,アミンオキ
サイド。
【0078】(5)除電物質 また、蛍光体インキに、除電物質を添加するのも好まし
い。上記(4)で分散剤として挙げた界面活性剤は、一
般的に蛍光体インキの帯電を防止する除電作用も有して
おり、除電物質に該当するものが多い。但し、蛍光体,
バインダー,溶剤の種類によって除電作用も異なるの
で、いろいろな種類の界面活性剤について試験を行っ
て、結果の良好なものを選択するのがよい。
【0079】界面活性剤の添加量としては、0.05〜
0.3重量%が適当であって、この範囲より少ないと分
散向上効果あるいは除電効果があまり期待できず、一方
この範囲より多いと輝度に影響を及ぼすので好ましくな
い。除電物質としては、界面活性剤の他に、導電性の材
料からなる微粒子も挙げることができる。
【0080】導電性微粒子としては、カーボンブラック
をはじめとするカーボン微粉末、グラファイトの微粉
末、Al,Fe,Mg,Si,Cu,Sn,Agといっ
た金属の微粉末、並びにこれらの金属酸化物からなる微
粉末が挙げられる。このような導電性微粒子の蛍光体イ
ンキに対する添加量は、0.05〜1.0重量%の範囲
とするのが好ましい。
【0081】蛍光体インキに除電物質を添加することに
よって、蛍光体インキの帯電が防止されるが、これは、
PDPの生産において次のような効果を奏する。蛍光体
インキに除電物質が添加されていない場合には、作製さ
れたパネルを駆動したときに筋むらが発生しやすいとい
う問題があるが、蛍光体インキに除電物質が添加される
ことによって筋むらの発生が抑えられる。
【0082】また、蛍光体インキに除電物質を添加しな
い場合には、蛍光体インキの帯電によって、パネル中央
部におけるアドレス電極22の切れ目(図2参照)にお
いて蛍光体層が盛り上がるという問題も生じやすいが、
蛍光体インキに除電物質を添加することによってこれも
抑えることができる。これらは、蛍光体インキ(特に有
機溶剤を用いたもの)が塗布時に帯電することによっ
て、各溝に塗布される蛍光体インキの量や溝への付着状
態に若干のばらつきを生じるが、蛍光体インキに除電物
質を添加することによってこの帯電が防止されるためと
考えられる。
【0083】また、帯電を抑えることによって、液適の
飛散による混色も防止できる。また、上記のように除電
物質として界面活性剤やカーボン微粉末を用いた場合に
は、蛍光体インキに含まれている溶剤やバインダーを除
去する蛍光体焼成工程において除電物質も蒸発あるいは
焼失されるので、焼成後の蛍光体層中には除電物質が残
存しない。従って、蛍光体層中に除電物質が残存するこ
とによってPDPの駆動(発光動作)に支障が生じる可
能性もない。
【0084】〔蛍光体インキの製造方法について〕蛍光
体インキは、上記のバインダーを、溶剤に対して0.2
〜10重量%溶解し、これに各色蛍光体粒子を調合し
て、分散器を用いて蛍光体粒子を分散させることによっ
て作製する。蛍光体インキを製造する分散器としては、
ボールを用いて分散する振動ミルや撹拌槽型ミル(ボー
ルミル,ビースミル,サンドミル等)の他に、ボールを
用いることなく分散する流通管型ミル、ジェットミル、
ナノマイザなどを挙げることができる。
【0085】振動ミルや撹拌槽型ミルの分散媒体(メデ
ィア)としては、ジルコニアやアルミナのボールを用
い、特に直径0.2〜2mmのジルコニア(ZrO2
ボールを用いるのが好ましい。これは、蛍光体粉末への
ダメージを抑えると共に、不純物の混入(コンタミ)を
抑えるためである。ジェットミルを用いる場合、10〜
100kgf/cm2の圧力範囲で分散を行うのが好ま
しい。この圧力範囲が好ましいのは、10kgf/cm
2未満では十分な分散が得られず、100kgf/cm2
を越えると蛍光体粒子が潰れる傾向にあるからである。
【0086】蛍光体インキの粘度(25℃でせん断速度
が100sec-1における粘度)は、2000センチポ
イズ以下、好ましくは10〜500センチポイズの範囲
内に調整する。蛍光体粒子の表面に酸化物やフッ化物を
付着する方法は、例えば、蛍光体粒子の懸濁液に、酸化
マグネシウム(MgO),アルミニウム酸化物(Al2
3),酸化珪素(SiO2),酸化インジウム(InO
3)などの金属酸化物の懸濁液、あるいはフッ化マグネ
シウム(MgF2)やフッ化アルミニウム(AlF3)な
どの金属フッ化物の懸濁液を加え、混合撹拌した後、吸
引濾過し、125℃以上で乾燥して、350℃で焼成す
ることによって行うことができる。ここで、蛍光体粒子
と酸化物,フッ化物との接着力を向上させるために、樹
脂,シランカップリング剤(silane coupler)あるい
は水ガラス(water glass)を、上記懸濁液に少量添加
してもよい。
【0087】また、例えば、蛍光体粒子の表面にアルミ
ニウム酸化物(Al23)の膜をコーティングするに
は、アルミニウムのアルコキシドであるAl(OC
253のアルコール溶液に、蛍光体粒子を加えて撹拌
することによって行うことができる。 〔本実施形態の蛍光体インキの作用効果について〕本実
施形態の蛍光体インキは上記のように、分散性が優れる
ため、隔壁間の溝に塗布されると、隔壁側面に対する付
着性が良好である。その原理について、以下に説明す
る。
【0088】図8は、蛍光体インキを隔壁間の溝に塗布
した後、蛍光体層が形成される様子を模式的に示す図で
ある。流動性のよい蛍光体インキが隔壁30間に充填さ
れると、充填された蛍光体インキ中の蛍光体粒子には、
重力F1が働きこれを底に沈降させようとする。一方、
蛍光体インキ中の蛍光体粒子には、隔壁側面方向に移動
させようとする力F2も働く。この力F2は、蛍光体イン
キ中の溶剤が隔壁30中に拡散するのに伴って、バイン
ダによって相互に結合している蛍光体粒子も隔壁方向に
引っ張ろうとする力である。
【0089】隔壁間の溝に最終的に形成される蛍光体層
の形状は、これらの力F1と力F2とのバランスによって
決められるが、蛍光体インキの分散性が良好であるほ
ど、力F2が大きくなるため、隔壁側面に対する蛍光体
インキの付着性が良好になるものと考えられる。また、
上述したように、蛍光体インキ中のバインダーの含有量
を大き目に設定するのが好ましいのもこれと同じ原理で
あって、バインダーの含有量を大き目に設定することに
よって力F2が向上するので、隔壁側面に対する蛍光体
インキの付着性が向上することになる。
【0090】そして、蛍光体の隔壁側面への付着が向上
すると、隔壁側面に形成される蛍光体層の割合が大きく
なり、PDPのパネル輝度向上に寄与する。これは表示
電極に近い所で発生する紫外線を可視光に効率よく変換
できるためである。図9は、蛍光体インキ中の樹脂バイ
ンダーの濃度を変えたときに、形成される蛍光体層形状
がどのように変わるかを模式的に示すものである。
【0091】本図に示すように、樹脂濃度が小さい場合
は、蛍光体粒子はほとんど底に沈降し、蛍光体層は底に
だけ形成されるが、樹脂濃度成分を多くなるにつれて、
蛍光体粒子間の結合力が高くなるので、隔壁側面に付着
する蛍光体の量が多くなり、樹脂濃度成分がある程度以
上に高くなると、蛍光体層が隔壁側面だけに形成される
ようになる。
【0092】なお、複数色の蛍光体インキを溝に順に塗
布していく場合、2番目,3番目の色の蛍光体インキを
塗布しようとする際には、既に、隣の溝には蛍光体イン
キが塗布されているので、隔壁には既に溶剤が浸透して
いる。そのため、新たに溝に塗布された蛍光体インキ中
の溶剤は、当該隔壁に浸透しにくく、従って、分散性の
悪い蛍光体インキを用いると力F2がほとんど働かない
ことになる。
【0093】しかし、本実施形態のように分散性のよい
蛍光体インキを用いれば、このように隣の溝に蛍光体イ
ンキが塗布されている場合でも、ある程度の力F2が働
くので、隔壁側面への蛍光体インキの付着性は比較的良
好である。また、通常、ノズル54の口径は、隔壁ピッ
チと比べてかなり小さく設定されており、細いノズルか
ら蛍光体インキを安定的に吐出させるために、インキ粘
度もかなり低く設定する必要がある。図10に示すよう
に、従来のスクリーン印刷などに用いるインキ粘度と比
べて、およそ2桁ほど粘度を低くする必要がある。
【0094】そのため、ノズルに目詰まりが発生しやす
いが、本実施形態の蛍光体インキは蛍光体粒子の分散が
良好なため、ノズルの目詰まりが生じにくく、従って蛍
光体インキを連続的に長時間塗布することが可能であっ
て、連続で100時間以上塗布することも可能である。
ノズル54の口径を、隔壁ピッチと比べてかなり小さく
設定する理由は次の通りである。
【0095】図11は、ノズルからの蛍光体インキの吐
出状況を示す図である。図11(a)に示すように、ノ
ズルから蛍光体インキが吐出された後で蛍光体インキが
膨張する傾向を示す。これは、いわゆるバラス効果とい
われるものである この点を考慮すると、ノズル径d
は、隔壁ピッチと比べてかなり小さくする必要がある。
例えばVGAクラスの360μmピッチの隔壁の場合、
ノズル径dを100μm前後に設定する必要があり、H
Dクラスではノズル径dを50μm前後と非常に小さく
設定する必要がある。
【0096】(蛍光体インキを塗布する方法の変形例)
このような低粘度の蛍光体インキをノズルから吐出させ
た後、吐出を停止させると、図11(b)に示すよう
に、停止後の流れは噴流の軸がずれ、流れが不安定とな
りやすい。この理由は、インキの吐出を停止すると、ノ
ズル先端における噴出口の周囲(ノズル下面)に蛍光体
インキが付着し、その濡れ性が微妙に変わるためであ
り、特にノズル周囲の濡れぶち長さが小さく、インキの
粘性が小さい場合に顕著となる。
【0097】これに対する対策として、ノズル54から
連続的に蛍光体インキを吐出して、複数の溝に順次塗布
する間は継続的に蛍光体インキを吐出さればよい。即
ち、ノズル54が溝から外れた位置にあるときも、蛍光
体インキの吐出を停止させることなく継続させる塗布方
法を用いれば、ノズル先端下面における蛍光体インキの
付着を防止できるので、図11(b)に示すようなイン
キジェット噴流の軸がずれは防止できる。
【0098】例えば、背面ガラス基板21全体に対して
一色の塗布を終わるまでは継続して蛍光体インキを吐出
させるようにすれば、その間はインキジェット噴流の軸
ずれは防止できるので、安定して塗布することができ
る。 [実施の形態2]図12は、本実施形態にかかるインキ
塗布装置を示す斜視図であり、図13はこのインキ塗布
装置の正面図(一部断面)である。
【0099】このインキ塗布装置は、基本的に上記イン
キ塗布装置50と同様の構成であるが、蛍光体インキを
回収して用いる循環機構や複数のノズルを持つノズルヘ
ッドを回転してノズルピッチを調整するノズル回転機構
などを備えるといった工夫が施されている。 (インキ塗布装置の構成)このインキ塗布装置は、装置
本体100と制御器200とから構成されている。
【0100】装置本体100は、本体ベース101と、
当該本体ベース101の上面に敷かれたレール102に
沿ってX軸方向(図中矢印X方向)に移動する基板載置
台103と、本体ベース101を跨ぐように設けられた
アーム104のレール105に沿ってY軸方向(図中矢
印Y方向)に移動するノズルヘッドユニット110、同
様にアーム104をY軸方向に移動し基板載置台103
上に載置された背面ガラス基板21の隔壁位置を検出す
る撮像ユニット120が設けられている。
【0101】本体ベース101の内部には、基板載置台
103をX軸方向に往復駆動させるためのX駆動機構1
30が設けられている。このX駆動機構130は、駆動
モータ131(例えばサーボモータ,ステッピングモー
タ)と、レール102に沿ってX軸方向に延びる送りネ
ジ132と、基板載置台103の下部に固着されたナッ
ト133とから構成され、駆動モータ131で送りネジ
132を回転駆動することによって、ナット133と共
に基板載置台103をX軸方向に高速でスライド駆動さ
せることができる。
【0102】図14は、図12に示すノズルヘッドユニ
ット110の拡大図である。ノズルヘッドユニット11
0には、これをY軸方向に往復駆動させるためのY軸駆
動機構が内蔵された駆動ベース部111、複数のノズル
113が並設されたノズルヘッド112、ノズルヘッド
112の高さを調整するためにこれを昇降させる昇降機
構114、及びノズルヘッド112を基板載置台103
と平行な面内で回転駆動させる回転駆動機構115が設
けられている。
【0103】上記Y軸駆動機構及び昇降機構114とし
ては、例えば、リニアモータや、ピニオン歯車付き駆動
モータをラック歯車とを組み合わせたスライド機構を適
用することができる。また、回転駆動機構115として
は、例えばサーボモータを用い、これによってノズルヘ
ッド112の回転軸112a中心にして回転させる。撮
像ユニット120は、上記駆動ベース部111と同様に
Y軸駆動機構(不図示)によってアーム104上をY軸
方向に駆動できるようになっている。この撮像ユニット
120には、実施の形態1で説明した溝検出用ヘッド5
5と同様、Y軸方向に延びるCCDラインセンサなどが
内蔵され、基板載置台103上に載置された背面ガラス
基板21の上面画像データを得ることができるようにな
っている。
【0104】なお、図示はしないが、このインキ塗布装
置には、基板載置台103のX軸方向の位置を検出する
X位置検出機構、ノズルヘッドユニット110及び撮像
ユニット120のY軸方向の位置を検出するY位置検出
機構、昇降機構114の高さ位置を検出する高さ検出機
構として、X軸方向・Y軸方向・上下方向の各々にリニ
アセンサー(例えば、光学式のリニアエンコーダ)が設
けられており、これによって、制御器200では、各リ
ニアセンサーからの信号に基づいて、ノズルヘッドユニ
ット110及び撮像ユニット120の位置(基板載置台
103上におけるX座標及びY軸座標)並びにノズルヘ
ッド112の高さを随時検出できるようになっている。
また、ノズルヘッド112のX軸に対する角度θも角度
検出機構(例えば、ロータリエンコーダ)で随時検出可
能となっている。
【0105】以上のような各駆動機構及び各検出機構に
よって、ノズルヘッド112並びに撮像ユニット120
は、基板載置台103上に沿ってX軸方向及びY軸方向
に走査することができ、更に、ノズルヘッド112は、
基板載置台103からの高さ及びX軸に対する角度を調
整することが可能となっている。また、図12,13に
示すように、基板載置台103上に基板を吸着する基板
吸着機構140を構成するため、本体ベース101の内
部には、吸引ポンプ141及びこの吸引ポンプ141と
基板載置台103とを連結するフレキシブルホース14
2が設けられている。また、基板載置台103の内部に
は空洞部103a(図13参照)が形成されており、基
板載置台103の上面には、空洞部103aと連通する
多数の微細孔が設けられている。そして、吸引ポンプ1
41で空洞部103aから排気することにより、基板載
置台103上の基板を吸着できるようになっている。
【0106】図12,13に示すように、装置本体10
0内には、ノズルヘッドユニット110から吐出される
蛍光体インキを回収し循環して用いるために循環機構1
50が設けられている。この循環機構150は、ノズル
ヘッドユニット110から吐出される蛍光体インキ(イ
ンキジェット)を回収する回収容器151及び回収容器
151内の蛍光体インキを加圧送出する加圧ポンプ15
2等から構成されている。
【0107】回収容器151は、ノズルヘッドユニット
110の走査範囲全体にわたってインキジェットを回収
できるようにY軸方向に延びており、回収された蛍光体
インキは、加圧ポンプ152から配管153を経由して
ノズルヘッドユニット110内のノズルヘッド112に
供給され、循環して使用されるようになっている。ま
た、この循環機構150には、循環する蛍光体インキの
量を一定に保つインキ補充器154が付設されている。
このインキ補充器154は、回収容器151内のイン
キ量が規定量以上あるか否かを監視し、規定量以下にな
ったときに自動的に蛍光体インキを補充するものであ
る。
【0108】更に、ノズルヘッド112から吐出される
インキジェットが背面ガラス基板21の端部に付着する
のを防止するため、ノズルヘッドユニット110内に
は、ジェット遮蔽機構116が設けられている。このジ
ェット遮蔽機構116は、X軸方向にスライドする遮蔽
トレイ117とこれをスライド駆動させるソレノイド
(不図示)からなり、遮蔽トレイ117は、通常はイン
キジェットの通過ラインから待避しているが、ソレノイ
ドを駆動させることによってインキジェットを遮断する
位置にスライドできるものである。
【0109】なお、遮蔽トレイ117で遮蔽した蛍光体
インキは、吸引ポンプ(不図示)によって第2回収容器
118に移されるようになっている。制御器200は、
上記装置本体100の各部の駆動制御を行うものであ
る。この制御器200は、上記駆動モータ131,ノズ
ルヘッドユニット110,撮像ユニット120,吸引ポ
ンプ141,加圧ポンプ152とケーブル201〜20
5で結ばれており、制御器200から各ケーブルを通し
て供給される電力及び駆動制御信号によって、これら各
部の駆動がなされる。
【0110】また、撮像ユニット120で得た画像デー
タは、ケーブル203を通して制御器200に送られ
る。 (インキ塗布装置の操作及び動作制御について)このよ
うな装置構成を用いて蛍光体インキを塗布する手順を説
明する。先ず、背面ガラス基板21を基板載置台103
上に置き、吸引ポンプ141を作動させることにより吸
着固定する。
【0111】次に、実施の形態1のインキ塗布装置50
について説明したの同様にして、撮像ユニット120を
走査させて、背面ガラス基板21の表面全体にわたって
撮像し、制御器200では、撮像ユニット120からの
画像データをもとに、基板載置台103上の座標と輝度
とを対応させた画像データを得、隔壁間の溝に走査ライ
ンを設定する。
【0112】次に、昇降機構114を駆動してノズルヘ
ッド112の高さを調整することによって、ノズル11
3の下端と隔壁30上面との間隔を調整する。そして、
加圧ポンプ152を駆動して、ノズルヘッドユニット1
10から蛍光体インキを吐出させる。そして、インキを
吐出させた状態を保ったまま、以下のように、ノズルヘ
ッドユニット110を走査させて蛍光体インキを塗布す
る。
【0113】図15は、ノズルヘッド112が背面ガラ
ス基板21上を走査される様子を示す図ある。ここで
は、2つおきの溝32aに一色(青)の蛍光体インキを
塗布する場合について説明する。ノズルヘッド112に
おいて、3つのノズル113a・113b・113cが
距離Aを隔てて直線上に並設され、ノズル間隔Aは、2
つおきの溝32aのピッチよりも若干大きく設定され、
中央のノズル113bの位置とノズルヘッド112の回
転中心とが一致しているものとする。
【0114】本図において、太線矢印(R1→R2→R3
→R4→)は、ノズルヘッド112の中心が走査される
ラインを示している。図に示すように、ノズル113a
・113b・113cが2つおきの溝32a上に位置す
るようにノズルヘッド112をY軸に対して傾かせた状
態で、X軸方向に走査する(R1→R2)。次に、ノズル
ヘッド112をY軸方向に、隔壁ピッチ9個分ずらし
(R2→R3)、同様にノズルヘッド112をY軸に対し
て傾かせた状態で、X軸方向に走査してする(R3→R
4)。
【0115】以下、同様の走査を繰り返すことによっ
て、背面ガラス基板21全体にわたって各溝32aに蛍
光体インキを塗布するが、この間、加圧ポンプ152は
停止させることなく、連続して蛍光体インキを吐出させ
ておく。それによって、ノズル113a・113b・1
13cの下面に蛍光体インキが付着して噴流が不安定に
なるのが防止される。
【0116】また、ノズルヘッド112をX方向に走査
する時間の中で、隔壁30の端部と基板載置台103の
縁との間の領域(図中W1及びW2で示される領域)をノ
ズルヘッド112が通過する時間には、ジェット遮蔽機
構116を作動させて遮蔽トレイ117でインキジェッ
トを遮断する。これによって、背面ガラス基板21上に
おける隔壁30の端部付近(図中W3及びW4で示される
領域)に蛍光体インキが付着するのを防止することがで
きる。
【0117】蛍光体インキの粘度が低い場合には、溝3
2aに塗布する蛍光体インキが隔壁30の端部付近(W
3,W4領域)に付着すれば、付着したインキが隣の溝3
2bや溝32cに流れ込み、混色を起こす可能性がある
が、上記のようにして付着を防止することによりこの混
色を防ぐことができる。なお、このジェット遮蔽機構1
16において、ノズル113の下端と隔壁30上面との
間に遮蔽トレイ117が入り込む必要がある。そのた
め、遮蔽トレイ117を薄く設計することも考えられる
が、蛍光体インキをある程度貯められるように遮蔽トレ
イ117の厚さを確保し、ジェット遮蔽機構116を作
動させるタイミングに合わせて、昇降機構114を駆動
させてノズルヘッド112を上方に移動させるようにす
ることが好ましい。
【0118】また連続的にインキを循環しながら塗布す
ると、容器内のインキ量が減少するだけでなく、溶剤の
蒸発などにより物性値が変化しやすい。そのため、蛍光
体インキの物性が許容範囲を超えないような工夫をする
ことが好ましい。例えば、回収容器151内で粘度を検
出し、自動的に蛍光体インキに溶剤などを補充する溶剤
補充機構を設けることによって、インキの粘度を一定に
保つことができる。これによって、長時間にわたって安
定した塗布を行うことができる。
【0119】また、ジェット遮蔽機構で受けたインキ
は、単純な回収容器で受けたインキと比べて物性値が異
なる場合が多い、従って、ジェット遮蔽機構で受けたイ
ンキは循環するインキとは別に、第2回収容器118に
保管しておき、別個に再利用するのが好ましい。 〔ノズルヘッド112の位置制御について〕本実施態で
も、実施の形態1と同様に、ノズルヘッド112をX軸
方向に走査する際に、Y軸方向に調整しながら走査を行
うが、本実施形態では更に、ノズルヘッド112を回転
駆動機構115で回転することによって、ノズルヘッド
112におけるY軸方向のノズルピッチの調整も行いな
がら走査を行う。
【0120】即ち、3つのノズル113a・113b・
113cの中の両端のノズル113a及びノズル113
cが、それぞれ対応する溝32aの中央に設定されるラ
インに沿うように、ノズルヘッド112のY軸方向の位
置調整及び回転角の調整を行いながらX軸方向への走査
を行う。このように制御しながら走査することによっ
て、仮に溝32a,32b,32cが彎曲したり隔壁間
のピッチが変化しているような場合でも、ノズルヘッド
112における複数のノズル113a・113b・11
3cを、対応する各溝32aの中央部に設定した走査ラ
インに沿って走査させることができる。以下、この制御
について更に具体的に説明する。
【0121】図16は、基板載置台103上の座標と輝
度とを対応させた画像データの部分拡大図であって、溝
32a,32b,32cがX軸に彎曲している場合を示
している。この画像データ上において、実施形態1の図
5で説明したように、ノズル走査ラインS1,S2,S3
…を設定する。そして、図中に示すように、長さが2A
で且つノズル走査ラインS1とノズル走査ラインS7上に
両端が存在する線分K1,K2,K3…をほぼ等ピッチで
設定する。
【0122】そして、各線分K1,K2,K3…につい
て、中点M1,M2,M3…の位置(X,Y座標)及びX
軸に対する角度θ1,θ2,θ3…を算出する。このよう
にして算出した中点M1,M2,M3…を結ぶラインを、
ノズルヘッド112の走査ライン(ヘッド走査ライン)
とする。図16からわかるように、このヘッド走査ライ
ンは、ノズル走査ラインS4に対して若干のずれはある
もののほとんど一致している。
【0123】そしてノズルヘッド112を走査する際に
は、ノズルヘッド112をX軸方向に走査しながら、ノ
ズルヘッド112の回転中心(ノズル113b)が、上
記ヘッド走査ライン(中点M1,M2,M3…を通るライ
ン)と一致するようにノズルヘッドユニット110のY
軸駆動機構を駆動制御する。それと共に、ノズルヘッド
112の回転中心が、上記算出した中点M1,M2,M3
…位置にあるときには、ノズルヘッド112のx軸に対
する角度θが、上記算出した角度θ1,θ2,θ3…と一
致するように回転駆動機構115の駆動を制御する。
【0124】ノズルヘッド112の走査時において、こ
のようにY軸方向及び回転角θの制御を行うことによっ
て、両端のノズル113a,113cは走査ラインS
1,S7上を走査されることになり、中央のノズル113
aはヘッド走査ライン(即ちノズル走査ラインS4の近
傍)上を走査されることになる。よって、各ノズル11
3a,113b,113cは、常に各溝32aの中央部
近くを通って走査されることになる。
【0125】〔蛍光体インキを回収する機構を設けたこ
とによる効果〕ノズルが基板の溝上をはずれた状態にあ
るいとき、即ち図13に示すように基板が待機状態の位
置にあるときには、吐出されるインキジェットは回収容
器151で回収されるので、蛍光体インキを連続的に吐
出させてもロスはほとんどない。
【0126】従って、例えば、基板載置台103上の背
面ガラス基板21を交換する間も連続的にインキを吐出
させれば、複数の基板21に対して安定して塗布するこ
とができ、且つ蛍光体インキのロスも少ない。更に、基
本的にメンテナンス時のみ、ノズルからの蛍光体インキ
の吐出を停止させ、後は、連続的に吐出するようにして
もよいので、1日中稼動する生産工場では、24時間以
上連続して吐出させてもよいし、場合によっては週単位
や月単位での連続稼動も可能である。
【0127】このように、本実施形態の塗布方法は、蛍
光体インキのロスが少なく且つ隔壁間の溝に均一的に安
定的に塗布できるので、量産に適した優れた方法であっ
て、本実施形態の塗布方法によって製造コストの低下も
実現できる。 〔本実施の形態にかかる変形例について〕操作手順を変
更する場合の適応性などを考慮すると、図12に示す装
置のように、アーム104上においてノズルヘッドユニ
ット110と撮像ユニット120とは各々独立して駆動
できるようにしておくことが望ましいが、ノズルヘッド
ユニット110と撮像ユニット120とを一体にして
も、上記と同様に操作することは可能である。
【0128】また、本実施形態においては、背面ガラス
基板21の隔壁端部における蛍光体インキの混色を防止
する方法として、インキジェットを遮断する方法を示し
たが、例えば、図17に示すように、背面ガラス基板2
1上において、隔壁30端部に沿って補助隔壁33を形
成しておけば、隔壁30の端部で溝32a,32b,3
2cは閉じられるので、仮に溝32aに塗布する蛍光体
インキが背面ガラス基板21上の隔壁端部付近に付着し
ても隣接する溝32b,32cに流れ込まないため混色
を防止することができる。
【0129】[実施の形態3]本実施形態のインキ塗布
装置は、上記実施形態2のインキ塗布装置と同様である
が、蛍光体インキを循環させる循環機構に更なる工夫が
施されている。図18は、本実施形態のインキ塗布装置
における蛍光体インキ循環機構の構成を示す図である。
【0130】この循環機構160は、上記実施形態2の
循環機構150と同様、ノズルヘッド112のノズル1
13から吐出される蛍光体インキを、回収容器151で
回収して、回収した蛍光体インキを再びノズルヘッド1
12に送って循環させるものであるが、回収容器151
からノズルヘッド112に到る配管経路に、蛍光体イン
キを再分散させる分散器161が介挿されている。
【0131】この分散器161は、内部に粒径2mm以
下のジルコニアビーズが充填された流通管型のサンドミ
ルであって、回転ディスク163が500rpm以下の
回転速度で一定方向に回転することによって、内部を流
通する蛍光体インキは、ビーズと共に攪拌されて分散さ
れる。循環機構160には、この他に、回収容器151
中の蛍光体インキを送る分散器161に送り込む循環ポ
ンプ164、分散器161を通過した蛍光体インキを貯
えるサーバ165、サーバ165からノズルヘッド11
2に蛍光体インキを加圧して供給する加圧ポンプ166
が設けられている。
【0132】これによって、回収容器151に回収され
た蛍光体インキは、分散器161で再分散されてからノ
ズルヘッド112から再び吐出される。なお、分散器1
61としては、この他に、アトライタやジェットミルな
ども用いることができる。蛍光体インキを製造してから
長時間放置すると蛍光体インキの分散状態が低下する場
合がある。また、実施形態2のような循環機構で蛍光体
インキを循環させていると、蛍光体インキの分散状態が
低下したり二次凝集物が生成する場合もある。そのため
ノズルが詰まったり、塗布した蛍光体インキの溝32へ
の付着状態が低下することもあるが、本実施形態の循環
機構160では、蛍光体インキを吐出直前で再分散され
るので、このような問題は解消される。
【0133】このような蛍光体インキの再分散による効
果は、インキ循環機構の中で蛍光体インキを再分散させ
る場合のみならず、一般的に、蛍光体インキを製造して
から塗布するまでの条件を設定する際にも適用できる。
ここで、蛍光体インキを製造してから塗布するまでの好
ましい条件について説明する。 図19は、蛍光体イン
キを製造してから塗布されるまでの工程を示す図であ
る。
【0134】蛍光体インキを製造する際には、蛍光体イ
ンキの原料である各色蛍光体粉末と樹脂と溶剤とを混合
して分散させる(一次分散)。この一次分散工程におい
て、サンドミルやボールミルやビースミルのように分散
媒体(メディア)を用いる分散器で分散する場合、粒径
1.0mm以下のジルコニアビーズをメディアとして用
い、3時間以内の短時間でビーズミル分散を行うことが
好ましい。これは、蛍光体粉末へのダメージを抑えると
共に、不純物の混入(コンタミ)を抑えるためである。
【0135】また、蛍光体インキの粘度は、15〜20
0cp程度に調整し、ノズル径の約1/2以上の大きな
凝集物がないようにすることが望ましい。このようにし
て製造した蛍光体インキを、製造直後にインキ塗布装置
にセットして塗布すれば、一次分散で得られた良好な分
散状態が塗布時にも保たれているので、再分散しなくて
も各溝に均一的に塗布でき且つ良好な塗布状態も比較的
良好となる。そして、製造直後にインキ塗布装置にセッ
トするために、蛍光体インキの分散装置と、インキ塗布
装置とを、同じ作業場に設定して、製造した蛍光体イン
キを、そのままインキ塗布装置にセットして塗布するよ
うにするのがよいと考えられる。
【0136】時間的に言えば、蛍光体インキを製造して
から、数時間以内、できれば1時間以内に塗布するのが
好ましい。一方、蛍光体インキを製造した後、長時間た
ってからインキ塗布装置にセットして塗布する場合、一
次分散してから長時間経過した後に塗布されるので、そ
の間に分散状態が低下したり、二次凝集物ができやす
い。従って、これをそのままノズルから塗布しようとす
ると、各溝に均一的に塗布されにくく、またノズルの目
づまりも起こりやすい。
【0137】しかし、製造(一次分散)してから長時間
たった蛍光体インキでも、蛍光体インキを二次分散工程
で再分散させてからインキ塗布装置にセットして塗布す
れば、良好な分散状態で塗布できるので、各溝に均一的
に塗布され、またノズルの目づまりも回避できる。二次
分散では、二次凝集物を分散させるのが主な目的である
ために、大きなせん断力を必要としない。むしろ、弱い
力で攪拌する方が蛍光体へのダメージが小さい。
【0138】そのため、粒径2mm以下のジルコニアビ
ーズを用い、6時間以内で500rpm以下の回転速度
を与えて再分散させることのは有効である。ジルコニア
ビーズを用いるのは、一次分散の時と同じようにコンタ
ミを避けるためである。このようにして二次分散で調整
される蛍光体インキについても、ノズルからの安定した
吐出を得るために粘度は15〜200cps程度に設定
し、ノズル径の約1/2以上の大きな凝集物がないよう
にすることが望ましい。
【0139】〔実施の形態1〜3についての変形例な
ど〕上記実施の形態では、隔壁間の溝に蛍光体インキを
直接塗布する例を示したが、隔壁間の溝に反射材インキ
を塗布して、その上に蛍光体層を形成する場合にも適用
できる。即ち、反射層並びに蛍光体層31は、上記のイ
ンキ塗布装置を用いて、反射材インキ並びに蛍光体イン
キを塗布することによって形成する。
【0140】反射材インキは、反射材料とバインダーと
溶剤成分とが調合されたものであって、反射材料として
は、酸化チタンやアルミナなどの反射率の高い白色粉末
を用いることができるが、特に、平均粒径5μm以下の
酸化チタンが良好である。上記実施の形態では、AC型
のPDPを例にとって説明したが、本発明は、AC型の
PDPに限らず、隔壁がストライプ状に配設され、隔壁
間に蛍光体層が配設されたPDPを作製するのに広く適
用することできる。
【0141】
【実施例】[実施例1]実施の形態1に基づいて、蛍光
体粒子,樹脂,溶剤の種類及び量などを変えて蛍光体イ
ンキを作製し、作製した蛍光体インキを塗布してPDP
を作製した。
【0142】
【表1】
【0143】
【表2】
【0144】
【表3】
【0145】
【表4】
【0146】表1,2,3のNo.1〜9は、実施例に
関するものであって、0.2mm〜2mmのジルコニア
ボールを用いたサンドミルで分散することによって蛍光
体インキ作製した。蛍光体の粒径,樹脂の種類と量,溶
剤の種類と量,界面活性剤,分散剤の種類と量、蛍光体
インキの塗布時の粘度(25℃でせん断速度が100s
ec-1における粘度)等については、表1〜3に示す通
りである。
【0147】実施例のPDPを作製する上で、背面ガラ
ス基板21における隔壁30のピッチは0.15mm
に、高さは0.15mmに設定した。蛍光体層は、各色
蛍光体インキを各溝の上部まで充填されるよう塗布した
後、500℃で10分間焼成することによって形成し
た。封入する放電ガスは、10%のキセノン(Xe)ガ
スを含むネオン(Ne)ガスを用い、封入圧力500T
orrとした。
【0148】一方、表4の試料No.10〜12は比較
例に関するものであって、蛍光体インキを作製する上
で、試料No10では、アクリル樹脂と分散剤(グリセ
リルトリオレート)とを組み合せて配合し、試料No.
11では、エトキシ基の含有量が50%のエチルセルロ
ースとターピネオールを組み合せているが分散剤は添加
していない。また、試料No.12では、ポリビニルア
ルコールと水とを組み合せているが、分散剤は入ってい
ない。それ以外は、実施例の試料No.1〜9と同様に
設定して比較例のPDPを作製した。
【0149】比較テスト:そして、作製した各PDPに
ついて、蛍光体の隔壁側面への付着状態、混色の有無、
パネル輝度を測定した。混色の有無については、PDP
を色毎に発光させその発光色を測定することによって判
定した。
【0150】その結果、実施例及び比較例の何れのPD
Pにおいても、隔壁側面の上部にまで蛍光体が付着して
おり、混色の発生も見られなかった。パネル輝度につい
ては、PDPを放電維持電圧150V周波数30KHz
で駆動し、パネル輝度計で測定した。その結果は、表1
〜4に示す通りである。なお、これらのPDPを駆動し
たときに発生する紫外線の波長についても調べたとこ
ろ、主として173nmを中心とするXeの分子線によ
る励起波長が観察された。
【0151】また、各作製した蛍光体インキについて、
ノズルから長時間連続的に吐出させる実験も行った。そ
の結果、実施例の蛍光体インキは、いずれも100時間
連続して吐出させることが可能であったが、比較例の蛍
光体インキは、8時間以内でノズルに目詰まりが生じ
た。 考察;表1〜4に示すように、輝度については、実施例
(No.1〜9)のパネル輝度は530cd/m2以上
であって、比較例(No.10〜12)のパネル輝度
(460〜480cd/m2)に比べて優れている。こ
れは、実施例のPDPの方が比較例のPDPと比べて、
溝の底面に対して隔壁側面に付着している蛍光体層の割
合が大きいためと考えられる。 [実施例2]本実施例(試料No.21,22)では、
赤(Y,Gd)BO3:Eu、青BaMgAl1017
Eu、緑ZnSiO4 :Mnの各色蛍光体粒子の表面
に、負に帯電する酸化物(SiO2)粒子を付着(コー
ティング)させた蛍光体インキを用いる。
【0152】
【表5】
【0153】蛍光体粒子の表面にSiO2粒子を付着さ
せる方法は、先づ、各色蛍光体の懸濁液と、SiO2
子(粒子径は蛍光体粒子の1/10以下)の懸濁液とを
作製し、作製した両懸濁液を混合攪拌した後、吸引濾過
して、125℃以上で乾燥後、350℃で焼成すること
によって行った。このようにSiO2粒子を付着させた
蛍光体粒子と、エチルセルロースからなる樹脂成分と、
ターピネオールとペンタンジオールとの混合溶媒(1/
1)を、表5に示す割合で混合し、ジェットミルで混合
分散して、蛍光体インキを作製した。混合分散時には、
混合溶液に加わる圧力は10Kgf/cm2 〜200K
gf/cm2 の範囲に調整した。
【0154】このように作製した蛍光体インキを、表5
に示す粘度に調整して塗布し、それ以外の条件について
は実施例1と同様にして、PDPを作製した。作製した
PDPについて、上記実施例1と同様に、隔壁側面への
蛍光体の付着状態、混色の有無、パネル輝度を測定し
た。その結果、いずれも隔壁の上部にまで蛍光体が付着
し、混色の発生もなかった。
【0155】また、パネル輝度は表5に示すとおり良好
であった。また、試料No.21、22のいずれの蛍光
体インキにおいても、連続的に100時間以上塗布して
もノズルの目づまりは発生しなかった。
【0156】
【実施例3】本実施例では、蛍光体インキに、分散剤及
び除電物質として様々な界面活性剤を添加する実施例
(試料No.31〜37)、並びに除電物質として導電
性微粒子を添加する実施例(試料No.38〜42)を
示す。また、この中で、試料No.31〜34は、蛍光
体の表面にZnO,MgOといった酸化物を付着させた
実施例でもある。
【0157】なお、試料No.43は、除電物質を添加
していない例である。
【0158】
【表6】
【0159】
【表7】
【0160】
【表8】
【0161】
【表9】
【0162】各実施例で用いた蛍光体インキの蛍光体の
種類と粒径と量、蛍光体に付着させる酸化剤の種類と
量、樹脂の種類と量、溶剤の種類と量等については、表
6,7に示す通りである。また、界面活性剤及び除電物
質の種類、添加量、蛍光体インキの塗布時の粘度(25
℃でせん断速度が100sec-1における粘度)につい
ては、表8,9に示す通りである。 そして、ノズル径
50μmのノズルを用い、ノズル先端と背面ガラス基板
と距離を1mmに保って走査しながら蛍光体インキを吐
出して蛍光体インキを塗布し、その他は実施例1と同様
の条件でPDPを作製した。
【0163】なお、本実施例では、蛍光体インキの塗布
面に対する濡れを良くするために、蛍光体インキを塗布
する前に、隔壁付き背面ガラス基板の表面をエキシマラ
ンプ(中心波長172nm)で10秒〜1分間照射し、
蛍光体層の焼成後にも、蛍光体層中に残存するバインダ
ーや残滓を除去するために、蛍光体層を形成した背面ガ
ラス基板の表面を、エキシマランプ(中心波長172n
m)で10秒〜1分間照射した。
【0164】作製した各PDPについて、それを駆動し
たときのパネル輝度、並びに筋むら発生の有無も測定し
た。パネル輝度については、PDPを放電維持電圧15
0V周波数30KHzで駆動し、パネル輝度計で測定し
たものである。筋むらについては、PDP画面全体を白
表示し、肉眼で筋むらの有無を観察した。
【0165】なお、これらのPDPを駆動したときに発
生する紫外線の波長についても調べたところ、主として
173nmを中心とするXeの分子線による励起波長が
観察された。これらの結果は、表8,9に示されてい
る。表8,9に示すように、試料No.31〜42は、
試料No.43の輝度と比べて、高い輝度が得られてい
る。また、試料No.43では、筋むらが発生したのに
対して、試料No.31〜42では、筋むらの発生はな
かった。
【0166】また、作製した各PDPについて、蛍光体
層を観察したところ、いずれも蛍光体の混色は見られな
かったが、蛍光体層の形状については、試料No.43
よりも試料No.31〜42の方が、隔壁の側面に対す
る蛍光体の付着は良好であった。 考察:このような輝度及び筋むらについてのテスト結果
は、蛍光体インキに除電物質を添加した試料No.31
〜42の方が、蛍光体インキに除電物質を添加しなかっ
た試料No.43よりも、蛍光体インキが隔壁側面上と
溝底面上とにバランスよく均一的に塗布されたために生
じたものと考えられる。
【0167】
【実施例4】〔一次分散に関する実施例〕実施の形態3
に基づいて、表10に示すように、インキ製造時(一次
分散時)における分散方法(ビーズの種類、粒径、およ
び分散時間)をいろいろと変えて、各色蛍光体インキを
製造した。
【0168】
【表10】
【0169】各蛍光体インキでは、平均粒径3μmの各
色蛍光体粉末を60wt%、エチルセルロースを1wt
%、溶剤としてターピネオール及びリモネンの混合溶剤
を用いた。そして、製造した蛍光体インキについて、輝
度評価、蛍光体粉末の粒径測定(一次分散後の蛍光体粒
径測定)、凝集物の有無の評価を行った。
【0170】輝度の評価においては、分散後の蛍光体イ
ンキを大気中にて500℃で焼成して蛍光体層を形成
し、これを真空チャンバ内に入れ、エキシマランプで真
空紫外光を照射したときに発生する励起発光を輝度計で
測定した。各評価結果は、表10に示す通りである。表
10の評価結果から、赤、緑、青の各色とも、分散媒体
としてガラスビーズを用いると、ジルコニアビーズを用
いた場合と比べて輝度が低下していることがわかる。ま
た分散媒体としてガラスビーズを用いたものは、ナトリ
ウム(Na)、カルシウム(Ca)、けい素(Si)の
成分が多く検出されている。
【0171】このように分散媒体としてガラスビーズを
用いた場合の方が輝度が低いのは、分散時にせん断力を
付加する際にガラスビーズに強い衝撃が加えられること
により、ガラス成分が不純物(コンタミ)としてインキ
中に混入し、これが発光キラーになるためと考えられ
る。また、表10の評価結果から、用いる分散媒体の種
類は同じ場合でも、その粒径や分散時間が変われば輝度
が変化することがわかる。これは、同じせん断力を付加
させた場合でも、分散媒体の粒径が異なると衝突係数が
異なり、また、分散時間が異なると蛍光体粉末への衝突
回数が異なるためと考えられる。
【0172】また表10の結果から、分散後の蛍光体粒
径は、分散前よりも小さくなっている。これより、蛍光
体粉末は分散によって粉砕されたり、界面状態が劣化し
たりすることがわかる。 〔二次分散に関する実施例〕次に、作製した各色蛍光体
インキに対して、一時分散後72時間放置した後、二次
分散を行った。この二次分散に際して、表11に示すよ
うに、分散媒体としてのジルコニアビーズの粒径や分散
時間をいろいろ変えて行った。
【0173】
【表11】
【0174】そして、二次分散後の各蛍光体インキにつ
いて、輝度評価、蛍光体粉末の粒径測定(一次分散後の
蛍光体粒径測定)、凝集物の有無の評価を行った。各評
価結果は表11に示す通りである。表11から明らかな
ように、二次分散における分散時間が1時間未満の場合
には、赤、緑、青の各色とも蛍光体インキに凝集物が残
っているが、分散時間を長くすると凝集物は見られなく
なっている。また、分散時間を長くした場合にも、蛍光
体粒子の粒径には変化は見られない。
【0175】これより、分散媒体にジルコニアを用いて
二次分散することにより、蛍光体粒子自体が粉砕される
ことなく、凝集物を分散できることが分かる。また、表
11から、分散時間を長くしても輝度の低下が見られな
いことがわかる。これより、分散媒体にジルコニアを用
いて二次分散すると、蛍光体表面へのダメージも少ない
状態で分散できることがわかる。
【0176】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
ノズルから蛍光体インキを連続的に吐出させながら、プ
レートに配設された隔壁間の溝に沿って相対的に走査す
ることによって蛍光体インキを塗布する際に、各溝に関
する位置情報に基づいてノズルが通過する溝内の位置を
調整しながら行うようすることによって、溝が彎曲して
いるような場合でも、ノズルが常に溝の中央部を通るよ
うに走査することができるので、各溝に蛍光体インキを
均一的に塗布し、且つ各溝内の底と隔壁側面とにバラン
スよく付着させることができる。
【0177】また、ノズルから蛍光体インキを連続的に
吐出させながら、プレートに配設された隔壁間の溝に沿
って相対的に走査することによって蛍光体インキを塗布
する際に、各溝の幅を溝長手方向にわたって測定し、測
定した溝幅に応じて、隔壁長さ当たりに塗布する蛍光体
インキ量を調整しながら蛍光体インキをノズルから吐出
させるようにした。これによって、溝幅にばらつきがあ
ったり、溝の中で幅が変動しているような場合でも、蛍
光体インキを均一的に塗布することができる。
【0178】また、蛍光体インキを複数の溝に順次塗布
する際に、ノズルが溝上から外れた位置にあるときにも
ノズルから蛍光体インキを連続して吐出する状態を維持
しながら塗布するようにすることによって、ノズル出口
付近における蛍光体インキの付着を防止できるので、安
定したインキジェットの流れを得ることができるので、
複数の溝に対して、均一的に蛍光体インキを塗布するこ
とができる。
【0179】また、ノズルから蛍光体インキを連続的に
吐出させる前に、インキを分散器で再分散させることに
よっても、塗布される蛍光体インキの分散性が向上する
ので、蛍光体インキを、各溝内の底と隔壁側面とにバラ
ンスよく付着させることができる。また、PDPの製造
に用いる蛍光体インキにおいて、平均粒径が0.5〜5
μmの蛍光体粉末、OH基を末端に持つ溶剤であるター
ピネオール,ブチルカービトールアセテート,ブチルカ
ルビトール,ペンタンジオール,リモネン等の混合溶剤
を用いると共に、バインダーとして、セルロース分子内
のエトキシ基(−OC25)含有量が49%以上のエチ
ルセルロース、或はエチレンオキサイド系ポリマーを用
い、更に分散剤を添加することによっても、隔壁間の溝
に充填された蛍光体インキは、隔壁側面にもよく付着
し、蛍光体インキを、各溝内の底と隔壁側面とにバラン
スよく付着させることができる。
【0180】また、このような蛍光体インキにおいて、
除電物質を添加することによって、精細な構造のPDP
の場合でも、隔壁間の溝に均一的に蛍光体インキを塗布
することができ、また出来上がったPDPを駆動したと
きに筋むらが発生することもほとんどなくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態に係る交流面放電型PDPを示す斜
視図である。
【図2】上記PDPに回路ブロックを実装した表示装置
の構成図である。
【図3】実施の形態1にかかるインキ塗布装置の概略構
成図である。
【図4】実施の形態1にかかるインキ塗布装置の溝位置
検出で得られた画像データを模式的に示す図である。
【図5】図4の部分拡大図、及び検索ラインL1上の各
位置における輝度を模式的に示すグラフである。
【図6】図4の部分拡大図の一例である。
【図7】ノズルが溝の中央部からはずれた場合の塗布状
況、及び形成された蛍光体層の様子を示す図である。
【図8】蛍光体インキを溝に塗布した後、蛍光体層が形
成される様子を模式的に示す図である。
【図9】蛍光体インキ中の樹脂バインダーの濃度と、形
成される蛍光体層形状との関係を模式的に示す図であ
る。
【図10】本発明にかかる蛍光体インキと、従来のスク
リーン印刷などに用いるインキとで、粘度を比較したグ
ラフである。
【図11】ノズルからの蛍光体インキの吐出状況を示す
図である。
【図12】実施の形態2にかかるインキ塗布装置を示す
斜視図である。
【図13】上記インキ塗布装置の正面図(一部断面)で
ある。
【図14】図12に示すノズルヘッドユニットの拡大図
である。
【図15】上記インキ塗布装置において、ノズルヘッド
が背面ガラス基板上を走査される様子を示す図ある。
【図16】上記インキ塗布装置の溝位置検出で得られた
画像データの部分拡大図の一例である。
【図17】実施の形態2にかかる一変形例を示す図であ
る。
【図18】実施の形態3のインキ塗布装置における蛍光
体インキ循環機構の構成を示す図である。
【図19】蛍光体インキを製造してから塗布されるまで
の工程を示す図である。
【符号の説明】
10 前面パネル 20 背面パネル 21 背面ガラス基板 30 隔壁 31 蛍光体層 32 溝 33 補助隔壁 50 インキ塗布装置 51 インキサーバ 52 加圧ポンプ 53 ノズルヘッド 54 ノズル 55 溝検出用ヘッド 56 基板載置台 100 装置本体 101 本体ベース 103 基板載置台 110 ノズルヘッドユニット 112 ノズルヘッド 112a 回転軸 113 ノズル 115 回転駆動機構 116 ジェット遮蔽機構 120 撮像ユニット 150 循環機構 151 回収容器 152 加圧ポンプ 154 インキ補充器 160 循環機構 161 分散器 164 循環ポンプ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B41J 3/04 101Y (31)優先権主張番号 特願平10−287645 (32)優先日 平成10年10月9日(1998.10.9) (33)優先権主張国 日本(JP) (31)優先権主張番号 特願平11−17855 (32)優先日 平成11年1月27日(1999.1.27) (33)優先権主張国 日本(JP) (31)優先権主張番号 特願平11−88717 (32)優先日 平成11年3月30日(1999.3.30) (33)優先権主張国 日本(JP) (72)発明者 青木 正樹 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 宮下 加奈子 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 住田 圭介 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 桐原 信幸 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 Fターム(参考) 2C056 EA04 EA11 EB13 EB36 EC07 EC17 EC32 EC35 EC72 EE17 FA15 FB01 FC02 4D075 AC06 AC93 CB09 DA32 DC24 EA10 EA33 EB13 EB56 EC11 4F041 AA05 AA17 AB01 BA05 BA22 5C028 FF04

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 隔壁がストライプ状に配設された第1プ
    レートに対して、蛍光体インキをノズルから連続流とな
    るよう吐出させながら、隔壁と隔壁との間の溝に沿って
    当該ノズルを相対的に走査することによって蛍光体イン
    キを塗布する蛍光体インキ塗布ステップと、 前記第1プレートの隔壁を配設した側に第2プレートを
    重ねて封着すると共にガス媒体を封入する封着ステップ
    とからなり、 前記蛍光体インキ塗布ステップでは、 ノズルを走査する際に、 第1プレートに配設された各隔壁間の溝に関する位置情
    報に基づいて、ノズルが通過する溝内の位置を調整する
    ことを特徴とするプラズマディスプレイパネルの製造方
    法。
  2. 【請求項2】 隔壁がストライプ状に配設された第1プ
    レートに対して、蛍光体インキをノズルから連続流とな
    るよう吐出させながら、隔壁と隔壁との間の溝に沿って
    当該ノズルを相対的に走査することによって蛍光体イン
    キを塗布する蛍光体インキ塗布ステップと、 前記第1プレートの隔壁を配設した側に第2プレートを
    重ねて封着すると共にガス媒体を封入する封着ステップ
    とからなるプラズマディスプレイパネルの製造方法にお
    いて、 前記蛍光体インキ塗布ステップは、 第1プレートに配設された各隔壁間の溝に関する位置情
    報を求める第1サブステップと、 前記第1サブステップで求めた位置情報に基づいて各溝
    に対するノズル走査ラインを設定する第2サブステップ
    と、 蛍光体インキをノズルから吐出しながら、前記走査ライ
    ン設定サブステップで設定された走査ラインに合わせて
    ノズルが通過する溝内の位置をを調整しながら走査を行
    う第3サブステップとからなることを特徴とするプラズ
    マディスプレイパネルの製造方法。
  3. 【請求項3】 前記第2サブステップでは、 第1サブステップで検出した各溝に関する位置情報を基
    に、各溝の中央部に走査ラインを設定することを特徴と
    する請求項2記載のプラズマディスプレイパネルの製造
    方法。
  4. 【請求項4】 隔壁がストライプ状に配設された第1プ
    レートに対して、同一色の蛍光体インキをノズルヘッド
    に設けられた複数のノズルから連続流となるよう吐出さ
    せながら、隔壁と隔壁との間の溝に沿って当該ノズルヘ
    ッドを相対的に走査することによって、各ノズルに対応
    する溝に蛍光体インキを塗布する蛍光体インキ塗布ステ
    ップと、 前記第1プレートの隔壁を配設した側に第2プレートを
    重ねて封着すると共にガス媒体を封入する封着ステップ
    とからなり、 前記蛍光体インキ塗布ステップでは、 各ノズルの走査方向に直交する方向に対するピッチを、
    対応する溝のピッチと合うように調整しながら、蛍光体
    インキの塗布を行うことを特徴とするプラズマディスプ
    レイパネルの製造方法。
  5. 【請求項5】 前記蛍光体インキ塗布ステップにおいて
    は、 前記ノズルヘッドを、第1プレートと平行な面内で回転
    させることによって、 各ノズルの走査方向に直交する方向に対するピッチを、
    対応する溝のピッチに合わせることを特徴とする請求項
    4記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
  6. 【請求項6】 隔壁がストライプ状に配設されたプラズ
    マディスプレイ用のプレートに対して、蛍光体インキを
    ノズルから連続流となるよう吐出させながら、隔壁と隔
    壁との間の溝に沿って当該ノズルをノズル走査手段で相
    対的に走査することによって蛍光体インキを塗布する蛍
    光体インキ塗布装置において、 前記ノズル走査手段は、 前記プレートに配設された各隔壁間の溝に関する位置情
    報を求める溝位置情報部と、 ノズル走査時に、前記溝位置情報部で求めた位置情報に
    基づいてノズルが通過する溝内の位置を調整するノズル
    位置調整部とを備えることを特徴とする蛍光体インキ塗
    布装置。
  7. 【請求項7】 前記ノズル走査手段は、更に、 前記溝位置情報部で求められた位置情報に基づいて、各
    溝に対する走査ラインを設定する走査ライン設定部を備
    え、 前記ノズル位置調整部は、 ノズル走査時に、前記走査ライン設定部で設定された走
    査ラインに合わせてノズルが通過する溝内の位置を調整
    することを特徴とする請求項6記載の蛍光体インキ塗布
    装置。
  8. 【請求項8】 隔壁がストライプ状に配設されたプラズ
    マディスプレイ用のプレートに対して、蛍光体インキを
    ノズルヘッドに設けられた複数のノズルから連続流とな
    るよう吐出させながら、隔壁と隔壁との間の溝に沿って
    当該ノズルヘッドをヘッド走査手段で相対的に走査する
    ことによって、各ノズルに対応する溝に蛍光体インキを
    塗布する蛍光体インキ塗布装置において、 前記ヘッド走査手段は、 前記ノズルヘッドをプレートと平行な面内で回転させ回
    転機構と、 ノズル走査時に、前記ノズルヘッドの各ノズルの走査方
    向と直交する方向に対するピッチが対応する溝のピッチ
    に合うよう、前記回転機構の動作を制御する制御機構と
    を備えることを特徴とする蛍光体インキ塗布装置。
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