JP4373956B2 - 自動二輪車用ブレーキ制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、アンチロックブレーキ制御(以下「ABS(Anti-lock Brake System)制御」という)機能を有する自動二輪車用ブレーキ制御装置の改良に関する。
ABS制御機能を有する自動二輪車用ブレーキ制御装置において、ブレーキ操作子(レバーまたはベダル)の操作により、前輪ブレーキと後輪ブレーキとを連動させるものがある。このような自動二輪車用ブレーキ制御装置においては、前輪ブレーキと後輪ブレーキのうち、一方を主ブレーキ、他方を補助ブレーキとし、ブレーキ操作子を操作したときには、主ブレーキ側が先にABS制御されやすい構成としているのが、一般的である。
たとえば、特許文献1では、自動二輪車用ブレーキ制御装置において、一のレバーの操作で前輪ブレーキと後輪ブレーキを連動させることができ、また、制動力の配分を行うことで片方の車輪を先にロックさせることができる技術が開示されている。
特許3522546号公報(段落0009、図1)
しかしながら、特許文献1の技術によれば、いわゆる「カスケードロック」と呼ばれる現象が起きてしまうという問題があった。
以下、図12を参照しながら、カスケードロックについて説明する。なお、図12では、自動二輪車において、補助ブレーキ側の車輪速センサから検出された回転速度に基づいて、実車速推定が行われているものとする。
図12は、(a)が、主ブレーキ側車輪と補助ブレーキ側車輪の速度の経時変化を表わしたタイムチャートであり、(b)が、(a)のときの主ブレーキ圧と補助ブレーキ圧を表わしたタイムチャートである。なお、この例では、自動二輪車が圧雪道路などの低μ路(摩擦係数の低い道路)を走行しているものとする。
図12(a)において、Lは、乾燥路面で車輪がロックしない限界減速度を表わしている。
そして、ここでは、自動二輪車が、実車体速度Rの速度で走行しているものとする。そこで、運転者が、ゆっくりとブレーキ操作をすると、たとえば、主ブレーキ側車輪速度VA1および補助ブレーキ側車輪速度VB1は、それぞれ図に示すように変化する。
そして、そのときの、主ブレーキ圧PA1と補助ブレーキ圧PB1は、図12(b)に示すようになる。なお、図12(b)において、Pdは、乾燥路面において車輪がロックし始める(スリップする)ブレーキ液圧を表わし、Psは、低μ路において車輪がロックし始める(スリップする)ブレーキ液圧を表わしている。
つまり、図12の(a)および(b)からわかるように、特に低μ路においては、補助ブレーキ圧が徐々に上昇して低μ路ロック圧Psよりも高くなり、補助ブレーキ側車輪がスリップし始めていても、補助ブレーキ側車輪の減速度がLよりも緩やかであると、自動二輪車に搭載されたブレーキ制御装置は、補助ブレーキ側車輪速度VB1が実車体速度であると誤って認識してしまい、補助ブレーキ側車輪のスリップを検知できないことがある。
また、図12(b)からわかるように、補助ブレーキ圧PB1は乾燥路面ロック液圧Pdよりも小さいので、ブレーキ制御装置は、補助ブレーキ圧PB1から補助ブレーキ側車輪のスリップを検知することもできない。
そうすると、補助ブレーキ側車輪は、そのスリップ率が徐々に大きくなり、ついには、ABSが作動しないまま、ロック状態に陥ってしまう。これを、カスケードロックという。
そこで、本発明は前記問題点に鑑みてなされたものであり、補助ブレーキ側車輪におけるカスケードロックの可能性を低減することを目的とする。
前記課題を解決する本発明のうち、請求項に記載の発明は、連動ブレーキ操作子の操作によって連動する前輪ブレーキと後輪ブレーキのうち、一方を主ブレーキ、他方を補助ブレーキとし、前記主ブレーキと前記補助ブレーキに対して独立にアンチロックブレーキ制御を実行するブレーキ制御手段を備えた自動二輪車用ブレーキ制御装置であって、前記連動ブレーキ操作子の操作によって前記補助ブレーキに伝えられるブレーキ液の圧力が前記主ブレーキに伝えられるブレーキ液の圧力よりも小さくなるように配置されたディレイバルブと、前記主ブレーキについてアンチロックブレーキ制御の実行条件を満たすか否かを判定する主ブレーキ用ABS判定手段と、前記補助ブレーキについてアンチロックブレーキ制御の実行条件を満たすか否かを判定する補助ブレーキ用ABS判定手段と、前記連動ブレーキ操作子の操作速度が第1の所定値よりも速いか否か、および、前記連動ブレーキ操作子の操作強度が第2の所定値よりも強いか否かを判定する操作状態判定手段と、を有し、前記ブレーキ制御手段は、前記主ブレーキ用ABS判定手段が前記主ブレーキについてアンチロックブレーキ制御の実行条件を満たすと判定し、かつ、前記操作状態判定手段が前記連動ブレーキ操作子の操作速度は第1の所定値よりも速いと判定し、かつ、前記操作状態判定手段が前記連動ブレーキ操作子の操作強度は第2の所定値よりも強いと判定し、さらに、前記補助ブレーキ用ABS判定手段が前記補助ブレーキについてアンチロックブレーキ制御の実行条件を満たさないと判定したときに、前記補助ブレーキの制動力を所定量下げた後に保持する制御を実行することを特徴とする。
これにより、ブレーキ制御手段は、主ブレーキについてアンチロックブレーキ制御の実行条件が満たされ、かつ、そのときの連動ブレーキ操作子の操作速度が第1の所定値よりも速く、かつ、連動ブレーキ操作子の操作強度が第2の所定値よりも強く、さらに、補助ブレーキについてアンチロックブレーキ制御の実行条件が満たされなかったときには、補助ブレーキの制動力を、所定量下げた後に保持する。したがって、連動ブレーキ操作子の操作速度が速く、かつ、操作強度が強いとき、補助ブレーキ側の車輪は、低μ路に追従しやすくなり、ロックする可能性が低くなる。
求項に記載の発明は、連動ブレーキ操作子の操作によって連動する前輪ブレーキと後輪ブレーキのうち、一方を主ブレーキ、他方を補助ブレーキとし、前記主ブレーキと前記補助ブレーキに対して独立にアンチロックブレーキ制御を実行するブレーキ制御手段を備えた自動二輪車用ブレーキ制御装置であって、前記主ブレーキについてアンチロックブレーキ制御の実行条件を満たすか否かを判定する主ブレーキ用ABS判定手段と、前記補助ブレーキについてアンチロックブレーキ制御の実行条件を満たすか否かを判定する補助ブレーキ用ABS判定手段と、前記連動ブレーキ操作子の操作速度が第1の所定値よりも速いか否か、および、前記連動ブレーキ操作子の操作強度が第2の所定値よりも強いか否かを判定する操作状態判定手段と、を有し、前記ブレーキ制御手段は、前記主ブレーキ用ABS判定手段が前記主ブレーキについてアンチロックブレーキ制御の実行条件を満たすと判定し、かつ、前記操作状態判定手段が前記連動ブレーキ操作子の操作速度は第1の所定値よりも速いと判定し、かつ、前記操作状態判定手段が前記連動ブレーキ操作子の操作強度は第2の所定値よりも強いと判定し、さらに、前記補助ブレーキ用ABS判定手段が前記補助ブレーキについてアンチロックブレーキ制御の実行条件を満たさないと判定したときに、前記補助ブレーキの制動力を所定量下げた後に保持する制御を実行することを特徴とする。
これにより、ブレーキ制御手段は、連動ブレーキ操作子の操作速度が第1の所定値よりも速く、かつ、連動ブレーキ操作子の操作強度が第2の所定値よりも強いときに、補助ブレーキの制動力を、所定量下げた後に保持する。したがって、連動ブレーキ操作子の操作速度が速く、かつ、操作強度が強いとき、補助ブレーキ側の車輪は、低μ路に追従しやすくなり、ロックする可能性が低くなる。
請求項3に記載の発明は、前記所定量が、前記連動ブレーキ操作子の操作速度が速いときほど大きいことを特徴とする請求項1または請求項に記載の自動二輪車用ブレーキ制御装置である。
これにより、ブレーキ制御手段は、連動ブレーキ操作子の操作速度が速ければ速いほど、補助ブレーキの制動力を大きく下げる。
請求項に記載の発明は、前記所定量が、前記連動ブレーキ操作子の操作強度が強いときほど大きいことを特徴とする請求項または請求項に記載の自動二輪車用ブレーキ制御装置である。
これにより、ブレーキ制御手段は、連動ブレーキ操作子の操作強度が強ければ強いほど、補助ブレーキの制動力を大きく下げる。
請求項に記載の発明は、請求項1から請求項のいずれか1項に記載の自動二輪車用ブレーキ制御装置であって、前記主ブレーキ用ABS判定手段が前記主ブレーキについてアンチロックブレーキ制御の実行条件を満たさないと判定したときに、前記ブレーキ制御手段は、前記補助ブレーキの制動力の保持を解除することを特徴とする。
これにより、ブレーキ制御手段は、主ブレーキについてアンチロックブレーキ制御の実行条件が満たされなくなったとき、すなわち、補助ブレーキの制動力の保持が不要になったときに、その保持を解除する。
請求項に記載の発明は、請求項1から請求項のいずれか1項に記載の自動二輪車用ブレーキ制御装置であって、前記補助ブレーキ用ABS判定手段が前記補助ブレーキについてアンチロックブレーキ制御の実行条件を満たすと判定したときに、前記ブレーキ制御手段は、前記補助ブレーキの制動力の保持を解除してアンチロックブレーキ制御を実行することを特徴とする。
これにより、ブレーキ制御手段は、補助ブレーキについてアンチロックブレーキ制御の実行条件が満たされたとき、すなわち、補助ブレーキに最大の制動力が必要になったときに、補助ブレーキの制動力の保持を解除してアンチロックブレーキ制御を実行する。
請求項に記載の発明によれば、連動ブレーキ操作子の操作速度が速く、かつ、操作強度が強いとき、補助ブレーキ側車輪においてカスケードロックが起きる可能性を低減できる。
請求項に記載の発明によれば、連動ブレーキ操作子の操作速度が速く、かつ、操作強度が強いとき、補助ブレーキ側車輪においてカスケードロックが起きる可能性を低減できる。
請求項に記載の発明によれば、連動ブレーキ操作子の操作速度の速さに応じて適切に補助ブレーキの制動力を下げることができる。
請求項に記載の発明によれば、連動ブレーキ操作子の操作強度の強さに応じて適切に補助ブレーキの制動力を下げることができる。
請求項に記載の発明によれば、補助ブレーキの制動力の保持を適切なタイミングで解除できる。
請求項に記載の発明によれば、補助ブレーキにおいて、アンチロックブレーキ制御が必要な場合には、制動力の保持を解除してアンチロックブレーキ制御を実行することができる。
本発明の実施形態に係る自動二輪車用ブレーキ制御装置について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
まず、図1を参照しながら、全体構成について説明する。図1は、実施形態に係る自動二輪車用ブレーキ制御装置の液圧回路を含めた全体構成図である。
自動二輪車用ブレーキ制御装置100は、運転者が連動ブレーキ操作子(レバー)11に加える操作力に応じたブレーキ液圧を発生するリアマスタシリンダ12、および、運転者が前輪ブレーキ操作子(レバー)31に加える操作力に応じたブレーキ液圧を発生するフロントマスタシリンダ32と、主ブレーキ(後輪ブレーキ)17および補助ブレーキ(前輪ブレーキ)24と、の間に配置されている。
なお、主ブレーキ17が取り付けられている後輪16の近傍には、後輪16の回転速度を計測してその計測結果を制御ユニット41に送信する車輪速センサ18が設けられ、また、補助ブレーキ24が取り付けられている前輪23の近傍には、前輪23の回転速度を計測してその計測結果を制御ユニット41に送信する車輪速センサ25が設けられている。
リアマスタシリンダ12に接続された油路(以下「連動ブレーキ側油路」という)は、通常時、リアマスタシリンダ12から主ブレーキ17および補助ブレーキ24まで連通しており、連動ブレーキ操作子11に加えた操作力が主ブレーキ17および補助ブレーキ24に伝達されるようになっている。
また、ディレイバルブ22は、その機械的構造により、連動ブレーキ操作子11の操作によってブレーキ液に加えられた圧力を、主ブレーキ17よりも補助ブレーキ24に対して小さく伝える機能を有する弁である。
さらに、このディレイバルブ22の作用により、補助ブレーキ24にブレーキ液圧が加えられ始めるタイミングが、主ブレーキ17にブレーキ液圧が加えられ始めるタイミングよりも、少し遅れることがある。
連動ブレーキ側油路には、主ブレーキ17に対応して入口弁13、チェック弁14および出口弁15が設けられ、また、補助ブレーキ24に対応して入口弁19、チェック弁20および出口弁21が設けられ、さらに、リザーバ26およびポンプ27が設けられている。
また、自動二輪車用ブレーキ制御装置100においては、さらに、制御ユニット41からの制御によりポンプ27を駆動するモータ42、および、各装置に対する制御等を行う制御ユニット41が備えられている。
なお、以下では、リアマスタシリンダ12から入口弁13および入口弁19に至る油路を「出力液圧路E」と称し、入口弁13および入口弁19から主ブレーキ17および補助ブレーキ24に至る油路を「車輪液圧路F」と称し、出口弁15および出口弁21からポンプ27に至る油路を「開放路G」と称する。
入口弁13は、常開型の電磁弁で、通常時に開いていることで、リアマスタシリンダ12から主ブレーキ17へブレーキ液圧が伝達するのを許容する。また、入口弁13は、後輪16がロックしそうになったときに、制御ユニット41からの制御により閉塞することで、リアマスタシリンダ12から主ブレーキ17へ伝達するブレーキ液圧を遮断する。
なお、入口弁19は、構成や作用が入口弁13と同様であるので、説明を省略する。
出口弁15は、常閉型の電磁弁であり、通常時は閉塞しているが、後輪16がロックしそうになったときには、制御ユニット41からの制御により開放することで、後輪16に作用するブレーキ液圧をリザーバ26に逃がす。
なお、出口弁21は、構成や作用が出口弁15と同様であるので、説明を省略する。
チェック弁14は、入口弁13に並列に接続されている。チェック弁14は、ブレーキ液の流入を主ブレーキ17側からリアマスタシリンダ12への方向にのみ許容する。
なお、チェック弁20は、構成や作用がチェック弁14と同様であるので、説明を省略する。
リザーバ26は、出口弁15,21の開放によって流出したブレーキ液を吸収・貯留する機能を有している。
ポンプ27は、モータ42によって駆動されるものであり、リザーバ26に貯留されているブレーキ液を吸入して、出力液圧路E側に吐出する機能を有している。なお、ポンプ27の前後に、ブレーキ液の流入をリザーバ26側からリアマスタシリンダ12側への方向にのみ許容するためのチェック弁を設けてもよい。
フロントマスタシリンダ32に接続された油路における入口弁33、チェック弁34、出口弁35、リザーバ37およびポンプ38は、構成や作用が、それぞれ、連動ブレーキ側油路における入口弁13、チェック弁14、出口弁15、リザーバ26およびポンプ27と同様であるので、説明を省略する。
なお、独立前輪ブレーキ36は、フロントマスタシリンダ32に接続された油路の圧力(油圧)により、前輪23に制動力を付与する役割を果たすものである。
続いて、図2を参照しながら、制御ユニット41の構成について説明する(適宜図1参照)。図2は、制御ユニット41を含めた自動二輪車用ブレーキ制御装置100などの構成を表わした機能ブロック図である。
制御ユニット41は、車輪速センサ18,25からの入力を受け、各種演算処理を行い、各入口弁・出口弁やモータ42を制御することで、ブレーキ制御を行う演算処理装置である。
制御ユニット41は、たとえば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などを有するECU(Electronic Control Unit)により実現することができる。
制御ユニット41は、実車体速度推定手段411、補助ブレーキ用ABS判定手段412、主ブレーキ用ABS判定手段413、ブレーキ制御手段414、操作速度推定手段415および操作速度判定手段(操作状態判定手段)416を備えて構成される。
実車体速度推定手段411は、車輪速センサ25から入力した前輪23の回転速度によって、自動二輪車の実車体速度を推定するものである。自動二輪車の実車体速度の推定は、たとえば、前輪23の回転速度を換算して実車体速度とする方法や、加減速の度合いが大きいときや路面の摩擦係数が小さいと判断されたときにはそれらも考慮して実車体速度を推定する方法などを、場面に応じて使い分けることで実現することができる。
補助ブレーキ用ABS判定手段412は、実車体速度推定手段411によって推定された実車体速度などから、補助ブレーキ24にABS制御が必要か否かを判定するものである。
たとえば、補助ブレーキ用ABS判定手段412は、前輪23が乾燥路面でロックしない限界減速度よりも大きな度合いで減速しているときや、推定実車体速度よりも前輪23の車輪速度のほうが小さいときに、前輪23がある程度以上スリップしていて補助ブレーキ24にABS制御が必要である、と判定する。
主ブレーキ用ABS判定手段413は、車輪速センサ18により検出された後輪16の回転速度や、実車体速度推定手段411によって推定された実車体速度などから、主ブレーキ17にABS制御が必要か否かを判定するものである。
たとえば、主ブレーキ用ABS判定手段413は、後輪16が乾燥路面でロックしない限界減速度よりも大きな度合いで減速しているときや、推定実車体速度よりも後輪16の車輪速度のほうが小さいときに、後輪16がある程度以上スリップしていて主ブレーキ17にABS制御が必要である、と判定する。
操作速度推定手段415は、車輪速センサ18から入力した後輪16の回転速度、車輪速センサ25から入力した前輪23の回転速度、および、実車体速度推定手段411から入力した実車体速度から、連動ブレーキ操作子11の操作速度を推定するものである。なお、操作速度推定手段415は、実車体速度推定手段411から実車体速度を入力しないものとしてもよい。
操作速度判定手段416は、操作速度推定手段415が推定した連動ブレーキ操作子11の操作速度が第1の所定値よりも大きいか否かを判定し、その判定結果をブレーキ制御手段414に送信するものである。また、操作速度判定手段416は、特許請求の範囲の「操作状態判定手段」に相当する。
ブレーキ制御手段414は、補助ブレーキ用ABS判定手段412、主ブレーキ用ABS判定手段413および操作速度判定手段416から入力される情報を元に演算処理を行い、入口弁13,19、出口弁15,21およびモータ42を適宜制御することで、ブレーキ制御を実現する。
たとえば、ブレーキ制御手段414は、補助ブレーキ用ABS判定手段412が補助ブレーキ24に関してABS制御の必要ありと判断したときには、入口弁19、出口弁21およびモータ42を制御することにより補助ブレーキ24に関してABS制御を実行し、また、主ブレーキ用ABS判定手段413が主ブレーキ17に関してABS制御の必要ありと判断したときには、入口弁13、出口弁15およびモータ42を制御することにより主ブレーキ17に関してABS制御を実行する。
次に、図1に戻って、連動ブレーキ操作子11を操作したときの、自動二輪車用ブレーキ制御装置100の動作について説明する。
<通常ブレーキ時>
通常ブレーキ時は、入口弁13,19が非通電(以下「消磁」という)の状態で開放され、また、出口弁15,21が消磁の状態で閉塞されており、連動ブレーキ操作子11の操作に起因して発生したブレーキ液圧は、そのまま補助ブレーキ24および主ブレーキ17に作用する。
<ABS制御時>
ABS制御について、補助ブレーキ24の場合を例にとって説明する。
補助ブレーキ24をABS制御する場合、前輪23のスリップ率を所定レベルに保つことで前輪23による制動力を効果的に発揮できるように、制御ユニット41が、補助ブレーキ24に作用するブレーキ液圧を、増圧、保持、減圧することにより調整する。
なお、ここでは、連動ブレーキ操作子11が強く操作され、リアマスタシリンダ12からブレーキ液に対して大きな圧力が作用しているものとする。
補助ブレーキ24に作用するブレーキ液圧を増圧する場合、制御ユニット41は、入口弁19を消磁して開放状態とし、出口弁21を消磁して閉塞状態とする。これにより、連動ブレーキ操作子11の操作に起因して発生したブレーキ液圧が補助ブレーキ24に作用し、その結果、補助ブレーキ24に作用するブレーキ液圧が増圧される。
補助ブレーキ24に作用するブレーキ液圧を保持する場合、制御ユニット41は、入口弁19を励磁して閉塞状態とし、出口弁21を消磁して閉塞状態とする。これにより、補助ブレーキ24、入口弁19および出口弁21で閉じられた油路内にブレーキ液が閉じ込められ、その結果、補助ブレーキ24に作用するブレーキ液圧が一定に保持される。
また、ABS制御時以外でも、補助ブレーキ24に作用するブレーキ液圧を一定に保持する場合は、これと同様にして実現することができる。
補助ブレーキ24に作用するブレーキ液圧を減圧する場合、制御ユニット41は、入口弁19を励磁して閉塞状態とし、出口弁21を励磁して開放状態とする。これにより、車輪液圧路Fのブレーキ液が開放路Gを通ってリザーバ26に流入し、その結果、前輪23に作用するブレーキ液圧が減圧される。
また、ABS制御中、制御ユニット41は、モータ42の駆動によりポンプ27を作動させ、リザーバ26に貯留されたブレーキ液を出力液圧路Eに還流させる。
なお、主ブレーキ17におけるABS制御と独立前輪ブレーキ36によるABS制御は、補助ブレーキ24におけるABS制御と同様であるので、説明を省略する。
また、制御ユニット41の補助ブレーキ用ABS判定手段412が前輪23に関してABS制御の必要ありと判断した場合、補助ブレーキ24によるABS制御と独立前輪ブレーキ36によるABS制御の両方を実行してもよいし、また、いずれか一方のABS制御のみを実行するようにしてもよい。
次に、図3を参照しながら、低μ路を走行している自動二輪車において連動ブレーキ操作子11を操作する場合の制御ユニット41の処理について説明する(適宜図2参照)。図3は、制御ユニット41における処理の流れの一例を示すフローチャートである。
まず、補助ブレーキ用ABS判定手段412は、前輪23(補助ブレーキ側車輪)がABS作動条件を満たすか否か、すなわち、補助ブレーキ24にABS制御が必要か否かを判断する(ステップS1)。
連動ブレーキ操作子11が強く操作されるなどして、補助ブレーキ側車輪がABS作動条件を満たす場合(ステップS1でYes)、補助ブレーキ用ABS判定手段412は、補助ブレーキ24のABS要求フラグをセットする(ステップS2)。
なお、このステップS2では、補助ブレーキ24のほかに独立前輪ブレーキ36のABS要求フラグも同時にセットするようにしてもよいが、以下、補助ブレーキ24のみにABS要求フラグをセットしたものとする。
補助ブレーキ側車輪がABS作動条件を満たさない場合(ステップS1でNo)、補助ブレーキ用ABS判定手段412は、補助ブレーキ24のABS要求フラグをクリアする(ステップS3)。
続いて、主ブレーキ用ABS判定手段413は、後輪16(主ブレーキ側車輪)がABS作動条件を満たすか否か、すなわち、主ブレーキ17にABS制御が必要か否かを判断する(ステップS4)。
主ブレーキ側車輪がABS作動条件を満たさない場合(ステップS4でNo)、主ブレーキ用ABS判定手段413は、主ブレーキ17のABS要求フラグをクリアする(ステップS5)。
そして、連動ブレーキ操作子11が強く操作されるなど、種々の要因により、主ブレーキ側車輪がABS作動条件を満たす場合(ステップS4でYes)、主ブレーキ用ABS判定手段413は、主ブレーキ17のABS要求フラグをセットする(ステップS6)。
次に、ブレーキ制御手段414は、主ブレーキ17のABS要求フラグがセット中か否かを確認する(ステップS6−2)。
主ブレーキ17のABS要求フラグがセット中の場合(ステップS6−2でYes)、制御ユニット41は、主ブレーキ17のABS制御を実行する(ステップS6−4)。
主ブレーキ17のABS要求フラグがセット中でない場合(ステップS6−2でNo)、ブレーキ制御手段414は、主ブレーキ17のABS制御が実行中であれば停止し、ABS制御が実行中でなければ処理を行わず、いずれにしても主ブレーキ17のABS制御が停止している状態として(ステップS6−3)、ステップS7に進む。
続いて、ブレーキ制御手段414は、補助ブレーキ24のABS要求フラグがセット中か否かを確認する(ステップS7)。
補助ブレーキ24のABS要求フラグがセット中の場合(ステップS7でYes)、制御ユニット41は、補助ブレーキ24のABS制御を実行する(ステップS8)。
補助ブレーキ24のABS要求フラグがセット中でない場合(ステップS7でNo)、ブレーキ制御手段414は、補助ブレーキ24のABS制御が実行中であれば停止し、ABS制御が実行中でなければ処理を行わず、いずれにしても補助ブレーキ24のABS制御が停止している状態として(ステップS9)、ステップS10に進む。
ブレーキ制御手段414は、主ブレーキ17のABS要求フラグがセット中か否かを確認する(ステップS10)。
主ブレーキ17のABS要求フラグがセット中の場合(ステップS10でYes)、ステップS11に進む。
次に、操作速度判定手段416は、連動ブレーキ操作子11の操作が第1の所定値(統計値などから任意の値に設定可:図6のV1に相当)より速く行われたか否かを、判定する(ステップS11)。
具体的には、車輪速度の時間当たりの変化率を算出し、予め定められた所定値より大きければ高速操作が行われたと判定する。
連動ブレーキ操作子11の操作が第1の所定値より速くなかったと操作速度判定手段416で判定された場合(ステップS11でNo)、ブレーキ制御手段414は、補助ブレーキ24のブレーキ液圧を一定に保持する制御を実行する(ステップS13)。
このように、ステップS13で補助ブレーキ24のブレーキ液圧を一定に保持することで、この後に補助ブレーキ24がカスケードロック状態に陥る可能性を低減することができる。
ここで、図4を参照しながら、補助ブレーキ24がスケードロック状態に陥る可能性の低減について説明する。
図4は、前記した図12と同様、自動二輪車が低μ路を走行している場合において、補助ブレーキ液圧を一定に保持するときの、(a)が、主ブレーキ側車輪と補助ブレーキ側車輪の速度の経時変化を表わしたタイムチャートであり、(b)が、(a)のときの主ブレーキ圧と補助ブレーキ圧を表わしたタイムチャートである。
なお、L、Pd、Psは、図12の場合と同様である。
図4(b)に示すように、主ブレーキ圧PA2が低μ路ロック液圧Psに達して主ブレーキ側車輪がABS制御され始めたとき(時間t1)に、補助ブレーキ圧PB2をそれ以上増圧しないようにそのときの値で保持する。これにより、補助ブレーキ圧PB2が低μ路ロック液圧Psを超えて、補助ブレーキ側車輪がカスケードロック状態に陥る可能性を、低減することができる。
なお、補助ブレーキ圧PB2の上昇開始が、主ブレーキ圧PA2の上昇開始よりも少し遅れているのは、ディレイバルブ22(図1参照)の働きによるものである。
また、このとき、図4(b)に示すように、補助ブレーキ圧PB2は低μ路ロック液圧Psよりも小さな圧力で保持されるので、図4(a)に示すように、補助ブレーキ側車輪速度VB2は実車体速度Rと略一致し、主ブレーキ側車輪速度VA2も図のようになり、主・補助両ブレーキ側車輪に対して適切なブレーキ制御を行うことができる。
図3のフローチャートに戻って、操作速度判定手段416で連動ブレーキ操作子11の操作が高速(すなわち、図6に示すV1よりも速い)であったと判定された場合(ステップS11でYes)、ブレーキ制御手段414は、補助ブレーキ24のブレーキ液圧を連動ブレーキ操作子11の操作が速いほど大きく減圧(ステップS12)してブレーキ液圧を所定量とした後、補助ブレーキ24のブレーキ液圧をその所定量に保持する制御を実行する(ステップS13)。
なお、この所定量は、ブレーキ制御手段414が統計値などに基づいて算出してもよいし、あるいは、あらかじめ設定しておいてもよく、いずれにしても、ブレーキ液圧が低μ路ロック液圧Ps未満の値となればよい。
また、補助ブレーキ24のブレーキ液圧を下げる場合、「所定量」を減圧するものとしてもよいし、また、下げた後の目標ブレーキ液圧を「所定量」としても、いずれでもよい。
さらに、補助ブレーキ24のブレーキ液圧は、ステップS12において一回で所定量まで減圧されなくても、制御ユニット41が図3に示すフローチャートの処理を高速に何度も繰り返す間に所定量まで減圧されればよい。
このように、連動ブレーキ操作子11の操作が高速であった場合には、補助ブレーキ24のブレーキ液圧を、所定量まで減圧した後に保持することで、この後に補助ブレーキ24がカスケードロック状態に陥る可能性を低減することができる。
ここで、図5を参照しながら、この場合に補助ブレーキ24がカスケードロック状態に陥る可能性の低減について説明する。
図5は、前記した図12と同様、自動二輪車が低μ路を走行している場合において、補助ブレーキ液圧を所定量まで減圧した後に保持するときの、(a)が、主ブレーキ側車輪と補助ブレーキ側車輪の速度の経時変化を表わしたタイムチャートであり、(b)が、(a)のときの主ブレーキ圧と補助ブレーキ圧を表わしたタイムチャートである。
なお、L、Pd、Psは、図12の場合と同様である。
図5(b)に示すように、連動ブレーキ操作子11が操作され、主ブレーキ圧PA3が低μ路ロック液圧Psに達して、主ブレーキ側車輪がABS制御され始めた場合、連動ブレーキ操作子11の操作が高速であったときには、制御ユニット41の各処理のタイムラグなどによって、補助ブレーキ圧PB3も低μ路ロック液圧Psを超えてしまっていることがある。
したがって、それを考慮し、補助ブレーキ圧PB3を、低μ路ロック液圧Ps未満である所定量まで減圧してから保持することで、補助ブレーキ側車輪がカスケードロック状態に陥る可能性を低減することができる。
このとき、図5(a)に示すように、補助ブレーキ側車輪速度VB3は実車体速度Rと略一致し、主ブレーキ側車輪速度VA3も図のようになり、主・補助両ブレーキ側車輪に対して適切なブレーキ制御を行うことができる。
また、ここで、図6〜図9を参照しながら、補助ブレーキの減圧量について、さらに説明する(適宜図2等参照)。
図6は、連動ブレーキ操作子11の操作速度、操作強度、および、補助ブレーキ24の減圧量の関係を示した3次元座標図である。
P軸は補助ブレーキ24の液圧の減圧量を示し、V軸は連動ブレーキ操作子11の操作速度を示し、また、F軸は連動ブレーキ操作子11の操作強度を示している。
F軸において、F1(第2の所定値)は、主ブレーキ17にABS制御が実行される場合とされない場合の操作強度の境界値を示す。つまり、操作者が連動ブレーキ操作子11をF1よりも強く操作すると主ブレーキ17にABS制御が実行され、F1よりも弱く操作すると主ブレーキ17にABS制御が実行されない。
また、F3は、補助ブレーキ24にABS制御が実行される場合とされない場合の操作強度の境界値を示す。つまり、操作者が連動ブレーキ操作子11をF3よりも強く操作すると補助ブレーキ24にABS制御が実行され、F3よりも弱く操作すると補助ブレーキ24にABS制御が実行されない。
そして、本願発明は、連動ブレーキ操作子11の操作強度が、F1よりも強く、かつ、F3よりも弱いときに、適用されるものである。
連動ブレーキ操作子11の操作強度がF1よりも強くてF3よりも弱いとき、V軸において、V1は、補助ブレーキ24の液圧を保持する場合と減圧してから保持する場合の操作速度の境界値を示す。つまり、操作者が連動ブレーキ操作子11をV1よりも遅い操作速度で操作すると補助ブレーキ24の液圧はそのまま保持され、V1よりも速い操作速度で操作すると補助ブレーキ24の液圧は操作速度が速いときほど大きく減圧された後に保持される。
図7は、図6の3次元座標図において、連動ブレーキ操作子の操作強度がF2で一定のときの、補助ブレーキ減圧量と連動ブレーキ操作子の操作速度との関係を表わした断面図である。
図7に示すように、連動ブレーキ操作子11の操作速度がV1よりも遅いとき、補助ブレーキ24の液圧の減圧量はゼロである。また、連動ブレーキ操作子11の操作速度がV1よりも速いとき、操作速度が速いほど補助ブレーキ24の液圧の減圧量が大きくなる。
なお、連動ブレーキ操作子11の操作速度の増加に応じて補助ブレーキ24の液圧の減圧量が増加する割合は、図7のように直線的(1次関数的)なものに限らず、曲線的(2次関数的など)なものであってもよい。
図8は、図6の3次元座標図において、連動ブレーキ操作子の操作速度がV2で一定のときの、補助ブレーキ減圧量と連動ブレーキ操作子の操作強度との関係を表わした断面図である。
図8に示すように、連動ブレーキ操作子11の操作強度がF1よりも強くてF3よりも弱い場合、連動ブレーキ操作子11の操作強度が強いほど補助ブレーキ24の液圧の減圧量も大きくなる。
なお、連動ブレーキ操作子11の操作強度の増加に応じて補助ブレーキ24の液圧の減圧量が増加する割合は、図8のように直線的(1次関数的)なものに限らず、曲線的(2次関数的など)なものであってもよい。
図9は、補助ブレーキの減圧量に関するタイムチャートである。図9のタイムチャートにおいて、図4と同様、Pdは、乾燥路面におけるロック液圧であり、Psは、低μ路におけるロック液圧である。なお、この図9では、主ブレーキ17の液圧については省略している。
補助ブレーキ24の液圧が補助ブレーキ圧PB4として示したように推移した場合(減圧量はW4)に比べて、連動ブレーキ操作子11を強くあるいは速く操作した場合、補助ブレーキ24の液圧は補助ブレーキ圧PB5として示したように推移し、そのときの減圧量W5はW4よりも大きくなる。そして、これにより、後輪16がカスケードロックに陥る可能性をさらに低減することができる。
このようにして、図3のステップS12において、連動ブレーキ操作子11の操作が速いほど、補助ブレーキ24のブレーキ液圧を大きく減圧することができる。
図3のフローチャートに戻って、主ブレーキ17のABS要求フラグがセット中でない場合(ステップS10でNo)、それは連動ブレーキ操作子11による操作が弱まったことを意味するので、ブレーキ制御手段414は、補助ブレーキ24のブレーキ液圧を保持しているときはその保持を解除し、補助ブレーキ24のブレーキ液圧を保持していないときは処理を行わず、いずれにしても補助ブレーキ24のブレーキ液圧の保持が解除されている状態とする(ステップS14)。
このように、補助ブレーキ24のブレーキ液圧の保持を、それが不要になった適切なタイミングで解除することができる。
ステップS8、ステップS13およびステップS14の後、制御ユニット41は、ステップS1に戻り、ステップS1以降の処理を繰り返す。
なお、ステップS13において補助ブレーキ24のブレーキ液圧を所定量で保持した後、運転者が前輪ブレーキ操作子31を強く操作したことによって補助ブレーキ側車輪がABS作動条件を満たした場合、ブレーキ制御手段414は、補助ブレーキ24のブレーキ液圧保持を解除して、補助ブレーキ24によるABS制御を実行する。
これにより、補助ブレーキ24のブレーキ液圧が保持されている場合でも、必要に応じて補助ブレーキ側車輪に対するABS制御を実行することができる。また、このとき、ブレーキ制御手段414は、補助ブレーキ側車輪に対して同時に独立前輪ブレーキ36によるABS制御を実行してもよい。
<変形例>
次に、図10および図11を参照しながら、実施形態に係る自動二輪車用ブレーキ制御装置の変形例について説明する。
図10は、実施形態に係る自動二輪車用ブレーキ制御装置の変形例の液圧回路を含めた全体構成図である。
自動二輪車用ブレーキ制御装置100aは、図1の自動二輪車用ブレーキ制御装置100と比べて、リアマスタシリンダ12の液圧回路中にリアマスタシリンダ圧センサ50が設けられている点のみ、相違している。
リアマスタシリンダ圧センサ50は、リアマスタシリンダ12の液圧回路の圧力を測るセンサであり、その圧力信号を制御ユニット41に送信する。
図11は、図10の自動二輪車用ブレーキ制御装置などの構成を表わした機能ブロック図である。
図11の自動二輪車用ブレーキ制御装置100aは、図2の自動二輪車用ブレーキ制御装置100と比べて、図2の操作速度推定手段415が操作速度推定手段415aに代わり、図2の操作速度判定手段416が操作速度判定手段416aに代わり、操作強度推定手段417と操作強度判定手段418が加わり、それにともない、制御ユニット41が制御ユニット41aに代わった点で相違している。また、操作速度判定手段416aと操作強度判定手段418を合わせたものが、特許請求の範囲の「操作状態判定手段」に相当する。
操作速度推定手段415aは、リアマスタシリンダ圧センサ50から受信した圧力信号に基づいて、連動ブレーキ操作子11の操作速度を推定するものである。
操作速度判定手段416aは、操作速度推定手段415aが推定した連動ブレーキ操作子11の操作速度に基づいて、連動ブレーキ操作子11の操作速度が第1の所定値よりも速いか否かを判定し、その判定結果をブレーキ制御手段414に送信するものである。
操作強度推定手段417は、リアマスタシリンダ圧センサ50から受信した圧力信号に基づいて、連動ブレーキ操作子11の操作強度を推定するものである。
操作強度判定手段418は、操作強度推定手段417が推定した連動ブレーキ操作子11の操作強度に基づいて、連動ブレーキ操作子11の操作強度が第2の所定値よりも強いか否かを判定し、その判定結果をブレーキ制御手段414に送信するものである。
そして、自動二輪車用ブレーキ制御装置100aの動作は、すでに説明した図3のフローチャートと比べて、ステップS12の「速いほど」を「速いほど、また、強いほど」と読み替える以外は同様である。
つまり、図3のステップS12に相当する処理において、ブレーキ制御手段414は、補助ブレーキ24のブレーキ液圧を連動ブレーキ操作子11の操作が速いほど、また、強いほど、大きく減圧する。それ以外の処理については、説明を省略する。
このように、実施形態の自動二輪車用ブレーキ制御装置100、100aによれば、主ブレーキ17についてABS制御の実行条件が満たされ、かつ、補助ブレーキ24についてABS制御の実行条件が満たされなかったときには、その時点から補助ブレーキの制動力が保持される。したがって、補助ブレーキ側の車輪は、低μ路に追従しやすくなり、カスケードロックが起きる可能性を低減できる。
また、主ブレーキ17についてABS制御の実行条件が満たされ、かつ、そのときの連動ブレーキ操作子11の操作が第1の所定値よりも速く、さらに、補助ブレーキ24についてABS制御の実行条件が満たされなかったときには、補助ブレーキの制動力が、所定分だけ下げた後に保持される。したがって、連動ブレーキ操作子の操作が高速であっても、補助ブレーキ側車輪においてカスケードロックが起きる可能性を低減できる。
さらに、連動ブレーキ操作子11の操作強度が強いときほど、補助ブレーキ24の減圧量を大きくすることで、カスケードロックが起きる可能性を一層低減できる。
また、主ブレーキ17についてABS制御の実行条件が満たされなくなったとき、すなわち、補助ブレーキの制動力の保持が不要になった適切なタイミングで、その保持を解除することができる。
さらに、補助ブレーキについてABS制御の実行条件が満たされたとき、すなわち、補助ブレーキに最大の制動力が必要になったときに、補助ブレーキの制動力の保持を解除してABS制御を実行することができる。
以上で実施形態の説明を終えるが、本発明の態様はこれらに限定されるものではない。
たとえば、前輪ブレーキが主ブレーキであって、後輪ブレーキが補助ブレーキであってもよい。また、各ブレーキ操作子は、レバーでなくても、ペダルであってもよい。その他、具体的な構成について、本発明の主旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
実施形態に係る自動二輪車用ブレーキ制御装置の液圧回路を含めた全体構成図である 自動二輪車用ブレーキ制御装置等の構成を表わした機能ブロック図である。 制御ユニットにおける処理の流れの一例を示すフローチャートである。 補助ブレーキの液圧を保持する場合において、(a)は、両車輪の速度を表わしたタイムチャートであり、(b)は、(a)のときの両ブレーキの液圧を表わしたタイムチャートである。 補助ブレーキの液圧を所定値下げた後に保持する場合において、(a)は、両車輪の速度を表わしたタイムチャートであり、(b)は、(a)のときの両ブレーキの液圧を表わしたタイムチャートである。 連動ブレーキ操作子の操作速度、操作強度、および、補助ブレーキの減圧量の関係を示した3次元座標図である。 図6の3次元座標図において、連動ブレーキ操作子の操作強度がF3で一定のときの、補助ブレーキ減圧量と連動ブレーキ操作子の操作速度との関係を表わした断面図である。 図6の3次元座標図において、連動ブレーキ操作子の操作速度がV2で一定のときの、補助ブレーキ減圧量と連動ブレーキ操作子の操作強度との関係を表わした断面図である。 補助ブレーキの減圧量に関するタイムチャートである。 実施形態に係る自動二輪車用ブレーキ制御装置の変形例の液圧回路を含めた全体構成図である。 図10の自動二輪車用ブレーキ制御装置などの構成を表わした機能ブロック図である。 従来技術において、(a)は、両車輪の速度を表わしたタイムチャートであり、(b)は、(a)のときの両ブレーキの液圧を表わしたタイムチャートである。
符号の説明
11 連動ブレーキ操作子
17 後輪ブレーキ
18 車輪速センサ
24 前輪ブレーキ
412 補助ブレーキ用ABS判定手段
413 主ブレーキ用ABS判定手段
414 ブレーキ制御手段
415 操作速度推定手段
416 操作速度判定手段

Claims (6)

  1. 連動ブレーキ操作子の操作によって連動する前輪ブレーキと後輪ブレーキのうち、一方を主ブレーキ、他方を補助ブレーキとし、前記主ブレーキと前記補助ブレーキに対して独立にアンチロックブレーキ制御を実行するブレーキ制御手段を備えた自動二輪車用ブレーキ制御装置であって、
    前記連動ブレーキ操作子の操作によって前記補助ブレーキに伝えられるブレーキ液の圧力が前記主ブレーキに伝えられるブレーキ液の圧力よりも小さくなるように配置されたディレイバルブと、前記主ブレーキについてアンチロックブレーキ制御の実行条件を満たすか否かを判定する主ブレーキ用ABS判定手段と、前記補助ブレーキについてアンチロックブレーキ制御の実行条件を満たすか否かを判定する補助ブレーキ用ABS判定手段と、前記連動ブレーキ操作子の操作速度が第1の所定値よりも速いか否か、および、前記連動ブレーキ操作子の操作強度が第2の所定値よりも強いか否かを判定する操作状態判定手段と、を有し、
    前記ブレーキ制御手段は、前記主ブレーキ用ABS判定手段が前記主ブレーキについてアンチロックブレーキ制御の実行条件を満たすと判定し、かつ、前記操作状態判定手段が前記連動ブレーキ操作子の操作速度は第1の所定値よりも速いと判定し、かつ、前記操作状態判定手段が前記連動ブレーキ操作子の操作強度は第2の所定値よりも強いと判定し、さらに、前記補助ブレーキ用ABS判定手段が前記補助ブレーキについてアンチロックブレーキ制御の実行条件を満たさないと判定したときに、前記補助ブレーキの制動力を所定量下げた後に保持する制御を実行する
    ことを特徴とする自動二輪車用ブレーキ制御装置。
  2. 連動ブレーキ操作子の操作によって連動する前輪ブレーキと後輪ブレーキのうち、一方を主ブレーキ、他方を補助ブレーキとし、前記主ブレーキと前記補助ブレーキに対して独立にアンチロックブレーキ制御を実行するブレーキ制御手段を備えた自動二輪車用ブレーキ制御装置であって、
    前記主ブレーキについてアンチロックブレーキ制御の実行条件を満たすか否かを判定する主ブレーキ用ABS判定手段と、前記補助ブレーキについてアンチロックブレーキ制御の実行条件を満たすか否かを判定する補助ブレーキ用ABS判定手段と、前記連動ブレーキ操作子の操作速度が第1の所定値よりも速いか否か、および、前記連動ブレーキ操作子の操作強度が第2の所定値よりも強いか否かを判定する操作状態判定手段と、を有し、
    前記ブレーキ制御手段は、前記主ブレーキ用ABS判定手段が前記主ブレーキについてアンチロックブレーキ制御の実行条件を満たすと判定し、かつ、前記操作状態判定手段が前記連動ブレーキ操作子の操作速度は第1の所定値よりも速いと判定し、かつ、前記操作状態判定手段が前記連動ブレーキ操作子の操作強度は第2の所定値よりも強いと判定し、さらに、前記補助ブレーキ用ABS判定手段が前記補助ブレーキについてアンチロックブレーキ制御の実行条件を満たさないと判定したときに、前記補助ブレーキの制動力を所定量下げた後に保持する制御を実行する
    ことを特徴とする自動二輪車用ブレーキ制御装置。
  3. 前記所定量は、前記連動ブレーキ操作子の操作速度が速いときほど大きいことを特徴とする請求項1または請求項に記載の自動二輪車用ブレーキ制御装置。
  4. 前記所定量は、前記連動ブレーキ操作子の操作強度が強いときほど大きいことを特徴とする請求項または請求項に記載の自動二輪車用ブレーキ制御装置。
  5. 前記ブレーキ制御手段は、前記主ブレーキ用ABS判定手段が前記主ブレーキについてアンチロックブレーキ制御の実行条件を満たさないと判定したときに、前記補助ブレーキの制動力の保持を解除する
    ことを特徴とする請求項1から請求項のいずれか1項に記載の自動二輪車用ブレーキ制御装置。
  6. 前記ブレーキ制御手段は、前記補助ブレーキ用ABS判定手段が前記補助ブレーキについてアンチロックブレーキ制御の実行条件を満たすと判定したときに、前記補助ブレーキの制動力の保持を解除してアンチロックブレーキ制御を実行する
    ことを特徴とする請求項1から請求項のいずれか1項に記載の自動二輪車用ブレーキ制御装置。
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