JP4373955B2 - ターボチャージャの制御装置 - Google Patents
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Description
このようなターボチャージャの一般的な構造は、排気通路及び吸気通路を備えたハウジング内に、排気通路内に配置されるタービンと吸気通路内に配置されるコンプレッサとを1本のロータシャフトで連結したロータを備えている。そして、可変ベーン式ターボチャージャは、エンジン本体より排気通路に排出された排気ガスがタービンを回転させることでコンプレッサが回転して、エンジン本体の燃焼室に送り込む空気(吸入空気)の量を増加させ、いわゆる過給を行なうことで、エンジンの出力を高めるようになっている。また、タービンの外周外側に配置された可変ベーンを開閉制御することで、タービンに当たる排気ガスの流速を変化させ、ロータの回転を制御しており、例えば過給圧の上限を制限している。
また、ターボチャージャの高速回転するロータシャフトの潤滑面は、前記したエンジンオイルの劣化の影響を受けることにより摩耗しやすい。このため、例えば、特許文献1では、オイル劣化時におけるターボチャージャのロータシャフトの潤滑面の摩耗を抑制するために、ウェストゲートバルブを制御することにより、オイル劣化時において過給圧の上限値を低下させることが提案されている。
また、特許文献2ではオイルポンプの下流に配置されるオイルフィルタのオイル浄化性能を向上させる技術が提案されている。また、特許文献3ではエンジン各部に供給されるエンジンオイルに劣化を防止する添加剤を補充する技術が提案されている。
乗用車用のエンジンでは、エンジン本体の燃焼室内よりピストンとシリンダとの間の隙間を通ってクランクケース内に漏れ出した不完全燃焼ガスいわゆるブローバイガスを、エンジンの吸気通路に導入することにより、燃焼室で燃焼させて処理している。また、クランクケース内は、エンジン本体の各部を潤滑したオイルを、エンジン本体の底部にあるオイルパン内へ戻すための戻し通路でもあり、オイルが多量に存在している。このため、ブローバイガスにオイルが混入しているため、そのブローバイガスを吸気通路に導入する前において、バッフルプレートを備えたPCVルームに経由させてオイルの分離を行なっているが、少量のオイルはブローバイガス中に残留する。
また、エンジンの側面等に隣接して配置されるターボチャージャは、エンジンの熱を受けると共に、自身の高回転での運転条件によっては、かなり高温になる。そして、劣化したオイルは、高温の条件下で、粘性が増したり、あるいは固化しやすくなったりする。このため、オイルが劣化した条件下で、ターボチャージャが高温になっていると、ブローバイガスに混入しているオイルが、その高温の影響を受ける。また、ターボチャージャの構造上、コンプレッサの出口付近で空気の流速が幾分落ちるため、コンプレッサのディフューザ部にオイルが付着しやすく、それによってオイルコーキングが発生する。
しかし、これでは、コンプレッサのディフューザ部でのオイルコーキングを発生するまでに、オイルが劣化していない未劣化状態あるいはターボチャージャの温度が上昇していない低温状態においても、過給圧が過度に制限されてしまうため、ターボチャージャの性能を有効に活用することができないという問題があった。
すなわち、特許請求の範囲の請求項1にかかるターボチャージャの制御装置によると、基本目標過給圧設定手段が設定する基本目標過給圧Pb1と、最大目標過給圧設定手段が設定する最大目標過給圧Pb3と、オイル劣化時目標過給圧設定手段が設定するオイル劣化時目標過給圧Pb4のうち、より小さな値を最終目標過給圧Ptとして選択する。したがって、オイル劣化時目標過給圧設定手段が、オイル劣化にともなうコンプレッサのディフューザ部でのオイルコーキングの発生条件に基づいてオイル劣化時目標過給圧Pb4を設定する。このため、オイル劣化にともなうコンプレッサのディフューザ部でのオイルコーキングが発生する条件下において、オイル劣化時目標過給圧Pb4が、基本目標過給圧Pb1及び最大目標過給圧Pb3よりも小さな値(「最小値」ともいう。)となって、最終目標過給圧Ptとして選択されることにより過給圧が制限される。これによって、コンプレッサの温度上昇が抑制されるため、コンプレッサのディフューザ部でのオイルコーキングを防止あるいは低減することができる。なお、ここでいう「回転数変更手段」には、可変ベーン、ウェストゲートバルブ等が相当する。
よって、コンプレッサのディフューザ部でのオイルコーキングを防止あるいは低減しながらも、過給圧の過度の制限を回避することによりターボチャージャの性能を有効に活用することができる。
これに対し、可変ベーン式ターボチャージャは、タービンの周りに配置された可変ベーンの開閉角度を制御することで、タービンに当たる排気ガスの位置と流速を制御し、排気流量の増減によらず、ターボ回転数を変化させることができる。したがって、可変ベーン式ターボチャージャによると、ウェストゲートバルブによる過給圧制御に比べて、例えばエンジンが低回転で排気流量が少ない状態でも、最終目標過給圧Ptに応じて可変ベーンを開閉制御することにより、ターボ回転数を適確に制御することができる。
よって、コンプレッサのディフューザ部でのオイルコーキングを防止あるいは低減しながらも、過給圧の過度の制限を回避することによりターボチャージャの性能を有効に活用することができる。
まず、本発明における一実施例の内燃機関の構成等について説明する。図1は、ディーゼルエンジンの要部構成図である。
図1に示すように、ディーゼルエンジンのエンジン本体10には、排気ポートに連通する排気通路20、吸気ポートに連通する吸気通路22が接続されている。また、エンジン本体10の燃焼室12には、燃料噴射ノズル14が設置されている。アクセルペタル(図示省略)の踏込量に対応した量の燃料が、燃料噴射ノズル14から燃焼室12内へ向けて噴射される。
そして、可変ベーン式ターボチャージャ30は、エンジン本体10より排気通路20に排出された排気ガスがタービン32を回転させることでコンプレッサ34が回転して、エンジン本体10の燃焼室12に送り込む空気の量を増加させて、吸気通路22への過給を行なうことで、エンジンの出力を高める。すなわち、エンジン本体10から排気通路20に排気ガスが排出されると、その排気ガスのエネルギーによりタービン32が駆動され、そのタービン32に連結されたコンプレッサ34をも回転させる。コンプレッサ34の駆動により、多量の空気がコンプレッサ34の下流側の吸気通路22に送り込まれ、コンプレッサ34の下流側の圧力(過給圧)が上昇する。
これに対し、本実施例では、大気圧Pa、エンジン水温Tw、大気温度Taに基づく補正によって、図3中の線L4で示すように、基本目標過給圧Pb1と最大目標過給圧Pb3の何れか最小値を最終目標過給圧Ptとすることが可能であり、エンジン低負荷域での目標過給圧の設定値を下げることなく、最大ガードのみを最大目標過給圧Pb3に設定することができる。この結果、例えば、大気圧Pa、エンジン水温Tw、大気温度Ta等の外乱に対し、エンジン低負荷域での目標過給圧を低下させることなく、タービン32の過回転、エンジンの筒内圧の過大上昇を防止することができ、ディーゼルエンジンのエンジン本体10および可変ベーン式ターボチャージャ30の保護を図ることができる。なお、図3中の線L4で示した最終目標過給圧Ptは、説明の都合上、オイル劣化時目標過給圧Pb4(後述する。)を加味していない。
図4に示すように、まず、ステップS10において、エンジン回転数N、燃料噴射量Q、エンジン水温Tw、過給圧Pb、大気圧Pa、大気温度Ta、EGRバルブ開度係数Ec、新オイル給油後の走行距離Mの検出を行なう。なお、燃料噴射量Qは、ECU70から噴射ノズルの制御量データとして読み込まれる。また、EGRバルブ開度係数Ecは、ECU70からEGRバルブ50の制御量データとして読み込まれる。EGRバルブ開度係数Ecは、EGRバルブ50の開度に応じて例えば0〜1(全閉時が0で全開時が1)に設定することができる。
次に、図4中のステップS12によって、開き側のVN最小開度Viの算出を行なう。このVN最小開度Viは、図5中の(6)式にしたがって、エンジン回転数Nから定められたマップ(図示省略)によって設定される。
次に、図4中のステップS15によって、基本VN開度Vbの算出を行なう(図5中の(13)式参照。)。この基本VN開度Vb(%)は、エンジン回転数Nおよび燃料噴射量Qから定められたマップ(図示省略)によって設定される。
また、オイル劣化にともなうコンプレッサ34のディフューザ部でのオイルコーキングが発生しないとき、例えばオイルが劣化していない未劣化状態では、過給圧を制限しない。さらに、オイル劣化時でも、例えば、ターボチャージャ30の温度Tbがコンプレッサ34のディフューザ部でのオイルコーキングが発生しない低温状態においては、過給圧が過度に制限されない。このため、オイル劣化時でも、ターボチャージャ30が低温状態であれば、車両の低速運転状態からの加速時、エンジン始動直後の加速時等において、ターボチャージャ30の加速性能を有効に活用することができる。
よって、コンプレッサ34のディフューザ部でのオイルコーキングを防止あるいは低減しながらも、過給圧の過度の制限を回避することによりターボチャージャ30の性能を有効に活用することができる。
まず、ステップS20において、D(j+1)=D(j)(j=(N−1)〜2)を実行する。この処理は、D(n−1)のデータをD(n)に、D(n−2)のデータをD(n−1)に書き込むことであり、記憶エリアをシフトする。次に、ステップS21において、オイル劣化度D(a)を読み込むと共に、その劣化度D(a)をD(1)に記憶する。次に、ステップS22において、「D(j)、j=1〜n」の総和を算出し、サンプル数nで割ると、劣化度の平均値Dmが算出される。
以上によって、オイル劣化度Dの平均値Dmが算出される。この平均値Dmは、オイル劣化度Dのノイズ等によるばらつきを緩和することができ、前記図2における走行距離Mに代わるオイル劣化度(オイル劣化判定値)として用いることができる。
20…排気通路
22…吸気通路
30…可変ベーン式ターボチャージャ
32…タービン
34…コンプレッサ
36…可変ベーン
60…エンジン回転数センサ
70…ECU(制御手段、電子制御ユニット)
Claims (8)
- 内燃機関の排気通路に設けられたタービンと、
前記内燃機関の吸気通路に設けられかつ前記タービンの駆動トルクに応じて内燃機関へ空気を供給するコンプレッサと、
前記タービンを通過する排気ガスの流量又は流速を変化させることで、コンプレッサの回転数を変更する回転数変更手段と、
を備えるターボチャージャの制御装置であって、
前記内燃機関の運転状態に基づいて基本目標過給圧Pb1を設定する基本目標過給圧設定手段と、
前記内燃機関のエンジン回転数に基づいて過給圧の上限値である最大目標過給圧Pb3を設定する最大目標過給圧設定手段と、
オイル劣化にともなう前記コンプレッサのディフューザ部でのオイルコーキングの発生条件に基づいてオイル劣化時目標過給圧Pb4を設定するオイル劣化時目標過給圧設定手段と
を備え、
前記基本目標過給圧設定手段が設定する基本目標過給圧Pb1と、前記最大目標過給圧設定手段が設定する最大目標過給圧Pb3と、前記オイル劣化時目標過給圧設定手段が設定するオイル劣化時目標過給圧Pb4のうち、より小さな値を最終目標過給圧Ptとして選択する
ことを特徴とするターボチャージャの制御装置。 - 請求項1に記載のターボチャージャの制御装置であって、
前記ターボチャージャは、前記タービンを駆動する排気ガスの流速を可変とする可変ベーンを備える可変ベーン式ターボチャージャであり、
前記可変ベーンを、前記最終目標過給圧Ptに応じて開閉制御する構成とした
ことを特徴とするターボチャージャの制御装置。 - 請求項1又は2に記載のターボチャージャの制御装置であって、
前記オイル劣化時目標過給圧設定手段は、オイル劣化にともなうコンプレッサのディフューザ部でのオイルコーキングの発生条件の1つとして、ターボチャージャの温度に基づいてオイル劣化時目標過給圧Pb4を設定することを特徴とするターボチャージャの制御装置。 - 請求項3に記載のターボチャージャの制御装置であって、
前記ターボチャージャの温度を、前記エンジン回転数に基づいて推定するターボ温度推定手段を備えたことを特徴とするターボチャージャの制御装置。 - 請求項3に記載のターボチャージャの制御装置であって、
前記ターボチャージャの温度を、前記ターボチャージャのコンプレッサ部に設置した温度センサにより検出することを特徴とするターボチャージャの制御装置。 - 内燃機関の排気通路に設けられ、前記内燃機関の排気で回転駆動されるタービンと、
前記内燃機関の吸気通路に設けられ、前記タービンに連結されることで吸入空気の過給を行なうコンプレッサと、
前記タービンを通過する排気ガスの流量又は流速を変化させることで、コンプレッサの回転数を変更する回転数変更手段と、
を備えるターボチャージャの制御装置であって、
エンジン本体の要求条件に基づき目標過給圧を設定する目標過給圧設定手段と、
少なくともターボの温度に基づきオイル劣化時目標過給圧を設定するオイル劣化時目標過給圧設定手段と、
を備え、
前記目標過給圧と、前記オイル劣化時目標過給圧のうち、より小さな値を最終目標過給圧として選択する
ことを特徴とするターボチャージャの制御装置。 - 請求項6に記載のターボチャージャの制御装置であって、
前記目標過給圧設定手段は、
前記内燃機関の運転状態に基づいて基本目標過給圧を設定する基本目標過給圧設定手段と、
前記内燃機関のエンジン回転数に基づいて過給圧の上限値である最大目標過給圧を設定する最大目標過給圧設定手段と、
よりなり、
前記基本目標過給圧と前記最大目標過給圧のうち、より小さな値を目標過給圧として設定する
ことを特徴とするターボチャージャの制御装置。 - 請求項6及び7に記載のターボチャージャの制御装置であって、
前記オイル劣化時目標過給圧設定手段は、オイルコーキングの発生条件に基づいてオイル劣化時目標過給圧の設定を行なう
ことを特徴とするターボチャージャの制御装置。
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