JP4373628B2 - ゴルフクラブの評価方法およびゴルフクラブ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ゴルフクラブの評価方法及びその評価方法により評価が与えられたゴルフクラブに関し、更に詳しくは、ゴルフクラブに用いるゴルフクラブシャフトの硬さを正確に評価し、さらに、高弾道や低弾道等といったゴルフクラブシャフトの呈するゴルフボールの打球の高さを評価することのできるゴルフクラブの評価方法及びその評価方法により評価が与えられたゴルフクラブに関する。
【0002】
【従来の技術】
ゴルフクラブは、ゴルフボールを撃打してより遠く、より正確に飛球させることが望まれているが、ゴルファーに適するゴルフクラブはゴルファーそれぞれによって異なっている。例えば、力のない女性や高齢者等のゴルファーにはゴルフクラブシャフトの柔らかなものが適しており、力があり、スウィング時のヘッドスピードの高いゴルファーにはゴルフクラブシャフトの硬いものが適している。
【0003】
このようなゴルフクラブシャフトの硬さは、一般に、特開昭52−126321号公報に記載されているように、ゴルフクラブのグリップ部を固定把持し、ゴルフクラブヘッドの装着されている先端部を自由端として振動させ、振動によってゴルフクラブシャフトの先端部分が光電管を横切る回数を計数し、1分当たりの横切る回数から振動数を求めることによって評価される。また、ゴルフクラブシャフト単体のグリップの装着される後端部を固定把持し、ゴルフクラブヘッドの装着される先端部に数100gの重りを取り付けて自由端として振動させ、この振動によってゴルフクラブシャフトの先端部が光電管を横切る回数を測り、1分当たりの回数から振動数を求めることによって、ゴルフクラブシャフトの硬さが評価される。
【0004】
また、上記方法で計測される振動数は、上記公報に記載されているように、ゴルフクラブの番手やゴルフクラブのシャフト長さに調和したゴルフクラブセットを形成するための指標となっている。すなわち、振動数がゴルフクラブの番手に線形的に比例して上昇するようにゴルフクラブセットが提供される。
また、上記振動数は、ゴルフクラブシャフト素材を切り出して目標通りにゴルフクラブシャフトが製造されているか否かを確認するためのゴルフクラブシャフトの製造工程における品質管理の一指標とされている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、ゴルフクラブシャフトは、概して、ゴルフクラブが装着される先端部からグリップが装着される後端部へ行くほど径が太くなりシャフト自体のシャフト剛性が高くなっているが、手元調子、中調子、先調子といわれるように、シャフト剛性を部分的に変えてゴルフスウィング中のゴルフクラブシャフトのしなりを変化させ、ゴルフボールのインパクト時のゴルフクラブヘッドのフェース面の向きを微妙に変えて、打球の弾道の調整を行なうことができる。
【0006】
このような先調子や手元調子のゴルフクラブシャフトをひとまとめにして、ゴルフクラブまたはゴルフクラブシャフトの硬さを上記振動数を計測することによって評価すると、実際に、ゴルファーが感じるゴルフクラブの硬さと一致しない場合が多いのが現状である。
また、最近、ゴルフクラブの長尺化に伴ってゴルフクラブシャフトの長さも長くなり、ゴルフクラブシャフトの長手方向における剛性分布も大きく変化させる傾向にある。そのため、ゴルフクラブシャフトの長手方向における剛性分布を大きく変えたゴルフクラブは、上記振動数の計測によって評価されるゴルフクラブシャフトの硬さとゴルファーが感じるゴルフクラブの硬さとの不一致の程度はますます大きくなる。
【0007】
そのため、一部のメーカー又は当業者等は、上記振動数について、「振動数の数値にはあまりこだわらずに参考程度にしておいた方が良い」という説明を行い、測定された振動数の数値は、主にゴルフクラブシャフトの製造工程における品質管理項目の1つとして扱われているのが現状である。
【0008】
このように上記振動数は品質管理項目の1つとして扱われているものの、上記振動数は、ゴルフクラブシャフト単体で光電管による計測が可能なように、先端部に数100gの質量を付加して1000cpm(Cycle Per Minute)未満の振動数に低下させて計測しなければならないといった制限があり、また、振動数の計測は、光電管を横切るゴルフクラブシャフトの回数を所定時間測って1分当たりの振動数を求める。そのため、求められる振動数は精度が比較的低く品質管理の一指標として必ずしも十分に機能しないといった問題もある。
【0009】
一方、今日、カーボンシャフトをはじめとする繊維強化樹脂製シャフトがゴルフクラブシャフトに広く用いられている。この繊維強化樹脂製シャフトは、強化繊維の種類、配向方向の選択が自由で、ゴルフクラブシャフトの長手方向における剛性分布を変化させる設計の自由度が金属製ゴルフクラブシャフトよりも大きい。そのため、手元調子、中調子、先調子といったゴルフクラブシャフトの剛性分布によりゴルフクラブシャフトが呈する打球の高さを大きく変化させることが容易にできる特徴を持つ。
従って、特に、繊維強化樹脂製シャフトを用いてゴルフクラブシャフトの剛性分布を特徴付けるとともに、ゴルフクラブシャフトが呈する打球の高さを自由に調整できるように、ゴルフクラブシャフトが呈する打球の高さを定量的に表す指標を見出すことが強く望まれている。
【0010】
そこで、本発明は、上記問題点を解決するために、ゴルフクラブの製造工程における品質管理の一項目として十分に機能するばかりでなく、ゴルフクラブシャフトの硬さを表す指標、あるいはゴルフクラブシャフトの呈する打球の高さの高低を表す指標を用いて、ゴルフクラブを精度良く評価するゴルフクラブの評価方法およびこの評価方法によって評価を与えたゴルフクラブを提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、ゴルフクラブシャフトの先端部にゴルフクラブヘッドが装着され、ゴルフクラブシャフトの後端部にグリップあるいはグリップ部を備えるゴルフクラブを評価する際、
前記先端部および後端部の一方の端部を固定端とし、他方の端部を自由端としてゴルフクラブシャフトを振動させた際の1次共振周波数を少なくとも用いてゴルフクラブを評価することを特徴とするゴルフクラブの評価方法を提供する。
【0012】
ここで、前記後端部を固定端とし、前記先端部を自由端としてゴルフクラブシャフトを振動させた際の第1の1次共振周波数と、前記先端部を固定端とし、前記後端部を自由端としてゴルフクラブシャフトを振動させた際の第2の1次共振周波数とを得、
前記第1の1次共振周波数を所定倍した値と、前記第2の1次共振周波数を所定倍した値との周波数の和を求めることによって、ゴルフクラブを評価するのが好ましい。
【0013】
あるいは、前記後端部を固定端とし、前記先端部を自由端としてゴルフクラブシャフトを振動させた際の第1の1次共振周波数と、前記先端部を固定端とし、前記後端部を自由端としてゴルフクラブシャフトを振動させた際の第2の1次共振周波数とを得、
前記第1の1共振周波数と前記第2の共振周波数との比率を求めることによって、ゴルフクラブを評価するのも、同様に好ましい。
【0014】
あるいは、前記先端部および後端部の一方の端部を固定端とし、他方の端部を自由端としてゴルフクラブシャフトを振動させた際の1次共振周波数と2次共振周波数とを得、
この1次共振周波数と2次共振周波数との比率を求めることによって、ゴルフクラブを評価するものも、同様に好ましい。
このようなゴルフクラブの評価方法は、ゴルフクラブシャフトが繊維強化樹脂材によって形成されたゴルフクラブの評価に用いられるのが好ましい。
【0015】
また、上記目的を達成するために、本発明は、ゴルフクラブシャフトの先端部にゴルフクラブヘッドが装着され、ゴルフクラブシャフトの後端部にグリップあるいはグリップ部を備えるゴルフクラブであって、
前記先端部および後端部の一方の端部を固定端とし、他方の端部を自由端としてゴルフクラブシャフトを振動させた際の1次共振周波数を少なくとも用いてゴルフクラブの評価が与えられたことを特徴とするゴルフクラブを提供する。
【0016】
ここで、前記ゴルフクラブは、少なくとも前記1次共振周波数を用いて示される周波数情報がゴルフクラブの一部に表示されるのが好ましい。その際、前記周波数情報は、この周波数情報とゴルフクラブの評価情報とが対応付けられた参照情報を参照して、ゴルフクラブの評価情報を得るために用いられるのが好ましい。また、前記ゴルフクラブは、前記1次共振周波数を少なくとも用いて得られる数値をゴルフクラブの型式に対応させるのも同様に好ましい。
ここで、前記周波数情報とは、後述する、第1の1次共振周波数と第2の1次共振周波数についての周波数の和を示す周波数情報や、第1の1次共振周波数と第2の1次共振周波数との周波数比率を示す周波数比率情報や1次共振周波数と2次共振周波数との周波数比率を示す周波数比率情報を含むものである。
【0017】
また、上記目的を達成するために、本発明は、ゴルフクラブシャフトの先端部にゴルフクラブヘッドが装着され、ゴルフクラブシャフトの後端部にグリップあるいはグリップ部を備えるゴルフクラブであって、
前記後端部を固定端とし、前記先端部を自由端としてゴルフクラブシャフトを振動させた際の第1の1次共振周波数の所定倍した値と、前記先端部を固定端とし、前記後端部を自由端としてゴルフクラブシャフトを振動させた際の第2の1次共振周波数を所定倍した値との周波数の和を用いてゴルフクラブの評価が与えられたことを特徴とするゴルフクラブを提供する。
【0018】
ここで、前記ゴルフクラブは、前記周波数の和を示す周波数情報がゴルフクラブの一部に表示されるのが好ましく、前記周波数情報は、この周波数情報とゴルフクラブの評価情報とが対応付けられた参照情報を参照して、ゴルフクラブの評価情報を得るために用いられるのが好ましい。また、前記ゴルフクラブは、前記周波数の和をゴルフクラブの型式に対応させるのも同様に好ましい。
【0019】
また、上記目的を達成するために、本発明は、ゴルフクラブシャフトの先端部にゴルフクラブヘッドが装着され、ゴルフクラブシャフトの後端部にグリップあるいはグリップ部を備えるゴルフクラブであって、
前記後端部を固定端とし、前記先端部を自由端としてゴルフクラブシャフトを振動させた際の第1の1次共振周波数と、前記先端部を固定端とし、前記後端部を自由端としてゴルフクラブシャフトを振動させた際の第2の1次共振周波数との周波数比率を用いてゴルフクラブの評価が与えられたことを特徴とするゴルフクラブを提供する。
【0020】
ここで、前記ゴルフクラブは、前記周波数比率を示す周波数比率情報がゴルフクラブの一部に表示されるのが好ましく、前記周波数比率情報は、この周波数比率情報とゴルフクラブの評価情報とが対応付けられた参照情報を参照して、ゴルフクラブの評価情報を得るために用いられるのが好ましい。また、前記ゴルフクラブは、前記周波数比率をゴルフクラブの型式に対応させるのも同様に好ましい。
【0021】
また、上記目的を達成するために、本発明は、ゴルフクラブシャフトの先端部にゴルフクラブヘッドが装着され、ゴルフクラブシャフトの後端部にグリップあるいはグリップ部を備えるゴルフクラブであって、
前記先端部および後端部の一方の端部を固定端とし、他方の端部を自由端としてゴルフクラブシャフトを振動させた際の1次共振周波数と2次共振周波数との周波数比率を用いてゴルフクラブの評価が与えられたことを特徴とするゴルフクラブを提供する。
【0022】
ここで、前記ゴルフクラブは、前記周波数比率を示す周波数比率情報がゴルフクラブの一部に表示されるのが好ましく、前記周波数比率情報は、この周波数比率情報とゴルフクラブの評価情報とが対応付けられた参照情報を参照して、ゴルフクラブの評価情報を得るために用いられるのが好ましい。また、前記ゴルフクラブは、前記周波数比率をゴルフクラブの型式に対応させるのも同様に好ましい。
【0023】
前記ゴルフクラブは、例えば、前記ゴルフクラブシャフトが繊維強化樹脂材によって形成されたものが好ましい。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のゴルフクラブの評価方法を添付の図面に示される好適実施例を基に詳細に説明する。
【0025】
図1は、本発明のゴルフクラブの評価方法を実施するシステムの一例である評価システム10を示している。
評価システム10は、ゴルフクラブのグリップあるいはグリップ部を備えるゴルフクラブシャフト12の後端部あるいはゴルフクラブヘッドの装着されるゴルフクラブシャフト12の先端部の一方の端部を固定して固定端とする固定治具14と、他方の端部を自由端とし、自由端近傍に貼付された加速度ピックアップ16と、加速度ピックアップ16に接続されたチャージアンプ18と、チャージアンプ18に接続されたFFTアナライザ20と、FFTアナライザ20にGPIBケーブルを介して接続されたコンピュータ22とを有して構成される。図1では、ゴルフクラブシャフトの後端部を固定端とした場合が示されている。
【0026】
固定治具14によりゴルフクラブシャフト12の端を固定して共振周波数を測定する際、固定治具14によりゴルフクラブシャフト12を固定する固定長さは、200mm以下とするのが好ましく、より好ましくは150mm以下である。この範囲内に設定することにより、共振周波数の測定をより正確に行うことができる。また、固定長さの下限はゴルフクラブシャフト12を固定可能であればよく、特に限定されるものではない。
また、固定長さは後端部を固定する場合と先端部を固定する場合とでは必ずしも同一の長さにしなくてもよい。但し、測定するゴルフクラブシャフト群においては、後端部及び先端部の固定長さを同一の長さ又は概ね同一の長さに設定することが好ましい。
例えば後端部の固定長さを178mm、先端部の固定長さを127mmと設定した場合、測定するゴルフクラブシャフト群全てにおいて、後端部の固定長さを178mmにして固定し、先端部を固定治具14に固定する場合には、先端部の固定長さを127mmにして固定することが好ましい。
後述するように、得られた共振周波数から求める1次共振周波数の和や比率の数値には、絶対的な数値の有効性のみならず、相対的な数値にも有効性があり、ゴルフクラブシャフト群の硬さを比較等行なう場合において、各端部の固定長さを統一することが好ましい。上記概ね同一の長さとは、ゴルフクラブシャフト群における固定長さのばらつきは2mm以内、好ましくは1mm以内である。
【0027】
また、固定長さとは、図2(a)に示すようにゴルフクラブシャフト12の端面24がゴルフクラブシャフト軸26に対して垂直であれば、端面24からチャック部14aまでの距離(Da)を表す。また、図2(b)に示すように端面24がゴルフクラブシャフト軸26に対して垂直でない場合は、端面24の最も張り出している位置から固定治具14aまでの距離(Db)を表す。
チャック部14aによる固定は、ゴルフクラブシャフト12を振動させても、がたつきがないように固定することが好ましい。ゴルフクラブシャフトの固定は、例えば、万力による固定、ドリルチャックによる固定、あるいは、空気圧により挟み込む固定等が挙げられ、ゴルフクラブシャフトの固定方法について本発明では特に限定されない。
【0028】
なお、ゴルフクラブシャフト12の先端部とは、ゴルフクラブヘッドを装着する端部であり、後端部とはグリップ又はグリップ部を設ける端部である。図3に示すゴルフクラブにおいては、グリップ28を装着する端部を後端部101とし、ゴルフクラブヘッド30を装着する端部を先端部102としている。一般のゴルフクラブシャフト12においては、グリップ28を装着する後端部101の方がゴルフクラブヘッド30を装着する先端部102よりもシャフトの直径が大きいが、図4に示すゴルフクラブのように、ゴルフクラブヘッド30を装着する先端部102の方がグリップ28を装着する後端部101よりもシャフトの直径が大きいゴルフクラブもある。
また、ゴルフクラブによっては図5に示すように、ゴルフクラブシャフト12の一部がグリップ部32となっているゴルフクラブもある。この場合は、グリップ部32となる端部を後端部101、ゴルフクラブヘッド30を装着する端部を先端部102とする。
【0029】
また、本発明における共振周波数の測定は、ゴルフクラブシャフト12を単体によって測定することが好ましい。ゴルフクラブにて1次共振周波数を測定する場合に比べて、固定治具14へゴルフクラブシャフト12を固定する方が、グリップ28等の柔軟な間接部材がないため、より正確に測定できるからである。また、ゴルフクラブシャフト12を単体で測定し、ゴルフクラブヘッド30の質量等の特性を別個に調整した後、ゴルフクラブとして組み立てることによって、正確な特性が保証されたゴルフクラブを作製することができ、ゴルフクラブにて共振周波数を測定する場合よりも正確な特性を情報として提供することができる。
【0030】
また、本発明における共振周波数の測定は、図6に示すように、ゴルフクラブシャフト12の自由端に重量体34を装着してもよい。重量体34を装着すると共振周波数の数値は、重量体34を装着しないものより低くなる。しかしながら、数値は一定の相関関係をもって低くなるために、相対的な値としては有用である。重量体34は、ゴルフクラブシャフト12にしっかり装着することができるもので、形状としては主に円筒形、直方体、多角柱等が考えられるが特に限定しない。また、重量体34の重心位置は、ゴルフクラブシャフト軸近傍にあることが好ましい。この重心位置は、ゴルフクラブシャフトの固定状態において、ゴルフクラブシャフト軸から半径5mm以内の円柱内にあることが好ましい。また重量体の質量は特に限定しないが、350g以下であることが好ましい。
【0031】
このような評価システム10では、ゴルフクラブシャフト12が片持ち梁になって、ゴルフクラブシャフト12の自由端となって振動する部分の加速度が計測され、チャージアンプ18を介してFFTアナライザで周波数分析が行われ、周波数分析結果がコンピュータ22に取り込まれることで、1次、2次、3次、・・・等の各次数の共振周波数が求められる。
なお、ゴルフクラブシャフト12の振動の計測では、自由端側を変位させた後自由減衰させた状態で行なわれ、加速度ピックアップ16で得られる加速度信号の時間波形からスペクトル波形が生成され、このスペクトル波形から各次数の共振周波数が求められるが、本発明においては、自由端のインパクト加振が行なわれ伝達関数が計測されることによって共振周波数が求められてもよい。
【0032】
図7(a)は、上記評価システム10において、ゴルフクラブシャフト12の後端部を固定端として2回計測した時のスペクトル波形を示している。1次共振周波数Fb1は、2回の計測共に23.0Hzであり、2次共振周波数Fb2は2回の計測共に117.25Hzである。図7(b)は、上記評価システム10において、ゴルフクラブシャフト12の先端部を固定端として2回計測した時のスペクトル波形を示している。1次共振周波数Ft1は、2回の計測共に17.0Hzであり、2次共振周波数Ft2は128.75Hz、128.5Hzである。複数回共振周波数が計測され、異なる値を示す場合、平均値によって代表する。
このように、繰り返し精度の高い、小数点2桁までの共振周波数を得ることができる。
また、ゴルフクラブシャフト12の後端部を固定端とした時の各次の共振周波数は、ゴルフクラブシャフト12の先端部を固定端とした時の各次の共振周波数と異なっているが、これは後述するように、ゴルフクラブシャフト12に長手方向の剛性分布があるためである。
【0033】
評価システム10では、ゴルフクラブシャフト12の後端部101を固定端として、あるいは先端部102を固定端として、ゴルフクラブシャフト12の各次数、特に1次共振周波数を求めることによって、より高いレベルでゴルフクラブシャフトの物性の管理を行なうことができる。従来の光電管による振動数の数値が同一又は概ね同一のゴルフクラブシャフトであっても、1次共振周波数に違いが出る場合もあり、ゴルフクラブシャフトの物性の評価がより精度良くできるからである。
例えば、光電管による測定で同一の振動数となるように作製されたゴルフクラブシャフト群について、上述したように後端部101を固定して、あるいは、先端部102を固定して測定した時も、同一の1次共振周波数を保持しているか否かを評価し、1次共振周波数が同一であればより品質の高いゴルフクラブシャフト群であり、1次共振周波数がばらついていれば、長手方向の剛性分布等にばらつきのあるゴルフクラブシャフト群である等の評価を下すことができる。
【0034】
また、ゴルフクラブセット内でゴルフクラブの振動数を、ゴルフクラブ長さと振動数のプロットが直線関係のような一定の関係になるようにゴルフクラブを調和させることが従来より行なわれているが、後端部101を固定して、あるいは、先端部102を固定して測定される1次共振周波数を、ゴルフクラブ長さと共振周波数のプロットが直線関係のような一定の関係になるように調和させたゴルフクラブセットを提供してもよい。例えば、従来の光電管で計測される振動数について一定の関係になっているゴルフクラブシャフト群から、更に1次共振周波数についても一定の関係になるようなゴルフクラブシャフト群を選定し、このゴルフクラブシャフト群によってゴルフクラブを組み立てれば、より精度の高いゴルフクラブセットを提供することができる。
【0035】
評価システム10で測定されて求められた各次数の共振周波数は、さらに、コンピュータ22において、ゴルフクラブシャフト12の後端部101を固定した時の1共振周波数Fb1と先端部102を固定した時の1次の共振周波数Ft1との和が求められる。あるいは、1次共振周波数Fb1と1次共振周波数Ft1との比率が求められる。あるいは、後端部101を固定端とし、先端部102を自由端としてゴルフクラブシャフト12を振動させた際の1次共振周波数Fb1と2次共振周波数Fb2との比率が求められる。
【0036】
1次共振周波数Fb1と1次の共振周波数Ft1との和は、上述した先調子や手元調子といったゴルフクラブシャフトの多様な剛性分布の変化に影響されないゴルフクラブシャフトの硬さを示す指標となる。すなわち、この1次共振周波数の和は、ゴルフクラブシャフトの長手方向における多様な剛性分布の変化のために、後端部のみを固定して測定していた従来の光電管による振動数の測定方法ではゴルフクラブシャフトの硬さを評価できなかった問題を後述するように解決するものである。
ここで、ゴルフクラブシャフトの硬さとは、ゴルフクラブシャフトの撓みやすさを示すもので、撓みにくいものほど硬いと表現される。本発明の評価方法により得られた1次共振周波数の和の指標をゴルフクラブシャフト又はゴルフクラブの硬度、フレックス、強度、強さ、撓度、剛性等と称することは当業者が適宜選択することが可能であり、本発明に包含される。
【0037】
ここで、1次共振周波数Fb1と1次の共振周波数Ft1との和を求めるのは以下の理由による。
図8(a)〜(c)に示す例で説明すると、同じ長さ、同じ質量、同じ形状を持ち同じ硬さを有する3種類のゴルフクラブシャフトX、Y、Zがあり(図8(a)〜(c)では各ゴルフクラブシャフトを線で表している)、それぞれ後端部を固定して振動させたとき、ゴルフクラブシャフトXは図8(a)に示すように後端部近傍から変位する振動の形態、ゴルフクラブシャフトYは図8(b)に示すように、後端部と先端部の中間部分から先端部にかけて変位する振動の形態、ゴルフクラブシャフトZは図8(c)に示すように、先端部近傍で変位する振動の形態を示すものとする。
【0038】
これらのゴルフクラブシャフトX、Y、Zについて、後端部を固定して1次共振周波数を測定し、得られた1次共振周波数の数値をゴルフクラブシャフトX、Y、Zの順にx1、y1、z1とすると、x1<y1<z1となる。これは片持ち梁の共振周波数は、剛性の低い部分が自由端側にあるものほど1次共振周波数の数値が高くなる一般的な事実によるものである。
次に、これらのゴルフクラブシャフトX、Y、Zの先端部を固定して1次共振周波数を測定する。得られた1次共振周波数の数値を、ゴルフクラブシャフトX、Y、Zの順にx2、y2、z2とすると、後端部を固定した場合と異なって、x2>y2>z2となる。
【0039】
そこで、上記それぞれの1次共振周波数の数値の和をとると、x1+x2、y1+y2、z1+z2は、それぞれ略等しくなる。つまり、剛性の低い部分が先端部側にあるゴルフクラブシャフトの後端部を固定した際の1次共振周波数の数値は高く、先端部を固定した際の1次共振周波数の数値は低いが、両者の和をとることにより、平均化される。従って、1次共振周波数の数値の和は、ゴルフクラブシャフトの長手方向における多様な剛性分布の変化によっても影響されないゴルフクラブシャフトの硬さを示す指標となる。
【0040】
本発明者らは、1次共振周波数を測定することがゴルフクラブシャフトの硬さを評価するために重要であることを見出す際、鋭意検討の結果、上記メカニズムを見出して、後端部を固定して測定した1次共振周波数と、先端部を固定して測定した1次共振周波数の和をもって、ゴルフクラブシャフトの硬さの指標とすることを想到したものである。つまり、後端部を固定した共振周波数の測定と、先端部を固定した共振周波数の測定を行なって、2つの共振周波数の和を求めることによって、ゴルフクラブシャフトの長手方向における多様な剛性分布の変化によっても影響されないゴルフクラブシャフトの硬さを示す指標を見出したのである。
【0041】
なお、上記例では1次共振周波数Fb1と1次共振周波数Ft1との和が算出されるが、本発明においては、1次共振周波数Fb1の所定倍した値と1次の共振周波数Ft1の所定倍した値とを加算したものであればよい。
例えば、1次共振周波数Fb1に掛ける係数をaとし、1次の共振周波数Ft1に掛ける係数を(1−a)とすることで、加重平均値となり、特に、a=0.5とすると、単純平均値となる。また、1次共振周波数Fb1に掛ける係数と1次の共振周波数Ft1に掛ける係数の和を1とする必要もなく、例えば、双方の係数を1とすることで、上記1次共振周波数の和とすることもできる。
【0042】
上記例のように、1次共振周波数の和の大きさによってゴルフクラブシャフトの硬さが評価される場合、評価されるゴルフクラブシャフトは、同じ長さ又は概ね同じ長さのゴルフクラブシャフト同士もしくはゴルフクラブシャフト群であることが好ましい。1次共振周波数の数値は、ゴルフクラブシャフトが長くなるにしたがって小さくなる傾向があるためである。上記概ね同じ長さとは、ゴルフクラブシャフト同士もしくはゴルフクラブシャフト群の全ての長さの差異が、前記ゴルフクラブシャフト同士の長さの長い方の長さや前記群の最も長いゴルフクラブシャフト長さの1.5%以内の範囲内、好ましくは1.0%以内の範囲内、より好ましくは0.5%以内の範囲内、更に好ましくは0.3%以内の範囲内、また更に好ましくは0.2%以内の範囲内に存在することである。
【0043】
しかしながら、評価されるゴルフクラブシャフトが同じ長さ又は概ね同じ長さであることはあくまでも純粋にゴルフクラブシャフトの硬さを比較する場合のことを示しているものであって、本発明の評価方法が上記同じ長さ又は概ね同じ長さの範囲内において評価されることに限定されるものではない。
例えばA、B、Cの3種類のゴルフクラブシャフトがあって、1次共振周波数の和の順番がA>B>C、長さの順番がA>B>Cであれば、硬さの順番はA>B>Cとなること、又は、1次共振周波数の和がA,BおよびCともに等しく、長さの順番がA>B>Cであれば、硬さの順番はA>B>Cとなることは明白であり、この場合、A、B、Cの長さが上記範囲内であるかどうかは問わない。つまり、上記範囲内以外であっても1次共振周波数の和及び長さを適宜設定すると、本発明の評価方法によりゴルフクラブシャフトの硬さを評価することができる。
【0044】
1次共振周波数の和の大きさによってゴルフクラブシャフトの硬さが評価される場合、評価されるゴルフクラブシャフトは、同じ質量又は概ね同じ質量のゴルフクラブシャフト同士もしくはゴルフクラブシャフト群であることが好ましい。1次共振周波数の数値は、ゴルフクラブシャフトの質量が大きくなるにしたがって小さくなる傾向があるためである。上記概ね同じ質量とは、ゴルフクラブシャフト同士もしくはゴルフクラブシャフト群の全ての質量の差異が、前記ゴルフクラブシャフト同士の質量のうち大きい方の質量や前記群の最も質量の大きいゴルフクラブシャフト質量の20%以内の範囲内、好ましくは15%以内の範囲内、より好ましくは10%以内の範囲内に存在することである。
【0045】
しかしながら、評価されるゴルフクラブシャフトが同じ質量又は概ね同じ質量であることはあくまでも純粋にゴルフクラブシャフトの硬さを比較する場合のことを示しているものであって、本発明の評価方法が同じ質量又は概ね同じ質量の範囲内において評価に用いられることに限定されるものではない。
例えばA、B、Cの3種類のゴルフクラブシャフトがあって、1次共振周波数の和の順番がA>B>C、質量の順番がA>B>Cであれば、硬さの順番はA>B>Cとなること、また、1次共振周波数の和がA,BおよびCともに等しく、質量の順番がA>B>Cであれば、硬さの順番はA>B>Cとなることは明白であり、この場合、A、B、Cの質量が上記範囲内であるかどうかは問わない。つまり、上記範囲内以外であっても1次共振周波数の和及び質量を適宜設定すると、本発明の評価方法により硬さを評価することができる。
【0046】
なお、1次共振周波数の和を、一定の数値にて乗した数値、除した数値による評価も本発明に包含される。1次共振周波数の和には、絶対的な数値のみに意義があるわけではなく、例えば、ゴルフクラブシャフトの硬さを比較する場合には、対象の1次共振周波数の和を、一定の数値にて乗した数値、除した数値であっても比較が可能である。
【0047】
上記1次共振周波数の和の大きさによってゴルフクラブシャフトの硬さを評価する方法は、繊維強化樹脂製ゴルフクラブシャフトに特に好適に用いられる。繊維強化樹脂製ゴルフクラブシャフトは、強化繊維の種類、配向方向を自由に選択でき、ゴルフクラブシャフトの長手方向における剛性分布を変化させる設計の自由度が金属製ゴルフクラブシャフトよりも大きく、長手方向における剛性分布によらないゴルフクラブシャフトの硬さを評価することが強く望まれるからである。
【0048】
また、評価システム10では、上述したように、1次共振周波数Fb1と1次共振周波数Ft1との比率(Fb1/Ft1)が求められる。
この比率(Fb1/Ft1)は、ゴルフボールのインパクト時のゴルフクラブのフェース面の向きを示し、ゴルフクラブシャフトが呈する打球の高さの指標となるものである。すなわち、この1次共振周波数の比率は、ゴルフクラブシャフトの長手方向における多様な剛性分布の変化のために、後端部のみを固定して測定していた従来の光電管による振動数の測定方法ではゴルフクラブシャフトが呈する打球の高さを評価できなかった問題を解決するものである。
【0049】
ここで、ゴルフクラブシャフトが呈する打球の高さとは、ゴルフクラブシャフトによる打球の上がりやすさを示すもので、同じゴルフクラブヘッドを装着した場合、より打球が上がりやすいものほど呈する打球の高さが高いと表現される。
また、ゴルフクラブシャフトによる打球の上がりやすさを、ゴルフクラブシャフト又はゴルフクラブのキックポイント、ベンドポイント等の言葉を用いて当業者が言い表す場合もあり、上記1次共振周波数の比率の指標を、ゴルフクラブシャフト又はゴルフクラブのキックポイント、ベンドポイント等と称することも、本発明に包含される。
【0050】
1次共振周波数の比率とゴルフクラブシャフトが呈する打球の高さとの関係を、図8(a)〜(c)に示す例で説明すると、同じ長さ、同じ質量、同じ形状を持ち同じ硬さを有する3種類のゴルフクラブシャフトX、Y、Zがあり、それぞれ後端部を固定して振動させたとき、ゴルフクラブシャフトXは図8(a)に示すように後端部近傍から変位する振動の形態、ゴルフクラブシャフトYは図8(b)に示すように、後端部と先端部の中間部分から先端部にかけて変位する振動の形態、ゴルフクラブシャフトZは図8(c)に示すように、先端部近傍で変位する振動の形態を示すものする。
【0051】
これらのゴルフクラブシャフトX、Y、Zについて、後端部を固定して1次共振周波数を測定し、得られた1次共振周波数の数値を、ゴルフクラブシャフトX、Y、Zの順にx1、y1、z1とすると、x1<y1<z1となる。これは片持ち梁の共振周波数では、剛性の低い部分が自由端側にあるものほど1次共振周波数の数値が高くなるといった一般的な事実によるものである。
次に、これらのゴルフクラブシャフトX、Y、Zの先端部を固定して1次共振周波数を測定する。得られた1次共振周波数の数値を、ゴルフクラブシャフトX、Y、Zの順にx2、y2、z2とすると、後端部を固定した場合と異なって、x2>y2>z2になる。
これらの1次共振周波数について比率(x1/x2)、(y1/y2)、(z1/z2)を求めると、(x1/x2)<(y1/y2)<(z1/z2)となる。
【0052】
このゴルフクラブシャフトX、Y、Zの先端部に同一のゴルフクラブヘッド、後端部に同一のグリップを装着して、それぞれゴルフクラブCx 、Cy 、Cz を作製した場合、これらのゴルフクラブを同じヘッドスピードでスウィングした時のゴルフボールのインパクト時点付近におけるゴルフクラブシャフトの撓みによるフェース面の向きは、ゴルフクラブCx では、図9(a)のように、撓む前のロフト角度とそれ程変わらず、ゴルフクラブシャフトの軸線に対して角度θa となる。ゴルフクラブCy では、図9(b)のようにフェース面はやや傾き、ゴルフクラブシャフトの軸線に対して角度θb (>角度θa )となる。ゴルフクラブCz では、図9(c)のようにフェース面は大きく傾いて、ゴルフクラブシャフトの軸線に対して角度θc (>角度θb )となる。
【0053】
ゴルフクラブは、一般に、ゴルフクラブヘッドの重心がゴルフクラブシャフトの軸線上にないこと及びゴルフクラブシャフトが撓むことにより、ゴルファーのゴルフスウィング中の遠心力により、ゴルフクラブヘッドの重心がスウィング軌道の外側へ伸びようとする力が働いて、ゴルフクラブシャフトが撓み、ロフト角度が変化する現象が起こる。
【0054】
より詳しくは、図9(a)〜(c)に示すように、スウィング中の遠心力により重心Gが矢印Fに示すスウィング軌道の外側へ動こうとする力が働き、ゴルフクラブシャフト12が撓み、ロフト角度が変化してそれぞれ角度θa 、θb 、θc となる。角度θa 〜θc は、一般的に、動的ロフト角度、又はインパクトロフト角度と言われているもので、以降、動的ロフト角度とする。また、通常のゴルフクラブは、打球の飛ぶ方向を前方とすると、重心Gが後方に存在するため、動的ロフト角度は、ロフト角度、つまり、ゴルフクラブシャフトが撓まない状態のロフト角度よりも大きくなる。
【0055】
ゴルフクラブCx 、Cy 、Cz では、同じゴルフクラブヘッドを用いているため、ロフト角度が同一であるにもかかわらず動的ロフト角度が、図9(a)〜(c)に示すように、角度θa <角度θb <角度θc となる。これはゴルフクラブシャフトの剛性分布の違いによるものである。
一方、このゴルフクラブシャフトの剛性分布の違いは、ゴルフクラブシャフトの後端部を固定端として、図8(a)に示すような振動形態の1次共振周波数をFb1と、後端部を自由端として、図8(c)に示すような自由端先端部分だけが振動する振動形態の1次共振周波数をFt1との比率によって表すことができる。
【0056】
例えば、比率の例として、後端部を固定して得られた1次共振周波数Fb1と、先端部を固定して得られた1次共振周波数Ft1との比率を(Fb1/Ft1)とすると、後端部側に剛性の低い部分を持つゴルフクラブシャフトXの比率(Fb1/Ft1)は、先端部側に剛性の低い部分を持つゴルフクラブシャフトZの比率(Fb1/Ft1)に比べて小さくなる。
【0057】
このように、ゴルフクラブシャフトの剛性分布を比率(Fb1/Ft1)で表すことができることから、ゴルフクラブシャフトの剛性分布の違いによって表される動的ロフト角度の変化、すなわち、ゴルフクラブシャフトの呈する打球の高さを、ゴルフクラブシャフトの剛性分布を比率(Fb1/Ft1)によって表すことができる。
比率(Fb1/Ft1)の値が大きいほど動的ロフト角度が大きく変化する、つまりゴルフクラブシャフトの呈する打球の高さが高いと評価される。
【0058】
本発明者らは、1次共振周波数を測定することが、ゴルフクラブシャフトの硬さを評価するために重要な要素であることを見出す際、後端部側に剛性の低い部分を持ち、打球の上がりにくいゴルフクラブシャフトでは、後端部を固定して測定した1次共振周波数の数値が低く、先端部を固定して測定した1次共振周波数の数値が高くなることを鋭意検討の結果見出し、これより、上記メカニズムを見出し、後端部を固定して測定した1次共振周波数Fb1と、先端部を固定して測定した1次共振周波数Ft1の比率を、ゴルフクラブシャフトが呈する打球の高さを定量的に表す指標とすることに想到したのである。つまり、後端部を固定した1次共振周波数Fb1の測定と先端部を固定した1次共振周波数Ft1の測定を行なって、2つの1次共振周波数の比率(Fb1/Ft1)が大きいほど打球が上がり易いゴルフクラブシャフトであり、小さいほど打球が上がり難いゴルフクラブシャフトである。
【0059】
従来の光電管による振動数の測定方法では、後端部のみを固定して測定するので、ゴルフクラブシャフトの長手方向における多様な剛性分布の変化を読み取れず、ゴルフクラブシャフトが呈する打球の高さを定量的に表す指標を得ることはできない。
【0060】
なお、本発明における1次共振周波数の比率は、上記(Fb1/Ft1)の他に、(Fb1/(Fb1+Ft1))、(Ft1/(Fb1+Ft1))又はこれらの逆数である(Ft1/Fb1)、((Fb1+Ft1)/Fb1)、((Fb1+Ft1)/Ft1)等が含まれる。これらの場合、(Fb1/(Fb1+Ft1))はその値がより大きければより打球が上がりやすいゴルフクラブシャフトであり、より小さければより打球が上がりにくいゴルフクラブシャフトとなる。また、(Ft1/(Fb1+Ft1))はその値がより大きければより打球が上がりにくいゴルフクラブシャフトであり、より小さければより打球が上がりやすいゴルフクラブシャフトとなる。これらの逆数では、相関関係が逆になることは言うまでもない。
【0061】
また、上記した1次共振周波数の比率を例えば百分率で表すような、一定の数値にて乗した数値、除した数値による評価も本発明に包含される。1次共振周波数の比率には、絶対的な数値のみに意義があるわけではない。例えば、ゴルフクラブシャフトが呈する打球の高さを比較する場合には、対象の1次共振周波数の比率を、一定の数値にて乗した数値、除した数値であっても評価できる。
【0062】
また、評価システム10では、上述したように、後端部101を固定端とした際の1次共振周波数Fb1と2次共振周波数Fb2との比率(Fb2/Fb1)が求められる。
この比率(Fb2/Fb1)は、上記1次共振周波数Fb1とFt1との比率(Fb1/Ft1)と同様に、ゴルフボールのインパクト時のゴルフクラブのフェース面の向きを示し、ゴルフクラブシャフトが呈する打球の高さの指標となるものである。すなわち、この1次共振周波数の比率(Fb2/Fb1)は、ゴルフクラブシャフトの長手方向における多様な剛性分布の変化のために、後端部のみを固定して測定していた従来の光電管による振動数の測定方法ではゴルフクラブシャフトが呈する打球の高さを評価できなかった問題を解決するものである。
【0063】
すなわち、本発明者らは、ゴルフクラブシャフトの長手方向における剛性分布の変化によって1次共振周波数と2次共振周波数の比率が変化すること、より詳しくは、剛性の低い部分を先端部側に持ち打球が上がりやすいゴルフクラブシャフトでは比率(Fb2/Fb1)の値が小さく、剛性の低い部分を後端部側に持ち打球が上がりにくいゴルフクラブシャフトでは比率(Fb2/Fb1)の値が大きくなることを鋭意検討の結果見出し、この1次共振周波数と2次共振周波数の比率(Fb2/Fb1)によって、ゴルフクラブシャフトが呈する打球の高さを定量的に表すことに想到したものである。
【0064】
本発明における1次共振周波数と2次共振周波数の比率は、上記比率(Fb2/Fb1)の他に、(Fb2/(Fb1+Fb2))、(Fb1/(Fb1+Fb2))又はこれらの逆数である(Fb1/Fb2)、((Fb1+Fb2)/Fb2)、((Fb1+Fb2)/Fb1)等が含まれる。これらの場合、(Fb2/(Fb1+Fb2))はその値がより大きければより打球が上がりにくいゴルフクラブシャフトであり、より小さければより打球が上がりやすいゴルフクラブシャフトとなる。また、(Fb1/(Fb1+Fb2))はその値がより大きければより打球が上がりやすいゴルフクラブシャフトであり、より小さければより打球が上がりにくいゴルフクラブシャフトとなる。これらの逆数では、相関関係が逆になることは言うまでもない。
【0065】
また、上記した1次共振周波数と2次共振周波数の比率を例えば百分率で表すような、一定の数値にて乗した数値、除した数値により評価が下される場合も本発明に包含される。1次共振周波数と2次共振周波数の比率には、絶対的な数値のみに意義があるわけではない。例えば、ゴルフクラブシャフトが呈する打球の高さを評価する場合には、1次共振周波数と2次共振周波数の比率を、一定の数値にて乗した数値、除した数値を用いて評価を下すことができる。
【0066】
また、1次共振周波数と2次共振周波数の比率は、上記1次共振周波数Fb1、2次共振周波数Fb2のように後端部を固定して測定した値の他、先端部を固定して測定した値であってもよい。この場合、先端部を固定して測定した1次共振周波数をFt1、2次共振周波数をFt2で表すと、1次共振周波数と2次共振周波数の比率は、(Ft2/Ft1)、(Ft2/(Ft1+Ft2))、(Ft1/(Ft1+Ft2))又はこれらの逆数である(Ft1/Ft2)、((Ft1+Ft2)/Ft2)、((Ft1+Ft2)/Ft1)等にて表される。これらの場合、(Ft2/Ft1)はその値がより大きければより打球が上がりやすいゴルフクラブシャフトであり、より小さければより打球が上がりにくいゴルフクラブシャフトとなる。また、(Ft1/(Ft1+Ft2))はその値がより大きければより打球が上がりにくいゴルフクラブシャフトであり、より小さければより打球が上がりやすいゴルフクラブシャフトとなる。また、(Ft2/(Ft1+Ft2))はその値がより大きければより打球が上がりやすいゴルフクラブシャフトであり、より小さければより打球が上がりにくいゴルフクラブシャフトとなる。これらの逆数では、相関関係が逆になることは言うまでもない。
【0067】
ここで、ゴルフクラブシャフトが呈する打球の高さとは、上述したように、ゴルフクラブシャフトによる打球の上がりやすさを示すもので、同じゴルフクラブヘッドを装着した場合、より打球が上がりやすいものほど呈する打球の高さが高いと表現される。また、ゴルフクラブシャフトによる打球の上がりやすさを、ゴルフクラブシャフト又はゴルフクラブのキックポイント、ベンドポイント等の言葉を用いて当業者が言い表す場合もあり、上記1次共振周波数の比率の指標を、ゴルフクラブシャフト又はゴルフクラブのキックポイント、ベンドポイント等と称することも、本発明に包含される。
【0068】
以上、上述した1次共振周波数Fb1とFt1との比率や、1次共振周波数と2次共振周波数との比率をゴルフクラブシャフトの呈する打球の高さの指標とする評価方法は、繊維強化樹脂製ゴルフクラブシャフトに特に好適に用いられる。繊維強化樹脂製ゴルフクラブシャフトは、強化繊維の種類、配向方向の選択が自由で、ゴルフクラブシャフトの長手方向における剛性分布を変化させる設計の自由度が金属製ゴルフクラブシャフトよりも大きく、ゴルフクラブシャフトが呈する打球の高さを大きく変化させることが容易にできることから、ゴルフクラブシャフトが呈する打球の高さを定量的に表す指標が特に望まれているからである。
【0069】
本発明は、ゴルフクラブシャフトの後端部あるいは先端部を固定して測定した1次共振周波数を少なくとも用いてゴルフクラブの評価を行なうものであるが、上述したように、後端部を固定して測定した1次共振周波数と先端部を固定して測定した1次共振周波数との和や比率の他に、差、積、またこれらの組み合わせによる演算に係るものも、ゴルフクラブシャフトの特性を把握し、ゴルフクラブを評価するための好適な指標となり、本発明に包含される。さらに、後端部を固定して測定した1次共振周波数Fb1と、先端部を固定して測定した1次共振周波数Ft1に、0.6・Fb1、0.4・Ft1を基に演算するといったような、それぞれの数値に一定の寄与率を設定し、和、差、積、比率等の演算に係るもの、さらに、2次共振周波数やそれ以降の高次の共振周波数についても前記と同様な演算をしたものもゴルフクラブシャフトの特性を把握するために好適な指標になるものであって、本発明に包含される。
【0070】
次に、上記方法で測定されたゴルフクラブシャフトを持つゴルフクラブについて第1〜第9の実施形態について説明する。
まず、ゴルフクラブの第1の実施形態について説明する。
図10(a)〜(c)は、本発明におけるゴルフクラブの第1の実施形態を示している。
図10(a)〜(c)に示されるゴルフクラブ1は、ゴルフクラブシャフト12の先端部にゴルフクラブヘッド30を装着し、後端部にグリップ28を備えている。この後端部にはゴルフクラブシャフト12の一部であるグリップ部を設けてもよい。図10(a)〜(c)は右打ち用のゴルフクラブの図であるが、本発明におけるゴルフクラブとは右打ち用のみならず左打ち用も包含される。
【0071】
図10(a)に示されるゴルフクラブ1には、ゴルフクラブシャフト12に「RF−PLUS 22.0−WHIPPY」と表示されている。この表示の内、「RF−PLUS 22.0」の「22.0」とは、本発明におけるゴルフクラブの評価方法で得られた1次共振周波数の和(Hz)を表す値であり、「WHIPPY」とは、1次共振周波数の和を示す値の意味を理解するための参照情報である。なお、RF−PLUSとはRESONANCE FREQUENCY PLUS(共振周波数の和)の略称である。ゴルファーは、「WHIPPY」は軟らかいゴルフクラブシャフトであるというゴルフ用語の知識から、RF−PLUS 22.0と表示されているゴルフクラブはゴルフクラブシャフトが軟らかいフィーリングを有するものであることを理解することができる。
【0072】
図10(b)に示されるゴルフクラブ1には、ゴルフクラブシャフト12に「RF−PLUS 24.0−REGULAR」と表示されている。この表示の内、「RF−PLUS 24.0」の「24.0」とは、本発明におけるゴルフクラブの評価方法で得られた1次共振周波数の和(Hz)を表す値であり、「REGULAR」とは、1次共振周波数の和を示す値の意味を理解するための参照情報である。ゴルファーは、「REGULAR」は通常のゴルフクラブシャフトの硬さというゴルフ用語の知識から、RF−PLUS 24.0と表示されているゴルフクラブはゴルフクラブシャフトが通常のフィーリングを有するものであることを理解することができる。
【0073】
同様に、図10(c)に示されるゴルフクラブ1には、ゴルフクラブシャフト12に「RF−PLUS 26.0−HARD」と表示されている。この表示の内、「RF−PLUS 26.0」の「26.0」とは、本発明におけるゴルフクラブの評価方法で得られた1次共振周波数の和(Hz)を表す値であり、「HARD」とは、1次共振周波数の和を示す値の意味を理解するための参照情報である。ゴルファーは、「HARD」は硬いゴルフクラブシャフトというゴルフ用語の知識から、RF−PLUS 26.0と表示されているゴルフクラブはゴルフクラブシャフトが硬いフィーリングを有するものであることを理解することができる。
【0074】
以上のように、1次共振周波数の和を示す値によってゴルフクラブの硬さが評価されており、1次共振周波数の和を示す値及びこの値の意味を理解するための文字等が、ゴルフクラブ1の一部に表示され、この表示を目安にゴルファーは所望のゴルフクラブを選択することができる。
ここで、ゴルフクラブの一部とは、ゴルフクラブシャフト、ゴルフクラブヘッド、グリップ、ソケット(フェルール)、グリップの端部の栓、ゴルフクラブシャフトに貼られたシール、ゴルフクラブヘッドに貼られたシールやゴルフクラブに付随したタグ等、主に視覚にて認識可能な一部分を指す。
【0075】
本発明における表示される1次共振周波数の和を示す周波数情報には、表1のように1次共振周波数の和を段階的に表示する数字、表2のように1次共振周波数の和を段階的に表示する文字、表3のように1次共振周波数の和を段階的に表示する記号等が含まれる。段階数は2段階以上、好ましくは3段階以上、より好ましくは4段階以上あればよい。
【0076】
【表1】
Figure 0004373628
【表2】
Figure 0004373628
【表3】
Figure 0004373628
【0077】
ここで、段階的な表示とは、表1に示すように、特定の1次共振周波数の和の範囲と1次共振周波数の和を示す値とを対照させることである。この場合、1次共振周波数の和の範囲は、各段階を通じて同じ範囲の大きさでなくてもよい。表1に示すように、「1」の場合は20Hz以上21Hz未満と約1Hzの範囲、「2」の場合は21Hz以上22Hz未満と約1Hzの範囲、「3」の場合は22Hz以上24Hz未満と約2Hzの範囲、「4」の場合は24Hz以上25Hz未満と約1Hzの範囲、「5」の場合は25Hz以上26Hz以下と1Hzの範囲と、各段階における範囲の大きさは同じ間隔ではない。範囲に関しては、ゴルフクラブメーカー又はゴルフクラブシャフトメーカー等が適宜設定することが可能である。また、変形例として「1」の場合は21Hz未満、「5」の場合は25Hz以上というように、設定される段階において最も硬いもしくは最も軟らかい状態を示す両端の数字、文字、記号等で表し、またこのような段階を片側のみの範囲限定で表してもよい。
【0078】
また、1次共振周波数の和の範囲は、表2に示すように、各段階を通じて不連続な範囲でもよい。ゴルフクラブメーカー又はゴルフクラブシャフトメーカー等は、1次共振周波数の和について、実際に使用しない範囲については範囲から除外して、全体として不連続な範囲に適宜設定することが可能である。
また、1次共振周波数の和は、表3に示すように、範囲をもたない特定の固有の数値で代表してもよい。特定の固有の数値では各段階の範囲を表していないが、実際の製品は、通常1次共振周波数の和の許容差を含むため、製品の段階においては、特に許容差を考慮して表示する必要はない。許容差はゴルフクラブメーカー又はゴルフクラブシャフトメーカー等において、製品の品質に影響のない程度の範囲内において設定されているからである。
【0079】
本発明における1次共振周波数の和を表す周波数情報を理解するための参照情報とは、表示された値が何を意味しているかを説明する文字等を指す。例として、図10(a)〜(c)に示したような、「WHIPPY」、「REGULAR」、「HARD」又は「L(Ladies)」、「A(Average)」、「R(Regular)」、「S(Stiff)」、「X(Extra Stiff)」というような、ゴルフ用語であって、その単語のみでゴルフクラブシャフトの硬さを示すもの、又は、「軟らかい」、「普通」、「硬い」というゴルフクラブシャフトの硬さを直接表現するものの他、「H/S 37m/s」、「H/S 40m/s」、「H/S 43m/s」又は、「200YARD」、「220YARD」、「240YARD」というゴルファーのH/S(ヘッドスピード)や飛距離のような指標をもって、使用するのに適正なゴルファー像を示すもの、「A:180YARD」、「R:210YARD」、「S:240YARD」、「X:270YARD」というこれらの組み合わせ等が挙げられる。また、参照情報は、図11(a)〜(c)に示すように文章であってもよい。また、図12(a)〜(c)に示すように図面を用いて説明したものであってもよい。 また、参照情報は、上記したような1次共振周波数の和を段階的に数字、文字、記号等により表示する場合、図13(a)〜(e)に示すように文章により説明したもの、図14(a)〜(e)に示すように表を用いて説明したもの、図15(a)〜(e)に示すように図面を用いて説明するもの又はこれらの組み合わせであってもよい。
【0080】
図11〜図15に示す例では、本発明におけるゴルフクラブの評価方法によって得られた1次共振周波数の和(Hz)を周波数情報として直接表示したが、図16(a)〜(e)に示すように、1次共振周波数の和(Hz)を直接表示しないが、周波数情報として1次共振周波数の和を用いてゴルフクラブシャフトの硬さの評価が与えられて表示されているものも本発明に含まれる。
【0081】
すなわち、1次共振周波数の和がゴルフクラブシャフトの硬さを評価する指標となることが一般に周知されていなければ、ゴルファーがこの点を認識するために、図11〜図15のような説明を付与した表示が必要であり、上記点が一般に周知されれば、図11〜図15のような説明を付与した表示はもとより、図10(a)〜(c)又は図16(a)〜(e)に示すように略称、単位の省略、数値を段階化して数値を省略する等を適宜行ない表示しても、ゴルファーは1次共振周波数の和によってゴルフクラブシャフトの硬さを判断することができる。
【0082】
また、1次共振周波数の和がゴルフクラブシャフトの硬さを評価する指標であることがきわめて周知されれば、図10(a)〜(c)におけるそれぞれ「RF−PLUS 22.0」、「RF−PLUS 24.0」、「RF−PLUS 26.0」といった1次共振周波数の和を示す値のみを表示することにより、ゴルファーは1次共振周波数の和によってゴルフクラブシャフトの硬さを判断することができる。また、最高に周知されれば、図10(a)〜(c)におけるそれぞれ「22.0」、「24.0」、「26.0」といった1次共振周波数の和を示す値の中でも数値のみを表示することにより、ゴルファーはゴルフクラブシャフトの硬さを判断することができる。
【0083】
このような1次共振周波数の和を示す値を実際にゴルファーに説明するためには、細かい技術的な項目は省略して説明した方が分かりやすく好ましい。つまり、上述したような「後端部の固定長さを178mmにして固定し」、または、「先端部の固定長さを127mmにして固定する」というような細かな内容は、説明内容としては特に必要がない。このような測定条件は、ゴルフクラブメーカー又はゴルフクラブシャフトメーカー等の間で標準化しておき、ゴルファーへは、1次共振周波数の和が大きいほど硬いフィーリングのゴルフクラブシャフト又はそのゴルフクラブシャフトを組み込んだゴルフクラブは硬いフィーリングになるという内容が理解できる程度の説明であることが好ましい。特にゴルフクラブの一部に表示するために、理解しやすい単語、数字、それら及び記号、図面等を適宜組み合わせた短文であることが好ましい。
【0084】
以上説明したように、1次共振周波数の和を示す値によってゴルフクラブの硬さの評価が与えられており、ゴルファーはゴルフクラブに表示された1次共振周波数の和を示す値、又、必要に応じて1次共振周波数の和を示す値を理解するための参照情報を情報として得て、それらが表示されたゴルフクラブの中から、自分にとって硬さのフィーリングの合うゴルフクラブを選択することができる。
なお、以上説明したゴルフクラブの実施形態では、周波数情報として1次共振周波数の和を示す値と参照情報がゴルフクラブの一部に一体的に表示されているものであるが、本発明においては、周波数情報として1次共振周波数の和を示す値と参照情報がゴルフクラブの一部に別個に表示されていてもよい。例えば、1次共振周波数の和を示す値がゴルフクラブヘッドに、参照情報がゴルフクラブシャフトに表示されていてもよい。少なくとも、1次共振周波数の和を示す値を頼りに、1次共振周波数の和を示す値を理解するための参照情報が参照しやすい場所に表示されていればよい。
【0085】
次に、本発明のゴルフクラブの第2の実施形態について図面を用いて説明する。
図17(a)〜(c)は、本発明に係るゴルフクラブである。図17(a)に示すゴルフクラブには、ゴルフクラブのブランド名「ABCD」と共に、ゴルフクラブシャフトに「R」と表示されている。図17(b)に示すゴルフクラブには、ゴルフクラブのブランド名「ABCD」と共に、ゴルフクラブシャフトに「S」と表示されている。図17(c)に示すゴルフクラブには、ゴルフクラブのブランド名「ABCD」と共に、ゴルフクラブシャフトに「X」と表示されている。
【0086】
図18には、図17(a)〜(c)に示す「ABCD」というブランド名のゴルフクラブに関する説明をした広告媒体M1を示す。この広告媒体M1には「ABCDシリーズ」というゴルフクラブのブランド名等ゴルフクラブを特定できる表示、そのゴルフクラブに表示された符号「R、S、X」は、1次共振周波数の和を示す値に関するものであり、符号「R、S、X」がゴルフクラブの硬さを表していることを認識できる参照情報が表示されている。このようにゴルフクラブは、1次共振周波数の和を示す値によってゴルフクラブの硬さが評価されており、ゴルファーは広告媒体M1に示される説明によって1次共振周波数の和を示す値の意味を理解し、この表示された値を目安に広告媒体M1に示されるゴルフクラブ、より詳しくは広告媒体M1に示されるゴルフクラブと同一型式のゴルフクラブを選択することができる。また、図18の広告媒体M1中に示されている「トータルレゾナンスフリークエンシーシステム」とは、1次共振周波数の和に関するセールストークの一例であり、その名称はゴルフクラブメーカー、ゴルフクラブシャフトメーカー又は販売会社等が適宜創作するものである。
【0087】
なお、広告媒体は、ゴルフクラブメーカー、ゴルフクラブシャフトメーカー又は販売会社等が発行もしくは作成するゴルフクラブの説明書、カタログ、店頭にて表示するポスター、パネル等、TVのコマーシャル、販売促進用のビデオ、電気通信回線等による表示等が例示される。つまり、主に視覚により認識可能であって、1次共振周波数の和を示す値に関して説明し、その値を表示するゴルフクラブを明示するものである。
1次共振周波数の和を示す値を実際にゴルファーに説明するためには、細かい技術的な項目は省略して説明した方が分かりやすく好ましい。つまり、上述した「後端部の固定長さを178mmにして固定し」、または、「先端部の固定長さを127mmにして固定する」というような細かな内容は、説明内容としては特に必要がない。このような測定条件は、ゴルフクラブメーカー又はゴルフクラブシャフトメーカー等の間で標準化しておき、ゴルファーへは、1次共振周波数の和が大きいほど硬いフィーリングのゴルフクラブシャフト又はそのゴルフクラブシャフトを組み込んだゴルフクラブは硬いフィーリングになるという内容が理解できる程度の説明であることが好ましい。特に広告媒体によってゴルフクラブに表示された1次共振周波数の和を示す値の説明をするため、文章として分かりやすく図面、該当するゴルフクラブの写真等を用いて説明することが好ましい。
【0088】
以上説明した本発明のゴルフクラブの第2の実施形態は、ゴルフクラブの硬さが1次共振周波数の和を示す値によって評価されており、1次共振周波数の和を示す値がゴルフクラブに表示され、参照情報が広告媒体に表示された例であり、ゴルファーはゴルフクラブに表示された1次共振周波数の和を示す値及び広告媒体に表示された1次共振周波数の和を示す値からゴルフクラブシャフトの硬さを判断するための参照情報を情報として得て、1次共振周波数の和を示す値が表示されたゴルフクラブの中から、自分にとって硬さのフィーリングの合うゴルフクラブを選択することができる。
【0089】
次に、本発明のゴルフクラブに係る第3の実施形態を図面を用いて説明する。図19(a)〜(d)は、本発明に係るゴルフクラブの第3の実施形態を示している。図19(a)に示すゴルフクラブ1には、ゴルフクラブの型式名「BCDE M885」が表示されている。図19(b)に示すゴルフクラブには、ゴルフクラブの型式名「BCDE M785」が表示されている。図19(c)に示すゴルフクラブには、ゴルフクラブの型式名「BCDE M685」が表示されている。図19(d)に示すゴルフクラブには、ゴルフクラブの型式名「BCDE M585」が表示されている。
【0090】
図20には、図19に示す「BCDE」というブランド名の「M885、M785、M685、M585」という型式名のゴルフクラブに関する説明をした広告媒体M2が示されている。この広告媒体M2には「クラブBCDE」及び「BCDE M885、BCDE M785、BCDE M685、BCDE M585」というゴルフクラブのブランド名、型式名等ゴルフクラブを特定できる表示、そのゴルフクラブの型式「M885、M785、M685、M585」は、それぞれ1次共振周波数の和を示す値に基づいてゴルフクラブが設計されて、これに基づいて評価の与えられたことを理解することができる参照情報が表示されている。ゴルファーは広告媒体M2に示される説明によって1次共振周波数の和を示す値の意味を理解し、1次共振周波数の和を示す値に基づいて定められた型式のゴルフクラブ、より詳しくは広告媒体M2に示されるゴルフクラブと同一型式のゴルフクラブを選択することができる。
【0091】
また、図20に示される広告媒体M2中に示されている「1次共振周波数の和理論」とは、1次共振周波数の和に関するセールストークの1例であり、その名称はゴルフクラブメーカー、ゴルフクラブシャフトメーカー又は販売会社等が適宜創作するものである。
なお、広告媒体は、ゴルフクラブメーカー、ゴルフクラブシャフトメーカー又は販売会社等が発行もしくは作成するゴルフクラブの説明書、カタログ、店頭にて表示するポスター、パネル等、TVのコマーシャル、販売促進用のビデオ、電気通信回線等による表示等が例示される。つまり、主に視覚により認識可能であって、1次共振周波数の和を示す値に関して説明し、その値を表示するゴルフクラブを明示しているものである。
【0092】
本発明による1次共振周波数の和を示す値を実際にゴルファーに説明するためには、細かい技術的な項目は省略して説明した方が分かりやすく好ましい。つまり、上述した「後端部の固定長さを178mmにして固定し」、または、「先端部の固定長さを127mmにして固定する」というような細かな内容は、説明内容としては特に必要がない。このような測定条件は、ゴルフクラブメーカー又はゴルフクラブシャフトメーカー等の間で標準化しておき、ゴルファーへは、1次共振周波数の和が大きいほど硬いフィーリングのゴルフクラブシャフト又はそのゴルフクラブシャフトを組み込んだゴルフクラブは硬いフィーリングになるということが理解できる程度の説明であることが好ましい。特に、広告媒体によってゴルフクラブに表示された1次共振周波数の和を示す値の説明をするため、文章として分かりやすく図面、該当するゴルフクラブの写真等を用いて説明することが好ましい。
【0093】
以上説明した本発明のゴルフクラブに係る第3の実施形態は、1次共振周波数の和を示す値によってゴルフクラブの硬さが評価されると共に、この値がゴルフクラブの型式と対応しており、参照情報が広告媒体に表示された例であり、ゴルファーはゴルフクラブの型式に対応させて広告媒体に表示された1次共振周波数の和を示す値及びこの値の意味を理解するための参照情報を情報として得、この参照情報を用いてゴルフクラブの中から、自分にとって硬さのフィーリングの合うゴルフクラブを選択することができる。
【0094】
図21(a)〜(c)は、本発明におけるゴルフクラブの第4の実施形態を示している。
図21(a)〜(c)に示されるゴルフクラブ1は、ゴルフクラブシャフト12の先端部にゴルフクラブヘッド30を装着し、後端部にグリップ28を備えている。この後端部にはゴルフクラブシャフト12の一部であるグリップ部を設けてもよい。図21(a)〜(c)は右打ち用のゴルフクラブの図であるが、本発明におけるゴルフクラブとは右打ち用のみならず左打ち用も包含される。
【0095】
図21(a)に示されるゴルフクラブ1には、ゴルフクラブシャフト12に「RF−RATIO 2.0−HT」と表示されている。この表示の内、「RF−RATIO 2.0」の「2.0」とは、本発明におけるゴルフクラブの評価方法で得られた1次共振周波数の比率(Fb1/Ft1)(以降、この比率を比率R1-1 ともいう)を表す値であり、「HT」とは、1次共振周波数の比率R1-1 を示す値の意味を理解するための参照情報である。なお、RF−RATIOとはRESONANCE FREQUENCY RATIO(共振周波数の比率)の略称である。ゴルファーは、「HT」はHigh Trajectory(高弾道)の略称であり、打球の弾道が高弾道であるというゴルフ用語の知識から、RF−RATIO 2.0と表示されているゴルフクラブのゴルフクラブシャフトが高弾道を呈するものであることを理解することができる。
【0096】
図21(b)に示されるゴルフクラブ1には、ゴルフクラブシャフト12に「RF−RATIO 1.7−MT」と表示されている。この表示の内、「RF−RATIO 1.7」の「1.7」とは、本発明におけるゴルフクラブの評価方法で得られた1次共振周波数の比率R1-1 を表す値であり、「MT」とは、1次共振周波数の比率R1-1 を示す値の意味を理解するための参照情報である。ゴルファーは、「MT」はMiddle Trajectory(中弾道)の略称であり、打球の弾道が中弾道であるというゴルフ用語の知識から、RF−RATIO 1.7と表示されているゴルフクラブのゴルフクラブシャフトが中弾道を呈するものであることを理解することができる。
【0097】
同様に、図21(c)に示されるゴルフクラブ1には、ゴルフクラブシャフト12に「RF−RATIO 1.4−LT」と表示されている。この表示の内、「RF−RATIO 1.4」の「1.4」とは、本発明におけるゴルフクラブの評価方法で得られた1次共振周波数の比率R1-1 を表す値であり、「LT」とは、1次共振周波数の比率R1-1 を示す値の意味を理解するための参照情報である。ゴルファーは、「LT」はLow Trajectory(低弾道)の略称であり、打球の弾道が低弾道であるというゴルフ用語の知識から、RF−RATIO 1.4と表示されているゴルフクラブのゴルフクラブシャフトが低弾道を呈するものであることを理解することができる。
【0098】
以上のように、1次共振周波数の比率R1-1 によってゴルフクラブの評価が与えられており、1次共振周波数の比率R1-1 を示す値及びこの値の意味を理解するための文字等が、ゴルフクラブ1の一部に表示され、この表示を目安にゴルファーは所望のゴルフクラブを選択することができる。
ここで、ゴルフクラブの一部とは、ゴルフクラブシャフト、ゴルフクラブヘッド、グリップ、ソケット(フェルール)、グリップの端部の栓、ゴルフクラブシャフトに貼られたシール、ゴルフクラブヘッドに貼られたシールやゴルフクラブに付随したタグ等、主に視覚にて認識可能な一部分を指す。
【0099】
本発明における表示される1次共振周波数の比率R1-1 を示す周波数比率情報には、表4のように1次共振周波数の比率R1-1 を段階的に表示する数字、表5のように1次共振周波数の比率R1-1 を段階的に表示する文字、表6のように1次共振周波数の比率R1-1 を段階的に表示する記号等が含まれる。段階数は2段階以上、好ましくは3段階以上、より好ましくは4段階以上あればよい。
【0100】
【表4】
Figure 0004373628
【表5】
Figure 0004373628
【表6】
Figure 0004373628
【0101】
ここで、段階的な表示とは、表4に示すように、特定の1次共振周波数の比率R1-1 の範囲と1次共振周波数の比率R1-1 を示す値や符号とを対照させることである。この場合、1次共振周波数の比率R1-1 の範囲は、各段階を通じて同じ範囲の大きさでなくてもよい。表4に示すように、「1」の場合は1.2以上1.5未満と約0.3の範囲、「2」の場合は1.5以上1.7未満と約0.2の範囲、「3」の場合は1.7以上1.9未満と約0.2の範囲、「4」の場合は1.9以上2.1未満と約0.2の範囲、「5」の場合は2.1以上2.4以下と0.3の範囲と、各段階における範囲の大きさは同じ間隔ではない。範囲に関しては、ゴルフクラブメーカー又はゴルフクラブシャフトメーカー等が適宜設定することが可能である。また、変形例として「1」の場合は1.5未満、「5」の場合は2.1以上というように、設定される段階において最も大きな値もしくは最も小さな値を示す両端の数字で表し、またこのような段階を片側のみの範囲限定で表してもよい。
【0102】
また、1次共振周波数の比率R1-1 の範囲は、表5に示すように、各段階を通じて不連続な範囲でもよい。ゴルフクラブメーカー又はゴルフクラブシャフトメーカー等は、1次共振周波数の比率R1-1 について、実際に使用しない範囲については範囲から除外して、全体として不連続な範囲に適宜設定することが可能である。
また、1次共振周波数の比率R1-1 は、表6に示すように、範囲をもたない特定の固有の数値で代表してもよい。特定の固有の数値では各段階の範囲を表していないが、実際の製品は、通常1次共振周波数の比率R1-1 の許容差を含むため、製品の段階においては、特に許容差を考慮して表示する必要はない。許容差はゴルフクラブメーカー又はゴルフクラブシャフトメーカー等において、製品の品質に影響のない程度の範囲内において設定されているからである。
【0103】
本発明における1次共振周波数の比率R1-1 を示す値の意味を理解するための参照情報とは、表示された値が何を意味しているかを説明するような文字等を指す。例として、図21(a)〜(c)に示したような、「HT」、「MT」、「LT」又は「HIGH」、「MIDDLE」、「LOW」というような、ゴルフ用語であって、その単語のみで呈する打球の高さを示すもの、又は、「高弾道」、「中弾道」、「低弾道」というゴルフクラブシャフトが呈する打球の高さを直接表現するものの他、「H/S 37m/s」、「H/S 40m/s」、「H/S 43m/s」又は、「200YARD」、「220YARD」、「240YARD」という、H/S(ヘッドスピード)が低く飛距離が出ないゴルファーは傾向的に打球が上がりにくいために高弾道を呈するゴルフクラブシャフト、H/S(ヘッドスピード)が高く飛距離の出るゴルファーは傾向的に打球が上がりやすいために低弾道を呈するゴルフクラブシャフトが好適という想定のもとに、ゴルファーのH/S(ヘッドスピード)や飛距離のような指標をもって、使用するのに適正なゴルファー像を示すもの、「HT:200YARD」、「MT:240YARD」、「LT:280YARD」というこれらの組み合わせが挙げられる。
【0104】
また、図22(a)〜(c)に示すように文章として説明してもよい。また、図23(a)〜(c)に示すように図面を用いて説明してもよい。
また、前記したような1次共振周波数の比率R1-1 を段階的にある数字、文字、記号等により表示するものについては、図24(a)〜(e)に示すように文章により説明したもの、図25(a)〜(e)に示すように表を用いて説明したもの、図26(a)〜(e)に示すように図面を用いて説明するもの又はこれらの組み合わせを表示すればよい。
【0105】
図22〜図26に示す例では、本発明におけるゴルフクラブの評価方法によって得られた1次共振周波数の比率R1-1 を直接表示したが、図27に示すように、1次共振周波数の比率R1-1 を直接表示しないが、1次共振周波数の比率R1-1 を用いてゴルフクラブシャフトが呈する打球の高さの評価が与えられ表示されているものも本発明に含まれる。
すなわち、1次共振周波数の比率R1-1 がゴルフクラブシャフトの呈する打球の弾道を評価する指標となることが一般に周知されていなければ、ゴルファーがこの点を認識するために、図22〜図26のような説明を付与した表示が必要であり、一般に周知されれば、図22〜図26のような説明を付与した表示はもとより、図21又は図27のように略称、単位の省略、数値を段階化して数値を省略する等を適宜行ない表示しても、ゴルファーは1次共振周波数の比率R1-1 によってゴルフクラブシャフトの呈する打球の弾道の種類を判断することができる。
【0106】
また、一般的にきわめて周知されれば、図21(a)〜(c)に示されるそれぞれ「RF−RATIO 2.0」、「RF−RATIO 1.7」、「RF−RATIO 1.4」といった1次共振周波数の比率R1-1 を示す値のみを表示することにより、ゴルファーはゴルフクラブシャフトの呈する打球の弾道の種類を判断することができる。また、最高に周知されれば、図21(a)〜(c)に示されるそれぞれ「2.0」、「1.7」、「1.4」といった1次共振周波数の比率R1-1 を示す値のみを表示することにより、ゴルファーはゴルフクラブシャフトの呈する打球の弾道の種類を判断することができる。
【0107】
このような1次共振周波数の比率R1-1 を示す値を実際にゴルファーに説明するためには、細かい技術的な項目は省略して説明した方が分かりやすく好ましい。つまり、上述したような「後端部の固定長さを178mmにして固定し」、または、「先端部の固定長さを127mmにして固定する」というような細かな内容は、説明内容としては特に必要がない。このような測定条件は、ゴルフクラブメーカー又はゴルフクラブシャフトメーカー等の間で標準化しておき、ゴルファーへは、1次共振周波数の比率R1-1 が大きいほどゴルフクラブシャフトの呈する打球は高弾道になるという内容が理解できる程度の説明であることが好ましい。特にゴルフクラブの一部に表示するために、理解しやすい単語、数字、それら及び記号、図面等を適宜組み合わせた短文であることが好ましい。
【0108】
以上説明したように、ゴルフクラブは、1次共振周波数の比率R1-1 を示す値によって評価されており、ゴルファーはゴルフクラブに表示された1次共振周波数の比率R1-1 を示す値、又、必要に応じて1次共振周波数の比率R1-1 を示す値の意味を理解するための参照情報を情報として得て、それらが表示されたゴルフクラブの中から、自分にとって適正なゴルフクラブを選択することができる。なお、以上説明したゴルフクラブの実施形態では、比率の情報として1次共振周波数の比率R1-1 を示す値と参照情報がゴルフクラブの一部に一体的に表示されているものであるが、本発明においては、比率の情報として1次共振周波数の比率R1-1 を示す値と参照情報がゴルフクラブの一部に別個に表示されていてもよい。例えば、1次共振周波数の比率R1-1 を示す値がゴルフクラブヘッドに、参照情報がゴルフクラブシャフトに表示されていてもよい。少なくとも、1次共振周波数の比率R1-1 を示す値を頼りに、1次共振周波数の比率R1-1 を示す値を理解するための参照情報が参照しやすい場所に表示されていればよい。
【0109】
次に、本発明のゴルフクラブの第5の実施形態について図面を用いて説明する。
図28(a)〜(c)は、本発明に係るゴルフクラブである。図28(a)に示すゴルフクラブには、ゴルフクラブのブランド名「CDEF」と共に、ゴルフクラブシャフトに「L」と表示されている。図28(b)に示すゴルフクラブには、ゴルフクラブのブランド名「CDEF」と共に、ゴルフクラブシャフトに「M」と表示されている。図28(c)に示すゴルフクラブには、ゴルフクラブのブランド名「CDEF」と共に、ゴルフクラブシャフトに「H」と表示されている。
【0110】
図29には、図28(a)〜(c)に示す「CDEF」というブランド名のゴルフクラブに関する説明をした広告媒体M3を示す。この広告媒体M3には「CDEFシリーズ」というゴルフクラブのブランド名等ゴルフクラブを特定できる表示、そのゴルフクラブに表示された符号「L、M、H」は、1次共振周波数の比率R1-1 に関するものであり、符号「L、M、H」がゴルフクラブシャフトの呈する打球の弾道の種類を表していることを認識できる参照情報が表示されている。ゴルフクラブは、1次共振周波数の比率R1-1 を示す値によって評価されており、ゴルファーは広告媒体M3に示される説明によって1次共振周波数の比率R1-1 を示す値の意味を理解し、この表示された値を目安に広告媒体M3に示されるゴルフクラブ、より詳しくは広告媒体M3に示されるゴルフクラブと同一型式のゴルフクラブを選択することができる。また、図29に示す広告媒体M3中に示されている「レゾナンスフリークエンシーレシオシステム」とは、1次共振周波数の比率R1-1 に関するセールストークの一例であり、その名称はゴルフクラブメーカー、ゴルフクラブシャフトメーカー又は販売会社等が適宜創作するものである。
【0111】
なお、広告媒体は、ゴルフクラブメーカー、ゴルフクラブシャフトメーカー又は販売会社等が発行もしくは作成するゴルフクラブの説明書、カタログ、店頭にて表示するポスター、パネル等、TVのコマーシャル、販売促進用のビデオ、電気通信回線等による表示等が例示される。つまり、主に視覚により認識可能であって、1次共振周波数の比率R1-1 を示す値に関して説明し、その値を表示するゴルフクラブを明示するものである。
1次共振周波数の比率R1-1 を実際にゴルファーに説明するためには、細かい技術的な項目は省略して説明した方が分かりやすく好ましい。つまり、上述した「後端部の固定長さを178mmにして固定し」、または、「先端部の固定長さを127mmにして固定する」というような細かな内容は、説明内容としては特に必要がない。このような測定条件は、ゴルフクラブメーカー又はゴルフクラブシャフトメーカー等の間で標準化しておき、ゴルファーへは、1次共振周波数の比率R1-1 が大きいほどゴルフクラブシャフトの呈する打球は高弾道になるということが理解できる程度の説明であることが好ましい。特に広告媒体によってゴルフクラブに表示された1次共振周波数の比率R1-1 を示す値の説明をするため、文章として分かりやすく図面、該当するゴルフクラブの写真等を用いて説明することが好ましい。
【0112】
以上説明した本発明のゴルフクラブの第5の実施形態は、ゴルフクラブは1次共振周波数の比率R1-1 を示す値によって評価されており、1次共振周波数の比率R1-1 を示す値がゴルフクラブに表示され、参照情報が広告媒体に表示された例であり、ゴルファーはゴルフクラブに表示された1次共振周波数の比率R1-1 を示す値及び広告媒体に表示された1次共振周波数の比率R1-1 からゴルフクラブシャフトの呈する打球の弾道の種類を判断するための参照情報を情報として得て、1次共振周波数の比率R1-1 が表示されたゴルフクラブの中から、自分に適したゴルフクラブを選択することができる。
【0113】
次に、本発明のゴルフクラブに係る第6の実施形態を図面を用いて説明する。
図30(a)〜(d)は、本発明に係るゴルフクラブの第6の実施形態を示している。図30(a)に示すゴルフクラブ1には、ゴルフクラブの型式名「DEFG 985」が表示されている。図30(b)に示すゴルフクラブには、ゴルフクラブの型式名「DEFG 945」が表示されている。図30(c)に示すゴルフクラブには、ゴルフクラブの型式名「DEFG 925」が表示されている。図30(d)に示すゴルフクラブには、ゴルフクラブの型式名「DEFG 915」が表示されている。
【0114】
図31には、図30に示す「DEFG」というブランド名の「985、945、925、915」という型式名のゴルフクラブに関する説明をした広告媒体M4が示されている。この広告媒体M4には「クラブDEFG」及び「DEFG 985、DEFG 945、DEFG 925、DEFG 915」というゴルフクラブのブランド名、型式名等ゴルフクラブを特定できる表示、そのゴルフクラブの型式「985、945、925、915」は、それぞれ1次共振周波数の比率R1-1 を示す値に基づいてゴルフクラブが設計され、これに基づいて評価の与えられたことを理解することができる参照情報が表示されている。ゴルフクラブは1次共振周波数の比率R1-1 を示す値によって評価されており、ゴルファーは広告媒体M4に示される説明によって1次共振周波数の比率R1-1 を示す値の意味を理解し、1次共振周波数の比率R1-1 に基づいて定められた型式のゴルフクラブ、より詳しくは広告媒体M4に示されるゴルフクラブと同一型式のゴルフクラブを選択することができる。
【0115】
また、図31に示される広告媒体M4では、1次共振周波数の比率R1-1 をFb1/(Fb1+Ft1)として表している。また、広告媒体M4中に示されている「1次共振周波数の比率理論」とは、1次共振周波数の比率R1-1 に関するセールストークの1例であり、その名称はゴルフクラブメーカー、ゴルフクラブシャフトメーカー又は販売会社等が適宜創作するものである。
なお、広告媒体は、ゴルフクラブメーカー、ゴルフクラブシャフトメーカー又は販売会社等が発行もしくは作成するゴルフクラブの説明書、カタログ、店頭にて表示するポスター、パネル等、TVのコマーシャル、販売促進用のビデオ、電気通信回線等による表示等が例示される。つまり、主に視覚により認識可能であって、1次共振周波数の比率R1-1 を示す値に関して説明し、その値を表示するゴルフクラブを明示しているものである。
【0116】
本発明による1次共振周波数の比率R1-1 を実際にゴルファーに説明するためには、細かい技術的な項目は省略して説明した方が分かりやすく好ましい。つまり、上述した「後端部の固定長さを178mmにして固定し」、または、「先端部の固定長さを127mmにして固定する」というような細かな内容は、説明内容としては特に必要がない。このような測定条件は、ゴルフクラブメーカー又はゴルフクラブシャフトメーカー等の間で標準化しておき、ゴルファーへは、1次共振周波数の比率R1-1 が大きいほどゴルフクラブシャフトの呈する打球は高弾道になるということが理解できる程度の説明であることが好ましい。特に、広告媒体によってゴルフクラブに表示された1次共振周波数の比率R1-1 の説明をするため、文章として分かりやすく図面、該当するゴルフクラブの写真等を用いて説明することが好ましい。
【0117】
以上説明した本発明のゴルフクラブに係る第6の実施形態は、ゴルフクラブが1次共振周波数の比率R1-1 を示す値によって評価され、1次共振周波数の比率R1-1 を示す値がゴルフクラブの型式に対応して定められ、参照情報が広告媒体に表示された例であり、ゴルファーはゴルフクラブの型式に対応させて媒体に表示された1次共振周波数の比率R1-1 を示す値及びこの比率の意味を理解するための参照情報を情報として得、この参照情報を用いてゴルフクラブの中から、自分に適正なゴルフクラブを選択することができる。
【0118】
図32(a)〜(c)は、本発明におけるゴルフクラブの第7の実施形態を示している。
図32(a)〜(c)に示されるゴルフクラブ1は、ゴルフクラブシャフト12の先端部にゴルフクラブヘッド30を装着し、後端部にグリップ28を備えている。この後端部にはゴルフクラブシャフト12の一部であるグリップ部を設けてもよい。図32(a)〜(c)は右打ち用のゴルフクラブの図であるが、本発明におけるゴルフクラブとは右打ち用のみならず左打ち用も包含される。
【0119】
図32(a)に示されるゴルフクラブ1には、ゴルフクラブシャフト12に「RF(2/1) 4.5−HT」と表示されている。この表示の内、「RF(2/1) 4.5」の「4.5」とは、本発明におけるゴルフクラブの評価方法で得られた1次共振周波数Fb1と2次共振周波数Fb2の比率(Fb2/Fb1)(以降、この比率を比率R1-2 ともいう)を表す値であり、「HT」とは、この比率を示す値の意味を理解するための参照情報である。なお、RF(2/1)とはRESONANCE FREQUENCY の2次共振周波数/1次共振周波数の比率の略称である。ゴルファーは、「HT」はHigh Trajectory(高弾道)の略称であり、打球が高弾道であるというゴルフ用語の知識から、RF(2/1) 4.5と表示されているゴルフクラブのゴルフクラブシャフトが高弾道を呈するものであることを理解することができる。
【0120】
図32(b)に示されるゴルフクラブ1には、ゴルフクラブシャフト12に「RF(2/1)5.0−MT」と表示されている。この表示の内、「RF(2/1) 5.0−MT」の「5.0」とは、本発明におけるゴルフクラブの評価方法で得られた比率R1-2 を表す値であり、「MT」とは、この比率を示す値の意味を理解するための参照情報である。ゴルファーは、「MT」はMiddle Trajectory(中弾道)の略称であり、打球の弾道が中弾道であるというゴルフ用語の知識から、RF(2/1) 5.0と表示されているゴルフクラブのゴルフクラブシャフトが中弾道を呈するものであることを理解することができる。
【0121】
同様に、図32(c)に示されるゴルフクラブ1には、ゴルフクラブシャフト12に「RF(2/1) 5.5−LT」と表示されている。この表示の内、「RF−RATIO 5.5」の「5.5」とは、本発明におけるゴルフクラブの評価方法で得られた比率R1-2 を表す値であり、「LT」とは、この比率を示す値の意味を理解するための参照情報である。ゴルファーは、「LT」はLow Trajectory(低弾道)の略称であり、打球の弾道が低弾道であるというゴルフ用語の知識から、RF(2/1) 5.5と表示されているゴルフクラブのゴルフクラブシャフトが低弾道を呈するものであることを理解することができる。
なお、上記例は、1次共振周波数と2次共振周波数の比率R1-2 を、1次共振周波数に対する2次共振周波数の比率、すなわち(Fb2/Fb1)としたが、2次共振周波数に対する1次共振周波数の比率(Fb1/Fb2)等であってもよい。
【0122】
以上のように比率R1-2 及びこの値の意味を理解するための文字等が、ゴルフクラブ1の一部に表示され、この表示を目安にゴルファーは所望のゴルフクラブを選択することができる。
ここで、ゴルフクラブの一部とは、ゴルフクラブシャフト、ゴルフクラブヘッド、グリップ、ソケット(フェルール)、グリップの端部の栓、ゴルフクラブシャフトに貼られたシール、ゴルフクラブヘッドに貼られたシールやゴルフクラブに付随したタグ等、主に視覚にて認識可能な一部分を指す。
【0123】
本発明における表示される比率R1-2 を示す周波数比率情報には、表7のように1次共振周波数と2次共振周波数の比率R1-2 を段階的に表示する数字、表8のように比率R1-2 を段階的に表示する文字、表9のように比率R1-2 を段階的に表示する記号等が含まれる。段階数は2段階以上、好ましくは3段階以上、より好ましくは4段階以上あればよい。
【0124】
【表7】
Figure 0004373628
【表8】
Figure 0004373628
【表9】
Figure 0004373628
【0125】
ここで、段階的な表示とは、表7に示すように、特定の比率R1-2 の範囲と比率R1-2 を示す値や符号とを対照させることである。この場合、比率R1-2 の範囲は、各段階を通じて同じ範囲の大きさでなくてもよい。表7に示すように、「1」の場合は4.4以上4.7未満と約0.3の範囲、「2」の場合は4.7以上4.9未満と約0.2の範囲、「3」の場合は4.9以上5.1未満と約0.2の範囲、「4」の場合は5.1以上5.3未満と約0.2の範囲、「5」の場合は5.3以上5.6以下と0.3の範囲と、各段階における範囲の大きさは同じ間隔ではない。範囲に関しては、ゴルフクラブメーカー又はゴルフクラブシャフトメーカー等が適宜設定することが可能である。また、変形例として「1」の場合は4.7未満、「5」の場合は5.3以上というように、設定される段階において最も大きな値もしくは最も小さな値を示す両端の数字で表し、またこのような段階を片側のみの範囲限定でも表してもよい。
【0126】
また、比率R1-2 の範囲は、表8に示すように、各段階を通じて不連続な範囲でもよい。ゴルフクラブメーカー又はゴルフクラブシャフトメーカー等は、比率R1-2 について、実際に使用しない範囲については範囲から除外して、全体として不連続な範囲に適宜設定することが可能である。
また、比率R1-2 は、表9に示すように、範囲をもたない特定の固有の数値で代表してもよい。特定の固有の数値では各段階の範囲を表していないが、実際の製品は、通常比率R1-2 の許容差を含むため、製品の段階においては、特に許容差を考慮して表示する必要はない。許容差はゴルフクラブメーカー又はゴルフクラブシャフトメーカー等において、製品の品質に影響のない程度の範囲内において設定されているからである。
【0127】
本発明における1次共振周波数と2次共振周波数の比率R1-2 を示す値の意味を理解するための参照情報とは、表示された値が何を意味しているかを説明するような文字等を指す。例として、図32(a)〜(c)に示したような、「HT」、「MT」、「LT」又は「HIGH」、「MIDDLE」、「LOW」というような、ゴルフ用語であって、その単語のみで呈する打球の高さを示すもの、又は、「高弾道」、「中弾道」、「低弾道」というゴルフクラブシャフトが呈する打球の高さを直接表現するものの他、「H/S 37m/s」、「H/S 40m/s」、「H/S 43m/s」又は、「200YARD」、「220YARD」、「240YARD」という、H/S(ヘッドスピード)が低く飛距離が出ないゴルファーは傾向的に打球が上がりにくいために高弾道を呈するゴルフクラブシャフト、H/S(ヘッドスピード)が高く飛距離の出るゴルファーは傾向的に打球が上がりやすいために低弾道を呈するゴルフクラブシャフトが好適という想定のもとに、ゴルファーのH/S(ヘッドスピード)や飛距離のような指標をもって、使用するのに適正なゴルファー像を示すもの、「HT:200YARD」、「MT:240YARD」、「LT:280YARD」というこれらの組み合わせが挙げられる。
【0128】
また、図33(a)〜(c)に示すように文章として説明してもよい。また、図34(a)〜(c)に示すように図面を用いて説明してもよい。
また、前記したような比率R1-2 を段階的にある数字、文字、記号等により表示するものについては、図35(a)〜(e)に示すように文章により説明したもの、図36(a)〜(e)に示すように表を用いて説明したもの、図37(a)〜(e)に示すように図面を用いて説明するもの又はこれらの組み合わせを表示すればよい。
【0129】
図33〜図37に示す例では、本発明におけるゴルフクラブの評価方法によって得られた比率R1-2 を直接表示したが、図38に示すように、比率R1-2 を直接表示しないが、比率R1-2 を用いてゴルフクラブシャフトが呈する打球の高さの評価が与えられて表示されているものも本発明に含まれる。
すなわち、比率R1-2 がゴルフクラブシャフトの呈する打球の弾道を評価する指標となることが一般に周知されていなければ、ゴルファーがこの点を認識するために、図33〜図37のような説明を付与した表示が必要であり、一般に周知されれば、図33〜図37のような説明を付与した表示はもとより、図32又は図38のように略称、単位の省略、数値を段階化して数値を省略する等を適宜行ない表示しても、ゴルファーは比率R1-2 によってゴルフクラブシャフトの呈する打球の弾道の種類を判断することができる。
【0130】
また、一般的にきわめて周知されれば、図32(a)〜(c)に示されるそれぞれ「RF(2/1) 4.5」、「RF(2/1) 5.0」、「RF(2/1) 5.5」といった1次共振周波数と2次共振周波数の比率R1-2 を示す値のみを表示することにより、ゴルファーはゴルフクラブシャフトの呈する打球の弾道の種類を判断することができる。また、最高に周知されれば、図32(a)〜(c)に示されるそれぞれ「4.5」、「5.0」、「5.5」といった1次共振周波数と2次共振周波数の比率R1-2 を示す値のみを表示することにより、ゴルファーはゴルフクラブシャフトの呈する打球の弾道の種類を判断することができる。
【0131】
このような1次共振周波数と2次共振周波数の比率R1-2 を示す値を実際にゴルファーに説明するためには、細かい技術的な項目は省略して説明した方が分かりやすく好ましい。つまり、上述したような「後端部の固定長さを178mmにして固定し」、または、「先端部の固定長さを127mmにして固定する」というような細かな内容は、説明内容としては特に必要がない。このような測定条件は、ゴルフクラブメーカー又はゴルフクラブシャフトメーカー等の間で標準化しておき、ゴルファーへは、比率R1-2 が大きいほどゴルフクラブシャフトの呈する打球が低弾道になるという内容が理解できる程度の説明であることが好ましい。特にゴルフクラブの一部に表示するために、理解しやすい単語、数字、それら及び記号、図面等を適宜組み合わせた短文であることが好ましい。
【0132】
以上説明したように、ゴルフクラブは1次共振周波数と2次共振周波数の比率R1-2 を示す値によって評価されており、ゴルファーはゴルフクラブに表示された1次共振周波数と2次共振周波数の比率R1-2 を示す値、又、必要に応じて比率R1-2 を示す値の意味を理解するための参照情報を情報として得て、それらが表示されたゴルフクラブの中から、自分にとって硬さのフィーリングの合うゴルフクラブを選択することができる。
なお、以上説明したゴルフクラブの実施形態では、比率の情報として 1次共振周波数と2次共振周波数の比率R1-2 を示す値と参照情報がゴルフクラブの一部に一体的に表示されているものであるが、本発明においては、比率の情報として比率R1-2 を示す値と参照情報がゴルフクラブの一部に別個に表示されていてもよい。例えば、比率R1-2 を示す値がゴルフクラブヘッドに、参照情報がゴルフクラブシャフトに表示されていてもよい。少なくとも、比率R1-2 を示す値を頼りに、比率R1-2 を示す値を理解するための参照情報が参照しやすい場所に表示されていればよい。
【0133】
次に、本発明のゴルフクラブの第8の実施形態について図面を用いて説明する。
図39(a)〜(c)は、本発明に係るゴルフクラブである。図39(a)に示すゴルフクラブには、ゴルフクラブのブランド名「EFGH」と共に、ゴルフクラブシャフトに「L」と表示されている。図39(b)に示すゴルフクラブには、ゴルフクラブのブランド名「EFGH」と共に、ゴルフクラブシャフトに「M」と表示されている。図39(c)に示すゴルフクラブには、ゴルフクラブのブランド名「EFGH」と共に、ゴルフクラブシャフトに「H」と表示されている。
【0134】
図40には、図39(a)〜(c)に示す「EFGH」というブランド名のゴルフクラブに関する説明をした広告媒体M5を示す。この広告媒体M5には「EFGHシリーズ」というゴルフクラブのブランド名等ゴルフクラブを特定できる表示、そのゴルフクラブに表示された符号「L、M、H」は、1次共振周波数と2次共振周波数の比率R1-2 に関するものであり、符号「L、M、H」がゴルフクラブシャフトの呈する打球の弾道の種類を表していることを認識できる参照情報が表示されている。ゴルフクラブは比率R1-2 によって評価されており、ゴルファーは広告媒体M5に示される説明によって比率R1-2 の意味を理解し、この表示された値を目安に広告媒体M5に示されるゴルフクラブ、より詳しくは広告媒体M5に示されるゴルフクラブと同一型式のゴルフクラブを選択することができる。また、図40に示す広告媒体M5中に示されている「レゾナンスフリークエンシーレシオシステム」とは、1次共振周波数と2次共振周波数との比率に関するセールストークの一例であり、その名称はゴルフクラブメーカー、ゴルフクラブシャフトメーカー又は販売会社等が適宜創作するものである。
【0135】
なお、広告媒体は、ゴルフクラブメーカー、ゴルフクラブシャフトメーカー又は販売会社等が発行もしくは作成するゴルフクラブの説明書、カタログ、店頭にて表示するポスター、パネル等、TVのコマーシャル、販売促進用のビデオ、電気通信回線等による表示等が例示される。つまり、主に視覚により認識可能であって、比率R1-2 を示す値に関して説明し、その値を表示するゴルフクラブを明示するものである。
比率R1-2 を実際にゴルファーに説明するためには、細かい技術的な項目は省略して説明した方が分かりやすく好ましい。つまり、上述した「後端部の固定長さを178mmにして固定し」、または、「先端部の固定長さを127mmにして固定する」というような細かな内容は、説明内容としては特に必要がない。このような測定条件は、ゴルフクラブメーカー又はゴルフクラブシャフトメーカー等の間で標準化しておき、ゴルファーへは、比率R1-2 が大きいほどゴルフクラブシャフトの呈する打球は低弾道になるということが理解できる程度の説明であることが好ましい。特に広告媒体によってゴルフクラブに表示された比率R1-2 を示す値の説明をするため、文章として分かりやすく図面、該当するゴルフクラブの写真等を用いて説明することが好ましい。
【0136】
以上説明した本発明のゴルフクラブの第8の実施形態は、ゴルフクラブが1次共振周波数と2次共振周波数の比率R1-2 を示す値によって評価されており、この比率R1-2 を示す値がゴルフクラブに表示され、参照情報が広告媒体に表示された例であり、ゴルファーはゴルフクラブに表示された比率R1-2 を示す値及び広告媒体に表示された比率R1-2 からゴルフクラブシャフトの呈する打球の弾道の種類を判断するための参照情報を情報として得て、比率R1-2 が表示されたゴルフクラブの中から、自分に適したゴルフクラブを選択することができる。
【0137】
次に、本発明のゴルフクラブに係る第9の実施形態を図面を用いて説明する。図41(a)〜(d)は、本発明に係るゴルフクラブの第9の実施形態を示している。図41(a)に示すゴルフクラブ1には、ゴルフクラブの型式名「FGHI 985」が表示されている。図41(b)に示すゴルフクラブには、ゴルフクラブの型式名「FGHI 945」が表示されている。図41(c)に示すゴルフクラブには、ゴルフクラブの型式名「FGHI 925」が表示されている。図41(d)に示すゴルフクラブには、ゴルフクラブの型式名「FGHI 915」が表示されている。
【0138】
図42には、図41に示す「FGHI」というブランド名の「985、945、925、915」という型式名のゴルフクラブに関する説明をした広告媒体M6が示されている。この広告媒体M6には「クラブFGHI」及び「FGHI 985、FGHI 945、FGHI 925、FGHI 915」というゴルフクラブのブランド名、型式名等ゴルフクラブを特定できる表示、そのゴルフクラブの型式「985、945、925、915」は、それぞれ1次共振周波数と2次共振周波数の比率R1-2 を示す値に基づいてゴルフクラブが設計され、これに基づいて評価の与えられたことを理解することができる参照情報が表示されている。ゴルフクラブは、比率R1-2 の示す値によって評価されており、ゴルファーは広告媒体M6に示される説明によって比率R1-2 を示す値の意味を理解し、この比率に基づいて定められた型式のゴルフクラブ、より詳しくは広告媒体M6に示されるゴルフクラブと同一型式のゴルフクラブを選択することができる。
【0139】
また、広告媒体M6中に示されている「共振周波数の比率理論」とは、1次共振周波数と2次共振周波数の比率に関するセールストークの1例であり、その名称はゴルフクラブメーカー、ゴルフクラブシャフトメーカー又は販売会社等が適宜創作するものである。
なお、広告媒体は、ゴルフクラブメーカー、ゴルフクラブシャフトメーカー又は販売会社等が発行もしくは作成するゴルフクラブの説明書、カタログ、店頭にて表示するポスター、パネル等、TVのコマーシャル、販売促進用のビデオ、電気通信回線等による表示等が例示される。つまり、主に視覚により認識可能であって、1次共振周波数と2次共振周波数の比率を示す値に関して説明し、その値を表示するゴルフクラブを明示しているものである。
【0140】
本発明による1次共振周波数と2次共振周波数の比率R1-2 を実際にゴルファーに説明するためには、細かい技術的な項目は省略して説明した方が分かりやすく好ましい。つまり、上述した「後端部の固定長さを178mmにして固定し」、または、「先端部の固定長さを127mmにして固定する」というような細かな内容は、説明内容としては特に必要がない。このような測定条件は、ゴルフクラブメーカー又はゴルフクラブシャフトメーカー等の間で標準化しておき、ゴルファーへは、比率R1-2 が大きいほどゴルフクラブシャフトの呈する打球は低弾道になるということが理解できる程度の説明であることが好ましい。特に、広告媒体によってゴルフクラブに表示された比率R1-2 の説明をするため、文章として分かりやすく図面、該当するゴルフクラブの写真等を用いて説明することが好ましい。
【0141】
以上説明した本発明のゴルフクラブに係る第9の実施形態は、1次共振周波数と2次共振周波数の比率がゴルフクラブの型式に対応して定められ、参照情報が広告媒体に表示された例であり、ゴルフクラブは1次共振周波数と2次共振周波数の比率の示す値によって評価されており、ゴルファーはゴルフクラブの型式に対応させて広告媒体に表示された1次共振周波数と2次共振周波数の比率を示す値及びこの比率の意味を理解するための参照情報を情報として得、この参照情報を用いてゴルフクラブの中から、自分に適正なゴルフクラブを選択することができる。
【0142】
このようなゴルフクラブの評価のための指標が、従来の指標と比べて定量的に表されているか否かを調べた。
【0143】
[実施例1]
剛性あるいは剛性分布の異なる金属製ゴルフクラブシャフト10本を用いて、ゴルフクラブS1〜S10を作製した。また、剛性あるいは剛性分布の異なる繊維強化樹脂製ゴルフクラブシャフト10本を用いてゴルフクラブS11〜S20を作製した。なお、金属製ゴルフクラブシャフトの素材としてスチールを、繊維強化樹脂製ゴルフクラブシャフトの素材として炭素繊維強化樹脂(CFRP)を用いた。
【0144】
S1〜S10のゴルフクラブのゴルフクラブシャフトは、長さ1122mm、質量115g、後端部の直径15.2mm、先端部の直径8.5mmとし、S11〜S20のゴルフクラブのゴルフクラブシャフトは、長さ1122mm、質量60g、後端部の直径15.2mm、先端部の直径8.5mmとした。
S1〜S10のゴルフクラブを作製するにあたり、ゴルフクラブシャフト以外に用いた部材は同一とし、部材の特性は全て同一に調整した。主要な部材として、例えばゴルフクラブヘッドは質量180gのチタン合金製ヘッドを、グリップはイートン社製ゴルフプライドスイングライトM60を用い、ゴルフクラブ長さを45inchとした。
S11〜S20のゴルフクラブを作製するにあたりゴルフクラブシャフト以外に用いた部材は同一とし、部材の特性は全て同一に調整した。主要な部材として、例えばゴルフクラブヘッドは質量195gのチタン合金製ヘッドを、グリップはイートン社製ゴルフプライドスイングライトM60を用い、ゴルフクラブ長さを45inchとした。
【0145】
ゴルフクラブS1〜S20のゴルフクラブシャフトについて図1に示す方法を用いて共振周波数の測定を行なった。測定に際し、FFTアナライザ20として、株式会社小野測器製マルチパーパスFFTアナライザCF5220を用い、コンピュータ22で各次の共振周波数の算出を行なった。なお、加速度ピックアップ16は、共振周波数を変化させないために、可能な限り軽量であることが望ましいことから、質量が0.14gのエンデブコ社製モデル22を用いた。チャージアンプ18として、エミック株式会社製チャージアンプ振動計509CAを用いた。
ゴルフクラブシャフトの後端部を178mm固定して1次共振周波数Fb1(Hz)および2次共振周波数Fb2(Hz)を測定し、ゴルフクラブシャフトの先端部を178mm固定して1次共振周波数Ft1(Hz)および2次共振周波数Ft2(Hz)を測定した。
【0146】
また、従来の方法により振動数の測定を行なった。振動数の測定は、藤倉ゴム工業株式会社製Club timing harmonizerを用い、ゴルフクラブシャフトの後端部を178mm固定し、ゴルフクラブシャフトの先端部を手で摘んで鉛直方向に変位させた後手を離して自由振動させ、1分間当たりの振動の回数を測定して振動数(cpm)を得た。なお、基本的な操作手順は、社団法人日本ゴルフ用品協会の定めるゴルフ曲げ振動計の操作手順に準拠した。
【0147】
一方、S1〜S20のゴルフクラブを200人のゴルファーに打撃試験を行なっってもらい、ゴルフクラブの硬さのフィーリングを評価した。評価は、各ゴルフクラブを各5球ずつ打球し、ゴルフクラブの硬さのフィーリング評点を与えた。評点は、1点:柔らかい、2点:やや柔らかい、3点:普通、4点:やや硬い、5点:硬いの5点を限度とした。1人のゴルファーは1ゴルフクラブにつき各5球ずつ打球するが、評価は1回である。つまり、1つのゴルフクラブにつき5球打球して硬さのフィーリングを評価し、この評価を200人のゴルファーが行なった。
200人のゴルファによって評価の与えられた評点は、ゴルフクラブ毎に集計されて集計点を得た。ちなみに、満点は、5点(評点の最高点)×200(ゴルファーの数)=1000点である。
【0148】
下記表10および表11には、本発明によるゴルフクラブの評価方法で求まった1次共振周波数Fb1とFt1の数値と、200人のゴルファーによって与えられた集計点の数値が示されている。集計点の数値は、200人のゴルファーより求めたゴルフクラブの硬さの評点に基づいており、定量的にゴルフクラブシャフトの硬さを示している数値といえる。一方、本発明による1次共振周波数の和、すなわち、Fb1+Ft1(Hz)を算出した。
そして、1次共振周波数の和Fb1+Ft1が従来のゴルフシャフトの硬さの指標である振動数に比べて、定量的にゴルフクラブシャフトの硬さを示しているか否かを判断するために、ピアソンの積率相関係数を用いて定量的な数値である集計点との間の相関係数を求めた。
【0149】
【表10】
Figure 0004373628
【表11】
Figure 0004373628
【0150】
表10および表11の結果によると、1次共振周波数の和Fb1+Ft1と200人のゴルファーより求めたゴルフクラブの集計点との相関係数は、S1〜S10のゴルフクラブシャフトの群について0.945であった。一方、従来の測定方法で得られた、S1〜S10のゴルフクラブシャフトの群の振動数と集計点との相関係数は0.838であった。また、S11〜S20のゴルフクラブシャフトの群の場合、1次共振周波数の和Fb1+Ft1と集計点との相関係数は0.918であり、従来の測定方法で得られた振動数と集計点との相関係数は0.799であった。
これより、本発明のゴルフクラブの評価方法である1次共振周波数の和Fb1+Ft1は、従来のゴルフクラブシャフトの硬さの指標である振動数よりも、より定量的にゴルフクラブシャフトの硬さ、さらには、ゴルフクラブの硬さを示していることが判る。
【0151】
[実施例2]
次に、実施例1と同様の方法で、剛性あるいは剛性分布の異なる金属ゴルフクラブシャフト10本を用いて、ゴルフクラブS21〜S30を作製し、剛性あるいは剛性分布の異なる繊維強化樹脂製ゴルフクラブシャフト10本を用いてゴルフクラブS31〜S40を作製した。なお、金属ゴルフクラブシャフトの素材としてスチールを、繊維強化樹脂製ゴルフクラブシャフトの素材として炭素繊維強化樹脂(CFRP)を用いた。
【0152】
S21〜S30のゴルフクラブのゴルフクラブシャフトは、長さ1122mm、質量115g、後端部の直径15.2mm、先端部の直径8.5mmとし、S31〜S40のゴルフクラブのゴルフクラブシャフトは、長さ1122mm、質量60g、後端部の直径15.2mm、先端部の直径8.5mmとした。
S21〜S30のゴルフクラブを作製するにあたり、ゴルフクラブシャフト以外に用いた部材は同一とし、部材の特性は全て同一に調整した。主要な部材として、例えばゴルフクラブヘッドは質量180gのチタン合金製ヘッドを、グリップはイートン社製ゴルフプライドスイングライトM60を用い、ゴルフクラブ長さを45inchとした。
S31〜S40のゴルフクラブを作製するにあたりゴルフクラブシャフト以外に用いた部材は同一とし、部材の特性は全て同一に調整した。主要な部材として、例えばゴルフクラブヘッドは質量195gのチタン合金製ヘッドを、グリップはイートン社製ゴルフプライドスイングライトM60を用い、ゴルフクラブ長さを45inchとした。
【0153】
次に、S21〜S40のゴルフクラブについて、ゴルフクラブシャフトの呈する打球の弾道について、すなわち、打球の打ち出し角度を、スウィングロボットによる打球試験によって測定した。スウィングロボットは、株式会社ミヤマエ製ショットロボ4、ゴルフボールは横浜ゴム株式会社製H/Sボールを使用し、ヘッドスピード40m/Sに設定して打球し、打球後の打ち出し角度を測定し、10回打球した平均値を求めた。
【0154】
また、従来から行なわれているキックポイントの測定を行なった。キックポイントの測定は、図43に示すように、ゴルフクラブシャフト12の先端部102を保持し、ゴルフクラブシャフト12の長手方向(図中矢印Aの方向)に沿って後端部101を圧力を加えて35mm押し込んで、ゴルフクラブシャフト12を湾曲させ、その時に最も膨らんだ位置Tをマークする。ゴルフクラブシャフト102の全長をL1 とし、先端部102から位置Tまでの距離をL2 として、キックポイントを(L2 /L1 )で表される。
【0155】
下記表12および表13には、実施例1と同様の方法で測定された1次共振周波数Fb1とFt1の数値とこれらの数値から算出される1次共振周波数の比率Fb1/Ft1と、上記方法で求められた打ち出し角度と、キックポイントの値とを示している。上記方法で求められた打ち出し角度は、打球の弾道の高低を定量的に示す値と言える。
そして、1次共振周波数の比率Fb1/Ft1が従来の打球の弾道の高低を示す指標であるキックポイントに比べて、定量的にゴルフクラブシャフトの呈する打球の弾道の高低を示しているか否かを判断するために、ピアソンの積率相関係数を用いて定量的な数値である打ち出し角度との間の相関係数を求めた。
【0156】
【表12】
Figure 0004373628
【表13】
Figure 0004373628
【0157】
表12および表13の結果によると、S21〜S30のゴルフクラブシャフトの群の場合、1次共振周波数の比率Fb1/Ft1と打ち出し角度との相関係数は0.878であり、従来の測定方法で得られたキックポイントと打ち出し角度との相関係数は−0.761であった。また、S31〜S40のゴルフクラブシャフトの群の場合、1次共振周波数の比率Fb1/Ft1と打ち出し角度との相関係数は0.898であり、従来の測定方法で得られたキックポイントと打ち出し角度との相関係数は−0.748であった。相関係数の絶対値は、いずれも、1次共振周波数の比率Fb1/Ft1がキックポイントに比べて高かった。
これより、本発明のゴルフクラブの評価方法である1次共振周波数の比率Fb1/Ft1は、従来の打球の弾道の高低を示す指標であるキックポイントよりも、より定量的にゴルフクラブシャフトの呈する打球の弾道の高低を示していることが判る。
【0158】
[実施例3]
実施例2で用いたゴルフクラブシャフト21〜40における、1次共振周波数Fb1および2次共振周波数Fb2から、本発明の1次共振周波数Fb1と2次共振周波数Fb2との比率Fb2/Fb1を算出し、この比率Fb2/Fb1が従来の打球の弾道の高低を示す指標であるキックポイントに比べて、定量的にゴルフクラブシャフトの呈する打球の弾道の高低を示しているか否かを判断するために、ピアソンの積率相関係数を用いて定量的な数値である打ち出し角度との間の相関係数を求めた。
下記表14および表15にその結果が示されている。
【0159】
【表14】
Figure 0004373628
【表15】
Figure 0004373628
【0160】
これによると、S21〜S30のゴルフクラブシャフトの群の場合、1次共振周波数と2次共振周波数の比率Fb2/Fb1と打ち出し角度との相関係数は−0.873であり、一方、従来の測定方法で得られたキックポイントと打ち出し角度との相関係数は−0.761であった。また、S31〜S40のゴルフクラブシャフトの群の場合、1次共振周波数の比率Fb2/Fb1と打ち出し角度との相関係数は−0.877であり、従来の測定方法で得られたキックポイントと打ち出し角度との相関係数は−0.748であった。相関係数の絶対値は、いずれも、1次共振周波数と2次共振周波数の比率Fb2/Fb1がキックポイントに比べて高かった。
これより、本発明のゴルフクラブの評価方法である1次共振周波数と2次共振周波数の比率Fb2/Fb1は、従来の打球の弾道の高低を示す指標であるキックポイントよりも、より定量的にゴルフクラブシャフトの呈する打球の弾道の高低を示していることが判る。
【0161】
以上、本発明のゴルフクラブの評価方法およびゴルフクラブについて詳細に説明したが、本発明は上記実施例に限定はされず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良および変更を行ってもよいのはもちろんである。
【0162】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、ゴルフクラブシャフトの先端部および後端部の一方の端部を固定端とし、他方の端部を自由端としてゴルフクラブシャフトを振動させた際の1次共振周波数を少なくとも用いてゴルフクラブを評価するので、ゴルフクラブの製造工程における品質管理の一項目として十分に機能する。
さらには、ゴルフクラブシャフトの後端部を固定端とした1次共振周波数と先端部を固定端とした1次共振周波数との和を求めることでゴルフクラブシャフトの硬さを表すことができ、さらに、ゴルフクラブシャフトの1次共振周波数の比率を求めることで、あるいは、1次共振周波数と2次共振周波数の比率を求めることで、ゴルフクラブシャフトの呈する打球の弾道の高低を表すことができ、これらの数値を指標として用いて、ゴルフクラブを精度良く評価することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のゴルフクラブの評価方法の一例を説明する説明図である。
【図2】 (a)および(b)は、本発明のゴルフクラブの評価方法における固定端を説明する説明図である。
【図3】 従来のゴルフクラブの一例を説明する図である。
【図4】 従来のゴルフクラブの他の例を説明する図である。
【図5】 従来のゴルフクラブの他の例を説明する図である。
【図6】 本発明のゴルフクラブの評価方法の他の例を説明する説明図である。
【図7】 (a)および(b)は、本発明のゴルフクラブの評価方法で得られる周波数特性の一例を示す図である。
【図8】 (a)〜(c)は、ゴルフクラブシャフトの振動を説明する図である。
【図9】 (a)〜(c)は、スウィング時のゴルフクラブのロフト角度の変化を説明する図である。
【図10】 (a)〜(c)は、本発明のゴルフクラブの例を説明する図である。
【図11】 (a)〜(c)は、本発明のゴルフクラブの参照情報の例を説明する図である。
【図12】 (a)〜(c)は、本発明のゴルフクラブの参照情報の他の例を説明する図である。
【図13】 (a)〜(e)は、本発明のゴルフクラブの参照情報の他の例を説明する図である。
【図14】 (a)〜(e)は、本発明のゴルフクラブの参照情報の他の例を説明する図である。
【図15】 (a)〜(e)は、本発明のゴルフクラブの参照情報の他の例を説明する図である。
【図16】 (a)〜(e)は、本発明のゴルフクラブの参照情報の他の例を説明する図である。
【図17】 (a)〜(c)は、本発明のゴルフクラブの他の例を説明する図である。
【図18】 本発明のゴルフクラブの参照情報の他の例を説明する図である。
【図19】 (a)〜(d)は、本発明のゴルフクラブの他の例を説明する図である。
【図20】 本発明のゴルフクラブの参照情報の他の例を説明する図である。
【図21】 (a)〜(c)は、本発明のゴルフクラブの他の例を説明する図である。
【図22】 (a)〜(c)は、本発明のゴルフクラブの参照情報の例を説明する図である。
【図23】 (a)〜(c)は、本発明のゴルフクラブの参照情報の他の例を説明する図である。
【図24】 (a)〜(e)は、本発明のゴルフクラブの参照情報の他の例を説明する図である。
【図25】 (a)〜(e)は、本発明のゴルフクラブの参照情報の他の例を説明する図である。
【図26】 (a)〜(e)は、本発明のゴルフクラブの参照情報の他の例を説明する図である。
【図27】 (a)〜(e)は、本発明のゴルフクラブの参照情報の他の例を説明する図である。
【図28】 (a)〜(c)は、本発明のゴルフクラブの他の例を説明する図である。
【図29】 本発明のゴルフクラブの参照情報の他の例を説明する図である。
【図30】 (a)〜(d)は、本発明のゴルフクラブの他の例を説明する図である。
【図31】 本発明のゴルフクラブの参照情報の他の例を説明する図である。
【図32】 (a)〜(c)は、本発明のゴルフクラブの他の例を説明する図である。
【図33】 (a)〜(c)は、本発明のゴルフクラブの参照情報の例を説明する図である。
【図34】 (a)〜(c)は、本発明のゴルフクラブの参照情報の他の例を説明する図である。
【図35】 (a)〜(e)は、本発明のゴルフクラブの参照情報の他の例を説明する図である。
【図36】 (a)〜(e)は、本発明のゴルフクラブの参照情報の他の例を説明する図である。
【図37】 (a)〜(e)は、本発明のゴルフクラブの参照情報の他の例を説明する図である。
【図38】 (a)〜(e)は、本発明のゴルフクラブの参照情報の他の例を説明する図である。
【図39】 (a)〜(c)は、本発明のゴルフクラブの他の例を説明する図である。
【図40】 本発明のゴルフクラブの参照情報の他の例を説明する図である。
【図41】 (a)〜(d)は、本発明のゴルフクラブの他の例を説明する図である。
【図42】 本発明のゴルフクラブの参照情報の他の例を説明する図である。
【図43】 従来の、キックポイントの測定方法を説明する図である。
【符号の説明】
1 ゴルフクラブ
10 評価システム
12 ゴルフクラブシャフト
14 固定治具
14a チャック部
16 加速度ピックアップ
18 チャージアンプ
20 FFTアナライザ
22 コンピュータ
24 端面
26 ゴルフクラブシャフト軸
28 グリップ
30 ゴルフクラブヘッド
32 グリップ部
34 重量体
101 後端部
102 先端部
Da,Db 距離
b1, t1 1次共振周波数
b2,Ft2 2次共振周波数
M1, M2,M3,M4,M5,M6 広告媒体

Claims (5)

  1. ゴルフクラブシャフトの先端部にゴルフクラブヘッドが装着され、ゴルフクラブシャフトの後端部にグリップあるいはグリップ部を備えるゴルフクラブを評価する方法であって
    前記後端部を固定端とし、前記先端部を自由端とするか、または前記先端部を固定端とし、前記後端部を自由端としてゴルフクラブシャフトを振動させた際の1次共振周波数と2次共振周波数とを得る工程と
    前記後端部を固定端とするか、または前記先端部を固定端とした場合のいずれか一方における1次共振周波数と2次共振周波数との比率を求め、前記比率に基づいて打球の上がりやすさを評価する工程とを有することを特徴とするゴルフクラブの評価方法。
  2. 前記ゴルフクラブシャフトが繊維強化樹脂材によって形成されたものであることを特徴とする請求項1に記載のゴルフクラブの評価方法。
  3. ゴルフクラブシャフトの先端部にゴルフクラブヘッドが装着され、ゴルフクラブシャフトの後端部にグリップあるいはグリップ部を備えるゴルフクラブであって、
    前記後端部を固定端とし、前記先端部を自由端とするか、または前記先端部を固定端とし、前記後端部を自由端としてゴルフクラブシャフトを振動させた際の前記後端部を固定端とするか、または前記先端部を固定端とした場合のいずれか一方における1次共振周波数と2次共振周波数との比率を求め、前記比率に基づく打球の上がりやすさの評価が与えられており、
    前記比率を示す周波数比率情報がゴルフクラブの一部に表示され、
    前記周波数比率情報は、この周波数比率情報とゴルフクラブの評価情報とが対応付けられた参照情報を参照して、ゴルフクラブの評価情報を得るために用いられることを特徴とするゴルフクラブ。
  4. 前記比率は、ゴルフクラブの型式に対応されていることを特徴とする請求項3に記載のゴルフクラブ。
  5. 前記ゴルフクラブシャフトが繊維強化樹脂材によって形成されたことを特徴とする請求項3または4に記載のゴルフクラブ。
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