〔第1の実施形態〕
本発明の一実施形態について図1ないし図7に基づいて説明すると以下の通りである。すなわち、本実施形態に係る開発支援システム1は、例えば、図2に示すように、開発対象となる電子回路IC102と、それに電力を供給する電源IC103と、電源回路P101を形成するために、当該電源IC103に接続される外付け素子104とを含む回路101の開発に好適に使用されるシステムであって、例えば、図1に示すように、開発段階の電子回路IC2と、当該電子回路IC2に接続可能で、外部からの指示に応じて、電源回路P1の設計値(パラメータ)のうちの予め定められたパラメータを変更可能な電源プラットフォームIC3と、電源回路P1を形成するために当該電源プラットフォームIC3に接続される外付け素子4と、上記電源プラットフォームIC3へ設定すべきパラメータを指示するコンピュータ5とを含んでいる。
なお、本実施形態では、上記電源プラットフォームIC3が評価ボードB1上に設けられている。また、上記外付け素子4を当該評価ボードB1上に実装するために、評価ボードB1上には、外付け素子4を接続するための配線が設けられている。さらに、評価ボードB1上には、上記電子回路IC2およびコンピュータ5を接続するための端子が設けられている。
以下では、一例として、上記電源回路P101およびP1がスイッチング電源回路であり、電源プラットフォームIC3が、電源回路P1のパラメータとして、スイッチングトランジスタのサイズ、および、出力電圧の目標値を変更可能な構成について説明する。
すなわち、図2に示すように、本実施形態に係る回路101の電源回路P101は、例えば、電池などの電源111から供給される電力を断続して電子回路IC102へ供給するためのスイッチングトランジスタ112と、電子回路IC102へ供給される出力電圧Voutに応じて、スイッチングトランジスタ112のデューティ比を調整して、当該出力電圧Voutが予め定められた一定の電圧Vcになるように調整するスイッチング制御回路113と、スイッチング制御回路113に基準電圧を供給するリファレンス回路114とを備えている。なお、本実施形態では、上記部材112〜114が電源IC103内に集積されている。
ここで、電源回路P101・P1としては、例えば、降圧型チョッパ方式、昇圧型チョッパ方式あるいは、反転型チョッパ方式のスイッチング電源回路など、種々のスイッチング電源が挙げられるが、以下では、一例として、電源回路P101・P1が、チョッパ方式で昇圧型のスイッチング電源回路の場合について詳細に説明する。すなわち、本実施形態に係る電源回路P101・P1では、上記スイッチングトランジスタ112は、外付け素子104としてのコイルL101を介して、上記電源111に接続される端子T1と、接地される端子T2との間に介在している。さらに、上記端子T1は、ダイオードD101を介して、電源回路P101の出力端子Toutに接続されており、当該出力端子Toutは、コンデンサC101を介して接地されている。また、出力端子Toutは、上記電子回路IC102に接続されている。さらに、出力端子Toutの出力電圧Voutは、端子Tadjを介して、上記スイッチング制御回路113に印加されている。
上記構成において、スイッチングトランジスタ112がONしてる間は、コイルL101の両端に、電源111の電源電圧Viが印加され、当該コイルL101にエネルギが蓄積される。次に、スイッチングトランジスタ112がOFFされると、当該コイルL101に蓄積されたエネルギは、ダイオードD101を介してコンデンサC101に供給され、コンデンサC101にて平滑化された出力電圧Voutが出力される。ここで、上記端子T1の電位は、コイルL101の両端電圧をVlとするとき、Vi+Vlとなるので、電源回路P101は、電源111からの入力電圧Viを昇圧して、電子回路IC102に印加することができる。
ここで、入力電圧Vi、スイッチングトランジスタ112のデューティ比、または、電子回路IC102の負荷が変化すると、上記平滑後の出力電圧Voutは変化する。ところが、上記スイッチング制御回路113は、端子Tadjに印加された電圧によって出力電圧Voutを監視しており、例えば、電源111からの入力電圧Viの変動や電子回路IC102の負荷変動などによって、出力電圧Voutが微小に変化して上記定電圧Vcを超えようとすると、デューティ比が小さくなるように、スイッチングトランジスタ112のデューティ比を制御する。一方、スイッチング制御回路113は、出力電圧Voutが微小に変化して上記定電圧Vcを下回ろうとすると、デューティ比が大きくなるように制御する。これにより、電源回路P101は、電子回路IC102の負荷変動や入力電圧Viの変動などに拘わらず、一定の電圧Vcを、電子回路IC102に供給できる。
ところで、上記スイッチングトランジスタ111のサイズが変化すると、(a) 「電子回路IC102に必要な電力を供給できるか否か」、(b) 「効率」、および、(c) 「出力端子Toutから出力される出力電圧波形に重畳されるノイズ量」などが変化するが、一般に、これら(a) 〜(c) は、負荷となる電子回路IC102の入出力特性によっても変化する。したがって、スイッチングトランジスタ111の好適なサイズを正確に求めるためには、電子回路IC102の把握する必要がある。
ここで、電子回路IC102が開発中の場合、その負荷としての入出力特性を求めるために、電子回路IC102の負荷モデルを抽出すると共に、その抽出したモデルを使用してのシミュレーションすることが広く行われている。
ところが、負荷モデルの抽出や、それを用いた電源回路のシミュレーションなどの作業には、比較的長い時間と比較的高いスキルとが必要になる。したがって、電子回路IC102が開発中である場合、電子回路IC102の試作品(電子回路IC2)が完成する前の暫定的な仕様に基づいて、これらの作業を行う必要があり、これらの作業で用いた仕様と、実際の電子回路IC102(2)の仕様とが異なっていることがある。また、仮に正確な負荷モデルが抽出されたとしても、電源回路のシミュレーションを正確に実施すると時間がかかるので、実用的な時間でシミュレーションを終了させるために、簡略化モデルによるシミュレーションが行われることも多い。これらの結果、シミュレーションで求めた電子回路IC102の入出力特性は、確度の低いものにならざるを得ない。
したがって、上記シミュレーションによってスイッチングトランジスタのサイズを決定する方法を採用した場合は、曖昧な仕様に対するリスクと、簡略化モデルによるシミュレーションの確度低下に対するリスクとの2重のリスクに対して、2重のマージンを確保する必要があり、スイッチングトランジスタのサイズを最適な値に近づけることが難しくなってしまう。この結果、電源回路および電子回路ICを含むシステムの消費電力を充分に低減することが難しい。
一方、IC内に複数の電源回路を用意しておき、それらのうちの適切な電源回路のみをデバイスとを接続する構成の場合は、本来不要な電源回路をIC内に集積する必要があるため、回路規模およびチップサイズが増大しがちであり、製造コストが高騰する虞れがある。
これに対して、本実施形態に係る開発支援システム1を用いた場合、完成品となる回路101の電源回路P101において、スイッチングトランジスタ111のサイズは、電子回路IC102を開発する段階で製作された電子回路IC2を上述した電源プラットフォームIC3に接続することによって検証/評価された、適切な値に設定されている。
したがって、シミュレーションにより決定する構成よりも、適切な値に電源回路P101のパラメータを決定でき、電源回路P101および電子回路IC102を含む回路101の消費電力を低減できる。また、複数の電源回路群を用意しておく構成よりも、回路規模およびチップサイズを縮小でき、製造コストを抑制できる。
以下では、開発支援システム1の構成の詳細と、それを用いた、スイッチングトランジスタ111のサイズの決定方法とについて説明する。すなわち、本実施形態に係る開発支援システム1の電源プラットフォームIC3は、回路101で使用される電源回路P101と同じく、昇圧型でチョッパ方式の電源回路P1を形成するためのICであって、外付け素子4を接続することによって、電源111と同様の電源11から供給された電力をスイッチングした後、平滑して、電子回路IC2へ供給できる。
具体的には、本実施形態に係る電源プラットフォームIC3は、図2に示すスイッチングトランジスタ112に代えて設けられたスイッチングトランジスタアレイ12と、図2に示すスイッチング制御回路113およびリファレンス回路114と略同様のスイッチング制御回路13およびリファレンス回路14とを備えている。
上記スイッチングトランジスタアレイ12は、外部からの指示に応じて、電源回路P1のスイッチングトランジスタとして動作するトランジスタのサイズを変更可能な回路であって、例えば、図3に示すように、互いに並列に設けられたスイッチングトランジスタ21…と、外部からの選択信号に応じて、各スイッチングトランジスタ21…をスイッチングトランジスタとして動作させるか否かを個別に制御するセレクタ回路22とを備えている。
より詳細には、図3に示す構成例では、上記セレクタ回路22は、スイッチングトランジスタ21に、それぞれ対応して設けられたゲート回路(図3の例では、ANDゲート)23を備えている。各ゲート回路23は、上記対応するスイッチングトランジスタ21用の選択信号が有効を示している場合は、スイッチング制御回路13からのスイッチング信号を当該スイッチングトランジスタ21へ伝えることができる。一方、無効を示している場合、ゲート回路23は、上記スイッチング信号に拘わらず、上記対応するスイッチングトランジスタ21をOFFできる。
さらに、電源プラットフォームIC3には、上記コンピュータ5からの指示に応じて、上記各スイッチングトランジスタ21…をスイッチングトランジスタとして動作させるか否かを示す選択信号を、上記スイッチングトランジスタアレイ12へ出力する制御回路16が設けられている。
また、本実施形態に係るスイッチング制御回路13およびリファレンス回路14は、図2に示すスイッチング制御回路113およびリファレンス回路114と略同様であるが、例えば、リファレンス回路14から供給され、スイッチング制御回路13が端子Tadjに印加される電圧と比較するための基準電圧を指示に応じて増減するなどして、外部からの指示に応じて、出力電圧の目標値Vcを変更できるように構成されている。これに伴なって、上記制御回路16は、コンピュータ5からの指示に応じて、スイッチング制御回路13およびリファレンス回路14の少なくとも一方へ、出力電圧の目標値Vcを指示できる。
なお、本実施形態では、外付け素子4は、外付け素子104と同様に接続されている。具体的には、電源プラットフォームIC3の各端子T1には、電源回路P101のコイルL101およびD101と同様に、コイルL1およびダイオードD1が接続されている。また、ダイオードD1と電子回路IC2との間の端子Toutには、電源回路P101のコンデンサC101と同様に、コンデンサC1が接続されている。また、電源回路P101と同様に、端子Toutの電圧Voutが、電源プラットフォームIC3の端子Tadjに印加されており、端子T2が接地されている。
さらに、本実施形態では、詳細は後述するように、電源回路P1の電気的特性の測定結果に基づいて、電源回路P1を評価しており、評価時点では、図1に示すように、電源回路P1には、測定器6が接続されている。本実施形態に係る測定器6は、電源回路P1の電気的特性として、入力電圧および入力電流と、出力電圧および出力電流とを測定している。
ここで、本実施形態に係る上記測定器6は、平均電圧または平均電流を測定できる。さらに、本実施形態に係る測定器6は、入力電流Iinを測定する際、平均電流だけではなく、ピーク電流も測定することができる。また、本実施形態に係る測定器6は、出力電圧Voutを測定する際、平均電圧だけではなく、出力電圧Voutに重畳されたノイズ量を測定するために、ピーク電圧も測定できる。なお、上記測定器6は、測定結果を提示して、コンピュータ5へ測定結果を入力するようにユーザに促すものであってもよいが、本実施形態に係る測定器6は、測定結果をコンピュータ5へ出力している。
一方、本実施形態に係るコンピュータ5は、図4に示すように、例えば、入力仕様(定格入力電圧、入力電流、電圧変動範囲、最大ピーク電流など)、出力仕様(定格出力電圧(目標値Vc)、定格出力電流、電流変動範囲、許容可能なノイズ量の最大値など)、目標とする効率などの仕様の入力を受け付ける仕様入力部31と、入力された仕様に基づいて、電源回路P1のパラメータのうち、上記予め定められたパラメータ(本実施形態の場合は、スイッチングトランジスタのサイズ)および外付け素子4の定数を決定するパラメータ・定数決定部32と、例えば、信号線(I2 バスなど)を介して信号を送るなどして、電源プラットフォームIC3の制御回路16へ、上記決定されたパラメータを指示するパラメータ設定部33と、当該パラメータに設定された電源回路P1に電子回路IC2を接続した状態における上記測定器6の測定結果の入力を受け付ける測定結果入力部34と、当該測定結果入力部34の受け付けた測定結果を評価して、上記パラメータ・定数決定部32へパラメータおよび定数の再決定を指示する評価部35とを備えている。
なお、上記測定結果入力部34は、ユーザからの入力された測定結果を受け付けてもよいが、本実施形態に係る測定結果入力部34は、測定器6から出力された測定結果を受け付けている。また、コンピュータ5および評価ボードB1は、以下の構成、すなわち、互いに異なる定数を持った複数の外付け素子4と、それらのいずれを電源プラットフォームIC3と接続するかを、外部からの指示によって切り換え可能なスイッチとを評価ボードB1に設けておいて、コンピュータ5が評価ボードB1に指示して、外付け素子4の定数を自動的に設定する構成であってもよいが、本実施形態に係るコンピュータ5のパラメータ・定数決定部32は、上記決定された外付け素子4の定数をユーザに提示して、その定数の外付け素子4を電源プラットフォームIC3に接続するよう、ユーザに促している。
また、上記コンピュータ5には、終了処理部36が設けられており、上記パラメータ・定数決定部32は、評価部35の評価結果に基づいて、最適なパラメータおよび定数が見出されたか否かを判定し、見出されたと判定した場合は、さらなるパラメータおよび定数の設定と、その場合の測定値の測定とを繰り返すことを止めると共に、終了処理部35に、最適な設定値の探索が終了したときの処理として、予め定められた処理を行わせることができる。本実施形態では、上記終了処理部36は、上記終了処理として、最適なパラメータおよび定数を、コンピュータ5に設けられた記憶部37に格納できる。
なお、上記各部材31〜55並びに61〜64(一部後述)は、コンピュータ5または9(後述)のCPUが記憶装置に格納されたプログラムを実行し、図示しない入出力回路などの周辺回路を制御することによって実現される機能ブロックである。
上記評価部35は、より詳細には、測定結果としての出力電圧(平均値)と、上記仕様入力部31にて入力された出力電圧の目標値Vcとを比較する出力電圧評価部51と、測定結果としての入力電流(ピーク値)と、上記仕様入力部31にて入力された最大ピーク電流とを比較するピーク電流評価部52と、測定結果としての入出力電圧および入出力電流(いずれも平均値)から変換効率を算出し、当該実際の変換効率と、上記仕様入力部31にて入力された変換効率とを比較する変換効率評価部53と、測定結果としての出力電圧に基づいて、出力電圧Voutに重畳されているノイズ量を算出し、上記仕様として入力された最大ノイズ量と比較するノイズ量評価部54とを備えている。なお、上記ノイズ量評価部54は、例えば、測定結果としての出力電圧(ピーク値)と上記目標値Vcとの差をノイズ量として算出できる。
また、上記パラメータ・定数決定部32は、例えば、予め定められたテーブルや関数などによって、上記仕様入力部31が入力を受け付けた各仕様から、外付け素子4の各定数と、スイッチングトランジスタのサイズの初期値とを決定できる。
さらに、上記パラメータ・定数決定部32は、ピーク電流評価部52によって、最大ピーク電流を超過していると評価された場合、外付け素子4のうち、コイルL1のインダクタンスを増加させることができる。これにより、コイルL1が飽和してエネルギを蓄積できなくなり、コイルL1と電子回路IC2とに不所望に大きな電流が流れるという不具合が発生することを防止できる。
また、上記パラメータ・定数決定部32は、変換効率評価部53によって、変換効率が不足していると評価された場合は、スイッチングトランジスタのサイズを増大させることができる。ここで、スイッチングトランジスタのサイズを大きくすると、スイッチングトランジスタのON抵抗値が小さくなるので、スイッチングトランジスタ自体での電力損失を小さくすることができる。したがって、変換効率が不足している場合にスイッチングトランジスタのサイズを増大させることによって、スイッチングトランジスタ自体での電力損失を低減でき、電源回路P1の変換効率を向上できる。
なお、パラメータ・定数決定部32がパラメータ(この場合は、スイッチングトランジスタのサイズ)を増減する際の幅は、予め定められた値であってもよいし、評価結果および測定値の少なくとも一方に応じ、予め定められた手順で変更してもよい。また、パラメータ・定数決定部32は、ユーザからの入力を受け付け、それに応じて変更してもよい。
一方、上記パラメータ・定数決定部32は、変換効率評価部53によって、変換効率が仕様として入力された変換効率を超過していると評価された場合は、スイッチングトランジスタのサイズを縮小させることができる。
ここで、スイッチングトランジスタのサイズが大きくなると、寄生容量の静電容量値が大きくなり、電源回路P1の電力損失が逆に増大する虞れがある。さらに、寄生容量の静電容量値が大きくなると、当該寄生容量と外付け素子4との共振によって高調波が発生する虞れもある。さらに、スイッチングトランジスタのサイズが大きくなり、ON抵抗値が小さくなると、スイッチングトランジスタをスイッチングする際に発生するスイッチングノイズが大きくなってしまう。これらの高調波およびスイッチングノイズが、電源プラットフォームIC3(電源IC103)から電子回路IC2(電子回路IC102)への電源ラインおよびGNDラインに重畳されると、電子回路IC2内のロジック回路の判定電圧に影響して、当該ロジック回路、並びに、当該ロジック回路へ直接または間接に接続されている他の回路が誤動作する虞れがある。さらに、これらの高調波およびスイッチングノイズが、電源プラットフォームIC3(電源IC103)側に反射して、電源プラットフォームIC3(電源IC103)、または、電子回路IC2(電子回路IC102)に、不所望に大きな電流が流れたり、不所望に大きな電圧が印加されたりすると、これらのデバイスが破壊される虞れさえある。
したがって、仕様として入力された変換効率を超過していると評価された場合は、スイッチングトランジスタのサイズを縮小させることによって、スイッチングトランジスタのサイズが不所望に大きなサイズに設定されることを防止でき、スイッチングトランジスタのサイズが大き過ぎる場合に発生する上記各不具合の発生を抑制できる。
さらに、上記パラメータ・定数決定部32は、変換効率評価部53によって、変換効率が仕様として入力された変換効率を超過も不足もしていないと評価された場合であっても、出力電圧評価部51によって、測定された出力電圧Voutが目標値Vcに到達していないと判断された場合は、スイッチングトランジスタのサイズを増大させることができる。ここで、スイッチングトランジスタのサイズが大きくなり、スイッチングトランジスタのON抵抗に起因する電圧降下が減少すると、コイルL1に蓄積されるエネルギが大きくなり、出力電圧Voutを増加させることができる。したがって、パラメータ・定数決定部32が上記の場合にスイッチングトランジスタのサイズを増大させることによって、出力電圧Voutの不足を抑制できる。
一方、パラメータ・定数決定部32は、変換効率評価部53によって、変換効率が仕様として入力された変換効率を超過も不足もしていないと評価され、しかも、出力電圧評価部51によって、測定された出力電圧Voutが目標値Vcに到達していると判定された場合、スイッチングトランジスタのサイズを縮小させることができる。これにより、上記変換効率が仕様上の値を超過している場合と同様、スイッチングトランジスタのサイズが不所望に大きなサイズに設定されることを防止でき、スイッチングトランジスタのサイズが大き過ぎる場合に発生する上記各不具合の発生を抑制できる。
さらに、パラメータ・定数決定部32は、ノイズ量評価部54によって、上記実測されたノイズ量が上記仕様上許容される値(上記許容可能なノイズ量の最大値)を超過していると評価された場合は、スイッチングトランジスタのサイズを小さくすることができる。
ここで、スイッチングトランジスタのサイズが大きくなり、寄生容量の静電容量値が大きくなると、スイッチングトランジスタをON/OFFするためにスイッチングトランジスタに印加される制御信号(例えば、ゲート信号)が、寄生容量を介して、スイッチングトランジスタによってON/OFFされる信号線に伝わって、比較的大きな量のノイズが出力電圧Voutに重畳される虞れがある。
したがって、上記実測されたノイズ量が上記仕様上許容される値を超過していると評価された場合に、パラメータ・定数決定部32がスイッチングトランジスタのサイズを小さくすることによって、寄生容量を介して出力電圧Voutに重畳されるノイズ量を抑制できる。
例えば、変換効率での評価がスイッチングトランジスタのサイズの増大を示し、ノイズ量での評価がサイズの縮小を示している場合など、ある評価結果がスイッチングトランジスタのサイズの増大を示し、他の評価結果がスイッチングトランジスタのサイズの縮小を示している場合、パラメータ・定数決定部32は、予め設定された方の評価結果を優先して、スイッチングトランジスタのサイズを決定できる。具体的には、本実施形態に係るパラメータ・定数決定部32は、予め変換効率およびノイズ量のいずれを優先してスイッチングトランジスタのサイズを決定するかの入力を受け付け可能であり、予め変換効率を優先すると設定されている場合は、変換効率での評価結果を優先してスイッチングトランジスタのサイズを設定し、予めのノイズ量での評価結果を優先すると設定されている場合は、ノイズ量での評価結果を優先してスイッチングトランジスタのサイズを決定できる。
上記構成において、開発支援システム1が電源回路P1のパラメータとして、スイッチングトランジスタのサイズを決定する場合の動作について、図5〜図7を参照して説明すると、以下の通りである。
まず、図5に示すステップ1(以下では、S1のように略称する)において、本実施形態に係るコンピュータ5のパラメータ・定数決定部32は、例えば、変換効率での評価およびノイズ量での評価のうち、いずれを優先するかを示すボタンを表示するなどして、いずれを優先するかの入力を促す。
さらに、S2において、コンピュータ5の仕様入力部31は、上記S1にて優先すると入力した評価で必要な仕様の入力を受け付ける。
例えば、上記S1にて、変換効率での評価を優先すると設定された場合、仕様入力部31は、変換効率の仕様を決定するために、例えば、定格入力電圧、入力電流、定格出力電圧(目標値Vc)および定格出力電流の入力を促す画面を表示するなどして、それぞれの入力を促し、入力された定格入力電圧、入力電流、定格出力電圧(目標値Vc)および定格出力電流から、仕様上の変換効率(目標とする変換効率)を算出する。一方、上記S1にて、ノイズ量での評価を優先すると設定された場合、仕様入力部31は、許容可能なノイズ量の最大値の入力を受け付ける。
また、上記S2において、仕様入力部31は、外付け素子4の定数を決定するために必要な仕様と、出力電圧の目標値Vcとの入力を受け付ける。さらに、本実施形態に係る仕様入力部31は、上記いずれでの評価を優先すると入力した場合でも、それと矛盾しない仕様として、ピーク電流の最大値の入力を受け付ける。なお、本実施形態に係る仕様入力部31は、これらのうち、例えば、変換効率の算出にも使用される出力電圧の目標値Vcなど、複数の用途に用いられる仕様については、1度入力された値を、他の用途にも用い、同じ値を複数回入力することを防止している。
上記S2において、仕様が入力されると、パラメータ・定数決定部32は、S3において、スイッチングトランジスタのサイズの初期値を決定すると共に、S4において、当該スイッチングトランジスタのサイズと、上記S2にて入力された仕様とに基づいて、外付け素子4の定数を決定する。
上述したように、本実施形態に係る開発支援システム1では、定数が決定されると、ユーザは、当該定数の外付け素子4を評価ボードB1上に実装して、図1に示す電源回路P1を構成する。なお、後述するS5でのパラメータ設定およびS6での測定に先立って、電源11、電子回路IC2、コンピュータ5および測定器6も、評価ボードB1に接続される。
これらが評価ボードB1に接続され、外付け素子4が実装されると、コンピュータ5のパラメータ設定部33は、S5において、電源プラットフォームIC3へ、上記S2にて入力された出力電圧の目標値Vcと、スイッチングトランジスタのサイズとを指示する。
上記S5において、目標値Vcおよびスイッチングトランジスタのサイズが指定されると、電源回路P1は、動作を開始して、電子回路IC2へ電力を供給し始める。これにより、電子回路IC2が動作を開始する。
電源回路P1および電子回路IC2が動作を開始すると、コンピュータ5の測定結果入力部34は、例えば、測定器6へ指示するなどして、測定器6による測定結果の入力を受け付ける(S6)。
上記S6にて、測定結果が入力されると、S7において、コンピュータ5の評価部35は、測定結果を評価し、パラメータ・定数決定部32は、S8において、終了条件が成立し、最適なパラメータが求められたか否かを判定できる。
最適なパラメータが未だ求められていない場合(上記S8にてNOの場合)、パラメータ・定数決定部32は、S9において、上記S7での評価結果に基づいて、パラメータ(本実施形態では、スイッチングトランジスタのサイズ)を再決定すると共に、S10において、当該新たなパラメータと、上記S2にて入力された仕様とに基づいて、外付け素子4の定数を再決定する。さらに、上記S9およびS10の処理が終了すると、コンピュータ5は、上記S5以降の処理を繰り返す。
上記S5〜S10の処理は、最適なパラメータが求められるまでの間(上記S8にてNOの間)繰り返され、最適なパラメータが求められると(上記S8にてYES の場合)、終了処理部36は、S11において、当該最適なパラメータを、記憶部37に記憶して、ユーザに提示するなど、予め定められた終了処理を行う。
ここで、パラメータ・定数決定部32は、上記S8において、最適なパラメータが求められたか否か、すなわち、終了条件が成立したか否かを、予め入力された条件式と、その条件式で参照している実際の測定値(例えば、測定器6からの入力など)とに基づいて判定してもよいが、本実施形態に係るパラメータ・定数決定部32は、ユーザから、最適なパラメータが求められたか否かの入力を受け付け、それに基づいて、終了条件が成立したか否かを判定している。
なお、上記パラメータ・定数決定部32またはユーザが、終了条件を判定する際の判定基準としては、例えば、(1) 「電子回路ICに電力を正常に供給できているか否か(例えば、出力電圧安定度、リプル、ロードレギュレーション等が予め定められた条件を満足しているか否か)」、(2) 「効率(例えば、目標の効率を達成しているか否か)」、(3) 「ノイズ(例えば、電源プラットフォームIC3(電源IC103)の入力側・出力側のノイズピーク値が予め定めた許容範囲内に収まっているか否か)」が挙げられる。さらに、(4) 「電子回路IC2を実際に動作させ、その電子回路IC2の出力品質(例えば、電子回路IC2が画像処理を行う場合は、出力される画像の画質など)」であってもよい。また、一般に、これらの各判定基準は、相互に関連しているので、例えば、それらの組み合わせを予め定められた評価関数で評価するなど、それらの組み合わせを終了条件としてもよい。
各判定基準の相互関係について、さらに詳細に説明すると、例えば、負荷となる電子回路IC2(102)の電圧依存性が高ければ、それに応じた安定した電圧を供給する必要があり、上記判定基準の(1) を満たしていることを充分に確認する必要がある。ただし、この性能を求め、出力電圧の安定性を向上しようとすると、スイッチング周波数を早くしたり、外付け素子4(104)としてのコンデンサを大きくしたり、スイッチングトランジスタの電流駆動能力を上げたりする必要があるので、それにより、損失が増大したり、外付け素子のサイズが大きくなったりというデメリットが生じる虞れがある。したがって、負荷となる電子回路IC2(102)の電圧依存性が低い場合には、出力電圧の安定性を、そこまで考慮する必要はない。
また、変換効率についても、高いにこしたことはないものの、ある電源回路の変換効率を向上させても、回路全体としては、余り意味がなく、それよりも、ノイズや出力電圧の安定度など、他の条件を満足される方が望ましい場合がある。一例として、例えば、ある電源回路が、入力電圧5Vから出力電圧3Vを作ったとして、その後で、他の別のレギュレータが、当該3Vの出力から、1.8Vの出力電圧を生成するとする。この場合、5→3Vの効率を向上させたとしても、1.8Vへダウンコンバートする際に発生するレぎゅレータの効率が悪く、回路全体としては、上記5→3Vへ変換する際の変換効率に注力しても意味がないことがある。この場合、ユーザは、当該変換効率の向上を追求するよりも、ノイズ面だったり、出力の安定度だったり、外付け部品の面積効率だったりと別のカテゴリに注力する方が望ましい。このように、実際の回路では、ある程度以上の変換効率を満たしていれば、他の判定基準を満たす方が望ましい場合も多い。
同様に、ノイズについても、小さいにこしたことはないものの、それだけに注力するよりも、他の判定基準を満たす方に注力する方が望ましい場合も多い。ここで、ノイズ量の削減のみを追求しようと、例えば、電源IC103に必要な電源・GND端子数の増加が必要になって、パッケージサイズが大きくなったり、スイッチングトランジスタのON抵抗値を高く設定することが必要になって、変換効率が低下したりするなど、種々のデメリットが発生する可能性がある。したがって、ノイズ量は、一概に小さくすればよいというわけではなく、例えば、以下の程度、すなわち、電源プラットフォームIC3(電源IC103)の入力側・出力側のノイズピーク値が、電子回路IC2(102)の許容可能な値以下であり、電源側つまり供給側にどのくらいのノイズまで反射しても他のデバイスに影響を及ぼさない程度であれば、それ以上に削減するよりも、他の判定基準を満たす方に注力することが望まれる。
このように、上記各判定基準は、互いに影響を及ぼし合うため、どこを重視するかは、電子回路IC2(102)の用途などによって互いに異なり、ユーザは、それらを考慮して、どこを重視するかを判定し、例えば、パラメータ・定数決定部32へ、終了条件の判定手順(上述の条件式や評価関数を含む)を指示したり、終了条件の判定結果を入力したりしている。なお、ユーザは、電源プラットフォームIC3に電子回路IC2を実際に接続した状態で上述したパラメータの評価/検証を繰り返している際に、評価/検証結果、あるいは、電子回路IC2の出力品質などに基づいて、上記どこを重視するかを修正し、パラメータ・定数決定部32へ指示してもよい。
ここで、上記S9におけるスイッチングトランジスタのサイズの再決定について、さらに詳細に説明する。すなわち、図5に示すS1において、変換効率での評価を優先すると設定された場合、コンピュータ5のパラメータ・定数決定部32は、図6に示すS21〜S27の処理を行う。
具体的には、パラメータ・定数決定部32は、S21において、変換効率評価部53による評価結果に基づいて、変換効率の実測値が仕様上の値と一致しているか否かを判定する。一致していない場合(上記S21にて、NOの場合)パラメータ・定数決定部32は、S22において、変換効率評価部53による評価結果に基づいて、変換効率の実測値が仕様上の値を下回っているか否かを判定し、下回っている場合(YES の場合)、S23にて、スイッチングトランジスタのサイズをより大きな値に設定して、変換効率に基づくサイズの再決定処理を終了する。これとは逆に、上記S22にて、上回っていると判定した場合(NOの場合)、パラメータ・定数決定部32は、S24において、スイッチングトランジスタのサイズをより小さな値に設定して、変換効率に基づくサイズの再決定処理を終了する。
一方、上記S21において、一致していると判断された場合(YES の場合)、パラメータ・定数決定部32は、S25において、出力電圧評価部51による評価結果に基づいて、出力電圧Voutの実測値(平均値)が目標値Vcに到達しているか否かを判定し、到達している場合(YES の場合)、S26において、スイッチングトランジスタのサイズをより小さな値に設定して、出力電圧に基づくサイズの再決定処理を終了する。これとは逆に、上記S25において目標値Vcに到達していないと判定した場合(NOの場合)、S27において、スイッチングトランジスタのサイズをより大きな値に設定して、出力電圧に基づくサイズの再決定処理を終了する。
また、図5に示すS1において、ノイズ量による評価を優先すると設定した場合は、図7に示すS31およびS32の処理が行われる。すなわち、パラメータ・定数決定部32は、S31において、ノイズ量評価部54による評価結果に基づいて、出力電圧Voutに重畳されたノイズ量が仕様上許容された値を超えているか否かを判定し、超えている場合は、S32において、スイッチングトランジスタのサイズをより小さな値に設定して、ノイズ量に基づくサイズの再決定処理を終了する。
なお、いずれを選択した場合であっても、パラメータ・定数決定部32は、図5に示すS9において、ピーク電流評価部52での評価結果に基づいて、入力電流のピーク値が最大ピーク電流を超えているか否かを判定し、超えている場合は、コイルL1のリアクタンスを増加させる。
なお、上記では、一例として、電源回路(P1・P101)が昇圧型チョッパ方式の電源回路について説明したが、例えば、降圧型チョッパ方式および反転型チョッパ方式をはじめとして、他の方式のスイッチング電源回路であっても、その電源回路の出力電圧と目標値とを比較し、その誤差が少なくなるように、スイッチングトランジスタのデューティ比を制御できるように、上記スイッチング制御回路(13・113)を構成すれば、それら種々の方式のスイッチング電源回路のパラメータを決定する際に広く適用できる。特に、出力電圧および目標値を絶対値とした場合、昇圧、降圧、反転型のチョッパ方式のスイッチング電源回路同士の間では、出力電圧および目標値を絶対値とした場合、出力電圧(絶対値)が目標値(絶対値)よりも大きくなろうとすると、スイッチングトランジスタのデューティ比を小さくし、出力電圧(絶対値)が目標値(絶対値)よりも小さくなろうとすると、スイッチングトランジスタのデューティ比を大きくする点では、互いに同じなので、1つの電源プラットフォームIC3を、これら各方式のスイッチング電源回路間で共通して使用できる。
以上のように、本実施形態に係る開発支援システム1において、電源プラットフォームIC3は、コンピュータ5の指示に応じて、電源回路P1のパラメータのうち、予め定められたパラメータ(本実施形態では、スイッチングトランジスタのサイズ)を種々の値に変更しながら、開発段階の電子回路IC2へ電力を供給できる。したがって、実際の電子回路IC2を電源プラットフォームIC3に実際に接続した状態で、スイッチングトランジスタのサイズとして、いずれの値が好適であるかを検証/評価できる。
この結果、開発段階にある電子回路IC2(電子回路IC102)の負荷モデルの抽出や、その抽出したモデルを使用してのシミュレーション等、時間およびスキルの要する作業を行うことなく、電源回路P1(P101)のスイッチングトランジスタのサイズを含むパラメータの好適な値を決定できる。
したがって、負荷モデルの抽出作業およびシミュレーションに要する時間を確保するために、電子回路IC2(102)が完成する前の暫定的な仕様に基づいて、確度の低いシミュレーションを行うと共に、シミュレーション結果と相違していても、電源回路P1(P101)が正しく動作するように、比較的大きなマージンを持って電源回路を設計する構成よりも、電源回路および電子回路ICからなるシステム全体の消費電力を削減できる。また、IC内に複数の電源回路を用意しておき、それらのうちの適切な電源回路のみを電子回路ICとを接続する構成よりも、システム全体の回路規模を削減できる。これらの結果、システムの製造コストを大幅に抑制できる。
なお、電源プラットフォームIC3には、スイッチングトランジスタアレイ12が設けられているが、完成品となる回路101の電源回路P101では、当該スイッチングトランジスタアレイ12によって提供可能な種々のサイズのスイッチングトランジスタのうち、好適なサイズのスイッチングトランジスタ112のみが設けられている。また、電源回路P101では、電源プラットフォームIC3とは異なって、スイッチングトランジスタのサイズ等を制御するための回路(制御回路16)も省略されている。したがって、IC内に複数の電源回路を用意しておき、それらのうちの適切な電源回路のみをデバイスとを接続する構成よりも、システム全体の回路規模を大幅に削減できる。
加えて、シミュレーションでは確認しにくい項目として、高調波などの環境に対する問題が挙げられるが、本実施形態に係る開発支援システム1では、上述したように、実際の電子回路IC2を電源プラットフォームIC3に実際に接続した状態で、電源回路P1のパラメータを検証/評価できるので、当該環境に対する問題の発生も抑制できる。
より詳細には、電力を供給するために内蔵されたスイッチングトランジスタのターンオン・ターンオフ時には、その寄生容量と外付け素子とによって、スイッチングノイズが発生する。また、スイッチングトランジスタのターンオン・ターンオフ時に貫通電流が発生すると、貫通電流ノイズが発生する。
製品化した際(回路101を構成したとき)に、上記ノイズが発生すると、その高調波は、高調波ノイズとなり、当該高調波ノイズは、電源側やGNDラインから他のデバイスへ影響を及ぼして、誤動作の原因になるだけではなく、最悪の場合、そのデバイスの破損の原因になる可能性がある。さらに、扱う電力が大きい場合には、当該高調波ノイズが、人体に影響を及ぼす電磁波の原因になる可能性も否定できない。
ただし、当該高調波ノイズが発生するか否か、および、発生する高調波ノイズの程度は、外付け素子によっても大きく影響をうけることから、上記の通り、シミュレーションによって、その検証を事前に評価することは非常に困難である。
したがって、シミュレーションによって検証/評価した場合には、高調波などの環境に対する問題が発生する虞れがある。
これに対して、上記開発支援システム1では、実際の電子回路IC2を電源プラットフォームIC3に実際に接続した状態で、電源回路P1のパラメータ(本実施形態では、スイッチングトランジスタのサイズ)を検証/評価できるので、当該環境に対する問題の発生も抑制できる。
以上のように、本実施形態に係る開発支援システム1では、該電源半導体集積回路の負荷となるデバイスに必要とされる電力をドライブするスイッチングトランジスタを複数個有し、かつそれらを選択的に制御する論理回路としての制御回路16とを有する専用集積回路によって、この負荷デバイスの負荷モデルの抽出やその抽出したモデルを使用してのシミュレーションなど、時間とスキルの要する作業を行う必要もなく、最適なスイッチングトランジスタのサイズを抽出することができる。
より詳細には、上記電源プラットフォームIC3は、そのスイッチングトランジスタサイズを選択により可変させることにより、もっとも高効率でかつノイズが少ない条件を実デバイスで評価し最適化することができる。
例えば、図3に示す構成例では、いくつのスイッチングトランジスタを同時に動作させるかをセレクタ回路22によって決定し、その上で、スイッチング制御回路13から入力されてくるスイッチング信号によって選択されたスイッチングトランジスタ21のみを動作させ、負荷デバイスとなる電子回路IC2に電力を供給する。
この選択作業を何度か繰り返すことによって最適なスイッチングトランジスタサイズを決定し、選択信号設定値を、この負荷デバイスに最適な設計目標とすることができる。これをもとに作成された電源IC103は、実デバイス・実外付け部品によって検討されていることから、変換効率がよくかつ低ノイズになる。
さらに、本実施形態に係る開発支援システム1では、該電源半導体集積回路の負荷となる負荷デバイスに必要とされる電力をドライブする選択可能な複数個のスイッチングトランジスタと、その選択を行うために論理回路以外に、基準電圧を作成するリファレンス回路と、その基準電圧を用いて該電源半導体集積回路の負荷となるデバイスに出力する電圧の誤差を検出し目標の電圧になるようスイッチングトランジスタのスイッチング制御信号を送る制御回路としてのスイッチング制御回路13と、その目標電圧を任意に外部から選択できる手段を要する論理回路としての制御回路16とを有する専用集積回路によって、この負荷デバイスの負荷モデルの抽出やシミュレーション等の、時間とスキルの要する作業を行う必要もなく、最適なスイッチングトランジスタのサイズを抽出することができ、かつ負荷デバイスへの印加電圧を変更し評価できる環境を提供することによって、その負荷デバイスの最適な動作条件をユーザが入手できる。
〔第2の実施形態〕
ところで、上記第1の実施形態では、例えば、電源回路P1がチョッパ型の場合のように、電源回路P1内のスイッチングトランジスタが1つのスイッチングトランジスタと等価である場合(電源回路P1内に互いに異なるタイミングでON/OFFしているスイッチングトランジスタがない場合)について説明した。
これに対して、本実施形態では、例えば、電源回路が同期整流型のスイッチング電源である場合やチャージポンプ型のスイッチング電源である場合など、電源回路内に、互いに異なるタイミングでON/OFFしているスイッチングトランジスタがある場合に使用される開発支援システム1aについて説明する。
以下では、電源回路が同期整流型のスイッチング電源である場合を例にして説明する。すなわち、本実施形態において、完成品となる回路101aでは、図8に示すように、電源回路P101aとして、同期整流型のスイッチング電源が設けられている。
当該電源回路P101aの電源IC103aには、電源111に接続された端子T1と接地された端子T2との間に、2つの互いに直列に接続されたスイッチングトランジスタ1121・1122が設けられている。
さらに、上記両スイッチングトランジスタ1121・1122の接続点に接続された端子T3は、コイルL101を介して、電源回路P101aの出力端子Toutに接続されている。さらに、出力端子Toutは、コンデンサC101を介して接地されている。また、出力端子Toutと接地レベルとの間には、負荷としての電子回路IC102が接続されている。なお、本実施形態では、上記コイルL101およびコンデンサC101が外付け素子104aとなる。
また、上記出力端子Toutの出力電圧Voutは、端子Tadjを介して、電源IC103a内のスイッチング制御回路113aに印加されている。当該スイッチング制御回路113aは、電源IC103a内に設けられたリファレンス回路112から印加される基準電圧によって動作しており、上記両スイッチングトランジスタ1121・1122のON/OFFを個別に制御できる。
より詳細には、スイッチング制御回路113aは、両スイッチングトランジスタ1121・1122のうち、電源11に接続されている方のスイッチングトランジスタ1121を繰り返しON/OFFして、ON時にコイルL101にエネルギを蓄積できる(チャージ動作)。一方、スイッチングトランジスタ1121がOFFされてから、予め定められた遅延時間が経過すると、スイッチング制御回路113aは、スイッチングトランジスタ1122をONする。これにより、接地された端子T2およびスイッチングトランジスタ1122を介して、コイルL101に電流が供給される。この結果、電源回路P1aの出力端子Toutは、電源11から切断されているにも拘わらず、電子回路IC2へ電力を供給できるディスチャージ動作)。
さらに、スイッチング制御回路113aは、スイッチングトランジスタ1122のON期間が経過すると、スイッチングトランジスタ1122をOFFし、その後、予め定められた遅延時間が経過すると、スイッチングトランジスタ1121をONする。ここで、スイッチング制御回路113aは、例えば、両スイッチングトランジスタ1121・1122のON期間の少なくとも一方を制御するなどして、上記スイッチングトランジスタ1121のデューティ比を、上記端子Tadjを介して印加される出力電圧Voutに応じて制御している。なお、図では、説明の便宜上、出力電圧Voutの端子Tadjへの印加の図示を省略している。
さらに詳細には、スイッチング制御回路113aは、出力電圧Voutが目標値Vcを超過しようとすると、デューティ比を低く設定し、目標値Vcを下回ろうとすると、デューティ比を高く設定する。これにより、電源回路P101aは、電子回路IC102の負荷変動や入力電圧Viの変動などに拘わらず、一定の電圧Vcを、電子回路IC102に供給できる。
ここで、通常のスイッチング電源では、スイッチングトランジスタ1122の代わりにダイオードD1によってGND端子とコイルとを接続してディスチャージ動作時のループを形成しているが、このダイオードに電流が流れるときに発生するダイオードの順方向電圧が高い為、それによって生じる電力損失が高い。
これに対して、同期整流型のスイッチング電源では、ディスチャージ動作の時にスイッチングトランジスタ1122をONさせてループを形成する為、その時の電圧降下は、小さく(約1/4以下)、結果、電力損失も低い。
ただし、この同期整流型スイッチング電源は、スイッチングトランジスタ121とスイッチングトランジスタ122とは、入力端子とGND端子との間に直列に接続されているため、同時にONするタイミングが生じると入力端子とGND端子との間をショートすることとなり、多大な電力損失を発生してしまう。このため、この2つのトランジスタの立ち上がり時間、立ち下り時間を鑑みて、2つのトランジスタが両方OFFする時間、すなわち、ディレイ時間を作成する必要がある。
ここで、上記両スイッチングトランジスタ1121・1122のサイズ、並びに、一方がOFFしてから他方がONするまでの遅延時間は、本実施形態に係る電源プラットフォームIC3aを電子回路IC2に接続して検証/評価された好適な値に設定されている。
本実施形態に係る開発支援システム1aは、図9に示すように、図1に示す開発支援システム1と略同様の構成であるが、電源プラットフォームIC3に代えて、電源プラットフォームIC3aが設けられている。
当該電源プラットフォームIC3aは、各スイッチングトランジスタのサイズだけではなく、各スイッチングトランジスタをON/OFF制御する際の遅延時間をも、外部からの指示に応じて設定できる。また、本実施形態に係る電源プラットフォームIC3aは、図1に示す電源プラットフォームIC3と同様に、出力電圧の目標値Vcも、外部からの指示に応じて設定できる。
具体的には、本実施形態に係る電源プラットフォームIC3aは、電源回路P101aに設けられるスイッチングトランジスタの数以上のスイッチングトランジスタアレイ121a…を備えている。なお、図9の例では、電源プラットフォームIC3aには、電源回路P101aと同じく、2つのスイッチングトランジスタアレイ121a・122aが設けられている。なお、各スイッチングトランジスタアレイ121a・122aの構成は、図1に示すスイッチングトランジスタ12と同一である。
また、スイッチングトランジスタアレイ121aの両端は、電源プラットフォームIC3aの端子T1およびT2に接続されている。また、スイッチングトランジスタ122aの両端は、電源プラットフォームIC3aの端子T3およびT4に接続されている。
さらに、電源プラットフォームIC3aには、図1に示す制御回路16と略同様の制御回路16aが設けられている。ただし、当該制御回路16aは、制御回路16とは異なって、1つのスイッチングトランジスタアレイではなく、2つのスイッチングトランジスタアレイ121a・122aへ、スイッチングトランジスタのサイズを指示できる。なお、図9では、制御回路16aによるスイッチングトランジスタアレイ121a・122aへの指示を破線で示している。
また、電源プラットフォームIC3aは、図8に示すスイッチング制御回路113aおよびリファレンス回路114と略同様のスイッチング制御回路13aおよびリファレンス回路14を備えている。
ただし、スイッチング制御回路13aおよびリファレンス回路14は、図1に示すスイッチング制御回路13およびリファレンス回路14と同様に、コンピュータ5aからの指示に応じて、出力電圧の目標値Vcを変更できる。さらに、本実施形態では、スイッチング制御回路13aと各スイッチングトランジスタアレイ121a・122aとの間に、ディレイ時間設定部17aが設けられており、両スイッチングトランジスタ121a・122aの一方を構成するスイッチングトランジスタがOFFしてから、他方を構成するスイッチングトランジスタがONするまでの遅延時間を、外部からの指示に応じて変更できる。これに伴なって、上記制御回路16aは、コンピュータ5aからの指示に応じた遅延時間を示すディレイ時間設定信号を、ディレイ時間設定部17aへ出力できる。
また、本実施形態に係る評価ボードB1aでは、上記電源プラットフォームIC3aの端子T2およびT3が短絡されており、両端子T2・T3の接続点が、コイルL1を介して、出力端子Toutに接続されている。また、出力端子Toutは、コンデンサC1を介して接地されていると共に、負荷となる電子回路IC2を介して接地されている。さらに、図8に示す電源回路P101aと同様に、出力端子Toutの電圧Voutは、電源プラットフォームIC3aの端子Tadjを介して、スイッチング制御回路13aに印加されている。また、電源プラットフォームIC3aの端子T1は、電源11に接続されていると共に、端子T4は接地されている。
一方、本実施形態に係るコンピュータ5aは、図4に示すコンピュータ5と略同様の構成であるが、図10に示すように、評価部35において、出力電圧Voutに重畳しているノイズの種類を判定するノイズ種別評価部55が加えられており、本実施形態に係るパラメータ・定数決定部32aは、ノイズ種別評価部55での評価結果も参照して、上記遅延時間を含むパラメータを決定できる。これに伴なって、本実施形態に係るパラメータ設定部33は、上記制御回路16aを介して、電源プラットフォームIC3aのディレイ時間設定部17aへ遅延時間を指示できる。
より詳細には、本実施形態に係るノイズ種別評価部55は、出力電圧Voutに重畳しているノイズが、スイッチングトランジスタへの制御信号に起因するノイズであるか、主となるスイッチングトランジスタ(この場合は、電源11とコイルL1との間に配されたスイッチングトランジスタアレイ121aを構成するスイッチング)のONに起因するノイズであるか、あるいは、主となるスイッチングトランジスタのOFFに起因するノイズであるかを判定できる。ここで、ノイズ種別評価部55は、詳細は後述するように、出力電圧Voutの波形に基づいて、いずれの種類のノイズであるかを自動判定してもよいが、本実施形態に係る測定結果入力部34は、例えば、いずれの種類のノイズであるかの入力を促す画面を表示してユーザに選択させるなどして、いずれの種類のノイズであるかの入力を受け付け、ノイズ種別評価部55は、当該入力によって、いずれの種類のノイズであるかを判定している。
一方、パラメータ・定数決定部32aは、図4に示すパラメータ・定数決定部32と略同様に動作して、スイッチングトランジスタのサイズを含むパラメータを決定できるが、上記のように、遅延時間を設定できる点と、ノイズ種別評価部55での評価に応じてもスイッチングトランジスタのサイズを決定できる点とが異なっている。
具体的には、パラメータ・定数決定部32aは、ノイズ種別評価部55によって、ノイズがスイッチングトランジスタの制御信号に起因するノイズであると判定され、しかも、ノイズ量評価部54によって、ノイズ量が上記仕様上許容される値を超過していると判定された場合、第1の実施形態に係るパラメータ設定部33と同様に、スイッチングトランジスタ121aを構成するスイッチングトランジスタのサイズと、スイッチングトランジスタ122aを構成するスイッチングトランジスタのサイズとをより小さな値に変更できる。
さらに、パラメータ・定数決定部32aは、ノイズ種別評価部55によって、ノイズが主となるスイッチングトランジスタのONに起因するノイズであると判定され、しかも、ノイズ量評価部54によって、ノイズ量が上記仕様上許容される値を超過していると判定された場合は、上記遅延時間をより長い値に変更できる。
また、パラメータ・定数決定部32aは、ノイズ種別評価部55によって、ノイズが主となるスイッチングトランジスタのOFFに起因するノイズであると判定され、しかも、ノイズ量評価部54によって、ノイズ量が上記仕様上許容される値を超過していると判定された場合は、上記遅延時間をより短い値に変更できる。
上記構成では、図7に示す各工程S31・S32に加えて、図11に示す各工程S33〜S34が実施される。すなわち、S31において、ノイズ量が多いと判断された場合、パラメータ・定数決定部32aは、S33において、そのノイズの種類を判定し、制御信号に起因するノイズであった場合(上記S33にて、制御信号の場合)は、S32において、上記両スイッチングトランジスタのサイズをより小さな値に設定して、ノイズに関係するパラメータの再設定処理を終了する。
一方、上記S33にて、主となるスイッチングトランジスタのONに起因するノイズであった場合(上記S33にて、ONの場合)、パラメータ・定数決定部32aは、S34において、上記遅延時間をより長い値に設定して、ノイズに関係するパラメータの再設定処理を終了する。また、上記S33にて、主となるスイッチングトランジスタのOFFに起因するノイズであった場合(上記S33にて、OFFの場合)、パラメータ・定数決定部32aは、S35において、上記遅延時間をより短い値に設定して、ノイズに関係するパラメータの再設定処理を終了する。
ここで、遅延時間が短過ぎると、上記両スイッチングトランジスタが同時にONしている期間が発生し、貫通電流が流れてしまう。当該貫通電流は、出力電圧Voutにノイズを重畳させるだけではなく、電源回路P1a(P101a)の消費電力を大幅に低下させてしまう。
一方、上記遅延時間が長過ぎると、上記両スイッチングトランジスタが同時にOFFしている期間が長くなる。当該同時にOFFしている期間は、負荷となる電子回路IC2へ電力を供給できない無効期間となるため、この期間が長くなると、主となるスイッチングトランジスタのOFFに起因するノイズが大きくなるだけではなく、電源回路P1aのスイッチング周波数が高速になっていくと、最悪の場合、負荷となる電子回路IC2へ充分な負荷電流を供給できなくなる虞れさえある。
ここで、上記各スイッチングトランジスタの立ち上がり時間および立ち下がり時間は、スイッチングトランジスタの制御信号端子の容量(ゲート容量)、各スイッチングトランジスタをスイッチングトランジスタを駆動している前段のトランジスタの能力だけでは決定されず、負荷となる電子回路IC2のAC的な負荷電流特性や外付け素子4の影響も受けるため、最適な値を決定することが難しい。したがって、シミュレーションなどによって遅延時間を決定する場合には、上述した、曖昧な仕様に対するリスクと、簡略化モデルによるシミュレーションの確度低下に対するリスクとの2重のリスクに対して、2重のマージンを確保する必要があり、遅延時間を最適な値に近づけることが難しい。
これに対して、本実施形態に係る開発支援システム1aでは、主となるスイッチングトランジスタのONに起因するノイズ量が多いときには、パラメータ・定数決定部32aが上記遅延時間をより長く設定している。この結果、両スイッチングトランジスタが同時にONしている期間の発生を抑制できる。これにより、主となるスイッチングトランジスタのONに起因するノイズ量を低減できるだけではなく、電源回路P1(P101)の消費電力も低減できる。
また、上記パラメータ・定数決定部32aは、主となるスイッチングトランジスタのOFFに起因するノイズ量が多い場合、上記の場合に上記遅延時間をより短い値に変更している。したがって、上記遅延時間が長過ぎる場合の不具合の発生を抑制できる。
このように、本実施形態に係る開発支援システム1aでは、上記のように、電源プラットフォームIC3aと電子回路IC2とを実際に接続した状態で、その電子回路IC2を接続した場合に適した遅延時間を検証/評価することができ、その電子回路IC2を接続した場合に適した遅延時間を、余り大きなマージンを設けることなく決定できる。
なお、上記では、ユーザの入力によって、ノイズ種別評価部55がノイズの種類を判定する構成について説明したが、これに限るものではない。例えば、測定結果入力部34が測定器6から出力電圧Voutの波形の入力を受け付けている場合、ノイズ種別評価部55が出力電圧Voutの波形に基づいて、いずれの種類のノイズであるかを判定してもよい。例えば、ノイズ種別評価部55が出力電圧Voutの波形に基づいて、スイッチングトランジスタアレイ121aのスイッチングトランジスタのONタイミングおよびOFFタイミングを抽出すると共に、当該出力電圧Voutの波形と予め記憶された理想的な波形とを比較するなどして、ノイズの波形を抽出する。さらに、ノイズ種別評価部55は、ノイズのピークのタイミングを、スイッチングトランジスタのONタイミングおよびOFFタイミングとを比較して、例えば、スイッチングトランジスタのONタイミングとの差が予め定められた時間以内であれば、スイッチングのONに起因するノイズであると判定し、OFFタイミングとの差が予め定められた時間以内であれば、スイッチングトランジスタのOFFに起因するノイズであると判定する。一方、いずれでもなければ、スイッチングトランジスタへの制御信号に起因するノイズと判定する。
以上のように、本実施形態にかかる開発支援システム1aでは、電源半導体集積回路の負荷となるデバイスに必要とされる電力をドライブする複数個のスイッチングトランジスタをいくつかのグループに選別的に制御する論理回路としての制御回路16と、そのグループ毎に遅延を発生させる遅延回路としてのディレイ時間設定部17aと、その遅延時間を選択的に制御する論理回路としての制御回路16とを有する専用集積回路によって、この負荷デバイスの負荷モデル、外付け素子の寄生効果によるドライバ遅延時間モデルの抽出やその抽出したモデルを使用してのシミュレーションなど、時間とスキルを要する作業を行う必要もなく、適切なスイッチングトランジスタサイズや複数のスイッチングトランジスタの同時ON防止用ディレイ時間を抽出することができる。
このように、このディレイ時間を決定する1パラメータであるスイッチングトランジスタサイズの変更だけではなく、そのディレイ時間そのものも負荷デバイスを接続した状態で、任意に可変し検討を行う電源デバイスを提供することにより、大電力・高効率な電源デバイスを構成することができる。
さらに、本実施形態に係る開発支援システム1aでは、該電源半導体集積回路の負荷となるデバイスに必要とされる電力をドライブする複数個のスイッチングトランジスタをいくつかのグループに選別的に制御する論理回路と、そのグループ毎に遅延を発生させる遅延回路と、その遅延時間を選択的に制御する論理回路以外に、基準電圧を作成するリファレンス回路と、その基準電圧を用いて該電源半導体集積回路の負荷となるデバイスに出力する電圧の誤差を検出し目標の電圧になるようスイッチングトランジスタのスイッチング制御信号を送る制御回路としてのスイッチング制御回路13と、その目標電圧を任意に外部から選択できる手段を要する論理回路としての制御回路16とを有する専用集積回路によって、この負荷デバイスの負荷モデルの抽出やシミュレーション等の、時間とスキルの要する作業を行う必要もなく、最適なスイッチングトランジスタのサイズを抽出することができ、かつ負荷デバイスへの印加電圧を変更し評価できる環境を提供することによって、その負荷デバイスの最適な動作条件をユーザが入手できる。
〔第3の実施形態〕
ところで、上記第1および第2の実施形態では、電源回路がスイッチング電源である場合について説明した。これに対して、本実施形態では、電源回路がリニアレギュレータである場合について説明する。
本実施形態において、完成品となる回路101bでは、図12に示すように、電源回路P101bがリニアレギュレータとして構成されている。具体的には、本実施形態に係る電源IC103bでは、電源111から入力電圧Vinが印加される端子T1と、電源回路P101bの出力端子Toutを介して電子回路IC102に接続される端子T2との間には、ドライバトランジスタ112bが設けられている。また、電源IC103bは、その端子Tadjを介して印加される出力電圧Voutに応じたレベルの制御信号を上記ドライバトランジスタ112bの制御端子(例えば、ゲート端子)へ与えるドライバ制御回路113bと、当該ドライバ制御回路113bへ基準電圧を供給するリファレンス回路114bとを備えている。さらに、上記電源IC103bにおいて、上記ドライバトランジスタ112bの出力端子(端子T2に接続されている端子)と制御端子との間には、位相補償回路118が設けられており、当該位相補償回路118は、電源回路P101bの出力の位相遅れを補償して、出力電圧Voutが変化してから、それに応じて、ドライバトランジスタ112bが制御されるまでの制御システムの利得および位相余裕を適切な値に設定できる。
これにより、電源回路P101bは、電源111から供給された電圧Vinを電子回路IC102に必要な電圧分だけ降圧し、降圧後の電圧Voutを電子回路IC102に供給できる。ここで、ドライバ制御回路113bは、上記端子Tadjに印加された出力電圧Voutに応じて、降圧させる電圧を制御しており、出力電圧Voutが目標値Vcを超えようとすると、より大きく降圧させるようにドライバトランジスタ112bを制御する。これとは逆に、出力電圧Voutが目標値Vcを下回ろうとすると、ドライバ制御回路113bは、降圧量を小さくするように、ドライバトランジスタ112bを制御する。これにより、電源回路P101bは、電源111からの入力電圧Viの変動や電子回路IC102の負荷変動が発生しても、何ら支障なく、安定した電圧Voutを、電子回路IC102に供給できる。
また、上記ドライバ制御回路113bは、ソフトスタートの機能も有しており、電源回路P101bの電源投入時点から、予め定められたソフトスタート期間の間、ドライバトランジスタ112bのインピーダンスを定常状態よりも低く制御できる。これによって、電源投入時に不所望に大きな電流が、電源111から電源回路P101bを介して電子回路IC102に流れるという不具合の発生を防止できる。
このソフトスタート機能とは、レギュレータ起動時に出力端子に接続されている負荷デバイスや平滑コンデンサへに流れ込む貫通電流を低減し、入力端子に接続されている電源側の負担を減らす動作を行う機能のことである。
この手法としては、ドライバのON抵抗を十分に高くしておき、起動時には電流制限をかけることが一般的な手法だが、この制限をきつくするとレギュレータの起動時間は長くなってしまう。
この電流制限値の最適値は入力側の電源のインピーダンス・過電流保護定数、そして負荷デバイスの立ち上がり時負荷特性によって決定している。この最適なソフトスタートを正確に検討するためには、この条件が必要となる。
ここで、上記ドライバトランジスタ112bのサイズ、および、上記ソフトスタート期間の長さは、本実施形態に係る電源プラットフォームIC3bを電子回路IC2に接続して検証/評価された好適な値に設定されている。
なお、本実施形態に係る電源プラットフォームIC3bでは、選択信号を使用してドライバのインピーダンスを段階的に低下させていくことにより、そのソフトスタートの最適化を図っており、この最適化されたインピーダンス移行時間及びドライバのサイズを抽出することができる。
より詳細には、本実施形態に係る開発支援システム1bは、図1に示す開発支援システム1と略同様の構成であるが、図13に示すように、電源プラットフォームIC3に代えて、電源プラットフォームIC3bが設けられており、当該電源プラットフォームIC3bを用いることによって、電源回路P1bとして、図12と同様のリニアレギュレータが形成されている。
上記電源プラットフォームIC3bは、ドライバトランジスタのサイズおよびソフトスタート期間の長さを外部からの指示に応じて設定可能であり、図13に示すドライバ制御回路113bおよびリファレンス回路114bと同様のドライバ制御回路13bおよびリファレンス回路14bとを備えている。ただし、本実施形態にかかる電源プラットフォームIC3bでも、上記各実施形態と同様、外部からの指示に応じて、出力電圧の目標値Vcを変更可能であり、上記ドライバ制御回路13bおよびリファレンス回路14bは、上記各実施形態に係るスイッチング制御回路およびリファレンス回路と同様に、外部からの指示に応じて、出力電圧Vcを変更できるように構成されている。
さらに、本実施形態に係る電源プラットフォームIC3bには、図13に示すドライバトランジスタ112bとは異なって、端子T1およびT2の間に、ドライバトランジスタアレイ12bが設けられており、ドライバトランジスタアレイ12bに関連して、位相補償アレイ18bが設けられている。
上記ドライバアレイ12bは、図14に示すように、互いに並列に接続された複数のドライバトランジスタ21b…と、ドライバ制御回路13bからのドライバ制御信号を各ドライバトランジスタ21b…の制御端子(図の例では、ゲート端子)に伝えるか否かを選択するアナログスイッチ22b…とを備えている。上記各アナログスイッチ22bは、それぞれに対応する選択信号に応じて、それぞれに対応するドライバトランジスタ21bの制御端子へ上記ドライバ制御信号を伝えるか否かを制御できる。
一方、位相補償アレイ18bは、上記各選択信号に対応するスイッチ23b…と位相補償回路24b…とを備えている。同一の選択信号に対応するスイッチ23bと位相補償回路24bとは、互いに接続されており、スイッチ23bおよび位相補償回路24bからなる直列回路の一端は、ドライバアレイ12bの出力端子(上記端子T2に接続されている端子)に接続されている。一方、上記直列回路の他端は、上記対応する上記アナログスイッチ22bがONしている場合に上記対応するドライバトランジスタ21bの制御端子に接続されるように構成されている。なお、図の例では、上記直列回路の他端は、ドライバアレイ12bにおいて、上記ドライバ制御信号が印加される端子に接続されている。また、上記各位相補償回路24bによる位相補償定数は、それぞれに対応するドライバトランジスタ21bに起因する、電源回路P1bの出力の位相遅れを補償できるように設定されている。
上記構成では、選択信号によって、あるドライバトランジスタ21bが有効になると、それに連動して、当該ドライバトランジスタ21bの出力端子と制御端子との間に、それに対応する位相補償回路24bが接続される。したがって、ドライバトランジスタのサイズが変更され、適切な位相補償特性が変化しても、それに連動して、それに適した位相補償定数に変更できる。この結果、いずれのドライバトランジスタ21b、あるいは、それらの組み合わせを有効にする場合であっても、何ら支障なく、電源回路P1bの出力の位相遅れを補償できる。
また、上記電源プラットフォームIC3bには、図1に示す制御回路16と略同様の制御回路16bが設けられている。ただし、本実施形態では、スイッチングトランジスタのサイズではなく、ドライバトランジスタのサイズを制御するので、制御回路16bは、スイッチングトランジスタアレイ12へ選択信号を出力する代わりに、コンピュータ5から指示されたサイズに応じて、各ドライバトランジスタ21b…を有効にするか否かを示す選択信号を上記ドライバアレイ12bへ出力できる。
さらに、本実施形態に係る制御回路16bは、定常状態では、ある数のドライバトランジスタ21bを有効にする場合であっても、電源を投入してから、予め定められたソフトスタート期間が経過するまでの間は、例えば、それらのドライバトランジスタ21bを、予め定められた時間をおいて順番に有効に設定するなどして、有効に設定されているドライバトランジスタ21bの数を、段階的に増加させることができる。ここで、コンピュータ5bは、有効に設定されているドライバトランジスタ21bの数を、段階的に増加させるタイミングになる度に制御回路16bへ指示してもよいが、本実施形態に係るコンピュータ5は、ソフトスタート期間の長さを示す情報を制御回路16bへ指示しており、制御回路16bは、電源投入タイミングと、当該情報とに基づいて、有効に設定されているドライバトランジスタ21bの数を、段階的に増加させるタイミングを決定している。
これにより、電源プラットフォームIC3bは、ソフトスタート期間の間、定常状態と比較して、ドライバトランジスタアレイ12bのインピーダンスを低く抑えることができる。また、電源プラットフォームIC3bは、外部からの指示に応じて、ソフトスタート期間の長さを変更できる。
一方、本実施形態に係るコンピュータ5bは、図4に示すように、コンピュータ5と略同様の構成である。ただし、パラメータ・定数決定部32に代えて設けられたパラメータ・定数決定部32bは、スイッチングトランジスタのサイズを決定する代わりに、ドライバトランジスタのサイズを決定している。また、パラメータ・定数決定部32bは、ピーク電流評価部52によって、最大ピーク電流を超過していると評価された場合、ソフトスタート期間をより長い値に設定できる。
ここで、電源回路(P1b、P101b)がリニアレギュレータの場合、電子回路IC(2、102)へ供給する電流は、電源回路のドライバトランジスタを介して流れるため、一般に、負荷電流が大きくなると、それに比例して、ドライバトランジスタのサイズを増大させて、ドライバトランジスタの抵抗値を下げることが望ましい。
一方で、負荷となる電子回路ICの電流は、DC的に動作しているだけではなく、AC的に変化することも多いため、電源回路は、この変化に対して、充分な追従性を持つ必要がある。ただし、ドライバトランジスタのサイズが大きくなると、ドライバトランジスタの寄生容量も大きくなる。この結果、当該寄生容量が電源回路の周波数特性に影響し、電源回路の追従性を低下させてしまう。
したがって、ドライバトランジスタのサイズを適切に設定するためには、電子回路ICの入出力特性の把握が不可欠であるが、上述したように、電子回路ICの負荷モデルを抽出して、シミュレーションで電子回路ICの入出力特性を正確に算出することは難しい。この結果、スイッチング電源の場合と同様に、シミュレーションによってドライバトランジスタのサイズを決定しようとすると、曖昧な仕様に対するリスクと、簡略化モデルによるシミュレーションの確度低下に対するリスクとの2重のリスクに対して、2重のマージンを確保する必要があり、ドライバトランジスタのサイズを最適な値に近づけることが難しくなってしまう。
これに対して、本実施形態に係るパラメータ・定数決定部32bは、第1の実施形態と同様、実際の変換効率が仕様として入力された変換効率を超過していると評価された場合は、ドライバトランジスタのサイズを縮小させ、実際の変換効率が不足していると評価された場合は、ドライバトランジスタのサイズを増大させる。また、実際の変換効率が仕様として入力された変換効率を超過も不足もしていないと評価され、しかも、出力電圧評価部51によって、測定された出力電圧Voutが目標値Vcに到達していると判定された場合は、ドライバトランジスタのサイズを縮小し、変換効率が仕様として入力された変換効率を超過も不足もしておらず、しかも、測定された出力電圧Voutが出力値Vcに到達していないと判定された場合は、ドライバトランジスタのサイズを増大させる。
加えて、本実施形態に係るパラメータ・定数決定部32bは、ピーク電流に応じて、ソフトスタート期間の長さを変更している。
このように、本実施形態に係る開発支援システム1bでも、上記のように、電源プラットフォームIC3bと電子回路IC2とを実際に接続した状態で、その電子回路IC2を接続した場合に適したドライバトランジスタのサイズおよびソフトスタート期間の長さを検証/評価することができ、その電子回路IC2を接続した場合に適したドライバトランジスタのサイズおよびソフトスタート期間の長さを、余り大きなマージンを設けることなく決定できる。
以上のように、本実施形態に係る開発支援システム1bでは、該電源半導体集積回路の負荷となるデバイスに必要とされる電力をドライブするアンプのドライバトランジスタ複数個有し、かつそれらを選択的に制御する論理回路を有し、かつそのドライバトランジスタの選択情報に連動して定数を可変する位相補償定数選択回路を有する専用集積回路によって、この負荷デバイスの負荷モデルの抽出やその抽出したモデルによるシミュレーション等、時間とスキルの要する作業を行う必要もなく、かつドライバサイズを可変することによって変化する位相余裕に対して補正作業という2次的な技術検討を要することなく、最適なトランジスタのサイズを抽出できる。
さらに、本実施形態に係る開発支援システム1bでは、ドライバトランジスタを選択的に制御する際に段階的に一定の時間をかけて段階的に選択信号を変更していく複数の時間パラメータを要するディレイ回路とそのディレイ回路の時間成分のパラメータを変更可能な論理回路を有する専用集積回路によって、電源用半導体集積回路が起動する際に発生する、負荷デバイスへの突入電流を低減し、入力端子に接続された電源へのストレスを低減することができる。
なお、これらの作業によって抽出したデータ(パラメータ)は、全てデジタル的な情報であるため、詳細は後述するように、精度良く電源デバイスの設計側(ベンダ側)にフィードバックすることができ、低リスクにてユーザの要望する電源デバイスを開発することができる。
〔第4の実施形態〕
ところで、上記では、電源回路(P1〜P1b、P101〜P101b)が1系統(1チャネル)の場合について説明した。これに対して、本実施形態では、複数チャネルのスイッチング電源回路が設けられており、各スイッチング電源回路において、実際の電子回路ICに接続しながらスイッチングトランジスタがOFFするタイミングを検証可能な開発支援システムについて説明する。なお、本実施形態に係る開発支援システム1cは、スイッチング電源であれば、上記第1および第2の実施形態のいずれにも適用できるが、以下では、基本的に第1の実施形態に適用した場合について説明する。
すなわち、本実施形態に係る開発支援システム1cでは、図1に示す電源プラットフォームIC3に代えて、図15に示す電源プラットフォームIC3cが設けられている。当該電源プラットフォームIC3cは、複数の電子回路ICを接続するために、スイッチングトランジスタアレイ12およびスイッチング制御回路13が、各チャネル毎に設けられており、各チャネルのスイッチングトランジスタアレイ12およびスイッチング制御回路13は、互いに独立して動作できる。
なお、図では、一例として、3チャネル分のスイッチングトランジスタアレイ12およびスイッチング制御回路13が設けられている場合を例示している。また、以下では、説明の便宜上、各チャネルの部材を区別する必要がある場合は、例えば、チャネルα用の電子回路IC2αのように、部材を示す参照符号にチャネルを示すギリシャ文字を付して参照する。
また、本実施形態に係る電源回路P1α〜P1γ(P101α〜P101γ)では、電源11(111)が共用されており、電源プラットフォームIC3(電源IC103)において、電源11(111)から電源電圧Viが印加される電源端子および接地されるGND端子も、各チャネル間で共通に設けられている。さらに、本実施形態に係る電源プラットフォームIC3cでは、各チャネルに共通のリファレンス回路14が上記各スイッチング制御回路13α〜13γへ基準電圧を供給している。なお、外付け素子4および電子回路IC2は、各チャネルに個別に設けられており、それぞれ対応するスイッチングトランジスタアレイ12およびスイッチング制御回路13に接続されている。また、測定器6も各チャネル毎に設けられている。ただし、これら各部材は、各チャネル毎に設けられている点を除いて、適用した実施形態の図面(例えば、図1)と同様に接続されているので、図示および説明を省略している。
さらに、本実施形態では、電源プラットフォームIC3cに設けられた制御回路16cが、コンピュータ5cからの指示に応じて、上記各チャネルのスイッチングトランジスタアレイ12α〜12γおよびスイッチング制御回路13α〜13γを個別に制御できる。
また、本実施形態に係る電源プラットフォームIC3cには、チャネル間位相差生成回路19が設けられている。これに伴なって、制御回路16cは、コンピュータ5cからの指示に応じて、チャネル間に生成すべき位相差をチャネル間位相差生成回路19へ指示でき、チャネル間位相差生成回路19は、例えば、各チャネルのスイッチング制御回路13α〜13γへ指示して、各チャネルのスイッチングトランジスタのOFFタイミングが上記指示に応じた位相差を持つように制御できる。
一例として、チャネル間位相差生成回路19を一般的なCR遅延回路またはカウンタロジックによる遅延回路を用いて構成してもよい。この構成例では、制御回路16cが、当該CR遅延回路の時定数またはカウンタロジックのカウント値を制御することによって、チャネル間位相差生成回路19の生成する遅延時間を制御する。さらに、チャネル間位相差生成回路19は、当該生成した遅延時間だけズレたタイミングで、上記各スイッチング制御回路13α〜13γを動作させる。
一方、コンピュータ5cは、図4に示すように、コンピュータ5と略同様の構成である。ただし、各部材31〜35の動作は、各チャネル毎に行われている。さらに、パラメータ・定数決定部32に代えて設けられたパラメータ・定数決定部32cは、上記各実施形態に係るパラメータ・定数決定部の動作に代えて/加えて、いずれかのチャネルにおいて実測されたノイズ量が上記仕様上許容される値を超えている場合、制御回路16cを介して、上記チャネル間位相差生成回路19へ指示している位相差を変更できる。
ここで、本実施形態のように、システム内に複数のチャネルのスイッチング電源回路が存在する場合、各チャネル間の相互干渉が問題となる。より詳細には、各チャネルのスイッチング電源回路(P1α〜P1γ)において、スイッチングトランジスタがスイッチングされる時には、スパイク電流が発生する。上述したように、本実施形態に係るスイッチング電源回路P1α〜P1γ(P101α〜P101γ)では、電源端子およびGND端子が共通に設けられており、各チャネル間で発生したスパイク電流が当該電源端子およびGND端子に集中すると、その端子に電圧降下が発生してしまう。この場合、各チャネルの電源回路、および、それに接続された電子回路ICが動作する際に誤差が発生したり、これらの回路の配線(例えば、電源回路から電子回路ICへの電力供給線など)にノイズが重畳されたり、これらの回路が誤動作したりする虞れがある。
また、上記スパイク電流は、高調波の原因となり、この影響は、電源デバイスに接続されているものだけではなく、入力電圧を形成している電源ラインから、他のデバイスへ影響を及ぼし、最悪の場合、当該デバイスの誤動作や、そのデバイス自体の破壊の原因になる可能性がある。
さらに、上記各チャネルのスイッチング制御回路(13α〜13γ、113α〜113γ)は、各チャネルのスイッチングトランジスタをON/OFFしており、各チャネルの電源回路は、スイッチングトランジスタのOFFにおいて、比較的大きなスパイク状のリンギングノイズパルスを放出する。このスパイク状のリンギングノイズパルスは、スイッチングトランジスタのドレイン−ソース間の寄生容量や周辺素子の寄生容量と、外付けのコイルの共振によって発生する。このノイズパルスは、多チャネルの電源では、打ち消しあったり、重畳したりと、互いに影響を及ぼし合う。この影響が打ち消し合う場合は、特に問題がないが、重畳した場合には、上記電源端子に接続されている電源(11、111)へのストレスの原因になったり、各チャネルの出力電圧Voutα〜Voutγを不安定にさせる原因になったりして、種々の問題が生じる可能性がある。
この相互間の影響も、負荷となる電子回路ICの負荷電流パターン、外付け素子とスイッチングトランジスタの寄生容量との関係などによって変化するため、上述したスイッチングトランジスタのサイズを決定する場合と同様に、シミュレーションで相互間の影響を正確に確認し、影響を低減する方策を講じることは難しい。
これに対して、本実施形態に係る開発支援システム1cでは、コンピュータ5cのパラメータ・定数決定部32cがノイズ量に応じて位相差の変更を指示し、電源プラットフォームIC3cのチャネル間位相差生成回路19が各チャネル間の動作タイミングの位相差を上記指示されたように変更する。
このように、本実施形態に係る開発支援システム1cでは、上記各実施形態と同様に、電源プラットフォームIC3cと電子回路IC2α〜2γとを実際に接続した状態で、それらの電子回路IC2α〜2γを接続した場合に適した位相差を検証/評価することができ、その電子回路IC2α〜2γを接続した場合に適した位相差を余り大きなマージンを設けることなく決定できる。
この結果、完成品となる回路101cにおいて、各チャネル間の位相差を電子回路IC102α〜102γに適した値に設定でき、電源111にかかるストレスなどを軽減できる。なお、当該回路101cにおいても、上記各チャネル間の位相差は、一般的なCR遅延回路またはカウンタロジックによる遅延回路によって設定される。ただし、回路101cでは、電源プラットフォームIC3cとは異なって、遅延時間を変更する必要がないので、CR回路の時定数およびカウンタロジックによる遅延回路のカウント値は、電源プラットフォームIC3cを用いて決定された好適な位相差に応じた値に固定されている。
〔第5の実施形態〕
本実施形態では、開発支援システムにおいて、複数の電源11…が設けられており、電源回路のパラメータとして、複数のチャネル間で、電源を共用するか否かを選択可能な構成について説明する。なお、本実施形態は、複数のチャネルの電源回路(P1…、P101…)が設けられる回路であれば、上記各実施形態のいずれにも適用できる。したがって、以下では、スイッチングトランジスタアレイおよびスイッチング制御回路、あるいは、ドライバトランジスタアレイおよびドライバ制御回路をチャネル部15と総称して説明する。
すなわち、本実施形態に係る開発支援システム1dでは、上記各電源プラットフォームIC3〜3cに代えて、図16に示す電源プラットフォームIC3dが設けられている。当該電源プラットフォームIC3dは、複数の電子回路ICを接続するために、チャネル部15が各チャネル毎に設けられており、各チャネルのチャネル部15α〜15γは、それぞれ独立して、それぞれに接続された電子回路IC2α〜2γへ供給する出力電圧Voutα〜Voutγを制御できる。
さらに、本実施形態に係る電源プラットフォームIC3dには、各チャネル毎に電源11と接続するための入力端子(Tiα〜Tiγ)と接地するための端子(Tgα〜Tgγ)とが設けられている。なお、図では、説明の便宜上、端子Tiα〜Tiγのみを図示し、端子Tgα〜Tgγの図示を省略している。
なお、各チャネル部15α〜15γには、適用する実施形態と同一の外付け素子4α〜4γ、電子回路IC2α〜2γが接続されている。さらに、上記入力端子Tiα〜Tiγは、それぞれに対応する各チャネル部15α〜15γの内部において、適用する実施形態において、電源11が印加されている部材と同一の部材(例えば、図1の例では、スイッチングトランジスタアレイ12)が接続されている。ただし、それらの接続は、適用する実施形態と同一なので、図示および説明を省略する。また、本実施形態に係る電源プラットフォームIC3dでは、リファレンス回路14が各チャネルに共通に設けられている。
一方、本実施形態に係る評価ボードB1dには、複数の電源11(図の例では、11α〜11γ)を接続するための端子T11α〜T11γと、各電源11α〜11γの接地ラインに接続するための端子T12α〜T12γとが設けられている。さらに、上記各入力端子Tiα〜Tiγには、上記各端子T11α〜T11γのいずれかを選択して接続するためのスイッチSW1α〜SW1γが設けられている。同様に、上記各入力端子Tgα〜Tgγには、上記各端子T12α〜T12γのいずれかを選択して接続するためのスイッチSW2α〜SW2γ(いずれも図示せず)が設けられている。例えば、上記入力端子Tiαに対応して設けられたスイッチSW1αは、上記各端子T11α〜T11γのいずれかを選択して、当該入力端子Tiαに接続できる。
一方、本実施形態に係るコンピュータ5dも、図4に示すように、コンピュータ5と略同様の構成である。ただし、第4の実施形態と同様に、各部材31〜35の動作は、各チャネル毎に行われている。また、本実施形態に係るパラメータ設定部33は、電源プラットフォームIC3dだけではなく、上記各スイッチSW1α〜SW2γがいずれを選択するかも制御できる。
さらに、パラメータ・定数決定部32に代えて設けられたパラメータ・定数決定部32dは、上記各実施形態に係るパラメータ・定数決定部の動作に代えて/加えて、いずれかのチャネルにおいて実測されたノイズ量が上記仕様上許容される値を超えている場合、パラメータ設定部33を介して、上記各スイッチSW1α〜SW2γがいずれを選択するかを切り換えることができる。
また、本実施形態に係る仕様入力部31は、仕様として、電源IC103に接続可能な電源101の数の入力を受け付けることができ、上記パラメータ・定数決定部32dは、上記各スイッチSW1α〜SW2γがいずれを選択する際、各チャネル部15α〜15γに接続される電源11α〜11γの数が上記入力された仕様を超えない範囲で、上記各スイッチSW1α〜SW2γの選択を切り換えることができる。
なお、上記パラメータ・定数決定部32dは、各チャネル部15α〜15γに接続される電源11α〜11γの数が上記入力された仕様を超えない範囲で取り得る、上記各スイッチSW1α〜SW2γの組み合わせの数が予め定められた閾値よりも低い場合、ノイズ量に拘わらず、全ての組み合わせへの切り換えを順次指示すると共に、上記各実施形態のように、各組み合わせにおける他のパラメータ(トランジスタのサイズなど)を好適に設定し、その場合のノイズ量を、各組み合わせ間で比較することによって、最適な組み合わせを選択してもよい。
ここで、開発支援システムまたは完成品となる回路内に、複数チャネルの電源回路が存在する場合、各チャネル間の相互干渉が問題となる。なお、各電源回路がスイッチング電源の場合は、上述したようにスイッチングに起因するノイズが大きく影響するが、各電源回路がリニアレギュレータの場合であっても、例えば、互いに電源が共通の電源回路に接続された電子回路ICの負荷変動によって、当該電源からの入力電圧Viが変動するなど、各チャネル間の相互干渉が発生する。
ここで、各チャネル間の相互干渉を防止するためには、各チャネルに入力電圧を印加する電源を分離する方が望ましい。ただし、電源を分離すると、完成品となる回路101dにおいて、電源111の数が増加してしまう。さらに、電源IC103においても、各電源111を個別に接続するための端子を設ける必要があるため、電源IC103の端子数が増加し、電源IC103のサイズを増大させてしまう。また、電源111の数が増加すると、各電源111と電源IC103とを接続する手間も増加してしまう。これらの結果、各チャネル間の相互干渉の多寡に拘わらず、各チャネルの電源を別々にすると、回路101dの製造コストが高騰してしまう。
一方で、上述したように、各チャネル間に、どの程度の相互干渉が発生するかは、負荷となる電子回路ICの負荷電流パターンなどによっても変化するため、上述したスイッチングトランジスタのサイズを決定する場合と同様に、シミュレーションで相互間の影響を正確に確認し、悪影響が出ない範囲で、いずれの各チャネル間で電源を共有すればよいかを決定することは難しい。特に、複数の電子回路IC間で、それぞれのAC的な負荷電流のタイミングが同期するか非同期になるかは、アプリケーション(例えば、携帯電話、DSCなど)の使用方法によっても変化するため、シミュレーションで相互間の影響を正確に確認し、影響を低減する方策を講じることは、さらに難しい。
これに対して、本実施形態に係る開発支援システム1dでは、コンピュータ5dのパラメータ・定数決定部32dが上記各スイッチSW1α〜SW2γの切り換えを指示して、各チャネル間で電源を共有するか否かを変更できる。
このように、本実施形態に係る開発支援システム1dでは、上記各実施形態と同様に、電源プラットフォームIC3dと電子回路IC2α〜2γとを実際に接続し、しかも、上記アプリケーションを駆動している状態において、それらの電子回路IC2α〜2γを接続して上記アプリケーションを駆動した場合に適した、電源端子Tiα〜TiγおよびGND端子Tgα〜Tgγのグルーピングを検証/評価することができる。
したがって、例えば、各チャネル間で、お互いの電源・GNDラインを共通化したときに、最もチャネル間の干渉の少ないグループを形成するなど、好ましい組み合わせ(グルーピング)を決定でき、チャネル間の干渉の発生を的確に抑制できる。
この結果、完成品となる回路101dにおいて、当該組み合わせのチャネル間で電源を共有することによって、チャネル間の干渉の発生を抑制しながら、回路101dの製造コストを大幅に低減できる。
〔第6の実施形態〕
本実施形態では、複数チャネルの電源回路に対して、個別に起動/停止を指示しなくても、予め定める順序で各チャネルの電源回路を起動/停止でき、しかも、その起動/停止順序を、電源プラットフォームICの端子間の配線によって決定可能な開発支援システム1dについて説明する。なお、本実施形態も、上記各実施形態のいずれにも適用できるので、第5の実施形態と同様、チャネル部15を用いて説明する。
すなわち、本実施形態に係る開発支援システム1eでは、各電源プラットフォームIC3〜3dに代えて、図17に示す電源プラットフォームIC3eが設けられている。当該電源プラットフォームIC3eには、チャネル部15の出力電圧Voutを監視して、当該出力電圧Voutが、そのチャネル部15が電力を供給する電子回路IC2の駆動し得る電圧として、予め定められた電圧に到達しているか否かを判定する判定回路20α〜20γと、判定回路20の判定結果を示すPowerGood信号を出力する出力端子Tpα〜Tpγとが、チャネル毎に設けられている。
さらに、上記電源プラットフォームIC3eには、各チャネルに対応して、ON/OFF制御入力端子Tcα〜Tcγが設けられており、各チャネル部15(より詳細には、そのスイッチング制御回路13またはドライバ制御回路13b)は、それぞれに対応するON/OFF制御入力端子Tcに印加されている、他のチャネルからのPowerGood信号が、上記電圧に到達していることを示す値に変化したときに、電源投入動作を開始し、当該値から上記電圧に到達していないことを示す値に変化したときに、電源遮断動作を開始するように構成されている。
なお、図17では、各チャネルが互いに同一の電源プラットフォームIC3e内に設けられている場合を例示したが、これに限るものではなく、あるチャネルのPowerGood信号を、他の電源プラットフォームIC3eのチャネルのON/OFF制御入力端子Tcに入力してもよい。
また、図17は、チャネルα→チャネルγ→チャネルβの順に立ち上がり、かつ、その順番で停止するように、上記各端子Tpα〜TpγおよびTcα〜Tcγが接続されている場合を図示している。具体的には、チャネルαの端子Tpαが、次に立ち上がるチャネルγの端子Tcγに接続され、当該チャネルγの端子Tpγが、その次に立ち上がるチャネルβの端子Tcβに接続されている。
上記のように接続され、全てのチャネルの電源回路がOFFしている状態において、コンピュータ5eが最初に起動すべきチャネルαのチャネル部15αへ起動を指示すると、当該チャネルαのチャネル部15αが電源投入動作を開始して、チャネルαの出力電圧Voutαは、目標値Vcαに向かって変化する。そして、チャネルαの出力電圧Voutαが上記め定められた電圧に到達すると、チャネルαの判定部20αは、出力端子Tpαから、到達を示すPowerGood信号をチャネルγのON/OFF制御入力端子Tcγへ出力する。
これに応じて、チャネルγのチャネル部15γが電源投入動作を開始する。そして、チャネルγの出力電圧Voutγが上記め定められた電圧に到達すると、チャネルγの判定部20γは、出力端子Tpγから、到達を示すPowerGood信号をチャネルβのON/OFF制御入力端子Tcβへ出力し、チャネルβのチャネル部15βへ電源投入を指示する。これにより、コンピュータ5eが最初のチャネルαのチャネル部15αのみに起動を指示しているにも拘わらず、各チャネルの電源回路は、上記各端子Tpα〜TpγおよびTcα〜Tcγの接続によって予め定められた順番で動作を開始する。
同様に、停止する場合は、コンピュータ5eが最初に停止すべきチャネルαのチャネル部15αへ停止を指示すると、チャネルαのチャネル部αが電源遮断動作を開始して、チャネルαの出力電圧Voutαは、目標値Vcαから接地レベルへと変化する。そして、チャネルαの出力電圧Voutαが上記め定められた電圧を下回ると、チャネルαの判定部20αは、出力端子Tpαから、未到達を示すPowerGood信号をチャネルγのON/OFF制御入力端子Tcγへ出力し、チャネルγのチャネル部15γへ電源遮断を指示する。さらに、チャネルγの出力電圧Voutγが上記め定められた電圧を下回ると、チャネルγの判定部20γがチャネルβのチャネル部15βへ電源遮断を指示する。これにより、コンピュータ5eが最初のチャネルαのチャネル部15αのみに動作停止を指示しているにも拘わらず、各チャネルの電源回路は、電源投入時と同じ順番で、動作を停止する。
なお、上記では、各チャネルの電源回路が起動時と同じ順番で停止する場合を例にして説明したが、到達を示すPowerGood信号を出力する端子および起動指示を受け付ける端子とは別に、未到達を示す信号を出力する端子および停止指示を受け付ける端子を各チャネル毎に設ければ、これらの接続によって、起動時とは別の順序で停止させることができる。
このように、本実施形態に係る電源プラットフォームIC3eでは、各チャネル毎に出力電圧を監視する判定回路と、判定結果を出力する端子と、起動/停止指示を受け付ける端子とが設けられている。これにより、複数チャネルの電源回路に対して、個別に起動/停止を指示しなくても、あるチャネルの電源回路が予め定められた電圧になると、次に起動/停止すべきチャネルの電源回路を起動/停止させることができる。また、その起動/停止順序を、電源プラットフォームICの端子間の配線によって決定できる。
この結果、各チャネルの電源回路の起動/停止を個別に指示する構成や、予め定められた順番で、各チャネルの電源回路の起動/停止を制御するために、CR回路やカウンタ回路などを用いた遅延回路によって、各チャネルの電源回路の起動/停止タイミングを制御する構成と比較して、開発時に必要な手間およびコストを削減できる。
〔第7の実施形態〕
上記各実施形態では、終了処理部36の終了処理として、見出されたパラメータを提示して、評価/検証するユーザに、当該パラメータを持った電源回路を構成するための電源ICの開発を促したり、そのパラメータに対応する電源ICの購入を促す構成について説明した。
これに対して、本実施形態では、終了処理部36が、パラメータに応じた電源回路を構成するための電源ICを提供するベンダとして予め定められた送信先へ、上記探索により見出されたパラメータを送信して、上記ベンダへ、当該パラメータに応じた電源回路を構成するための電源ICの提供を依頼する構成について説明する。なお、当該構成は、上記各実施形態のいずれにも適用できるが、以下では、基本的には、第1の実施形態に適用した場合を例について説明する。
すなわち、本実施形態に係る開発支援システム1fでは、コンピュータ5と通信可能なベンダ側のコンピュータとして、図18に示すコンピュータ9が設けられている。また、コンピュータ5の上記終了処理部36には、送信先として、コンピュータ9へデータを送信するための情報(例えば、メールアドレスなど)が登録されており、最適なパラメータおよび定数の探索処理が終了して終了処理が指示されると、上記探索により見出されたパラメータをコンピュータ9に送信できる。
一方、コンピュータ9には、図18に示すように、コンピュータ5から送られたデータを受信する受信処理部61と、データベース62と、上記データに応じて上記データベース62を検索する検索処理部63とが設けられている。
上記データベース62には、既に開発された電源ICの情報が、電源ICによって構成される電源回路のパラメータと関連付けて記憶されている。また、当該データベース62には、上記既に開発された電源ICと関連付けて、開発過程で発生した問題点も記憶されている。
また、検索処理部63は、受信処理部61が受信したデータから、上記パラメータを抽出すると共に、上記データベース62に、既に開発された電源ICの情報として、当該パラメータに関連付けられた電源ICの情報が格納されているか否か(当該パラメータが新規か否か)を検索できる。
検索によって、電源ICの情報が見出された場合、検索処理部63は、その電源ICの情報を提示して、ベンダ側のユーザに、提供が依頼された電源ICが既に開発されていることを通知すると共に、その電源ICの情報とを提示できる。
これにより、ベンダは、新たに電源ICを開発することなく、例えば、当該電源ICを納入するための処理を開始でき、より早い時点で、上記依頼された電源ICをユーザに納入できる。
一方、検索処理部63は、上記データベース62を検索しても、上記受信したデータから抽出されたパラメータに関連付けられた電源ICの情報が見つからなかった場合、ベンダ側の開発者に、当該パラメータを提示して、当該パラメータを持った電源回路を形成するための電源ICを新たに開発するように指示できる。
ここで、本実施形態に係るコンピュータ9には、自動レイアウト処理部64も設けられており、自動レイアウト処理部64は、開発者に電源ICの開発を指示する際、上記受信したデータから抽出されたパラメータに基づいて、電源ICのレイアウトも自動生成して、開発者に当該レイアウトの電源ICを試作するように指示できる。
より詳細には、自動レイアウト処理部64は、例えば、電源ICのパラメータが指定されると、当該パラメータに基づいて、予め用意されたIPの中から、当該電源ICを製造するために使用するIPを選択する。ここで、上記IPは、トランジスタのサイズなど、予め定められたパラメータに応じて修正できるように設定されており、さらに、自動レイアウト処理部64は、電源ICのパラメータに基づいて、当該IPを修正し、予め定められた手順で、各IPを自動レイアウトできる。
また、本実施形態に係るコンピュータ9の検索処理部63は、新たな電源ICの開発を指示する際、データベース62を検索して、上記受信したデータから抽出されたパラメータに類似しているパラメータを持った電源ICの情報と、当該電源ICの情報に関連付けられた問題点の情報とが登録されているか否かを確認できる。さらに、これらの情報が見つかった場合、検索処理部63は、これらの情報を開発者に提示できる。
ここで、パラメータが類似している場合、それらの電源ICは、開発する際に、互いに同じ問題点が発生する可能性が高い。また、例えば、ユーザからのフィードバックなどによって、電源ICを納入した後に問題点が発見された場合、その電源ICに類似したパラメータを持った電源ICを開発する際に、同様の問題点を持った電源ICを開発してしまう可能性が高い。
したがって、上記検索処理部63が、上記受信したデータから抽出されたパラメータに類似しているパラメータを持った電源ICの情報と、当該電源ICの情報に関連付けられた問題点の情報とを開発者に提示することによって、これらの情報を全く提示しない場合と比較して、開発期間を短縮できる可能性を向上できると共に、問題のある電源ICを製造してしまうリスクを低減できる。
また、本実施形態に係るコンピュータ5では、仕様入力部31が入力された仕様を記憶部37に格納すると共に、パラメータ・定数決定部32がパラメータおよび定数を再設定する度に、当該パラメータおよび定数と、そのパラメータおよび定数の場合に図4に示す測定結果入力部34が受け付けた測定結果との履歴も、記憶部37に記憶している。さらに、上記終了処理部36は、見出されたパラメータをコンピュータ9へ送信する際、パラメータと共に、記憶部37に格納された仕様および履歴の情報を送信できる。
一方、コンピュータ9の受信処理部61は、パラメータを受信した場合、例えば、当該パラメータ、あるいは、コンピュータ5から送信されてきたユーザを示す情報に関連付けるなどして、上記仕様および履歴の情報をデータベース62に格納できる。
これにより、ベンダの開発者は、データベース62を検索して履歴情報および仕様の情報を確認することによって、上記パラメータ・定数決定部32による演算効率に問題がないかなどを確認でき、電源回路の開発支援システム全体をより的確にバージョンアップできる。
上記構成において、ベンダは、図19に示すS41vにおいて、電源プラットフォームIC3、および、ユーザのコンピュータをコンピュータ5として動作させるためのプログラム(設計支援ソフトウェア)とを開発すると共に、これらをユーザに提供して、電源プラットフォームIC3を用いた電子回路IC2の評価/検証を促す。
一方、ユーザは、S41uにおいて、当該提供されたプログラムをコンピュータに実行させて、コンピュータ5を形成し、上述したように、当該コンピュータ5と当該提供された電源プラットフォームIC3とを含む開発支援システム1fに、上記電子回路IC2へ電力を供給するための電源回路P1に適切なパラメータを決定させる。
上記S41uにおいて、適切なパラメータが決定されると、コンピュータ5は、S42uにおいて、当該パラメータ、並びに、上記仕様および履歴の情報を、ベンダ側のコンピュータ9に送信する。
一方、ベンダ側のコンピュータ9は、S42vにおいて、当該当該パラメータ、並びに、上記仕様および履歴の情報を受信し、S43vにおいて、コンピュータ5から受信したパラメータなどの情報に基づいて、電子回路IC102へ電力を供給するための電源回路P101を形成するための電源IC103が既に開発されているか否かを判定し、開発されている場合(上記S43vにて、NOの場合)、S44vにおいて、ベンダの担当者へ指示して、当該電源IC103をユーザへ提供させる。なお、図19では、当該電源IC103が未だ開発されていない場合を例示しており、説明の便宜上、ベンダからユーザへの電源IC103の提供を破線で示している。
これに対して、電源回路P101を形成するための電源IC103が未だ開発されていない場合(上記S43vにて、YES の場合)、コンピュータ9は、S45vにおいて、ベンダの開発者へ指示して、当該電源IC103を開発させ、開発が終了すると、ベンダは、S46vにおいて、開発された電源IC103をユーザへ提供する。
上記S43vまたはS46vによって、ベンダからユーザに電源IC103が提供されると、ユーザは、S43uにおいて、当該電源IC103を用いて電源回路P101を製造し、当該電源回路P101と、実際に使用/製造する電子回路IC2としての電子回路IC102とを用いて、完成品としての回路101を製造する。
これにより、電子回路IC2を電源プラットフォームIC3に実際に接続した状態で評価/検証されたパラメータを持った電源回路P101を用いて、回路101を製造でき、回路101を開発する際のリスクを低減しつつ、回路101を製造する際のコストを削減できる。
また、ベンダは、上記S42vにて各ユーザのコンピュータ5から受信した、パラメータと仕様および履歴の情報とを用いて、電源プラットフォームIC3および上記プログラムの妥当性を検証し、電源プラットフォームIC3および上記プログラムのバージョンアップの際に、よりユーザの要望に合うようにバージョンアップする(S47v)。
一例として、上記各ユーザのコンピュータ5から送信されてきたパラメータと仕様および履歴の情報とが、電源プラットフォームIC3に用意したチャネル数(第1の実施形態に適用した場合は1)よりも多くのチャネル数の電源IC103の提供を示している場合、例えば、第4の実施形態のように、チャネル数が多くなるように、電源プラットフォームIC3をバージョンアップできる。また、例えば、上記履歴の情報が、最適解を探索する際の繰り返し回数が多すぎることを示している場合は、パラメータ・定数決定部32がパラメータおよび定数を再決定する際のアルゴリズムを変更したり、再決定する際の変化量など、電源回路P1のパラメータおよび定数を再決定するアルゴリズムにおけるパラメータを調整するなどして、上記プログラムをバージョンアップできる。
続いて、上記S43vおよびS46vにおけるコンピュータ9の動作について、さらに詳細に説明する。図20のS51において、コンピュータ9の受信処理部61は、コンピュータ5からのデータ送信を待ち受けている。受信処理部61がデータを受信した場合(S51にてYES の場合)、コンピュータ9の検索処理部63は、S52において、データベース62を検索して、受信したデータに含まれるパラメータが新規なパラメータであるか否かを判定する。
新規でない場合(S53にてNOの場合)、検索処理部63は、S54において、ベンダ側のユーザに、提供が依頼された電源ICが既に開発されていることを通知すると共に、その電源ICの情報とを提示して、当該電源ICをユーザへ提供するように指示する。
一方、新規な場合(上記S53にてYES の場合)、コンピュータ9の自動レイアウト処理部64は、S55において、上記パラメータに基づいて、使用するIPを選択すると共に、S56において、当該パラメータ(例えば、トランジスタのサイズなど)に応じて当該IPを修正する。さらに、自動レイアウト処理部64は、S57において、修正されたIPを用いて電源ICを自動レイアウトする。
なお、自動レイアウト処理部64によって自動レイアウトされた電源ICは、ベンダ側の開発者によって試作され、正常に動作することが確認された後、ユーザに提供される。
以上のように、本実施形態に係る開発支援システム1fは、電源プラットホームとなる電源プラットフォームIC3と、評価基板(評価ボード)、設計支援ソフトウェアおよびデータベース(コンピュータ5)を備えている。
そして、ユーザは、負荷となるデバイスの暫定的な仕様値を設計支援ソフトウェアに入力することから開発がスタートする。この設計支援ソフトウェアから提示された外付け素子定数を評価ボードに準備し、かつ、設計支援ソフトウェアで演算した暫定選択条件を電源プラットホームに入力しその状態で負荷デバイスの評価を行う。この評価結果からユーザが負荷となるデバイスが想定どおり問題なく動作しているか、また入力電源に対してリンギングノイズが回りこんでいないか(電源へのストレスとなる高調波の確認)、複数のデバイスを同時に動作させたとき、組み合わせ動作によって挙動に問題が生じていないか等の動作検証と、入力電力に対する出力電力の変換効率が最適か等の電気的特性検証を確認し、それが最適かどうか判断しそれが最適でなければその結果を設計支援ソフトウェアに入力する。その入力されるべき情報は各チャネルの変換効率情報、出力電圧のリプル情報、どのチャネルを同時に動かしたときにノイズが回りこむかの相互干渉情報、入力端子電圧の変動値情報、負荷デバイスの動作安定度情報から形成されの情報をもとにどの部分に問題があるか判定し、設計支援ソフトが選択条件及び外付け定数の演算方法のパラメータ優先順序を組み替え、再度演算を行う。その結果を再度電源プラットホーム及び評価基板に展開する。
これを繰り返すことによって電源デバイスの最適化行い、最適と判断されると、設計支援ソフトウェアに接続されているデータベースからその最適と判断された電源プラットホームの設定値が自動的に電源デバイス設計側(ベンダ)へ、そのデータが転送される。その転送された設定値はベンダ側の開発データベースで検索され既存電源デバイスで存在するか検索を行う。この検索結果で既存品に存在することが判明すれば、次にサンプル在庫データベースの検索を行い、サンプルの在庫があればすぐさまユーザへ提出を行い、なければ試作の依頼を行う。これにより担当者が別業務や休暇等の原因によって対応が困難な場合でも早急な対応が可能となる。またこの最適化された設定値が開発データベースで発見されなかった場合は、その構成にもっとも近いデバイス情報をピックアップし、その開発時に発生した問題のリストアップを行うとともに、その設定値から使用するIPとチャネル数の選択を行い、次にドライバサイズの選択を行う。この選択結果は自動レイアウトに反映され、すぐさまチップレイアウトを構築する。ここで作成された開発リストやレイアウトを電源デバイス開発者が最終チェックを行い、試作を投入する。この時開発データベースには新たにこの設定値が登録される。試作が完了しサンプルが完成次第、ユーザにサンプルを提供する。
この開発フローによりユーザの負荷モデル抽出という高いスキルと時間を要する作業を強いることなく、設計目標情報(最適化設定値)をデジタル的に入手することができかつ、その設計目標情報は再度シミュレーションを行う必要がないことから短期間に開発を低リスクに行うことが出来る。またこの作業によりシミュレーションによって判断が難しい高調波問題等の2次的災害も開発段階で確認し、対応することができる。
また、ユーザから最適化された設定値を入手する際に最適化にいたるまでの補正処理を一緒に入手し、その情報をもとに設計支援ソフトの演算方法の最適化を行っていく。
このシステムはユーザに随時提供し続け、ソフトの定期的なバージョンアップだけではなく電源プラットホームもユーザにニーズに応じて定期的なバージョンアップを行う。
これによりユーザから情報入手が困難な最新のニーズを抽出することができ、その結果電源デバイスの製品価値をあげることができる。
さらに、本実施形態に係る開発支援システム1fを第1の実施形態に適用した場合には、スイッチングトランジスタサイズの選択信号の初期設定値をユーザの使用条件によって算出し、提示後電源用半導体集積回路にその設定値を入力し、ユーザがその設定値によって最適な動作を確認するまで設定値の補正を繰り返す設計支援ソフトウェア(コンピュータ5)と、その最適化が完了したときにその設定値を保存し、かつ電源デバイス開発側であるベンダへ転送し、その結果から自動でレイアウト処理まで行う電源用半導体集積回路開発システムによって、電源デバイスを開発する上で必要な負荷デバイスの負荷モデルの抽出やシミュレーション等の、時間とスキルの要する作業を行う必要もなく、最適なスイッチングトランジスタのサイズを抽出からレイアウト完まで自動で行うことができることから、製品化した際のノイズ・損失問題等のリスクを低減し、かつチップサイズの大半を要するスイッチングトランジスタを最小にすることから低コストにて、そして設計期間が短いことから短納期で電源デバイスを完成することができる。
また、本実施形態に係る開発支援システム1fを第2の実施形態に適用した場合には、スイッチングトランジスタサイズ及び各スイッチングトランジスタのスイッチング駆動遅延時間の選択信号の初期設定値をユーザの使用条件によって算出し、提示後電源用半導体集積回路にその設定値を入力し、ユーザがその設定値によって最適な動作を確認するまで設定値の補正を繰り返す設計支援ソフトウェアと、その最適化が完了したときにその設定値を保存し、かつ電源デバイス開発側であるベンダへ転送し、その結果から自動でレイアウト処理まで行う電源用半導体集積回路開発システムによって、電源デバイスを開発する上で必要な負荷デバイスの負荷モデルの抽出やシミュレーション等の、時間とスキルの要する作業を行う必要もなく、最適なスイッチングトランジスタのサイズ及び各スイッチングトランジスタのスイッチング駆動遅延時間を抽出からレイアウト完まで自動で行うことができることから、製品化した際のノイズ・損失・電流能力問題等のリスクを低減し、かつチップサイズの大半を要するスイッチングトランジスタを最小にすることから低コストにて、そして設計期間が短いことから短納期で電源デバイスを完成することができる。
さらに、本実施形態に係る開発支援システム1fを第3の実施形態に適用した場合には、ドライバトランジスタサイズ及びソフトスタート条件の選択信号の初期設定値をユーザの使用条件によって算出し、提示後電源用半導体集積回路にその設定値を入力し、ユーザがその設定値によって最適な動作を確認するまで設定値の補正を繰り返す設計支援ソフトウェアと、その最適化が完了したときにその設定値を保存し、かつ電源デバイス開発側であるベンダへ転送し、その結果から自動でレイアウト処理まで行う電源用半導体集積回路開発システムによって、電源デバイスを開発する上で必要な負荷デバイスの負荷モデルの抽出やシミュレーション等の、時間とスキルの要する作業を行う必要もなく、最適なスイッチングトランジスタのサイズを抽出からレイアウト完まで自動で行うことができることから、製品化した際の電流能力及び起動時の貫通電流等のリスクを低減し、かつチップサイズの大半を要するドライバトランジスタを最小にすることから低コストにて、そして設計期間が短いことから短納期で電源デバイスを完成することができる。
さらに、本実施形態に係る開発支援システム1fを第4〜第6の実施形態に適用した場合には、電源デバイスの負荷仕様が確定しにくい事によって生じる製品の価値の低下という問題に対し、複数の電源回路を有し、かつチップサイズ・損失・ノイズ問題に影響及ぼす可能性のあるスイッチングトランジスタ、ドライバのサイズを外部からの選択信号によって可変可能な電源プラットホームを用い、負荷デバイスを評価することによって最適な回路構成をデジタル的に抽出することによって、時間を要し確度の低いシミュレーションをしなくとも低リスク・短期間に負荷デバイスに適した電源デバイスを開発することができる。またこの電源プラットホームの周辺素子を配置したり、電源・GNDラインのグルーピングを行うことが出来る評価基板と、設定値の最適化する演算機能を有する設計開発支援ソフトとその結果を保存するデータベースと、最適化された情報を受け入れるベンダ側の設計データベースと電源サンプルの在庫を管理するデータベースと自動レイアウトシステムから構成される電源デバイス開発システムを構築することによって、低リスクにて短期間の電源デバイスの開発を実現するだけではなく、アプリケーション開発者の現場の最新のニーズを入手することによって電源デバイスの製品価値を向上させ、他社との差別化を図ることができる。
また、本実施形態に係る開発支援システム1fでは、ユーザより転送されてきた設定信号に対し、過去に開発した機種の設定データ及びそれにリンクしたサンプル保有数を保存したデータベースにて自動的に検索を行い、過去に開発を行ったことがあると判定された場合はサンプル保有数をリストアップし、新機種と判定された場合は近い設定の機種をリストアップし、その開発過程で発生した問題点をリストアップし、電源開発技術者へ提示することによって、早期のユーザ対応及び開発体制を構築できる。
また、本実施形態に係る開発支援システム1fでは、ユーザが設計支援ソフトウェアによって最適な動作を確認するまで設定値の補正を繰り返した作業ログを最適な設定値のデータ転送時に同時に転送することによって、ユーザの補正作業時に入力された入力条件・出力負荷条件・変換効率・外付け定数の累積データから矛盾点を判定し、そのデータ自体の確からしさを判定し、かつ、補正結果から演算効率に問題がないかでシステムをデバックできる。
加えて、本実施形態に係る開発支援システム1fでは、本システムを随時にユーザへ提出し、各種製品開発の検討用に使用してもらうことにより発生する要望を定期的に取り入れ、バージョンアップすることにより、入手が困難とされているユーザの最新のニーズを抽出することができ、その結果電源デバイスの価値を高めることができる。
なお、上記各実施形態では、コンピュータ5および9を構成する各部材が、「CPUなどの演算手段がROMやRAMなどの記録媒体に格納されたプログラムコードを実行することで実現される機能ブロックである」場合を例にして説明したが、同様の処理を行うハードウェアで実現してもよい。また、処理の一部を行うハードウェアと、当該ハードウェアの制御や残余の処理を行うプログラムコードを実行する上記演算手段とを組み合わせても実現することもできる。さらに、上記各部材のうち、ハードウェアとして説明した部材であっても、処理の一部を行うハードウェアと、当該ハードウェアの制御や残余の処理を行うプログラムコードを実行する上記演算手段とを組み合わせても実現することもできる。なお、上記演算手段は、単体であってもよいし、装置内部のバスや種々の通信路を介して接続された複数の演算手段が共同してプログラムコードを実行してもよい。また、上記各部材のうちの記憶部37およびデータベース62は、メモリなどの記憶装置自体であってもよい。
上記演算手段によって直接実行可能なプログラムコード自体、または、後述する解凍などの処理によってプログラムコードを生成可能なデータとしてのプログラムは、当該プログラム(プログラムコードまたは上記データ)を記録媒体に格納し、当該記録媒体を配付したり、あるいは、上記プログラムを、有線または無線の通信路を介して伝送するための通信手段で送信したりして配付され、上記演算手段で実行される。
なお、通信路を介して伝送する場合、通信路を構成する各伝送媒体が、プログラムを示す信号列を伝搬し合うことによって、当該通信路を介して、上記プログラムが伝送される。また、信号列を伝送する際、送信装置が、プログラムを示す信号列により搬送波を変調することによって、上記信号列を搬送波に重畳してもよい。この場合、受信装置が搬送波を復調することによって信号列が復元される。一方、上記信号列を伝送する際、送信装置が、デジタルデータ列としての信号列をパケット分割して伝送してもよい。この場合、受信装置は、受信したパケット群を連結して、上記信号列を復元する。また、送信装置が、信号列を送信する際、時分割/周波数分割/符号分割などの方法で、信号列を他の信号列と多重化して伝送してもよい。この場合、受信装置は、多重化された信号列から、個々の信号列を抽出して復元する。いずれの場合であっても、通信路を介してプログラムを伝送できれば、同様の効果が得られる。
ここで、プログラムを配付する際の記録媒体は、取外し可能である方が好ましいが、プログラムを配付した後の記録媒体は、取外し可能か否かを問わない。また、上記記録媒体は、プログラムが記憶されていれば、書換え(書き込み)可能か否か、揮発性か否か、記録方法および形状を問わない。記録媒体の一例として、磁気テープやカセットテープなどのテープ、あるいは、フロッピー(登録商標)ディスクやハードディスクなどの磁気ディスク、または、CD−ROMや光磁気ディスク(MO)、ミニディスク(MD)やデジタルビデオディスク(DVD)などのディスクが挙げられる。また、記録媒体は、ICカードや光カードのようなカード、あるいは、マスクROMやEPROM、EEPROMまたはフラッシュROMなどのような半導体メモリであってもよい。あるいは、CPUなどの演算手段内に形成されたメモリであってもよい。
なお、上記プログラムコードは、上記各処理の全手順を上記演算手段へ指示するコードであってもよいし、所定の手順で呼び出すことで、上記各処理の一部または全部を実行可能な基本プログラム(例えば、オペレーティングシステムやライブラリなど)が既に存在していれば、当該基本プログラムの呼び出しを上記演算手段へ指示するコードやポインタなどで、上記全手順の一部または全部を置き換えてもよい。
また、上記記録媒体にプログラムを格納する際の形式は、例えば、実メモリに配置した状態のように、演算手段がアクセスして実行可能な格納形式であってもよいし、実メモリに配置する前で、演算手段が常時アクセス可能なローカルな記録媒体(例えば、実メモリやハードディスクなど)にインストールした後の格納形式、あるいは、ネットワークや搬送可能な記録媒体などから上記ローカルな記録媒体にインストールする前の格納形式などであってもよい。また、プログラムは、コンパイル後のオブジェクトコードに限るものではなく、ソースコードや、インタプリトまたはコンパイルの途中で生成される中間コードとして格納されていてもよい。いずれの場合であっても、圧縮された情報の解凍、符号化された情報の復号、インタプリト、コンパイル、リンク、または、実メモリへの配置などの処理、あるいは、各処理の組み合わせによって、上記演算手段が実行可能な形式に変換可能であれば、プログラムを記録媒体に格納する際の形式に拘わらず、同様の効果を得ることができる。
なお、上記各実施形態では、上記スイッチング制御回路(ドライバ制御回路)およびリファレンス回路を電源プラットフォームIC内に集積しているが、これに限るものではない。例えば、これらを別体に形成してもよい。
ただし、完成品としての回路に含まれる電源ICでは、スイッチングトランジスタ(ドライバトランジスタ)だけではなく、スイッチング制御回路(ドライバ制御回路)およびリファレンス回路も集積していることが多い。したがって、電源プラットフォームICにおいても、これらの回路を集積する方が、検証/評価の精度を向上できる。
また、上記各実施形態では、パラメータ決定用の電源回路と完成品に含まれる電源回路とで、互いに同じ素子を外付け素子とする場合について説明したが、これに限るものではない。パラメータ決定用の電源回路では、定数が可変される可能性が高いなどの理由で、外付けされている素子であっても、完成品に含まれる電源回路を構成する電源ICに集積可能であれば、集積してもよい。