JP4372271B2 - El発光装置およびこのel発光装置を内蔵した電子機器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はパルス電圧が印加されることで発光動作を行う電場発光素子(以下、EL素子と記す)を発光させるEL発光装置およびこのEL発光装置を内蔵した電子機器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
EL素子にパルス電圧を印加して発光させるEL発光装置としては、EL素子に印加する交流電圧を、トランスを使用して得る装置や直流高電圧からブリッジ回路を用いて得る装置(特公昭52−45466号公報等)が周知である。
【0003】
しかしながら、トランスを使用する装置はトランス形状が比較的大きいことからEL発光装置が大型化することになる不都合点を有していた。
【0004】
また、ブリッジ回路を用いる装置は、ブリッジ回路を構成するスイッチ素子およびそのスイッチ素子の動作を制御する複雑な制御構成を必要とし、さらにその制御構成も高精度の構成でなければ、例えばスイッチ素子が同時に導通して破壊されてしまう恐れを有していた。
【0005】
さらに、EL素子は印加電圧の変動により発光時の明るさが変動してしまうことが知られているが、いずれの装置も電源電圧変動がそのままEL素子への印加電圧の変動となることから、所望の明るさの発光を得るためには電源として安定した出力電圧を出力できる電源を準備する必要がある煩わしさを有していた。
【0006】
一方、装置形状の小型・簡素化とスイッチ素子の破壊防止およびEL素子の発光時における明るさの変動防止を考慮したものとしては、特公平5−44155号公報のEL素子の発光駆動回路が周知である。
【0007】
このEL素子の発光駆動回路は、その一例を図4に示したように、電源1の両端に、トランジスタ11、ツェナ−ダイオード12、抵抗13とから形成される定電圧回路10を介して接続される第1スイッチ素子3とダイオード4と第2スイッチ素子5との直列接続体からなるスイッチ回路2と、このスイッチ回路2における上記第1スイッチ素子3の両端に接続されるEL素子6と、第1スイッチ素子3の制御極に接続されるゲート手段7および上記第2スイッチ素子5の導通時に上記ダイオード4の降下電圧を第1スイッチ素子3の制御極に供給する逆バイアス手段8と、第2スイッチ素子5の制御極にパルス信号を印加して第2スイッチ素子5の動作を制御する制御回路9とを備えて形成されている。
【0008】
なお、定電圧回路10のトランジスタ11は電源1とスイッチ回路2の第1スイッチ素子3との間に、またツェナ−ダイオード12はトランジスタ11のベースとダイオード4のカソード間に、さらに抵抗13は電源1とトランジスタ11のベースとの間に接続され、よって定電圧回路10は、第2スイッチ素子5のオンによるトランジスタ11のオン時にツェナ−ダイオード12の両端に発生する定電圧をトランジスタ11のエミッタ側に接続されたEL素子6等に出力する。
【0009】
一方、少なくとも直流電圧を出力する電源およびEL素子の発光により照明される照明対象を含み、さらに上述したようなEL素子の発光駆動回路を内蔵することにより、上述したような発光駆動回路を上記照明対象の照明用光源装置として有用している電子機器も種々知られていることは詳述するまでもない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
図4に示したEL素子の発光駆動回路は、その構成が極めて簡単であり、よって装置形状を小型・簡素化でき、さらに、上記第1、第2スイッチ素子3、5が同時に導通し電源1の両端に接続されることがなく、よって両スイッチ素子の同時導通による破壊を防止できることになる。
【0011】
さらに、EL素子6には定電圧回路10の動作によりツェナ−ダイオード12の両端に発生する定電圧が印加されることから、EL素子6の発光時の明るさを所望の明るさに制御でき、すなわち明るさの変動も防止できることになる。
【0012】
しかしながら、EL素子に対して印加される電圧の状態について詳細に見てみると、直流電圧を正逆方向に印加するブリッジ回路を用いる装置とは異なり、電源が出力する直流電圧を、通常はグランドレベルに設定される所定電位を基準として所定方向に定電圧化した状態でパルス的に供給する印加状態となる。
【0013】
したがって、図4に示した回路においてEL素子6に印加できる電圧の電位幅は、電源が出力する約2倍の電位幅の電圧を印加できるブリッジ回路を用いた装置とは異なり、最大でも電源1が出力する電圧の電位幅となっていた。
【0014】
このため、図4に示したEL素子の発光駆動回路は、電源1として、EL素子6に印加したい電位幅を有する電圧を出力できる電源を準備する必要があり、依然として設計自由度等の点において実際の使用に際しての制限が存在していた。
【0015】
さらに、EL素子6の発光時の明るさの変動を防止することはできるが、逆にEL素子6の発光時の明るさを必要に応じて可変させる展開を考えると、先の定電圧回路10が制限となってしまう不都合点も有していた。
【0016】
本発明は上述したような点を考慮してなしたもので、装置形状を小型・簡素化でき、かつスイッチ素子の同時導通による破壊を防止できることはもちろん、EL素子に、電源が出力する直流電圧が有する電位幅以上の電位幅を有する定電圧をパルス的に印加でき、加えてEL素子の発光時の明るさを可変できるEL発光装置およびこのEL発光装置を内蔵した電子機器を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明によるEL発光装置およびこのEL発光装置を内蔵した電子機器は、EL素子と直列に接続されるコンデンサと、上記EL素子と並列に接続される抵抗と、直流電圧を出力する電源に対して直列関係に接続されるスイッチ素子と制御トランジスタとを含んで形成され、スイッチ素子には上記EL素子と抵抗とからなる並列接続体とコンデンサとの直列接続体が並列接続されているスイッチ手段と、上記スイッチ素子とEL素子との接続点と制御トランジスタの制御極との間に接続された電流制限素子と、上記制御トランジスタの制御極とグランドとの間に接続された第1抵抗と、上記制御トランジスタの制御極に少なくとも高レベル信号および開放信号を交互に印加する駆動制御手段とを含み、上記EL素子の両端に正逆方向の定電圧を印加する発光制御手段を備えている。
【0018】
これにより、EL素子の充電による発光動作時にはコンデンサが同時に充電されることになり、一方、EL素子の放電による発光動作時にはコンデンサの充電電荷がEL素子に供給されることになるが、かかる動作過程における制御トランジスタの制御極に開放信号を印加した時に、スイッチ素子とEL素子との接続点の電位が、第1、第1抵抗と制御トランジスタのベース〜エミッタ間電圧で決定される所定電位に制御され、したがって、EL素子およびコンデンサの放電による発光動作時にコンデンサには電源から出力される直流電圧から上記所定電位を減じた電圧が残存することになり、換言すると、EL素子には、EL素子およびコンデンサ充放電動作を介して上述した電流制限素子、第1抵抗等によって決定される所定電位を有する定電圧が正逆方向に印加されることになり、この結果、電流制限素子、第1抵抗等の定数を適宜設定して上記所定電位を電源が出力する直流電圧の1/2以上の電位とすることにより、上記直流電圧が有する電位幅以上の電位幅を有する定電圧を印加できるEL発光装置およびこのEL発光装置を内蔵した電子機器を提供できることになる。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項1に記載の発明は、EL素子と直列に接続されるコンデンサと、上記EL素子と並列に接続される抵抗と、直流電圧を出力する電源に対して直列関係に接続されるスイッチ素子と制御トランジスタとを含んで形成され、スイッチ素子には上記EL素子と抵抗とからなる並列接続体とコンデンサとの直列接続体が並列接続されているスイッチ手段と、上記スイッチ素子とEL素子との接続点と制御トランジスタの制御極との間に接続された電流制限素子と、上記制御トランジスタの制御極とグランドとの間に接続された第1抵抗と、上記制御トランジスタの制御極に少なくとも高レベル信号および開放信号を交互に印加する駆動制御手段とを含み、上記EL素子の両端に正逆方向の定電圧を印加する発光制御手段を備えてEL発光装置を構成したものであり、スイッチ素子とEL素子との接続点の電位を電流制限素子と第1抵抗と制御トランジスタのベース〜エミッタ間電圧で決定される所定電位に制御でき、したがって、EL素子およびコンデンサの放電による発光動作時にコンデンサには電源から出力される直流電圧から上記所定電位を減じた電圧を残存できることになり、この結果、EL素子には、EL素子およびコンデンサ充放電動作を介して上述した所定電位の電圧、すなわち電流制限素子、第1抵抗等によって定電圧化された電圧を正逆方向に印加できる作用を有する。
【0020】
本発明の請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のEL発光装置のスイッチ手段を、スイッチ素子とダイオードと制御トランジスタとを直列接続してなり電源の両端に接続されるスイッチ回路と、上記電源と上記スイッチ素子の制御極との間に接続されるゲート手段と、上記ダイオードと制御トランジスタとの接続点と上記制御極との間を接続する給電路からなり上記ダイオードに生じる降下電圧により上記制御極を逆バイアスする逆バイアス手段とを備えて形成したものであり、請求項1に記載の発明と同様の作用を有する。
【0021】
本発明の請求項3に記載の発明は、請求項1に記載のEL発光装置のスイッチ手段を、スイッチ素子と第2抵抗と制御トランジスタとを直列接続してなり電源の両端に接続されるスイッチ回路と、上記電源と上記スイッチ素子の制御極との間に接続されるゲート手段と、上記第2抵抗と制御トランジスタとの接続点と、上記制御極との間に接続される第3抵抗からなる逆バイアス手段とを備えて形成したものであり、請求項1に記載の発明と同様の作用を有する。
【0022】
本発明の請求項4に記載の発明は、請求項1ないし3に記載のEL発光装置の駆動制御手段を、制御トランジスタの制御極と接続されるポートを備えた中央演算処理装置を含んで構成し、該中央演算処理装置は上記ポートを入力端子に切換えた状態で開放信号を形成し、上記ポートを通常の出力端子に切換えた状態で高レベル信号を形成するように構成したものであり、請求項1ないし3のいずれか一項に記載の発明と同様の作用を有する。
【0023】
本発明の請求項5に記載の発明は、請求項1ないし3のいずれか一項に記載のEL発光装置の駆動制御手段を、制御トランジスタの制御極と接続されるポートを備えた中央演算処理装置と切換えスイッチとを含み、該中央演算処理装置は、上記切換えスイッチの切換え動作により、上記ポートを入力端子に切換えた状態で開放信号を形成し、上記ポートを出力端子に切換えた状態で高レベル信号を形成する第1動作モードと、上記ポートを入力端子に切換えた状態で開放信号を形成し、上記ポートを出力端子に切換えた状態で上記制御トランジスタをオン状態にする高レベル信号に加えて上記制御トランジスタをオフ状態にする低レベル信号を独立して形成する第2動作モードとを選択設定するように構成したものであり、請求項1ないし3のいずれか一項に記載の発明と同様の作用に加えてEL素子へ印加する電圧を二種に切換え、EL素子の発光時の明るさを可変することができる作用を有する。
【0024】
本発明の請求項6に記載の発明は、請求項1〜5に記載されるEL発光装置を内蔵した電子機器であって、装置形状を小型・簡素化でき、かつスイッチ素子の同時導通による破壊を防止することができる。
【0028】
(実施例1)図1は本発明によるEL発光装置およびこのEL発光装置を内蔵した電子機器の一実施の形態を示す要部電気回路図であり、図中、図4と同符号の構成要素は同一機能要素を示している。
【0029】
本実施の形態は、図面からも明らかなように、EL素子6と直列に接続されるコンデンサ14と、EL素子6と並列に接続される抵抗15を備えている。
【0030】
さらに、スイッチ素子3Aとダイオード4と制御トランジスタ17とを直列接続してなり電源1の両端に接続されるスイッチ回路2Aと、電源1とスイッチ素子3Aの制御極との間に接続されるゲート手段7と、ダイオード4と制御トランジスタ17との接続点と上記制御極との間を接続する給電路からなりダイオード4に生じる降下電圧により上記制御極を逆バイアスする逆バイアス手段8とを備えて形成されているスイッチ手段16を備えている。
【0031】
なお、スイッチ手段16は、全体としては電源1に対して直列関係に接続されており、また、スイッチ素子3Aには、EL素子6と抵抗15とからなる並列接続体とコンデンサ14との直列接続体18が並列接続されている。
【0032】
さらに、本実施の形態は、制御トランジスタ17の制御極と接続される出力端子を有する駆動制御手段19を備え、この駆動制御手段19は、制御トランジスタ17の制御極に高レベル信号および電気的に浮いた状態を設定する開放信号を交互に印加して制御トランジスタ17の動作を制御する。
【0033】
なお、駆動制御手段19としては、周知の中央演算処理装置(CPU)を含んで構成することができ、この場合、制御トランジスタ17の制御極と接続されるポートを出力端子として設定することにより高レベル信号を出力し、また入力端子として設定することにより上述した電気的に浮いた状態を設定する開放信号を極めて容易に得ることができ、本実施の形態もそのように構成している。
【0034】
さらに、本実施の形態は、EL素子6とスイッチ素子3Aとの接続点と制御トランジスタ17の制御極との間に例えば抵抗である電流制限素子20が、また制御トランジスタ17の制御極とグランドとの間に第1抵抗21が接続されている。
【0035】
本実施の形態におけるEL素子6を除く上記のような構成が、EL素子6の両端に正逆方向の定電圧を印加する発光制御手段Xを形成することになり、以下この発光制御手段Xの動作について説明する。
【0036】
今、駆動制御回路19から高レベル信号が出力されると、制御トランジスタ17がオンし、電源1からEL素子6とコンデンサ14とを含む直列接続体18、ダイオード4等を介して電流が流れ、これによりEL素子6およびコンデンサ14の充電がなされると共にEL素子6が発光する。
【0037】
この時、ダイオード4に生じる降下電圧が逆バイアス手段8である給電路を介してスイッチ素子3Aの制御極(ゲート)に印加されることから制御極は逆バイアスされ、よってスイッチ素子3Aはオンすることなくオフ状態に維持される。
【0038】
なお、抵抗からなるゲート手段7を介しても電流が流れることになるが、上述したようにスイッチ素子3Aがオフ状態に維持されることから、その抵抗値を適宜の値に設定することにより特に問題は生じない。
【0039】
EL素子6の充電による発光特性を考慮した所定時間後に駆動制御回路19から出力される出力信号をそれまでの高レベル信号から開放信号に切換えると、制御トランジスタ17がオフ動作を開始することになる。
【0040】
制御トランジスタ17がオフ動作を開始するとスイッチ素子3Aの逆バイアス状態が解除されることになり、よってコンデンサ14とEL素子6の充電電荷のゲート手段7等を介しての放電によりスイッチ素子3がオンすることになり、コンデンサ14とEL素子6の充電電荷がスイッチ素子3等を介して放電され、EL素子6が発光する。
【0041】
この時、電流制限素子20とEL素子6の接続点でもあるEL素子6とスイッチ素子3Aとの接続点Yの電位について見てみると、この接続点Yの電位は上述したコンデンサ14等の充電電荷の放電により上昇して制御トランジスタ17をオンさせる方向に作用することになるため、結果的に、電流制限素子20と第1抵抗21の抵抗値および制御トランジスタ17のベース〜エミッタ間電圧によって決定される所定電圧値に制御されることになる。
【0042】
このため、制御トランジスタ17のオフ動作に伴うコンデンサ14のEL素子6等を介しての放電動作時、コンデンサ14には電源1が出力する直流電圧から上述した接続点Yの電位を減じた電位の電圧が残存することになり、結果としてコンデンサ14の放電動作は接続点Yの電位分だけの放電動作となる。
【0043】
EL素子5の放電による発光特性を考慮した所定時間後に駆動制御回路19から出力される出力信号をそれまでの開放信号から再度高レベル信号に切換えると、制御トランジスタ17が再びオンし、先の場合と同様に電源1からEL素子6とコンデンサ14とを含む直列接続体18等を介して電流が流れ、これによりEL素子6およびコンデンサ14の充電がなされると共にEL素子6が発光する。
【0044】
しかしながら、今回のコンデンサ14の充電動作は、コンデンサ14に電源1が出力する直流電圧から前述した接続点Yの電位を減じた電位の電圧が残存していることから、結果として接続点Yの電位分だけの充電動作となる。
【0045】
以降、駆動制御回路19から出力される出力信号の切換えにより、上述した動作が繰返されてEL素子6は発光する。
【0046】
ここで、上述したコンデンサ14等の充電電荷の充放電によるEL素子6の発光動作についてEL素子6を中心に見てみると、EL素子6の両端に印加される電圧は、電源1の供給が開始された初回のコンデンサ14等の充電による発光時のみ電源1が出力する直流電圧となるが、それ以降のコンデンサ14等の充放電による発光動作時には、前述したように、EL素子6とスイッチ素子3Aとの接続点Yの電位の電圧が印加されることになる。
【0047】
すなわち、図4に示したコンデンサ14を備えていない例の場合には、電源1の出力する直流電圧が印加され、かつその印加電圧による充電電荷が放電されるだけであることから、EL素子6の両端には、EL素子6とスイッチ素子3Aとの接続点Yの電位を基準とすれば、プラス方向に電源1の出力する直流電圧がパルス的に印加されるだけであったのに対し、本実施の形態の場合、コンデンサ14の放電時にマイナス方向にも変動することになる。
【0048】
換言すれば、本実施の形態におけるEL素子6の両端には、コンデンサ14等の初回の充電動作以降は、電流制限素子20と第1抵抗21と制御トランジスタ17のベース〜エミッタ間電圧で決定される所定電位(接続点Yの電位)の電圧が、コンデンサ14の放電時と充電時で異なる方向に印加されることになる。
【0049】
このことは、EL素子6の両端に、電流制限素子20と第1抵抗21等の定数によって決定されることにより所定電位に定電圧化された電圧を正逆方向に、すなわち定電圧化された電圧が有する電位幅の2倍の電位幅を有する定電圧を印加できることに他ならず、したがって電流制限素子20等の定数を、電源1が出力する直流電圧の電圧値やEL素子6に印加したい電圧値等を考慮して適宜設定することにより、例えば上記所定電位を電源が出力する直流電圧の1/2以上の電位となるように設定することにより、EL素子6に電源1が出力する直流電圧が有する電位幅以上の電位幅を有する定電圧をパルス的に印加できることになる。
【0050】
この結果、電源1から出力される直流電圧が変動してもEL素子6の発光時の明るさが変動しないことはもちろん、電源1として、図4で述べた従来例のようにEL素子6に印加したい所望電位幅の直流電圧を出力する電源を準備する必要はなく、上記所望電位幅より小さい電位幅を有する直流電圧を出力する電源を採用できることになり、本実施の形態においては、電源の設計を極めて大きな自由度で行えることになる。
【0051】
なお、制御トランジスタ17として周知の電界効果トランジスタを、また電流制限素子20として周知のツェナーダイオードを、そのカソードをEL素子6とスイッチ素子3Aとの接続点に接続して用いても同様の作用、効果を得られることが確認できており、要するに制御トランジスタ17等としては、接続点Yの電位を定電圧化できる種々の素子、構成を採用することができる。
(実施例2)
図2は本発明によるEL発光装置およびこのEL発光装置を内蔵した電子機器の他の実施形態を示す要部電気回路図であり、図中、図1と同符号の構成要素は同一機能要素を示している。
【0052】
本実施の形態は、図2からも明らかなように、先の実施の形態において周知の中央演算処理装置(CPU)を含んで構成し、制御トランジスタ17の制御極と接続されるポートを出力端子として設定することにより高レベル信号を出力し、また入力端子として設定することにより上述した電気的に浮いた状態を設定する開放信号を得ていた駆動制御手段19を、制御トランジスタの制御極と接続されるポートを備えた中央演算処理装置(CPU)と切換えスイッチ22とを含み、かつ上記中央演算処理装置が、上記切換えスイッチ22の切換え動作により、上記ポートを入力端子に切換えた状態で開放信号を形成し、上記ポートを出力端子に切換えた状態で高レベル信号を形成する第1動作モードと、上記ポートを入力端子に切換えた状態で開放信号を形成し、上記ポートを出力端子に切換えた状態で上記制御トランジスタをオン状態にする高レベル信号に加えて上記制御トランジスタをオフ状態にする低レベル信号を独立して形成する第2動作モードとを選択設定するように構成したものである。
【0053】
したがって、本実施の形態は、第2動作モードにおいて、高レベル信号を出力して制御トランジスタ17をオン状態に制御できると共に、独立した低レベル信号の出力によりオフ状態にも制御できることになる。
【0054】
制御トランジスタ17がオフ状態になると、電源1がスイッチ手段16から電気的に切離されることになるため、コンデンサ14の放電動作が、先の実施の形態における接続点Yの電位の電圧が残存する放電動作とは異なり残存電荷を残さない放電動作となり、この結果、EL素子6の両端には、電源1が出力する直流電圧が正逆方向に印加されることになる。
【0055】
すなわち、EL素子6の両端に印加できる電位幅を、先の実施の形態で説明した接続点Yの所定電位に定電圧化された電圧を印加する場合より、同一電源であるにもかかわらず大きくできることになる。
【0056】
EL素子6の両端に印加される電圧の電位幅が大きくなると、EL素子6の発光時の明るさが明るくなることはいうまでもない。
【0057】
したがって、本実施の形態によれば、駆動制御手段19を先の実施の形態で説明した高レベル信号と開放信号とを交互に出力する動作状態(第1動作モード)に加えてさらに高レベル信号と低レベル信号とを交互に独立して出力する動作状態(第2動作モード)を切換えスイッチ22の切換え動作により設定できるように構成していることから、EL素子6の明るさを二種に可変できる発光装置およびこのEL発光装置を内蔵した電子機器を得られることになる。
【0058】
なお、本実施の形態においても、図1で説明した実施の形態と同様に、制御トランジスタ17として電界効果トランジスタを、また電流制限素子20としてツェナ−ダイオードを採用することができる。
(実施例3)
図3は本発明によるEL発光装置およびこのEL発光装置を内蔵した電子機器のさらに他の実施形態を示す要部電気回路図であり、図中、図1と同符号の構成要素は同一機能要素を示している。
【0059】
本実施の形態は、図3からも明らかなように、図1に示した実施の形態においては、スイッチ素子3A(サイリスタ)とダイオード4と制御トランジスタ17から形成していたスイッチ回路2Aを、スイッチ素子3B(トランジスタ)と第2抵抗23と制御トランジスタ17とを直列接続したスイッチ回路2Bとし、さらに逆バイアス手段8を第3抵抗24で形成したものである。
【0060】
したがって、本実施の形態の動作は、図1に示した実施の形態とはスイッチ素子3Bに対する逆バイアスの印加動作が異なるだけの動作となる。
【0061】
すなわち、駆動制御回路19からの高レベル出力信号の出力による制御トランジスタ17のオンにより、電源1からEL素子6とコンデンサ14とを含む直列接続体18、第2抵抗23等を介して電流が流れ、これによりEL素子6およびコンデンサ14の充電がなされると共にEL素子6が発光する。
【0062】
この時、本実施の形態は、図1に示した実施の形態とは異なり第2抵抗23に生じる降下電圧が第3抵抗24からなる逆バイアス手段8を介してトランジスタであるスイッチ素子3Bの制御極(ベース)に印加されることになり、これによりスイッチ素子3Bは逆バイアスされオンすることなくオフ状態に維持される。
【0063】
なお、抵抗からなるゲート手段7を介しても電流が流れることになるが、上述したようにスイッチ素子3Bがオフ状態に維持されることから、その抵抗値を適宜の値に設定することにより特に問題は生じない。
【0064】
駆動制御回路19からの出力信号が開放信号に切換えられると、制御トランジスタ17がオフ動作を開始し、図1に示した実施の形態と同様にスイッチ素子3Bの逆バイアス状態が解除され、これにより、コンデンサ14とEL素子6の充電電荷がゲート手段7等を介して放電してスイッチ素子3Bがオンし、この結果、コンデンサ14とEL素子6の充電電荷がスイッチ素子3B等を介して放電されることになってEL素子6が発光する。
【0065】
この時、本実施の形態も図1に示した実施の形態と同様、電流制限素子20とEL素子6の接続点でもあるEL素子6とスイッチ素子3Bとの接続点Yの電位は、電流制限素子20と第1抵抗21の抵抗値および制御トランジスタ17のベース〜エミッタ間電圧によって決定される所定電位に制御され、このため、EL素子6の両端には、コンデンサ14等の初回の充電動作以降、上記所定電位の電圧が、コンデンサ14の放電時と充電時で異なる方向に印加されることになる。
【0066】
すなわち、図1に示した実施の形態と同様、EL素子6の両端に電流制限素子20等の定数によって決定されることにより所定電位に定電圧化された電圧を正逆方向に印加できることになり、電流制限素子20等の定数を適宜設定することにより、例えば上記所定電位を電源が出力する直流電圧の1/2以上の電位となるように設定することにより、EL素子6に電源1が出力する直流電圧が有する電位幅以上の電位幅を有する定電圧をパルス的に印加できることになる。
【0067】
この結果、本実施の形態も図1に示した実施の形態と同様に、EL素子6の発光時の明るさの変動を防止できることはもちろん、電源1の設計を極めて大きな自由度で行えることになる。
【0068】
なお、本実施の形態においても、図1、図2に示した実施の形態と同様に、制御トランジスタ17として電界効果トランジスタを、また電流制限素子20としてツェナ−ダイオードを採用することができ、さらに図2に示した実施の形態と同様に、駆動制御手段19を周知の中央演算処理装置(CPU)と切換えスイッチ22を含んで構成し、かつ切換えスイッチ22の切換え動作に応答して高レベル信号と開放信号とを交互に出力する第1動作モードに加えてさらに高レベル信号と低レベル信号とを交互に独立して出力する第2動作モードを選択設定できるように構成することにより、EL素子6の明るさを二種に可変できる発光装置およびこのEL発光装置を内蔵した電子機器を得られることはもちろんである。
【0069】
【発明の効果】
本発明は、EL素子に直列接続されたコンデンサのEL素子を介しての充放電動作を定電圧化してEL素子の発光動作を行うことから、EL素子に対して定電圧を正逆方向に印加できることになり、したがって、装置形状を小型・簡素化でき、かつスイッチ素子の同時導通による破壊を防止できることはもちろん、EL素子に、電源が出力する直流電圧が有する電位幅以上の電位幅を有する定電圧をパルス的に印加できるEL発光装置およびこのEL発光装置を内蔵した電子機器を提供できる効果を有している。
【0070】
また、本発明は、EL素子の発光動作を、EL素子に直列接続されたコンデンサのEL素子を介しての充放電動作を定電圧化した動作状態と定電圧化しない動作状態に切換え制御して行うことにより、EL素子の明るさを可変できる発光装置およびこのEL発光装置を内蔵した電子機器を提供できる効果を有している。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるEL発光装置およびこのEL発光装置を内蔵した電子機器の一実施の形態を示す要部電気回路図
【図2】本発明によるEL発光装置およびこのEL発光装置を内蔵した電子機器の他の実施の形態を示す要部電気回路図
【図3】本発明によるEL発光装置およびこのEL発光装置を内蔵した電子機器のさらに他の実施の形態を示す要部電気回路図
【図4】特公平5−44155号公報に開示されたEL素子の発光駆動回路の一例を示す電気回路図
【符号の説明】
1 電源
3A スイッチ素子
3B スイッチ素子
4 ダイオード
6 EL素子
7 ゲート手段
8 逆バイアス手段
14 コンデンサ
15 抵抗
16 スイッチ手段
17 制御トランジスタ
18 直列接続体
19 駆動制御手段
20 電流制限素子
21 第1抵抗
22 切換えスイッチ
23 第2抵抗
24 第3抵抗
Claims (6)
- EL素子と、前記EL素子に直列に接続されるコンデンサと、前記EL素子と並列に接続される抵抗と、直流電圧を出力する電源と、前記電源に対して直列関係に接続されるスイッチ素子と制御トランジスタとを含んで形成され、前記スイッチ素子には前記EL素子と抵抗とからなる並列接続体と前記コンデンサとの直列接続体が並列接続されているスイッチ手段と、前記スイッチ素子と前記EL素子との接続点と制御トランジスタの制御極との間に接続された電流制限素子と、前記制御トランジスタの制御極とグランドとの間に接続された第1抵抗と、前記制御トランジスタの制御極に少なくとも高レベル信号および開放信号を交互に印加する駆動制御手段とを含み、前記EL素子の両端に正逆方向の定電圧を印加する発光制御手段を備えてなるEL発光装置。
- 前記スイッチ手段は、前記スイッチ素子とダイオードと前記制御トランジスタとを直列接続してなり前記電源の両端に接続されるスイッチ回路と、前記電源と前記スイッチ素子の制御極との間に接続されるゲート手段と、前記ダイオードと前記制御トランジスタとの接続点と前記制御極との間を接続する給電路により前記ダイオードに生じる降下電圧により前記制御極を逆バイアスする逆バイアス手段とを備えて形成されている請求項1に記載のEL発光装置。
- 前記スイッチ手段は、前記スイッチ素子と第2抵抗と制御トランジスタとを直列接続してなり電源の両端に接続されるスイッチ回路と、前記電源と前記スイッチ素子の制御極との間に接続されるゲート手段と、前記第2抵抗と制御トランジスタとの接続点と、前記スイッチ素子の制御極との間に接続される第3抵抗からなる逆バイアス手段とを備えて形成されている請求項1に記載のEL発光装置。
- 駆動制御手段は、制御トランジスタの制御極と接続されるポートを備えた中央演算処理装置を含み、該中央演算処理装置は前記ポートを入力端子に切換えた状態で開放信号を形成し、前記ポートを通常の出力端子に切換えた状態で前記制御トランジスタをオン状態にする高レベル信号を形成する請求項1ないし3のいずれか一項に記載のEL発光装置。
- 駆動制御手段は、制御トランジスタの制御極と接続されるポートを備えた中央演算処理装置と切換えスイッチとを含み、該中央演算処理装置は、前記切換えスイッチの切換え動作により、前記ポートを入力端子に切換えた状態で開放信号を形成し、前記ポートを出力端子に切換えた状態で高レベル信号を形成する第1動作モードと、前記ポートを入力端子に切換えた状態で開放信号を形成し、前記ポートを出力端子に切換えた状態で前記制御トランジスタをオン状態にする高レベル信号に加えて前記制御トランジスタをオフ状態にする低レベル信号を独立して形成する第2動作モードとを選択設定する請求項1ないし3のいずれか一項に記載のEL発光装置。
- 請求項1ないし5のいずれか一項に記載のEL発光装置を内蔵したことを特徴とする電子機器。
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