JP4372064B2 - 自動車用高圧燃料噴射蓄圧分配器およびその製造方法 - Google Patents

自動車用高圧燃料噴射蓄圧分配器およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、自動車用高圧燃料噴射蓄圧分配器およびその製造方法に関し、特に、内圧1200気圧を超える圧力に耐える自動車用高圧燃料噴射蓄圧分配器(コモンレール)を液相拡散接合あるいはその他の溶接で組み立てて製造する際、接合部に不可避的に発生する接合不良が原因で生じる接合部強度低下と接合部からの破壊を補完することのできる、自動車用高圧燃料噴射蓄圧分配器およびその製造方法に関する。
自動車用燃料に軽油を用いる場合、各燃焼室に軽油を空気と混合して均一に噴射し、その爆発燃焼効果を最も効率よくエンジンの動力に変換する技術として、コモンレールシステムが用いられる。これは、燃料をエンジンの各燃焼室へ高圧で気体との混合物として均一に噴射し、その噴射圧力を電子制御で調節することで、排出ガスの有害物質低減にも有効な技術である。欧州では乗用車に多用されていることもあり、不純物成分の少ない軽油を用いることで、高出力、低燃費、さらには大トルクを得られるようになるなど、そのシステム技術開発が続けられてきた。本システムの主要構成は、燃料タンクから軽油をポンプで吸引し、コモンレールと呼ばれる燃料蓄圧器に一時的に高圧で保持し、ここからオリフィスと呼ばれる細径の吐出口と配管を介して噴射ノズルへと送られる。噴射ノズルでは、圧送された燃料を燃焼用空気と混合し、均一にエンジン燃焼室へと送り込む集合配管と噴射機能が備えられている。噴射ノズルから吐出する燃料は均一に噴霧するほど燃焼効率が高く、かつ高圧であるほどこの目的を達成しやすい。すなわち、極力高圧の燃料噴射システムを形成することが、有害物質排出の少ない自動車用エンジンを開発する上で重要な技術要素となっている。ところが、現在のコモンレールシステムでは、最初の蓄圧器に燃料が圧入されるとき、その吐出口に至る過程で、蓄圧器そのものが燃料の圧力に耐えられず、内圧疲労破壊する場合があった。これを解決するために、コモンレール素材の鋼材強度を上げることが重要との認識のもと、鋼材の化学成分の調整、熱処理の調整で対応する技術開発が進み、噴射燃料圧力は1200気圧までは十分に信頼性の高いコモンレールシステムが既に実用化されている。
しかし、1200気圧を超える高圧用のコモンレールでは、現時点では成形鍛造で一体成形し、これに複雑な機械加工を施して製造している。これは、材料強度が高くなれば成形性が劣り、かつ加工が困難であるため、大きなコストの増大を招くこととなり、高圧用コモンレールの実用化の課題として未解決のままであったためである。現時点では、1500気圧までの高圧用コモンレールが一部で実用化されているものの、製造方法は鍛造と機械加工の組み合わせ以外の方法を採択できないため、上記の課題は依然として未解決のままであった。図1にコモンレールの形状の例を示す。図1において、(a)はコモンレールの平面図、(b)は正面図、(c)はホルダー軸心位置の横断面である。
本発明者らは、この高圧用コモンレールの製造方法を根本から見直し、各部位を簡単な形状の部品に分割して部位毎に量産し、溶接によってそれらを組み立てて製品とする方法に着目した。元来1体成型によって部品を形成し、形状が複雑である場合には型打ち鍛造や据え込み鍛造、あるいは鋳造や一部削りだし工程を経て製造すべき部品を、単純形状の部品に分割して製造し、それらを液相拡散接合によって組み立てる技術については、特許文献1および2に記載がある。これらの技術は、液相拡散接合という精密接合技術の利点を用い、複雑形状の部品を接合によって実現する技術であるが、液相拡散接合が融点降下元素の拡散律速で進行する性質を有するため、高温で接合面に応力を負荷し続けなければならず、工程時間が比較的長く、かつ接合装置のコストが高いこともあって工業的には普及している状況にはない。
特開2002−086279号公報 特開2002−263857号公報
しかしながら、上記特許文献1、2に記載の発明は、接合面への負荷応力が接合治具あるいは部品形状、さらには加工精度の問題から均一とならない場合や、加熱を均一に実施しない場合に生じる局部変形による接合面の精密突き合わせを安定して形成する技術については開示がない。自動車用高圧燃料噴射蓄圧分配器は適用される部位の性質上接合強度は設計に厳格に反映され、機関の信頼性獲得に最も重要な部位である。従って、例えば接合工程において管理が困難な原因、すなわち上記したような原因による不完全接合部が万が一発生した場合は、たとえ後の検査技術を万全にしたとしても生産コストという観点からは歩留まり向上が果たせず、部品のコスト高騰につながり、工業製品として好ましくない製造方法しか採ることができないという課題が未解決であった。
液相拡散接合などの面接合技術は精密継ぎ手を形成可能ではあるが、反面ごく僅かな開先形状の異常にも鋭敏であって、信頼性の高い継ぎ手を得る上では解決すべき課題が残っている。
そこで、本発明は、自動車燃料噴射部品であるコモンレールの燃料分岐管をレール本体に燃料の圧力損失や漏洩無く接続する為に必要なホルダーを、液相拡散接合やその他の接合技術、あるいはそれらの複合技術により接合する際の信頼性を大きく高めることのできる、自動車用高圧燃料噴射蓄圧分配器およびその製造方法を提供する。
本発明は、上記のような従来技術の問題点、すなわち接合で形成したコモンレール本体とホルダーとの接合が、引張り強度等の機械的特性を満足していたとしても、非破壊検査等で確認できない微小欠陥や、ヒューマンエラーに基づく欠陥の見逃しがあって、部品が必要とする特性、特に長時間の内圧疲労耐久特性が実現できないという事態を漏れなく防止することを目的になされたものであって、その要旨とするところは以下のとおりである。
(1) 自動車用高圧燃料噴射蓄圧分配器(コモンレール)のレール本体に、等圧で燃料を分配するための複数の分岐通路からエンジンの燃焼室に挿入する噴射ノズルへの配管を取り付ける配管取付部品(ホルダー)を液相拡散接合等で接合した、溶接式コモンレールであって、前記ホルダーは、配管側の円筒部とレール本体側端部の部分円錐状の裾部(テーパー部)からなり、該ホルダー裾部は、ホルダーの接合面側の端部外周のホルダー軸方向長さ2mm以上にわたる範囲に、ホルダー円筒部側面から10°以上の角度を有して接合面端部に向かって部分円錐状に広がる形状を有し、前記レール本体は、ホルダー接合位置にホルダー接合位置決定用溝(ガイド溝)を有し、該ガイド溝は、ホルダー接合部内周と嵌合可能な径の溝内周壁と、ホルダーとの接合面となる溝底面と、ホルダー裾部と平行で、溝底面から2mm以上の深さの、ホルダー側に向かって内側に張り出す部分円錐形状の溝外周壁とからなり、前記ホルダー裾部と前記レール溝外周壁との間の、接合面に平行な間隔で0.5mm以上の間隙に、塑性変形を受けて圧入された金属製リングを有し、これにより冷間にて接合面に恒久的に圧縮応力が負荷されていることを特徴とする、自動車用高圧燃料噴射蓄圧分配器。
(2) 前記金属製リングの降伏強度が100MPa以上、500MPa以下であることを特徴とする、上記(1)に記載の自動車用高圧燃料噴射蓄圧分配器。
(3) コモンレールに内圧が負荷され、ホルダーを引き抜く力が作用したときに発生する金属製リングとレール本体またはホルダーとの間の摩擦抵抗および金属製リングの塑性変形圧入後の剛性の合力に起因する引き抜き時の弾性限が、内圧発生によって接合部に負荷される最高応力以上であることを特徴とする、上記(1)または(2)に記載の自動車用高圧燃料噴射蓄圧分配器。
(4) 自動車用高圧燃料噴射蓄圧分配器(コモンレール)のレール本体に、等圧で燃料を分配するための複数の分岐通路からエンジンの燃焼室に挿入する噴射ノズルへの配管を取り付ける配管取付部品(ホルダー)を液相拡散接合等で接合する、自動車用高圧燃料噴射蓄圧分配器の製造方法であって、前記ホルダーは、外形形状を、配管側の円筒部とレール本体側端部の部分円錐状の裾部からなり、該ホルダー裾部は、ホルダーの接合面側の端部外周のホルダー軸方向長さ2mm以上にわたる範囲に、ホルダー円筒部側面から10°以上の角度を有して接合面端部に向かって部分円錐状に広がる形状となるように加工し、前記レール本体は、ホルダー接合位置にホルダー接合位置決定用溝(ガイド溝)を、ホルダー接合部内周と嵌合可能な径の溝内周壁と、ホルダーとの接合面となる溝底面と、ホルダー裾部と平行で、溝底面から2mm以上の深さの、さらには、ホルダー裾部との間の、接合面に平行な間隔で0.5mm以上の間隙を隔てて、ホルダー側に向かって内側に張り出す部分円錐形状の溝外周壁とからなるように加工した後、前記ホルダーと前記レール本体を液相拡散接合等で接合し、さらに、所定の熱処理を施した後、ホルダー円筒部外径と同一あるいはさらに0.5mm以内のクリアランスを加えた内径を有し、かつ、0.5mm以上の厚さを有する金属製リングを、前記ホルダー裾部とレール溝外周壁の間隙に塑性変形させて圧入することを特徴とする、冷間にて接合面に恒久的に圧縮応力が負荷される自動車用高圧燃料噴射蓄圧分配器の製造方法。
(5) 前記金属製リングの高さを、前記ガイド溝の深さと同一か、あるいはそれ以上の高さとすることを特徴とする、上記(4)に記載の自動車用高圧燃料噴射蓄圧分配器の製造方法。
本発明によれば、特に、内圧1200気圧を超える圧力に耐える自動車用高圧燃料噴射蓄圧分配器(コモンレール)を液相拡散接合あるいはその他の溶接で組み立てて製造する際、接合部に不可避的に発生する接合不良が原因で生じる接合部強度低下や接合部からの破壊を有利に補完することができるため、その産業上の効果は計り知れない。
本発明は、自動車用燃料噴射システムであるコモンレールを接合で組み立てて製造する際に、継ぎ手に現行技術では不可避的に潜在する接合部欠陥を検出できない場合に、当該コモンレールに確実な継ぎ手信頼性を付与し、その機能を完全に発揮させるためのものである。本発明は、コモンレールの蓄圧構造と燃料分岐経路を内包し、内部の圧力検知あるいは圧力フィードバック機構を接続可能なレール本体(以降、本発明では、単に、レールともいう。)と、その燃料分配経路と配管を接続するコネクターである内ネジ式接続突起(以降、この部位をコモンレールから切り離し、接合でレール本体に結合させる部品を、単に、ホルダーともいう。)、さらには、ホルダーをレールに接合した後に、熱処理等で必要な調質処理を実施した後に、レールとホルダーの接合面に恒久的に圧縮残留応力を付与する機能を有する金属製リング(本発明では、以降、単にリングともいう。)からなる。ここでは、その構成と、接合部への圧縮残留応力の付与方法について具体的に説明する。
図1には既にコモンレールの一形態を示し、レール本体2とホルダー1を図示した。レールは内部に貫通孔を有し、ここから孔の軸方向に垂直な方向へ燃料の分配のためのオリフィスを有している。なお、ここでは図1のコモンレールを例として解説するが、基本的に燃料の蓄圧器であるレールの形状には制限が無く、断面は今回のように矩形でも円形でも良く、エンジンへの燃料供給と配管の取り回しの利便性に応じて適宜形態を変化させることができる。ただし、貫通孔と分岐管構造だけは必須の要素である。図2には、レールを幅方向に切断した際の断面構成図を、リングの勘合の際の圧入方法も含めて示した。図2において、(a)はリング圧入前、(b)はリング圧入後の状態を示したものである。すなわち、
(1)レールとホルダーは別に製造した簡易形状の部品であって、一体成形したものではない。
(2)レールとホルダーは液相拡散接合等の面接合で継ぎ手を形成することで母材と同等の引張り強度で接合される。ここの溶接に際しては、ホルダーの軸心とレールのオリフィス部分を高精度で連結し、メタルシールで配管を接続する際の燃料漏れを防止するためにレールへホルダーを位置ずれなく正確に接合するためのガイド溝3を設ける。ガイド溝の深さはその機能から2mm以上とする。これ以下の深さではホルダー軸心がメタルシールで連結する配管の軸心と大きくずれてしまい、締結の際に締め付けが達成できなかったり、部分的に燃料が漏洩して圧力損失が生じ、燃料噴射機能が十分でなくなる場合があることを実験的に確認した。
(3)ホルダーの接合端から2mm以上の高さまで、10°以上のテーパーを有する裾広がりの形状を有することが特徴で、この傾斜面に対抗するレール本体の溝は傾斜に平行な逆テーパーを有しており、この斜めの溝にリングを圧入する。
(4)圧入の応力はリング材質に応じて負荷すれば良く、降伏耐力以上の応力でリングが間隙に図3左のように圧入されていく。リング材質としては降伏耐力を目安に実験を実施したが、100MPa以下の降伏耐力ではホルダーに発生した内圧応力負荷時の引き抜き応力、実験時の最大内圧2000気圧から計算される応力200MPa未満でリングが塑性流動してホルダーが抜けることから、降伏応力下限は100MPaとした。また、上限値には特別な規制となるものはないが、あまりにも高い場合は圧入時の塑性変形が生じがたく、かえってレールまたはホルダーが塑性変形する場合があり、リングが継ぎ手に残留応力を付与できない場合があったため、上限値を500MPaに限定した。ホルダーとレールの強度を高めれば上限値は特に規制されるものではない。
(5)リング圧入はホルダーとレールの間隙を完全に充填するまで実施する。充填の確認はリングの高さと溝の深さを予め計算・測定しておき、リングが完全に溝底に達したと考えられる深さまで圧入すればよい。このとき、リング高さが溝深さよりも低い場合は、該方法による圧入完了の確認ができないばかりか、実質的に完全に圧入を確認できない。
(6)圧入の実際と圧入の応力の関係は、リング圧入後に断面を切断して確認し、(5)の圧入条件で十分であることを確認した。
(7)ホルダーとレールの接合は十分な接合条件を選択し、非破壊検査にて欠陥検出を実施すれば工業的な安全係数を用いて特性を保証することができる。しかし、非破壊検査で検出できない小さな欠陥、あるいは探傷子から入射される超音波の波長に比較して極めて小さな欠陥、さらには溶接方法起因の種々の微小欠陥や溶接割れを見逃す場合を100%保証することは難しい。該接合部に要求される特性は、内圧変動時に生じる接合面と垂直な繰り返し引張り応力であり、その蓄積による疲労破壊が最も予測しがたく、かつ部品設計において最重要保証項目となる。これを防止する目的で接合部に圧縮残留応力を負荷すべく本発明ではリングを圧入して、接合面と垂直な方向への残留応力の分力を与えて内圧疲労環境における疲労条件を緩和する事が本発明の目的とするところである。ただし、完全な疲労破壊の防止の為には配管をメタルシールで締結する際に発生する残留引張り応力と、それに負荷される内圧変動に起因する繰り返し引張り応力よりも本発明によって接合部に負荷する圧縮残留応力が勝っていることが必要である。内圧が高くなったとしても、圧縮残留応力を、締結引張り応力と内圧起因のホルダーの最大引き抜き応力の和が超えることがなければ接合部には引張り応力が発生することは恒久的に無い。すなわち、コモンレールに内圧が負荷され、ホルダーを引き抜く力が作用したときに発生する金属製リングとレールまたはホルダーとの間の摩擦抵抗およびリングの塑性変形圧入後の剛性の合計応力が勝り、常に接合面の応力が圧縮側であれば良い。
もちろん接合面の応力が引張り側にあったとしても、継ぎ手強度が該引張り応力の2倍以上であれば、工業的には信頼できる継手と考えて良いが、全ての部品の保証を確実に実施するには請求項4に記載の本発明の条件が必要である。
なお、本発明でホルダー底面を裾広がりの形状とし、少なくとも2mmの高さ以上に10°以上のテーパーを付与する条件は、以下のような実験に基づくものである。すなわち、接合端部形状を明確に示すために、図2の接合部近傍の拡大図を図3に示した。図3において、(a)はリング圧入前、(b)はリング圧入後の状態を示したものである。ホルダー裾部(テーパー部)の接合端からの距離を2mmとした場合に、テーパー部の角度を種々に変えてホルダーの引き抜き応力を引張り試験機で測定した。内圧2000気圧を付与したと想定される場合のホルダーに生じる接合部の引き抜き応力の弾性限は最大で約200MPaと計算できたため、この値をしきい値とした。図4にテーパー角度と引き抜き時の降伏開始応力(弾性限)の関係を示した。図4から明らかなごとく、テーパー角度が10°を境にして、引き抜き応力は200MPaを遷移する。すなわち、200MPa以上の引き抜き時変形開始応力を得るにはテーパー角度は10°以上が必要である。テーパー高さとの関係についても別途同様な実験を最大5mmまで実施したが、ほぼテーバー角度選定のための実験結果と同様な結果となった。また、図5にはテーパー角度10°の場合のリング高さと引き抜き応力との関係を示した。リング高さはこの場合溝深さと同一で、溝深さが深いほどテーパー部深さも深くなり、リングとホルダーまたはレールの接触面積が大きくなるために摩擦力は高くなる。すなわちリング高さには必要な値が存在し、今回の実験結果では2mm以上であることが判明した。
また、十分な剛性を付与する目的でリングの厚みは0.5mmが必要で、これよりも薄い場合にはリングの部分的な塑性流動が生じ、断裂のためにホルダーが200MPa未満で抜ける場合があった。
なお、レール本体とホルダーを製造するに際して、材料は内圧とコモンレールの設計最大主応力との関係で種類を選ぶことができて、引張り強さ800MPa〜1500MPaの間で適宜選択できる。高強度鋼では清浄度の高い材料を選択することで、介在物起因の破壊も防止できるため、こうした材料から適宜選択すれば良く、材料の化学成分に関する規制はない。さらに、コモンレールを製造するにあたってオリフィス径、内部蓄圧領域の主管の径等は目的とするコモンレールの機能に応じて適宜選択すればよい。これらの選択は本発明の効果に全く支障が無く、むしろ高圧コモンレール設計の自由度を高め、重量軽減等にも有効であって、本発明の効果を高める。
図1に示したコモンレールを、次のようにして試作した。すなわち、230mm長、30mm角のレール本体と、24mm外径、厚み5mmのホルダーに内径側へ最大ネジ山高さ2mmの燃料分配分岐配管接続用ホルダーを表1に示す3種類の化学成分を有する材料毎に、別々に圧延、引き抜き、切削等で鋼板あるいは棒鋼より製造した。レール本体には、図3に示した、深さ3mmのホルダー接合用のガイド溝を加工し、ホルダー端部は、図3に示すような、テーパー角15°、高さ3mmの裾部を設け、これと対面するレール側溝外壁には裾部テーパーが同じ15°となるように研削加工を実施し、レール側溝外壁とホルダー端部外面テーパー(裾部)との距離を0.5mmとなるように溝形状を調整した。レール本体とホルダーとを、液相拡散接合および電気抵抗溶接、摩擦圧接あるいはそれらの組み合わせ接合技術を用いて接合した後、接合後の冷却によって、あるいは熱処理を実施して材料の強度を1200MPaとなし、ホルダー外壁とレール溝外壁の間の間隙に0.5mm厚み、高さ3mmの鋼製リングを、ホルダー接合部に圧縮応力を残留させる目的で800MPaの圧力で圧入し、コモンレールを組み立てた。組み立て後にホルダーを引き抜く実験を実施したところ、引き抜き時の塑性変形開始応力(弾性限)は、引き抜き力をリングのホルダー軸方向から見た圧入前の面積で除した値で450MPaであった。この場合の圧入リングはJIS G 3106のSM490鋼であり、圧入前、加工ままでの降伏応力は364MPaであった。すなわち、リングは圧入により加工硬化した。
また、完成したコモンレールを、別途加工して取り付けた固定用治具を介して内圧疲労試験装置にセットし、最大噴射圧力3000気圧にて15Hzで1000万回の内圧疲労試験を実施した。試験にあたっては、ホルダー上部の開口端を塞ぐネジをホルダー内径側に加工したネジ形状に合うよう選択して3tonの最大トルクで締結し、実際のエンジンにおける使用環境を再現した。
疲労破壊に至る内圧負荷繰り返し数Nと付加圧力から計算される接合部応力の関係を図6に内部圧力−疲労破壊寿命線図で示した。この場合、最大付加圧力は形状と内圧で決定するが、内圧2000気圧で発生する接合部最大主応力は190MPaと推定計算でき、また、同様に3000気圧では270MPaとなる。図6の結果において、黒丸はレール本体からの破壊、→を有する黒丸は1000万回でも疲労破壊が発生しなかったデータを、さらに、黒三角はホルダーとレールの接合部から破壊した場合を示した。実際のコモンレールに付加される内部圧力は2200気圧が想定されるものの中で最大であり、図6のデータによれば、疲労限度の圧力を2300気圧と読み取ることができ、製造したコモンレールは最高2200気圧の内圧に1000万回の疲労試験でも耐えうることを図6は示している。さらに、図中では点線で本発明のような突出部を設けない場合の溶接式コモンレールの結果も、比較のために代表線として示した。疲労限界の応力はやや低下しているが、これは372万回および561万回で接合部から破壊したデータを疲労限の値として有しているためであり、本発明の技術によって接合で組み立てたコモンレールの接合部強度信頼性が従来技術に対して明確に向上していることが明らかである。
Figure 0004372064
コモンレールの構造を内部も含めて詳細に示す図であり、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)はホルダー軸心位置の横断面である。 金属製リング圧入要領を示す図であり、(a)が圧入前、(b)が圧入後の状態を示す図である。 ホルダーの接合部詳細形状と金属製リングの圧入前後の様子を示す図であり、(a)が圧入前、(b)が圧入後の状態を示す図である。 ホルダー裾部テーパー角度と引抜き変形降伏開始点応力の関係を示す図である。 ホルダー裾部テーパー角度10°の場合の必要リング高さの関係を示す図である。 本発明の方法で製造したコモンレールの内圧疲労試験結果と従来技術の比較を示した図である。
符号の説明
1 配管取付部品(ホルダー)
1’ 配管取付部品(ホルダー)円筒部
1” 配管取付部品(ホルダー)裾部
2 レール本体
3 ホルダー接合位置決定用溝(ガイド溝)
3’ ホルダー裾部とガイド溝外周壁との間隙
4 金属製リング(圧入前)
5 ホルダーの軸心位置
6 ホルダー端部の裾部高さ
7 ホルダー端部の裾部テーパー角度
8 レール側ガイド溝のホルダー裾部対向部位
9 金属製リング(圧入後)
10 リングの厚さ
11 リングの高さ

Claims (5)

  1. 自動車用高圧燃料噴射蓄圧分配器(コモンレール)のレール本体に、等圧で燃料を分配するための複数の分岐通路からエンジンの燃焼室に挿入する噴射ノズルへの配管を取り付ける配管取付部品(ホルダー)を液相拡散接合等で接合した、溶接式コモンレールであって、前記ホルダーは、配管側の円筒部とレール本体側端部の部分円錐状の裾部(テーパー部)からなり、該ホルダー裾部は、ホルダーの接合面側の端部外周のホルダー軸方向長さ2mm以上にわたる範囲に、ホルダー円筒部側面から10°以上の角度を有して接合面端部に向かって部分円錐状に広がる形状を有し、前記レール本体は、ホルダー接合位置にホルダー接合位置決定用溝(ガイド溝)を有し、該ガイド溝は、ホルダー接合部内周と嵌合可能な径の溝内周壁と、ホルダーとの接合面となる溝底面と、ホルダー裾部と平行で、溝底面から2mm以上の深さの、ホルダー側に向かって内側に張り出す部分円錐形状の溝外周壁とからなり、前記ホルダー裾部と前記レール溝外周壁との間の、接合面に平行な間隔で0.5mm以上の間隙に、塑性変形を受けて圧入された金属製リングを有し、これにより冷間にて接合面に恒久的に圧縮応力が負荷されていることを特徴とする、自動車用高圧燃料噴射蓄圧分配器。
  2. 前記金属製リングの降伏強度が100MPa以上、500MPa以下であることを特徴とする、請求項1に記載の自動車用高圧燃料噴射蓄圧分配器。
  3. コモンレールに内圧が負荷され、ホルダーを引き抜く力が作用したときに発生する金属製リングとレール本体またはホルダーとの間の摩擦抵抗および金属製リングの塑性変形圧入後の剛性の合力に起因する引き抜き時の弾性限が、内圧発生によって接合部に負荷される最高応力以上であることを特徴とする、請求項1または2に記載の自動車用高圧燃料噴射蓄圧分配器。
  4. 自動車用高圧燃料噴射蓄圧分配器(コモンレール)のレール本体に、等圧で燃料を分配するための複数の分岐通路からエンジンの燃焼室に挿入する噴射ノズルへの配管を取り付ける配管取付部品(ホルダー)を液相拡散接合等で接合する、自動車用高圧燃料噴射蓄圧分配器の製造方法であって、前記ホルダーは、外形形状を、配管側の円筒部とレール本体側端部の部分円錐状の裾部からなり、該ホルダー裾部は、ホルダーの接合面側の端部外周のホルダー軸方向長さ2mm以上にわたる範囲に、ホルダー円筒部側面から10°以上の角度を有して接合面端部に向かって部分円錐状に広がる形状となるように加工し、前記レール本体は、ホルダー接合位置にホルダー接合位置決定用溝(ガイド溝)を、ホルダー接合部内周と嵌合可能な径の溝内周壁と、ホルダーとの接合面となる溝底面と、ホルダー裾部と平行で、溝底面から2mm以上の深さの、さらには、ホルダー裾部との間の、接合面に平行な間隔で0.5mm以上の間隙を隔てて、ホルダー側に向かって内側に張り出す部分円錐形状の溝外周壁とからなるように加工した後、前記ホルダーと前記レール本体を液相拡散接合等で接合し、さらに、所定の熱処理を施した後、ホルダー円筒部外径と同一あるいはさらに0.5mm以内のクリアランスを加えた内径を有し、かつ、0.5mm以上の厚さを有する金属製リングを、前記ホルダー裾部とレール溝外周壁の間隙に塑性変形させて圧入することを特徴とする、冷間にて接合面に恒久的に圧縮応力が負荷される自動車用高圧燃料噴射蓄圧分配器の製造方法。
  5. 前記金属製リングの高さを、前記ガイド溝の深さと同一か、あるいはそれ以上の高さとすることを特徴とする、請求項4に記載の自動車用高圧燃料噴射蓄圧分配器の製造方法。
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