JP4371725B2 - インクジェット記録装置 - Google Patents

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Description

本発明は、インクジェット記録装置に関するものであり、その目的は主として、出力画像の色再現性の安定化に関する。
従来のインクジェット記録装置としては、主走査方向に移動可能なキャリッジ上に、記録手段としての記録ヘッドおよびインク容器としてのインクタンクを交換可能に搭載したいわゆるシリアルスキャン方式のものがある。この記録方式は、記録ヘッド及びインクタンクが搭載されたキャリッジの主走査と、記録媒体の副走査(搬送)との繰り返しによって、記録媒体上に順次画像を記録する。
このようなシリアルスキャンの記録方式を用いて、PDA(Personal Digital Assistants:個人用情報端末)用あるいはカメラ用などに適した超小型のプリンタを実現することを考えた場合、キャリッジ自体の大きさが小さくなるので、これに搭載されるインクタンクのインク容量も極端に小さくする必要が生じる。しかしキャリッジ上のインクタンクの容量が極端に小さい場合は、インクタンクの交換頻度が頻繁になったり、あるいは記録動作途中においてインクタンクを交換しなければならないような事態が発生する可能性がある。
そこで、このような問題を解決するべく、キャリッジが所定の待機位置に移動するたびに、これとは別に設けられたインク収容部材(以下メインタンクと呼ぶ。通常メインタンクはキャリッジ上のインクタンクよりははるかに大きい。)からキャリッジ上のインクタンク(以下サブタンクと呼ぶ)にインクを適宜のタイミングで補給するインク供給方式(以下便宜上「ピットインインク供給方式」と称する)の装置が、特許文献1等で提案されている。
この装置では、例えば1枚の記録媒体に印刷をする度に、キャリッジを所定の待機位置に移動させて、キャリッジ上のサブタンクとメインタンクとを適宜のタイミングでジョイント部材にて連結し、この連結状態でメインタンクからサブタンクにインクを補給するようになっている。したがって、上述したキャリッジ上のサブタンクのインク容量が極めて小さいことに起因する問題は解消される。
特開2000−334982号公報
しかし、上記構成において、本発明者等が鋭意研究した結果、以下の知見を得た。すなわち、比較的長期間、インクジェット記録装置を未使用のまま放置し、再びプリントを試みた場合に、画像の色調が自然ではなくなる、あるいは続けて同じ画像をプリントした場合に、複数枚の画像間で色調が異なってしまう。
このような色調の不自然さや同じプリント物の色味のズレは、写真を印刷するためのカメラ用プリンタとしては特に好ましくない現象である。
これらの現象は、長期間低湿度環境などにプリンタが放置されることによるサブタンク内のインクの濃縮が原因で引き起こされる。この問題は、サブタンクの開口部を必要に応じて塞ぐような機構を設けたり、サブタンクの材質をガス透過性の小さい材質にしたり、タンクの厚みを増すことによって軽減することが可能である。
しかし、蒸発がゼロにならない限りこれらは根本的な対策にはならない。また、このような対策は、コストアップになったり、サブタンク部分のサイズアップによって小型化を阻害したりする。
また、本発明者らが更に詳細に検討したところ、比較的長期間インクジェット記録装置を未使用のまま放置すると、サブタンク内のインクの増粘が激しく、通常のインクジェットプリンタで用いられるところのインク粘度をはるかに上回るインク粘度となってしまい、記録ヘッドのノズルの回復ができない場合がある、という知見を得た。
図19はサブタンクとサブタンク内の残存インク量の関係を時系列的に説明する概念図である。まず図19(a)は、ピットインインク供給方式によりサブタンク内にインクが満たされた状態であり、印字が終了すると図19(b)のように印字に用いられた分のインクが消費された状態となる。なお、ピットインインク供給方式を小型のプリンタに適用する場合、サブタンクはその容量が極めて小さいものであり、例えば、各色あたりのインク収容量が0.4ml(=400μl)である。図19(a)では0.4mlのインクが充填されており、図19(b)ではそのうちの半分の0.2mlが消費され、0.2mlが残った状態とする。
このような図19(b)の状態で放置されると、サブタンクからインクの水分等の蒸発可能成分が蒸発していく。その蒸発速度はサブタンクの材質や厚み、あるいは記録ヘッドのノズルの乾燥を防ぐためのキャップの材質や構成等によって異なるが、いずれにしろある速度で蒸発が進行する。例えば、その蒸発速度を各色、1日あたり0.002ml(=2μl/day)であるとすると、50日で100μl程度が蒸発し、初期重量からの蒸発率は50%となる。さらに放置が進むと蒸発速度はやや緩やかにはなるものの、最終的にはインク中の蒸発可能な溶剤成分がすべて蒸発しきった状態(図10(c)の状態)に到達する。なおここで蒸発速度はプリンタの動作保証環境中の最も乾燥が厳しい状態での蒸発速度としている。
通常のインクジェット記録装置で用いられるインク組成としては、不揮発な染料または顔料の色材成分が10%以下程度、揮発性の低い溶剤(例えばグリセリンやエチレングリコール類)の溶剤比率は15%〜40%程度、残りが揮発性の水またはアルコール類である。揮発性の低い溶剤も厳密にはわずかずつ蒸発していくが水等に比べて圧倒的に揮発性が低いので、ここでは色材とこれら揮発性の低い溶剤を便宜上“不揮発溶剤”と称し、その比率を仮に25%とする。すると上記の例では、インク残量200μl×揮発可能成分比0.75=150μlが蒸発可能で、約75日程度でそれら蒸発可能な水分等は全て蒸発してしまう。このポイントを蒸発限界と称することにする。(実際にはその後も他の揮発性の低い溶剤が徐々に蒸発している。)
このようなインクの粘度は、これも組成にもよるが、後述する本発明の第6の実施形態のインクであれば、未蒸発時で約2.0mPa・s、50%蒸発時で10.0mPa・sである。これに対して、蒸発限界の75%まで蒸発したインクの粘度は約400mPa・s程度以上まで達し、通常の未蒸発時のインク粘度の200倍以上となる。
そして、このような高粘度のインクがノズルに存在する場合、従来のインクジェット記録装置の吸引回復方法ではインクを引くことができず、そのノズルは吐出不良ノズルとなってしまう。なお、このような現象は、少量のインクがサブタンク内に残存したままで放置されることでインク濃縮度が高くなってしまいがちな、小容量のサブタンクを使用したピットインインク供給システムにおいて特有の問題である。
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、その目的の1つは、小容量のサブタンクを使用するピットインインク供給システムにおいて生じる「サブタンク内のインク濃縮による弊害」を軽減することである。
また、本発明の目的の1つは、インク濃縮が発生しても、そのインク濃縮の弊害の1つである「画像の色調の不自然さ」を軽減できるようにすることである。
また、本発明の目的の1つは、インク濃縮が発生しても、そのインク濃縮の弊害の1つである「複数枚の画像間での色調の差異」を軽減できるようにすることである。
また、本発明の目的の1つは、サブタンクを長期間放置する場合であっても、吐出不良ノズルの発生を防止し、良好な画像を得ることができるようにするものである。
また、本発明の目的の1つは、インク濃縮が発生した場合であっても、色の再現性を良好にできるようにすることである。
の本発明は、インクを貯留するメインタンクと、前記メインタンクとインク供給路を介して分離/接続が可能であるサブタンクと、前記サブタンクから供給されるインクを吐出するための記録ヘッドとを有し、前記記録ヘッドから記録媒体にインクを吐出して記録を行うインクジェット記録装置であって、前回の記録終了から次回の記録開始までの間において、前記メインタンクから前記サブタンクへ前記インク供給路を介してインクを供給するためのインク供給手段と、前記前回の記録終了から次回の記録開始までの間の、前記インク供給手段によるインク供給の前に、前記サブタンク内の残存インクの少なくとも一部を排出するインク排出処理を行うことが可能なインク排出処理手段と、(A)前回の記録終了から次回の記録開始までの間において電源OFFが継続している期間、(B)前回の電源OFFから、次回の記録を開始するための記録開始信号の受信までの期間、(C)前回の記録終了から前記記録開始信号の受信までの期間、あるいは(D)前回の回復処理の終了から前記記録開始信号の受信までの期間のいずれかを計測する計測手段と、前回の記録終了時における前記サブタンク内のインクの量に対応した値を算出する第1の算出手段と、前回の記録終了後における前記サブタンク内のインクの粘度に対応した値を算出する第2の算出手段と、前記計測手段により計測された期間、前記第1の算出手段により算出されたインク量に対応した値および前記第2の算出手段により算出されたインク粘度に対応した値に基づいて、現在の前記サブタンク内のインクの粘度に対応した値を算出する第3の算出手段と、前記第3の算出手段により算出された値に基づいて、前記インク排出処理手段によるインク排出処理を行うか否かを制御する制御手段と、備えることを特徴とするインクジェット記録装置である。
の本発明は、温度および湿度を検出する検出手段と、前記期間中における温度および湿度の履歴を記憶する記憶手段と、前記履歴に基づいて前記第3の算出手段により算出された値を補正する補正手段と、を備えることを特徴とする請求項に記載のインクジェット記録装置である。
の本発明は、インクを貯留するメインタンクと、前記メインタンクとインク供給路を介して分離/接続が可能であるサブタンクと、前記サブタンクから供給されるインクを吐出するための記録ヘッドとを有し、前記記録ヘッドから記録媒体にインクを吐出して記録を行うインクジェット記録装置であって、前回の記録終了から次回の記録開始までの間において、前記メインタンクから前記サブタンクへ前記インク供給路を介してインクの供給を行うためのインク供給手段と、前記前回の記録終了から次回の記録開始までの間において、前記サブタンク内の残存インクの少なくとも一部を排出するインク排出処理を行うことが可能なインク排出処理手段と、(A)前回の記録終了から次回の記録開始までの間において電源OFFが継続している期間、(B)前回の電源OFFから、次回の記録を開始するための記録開始信号の受信までの期間、(C)前回の記録終了から前記記録開始信号の受信までの期間、あるいは(D)前回の回復処理の終了から前記記録開始信号の受信までの期間のいずれかを計測する計測手段と、前記計測手段により計測された期間が所定の期間以上の場合、前記インク供給手段によりインク供給を行ってから前記インク排出処理手段によりインク排出処理を行い、その後、前記インク供給手段によりインクの供給を行うように制御し、前記計測手段により計測された期間が所定の期間未満の場合、前記インク排出処理手段によるインク排出処理を行わずに前記インク供給手段によりインクの供給を行うように制御する制御手段と、備えたことを特徴とするインクジェット記録装置である。
の本発明は、インクを貯留するメインタンクと、前記メインタンクとインク供給路を介して分離/接続が可能であるサブタンクと、前記サブタンクから供給されるインクを吐出するための記録ヘッドとを有し、前記記録ヘッドから記録媒体にインクを吐出して記録を行うインクジェット記録装置であって、前回の記録終了から次回の記録開始までの間において、前記メインタンクから前記サブタンクへ前記インク供給路を介してインクの供給を行うためのインク供給手段と、前記前回の記録終了から次回の記録開始までの間において、前記サブタンク内の残存インクの少なくとも一部を排出するインク排出処理を行うことが可能なインク排出処理手段と、(A)前回の記録終了から次回の記録開始までの間において電源OFFが継続している期間、(B)前回の電源OFFから、次回の記録を開始するための記録開始信号の受信までの期間、(C)前回の記録終了から前記記録開始信号の受信までの期間、あるいは(D)前回の回復処理の終了から前記記録開始信号の受信までの期間のいずれかを計測する計測手段と、前回の記録終了時における前記サブタンク内のインクの量に対応した値を算出する第1の算出手段と、前記計測手段により計測された期間および前記第1の算出手段により算出されたインク量に対応した値に基づいて、前記インク供給手段によりインク供給を行ってから前記インク排出処理を行い、その後、前記インク供給手段によりインクの供給を行うか、あるいは前記インク排出処理手段によるインク排出処理を行わずに前記インク供給手段によりインクの供給を行うかを制御する制御手段と、備えることを特徴とするインクジェット記録装置である。
の本発明は、インクを貯留するメインタンクと、前記メインタンクとインク供給路を介して分離/接続が可能であるサブタンクと、前記サブタンクから供給されるインクを吐出するための記録ヘッドとを有し、前記記録ヘッドから記録媒体にインクを吐出して記録を行うインクジェット記録装置であって、前回の記録終了から次回の記録開始までの間において、前記メインタンクから前記サブタンクへ前記インク供給路を介してインクの供給を行うためのインク供給手段と、前記前回の記録終了から次回の記録開始までの間において、前記サブタンク内の残存インクの少なくとも一部を排出するインク排出処理を行うことが可能なインク排出処理手段と、(A)前回の記録終了から次回の記録開始までの間において電源OFFが継続している期間、(B)前回の電源OFFから、次回の記録を開始するための記録開始信号の受信までの期間、(C)前回の記録終了から前記記録開始信号の受信までの期間、あるいは(D)前回の回復処理の終了から前記記録開始信号の受信までの期間のいずれかを計測する計測手段と、前回の記録終了時における前記サブタンク内のインクの量に対応した値を算出する第1の算出手段と、前回の記録終了後における前記サブタンク内のインクの粘度に対応した値を算出する第2の算出手段と、前記計測手段により計測された期間、前記第1の算出手段により算出されたインク量に対応した値および前記第2の算出手段により算出されたインク粘度に対応した値に基づいて、現在の前記サブタンク内のインクの粘度に対応した値を算出する第3の算出手段と、前記第3の算出手段により算出された値が所定値以上の場合、前記インク供給手段によりインク供給を行ってから前記インク排出処理手段によりインク排出処理を行い、その後、前記インク供給手段によりインクの供給を行うように制御し、前記第3の算出手段により算出された値が所定値未満の場合、前記インク排出処理手段によるインク排出処理を行わずに前記インク供給手段によりインクの供給を行うように制御する制御手段と、備えることを特徴とするインクジェット記録装置である。
の本発明は、前記インク排出処理手段は、前記サブタンク内において流動可能な残存インクのほぼ全量を排出することを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のインクジェット記録装置である。
本発明によれば、ピットイン供給方式を用いるインクジェット記録装置において、インク濃縮による弊害を低減できる。
以下、図面を参照して本発明を詳細に説明するが、まず実施形態に先立って本発明を適用するインクジェット記録装置の構成を説明する。なお、以下では、カメラ部と一体化したインクジェット記録装置を例に挙げて説明するが、本発明のインクジェット記録装置にはカメラ部は設けられていなくてもよい。
「基本構成」
まず、図1から図4に基づいて、本発明に係る装置の基本構成について説明する。本例において説明する装置は、光学的に撮像して電気信号に変換する撮像部(以下、「カメラ部」とも称する)と、撮像して得られた電気信号に基づいて画像の記録を行う画像記録部(以下、「プリンタ部」とも称する)とを備えた情報処理機器として構成されている。以下、本例で説明する情報処理機器を「プリンタ内蔵カメラ」と称して説明する。
図1にて、装置本体A001においては、カメラ部A100の背面側にプリンタ部(記録装置部)B100が一体的に組み込まれている。プリンタ部B100は、図2のメディアパックC100から供給されるインクとプリント媒体を用いて画像を記録する。C100はB100に対して、図1中、左側の図示されないスロットに挿入され、必要に応じてプリントされたプリント出力物はA109の用紙排出口から排出される。
プリンタ部B100によって記録を行う場合には、カメラ部A100のレンズA101が下側になるように置いた姿勢とする。この記録姿勢において、プリンタ部B100における後述の記録ヘッドB120は、インクを下向きに吐出する姿勢となる。記録姿勢は、カメラ部A100による撮影状態の姿勢と同様の姿勢とすることも可能であり、上記の記録姿勢に限られることはない。記録動作の安定性の面からは、上記のインクを下向きに吐出する記録姿勢が好ましい。
以下においては、本例の装置の機械的な基本構成を(1)「カメラ部」、(2)「メディアパック」、(3)「プリンタ部」、(4)「電気制御系」とに分けて説明する。
(1)「カメラ部」
カメラ部A100は、基本的には、一般的なデジタルカメラを構成するものであり、後述するプリンタ部B100と共に装置本体A001に一体的に組み合わせられることによって、図1のような外観のプリンタ内蔵のデジタルカメラを構成する。図1において、A101はレンズ、A102はファインダー、A102aはファインダー窓、A103はストロボ、A104はレリーズボタン、レンズに対して本体裏側には図示しない液晶表示部(外部表示部)がある。カメラ部A100は、CCDを用いて撮像したデータの処理、メモリカード(CFカード等)への画像の記憶、画像の表示、プリンタ部B100等との間の各種データの授受をする。A109は、撮影された画像を後述のプリント媒体に記録した場合に、画像が記録されたプリント媒体が排出される排出部である。なおカメラ部A100およびプリンタ部B100の電源としてはここでは図示しないが本体内に収納された単3乾電池を用いている。
(2)「メディアパック」
図2のメディアパックC100は、装置本体A001に対して着脱可能であり、本例の場合は、装置本体A001の左側のスロット(図示せず)に差し込まれることによって、装置本体A001に装着される。挿入部のスロットはメディアパックC100が装着されていないときは閉じられており、それが装着されるときに開かれる。図2は、メディアパックC100の外装を外した状態を示す。
パック本体C101には、前述のメインタンクに相当するインクパックC103(ここではインク袋)とプリント媒体C104(ここではインクジェット記録用紙)が収容されている。図2において、インクパックC103は、プリント媒体C104の下方に収容される。本例の場合、インクパックC103は、Y(イエロー),M(マゼンタ),C(シアン)のインクを個別に収容するように3つ備えられており、またプリント媒体C104は20枚重ねて収容されている。それらのインクとプリント媒体C104は、画像の記録に最適な組合せのものが選択された上で、同じメディアパックC100内に収容されている。
したがって、インクとプリント媒体の組合せが異なる種々のメディアパック(例えば、超高画質用、ノーマル画質用、シール用、分割シール用等のメディアパック)を用意しておいて、記録すべき画像の種類、および画像が形成されるプリント媒体の用途などに応じて、それらのメディアパックを選択的に装置本体A001に装着することにより、最適な組合せのインクとプリント媒体を用いて、目的に応じた画像を確実に記録することができる。ここで、メディアパックC100には図示しないEEPROM(識別IC)が備えられており、そのEEPROMには、メディアパックが収容しているインクとプリント媒体の種類や残量などの識別データが記憶される。
メディアパックC100のプリンタ部への装着は後述するが(図3参照:プリンタ部B100に対して矢印Cの方向から装着される)、このときインクパックC103は、Y,M,Cのインクのそれぞれに対応する3つのジョイントC105を通して、後述するプリンタ部のインク供給系に接続される。一方、プリント媒体C104は、図示しない分離機構によって一枚ずつ分離されてから、本体内の給紙ローラによって矢印C方向に送り出される。
また、パック本体C101には、後述するプリンタ部の記録ヘッドをワイプするためのワイパーC106と、プリンタ部から排出された廃インクを吸収するためのインク吸収体C107が備えられている。
(3)「プリンタ部」
図3は本例のプリンタ部B100で、インクジェット記録ヘッドを用いるシリアルタイプの記録装置である。このプリンタ部B100については、(3)−1「プリント動作部」、(3)−2「インク供給回復系」に分けて説明する。
(3)−1「プリント動作部」
図3は、プリンタ部B100全体の斜視図で外装を取り外した図である。
プリンタ部B100の本体には、図3の矢印C方向からメディアパックC100が挿入されているとする。メディアパックC100から矢印C方向に送り出されたプリント媒体C104は、プリント媒体搬送系におけるLFローラB101とLFピンチローラB102との間に挟まれつつ、プラテンB103上にて矢印Bの副走査方向に搬送される。B104は、ガイド軸B105とリードスクリューB106に沿って矢印Aの主走査方向に往復移動されるキャリッジである。
キャリッジB104のリードスクリューB106に対する軸受けの内側には突出するスクリューピンがバネによって取り付けられている。そして、リードスクリューB106の外周部に形成された螺旋溝に対して、スクリューピンの先端がはまり合うことによって、リードスクリューB106の回転がキャリッジB104の往復移動に変換される。
また、キャリッジB104には、後述するがY,M,Cのインクを吐出可能なインクジェット記録ヘッドB120(図4参照)と、その記録ヘッドB120に供給されるインクを収容するサブタンクが搭載されている。記録ヘッドB120には、矢印Aの主走査方向と交差する方向に沿って並ぶ複数のインク吐出口B121(図4参照)が形成されている。インク吐出口B121は、サブタンクから供給されたインクを吐出可能な複数のノズルにて構成される。インクを吐出させるためのエネルギーの発生手段としては、ノズル毎に備えた電気熱変換体を用いることができる。その電気熱変換体は、発熱駆動されることによってノズル内のインク中に気泡を発生させ、その発泡エネルギーによってインク吐出口B121からインク滴を吐出させる。
サブタンクは、メディアパックC100に収容されているインクパック(メインタンク)C103よりも小容量であり、少なくともプリント媒体C104の1枚分の画像記録に必要な量のインクを収容する大きさとなっている。サブタンクにおいて、Y,M,Cのインク毎のインク収容部分には、それぞれ後述するインク供給部と負圧導入部が形成されており、それらのインク供給部は対応する3つの中空のニードルB122(図4参照)に個別に接続され得るように構成され、また、それらの負圧導入部は共通のエアー吸引口B123(図4参照)に接続され得るように構成されている。サブタンクには後述するように、キャリッジB104がホームポジションに移動したときに、メディアパックC100のインクパック(メインタンク)C103からインクが補給されるようになっている。
キャリッジB104の移動位置は、キャリッジB104側のエンコーダセンサB131と、プリンタ部B100の本体側のリニアスケールB132とによって検出される。また、キャリッジB104がホームポジションに移動したことは、プリンタ部B100の本体側のHPセンサーによって検出される。
図示しない調整機構により、キャリッジB104の高さ方向の位置が調整されて、記録ヘッドB120と、プラテンB103上のプリント媒体C104との間の距離(「紙間距離」ともいう)が調整される。また、リードスクリューB106は、スクリューギア、アイドラギア、およびモータギアを介して、キャリッジモータM001によって回転駆動される。また記録ヘッドB120はフレキシブルケーブルを通じて本体基板に接続される。
記録ヘッドB120は、キャリッジB104と共に矢印Aの主走査方向に移動しつつ、画像信号に応じてインク吐出口B121からインクを吐出することによって、プラテンB103上のプリント媒体に1行分の画像を記録する。このような記録ヘッドB120による1行分の記録動作と、プリント媒体搬送系による矢印Bの副走査方向へのプリント媒体の所定量の搬送動作とを繰り返すことによって、プリント媒体上に順次画像を記録する。
(3)−2「インク供給回復系」
図4に、インク供給回復システムを説明する概念的構成図を示す。
プリンタ部に装着されたメディアパックC100のジョイントC105は、ホームポジションに移動したキャリッジB104側のニードルB122の下に位置する。プリンタ部の本体には、ジョイントC105の下方に位置するジョイントフォーク(図示せず)が備えられており、そのジョイントフォークがジョイントC105を上に動かすことにより、ジョイントC105がニードルB122に接続される。これにより、メディアパックC100側のインクパックC103と、キャリッジB104側のサブタンクB400との間でインク供給路が形成される。
また、プリンタ部の本体には、ホームポジションに移動したキャリッジB104のエアー吸引口B123に接続するための負圧供給ジョイントB302が備えられている。この負圧供給ジョイントB302は、負圧供給チューブB303を介して、負圧発生源としてのポンプのシリンダポンプB304に接続されている。負圧供給ジョイントB302は、図示しないジョイントリフターによって上に動かされることにより、キャリッジB104側のエアー吸引口B123に接続される。これにより、キャリッジB104側のサブタンクの負圧導入部と、シリンダポンプB304との間の負圧導入路が形成される。
ジョイントリフターは、ジョイントモータM003の駆動力によって、負圧供給ジョイントB302と共にジョイントフォーク(及びそれによって上下動するC105)を同時に上下動させる。すなわち、インク供給路と負圧導入路の形成は同時に行われるようになっている。
サブタンクの負圧導入部には、空気の通過を許容し、かつインクの通過を阻止する気液分離部材B402が備えられている。気液分離部材は、負圧導入路を通して吸引されるサブタンク内の空気の通過を許容し、これによりメディアパックC100からサブタンクにインクが補給される。そして、サブタンク内のインクが気液分離部材に達するまで、インクが充分に補給されたときに、その気液分離部材がインクの通過を阻止することにより、インクの補給が自動的に停止する。気液分離部材は、サブタンクのインク毎のインク収容部分におけるインク供給部に備えられており、それらのインク収容部分毎に、インクの補給を自動的に停止させる。
また、プリンタ部の本体には、ホームポジションに移動したキャリッジB104側の記録ヘッドB120に対して、キャッピングが可能な吸引キャップB310が備えられている。吸引キャップB310は、その内部に、吸引チューブB311を通してシリンダポンプB304から負圧が導入されることによって、記録ヘッドB120のインク吐出口B121からインクを吸引排出(吸引回復処理)させることができる。また、記録ヘッドB120は、必要に応じて、画像の記録に寄与しないインクを吸引キャップB310内に吐出させる(予備吐出処理)。吸引キャップB310内のインクは、シリンダポンプB304から、廃液チューブB312と廃液ジョイントB313を通して、メディアパックC100内のインク吸収体C107に排出される。
シリンダポンプB304は、ポンプモータM003により往復駆動される。ポンプモータM003は、前述したジョイントリフターを上下動させるための駆動源としても機能する。またワイパーリフターを上下動するための駆動源としても機能する。ワイパーリフターとは、プリンタ部B100に装着されたメディアパックC100のワイパーC106を上に動かすことによって、そのワイパーC106を記録ヘッドB120のワイピングが可能な位置に移動させるものである。なおB303、B311、B312等のチューブに対しては必要に応じて、図示しない弁が設けられていて、ポンプモータM003の各動作時には、それらの弁を開閉し、各色ごとの吸引や、一括吸引等の所望の動作を行い、昇降動作時には他の吸引や排出動作に影響を与えないようになっている。
シリンダポンプB304は、ポンプの動作位置がホームポジションにあることを検出するポンプHPセンサ(図示せず)により、プリンタのスタンバイ状態ではポンプのHP側に待機している。
ここでは、カメラ部A100とプリンタ部B100が一体となったプリンタ内蔵カメラとして説明を行なっている。しかし、本発明では、カメラ部A100とプリンタ部B100を分離した別々の装置とし、それらをインターフェースにより接続した構成においても同様に構成して、同様の機能を実現することが可能である。
(インク供給回復系の詳細な説明)
以上が一般的なピットイン供給方式を用いたインク供給回復系の概略の説明であるが、以下にインク供給回復系について詳細に説明する。インク供給回復システムの概念的構成図は図4であり上述したものと同じである。上述した部分と重複する個所もあるが、図2と図4を用いて一連の動作を説明する。
図2において、メディアパックC100内には、Y(イエロー),M(マゼンタ),C(シアン)の3色のインクが充填されている3つのインクパック(メインタンク)C103が収容されている。これら3つのインクパックC103は3つのインク供給路C200を介して3つのジョイント(インクジョイント)C105に接続されている。
図4においてキャリッジB104には、Y,M,Cのインクを別々に貯留するサブタンク(キャリッジタンクともいう)B400と、各キャリッジタンクB400から供給されたインクを吐出する3グループ分(Y,M,C)の複数のインク吐出口(ノズル)B121を有する記録ヘッドB120が搭載されている。
サブタンクB400の各インクの収容部(インク供給部)には、発泡体または繊維質体等を含む多孔質体、例えばポリプロピレン繊維などのインクを吸収保持するインク吸収体(スポンジ)B401がほぼ充塞されている。また、サブタンクB400の各インクの収容部(インク供給部)には、図4に示したように、下方に突出された貫通孔を有するニードル(インク取入部)B122が夫々設けられている。これら3つのニードルB122は、キャリッジB104がホームポジションに移動したときに、メディアパックC100の3つのゴムジョイントC105に夫々接続可能となる。ニードルB122の先には横穴が空いていてインク供給が可能となっている。先端は針状にクローズされている。
サブタンクB400の各インク供給部の上方には負圧導入部B410が形成されている。これら負圧導入部B410には、撥水、撥油処理が施され、空気の通過を許容しかつインクの通過を阻止する気液分離部材としての多孔質膜(インク満タン弁)B402が夫々備えられている。この多孔質膜B402によれば、インクの通過が阻止されるので、サブタンクB400内のインクの液面が多孔質膜B402まで達したとき、インクの補給は自動的に停止される。撥水、撥油処理が施されていないと、インクに対して濡れやすく、特に耐久後においては濡れ易い個所の気液分離膜の細孔にインクが入り込んでそのままになってしまうために、実質的に気液分離の効果を果たさないため、エアーの導入効率が下がり、従ってインク供給能力も下がってしまうことになる。
サブタンクB400の各負圧導入部B410は、前述したように、キャリッジB104の下面側に形成された3色共通のエアー吸引口B123に連通されている。このエアー吸引口B123は、キャリッジB104がホームポジションに移動したときに、プリンタ部B100の本体側に設けられた負圧供給ジョイントB302と連結可能になり、負圧供給ジョイントB302、負圧供給チューブB303を介して、ポンプユニットB315のシリンダポンプB304の一方のシリンダ室と接続可能となる。
プリンタ部B100側には、キャリッジB104がホームポジションに移動したときに、Y,M,Cの3グループ分の複数のインク吐出口(ノズル)B121が形成された記録ヘッドB120のフェース面(インク吐出口形成面)B403をキャッピングするための吸引キャップB310が備えられている。吸引キャップB310には、大気連通口B404が形成されている。この大気連通口B404は大気連通弁(図示せず)によって開閉可能である。
吸引キャップB310は、吸引チューブB311を通してシリンダポンプB304の他方のシリンダ室に接続されている。シリンダポンプB304は、負圧供給チューブB303、吸引チューブB311および廃液チューブB312とそれぞれ接続される3つのポートを有している。
図4のキャリッジB104において、B124はニードルカバーであり、ニードルB122とジョイントC105とが連結していないときは、スプリングの力によってニードルB122の横穴をゴミの付着混入から保護する位置に移動している。またニードルカバーB124は、ニードルB122とジョイントC105とが連結するときは、スプリングの力に抗して同図中の上方に押されてニードルB122の保護を解く。
ところで、図4に示したように、サブタンクB400の内面に設けられている気体透過部材B402とインク吸収体B401とは、空間B412によって隔てられて互いに接触していないように構成することが好ましい。気液分離膜B402は、長期間インクに接した場合、その気液分離性能が低下する可能性がある。しかし、本実施形態においては、気液分離膜B402とインク吸収体B401との間に、空間B412を設けて気体透過部材B402とインク吸収体B401とが直接接触することを避けることにより、インクの補給時以外のときは、気液分離膜B402にインクが接しない。したがって、気液分離膜B402の機能の低下を防止することができる。また、空間B412の内壁面(例えばB414で示す面)は、適切な表面処理(例えば撥水処理)によってインクの付着が極力抑えられることが好ましい。
メインタンクC103からサブタンクB400にインクを供給する場合は、前述のジョイントリフタ(またはジョイントフォーク)により、ゴムジョイントC105とニードルB122、負圧供給ジョイントB302とエアー吸引口B123とをそれぞれ接合し、シリンダポンプB304によって負圧導入部B410および気液分離膜B402を通してサブタンクB400中の空気を吸引することによってメインタンクからサブタンクにインクを供給する。
サブタンク内へのインク供給後、ゴムジョイントC105とニードルB122、負圧供給ジョイントB302とエアー吸引口B123とをそれぞれ分離させ、必要に応じて吸引キャップB310からシリンダポンプB304によってサブタンク内のインクを吸引する。ここでは少なくともインク針内に存在するインク量以上程度は吸引することが好ましい。あるいは別な観点から、記録ヘッドB120にインクを通し、ノズル近傍に存在する(もしくは混入する可能性のある)泡を取り除く程度の吸引を行った後に、記録動作を行う。
4「電気制御系」
次に、本装置の電気制御系の構成について図7を参照しながら説明する。
図7に本装置の電気構成のブロック図を示す。図7において、500はMPU部及びプリンターコントロール部を一体化したASICを示している。504は装置の全体を制御するプログラムが収められたフラッシュROM、506はASICの作業エリア及び記録画像のバッファーとして使用されるDRAMを示している。509はEEPROMを示し、このEEPROMは書き換え可能なROMであり電源が供給されなくても内容が消えないものである。EEPROM509には、電源ONの時にユーザーが行った設定情報や、使用インク量、サブタンクに残存しているインク量等が書き込まれている。ASICはまた、ヒートパルス生成のコントローラを含み、記録ヘッドB120に対して記録ヘッドの制御信号を生成し送信する。またASICは、キャリッジや紙送りの制御、他電源やLEDや各種センサーとのI/Oや、カメラ側とのデータの送受信、またはコンピューターとのデータの送受信を行う。
502はキャリッジB104の駆動を行うためのキャリッジモータードライバーを示し、503は紙送りローラを駆動するための紙送りモータドライバーを示している。キャリッジモータードライバー502及び紙送りモータドライバー503はASICから出力される制御信号によりモータのコントロールをおこなう。
本装置のカメラ部及びプリンタ部は電池116で駆動する。また装置内には別の電源115を持ち、それはカメラの電源Off中の日付情報保持や、測定等の用途に用いられる。106は本体の電源を投入する電源スイッチを示し、符号107はエラー解除スイッチ、110はパワーランプ、109はエラーランプを示している。
118はインターフェースコネクターを示し、例えばホストコンピューターなどの外部との信号通信を行う。インターフェースコネクター118は有線でホストコンピューターに接続される。119は内蔵インターフェースで、ここではカメラ一体型プリンタのカメラ部とのデータの送受信を行う。
HPセンサー26はフォトインタラプタタイプのセンサーであり、キャリアB104の位置を検出する。またペーパーセンサー25、排紙センサー17は接点式のセンサーで記録装置内の記録用紙の有無を検出する。
なお、本発明は、インクパック(メインタンク)C103とプリント媒体C104とが収容されているメディアパックC100を用いる形態に限定されるものではない。つまり、インクパック(メインタンク)とプリント媒体とは同じ容器に収容されている必要性はなく、例えば、一般のプリンタのように、プリント媒体は装置外部から挿入できるように構成し、メインタンクはそれ単独で装置に装着できるように構成してもよい。なお、サブタンクは少なくとも記録媒体1枚分の画像記録に必要な量のインクを収容できる大きさとなっていればよい。
(本発明の特徴的部分)
本発明では、サブタンク内の残存インクの少なくとも一部を排出するインク排出処理を、次回の記録動作(印字)のためのピットインインク供給(第2のピットインインク供給ともいう)の前に行うことを特徴事項としている。以下、本発明の特徴事項を第1〜第24実施形態にて説明する。
第1〜第19の実施形態では上記インク排出処理を記録開始前のタイミングで行なっているが、本明細書において「記録開始前のタイミング」とは、例えば、電源ON(電源投入)をトリガとしたタイミング、あるいは、記録動作を開始するための記録開始信号の受信をトリガとしたタイミング、あるいは電源投入後の最初の記録動作を開始するための初期記録開始信号の受信をトリガとしたタイミングのいずれかである。
また、本明細書において「放置期間」とは、前回の印字終了から次回の印字開始の間において電源Offが継続している期間、あるいは、前回の電源OFF時から次回の印字開始時(次回の記録動作を開始するための記録開始信号の受信時)までの期間、あるいは、前回の印字終了時から次回の印字開始時までの期間、あるいは前回の回復処理(吸引回復)の終了から次回の印字開始時までの期間のいずれかである。
(第1の実施形態)
第1の実施形態は、記録動作で使用するインクをサブタンクへ供給するピットインインク供給(以下、(次回)記録動作のためのピットインインク供給、あるいは(次回)印字時のピットインインク供給という)の前において、サブタンク内の残存インクを排出するインク排出処理を行うことを特徴とする。ここでは、特に、記録ヘッドを吸引キャップと密着させた状態で記録ヘッドからインクを吸引することで、記録ヘッドを介してサブタンク内の残存インクを排出する場合について説明する。この第1の実施形態では、上記インク排出処理を記録開始前のタイミングにて行う。
図14は、第1の実施形態を説明するためのサブタンク内のインクの状態を示す模式図である。図14(a)は、記録終了時におけるサブタンク内の残存インクの状態を表している。サブタンクB400にインクが満タンに充填された状態から、記録動作によってb101までインクが減少した様子を表している。
前述したように、サブタンクにはニードルやエアー吸引口といった大気と連通する箇所があるため、長期間低湿度環境に放置された場合には、インク中の水分がサブタンクから水蒸気として蒸発し、b102まで内部インクが濃縮されインク中の色材濃度が上昇することが起こり得る(図14(b))。この状態からピットインインク供給がなされた場合、満タンのb103まで新しいインクが供給されても、比較的多量の残存濃縮インクに対し新供給インクが混合することになるため、その混合インクの濃度は初期のインク濃度よりも高いものになってしまう(図14(c))。そして、この図14(c)の状態のインクで再度記録を行うと、初期濃度(濃縮する前の濃度)のインクで記録を行った場合に比べ、記録濃度が高くなったり、減法混色によるカラー記録時に色調がずれたりする場合がある。つまり、画像の色調が不自然になる、あるいは、複数枚の画像間で色調が異なる、といった濃縮インクによる弊害が発生するのである。
これに対して、本実施形態では、図14(d)に示すように、記録開始前のタイミングにおいて吸引動作によってサブタンク内の残存濃縮インクをb104のレベルまで排出している。もちろん、このレベルは例として表示しているだけであって、どのレベルまで排出を行うかはインクの残量やインク種などによって適宜決められるものであって、本例のみに限られるものではない。なお、色調の改善には、残存濃縮インクをほぼ全量排出することが最も効果的であるが、残存濃縮インクを一部排出するだけでも効果はある。また、残存濃縮インクを一部だけ排出する場合にはインク消費量抑制の点で有利である。
図14(d)では残存濃縮インクの量が非常に少なくなっている。従って、この状態からピットインインク供給を行った場合、残存濃縮インクの量に対し供給される新供給インクの量が十分多いため、インク濃度の上昇はほとんど起こらず、正常な記録を行うことが可能となる。
以上の述べたように第1の実施形態によれば、記録開始前において、比較的長期間放置されたサブタンク内の残存濃縮インクを少なくとも一部排出した後に、ピットインインク供給にてサブタンク内へ新インクを供給する構成であるため、初期濃度に比較的近い濃度のインクで記録を行うことができ、その結果、色調のズレを軽減できる。また、複数ページ間での濃度差も抑制できる。
(第2の実施形態)
第2の実施形態は、サブタンクの放置期間(例えば、前回の記録動作終了からの経過期間)に基づいて、サブタンク内の残存インクを排出する排出処理を実行するか否かを切り替えることを特徴とする。より具体的には、放置期間が所定期間以上であれば、記録動作のためのピットインインク供給の前に、サブタンク内の残存インクを排出する排出処理を行い、一方、放置期間が所定期間よりも短ければ、サブタンク内の残存インクを排出する排出処理を行わないように制御する。
このような排出処理の切り替え制御を行なう理由は概略次の通りである。すなわち、放置期間が比較的短い場合、サブタンク中のインクの蒸発はまだそれ程進行していない。従って、第1の実施形態で述べたような濃度の上昇はあまり起こっておらず、実用上それ程問題ないと考えられる。そういった場合には、記録動作のためのピットインインク供給の前における上記残存インクの排出処理を行わないようにする。これにより、必要以上にインクを消費しないようにすることができる。ある環境下でのサブタンク内のインクの蒸発速度は、放置された期間によって推測することが可能であるので、放置期間を計測(タイムカウント)することにより上記排出処理の切り替え制御を具現化することができる。
図15に示すフローチャートを参照して第2の実施形態について説明する。まず、プリンタの電源オフ信号によってタイムカウンタXを初期化し、ステップS1501において放置期間のカウントを開始する。このカウンタは所定期間が経過する度毎にXの値を増やしていく構成となっており、例えば、1秒毎にXの値を1ずつ増加させる構成、1分毎にXの値を1ずつ増加させる構成、1時間毎にXの値を1ずつ増加させる構成、あるいは1日毎にXの値を1ずつ増加させる構成等を用いることができる。ステップS1502において電源が投入(ON)されたら、この時点でのXの値を所定の閾値αと比較する(ステップS1503)。
このステップS1503においてXの値が閾値α未満であれば、サブタンク内のインクはまだ蒸発がさほど進んでいないと判断し、そのままステップS1504をスキップしてステップS1505へ進む。一方、Xの値が閾値α以上であれば、インク濃縮を低減するためにステップS1504に進み、ステップS1504において吸引動作を行いサブタンクからインクを排出する。なお、ここでのインク排出量は上記第1の実施形態と同様で構わない。その後、ステップS1505へ進みカウンタXを初期化する。次に電源OFF信号が来ればステップS1501へ戻り、そのままであれば印字待機状態となる。なお、この印字待機状態において記録開始信号が入力されたら、サブタンクへのピットイン供給を適宜行い、その後記録を開始する。
このように図15では、電源ON後の最初の記録動作のためのピットインインク供給の前にインク排出処理の実行有無を電源ON時に判断している。しかし、このインク排出処理の実行有無の判断時期は電源ON時に限られるものではなく、記録開始前であればよく、例えば、記録開始信号の受信時でもよい。また、上記図15では、タイムカウント値Xを前回の電源OFFからの経過期間としているが、これには限られず、前回の記録動作終了からの経過期間でもよい。以下で図16を参照しながら、インク排出処理の実行有無の判断時期を記録開始信号の受信時とし、且つタイムカウント値Xを前回の記録動作終了からの経過期間とした場合について説明する。
図16のフローチャートについて説明すると、まず、ステップS1601にて記録開始信号を受信すると、ステップS1602にてタイムカウント値Xが所定の閾値α以上であるか否かを判断する。ここで、タイムカウント値Xは、前回の記録動作終了からの経過期間とする。ステップS1602にてXの値がα未満であると判断されたら、インク排出処理(ステップS1603)は行わずにステップS1604へ進む。一方、ステップS1602にてXの値がα以上であると判断されたらステップS1603にてインク排出処理を行い、その後ステップS1604へ進む。なお、このインク排出処理における排出量は上記第1の実施形態と同様で構わない。ステップS1604においてピットインインク供給方式にてサブタンク内へ新インクを供給したら、ステップS1605にて通常の回復動作(吸引動作)を行い、ステップS1606にて記録動作を開始する。
なお、図16のフローチャートは、記録信号の受信の度毎に行う構成であってもよいし、電源ON後の最初の記録開始信号の受信時だけに行なう構成であってもよい。
以上説明したように第2の実施形態によれば、放置期間が長い場合にはインク濃縮度が高いと推定し、インク排出処理を行ってからピットインインク供給を行い、一方、放置期間が短い場合にはインク濃縮度が低いと推定し、インク排出処理を行なわずにピットインインク供給を行うようにしているので、上記第1の実施形態の効果(色調ズレの軽減、複数ページ間での濃度差の軽減)に加え、インク消費量の低減を図れる。すなわち、本実施形態によれば、インク排出量を抑制しつつも、インク濃縮による弊害を抑制できる。
(第3の実施形態)
第3実施形態では、上記第2の実施形態におけるインク排出処理の際のインク排出量を複数段階に細かく分けて制御することで、インク排出量の更なる抑制を実現した点を特徴としている。具体的には、放置期間に応じてインク排出量を異ならせるのである。
上述したように色調ズレを発生させる程度のインク濃縮度となる場合にはインク排出処理を行う必要がある。このインク排出処理におけるインク排出量としては、制御の簡易化を重視するのであれば、放置期間によらず一定量にすることが望ましい。
一方、インク排出量の低減を重視するならば、放置期間に応じてインク排出量を異ならせることが望ましい。詳しくは、放置期間が長い程インク濃縮度が高くなる傾向があるので、放置期間が長い程インク排出量を多くし、放置期間が短い程インク排出量を少なくするのである。例えば、インク排出量を複数段階(0、L1、L2: 0<L1<L2)に制御する場合を考える。この場合、図17に示すように、タイムカウント値Xの範囲(T1<X≦T2、T2<X)とインク排出量(L1、L2)とを予め対応付けておき、タイムカウント値Xがどの範囲に属するかに応じてインク排出量を変えるのである。これにより、放置期間が長くなるに伴ってインク排出量をL1、L2と徐々に多くできる。なお、タイムカウント値XがO<X≦T1の場合は、放置期間が短いのでインク排出処理は行なわない。つまり、インク排出量は0である。
以上の述べたように第3の実施形態によれば、放置期間に応じてインク排出量を変更しているので、上記第2の実施形態に比べインク排出量を更に低減できる。
(第4の実施形態)
前回の記録動作の際に既にインクが相当量減少していた場合(つまり、記録時のインク消費量が多い場合)には、図14(a)中のインク量b101が十分少なく、それに伴って図14(b)の残存濃縮インクの量b102も少ない。従って、図14(c)においては、ピットインインク供給によるフレッシュなインク(新供給インク)が残存濃縮インクに対して十分供給されることになるため、混合インクの濃度がそれほど高くならない場合もあり、必ずしも上記第1や第2の実施形態ほどインク排出量を多くする必要はない。そこで、この第4の実施形態では、サブタンクの放置期間に加え、記録時のインク消費量も考慮して、インク排出処理の実行有無あるいはインク排出量を制御するようにし、更なるインク排出量の低減を実現するものである。
なお、記録時のインク消費量はインク濃縮度合いと関連性があり、インク消費量が多ければ残存インク量が少ないためインク濃縮は起こりにくくなり、一方、インク消費量が少なければ残存インク量が多いためインク濃縮は起こりやすくなる。また、記録時のインク消費量はドットカウンタで吐出ドットをカウントすることにより求めることができる。また、ドットカウンタは、吐出ドット数が増加する度毎にドットカウント値Yを増やしていく構成となっており、例えば、1ドット毎にYの値を1ずつ増加させる構成である。
図18はドットカウント値の取得を行うシーケンスを示した図である。まず、図18のステップS1801においてピットインインク供給方式によりメインタンクからサブタンクへインクを供給し、その後、吸引動作や予備吐出等により記録ヘッドからインクを排出する回復動作を行う。続いてステップS1802においてプリンタ内のドットカウント値Yを初期化する。ステップS1803において記録が開始されると、ステップS1804に進みドットカウントを開始する。なお、この実施形態では、ドットカウントを開始する具体的なタイミングは、プリンタへの記録用紙の給紙が終了した時点である。
次にステップS1805に進み、記録動作を終了するかどうかを調べる。ここで、次に記録するデータが存在しない場合は、記録動作を終了し、まだ未記録データが存在する場合には、処理はステップS1801に戻り、上述した処理をデータが存在しなくなるまで繰り返す。記録が終了するとステップS1806に進み、ドットカウントを終了する。ここでカウント値Yをメモリに記憶させる。
そして、本実施形態では、このドットカウント値Yと上記第2の実施形態で説明した放置期間カウント値Xとに基づいて、インク排出処理を行うか否かを制御する。すなわち、図15のS1503ではインク排出処理の実行有無の判断をタイムカウント値Xに基づいて行っているが、この第4の実施形態では、S1503におけるインク排出処理の実行有無の判断を、タイムカウント値Xとドットカウント値Yとに基づいて行うのである。詳しくは、タイムカウント値Xとドットカウント値Yを用い、X/Yの値を所定の閾値βと比較し、X/Yの値が閾値β以上であれば、インク濃縮度合いが大きいと判断してインク排出処理を行い、一方、X/Yの値が閾値β未満であれば、インク濃縮度合いは小さいと判断し、インク排出処理を行なわないようにするのである。要するに、この第4の実施形態では、図15のフローチャートのステップS1503を「X/Y≧β」に置き換えた処理を行うのである。
以上述べたように第4の実施形態によれば、サブタンクの放置期間および記録時のインク消費量に基づいてインク排出処理の実行有無あるいはインク排出量を制御するようにしているので、インク濃縮による弊害を軽減しつつも、第2の実施形態よりも更にインク排出量を抑制することができるようになる。
(第5の実施形態)
第5の実施形態を説明する前に、下記第5〜第15の実施形態に共通する事項について説明する。これらの第5〜第15の実施形態では、0.4mlのインクを収容できる程度の容量のサブタンクを用いる場合について説明するが、当然のことながら、サブタンクのインク容量は0.4mlに限定されるものではない。また、第5〜第15の実施形態では、「放置期間」を、前回の印字終了後から次回の印字開始前の間において電源Offが継続している期間として説明しているが、これには限られず、例えば、前回の電源OFF時から次回の印字開始時(次回の記録動作を開始するための記録開始信号の受信時)までの期間、あるいは、前回の印字終了時から次回の印字開始時までの期間としてもよい。また、第5〜第15の実施形態では、「放置期間」を日数で管理する場合について説明しているが、時間、分、秒のいずれで管理してもよい。
因みに、第5〜第8の実施形態では、少なくとも放置期間(例えば、放置日数)に応じて、次回印字時のピットインインク供給前にインク排出処理を行うか否かを制御する点で共通している。簡単に言えば、少なくとも放置期間に応じて、小回復シーケンスを実行するか中回復シーケンスを実行するかを切り替えている。なお、「小回復シーケンス」および「中回復シーケンス」の定義は後述する。
この第5の実施形態では、プリンタが未使用の状態で放置された期間(放置期間)を算出し、この放置期間が所定の期間以上である場合にはサブタンク内の流動可能なインクの全量(ほぼ全量)を排出するインク排出処理を行い、一方、放置期間が所定の期間未満である場合にはインク排出処理を行わないようにしている。より具体的には、放置期間が長い場合には、記録動作のためのピットインインク供給の前にインク排出処理を行い、一方、放置期間が短い場合には、記録動作のためのピットインインク供給の前にインク排出処理を行わないようにしている。要するに、放置期間に基づいて、中回復シーケンスを実行するか小回復シーケンスを実行するかを制御するのである。
図20は、サブタンク内にインクが残った状態で放置された場合の、サブタンク内の残存インクの蒸発の程度とその影響を説明するための図である。図20(a)は横軸が放置日数で、縦軸が累積の蒸発量(g)である。放置開始前のサブタンク内のインク残量は従来例で示したのと同じで各色0.2ml(=200μl)である。つまり、サブタンク内の充填可能なインク容量が各色0.4mlであるに対して、ここでは半分まで消費して、各色0.2ml(=200μl)が残っている状態で放置が開始されたとする。
第5の実施形態のインク組成としては、重量比で色材が5%、不揮発性溶剤が20%(エチレングリコール7%、ジエチレングリコール12%、他界面活性剤等が約1%)、残りの75%が揮発性溶剤(水72.5%、イソプロピルアルコール2.5%)であるようなインクを用いている。そのため揮発成分は75%であるので、蒸発可能量は200μl×0.75=150μlとなり、蒸発速度を従来例と同じ2μl/dayとすると75日でほぼ完全に蒸発するが、そのポイントが図20(a)中の変曲点である。なお、図20は計算値であるので変曲点が明確である。実際には変曲点手前から蒸発は緩やかになり滑らかな曲線で飽和するが、説明では便宜上、計算値のグラフで説明する。
図20(b)は横軸が放置日数で、縦軸が初期残存インク重量(放置開始前の残存インクの重量)に対する蒸発したインク重量の割合(蒸発率)である。
ここまでは従来例で説明したものと同じであり、サブタンク内のインクの濃縮度を模式的に表した図20(c)に相当するポイントが、図20(c)中の変曲点である。ここで図20(c)のサブタンクの状態にて、ユーザーが印字を行おうとする場合(すなわち放置後の印字)、従来例であればまずピットイン供給方式にてサブタンク内にインクを供給する。そのときの様子が図19(d)であり、供給されるインクはフレッシュなインクであるが、前回の記録動作時の残存インクが濃縮された状態で残っているため、サブタンク内のインクの濃度はフレッシュインクの濃度よりは高くなる。この濃縮度を計算したものが図20(c)である。フレッシュインクのインク濃度(つまり、色材比率のことであり、色材量/インク全量で求められ、この実施形態では5%である)に対して、濃縮度が1.1倍ということは、初期濃度(5%)を有するインクに対して5.5%の色材濃度を有するインクであることを意味する。
図20(c)では横軸が放置日数であり、例えば上記のような残量のサブタンクの状態から50日の放置の後に印字をしようとして、ピットイン供給を行った場合は、そのときのサブタンクにフレッシュインクが供給され、前からあった濃縮インクと混ざり合うことで初期のインク濃度の1.25倍の濃度を有するインクとなってしまうことを意味する。
そして、本発明者らが検討したところ、この第5の実施形態で用いるインクに関しては、インクの濃縮度が1.15倍以内であればCIE1976 L*a*b*表色系におけるΔE(色差)がほぼ5以下となるため好ましく、さらに濃縮度が1.25倍以内であればΔEが10程度で許容限界であり、それ以上では好ましくない、という知見を得た。なお、ここでいう許容限界とは、特定の色に関しては色味の違いは認識できるが、本発明のプリンタ(例えば、デジタルカメラ用に特化した写真画質プリンタ)の用途として主に想定される一般的な写真画像をプリントする場合においては色味の差はあるものの許容はできるという限界値のことである。もちろんこの値はそのプリンタの用途に応じて異ならせても構わない。
本発明では、本体の電源がOffされた状態であっても内部電池515を用いて定期的にASIC500を起動し、プリンタの電源Offが継続する期間(すなわち放置期間)をEEPROM509内にカウントアップして記憶していくようにしている。そして次回の印字時にEEPROM内の放置期間の値が所定値以上であれば(ここでは50日以上であれば)、最初にサブタンク内の流動可能な残存濃縮インクを全量排出した後に、ピットイン供給にてサブタンク内へインクを供給し所定の回復動作等を行ってから印字するようにした。そのため、ピットイン供給にてインクを供給した後のサブタンク内のTotalのインク濃縮度が1.25倍を超えないようにすることができ、結果として、放置後の次回記録動作における画像の色味差を軽減できるようになる。
図21は、図19の従来例に対する本実施形態の効果を説明するための図であって、図21中(a)〜(c)までは図19の(a)〜(c)と同じである。しかし図21(d)で示すように、本実施形態では所定の期間印字をせずに放置されたことを検知して、そのような場合の放置後の印字前には図21(d)で示すように、流動可能なサブタンク内の残存濃縮インクを可能な限り全て抜くように吸引動作を行っている。
流動可能なサブタンク内の残存インクを抜くための吸引とは、ここではシリンダポンプB304のフルストロークによって発生する全負圧を記録ヘッドB120の吐出ノズルB121に与えて、かつ、キャップB310内を大気連通するための大気連通弁を所定時間(ここでは20秒)閉じたままで負圧を維持し続けるような強力な吸引を行っている。発生する負圧はメカ構成上の初期体積とシリンダポンプのストロークにもよるが、サブタンク内のインクを早く抜くためには50kPa以上が好ましい。もちろんシリンダポンプの容量はサブタンクの容量よりも大きい。すなわち50kPa以上の負圧を数10秒間かけ続けるような強力な吸引を行なうようにしている。
サブタンクは、気液分離膜とエアー室を介してエアー吸引口で大気連通しているし、またニードルB122をジョイントC105に連結されずに開放することでも大気連通している。この大気連通状態で、上記のような吸引を行うことで、エアー吸引口から、またはニードルからエアーが引き込まれサブタンク内のインクがノズルを通してシリンダポンプへと吸引される。このようにして図21(d)のようにサブタンク内のインクを抜いてから、図21(e)のようにピットイン供給を行ってインクをサブタンク内へ供給するようにしたので、前回印字時の残存インクによるインク濃度の上昇を防ぐことができ、放置後であってもほぼフレッシュインクの状態で印字を行うことができる。
なお、ここでサブタンク内の収容可能インク量をV(μl)、前回印字時のインク残量をv(μl)、蒸発速度をw(μl/day)、放置日数をT(日)とすると、次回ピットイン時にピットインされるべきインク量=(V−v)+w・Tとなるので、前回の残存インクを含めたTotalのインク濃度a''は、初期インク濃度をa、前回印字時の残存インク濃度もaとすると、
Figure 0004371725
となる。つまり、インク濃縮度R''=a''/a=1+(wT/V)となり、簡易的には前回印字時のインク残量によらない。また、インク濃縮度が例えば1.25倍以上となる日数TはT=((1.25−1)・V)/wとして決まる。この第5の実施形態では、放置期間が、このT(日)を超えたならばサブタンク内のインクを抜いてから、ピットインインク供給を行なうように制御するものである。
蒸発速度wは従来例で述べたように、ここではプリンタの動作環境中で最も蒸発が厳しい状態での蒸発速度である。なお、ここでは気温30℃/相対湿度10%環境下での蒸発速度をあらかじめ実験にて求めたものを使用している。
そして、このような放置期間(例えば、放置日数)に応じたインク排出処理の制御を行なったところ、ピットインインク供給後におけるサブタンク内のインク濃度に大きな変化はなく、画像の濃度が自然で、さらには続けて同じ画像をプリントしたとしても画像間での濃度の差が目立つ程度には狂うことのないプリント出力が可能であった。
以上の第5の実施形態によれば、放置期間(例えば、放置日数)に応じて、次回印字時のピットインインク供給前にインク排出処理を行なうか否かを制御しているため、インク排出量を抑制しつつも、インク濃縮による弊害を抑制できる。
(第6の実施形態)
第6の実施形態では、インク排出処理を実行するか否かについて、放置日数のみならず、前回印字終了時のサブタンク内の残存インクの量(インク残量)も考慮する。要するに、前回印字終了時のサブタンク内のインク残量と放置日数に基づいて、ピットイン供給前にインク排出処理を実行するか否かを制御するのである。簡単に言えば、前回印字終了時のサブタンク内のインク残量と放置期間に基づいて、中回復シーケンスを実行するか小回復シーケンスを実行するかを制御するのである。なお、「小回復シーケンス」および「中回復シーケンス」の定義は後述する。
図22はサブタンク内のインク残量が100μlの状態で放置が開始された場合の、図20に対応する図である。ちなみに、図20のインク残量は200μlである。図22(a)の累積蒸発量は、初期は図20(a)と同じ傾きにて増加していくが、図20(a)の場合よりもインク残量が少ないため、蒸発限界に達するのが図20(a)より早い。また、図22(b)は、初期の残存量が少ないため、蒸発率の傾きは図20(b)よりも急峻であり、50日に満たない時点(詳しくは、約30日)で蒸発限界にまで達する。
このように、蒸発の影響が初期のインク残量によって大きく異なるのは、もともとのサブタンクが小さいことに起因し、小型のサブタンクを持つピットインインク供給系に固有の問題である。ただし、図22(c)のように、仮に蒸発限界まで達したとしても、そのような濃縮インクに対してフレッシュなインクを供給した場合のTotalのインク濃縮度は、蒸発が止まるため第5の実施形態で閾値とした1.25倍に達しない。そのためインクの濃縮による画像の色味の変化(濃度が濃くなる)という点での問題は生じない。従って、第5の実施形態のように、蒸発限界まで達しても、その残存濃縮インクの粘度が比較的低くければ(第5の実施形態のインクでは100mPa・s強程度)、第5の実施形態のような処理で問題ない。
しかしながら、例えば、グリセリンのような粘度の高い溶剤を使用したり、尿素等の固体成分を用いた場合は、蒸発限界に達した場合の残存濃縮インクの粘度は400mPa・s程度以上となり、通常のインク粘度の200倍以上に達するため、通常の回復が困難であるという新たな課題が生じる。
インク組成は色材の溶剤に対する溶解性や、記録ヘッドに対する不具合を生じさせないため等の種々の理由で変更する場合がある。この第6の実施形態では、インク組成として、重量比で色材が5%、不揮発性溶剤が20%(グリセリン8%、ジエチレングリコール6%、尿素5%、他界面活性剤等が約1%)、残りの75%が揮発性溶剤(水72.5%、イソプロピルアルコール2.5%)であるようなインクを用いている。
そのため、蒸発限界に達してしまった残存濃縮インクの粘度は第5の実施形態とは異なり、そのインク粘度が400mPa・s程度以上と、通常のインクの200倍以上となる。このような高粘度のインクを通常の回復で吸引することは難しい。しかしながら、蒸発限界に達する30日以上放置された場合に、上記第5の実施形態のようにピットインインク供給前にサブタンク内のインクを全量抜いてしまうインク排出処理を行うようにすると、サブタンクに比較的多くのインクが残っている状態で放置され始めた場合(つまり、図20の例のような場合)にも、やはり30日以上の放置でサブタンク内のインクを排出してしまうため、インクの消費量がむやみに増加してしまう。
本発明は比較的小型の写真プリンタ等を想定しているので、当然インクの容量も決して豊富ではない。したがって、インクの消費量が多いと、印字1枚あたりのランニングコストが高くなってしまう。そのため、この第6の実施形態では、このような前回印字時のサブタンク内のインク残量の差による放置後のインク粘度の相違に対応するために、放置期間とともに前回印字終了時のサブタンク内のインク残量も考慮して、ピットイン供給前のインク排出処理を制御するようにしている。すなわち、第6の実施形態では、前回の印字終了時のサブタンク内のインク残量を本体EEPROM内に記憶しておき、さらに第5の実施形態で説明したように、放置期間(本実施形態では、放置日数)をEEPROMにカウントUpしながら記憶していく。そして、前回印字時のインク残量と放置期間の値に基づいて、次回印字時の印字前の回復シーケンスを変えるようにしている。
具体的には、前回印字終了時のインク残量(v)と放置日数(T)とに基づいて、下記の表1のように回復シーケンスを変える。表中、「−」の印は、ピットインインク供給前にはインク排出処理(サブタンク内の流動可能な全量のインクを抜く処理)は行わず、ピットインインク供給を行い、その後通常の回復処理(吸引回復動作や予備吐出動作)を行うものである。つまり、後述で定義される「小回復シーケンス」である。一方、「○」の印は、ピットインインク供給の前にインク排出処理を行い、その後、ピットインインク供給を行ってから通常の回復処理を行うものである。つまり、後述で定義される「中回復シーケンス」である。
Figure 0004371725
ここで、印字後にサブタンクに残ったインク量を精度よく検知するための手段について説明する。まず、サブタンク内に収容可能なインク量や、回復動作により排出されるインク量は固定の値であるのでROM504またはEEPROM509に記憶されている。なお、サブタンク内に収容可能なインク量や、回復動作で排出されるインク量は装置本体ごとに若干ばらつきがあるので、それらを補正するようにするとさらにインク残量検知の精度が上がる。
次に、ASIC500は、吐出動作により吐出されたインク滴を1滴毎に積算する機能を有し(以下、ドットカウンタと称す)を有する。サブタンク内のインク残量は、サブタンクに収容可能なインク量から、回復動作により排出されたインク量とドットカウンタによってカウントされたインク滴×1滴の吐出量分のインク消費量とを引くことで求めることができる。ここで、サブタンクの容量を0.4mlとしているので、インク残量の検知精度としては0.0001ml程度の細かさが好ましい。なおインク滴1発のインク量も記録ヘッドごとに若干のバラツキがあるので、これを補正するようにするとさらに精度が上がる。
そして、このような放置期間(例えば、放置日数)と前回印字時のサブタンク内のインク残量とに応じた回復動作制御を行ったところ、上記第5の実施形態の効果に加え、本実施形態のようなインクを用いた場合であっても増粘インクによる吐出不良を軽減でき、更にはインク排出処理によるインク排出量を不必要に多くせずにできた。
以上の第6の実施形態によれば、放置期間(例えば、放置日数)および前回印字時のサブタンク内のインク残量とに応じて、次回印字時のピットインインク供給前にインク排出処理を行うか否かを含めた回復動作制御を行っているため、インク排出量を抑制しつつも、インク濃縮による弊害を抑制できる。
(第7の実施形態)
上記第5の実施形態にて説明した、サブタンク内の流動可能なインクというのは、サブタンクのPP繊維のスポンジを染着しているインクや枠体内面の表層や角部等に貼りつき、あるいはトラップされていて、エアーの流れに乗らないために排出されないインクを含まないということである。
このような流動しないインクの量は、サブタンクの構成によるが、特にはサブタンク内のスポンジの密度や繊維径に依存する。この第7の実施形態では、6デニールのPP繊維で、0.4g/cm3の密度のスポンジを用いたところ、0.4mlのインク量を保持するようにしたサブタンク内における、上記の流動しないインク量(以下デッドインクと称する)は0.06mlであった。従って、実際には図21(d)で示したように完全には、前回の印字後の残インクが抜け切ることはなく、結果として図21(e)のインク濃度は正確にはフレッシュインクの濃度よりも若干高い。また、蒸発量wTは日数に応じて無限に大きくなるものではなく、蒸発限界までは日数に応じて増加していくが蒸発限界に達してからは蒸発が止まる(正確には揮発しにくい溶剤成分がわずかずつ蒸発していく)。これらの要素を取り入れて回復の制御をよりきめ細かくし、結果としてさらにインクの不必要な消費を避けるための第7の実施形態について説明する。
この第7の実施形態では、サブタンク内のインク残量と、サブタンク内のインク濃縮度を常に管理するようにしている。サブタンク内のインク残量が変化するのは、(1)イベントとしてピットインインク供給にてサブタンク内にインクが供給された場合、(2)吸引回復や予備吐出、あるいは印字にてインクを消費した場合、(3)放置によりサブタンク内のインクが蒸発した場合、(4)本発明に特有なサブタンク内の流動可能な全量のインクを抜く処理(インク排出処理)を行った場合、の4つがある。また、サブタンク内のインク濃縮度が変化するのは上記(1)と(3)の場合のみである。ここで、計算のパラメータを下記の表2のようにする。((注)第5の実施形態ではサブタンクの満タン量をV、サブタンク内インク残量をvとしているが、この第7の実施形態ではサブタンク内のインク残量V、インク消費量(=吸引量+吐出量)vとしている。)
Figure 0004371725
ここで蒸発不能成分比率とは、インク中の不揮発成分(色材+揮発しにくい溶剤)の比率のことであり、例えば上記第5および第6の実施形態では25%=0.25である。
このときの(1)〜(4)のイベント後の、サブタンク内のインク残量V、及びサブタンク内のインク濃縮度Rは下記の表3のように表される。関係式の右側のV、またはRが現在のサブタンク内インク残量と、サブタンク内インク濃縮度であり、左側のV、またはRが各々のイベント後のサブタンク内インク残量と、サブタンク内インク濃縮度である。
Figure 0004371725
ピットイン供給後のインク残量は満タン時に400μl、全抜き後には60μlになることは自明である。インク消費動作後(印字後)のインク残量は、第6の実施形態で説明したようなドットカウンタ機能を用いて算出された消費インク量vを現在のインク残量Vから減じた量(V−v)となる。放置後のインク残量に関しては、放置前のインク濃縮度がRであるため、放置前の不揮発成分比率はα・Rとなり、放置前インク残量Vにα・Rをかけた値が放置前インク中に含まれる不揮発性分量(V×α・R)である。一方、蒸発によって日毎に2.0μlづつ蒸発していくので放置後T日後の残存量はV−2.0・Tとなる。これらの大きい方(すなわち、蒸発限界以上には少なくならないということ)が放置後の蒸発を加味したサブタンク内インク残量である。
また、インク濃縮度Rに関しては、蒸発によって体積が初期の2分の1になったならば濃縮率は2倍なので、体積変化の逆数が、放置後の蒸発を加味したサブタンク内インク濃縮度である。さらに、ピットイン供給後のインク濃縮度は、現在のサブタンク内インク残量がVであればピットインされるインク量は400−Vなので、これに現在のサブタンク内インク量とインク濃縮度を掛けたものを加えて、更にサブタンク満タン量で割った値となる。このようにして、すべてのイベントごとにその前後でV、Rを更新していき、常にサブタンク内のインクの様子がわかるようになっている。
そして、この第7の実施形態では、図23のフローチャートで示されるように、第5の実施形態と同様に放置期間(前回の印字終了からの経過時間)が所定の期間以上であれば(ここでは50日以上)、印字のためのピットインインク供給前に、サブタンク内の残存インクのうち流動可能な全量のインクを排出(全抜き)してから、ピットインインク供給を行い、その後通常の回復処理(吸引動作)および印字処理を行うようにするとともに、放置期間が所定の期間未満(ここでは50日未満)であっても、サブタンク内のインク濃縮度が所定値以上(ここでは2.5倍以上)であれば、放置期間が50日以上の場合のときと同じ処理を行うようにしている。一方、放置期間が所定の期間未満であって且つインク濃縮度が所定値未満の場合は、サブタンク内のインク全抜き処理を行わずにピットインインク供給を行い、その後通常の回復処理および印字処理を行うようにしている。要するに、放置期間とインク濃縮度に基づいて、中回復シーケンスを実行するか小回復シーケンスを実行するかを切り替えるのである。なお、「小回復シーケンス」および「中回復シーケンス」の定義は後述する。
なお、本実施形態で用いているインクは第6の実施形態で用いたものと同様であるが、このインクの蒸発率と粘度との関係を図24に示す。濃縮率2.5倍とは、体積が初期の4割になったことを意味するので蒸発率にすると60%となる。インク粘度は蒸発率が60%を超えた程度のところから急激に大きくなるので、この第7の実施形態では濃縮率2.5倍を閾値として、それ以上であれば放置期間が短くても上記の処理を行うようにしている。
この第7の実施形態では、インクの粘度(あるいは粘度と相関のある蒸発率、もしくはインク濃縮率)に応じて回復方法を制御するようにしたので、細かな対応が可能となり、インク消費量の更なる低減が可能となる。
そして、上記のように、放置日数、前回印字時のサブタンク内インク残量および前回印字時のサブタンク内のインク濃縮度に基づいて、次回印字時のサブタンク内のインク濃縮度を算出し、このインク濃縮度と放置日数に応じて回復制御を異ならせるようにしたところ、第5および第6の実施形態の効果に加えて、インク消費量を更に少なくできることを確認した。結果として1枚あたりのランニングコストの低いプリンタを提供することが可能となった。
(第8の実施形態)
第8の実施形態では、サブタンクからのインク排出処理(例えば、インク全抜き処理)の前に、記録ヘッドを保温するようにした点を特徴としており、それ以外は第1〜第7の実施形態と同じであるので説明を省略する。本実施形態では、図25のフローチャートで示されるように、記録ヘッドの保温処理により記録ヘッド内およびサブタンク内のインクを温めた状態で、上記第1〜第7の実施形態におけるインク排出処理(インク全抜き処理)を行うのである。
記録ヘッド内にはインク吐出用のヒーターがあり、これにインクが吐出されない程度の電流を流す(以下保温パルスをかける、という)ことで発熱させることで、記録ヘッドのノズル近傍のインクを温めることができる。保温パルスは発泡のパルスに対して半分以下程度が好ましく、本実施形態では発泡パルス0.7μsecに対して保温パルス0.3μsecとした。この保温パルスを長時間かけつづけると、記録ヘッドのノズル近傍のみならず、インクの流路、さらにはサブタンクまで温めることも可能である。なお温度制御は記録ヘッド内に設けられたダイオードセンサー等の出力を読み取って行っている。
このような保温パルスをかけることで、この第8の実施形態ではヘッド温度が50℃に到達するように制御を行なっている。またヘッド温度が50℃に到達してからは30秒の間、目標温度である50℃を維持するような制御を行っている。そのためノズル近傍のインク温度は30秒後にはほぼ目標温度に到達し、第6の実施形態のインクで蒸発限界に達した時の粘度が常温(25℃)では400mPa・sであるのに対して、数10mPa・sにまで下げることができる。
このようにして放置後に蒸発によって粘度が上昇した増粘インクを温めることでインク粘度を下げることができ、サブタンク内のインクの全抜きが容易になり、特に蒸発限界時のインク粘度が非常に高いようなインク(例えば、グリセリンが多量に含有されているインク等)を用いるときでも信頼性が向上する。
(第9の実施形態)
上記第1〜第8の実施形態では、記録動作のためのピットインインク供給前にインク排出処理(例えば、インク全抜き処理)を実行することを説明したが、この第9の実施形態では、インク排出処理の更に前に、インク排出を良好にするためのピットインインク供給を行う点を特徴としている。このようにインク排出処理の更に前にわざわざピットインインク供給を行う理由を以下で説明する。
上記第1〜第8の実施形態にて説明したように、記録動作のためのピットインインク供給前にインク排出処理を行えば、サブタンク内の残存濃縮インクが基本的には排出されるようになる。従って、基本的には、上記第1〜第8の実施形態におけるインク排出処理シーケンスにて十分である。ところが、インク排出処理を行なったとしても、残存濃縮インクが意図した量だけ排出されない場合もある。例えば、残存濃縮インクの全量を排出しようとしても全量を排出しきれない場合がある。これは、後述する現象によるものと推測される。
図26(a)はインク流路とノズルを表した記録ヘッドの詳細図である。2117はサブタンクからのインク流入口に設けられたSUSフィルター、2118はインク流路、2112はノズル列である。例えば、放置後のインク流路内に図26(a)のように高粘度インクが満たされていたとする。ここで、強力なインク排出処理(例えば、高い負圧で長い時間をかけてインクを引く処理)を行ったとしても増粘インクは非常に流れづらい。また、製造上のノズル径のばらつきや形状のばらつき、あるいは各ノズル間での微妙な蒸発率の差等のばらつきに起因して、インクが流れやすいノズルと流れにくいノズルが存在し、一旦あるノズルでインクが流れ始めるとその近傍のインクが動くためその周囲ノズルはインク排出しやすいが、逆に比較的初期にインクが流れなかったノズルはインク排出しづらい。模式的に示すと図26(b)のように残存濃縮インク(増粘インク)が若干残ったような状態になってしまう場合がある。なお、この現象はノズル列端部のほうが生じやすい。
そして、このように増粘インクが残った状態で、ピットインインク供給を行い、その後通常の回復動作を行って2118のインク流路にフレッシュな未蒸発インクを充填したとしても、増粘インクがすみやかに溶解しないため、吐出口付近に増粘インクが残存し続け、吐出不良となってしまう可能性が無いとはいえない。なお、ピットインインク供給後における通常の回復動作時にこれらの増粘インクを吸引できない理由は、未蒸発インクと増粘インクとの粘度差にあり、吸引回復を行っても粘度の高い増粘インクは流動しづらく、粘度の低い未蒸発インクのみが流動しノズルから吸引されてしまうからである。
以上述べたように、インクの蒸発による増粘の激しいピットインインク供給システムにおいて上記インク排出処理を行ったとしても、長期放置後に増粘インクの排出ができない、あるいは増粘インクの排出はできたとしてもその排出が不十分となってしまい、結果として吐出不良を生じてしまう可能性が無いとはいえない。従って、インク排出処理による残存濃縮インク(増粘インク)の排出性をより向上させることが望ましい。
そこで、この第9の実施形態では、図27に示すように、記録動作のためのピットインインク供給前のインク排出処理(例えば、インク全抜き処理)を実行する更に前に、インク排出を良好にするためのピットインインク供給を行うようにしている。具体的には、図27のフローチャートのステップS2701にて記録開始信号を受信すると、ステップS2702にて増粘インク(残存濃縮インク)の排出性を向上させる目的でのピットイン供給を行う。次に、ステップS2703にてサブタンク内からインクを排出するインク排出処理(例えば、インク全抜き処理)を行う。その後、ステップS2704へ進み、記録動作のためのピットインインク供給を行う。以後、ステップS2705にて通常の回復処理を行い、ステップS2706にて記録動作を開始する。
以上の説明したように第9の実施形態によれば、インク排出処理の前にピットインインク供給がなされ、このピットインインク供給によるフレッシュなインクが増粘インクと混合することで増粘インクの溶解性が高まるため、インク排出処理時には増粘インクが溶解され排出されやすい状況となっている。従って、記録動作のためのピットインインク供給前のインク排出処理により増粘インクを排出できる可能性が高くなり、その結果、上記第1〜第8の実施形態に比べ、吐出不良の発生確率を低減することができる。
(第10の実施形態)
第10の実施形態は、少なくとも放置期間(例えば、放置日数)に応じて、インク排出を良好にするためのピットインインク供給およびインク排出処理を、次回記録動作ためのピットインインク供給の前に行うか否かを制御しており、この点で下記第11〜第14の実施形態と共通する。つまり、簡単に言えば、少なくとも放置期間に応じて、小回復シーケンスを実行するか大回復シーケンスを実行するかを切り替えている。なお、「小回復シーケンス」および「大回復シーケンス」の定義は後述する。
この第10の実施形態では、プリンタが未使用の状態で放置された期間(放置期間)を算出し、この放置期間が所定の期間以上である場合には、サブタンク内へ第1ピットインインク供給(インク排出を良好にするためのピットインインク供給)を行ってからサブタンク内の流動可能なインクの全量(ほぼ全量)を排出するインク排出処理を行い、一方、放置期間が所定の期間未満である場合には、第1ピットインインク供給およびインク排出処理を行わないようにしている。より具体的には、放置期間が長い場合には、第2ピットインインク供給(記録動作のためのピットインインク供給)の前に上記第1ピットインクインク供給およびインク排出処理を行い、一方、放置期間が短い場合には、第2ピットインインク供給の前に第1ピットインインク供給およびインク排出処理を行わないようにしている。
図28はサブタンク内の残存インクの様子を示す模式図である。図28(a)は前回印字終了後で放置前のサブタンク内のインク残量が最少量(ここでは0.15cc)となっていることを示している。サブタンクに収容可能なインク量は0.4cc、記録用紙の最大が4"×6"(4inch×6inch)サイズで、印字で用いるインク量は最大0.2cc(各色)である。必要に応じて行う印字前の回復処理(吸引動作)に用いられるインク量は0.04ccでばらつきを見込んで0.05ccとすると、サブタンク内に収容可能なインク量0.4ccからこれらを引いた値(0.15cc)が印字終了直後におけるサブタンク内の最少インク残量となる。
この第10の実施形態では、インク組成として、重量比で色材が5%、不揮発性溶剤が20%(グリセリン8%、ジエチレングリコール6%、尿素5%、他界面活性剤等が約1%)、残りの75%が揮発性溶剤(水72.5%、イソプロピルアルコール2.5%)であるようなインクを用いている。揮発成分が75%であるので、蒸発可能量は150μl×0.75=112.5μlとなり、蒸発速度を上記第5の実施形態と同じ2μl/dayとすると、計算上では約56日でほぼ完全に蒸発する。(ただし実際には蒸発が進むにつれて蒸発速度は緩やかになる。)この蒸発限界のときのインク粘度は約400mPa・s以上と非常に高い。この蒸発限界の状態が図28(b)である。
そこで本実施形態では、このような高粘度のインクを排出するインク排出処理を記録動作のためのピットインク供給(第2のピットインインク供給)の前に行う際には、インク排出を良好するためのピットインインク供給(第1のピットインインク供給)を行い、サブタンク内へフレッシュなインクを供給し、サブタンク内で高粘度インクとフレッシュなインクを混合してから、サブタンク内の流動可能な全量のインクを排出するようにしている。
図28(c)は放置後に印字を行おうとした時、その放置期間が所定の期間以上である場合(ここでは60日以上)には、まず、サブタンク内が満タンとなるようにピットインインク供給によりインクを充填する。次に、図28(d)にてサブタンク内のインクの全抜き吸引を行なう。このサブタンク内のインクの全抜き吸引について上記図4のピットイン供給回復系の概要図にて説明すると、記録ヘッドB120にキャップB310をしてから、大気連通口B404と接続される大気連通弁(不図示)を閉じ、キャップB310内を閉空間とし、シリンダポンプB304内のピストンを矢印方向に移動させる。ヘッド内は非常に増粘したインク(高粘度インク、あるいは残存濃縮インクともいう)が存在するため、圧力がかかってからのインクの応答は遅くピストンが移動しきってもまだインクの流れが生じない場合もある。このときの負圧は最大で80kPa程度と非常に強力である。この状態を例えば数10秒程度維持しつづけることで、インクが固着さえしていなければ増粘インクといえどもノズルから排出される。
ただし上述したように、部分的に増粘インクが抜けきらずに残存する個所がある場合もある。しかし本実施形態では、サブタンク内の増粘インク(残存濃縮インク)を排出するインク排出処理を行う前に、サブタンク内へインクをピットイン供給しているので、図29で示すように部分的に増粘インクが残っているところに、サブタンク内に供給されたフレッシュなインクが図中矢印のように流れていく。これにより増粘インクが溶解され、排出されやすい状態となる。また、インク流路2118を流れて排出されていくインク量も通常の回復処理(吸引動作)時よりも多く、そのため増粘インクが溶解排出される効果が高い。このように本実施形態では、インク排出処理前に残存濃縮インクをフレッシュインクで友洗いして溶解することにより、インク排出処理時に残存濃縮インクが排出されやすいようにしている。結果として、この後、図28(e)にてサブタンク内へ再度インクを充填するべく第2のピットインインク供給を行い(記録動作のためのピットインク供給を行い)、図28(f)で通常の回復処理(吸引動作)を行なってから印字すると、長期放置後であっても吐出不良ノズルを発生させずに済み、良好な印字を得ることができる。
なお、比較例として、図28(c)の状態から(図28(d)、(e)の工程を飛ばして)図28(f)の通常の回復処理(吸引動作)を行い、その後印字をしたところ(この一連の処理を以下では「小回復シーケンス」と称す)、インク粘度が高いために増粘インクが残ってしまい回復できないノズルがあった。なお、ここでの通常の回復処理(吸引動作)とは、ピットイン供給方式にてサブタンク内にインクを充填してから行なう吸引回復のことであり、前述したように各色0.04ccのインクを吸引する吸引回復である。この通常の吸引回復について上記図4のピットイン供給回復系の概要図にて説明すると、記録ヘッドB120にキャップB310をしてから、大気連通口B304に接続される大気連通弁(不図示)を閉じ、キャップb310内を閉空間とし、シリンダポンプB304内のピストンを矢印方向に移動させながらノズルからインクを吸引し、移動開始から約1.5sec後に大気連通弁を開いて吸引を止めるものである。このような吸引では生じる吸引負圧が低く、また吸引時間も短いため増粘インクを抜くためには不十分であることがわかる。
なお、上述したように「小回復シーケンス」とは、図28(b)の状態から、図28(c)を経て(図28(d)、(e)を飛ばして)、図28(f)へ至るシーケンスであり、要するに、放置後において増粘インク(残存濃縮インク)が存在している状態(図28(b)の状態)のサブタンクに対し、次回印字のためのピットインインク供給(図28(c)で示される第2のピットインインク供給)を行い、その後、通常の回復処理(図28(f))を行なう回復シーケンスである。なお、「小回復シーケンス」においては、図28(c)が第2のピットインインク供給に相当する。
更に、他のシーケンスについても定義すると、上記第9の実施形態のように、図28(b)の状態から、図28(c)、図28(d)および図28(e)を経て、図28(f)へ至るシーケンスを「大回復シーケンス」と称する。要するに、「大回復シーケンス」とは、放置後において増粘インク(残存濃縮インク)が存在している状態(図28(b)の状態)のサブタンクに対し、インク排出を良好にするためのピットインインク供給(図28(c)で示される第1ピットインインク供給)を行なってから図28(d)のインク排出処理(インク全抜き)を行い、その後、次回印字のためのピットインインク供給(図28(e)で示される第2のピットインインク供給)を行い、その後、通常の回復処理(図28(f))を行なう回復シーケンスである。なお、「大回復シーケンス」においては、図28(c)が第1のピットインインク供給、図28(e)が第2のピットインインク供給に相当する。
更にまた、他のシーケンスについても定義すると、上記第1の実施形態のように、図28(b)の状態から、(図28(c)の工程を飛ばして)図28(d)および図28(e)を経て、図28(f)へ至るシーケンスを「中回復シーケンス」と称する。要するに、「中回復シーケンス」とは、放置後において増粘インク(残存濃縮インク)が存在している状態(図28(b)の状態)のサブタンクに対し、図28(d)のインク排出処理(インク全抜き)を行い、その後、次回印字のためのピットインインク供給(図28(e)で示される第2のピットインインク供給)を行い、その後、通常の回復処理(図28(f))を行なう回復シーケンスである。なお、「中回復シーケンス」においては、図28(e)が第2のピットインインク供給に相当する。
なお、本実施形態の放置期間の計測に関しては、本体の電源がOffされた状態であっても内部電池515を用いて定期的にASIC500を起動し、プリンタの電源Offが継続している時間(すなわち放置期間)をEEPROM509内にカウントUpして記憶していくようにしている。そして次回の印字時にEEPROM内の放置期間(カウント値)の値が所定の値以上であれば(ここでは60日以上であれば)、ピットイン供給方式にてサブタンク内へインクを供給してから、サブタンク内の流動可能なインクを全量排出して、その後再びピットインク供給方式にてサブタンク内へインクを再充填してから、通常の回復処理(吸引動作等)を行ってから印字するようにしている。
また吸引中、サブタンクは、気液分離膜とエアー室を介してエアー吸引口で大気連通しているし、またニードルをジョイントゴムに刺さずに開放することでも大気連通している。この大気連通状態で、上記のような吸引を行うことで、エアー吸引口から、またはニードルからエアーが引き込まれサブタンク内のインクがノズルを通してシリンダポンプへと吸引される。なお、上述したように蒸発速度は、プリンタの動作環境中で最も蒸発が厳しい状態での蒸発速度であり、ここでは気温30℃/相対湿度10%環境下での蒸発速度をあらかじめ実験にて求めたものを使用している。
ここで、この第10の実施形態のインク排出処理シーケンスについて図30を参照しながら説明する。簡単に言えば、この第10の実施形態では、放置期間に応じて、小回復シーケンスを実行するか大回復シーケンスを実行するかを制御するのである。なお、図30では、インク排出を良好にするためのピットインインク供給およびインク排出処理の実行有無の判断時期を次回印字時(次回の記録開始信号の受信時)とした場合について説明する。
図30のフローチャートについて説明すると、まず、ステップS3001にて記録開始信号を受信すると、ステップS3002にてタイムカウント値Xが閾値α以上であるか否かを判断する。ステップS3002にてXの値がα未満であると判断されたら、第1のピットインインク供給(ステップS3003A)およびインク排出処理(ステップS3003B)は行わずにステップS3004へ進む。一方、ステップS3002にてXの値がα以上であると判断されたらステップS3003Aにて第1のピットインインク供給(インク排出性を向上させるピットインク供給)を行ってから、ステップS3003Bにてインク排出処理を行い、その後ステップS3004へ進む。なお、このインク排出処理における排出量は上記第9の実施形態と同様で構わない。ステップS3004において記録動作のためのピットインク供給(第2のピットインインク供給)を行ったら、ステップS3005にて通常の回復動作(吸引動作)を行い、ステップS3006にて記録動作を開始する。なお、図30のフローチャートは、記録信号の受信の度毎に行う構成であってもよいし、電源ON後の最初の記録開始信号の受信時だけに行なう構成であってもよい。
以上の第10の実施形態によれば、放置期間(例えば、放置日数)に応じて、第1のピットインインク供給およびインク排出処理を、第2のピットインインク供給の前に行なうか否かを制御しているため、インク排出量を抑制しつつも、インク濃縮による弊害(特に、吐出不良ノズルを発生)を抑制でき、良好な画像のプリントが可能である。
(第11の実施形態)
第11の実施形態では、第1のピットインインク供給およびインク排出処理を実行するか否かについて、放置日数のみならず、前回印字終了時のサブタンク内の残存インクの量(インク残量)も考慮する。要するに、前回印字終了時のサブタンク内のインク残量と放置期間に基づいて、大回復シーケンスを実行するか小回復シーケンスを実行するかを制御するのである。
サブタンク内のインク残量が多いほど蒸発限界に達するまでの期間は長く、サブタンク内のインク残量が400μlであれば蒸発限界までは150日、300μlであれば112日、200μlであれば75日、上記第10の実施形態のように150μl(最少残量)であれば約56日である。つまり、蒸発限界に達するまでの期間はサブタンク内のインク残量に応じて大きく異なる。このように、蒸発の影響が初期のインク残量によって大きく異なるのは、もともとのサブタンクが小さいことに起因し、小型のサブタンクを持つピットインインク供給系に固有の問題である。そこで、上記第10の実施形態では最小インク残量を考慮して、60日以上であれば、サブタンクへのインク供給の後にサブタンク内のインクを全抜きして増粘インクを抜くとともに、局所的に残存する増粘インクを友洗いして溶解し、次回の印字時に吐出不良ノズルが生じないようにしている。
しかし、上記のように蒸発限界まで達する期間が前回印字終了時のサブタンク内のインク残量に応じて大きく異なるため、前回印字終了時のサブタンク内のインク残量を考慮せずに回復シーケンスを決定すると、インクの消費量が不必要に多くなってしまう場合がある。つまり、前回印字終了時のサブタンク内のインク残量の多少に応じて、インク排出処理を行う必要性が生じるインク粘度に達する期間が異なるため、インク排出処理に伴うインク消費量を最小限にするためには、前回印字終了時のサブタンク内のインク残量を考慮しなければならないのである。
本発明は比較的小型の写真プリンタ等を想定しているので、当然インクの容量も決して豊富ではないためインクの消費量が多いと、印字1枚あたりのランニングコストが高くなってしまう。そのため、第11の実施形態では、前回印字終了時のサブタンク内のインク残量の差による放置後のインク粘度の違いに対応するために、放置期間とともに前回印字終了時のサブタンク内のインク残量を考慮して、回復シーケンスを制御している。すなわち、この第11の実施形態では、前回の印字終了時のサブタンク内のインク残量を本体EEPROM内に記憶しておき、さらに上記第10の実施形態で説明したように、放置期間をEEPROMにカウントUpしながら記憶していく。そして、前回印字終了時のインク残量と放置期間に基づいて、次回印字時の印字前の回復シーケンスを変えるようにしている。
具体的には、前回印字終了時のインク残量(v)と放置日数(T)とに基づいて、下記表4のように回復シーケンスを変える。表中、「−」の印は、第2のピットインインク供給(次回記録動作のためのピットインインク供給)の前には第1のピットインインク供給(インク排出性を向上させるためのピットインインク供給)およびインク排出処理は行なわず、第2のピットインインク供給(第2ピットインインク供給)を行なってから通常の回復処理をするものである。つまり、「小回復シーケンス」に相当する。一方、「○」の印は、第1のピットインインク供給後に、サブタンク内の流動可能な全量のインクを抜き、その後第2のピットインインク供給を行ってから通常の回復処理をするものである。つまり、「大回復シーケンス」に相当する。
Figure 0004371725
なお、印字終了後におけるサブタンク内のインク残量の検知については上記第6の実施形態にて説明した通りである。
このように第11の実施形態によれば、放置期間(例えば、放置日数)と前回印字終了時のサブタンク内のインク残量とに応じて、第1のピットインクインク供給およびインク排出処理を行なうか否かを制御しているため、上記第10の実施形態の効果に加えて、インク消費量を更に低減できるという効果がある。
(第12の実施形態)
第12の実施形態では、第1のピットインインク供給およびインク排出処理を第2のピットインインク供給前に行なうか否かを判断するにあたり、放置日数に加え、インク濃縮度も考慮するようにした点を特徴としている。なお、インク濃縮度を考慮する理由は、上記第7の実施形態で説明した通りであり、また、インク濃縮度の算出法も上記第7の実施形態で説明した通りである。要するに、この第12の実施形態によれば、放置期間とインク濃縮度に基づいて、大回復シーケンスを実行するか小回復シーケンスを実行するかを制御するのである。
(第13の実施形態)
この第13の実施形態では、上記第9〜12の実施形態におけるインク排出処理(例えば、インク全抜き処理)の前に、記録ヘッドを保温するようにした点を特徴としており、それ以外は第9〜第12の実施形態と同じであるので説明を省略する。この記録ヘッドの保温処理は、インク排出処理の前であればよく、第1のピットインクインク供給後であってインク排出処理前でもよく、あるいは、第1のピットインクインク供給前でもよい。
記録ヘッドの保温処理の方法は、上記第8の実施形態で説明した通りであり、保温パルスの付与により行う。これによりサブタンク内のインクの全抜きが容易になり、特に蒸発限界時のインク粘度が非常に高いようなインク(例えば、グリセリンが多量に含有されているインク等)を用いるときでも信頼性が向上する。
例えばインクとして、色材が5%、不揮発性溶剤が20%(グリセリン14%、ジエチレングリコール2%、尿素3%、他界面活性剤等が約1%)、残りの75%が揮発性溶剤(水72.5%、イソプロピルアルコール2.5%)であるようなインクを用いていると、グリセリンの成分比が大きいため、水分蒸発後の粘度が高く、ほぼグリセリン100%の状態に近いところまで粘度が上昇する。このようなインクを用いて保温温度を変えて、回復性を検討した結果を示すと下記表5のようになる。
Figure 0004371725
表5から明らかなように、保温処理(加熱処理)により蒸発後の高粘度インクを温めることでインク粘度を下げることができ、それにより回復性が向上する。しかし、例えば80℃程度にまで温度を上げようとすると保温温度に達するまでの時間が長くなってしまい、印字までの待ち時間となってしまうため、50℃程度が好ましい。
(第14の実施形態)
第14の実施形態はインク排出処理(インク全抜き処理)の前にサブタンク内にピットイン供給するインク量を、満タンとするのではなく回復に必要な程度の量とした点を特徴としており、それ以外は第9〜第13の実施形態と同様である。具体的には、実験の結果、0.15ccのインクをピットイン供給してから、全抜き吸引でノズルを友洗いすることで、その後の回復動作が問題なく行われることを確認したので、マージンをもって0.2ccのインクを供給することとした。
ここで、満タンではなく、満タンより少ない所定量のピットインインク供給を行なうためのピットイン供給動作を上記図4を用いて説明する。まず、ゴムジョイントC105にニードルB122を挿入し、負圧ジョイントB302とエアー吸引口B123とを接続する。その後、シリンダポンプB304内のピストンが矢印方向に移動する。そしてピストンが0.2cc×3色分=0.6cc移動したところでWaitするようにしている。このような動作により、サブタンク内の負圧生成との関係でピットイン供給のための時間を延ばさないと所定の0.2ccが入らないので、印字までの待ち時間が延びるという弊害があるが、インク消費量の低減には大きな効果がある。
(第15の実施形態)
第15の実施形態は、第1のピットインインク供給が終了してからインク排出処理が開始されるまでの間にWait時間を設け、サブタンク内に残存する増粘インクの溶解性を高めることを特徴としている。すなわち、大回復シーケンスを行なう際に、第1のピットインインク供給が終了した時点(図28(c)の状態)でWait時間を設けることで、サブタンク内における増粘インクがフレッシュインクにより多く溶解するようになり、その後の通常の回復処理における回復性が良好となる。また図28(e)の状態でWait時間を設けてもよい。特にノズル列端部の増粘インクは溶解しづらいためフレッシュインクが近傍にある状態でWait時間を設けることは回復に有効である。更には、図28(c)の状態と図28(e)の状態の両方においてWait時間を設けることで、さらに増粘インクの溶解を促進することができるので信頼性が向上する。もちろん、このようなWait時間を設けることと、上記第13の実施形態で説明した保温処理とを組み合わせてもよい。
(第16の実施形態)
この第16の実施形態では、装置本体内に温湿度センサーを有するようにし、放置期間のカウントUpと同時にASICが温度と湿度の履歴を記憶するようにし、この環境履歴に基づいて、インク粘度に対応したパラメータである蒸発速度(あるいは蒸発率α、蒸発量)を補正することで、インク排出処理に伴うインク排出量をインク粘度に対応させて最適に低減することを特徴としている。その他は上記第5〜第15の実施形態と同じであるので説明を省略する。
上記第5〜第15の実施形態では、蒸発速度はプリンタの使用範囲の中で最も蒸発が厳しい(温度が高く、湿度が低い)環境下での蒸発速度を用いている。しかし、実環境では蒸発はそれほど激しくないことが多い。従って、上記実施形態のよう最も蒸発が厳しい環境下での蒸発速度(あるいは蒸発率α、蒸発量)を考慮してインク排出処理に伴うインク排出量を決定すると、必要以上のインクを消費してしまう場合がある。
そこで、この第16の実施形態では、装置本体の放置期間内における環境履歴(温度と湿度を含む環境の履歴)に応じて蒸発速度(あるいは蒸発率、蒸発量)を補正し、より正確にサブタンク内のインクの様子を把握できるようにした。なお、温湿度データの処理は、放置期間中の平均としてもよいし、放置開始時や終了時等で重み付けをしてもよい。このように装置本体の放置環境の履歴に基づいて蒸発速度(あるいは蒸発率、蒸発量)を補正することにより、インクの消費量をより低減することができる。
(第17の実施形態)
本実施形態では、小回復シーケンス、中回復シーケンスおよび大回復シーケンスを含む複数の回復シーケンスのうち実行する回復シーケンスを、放置期間に応じて選択する点を特徴としている。この構成によれば、第5の実施形態や第10の実施形態に比べ、回復シーケンスに要するインク消費量をより必要最小限の量に近づけることができる。
(第18の実施形態)
本実施形態では、小回復シーケンス、中回復シーケンスおよび大回復シーケンスを含む複数の回復シーケンスのうち実行する回復シーケンスを、放置期間および前回印字時のインク残量に応じて選択する点を特徴としている。この構成によれば、第6の実施形態や第11の実施形態に比べ、回復シーケンスに要するインク消費量をより必要最小限の量に近づけることができる。
(第19の実施形態)
本実施形態では、小回復シーケンス、中回復シーケンスおよび大回復シーケンスを含む複数の回復シーケンスのうち実行する回復シーケンスを、放置期間およびインク濃縮度に応じて選択する点を特徴としている。この構成によれば、第7の実施形態や第12の実施形態に比べ、回復シーケンスに要するインク消費量をより必要最小限の量に近づけることができる。
(第20の実施形態)
上述した第1実施形態では上記インク排出処理を記録開始前のタイミングにて行なっているが、この第20の実施形態では上記インク排出処理を記録終了後のタイミングにて行うことを特徴としている。なお、「記録終了後のタイミング」とは、例えば、電源OFF時をトリガとしたタイミング、あるいは記録の終了を示す記録終了信号の受信をトリガとしたタイミング等である。
この第20の実施形態では、記録終了後においてサブタンク内の残存インクを排出するので、残存インクがほとんどない状態でサブタンクは放置されることになる。従って、サブタンクが長期間放置された後に記録を行なっても、インク濃縮による弊害は発生しない。なお、サブタンクが放置された後に記録を行う場合(つまり、次回記録動作を実行する場合)には、通常通り、記録開始信号を受信したら、記録動作のためのピットインク供給(第2のピットインインク供給)を行い、その後、通常の回復処理を行ってから記録を開始する。
(第21の実施形態)
第21〜第24の実施形態では、サブタンク内へのインク供給後における各色サブタンクのインク濃縮率のバラツキを小さくして色の再現性を良好するために、記録動作終了後におけるインク排出処理(第1のインク排出処理)を行うに際し、各色の残存インク量が略等しくなるようにインク排出を行う点を共通の特徴事項としている。以下、各色の残存インク量が略等しくなるようにインク排出を行う理由について説明する。
画像のタイプによって各色のサブタンク内に残存するインク量に大きな差が生じてしまうと、以下の点で好ましくない。なお画像のタイプによって各色の残存インク量が異なるというのは、印字した画像が例えば晴天の空であればシアンインクが多量に消費され残存量は少なく、マゼンタやイエローインクは比較的多く残るという意味である。
図5は複数のサブタンクにおける残存インクの状態を説明する図であり、ピットインインク供給前にインク抜きを行った場合と、そのままでインク抜きを行わない場合とを記す。上段はインク抜きを行う場合である。図5(a)は印字終了時点におけるインク残量を示しており、この点ではスポンジ内のインクは中量程度残存している。図5(b)はインク抜きによってインクを抜いた状態、図5(c)はサブタンク内のインクの蒸発可能成分が蒸発した後の状態、図5(d)は次回インク充填時の状態(ピットインインク供給後の状態)を示している。
模式的に記しているが、図5(b)で前回の印字終了時にインクを抜いたとしてもスポンジを着色している(ここではスポンジ繊維にからんでいる)分のインクも含めて、完全にはインクを抜ききれないため、図5(d)で次回インクを充填したとしても初期のインク濃度より濃くなることが避けられないことを表している。
一方、インク抜きを行わない場合を図5の下段に示す。図5(e)は図5(a)の後にインク抜きを行わずそのまま放置乾燥した状態で、図5(c)よりも残存濃縮インクの量が多いことを表している。図5(f)は次回インク充填時の状態(ピットインインク供給後の状態)を表しており、図5(d)以上に初期のインク濃度よりも濃くなっていることを表している。いずれにしろ初期のインク濃度よりは濃くなる(濃縮される)ことは避けられない。
以上は1色のサブタンク内にて起こる現象を述べたが、フルカラーの記録装置の場合は、少なくとも3色以上のインクを用いサブタンクも色毎に存在する。その様子を模式的に示したのが図6である。
図6は、Y、M、Cの3色のサブタンク内のインク量を模式的に示した図で、図6(a)は印字終了時に(例えば前述したように晴天の空の画像を印字したために)Y、Mの残量が多くCの残量が極端に少ない場合を表している。
上段はインク抜きありのときの様子を記したもので、図6(a)のような印字後の残存インクを抜こうとしても、図6(b)に示されるように3色を共に同じレベルのインク抜き状態にはできていない。これは、インク抜きを吸引で行う場合で、かつYMCの3色を1つのキャップにて吸引する場合に生じる。すなわち、3色同時吸引の場合、1色のインクが抜けきってしまうと他の色のインクが抜けづらくなってしまう場合がある。なぜならば、シアンのインクが抜けきった後には、エアーの流路が形成されてしまいインクを引くための負圧が弱められてしまうからである。(ただし、図示しているようにシアンのインクといえども完全に抜けるわけではない。シアンヘッドの吐出孔のメニスカスが破れて数ノズル単位でエアーの流路ができる結果、流路壁面に残るインクも含めて、全ノズルのインクを完全に抜くのは非常に困難になる。)
そして、図示されるように、特にイエローのインク抜きが不十分なまま放置乾燥すると、図6(b)のようなインク残量状態となる。このような状態において次回インク充填を行うと、図6(d)のように当然各色間でのインク濃縮率は異なってしまう。このように濃縮率のバランスが崩れると単純に1次色であるイエロー(ここではマゼンタも)の濃度が濃くなるだけでなく、2次色の色相も変わってしまう。すなわち、この例では、シアンはほぼ初期のインク濃度であるにもかかわらず、イエローが濃縮率の高いインクとなってしまうために、グリーンの再現時にその色味が黄色味がかった緑となってしまう。
これは、3色ともが上記の例のイエローと同程度に濃縮されたインクを用いて印字した場合よりも、問題となりやすい。なぜならば、3色ともが濃い場合は、全体が濃い画像となるが、画像各部の色相は初期濃度のインクで印字したものとほぼ同じだからである。それに対して、上記の例のように各色間でのインク濃縮バランスが崩れると、特に2次色の画像の部分で、その色相が異なってしまうので、単純に濃度が濃い画像とはならずに上記の例では画像の中で特に緑系の色の部分が黄色がかった緑となってしまい、一方青系の色の部分は、ほぼ良好な色味で出力されるというように、画像の部分的に色味が変わってしまい、結果として画像全体での不自然さがより顕著になるからである。
また、図6の下段に示すインク抜きなしの場合であっても結果としては上記のインク抜きと同じ結果となってしまう。すなわち、図6(a)に示される印字終了後のインク残量の状態のまま、放置乾燥し(図6(e)参照)、その後、次回インクを充填すると濃縮インクの濃度は3色で大きく異なってしまう(図6(f)参照)。このような図6(f)の状態において、3色一括でキャッピングし吸引すると、インク濃度の相違に伴ってインク粘度が異なり各色の流抵抗が違うため、図6(g)のように濃縮インクを3色とも同じレベルに抜くことができない。このため図6(h)のように新しいインクを再充填しても、再充填後のインク濃度に3色の間で差が生じバランスを崩してしまう。
このような問題に対しては、例えば3色一括のキャッピングや吸引をやめて、各色毎のキャップと吸引を行うことで解決できるが、装置が大きく煩雑になってしまうという欠点がある。あるいは3色一括吸引であっても、長時間吸引を行えば、図6(b)または図6(g)のような吸引後のインク残量のばらつきを減らすことはできるが、必ずしも長時間引いたとしても3色の残量のバランスを保証できないし、また処理時間が長くなってしまうという問題もある。このような濃縮率のバランスの問題は、従来技術では示唆されておらず、新たな問題であるといえる。
第21〜第24の実施形態では、このような問題点に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、ピットイン供給方式を用いるインクジェット記録装置において、サブタンク内へのインク充填後における各色サブタンクのインク濃縮率のバラツキが小さく、結果として画像の濃度が自然で色再現性に優れ、さらには続けて同じ画像をプリントしたとしても画像間での濃度の差が目立つ程度には異なることのないプリント出力を可能とすることにある。
なお、第21〜第24の実施形態では、プリンタ部の大きさを小さくするため、プリンタの出力物の大きさはアナログの銀塩写真で多く見られるいわゆるL版ではなく、カードサイズとしている。カードサイズとは約54mm×86mm程度で名刺程度の大きさである。例えば1200×1200dpiで記録するのであれば、インクのドロップレットとしては画素の大きさから4〜5pl程度が必要であり、そのため画像形成に必要なインク量は約0.055ccとなり、インク充填後の回復量を例えば0.02ccとすると、必要なインク量は0.075ccとなるので、サブタンクの容量は0.1ccとしている。
本装置は、印字後にサブタンクに残ったインク量を精度よく検知するために、サブタンク内に収容可能なインク量や、吸引回復動作により排出されるインク量が固定の値として、ROM504またはEEPROM509に記憶されている。なおサブタンクに1回のインク充填で充填されるインク量や、1回の吸引回復動作で排出されるインク量は装置本体ごとに若干ばらつきがあるので、それらを補正するようにするのが好適であり、さらにインク残量検知の精度を向上できる。
EEPROM509は、吐出動作により排出されたインク量を1pl単位で積算するメモリ領域(以下、ドットカウンタと称す)を有する。サブタンクに収容可能なインク量から、回復動作により排出されたインク量と、カウント手段であるドットカウンタによってカウントされたインク量とを引くことで、サブタンク内の残存インクの量がわかる。ここではサブタンクの容量を0.1ccとしているので、インク残量の検知精度としては0.0001cc以下の細かさが好ましい。なおインク滴1ショットのインク量も記録ヘッドごとに若干のバラツキがあるので、これを補正するようにすると精度が上がる。
図8に第21実施形態でのインク排出のシーケンスを示す。スタート後まずS801で記録動作と同時に、カウント手段であるドットカウントにてインクの使用量を記録終了まで積算する。S802で記録終了後、S803でシアン、マゼンタ、イエローの各色のドットカウント値Dc、Dm、Dyを取り込み、それらに基づき各色の残存インク量を算出する。例えばサブタンクの容積が0.1ccのとき、満タン時にサブタンク内に入り得るインク量はスポンジの体積やデッドエアーの体積を引いて0.085ccである。次いで毎回のインク充填後に行われる吸引回復時に排出されるインク量が0.02ccである。これらの値はROM504またはEEPROM509に記憶されている。そして工場調整時に本体間のばらつきがあるならば補正されている。これらの値からシアンのサブタンク内に残存するインク量Rcは、Rc=0.085−0.02−Dcとして求められ、同様にマゼンタ、イエローの残量Rm、Ryも求められる。
次にS804で各色の残量のうちのMin値を、Min=Min(Rc,Rm,Ry)の演算で求める。第1の排出処理として、このMin値と各色インク残量値とを用いて、S805以降で各色のインクの排出を行う。まずシアンに関して、S806にて排出量を求めるが、ここで排出量はシアンインクの残量とMin値との差分の量に相当する。そして、ここで求められた排出量に相当する量だけインクを吐出し第1の排出処理を行う。次にS807で同様の処理を、他の色を含め全色が終了するまで繰り返す。そして各色それぞれの排出がなされた後にS808で処理が終了する。
なお、ここでは、インクを吐出することで排出を行っているが、必要に応じて、吸引排出としても良いし、両者を併用しても良い。
このときのサブタンク内の残存インクの様子を示したものが図9であり、図6に対比することにより本実施形態の効果を理解できる。図9は図6の下段の「インク抜きなし」のときの処理に対して本実施形態を適用したものであり、図9(b)'の処理(第1のインク排出処理)が追加されている。図8のシーケンスで示したS806の処理を各色毎に繰り返すことによって図9(b)'の状態が作り出される。この第1のインク排出処理により、印字終了後のサブタンク内における各色のインク残量がばらついたとしても各色のインクを同レベルにまで消費させ、図9(b)'のように各色のインク残量のバラツキを略無くし、各色のインク残量のバランスを取ることができる。
それ以降の処理は前述したもの(図6の下段の説明)と同じであるが、サブタンク内の様子は図6の下段とは異なってくる。図9(b)'の処理のあとは処理が終了し、プリンタは放置されるが、その放置の間の乾燥により、図9(e)のように残存インクが濃縮される。そして、もし次回プリント動作時に図示しないシーケンスによって、インクの濃縮が生じているためのインクの入れ替え処理を図9(f)〜図9(g)で行った場合、各色のインクの濃縮の程度がほぼ同一であるためインクの粘度に大差がなく、インクの入れ替えがバランスよく行われ、最終的に印字直前の図9(h)において濃縮インクの各色の濃縮度に大きなバラツキがなく、かつ濃縮度そのものも小さくできる。
このようなシーケンスを用いて本プリンタの耐久試験を行ったところ、インク充填後におけるインク濃度はもちろんのこと、各色のインク濃縮率も色毎に大きな差がなく、結果として画像の色相が自然で色相の再現性に優れ、さらには続けて同じ画像をプリントしたとしても画像間での色相が目立つ程度には狂うことのないプリント出力が可能であることを確認した。
なお、インクの蒸発によって濃縮がどの程度進行するかは経過時間によって異なるので、図9(g)のインク充填後におけるインク排出処理は、例えば数日間放置されつづけたときのみ行うことにしてもよく、必要に応じて行えばよい。あるいは非常に蒸発が少ない、もしくは画像の色再現に対して厳しい要求がないようなプリンタにおいては、このようなシーケンスは設けなくても良い。このように図9(g)のインク充填後におけるインク排出処理を行わない形態においては、図9(f)にてインクが充填された後、記録動作が開始される。なお、この形態の場合、サブタンク内のインク濃度が初期のインク濃度よりも高くなり記録画像の濃度も高くなるが、各色の濃度バランスは崩れないため、色相には何ら問題なく、色相の再現性は十分良好である。
(第22の実施形態)
第2の実施形態は、インク排出のシーケンスが図10のフローのようになっている点が特徴である。これを用いてインク排出を行うと図11に示すようなサブタンク内の残存インクの状態を実現できる。図11は図6の上段の「インク抜きあり」の処理に対して本実施形態を適用した時のサブタンク内の残存インク状態を示す。
図10は、図9の処理に対してS8の全色一括吸引処理を加えたものであり、この点で図9の処理と相違するが、その他の点では同じである。すなわち、図10の処理では、S1007にて各色のインク排出(第1のインク排出処理)が全ての色に関して終了した後に(図11(b)')、S1008で第2のインク排出処理である「一括吸引」を行い(図6(b))、サブタンク内の残存インクを可能なレベルまで排出しきるようにしている。ここにいう「一括吸引」とは、各サブタンク内のインクを同時に、互いに等しい量だけ吸引する処理をいう。
なお、この第2のインク排出処理は、第1のインク排出処理に引き続き行われるようにしてもよく、あるいは、第1のインク排出処理の終了後であって、次回の記録動作の前に行われるようにしてもよい。
この第22の実施形態においても、上記第21の実施形態と同様、次回のインク充填後において、インク濃縮率は各色間でほとんど差がなく、画像の色相が自然で色相の再現性に優れ、さらには続けて同じ画像をプリントしたとしても画像間での色相が目立つ程度には狂うことのないプリント出力が可能であることを確認した。
なお本実施形態では、第21の実施形態のような次回印字前のインクの入れ替えを行う必要がないので、実施形態21に比べてインクの消費量を減らせるという効果がある。
(第23実施形態)
本実施形態ではシーケンスフローの図は示さないが、図8のS805以降の処理、または図10のS1005以降の処理を行うタイミングを変えている。上記の例では記録終了後すみやかに、S805・S1005以降の処理を行っているが、ここでは、それらをプリンタの電源Offのタイミング以後に行うようにしている。あるいはS805・S1005以後の処理は、カメラ側のオートシャットオフのタイミング以後に行っても良い。いずれにしろ電源のOffを検知してから、S805・S1005以降の排出処理を行うので、前回の印字終了後から次回の印字開始までの処理時間を短くすることができ、ユーザーを待たせることなく次のプリント動作を行えるというメリットがある。
(第24実施形態)
本実施形態では、図8のS803とS804の処理の間または図10のS1003とS1004の処理の間に、図12または図13に示す、所定の値との比較判断を行う判断処理を加えたところが異なる。
ここでは各色の残存インク量の算出後に、各色のサブタンクの間における残存インク量の差を求め、これが大き過ぎないのであれば(つまり、サブタンク間における残存インク量の差が所定値以下であれば)、上記第1のインク排出処理を行わずに処理を終了する。各色の残存インク量の差が小さい場合には、インク濃縮率も色間においてそれほど変わらないので、各色間でインク残量を一致させる必要もなく、この場合、各色間でのインク残量を略等しくするためになされる上記第1のインク排出処理は行わないのである。なお、色間差の大小を判断するための閾値であるところの上記所定値は、あらかじめ設定されており、ここでは0.01ccとしている。ここでは、サブタンクが0.1ccであるので、その1/10倍の0.01cc程度の差であれば、各色の濃縮率に大きな差は生じないので、厳密にインク残量を等しくするためのインク排出処理を行わないこととした。ここで用いる所定値も、蒸発の程度や、プリンタの用途に応じて、適宜変更するようにして良い。第24実施形態では、各色のインク残量の差が小さい場合、インク残量を等しくするためのインク排出処理(第1のインク排出)を行わないようにしているので、上記第21〜第23実施形態に比べ、インク消費量を少なくでき、前回印字終了後から次回印字開始までの処理時間を更に短くできるというメリットがある。
(その他の実施形態)
上記第21〜第24の実施形態では、残存濃縮インクの量が各色で同じとなるようなインク排出処理を記録動作終了後において行なっているが、記録開始前のタイミングにて行なうようにしても良い。
また、組合せが可能である限りにおいては、上記第1〜第24の実施形態を適宜組合せて使用しても良い。
本発明を適用可能なプリンタ内蔵カメラの正面図である。 図1のカメラに装着可能なメディアパックの斜視図である。 図1のプリンタの内部における主要構成部の配置関係を示す斜視図である。 インク供給回復システムの概念的構成を示す図である。 サブタンクにおけるインクの濃縮現象を模式的に示した図である。 各色の濃縮率のばらつきを説明する概念図である。 本装置の電気構成のブロックを示す図である。 本発明の第21の実施形態の排出処理を行うシーケンスを説明する図である。 本発明の第21の実施形態における濃縮率のばらつきを説明する図である。 本発明の第22の実施形態の排出処理を行うシーケンスを説明する図である。 本発明の第22の実施形態における濃縮率のばらつきを説明する図である。 本発明の第24の実施形態の排出処理を行うシーケンスを説明する図である。 本発明の第24の実施形態の排出処理を行うシーケンスを説明する図である。 第1の実施形態を説明するための、サブタンク内のインクの状態を示す模式図である。 第2の実施形態のインク排出処理を行うシーケンスを説明する図である。 第2の実施形態のインク排出処理を行うシーケンスを説明する図である。 タイムカウント値Xの範囲とインク排出量との関係を示す図である。 ドットカウント値Yの取得を行うシーケンスを説明する図である。 サブタンクとサブタンク内の残存インク量の関係を時系列的に説明する図である(従来例)。 サブタンク内にインク(200μlのインク)が残った状態で放置された場合の、サブタンク内の残存インクの蒸発の程度とその影響を説明する図である。 図19の従来例に対する第5の実施形態の効果を説明するための図である。 サブタンク内にインク(100μlのインク)が残った状態で放置された場合の、サブタンク内の残存インクの蒸発の程度とその影響を説明する図である。 第7の実施形態のインク排出処理を行うシーケンスを説明する図である。 第7の実施形態で用いるインクの蒸発率と粘度との関係を示す図である。 第8の実施形態のインク排出処理を行うシーケンスを説明する図である。 インク排出処理後に増粘インクが残存してしまう場合を説明する図である。 第9の実施形態のインク排出処理を行うシーケンスを説明する図である。 第10の実施形態を説明するための、サブタンク内の残存インクの様子を示す模式図である。 インク排出処理の前にピットインク供給を行なった場合のインクの流れを示した図である。 第10の実施形態のインク排出処理を行うシーケンスを説明する図である。
符号の説明
A001 装置本体
A100 カメラ部
A101 レンズ
B100 プリンタ部
B101 ローラ
B102 ピンチローラ
B103 プラテン
B104 キャリッジ
B105 ガイド軸
B106 リードスクリュー
B120 インクジェット記録ヘッド
B121 インク吐出口
B122 ニードル
B123 エアー吸引口
B131 エンコーダセンサ
B132 リニアスケール
B302 負圧供給ジョイント
B303 負圧供給チューブ
B304 ポンプシリンダ
B310 吸引キャップ
B311 吸引チューブ
B312 廃液チューブ
B313 廃液ジョイント
B400 サブタンク(インクタンク、キャリッジタンク)
B401 インク吸収体
B402 気液透過部材(気液分離膜、気体透過部材、多孔質膜)
C100 メディアパック
C101 パック本体
C103 インクパック
C104 プリント媒体
C105 ゴムジョイント
C106 ワイパー
C107 廃インク吸収体
C200 インク供給路
M001 キャリッジモータ
M003 ポンプモータ
106 電源スイッチ
107 エラー解除スイッチ
109 エラーランプ
110 パワーランプ
115 電源
116 電池
500 ASIC
506 ROM
509 EEPROM

Claims (6)

  1. インクを貯留するメインタンクと、前記メインタンクとインク供給路を介して分離/接続が可能であるサブタンクと、前記サブタンクから供給されるインクを吐出するための記録ヘッドとを有し、前記記録ヘッドから記録媒体にインクを吐出して記録を行うインクジェット記録装置であって、
    前回の記録終了から次回の記録開始までの間において、前記メインタンクから前記サブタンクへ前記インク供給路を介してインクを供給するためのインク供給手段と、
    前記前回の記録終了から次回の記録開始までの間の、前記インク供給手段によるインク供給の前に、前記サブタンク内の残存インクの少なくとも一部を排出するインク排出処理を行うことが可能なインク排出処理手段と、
    (A)前回の記録終了から次回の記録開始までの間において電源OFFが継続している期間、(B)前回の電源OFFから、次回の記録を開始するための記録開始信号の受信までの期間、(C)前回の記録終了から前記記録開始信号の受信までの期間、あるいは(D)前回の回復処理の終了から前記記録開始信号の受信までの期間のいずれかを計測する計測手段と、
    前回の記録終了時における前記サブタンク内のインクの量に対応した値を算出する第1の算出手段と、
    前回の記録終了後における前記サブタンク内のインクの粘度に対応した値を算出する第2の算出手段と、
    前記計測手段により計測された期間、前記第1の算出手段により算出されたインク量に対応した値および前記第2の算出手段により算出されたインク粘度に対応した値に基づいて、現在の前記サブタンク内のインクの粘度に対応した値を算出する第3の算出手段と、
    前記第3の算出手段により算出された値に基づいて、前記インク排出処理手段によるインク排出処理を行うか否かを制御する制御手段と、
    備えることを特徴とするインクジェット記録装置。
  2. 温度および湿度を検出する検出手段と、
    前記期間中における温度および湿度の履歴を記憶する記憶手段と、
    前記履歴に基づいて前記第3の算出手段により算出された値を補正する補正手段と、
    を備えることを特徴とする請求項に記載のインクジェット記録装置。
  3. インクを貯留するメインタンクと、前記メインタンクとインク供給路を介して分離/接続が可能であるサブタンクと、前記サブタンクから供給されるインクを吐出するための記録ヘッドとを有し、前記記録ヘッドから記録媒体にインクを吐出して記録を行うインクジェット記録装置であって、
    前回の記録終了から次回の記録開始までの間において、前記メインタンクから前記サブタンクへ前記インク供給路を介してインクの供給を行うためのインク供給手段と、
    前記前回の記録終了から次回の記録開始までの間において、前記サブタンク内の残存インクの少なくとも一部を排出するインク排出処理を行うことが可能なインク排出処理手段と、
    (A)前回の記録終了から次回の記録開始までの間において電源OFFが継続している期間、(B)前回の電源OFFから、次回の記録を開始するための記録開始信号の受信までの期間、(C)前回の記録終了から前記記録開始信号の受信までの期間、あるいは(D)前回の回復処理の終了から前記記録開始信号の受信までの期間のいずれかを計測する計測手段と、
    前記計測手段により計測された期間が所定の期間以上の場合、前記インク供給手段によりインク供給を行ってから前記インク排出処理手段によりインク排出処理を行い、その後、前記インク供給手段によりインクの供給を行うように制御し、前記計測手段により計測された期間が所定の期間未満の場合、前記インク排出処理手段によるインク排出処理を行わずに前記インク供給手段によりインクの供給を行うように制御する制御手段と、
    備えたことを特徴とするインクジェット記録装置。
  4. インクを貯留するメインタンクと、前記メインタンクとインク供給路を介して分離/接続が可能であるサブタンクと、前記サブタンクから供給されるインクを吐出するための記録ヘッドとを有し、前記記録ヘッドから記録媒体にインクを吐出して記録を行うインクジェット記録装置であって、
    前回の記録終了から次回の記録開始までの間において、前記メインタンクから前記サブタンクへ前記インク供給路を介してインクの供給を行うためのインク供給手段と、
    前記前回の記録終了から次回の記録開始までの間において、前記サブタンク内の残存インクの少なくとも一部を排出するインク排出処理を行うことが可能なインク排出処理手段と、
    (A)前回の記録終了から次回の記録開始までの間において電源OFFが継続している期間、(B)前回の電源OFFから、次回の記録を開始するための記録開始信号の受信までの期間、(C)前回の記録終了から前記記録開始信号の受信までの期間、あるいは(D)前回の回復処理の終了から前記記録開始信号の受信までの期間のいずれかを計測する計測手段と、
    前回の記録終了時における前記サブタンク内のインクの量に対応した値を算出する第1の算出手段と、
    前記計測手段により計測された期間および前記第1の算出手段により算出されたインク量に対応した値に基づいて、前記インク供給手段によりインク供給を行ってから前記インク排出処理を行い、その後、前記インク供給手段によりインクの供給を行うか、あるいは前記インク排出処理手段によるインク排出処理を行わずに前記インク供給手段によりインクの供給を行うかを制御する制御手段と、
    備えることを特徴とするインクジェット記録装置。
  5. インクを貯留するメインタンクと、前記メインタンクとインク供給路を介して分離/接続が可能であるサブタンクと、前記サブタンクから供給されるインクを吐出するための記録ヘッドとを有し、前記記録ヘッドから記録媒体にインクを吐出して記録を行うインクジェット記録装置であって、
    前回の記録終了から次回の記録開始までの間において、前記メインタンクから前記サブタンクへ前記インク供給路を介してインクの供給を行うためのインク供給手段と、
    前記前回の記録終了から次回の記録開始までの間において、前記サブタンク内の残存インクの少なくとも一部を排出するインク排出処理を行うことが可能なインク排出処理手段と、
    (A)前回の記録終了から次回の記録開始までの間において電源OFFが継続している期間、(B)前回の電源OFFから、次回の記録を開始するための記録開始信号の受信までの期間、(C)前回の記録終了から前記記録開始信号の受信までの期間、あるいは(D)前回の回復処理の終了から前記記録開始信号の受信までの期間のいずれかを計測する計測手段と、
    前回の記録終了時における前記サブタンク内のインクの量に対応した値を算出する第1の算出手段と、
    前回の記録終了後における前記サブタンク内のインクの粘度に対応した値を算出する第2の算出手段と、
    前記計測手段により計測された期間、前記第1の算出手段により算出されたインク量に対応した値および前記第2の算出手段により算出されたインク粘度に対応した値に基づいて、現在の前記サブタンク内のインクの粘度に対応した値を算出する第3の算出手段と、
    前記第3の算出手段により算出された値が所定値以上の場合、前記インク供給手段によりインク供給を行ってから前記インク排出処理手段によりインク排出処理を行い、その後、前記インク供給手段によりインクの供給を行うように制御し、前記第3の算出手段により算出された値が所定値未満の場合、前記インク排出処理手段によるインク排出処理を行わずに前記インク供給手段によりインクの供給を行うように制御する制御手段と、
    備えることを特徴とするインクジェット記録装置。
  6. 前記インク排出処理手段は、前記サブタンク内において流動可能な残存インクのほぼ全量を排出することを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
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