JP4371691B2 - 弾性クローラとこれを用いたクローラ走行装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、比較的高速で走行するクローラ走行装置に適した芯金レスの弾性クローラに関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、車輪の代わりにクローラ走行装置を装着した、フルトラック、ハーフトラック及びRV車等の高速履帯車両においては、不整地と公道の双方で走行可能なクローラ走行装置を採用する必要がある。かかる高速履帯車両用のクローラ走行装置においては、走行速度が比較的大きくなるため高速回転が可能な柔軟性と軽量さを有する弾性クローラを採用する必要がある。
このような柔軟性と軽量さを兼備した弾性クローラとして、例えば、クローラ本体の内部に芯金を埋設していない芯金レスのものがあり、このタイプの弾性クローラは、通常、周方向において一定間隔おきに並ぶ複数の駆動突起が内周面から一体に突設されたクローラ本体と、このクローラ本体の外周面に所定のパターンで形成されたラグ群と、前記クローラ本体の内部に周方向に沿って埋設された抗張体とを備えている(特許文献1参照)。
【0003】
図5(a)〜(c)は、上記芯金レスタイプの弾性クローラ21の駆動方式を示している。このうち、図5(a)に示す駆動方式では、クローラ本体22の幅方向中心線を対称軸として左右対称状に分割された分割突起23が形成され、駆動スプロケット24は単一の中央円盤25の外周部両側面から駆動ピン26を突設してなり、その各駆動ピン26を分割突起23にそれぞれ係合させて駆動スプロケット24の回転を弾性クローラ21に伝達するようにしている。
【0004】
また、図5(b)に示す駆動方式では、クローラ本体22の幅方向中央に配置された幅方向に連続する連続突起27が形成され、駆動スプロケット24は左右一対の分割円盤28の外周部同士を駆動ピン29で互いに連結してなり、その駆動ピン29を連続突起27に係合させて駆動スプロケット24の回転を弾性クローラ21に伝達するようにしている。
更に、図5(c)に示す駆動方式では、駆動スプロケット24は駆動突起30を跨いだ状態でクローラ本体22の内周面に当接する左右一対のゴム製タイヤ31よりなり、このタイヤ31の外周面とクローラ本体22の内周面との間の摩擦力により、駆動スプロケット24の回転を弾性クローラ21に伝達するようにしている。
【0005】
【特許文献1】
特開平10−129547号公報(図1及び図4)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の駆動方式のうち、図5(a)及び(b)に示すピン駆動方式では、駆動スプロケット24の駆動ピン26,29とクローラ本体22の駆動突起(分割突起23又は連続突起27)との係合だけで駆動スプロケット24の回転を弾性クローラ21に伝達するようにしているので、例えば、中・大型運搬車や建設機械等の比較的大型の走行車両に使用した場合には、駆動ピン26,29から受ける過大な駆動力によって駆動突起が変形し、ピッチエラーや脱輪が発生することがある。
【0007】
また、かかるピン駆動方式の弾性クローラ21をコンバイン等の不整地走行が多い走行車両に使用した場合には、駆動スプロケット24に噛み込まれた泥土や土砂が駆動突起(分割突起23又は連続突起27)に付着して堆積し、これによってもピッチエラーや脱輪が発生することがある。そして、かかるピッチエラーや脱輪を防止するには、弾性クローラ21に対するテンションを増大させればよいが、これでは回転抵抗が増大してエネルギーロスが大きくなり、燃費が悪くなるという新たな課題が発生する。
【0008】
一方、図5(c)に示す摩擦駆動方式では、泥土や土砂がクローラ本体22の内周面に付着すると、駆動スプロケット24(タイヤ31)の摩擦力が低下してスリップが発生し、弾性クローラ21に対して駆動力を十分に伝達できないことがある。そして、かかるスリップを防止するには、弾性クローラ21に対するテンションを増大させればよいが、この場合も、回転抵抗が増大してエネルギーロスが大きくなるという課題が発生する。
【0009】
本発明は、このような実情に鑑み、クローラ本体に対するテンションを必要以上に増大させなくても駆動突起の変形を抑制できるようにして、燃費を悪化させることなくピッチエラーや脱輪を防止することができる芯金レスの弾性クローラを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成すべく、本発明は次の技術的手段を講じた。
すなわち、本発明は、前記したピン駆動方式を採用した芯金レスの弾性クローラにおいて、駆動ピンとは別に駆動スプロケットに設けられた各スプロケット歯がそれぞれ嵌合する駆動孔が周方向において一定間隔おきに並んだ状態でクローラ本体に形成され、前記駆動突起が、前記駆動孔に対して周方向にずれた位置で、前記スプロケット歯が引っ掛かる第1の部分とこの第1の部分の幅方向両側において前記駆動ピンが係合する第2の部分とを有するとともに、これら第1,第2の部分が幅方向に連続する連続突起からなることを特徴とする。
【0011】
この場合、駆動スプロケットの駆動ピンがクローラ本体の駆動突起に係合するだけでなく、同スプロケットのスプロケット歯がクローラ本体の駆動孔に嵌合することによっても、駆動スプロケットの回転が弾性クローラに伝達されるようになるので、前者の係合だけで動力伝達する場合に比べて駆動突起にかかる負荷が軽減される。このため、クローラ本体に対するテンションを必要以上に増大させなくても、駆動突起の変形を抑制することができる。
また、駆動スプロケットのスプロケット歯がクローラ本体の駆動孔に嵌合するため、クローラ本体が駆動スプロケットに対して幅方向にずれるのが抑制され、弾性クローラの脱輪防止機能が向上する。
更に、駆動突起として連続突起を採用すれば、駆動スプロケットのスプロケット歯が駆動孔だけでなく駆動突起に対しても引っ掛かるようになるので(図3(a)参照)、弾性クローラのピッチエラーの防止機能がよりいっそう向上する。
【0012】
上記の本発明において、駆動孔はクローラ本体をその表裏方向に貫通する貫通孔より構成することが好ましい。かかる貫通孔よりなる駆動孔を採用すると、駆動スプロケットによって噛み込まれた泥土や土砂が駆動孔から径外側へ排出されるので、泥土や土砂が駆動突起に付着することに伴うピッチエラーをより有効に防止することができる
【0013】
た、駆動孔はクローラ本体の幅方向中央に配置され、前記連続突起は前記クローラ本体の幅方向中央に配置されていてもよい。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態を説明する。
図1は、本発明の実施形態と共通する構成を含む参考例に係る芯金レスの弾性クローラ1を示し、図2は、このクローラ1を用いたクローラ走行装置2を示している。
参考例のクローラ走行装置2は、不整地と公道の双方で走行可能となるように、フルトラック、ハーフトラック及びRV車等の車輪の代わりに装着されるものである。図2に示すように、その走行装置2は、駆動輪である上部中央に配置された駆動スプロケット3と、前後一対のアイドラ4,4と、このアイドラ4,4間に列設された複数の転輪5とを備えており、これらの外周に前記弾性クローラ1を側面視ほぼ三角形状に巻き掛けることによって構成されている。
【0015】
図1に示すように、本参考例の弾性クローラ1は、周方向(図2の矢印x方向)で一定間隔おきに並ぶ複数の駆動突起7が内周面から一体に突設された芯金レスのクローラ本体8と、このクローラ本体8の外周面に所定のラグパターンで形成された多数のラグ9Aよりなるラグ群9と、同クローラ本体8の内部に周方向に沿って埋設された抗張体10と、クローラ本体8の内部における抗張体10の外周側に埋設された幅方向補強層11と、を備えている。
【0016】
このうち、クローラ本体8は、ゴム様弾性体によってほぼ一定厚さの無端帯状に形成されており、このクローラ本体8の内周面における幅方向(図1(a)の左右方向)中央部に、当該クローラ本体8と同じ材質のゴム様弾性体からなる前記駆動突起7が一体に突設されている。本参考例の駆動突起7は、クローラ本体8の幅方向中心線を対称軸として左右対称状に分割された、側面視ほぼ台形状を呈する分割突起12より構成されている。
【0017】
この各分割突起12は、周方向に一定間隔をおいてクローラ本体8の全周に渡って設けられており、この各分割突起12に駆動スプロケット3から突設された後述の駆動ピン13を係合させることにより、弾性クローラ1を周方向に沿って駆動できるようになっている。なお、かかる分割突起12の内部に、硬質樹脂製又は金属製の補強部材を埋設することにしてもよい。
前記抗張体10は、周方向に沿って延設されたスチールコード等よりなる抗張力コードを並設することによって構成されている。他方、幅方向補強層11は、周方向に対して傾斜した方向にスチールコード等よりなる抗張力コードを並設することによって構成されている。なお、この補強層11は、抗張体10の内周側や、その内周側及び外周側の双方に設けることもできる。
【0018】
図1に示すように、本参考例の駆動スプロケット3は、周方向で一定間隔おきに並ぶ多数のスプロケット歯14が外周縁部に形成されたスプロケット本体15と、このスプロケット本体15の外周部両側面から突設された左右一対の駆動ピン13とから構成されており、この駆動ピン13は、スプロケット歯14と対応する周方向位置に一定間隔おきに配置されている。
これに対して、弾性クローラ1のクローラ本体8には、上記駆動ピン13が係合する駆動突起7(分割突起12)に加えて、その駆動ピン13とは別に駆動スプロケット3に設けられた前記各スプロケット歯14がそれぞれ嵌合する駆動孔16が、周方向において一定間隔おきに並んだ状態で形成されている。この駆動孔16は、クローラ本体8をその表裏方向に貫通する貫通孔より構成され、クローラ本体8の幅方向中央に配置されている。また、駆動突起7(分割突起12)と駆動孔16とは、周方向において互いにずれた位置に配置されている。
【0019】
上記構成に係る本参考例の弾性クローラ1によれば、駆動スプロケット3の駆動ピン13がクローラ本体8の駆動突起7に係合するだけでなく、同スプロケット3のスプロケット歯14がクローラ本体8の駆動孔16に嵌合することによっても、駆動スプロケット3の回転が弾性クローラ1に伝達されるようになっている。このため、駆動スプロケット3と駆動ピン13との係合だけで動力伝達する場合に比べて駆動突起7にかかる負荷が軽減されるので、クローラ本体8に対するテンションを必要以上に増大させなくても、駆動突起7の変形を抑制することができる。
【0020】
また、駆動スプロケット3のスプロケット歯14がクローラ本体8の駆動孔16に嵌合するので、クローラ本体8が駆動スプロケット3に対して幅方向にずれるのが抑制され、弾性クローラ1の脱輪防止機能が向上する。特に、本参考例の弾性クローラ1では、図1(a)に示すように、分割突起12間で駆動スプロケット3を左右から挟み込んだ状態でクローラ本体8が当該スプロケット3に装着されるので、クローラ本体8が駆動スプロケット3に対して幅方向にずれるのがより確実に抑制され、弾性クローラ1の脱輪防止機能がよりいっそう向上している。
【0021】
更に、本参考例の弾性クローラ1では、駆動孔16がクローラ本体8をその表裏方向に貫通する貫通孔より構成されていることから、駆動スプロケット3によって噛み込まれた泥土や土砂が駆動孔16から径外側へ排出され、泥土や土砂が駆動突起7に付着することに伴うピッチエラーを防止することができるという利点もある。
【0022】
図3は、本発明の実施形態に係る弾性クローラ1を示している。
本実施形態の弾性クローラ1が参考例の場合と異なる点は、駆動突起7が、駆動孔16に対して周方向でずれた位置でかつクローラ本体8の幅方向中央に配置された幅方向に連続する連続突起17よりなり、これに対応して、駆動スプロケット3におけるスプロケット歯14の谷間部分が、その駆動突起7(連続突起17)の高さ分だけ深く形成されている点にある。すなわち、駆動突起7は、スプロケット歯14が引っ掛かる第1の部分とこの第1の部分の幅方向両側において駆動ピン13が係合する第2の部分とを有するとともに、これら第1,第2の部分が幅方向に連続する連続突起17からなる。その他の構成は参考例の場合とほぼ同様である。
【0023】
従って、本実施形態の弾性クローラ1では、参考例の弾性クローラ1(図1)の場合と概ね同じ作用効果が得られるとともに、図3(a)に示すように、駆動スプロケット3のスプロケット歯14が駆動孔16だけでなく駆動突起7に対しても引っ掛かるようになるので、弾性クローラ1のピッチエラーや脱輪防止機能をよりいっそう向上することができる。
【0024】
ところで、図4(b)に示すように、この種の弾性クローラ1において、駆動突起7の配列ピッチP1をラグピッチP2の二倍に設定した場合、駆動突起7とラグ9Aの間でかなり剛性が低い薄肉部18が生じる場合があり、クローラ走行装置2が段差に乗り上げた際にその薄肉部18において局所的な大変形が発生して、弾性クローラ1が損傷し易くなることがある。
【0025】
そこで、前記実施形態に係る弾性クローラ1では、図4(a)に示すように、駆動突起7の裾野部分とラグ9Aの裾野部分が必ず周方向でラップする配列で両者を配置することにより、上記のような薄肉部18がクローラ本体8に生じないようにしている
【0026】
なお、上記した実施形態はすべて例示であって制限的なものではない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって規定され、そこに記載された構成と均等の範囲内のすべての変更も本発明に含まれる。
例えば、図5(b)に示すような、左右一対の分割円盤28の外周部同士を駆動ピン29で互いに連結してなりる駆動スプロケット24を採用し、その各分割円盤28の外周縁部にスプロケット歯14を形成することにしてもよく、この場合には、両分割円盤28のスプロケット歯14に対応して駆動孔16を左右二列に配列する必要がある。
【0027】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、クローラ本体に対するテンションを必要以上に増大させなくても駆動突起の変形を抑制できるので、燃費を悪化させることなくピッチエラーや脱輪を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (a)は参考例の弾性クローラの横断面図であり、(b)はそのクローラと駆動スプロケットの係合状態を示す斜視図である。
【図2】 上記弾性クローラを装着したクローラ走行装置の側面図である。
【図3】 (a)は本発明の実施形態の弾性クローラの横断面図であり、(b)はそのクローラと駆動スプロケットの係合状態を示す斜視図である。
【図4】 (a)は上記実施形態の弾性クローラの側面断面図であり、(b)は比較例に係る弾性クローラの側面断面図である。
【図5】 従来の弾性クローラと駆動スプロケットの係合状態を示す横断面図である。
【符号の説明】
1 弾性クローラ
2 クローラ走行装置
3 駆動スプロケット
4 アイドラ
5 転輪
7 駆動突起
8 クローラ本体
9 ラグ群
10 抗張体
12 分割突起
13 駆動ピン
14 スプロケット歯
16 駆動孔
17 連続突起

Claims (4)

  1. 駆動スプロケット(3)に設けられた幅方向両側に突出する各駆動ピン(13)がそれぞれ係合する駆動突起(7)が周方向において一定間隔おきに並んだ状態で内周面から突設されたゴム様弾性体よりなるクローラ本体(8)と、このクローラ本体(8)の外周面に所定のラグパターンで形成されたラグ群(9)と、前記クローラ本体(8)の内部に周方向に沿って埋設された抗張体(10)と、を備えている芯金レスの弾性クローラにおいて、
    前記駆動ピン(13)とは別に前記駆動スプロケット(3)に設けられた各スプロケット歯(14)がそれぞれ嵌合する駆動孔(16)が周方向において一定間隔おきに並んだ状態で前記クローラ本体(8)に形成され、
    前記駆動突起(7)が、前記駆動孔(16)に対して周方向にずれた位置で、前記スプロケット歯(14)が引っ掛かる第1の部分とこの第1の部分の幅方向両側において前記駆動ピン(13)が係合する第2の部分とを有するとともに、これら第1,第2の部分が幅方向に連続する連続突起(17)からなることを特徴とする弾性クローラ。
  2. 駆動孔(16)はクローラ本体(8)をその表裏方向に貫通する貫通孔より構成されている請求項1に記載の弾性クローラ。
  3. 駆動孔(16)はクローラ本体(8)の幅方向中央に配置され、前記連続突起(17)は前記クローラ本体(8)の幅方向中央に配置されている請求項1又は2に記載の弾性クローラ。
  4. 駆動スプロケット(3)と、アイドラ(4)と、複数の転輪(5)と、これらの外周に巻き掛けられた弾性クローラと、を備えているクローラ走行装置において、
    前記弾性クローラは請求項1〜3のいずれかに記載の弾性クローラ(1)よりなり、前記駆動スプロケット(3)は、幅方向両側に突出し、かつ前記弾性クローラ(1)の連続突起(17)に係合する駆動ピン(13)と、同クローラ(1)の駆動孔(16)に嵌合し、かつ前記連続突起(17)に引っ掛かるスプロケット歯(14)とを備えていることを特徴とするクローラ走行装置。
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