JP4370835B2 - 箔シールランプ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
発光部と封止部を有し透光性材料からなるランプ容器において、封止部がモリブデン箔によって気密にシールされた構造のランプに関する。
【0002】
【従来の技術】
封止部にモリブデン箔を埋設させることによる箔シール構造を有するランプとして、例えば、発光機構部としてフィラメントを備えた白熱電球と、発光機構部として一対の電極を備えた放電ランプが知られている。放電ランプのうち箔シール構造を採用したランプは、発光物質、発光管内圧力という観点から幾つかのランプに分類できる。発光物質という観点では、水銀を発光物質とする水銀ランプ、金属蒸気とハロゲン化物の解離生成物との混合物を発光物質とするメタルハライドランプ、キセノンガスを発光物質とするキセノンランプなどがある。発光管内圧力という観点では、低圧放電ランプ、高圧放電ランプ、などが存在する。
【0003】
高圧水銀ランプは、発光部とその両端に連続して形成された封止部からなる石英ガラス製のランプ容器と、封止部に埋設されたモリブデン箔(以後、Mo箔とも称す)と、Mo箔の一端に接続された、発光部内へ伸びる一対の電極と、Mo箔の他端に接続された、外方に伸びるリード棒とからなる構造である。さらに放電容器内には発光物質として水銀が、点灯時における蒸気圧が1気圧以上となるように封入されている。
高圧水銀ランプのうち、点灯時におけるランプ容器内の圧力が150気圧以上になる超高圧水銀ランプは、点光源、小型などの利点を有することから、特に液晶プロジェクタ用光源として用いられている。
【0004】
このような超高圧水銀ランプは、液晶プロジェクタに対する高照度化、小型化の要求に伴って、ランプ容器内への封入水銀量が増大するとともにランプ自体も小型化している。このため、ランプ点灯時におけるランプ容器内の圧力が非常に高くなり、封止部に埋設されているMo箔が封止部を構成する石英ガラスから剥離する「箔浮き現象」が発生することにより封止部が破損し、所望のランプ寿命が得られないという問題が発生した。
【0005】
この現象は、Mo箔と封止部を構成している石英ガラスとは熱膨張率が異なり、製造上封止部を構成する石英ガラスとMo箔との間に微小な空隙が形成され、この空隙にランプ容器内の極めて高い圧力のガスが流れ込むことにより、封止部を構成する石英ガラスとMo箔とを剥離させる応力が発生する、というものである。
【0006】
このような問題を解決するために、例えば、特開平8−55566号公報に示されるように、酸化イットリウムと酸化セリウムとでドープされたモリブデン箔を高圧放電ランプの封止部に埋設させる技術が知られている。
この箔を超高圧水銀ランプの封止部に用いることにより、封止部を構成する石英ガラスと箔との接合強度が向上するので、前記問題を解決することが期待できる。
【0007】
ところが、酸化イットリウムと酸化セリウムとでドープされたモリブデン箔が埋設された封止部を有する超高圧水銀ランプを実際に点灯させた場合においても、箔浮き現象が発生することによって封止部が破損し、所望のランプ寿命が得られないことが判明した。
【0008】
【特許文献1】
特開平8−55566号
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
封止部が、モリブデン箔あるいは酸化イットリウムと酸化セリウムとでドープされたモリブデン箔によって気密にシールされた箔シールランプにおいて、封止部を構成する石英ガラスと箔との接合強度を向上させることにより、気密性の高い封止部を有する箔シールランプを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、本発明の高圧水銀ランプは、発光部の内部に、点灯時の水銀蒸気圧が1気圧以上となるよう水銀が封入され、当該発光部の両端に連続して、モリブデン箔が埋設された封止部が形成され、前記モリブデン箔の一端に前記発光部内へ伸びる電極が電気的に接続され、前記モリブデン箔の他端に前記封止部の外方に伸び出る外部リードが電気的に接続され、
前記モリブデン箔の前記電極が接続された一端側の表面に、その厚みが10〜1000nmのモリブデンシリサイド膜が形成されたことを特徴とする。
【0011】
本発明の高圧水銀ランプは、発光部の内部に、点灯時の水銀蒸気圧が1気圧以上となるよう水銀が封入され、当該発光部の両端に連続して、モリブデン箔が埋設された封止部が形成され、前記モリブデン箔の一端に前記発光部内へ伸びる電極が電気的に接続され、前記モリブデン箔の他端に前記封止部の外方に伸び出る外部リードが電気的に接続され、
前記モリブデン箔は、酸化イットリウムと酸化セリウムのいずれか一方あるいはその両方を主成分とする物質によりドープされ、当該モリブデン箔の前記電極が接続された一端側の表面に、その厚みが10〜350nmのモリブデンシリサイド膜が形成されたことを特徴とする。
【0013】
さらに、前記モリブデンシリサイド膜と前記モリブデン箔との間に酸化モリブデン層が形成されたことを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】
図1は、第1の発明の箔シールランプを説明するための図を示す。
箔シールランプ10は、発光部11と、その両端に連続して形成された封止部12とを有し、透光性材料からなるランプ容器13を有する。封止部12は、Mo箔14が埋設されることにより気密にシールされている。このMo箔14の一端には、発光部11内へ伸びる一対の電極15、16が接続され、他端には、不図示の外部回路に電気的に接続されるリード棒17が接続されている。
発光部11内には、点灯時における水銀蒸気圧が150気圧以上となるように計算された量の水銀が封入される。さらに、点灯始動性改善のためにアルゴンが13.3kPa封入される。
【0015】
図2は、第1の発明の箔シールランプ10におけるMo箔14表面の構造を示す図である。図1と同一符号は同一部分を示す。
Mo箔14の表面には、モリブデンシリサイドの微小粉末を成形したターゲットを用いたスパッタリングにより、モリブデンシリサイド膜18(以後、MoSi膜18とも称す)が形成される。ここで、Mo箔14の厚みは20μm、MoSi膜18の厚みは100nmである。尚、Mo箔14、MoSi膜18は、その厚みが非常に小さいものであるが誇張して表現している。
【0016】
本発明のような箔シールランプによれば、封止部を構成する石英ガラスとMo箔との接合強度を向上させることができる。この理由について、本発明者は鋭意検討の結果、以下のような結論を得た。
従来の箔シールランプの封止部における石英ガラスとMo箔との界面構造を解析した結果、石英ガラスとMoとの相互拡散層は存在しないと考えられる。すなわち、石英ガラスと箔との界面における濃度勾配が非常に急峻であるため、両者の接合強度が低く、さらに、剥離の応力は界面に集中して発生する。これにより、石英ガラスと箔との接合部分が剥離すると考えられる。
【0017】
一方、本発明の箔シールランプによれば、図2に示すように、Mo箔14の表面にMoSi膜18が形成された構造である。ここで、MoSi膜18は、SiO(石英ガラス)とMoとの中間の組成を持つ物質であるため、MoとSiO2との間の相互の拡散よりも、MoとMoSi2との間あるいはSiO2とMoSi2との間の相互の拡散の方が起こりやすいため、石英ガラスとMo箔14との界面における濃度勾配が緩やかに形成される。これにより、封止部12を構成する石英ガラスとMo箔14との接合強度が向上するので、両者の剥離を防止できると考えられる。
【0018】
ここで、第1の発明の箔シールランプ10においては、Mo箔14の表面に設けられたMoSi膜18の厚みが10〜1000nmと規定されていることについて説明する。
封止部を構成する石英ガラスとMo箔との接合強度は、MoSi膜の厚みに影響を受けるため、MoSi膜の厚みを適正な範囲にすることが必要である。
【0019】
図3は、封止部12を構成する石英ガラスとMo箔14との接合強度を評価する実験について説明する図である。図1と同一符号は同一部分を示す。
まず、図3(a)に示すように、封止部12を径方向に切断することによって得られた略円柱状の切断片において、その両縁を切断することによって、試料片30を作製する。
次に、図3(b)に示すように、支持台31に設けられた凹部をまたぐように固定された試料片30に、荷重棒32によって垂直方向に、試料片における石英ガラスとMo箔との界面が剥離するまで荷重をかける。石英ガラスとMo箔14との界面が剥離した際の荷重が、両者の接合強度である。
【0020】
図4は、図3に示す実験にて得られた、封止部12を構成する石英ガラスとMo箔14との接合強度におけるMoSi膜18の膜厚依存性を示す図である。図4から、MoSi膜18の厚みが10〜1000nmであると、MoSi膜を形成しない場合および厚みが1000nmを超える場合と比較して、接合強度が向上していることが分かる。このことは、MoSi膜18の厚みが小さすぎると十分な相互拡散層が形成されず、MoSi膜18の厚みが大きすぎると膜中で剥離が発生するため、膜の強度が接合強度を支配するようになり、好ましくないためと考えられる。
【0021】
第2の発明の箔シールランプについて説明する。第2の発明の箔シールランプは、封止部に酸化イットリウム(以後、Yとも称す)と酸化セリウム(以後、Ceとも称す)のいずれか一方あるいはその両方を主成分とする物質によりドープされたMo箔(以後、MY箔とも称す)が埋設されていることを除けば第1の発明の箔シールランプと同一構造である。尚、ここでいう主成分とは、特定成分の全体に占める割合が○%以上のことをいう。
第2の発明の箔シールランプにおいては、封止部にMY箔が埋設されており、封止部を構成する石英ガラスとMY箔との接合強度は、前述したような濃度勾配が急峻か否かという事に加えて、「アンカー効果」にも影響を受ける。
【0022】
図5は、アンカー効果を説明するための図である。図1と同一符号は同一部分を示す。
図5(a)に示されるように、MY箔24に電界研磨を施すと、Moのみが溶解しMY箔24表面の穴の中にYの粒子が存在する構造となる。
そして、図5(b)に示されるように、封止部12のシール作業時において、MY箔24表面の穴の中に存在するYの粒子が封止部12を構成する石英ガラスと接触して、穴の中にイットリウムシリケート(YSi)が形成される。YSiは、その融点がYよりも低く、かつ、シール作業時のMY箔24の温度よりも低いので、シール作業中に液相となる。そして、Y単独よりも体積が増加し、石英ガラスに比較して粘度も大幅に低下するため、溶融したYSiは、図5(c)に示すようにMY箔24表面の穴を満たす。シール作業終了後に自然冷却された際に、MY箔24表面の穴の中に形成された固体のYSiをアンカーと呼ぶ。
このようなアンカーが良好に形成されることにより、MY箔24が埋設された封止部12においては、封止部12を構成する石英ガラスとMY箔24との接合強度が向上する。
【0023】
ところが、MY箔が埋設された封止部を有する従来の箔シールランプにおいては、前述したように、箔浮き現象が発生することによって封止部が破損し、所望のランプ寿命が得られないことが判明している。本発明者は、この原因についても鋭意検討を積み重ねた結果、以下の結論を得た。
【0024】
従来の箔シールランプの封止部においてシールされた石英ガラスとMY箔とをその界面で剥離させて、詳細に調査したところ、MY箔表面に存在するY粒子の全てがアンカーとなり、接合強度の向上に寄与しているのではないことが判明した。具体的に説明すると、封止部のシール作業時に生成した液相状態のYSiが、一箇所にとどまらずに流れ出してMY箔表面に広がってしまい、アンカーとならないものが存在することを見出した。そして、アンカーとならないYSiは、MY箔表面に存在しても接合強度に寄与しないことから、アンカー数の減少は接合強度の低下を引き起こすと考えられる。
【0025】
図6は、アンカーとならないYSiが生成する理由を説明する図である。図5と同一符号は同一部分を示す。
図6(a)に示すように、封止部12のシール作業時において、封止部12を構成する石英ガラスとMY箔24とが密着する前に、封止部12からMY箔24表面にシリカ(SiO)が飛散してくると考えられる。
そして、図6(b)に示すように、飛散してくるシリカとY粒子とが反応することにより形成されたYSiが溶融して、MY箔24表面を流れると考えられる。すなわち、シール作業終了後に、MY箔24表面の穴の中には一部のYSiしか形成されないことになる。
尚、MY箔表面を流れてしまうものと、流動せずにアンカーを形成するものの両方が存在するのは以下の原因によると考えられる。すなわち、MY箔表面でのシリカの拡散速度の差異、気相での対流によるYへのシリカの付着量の違い、MY箔表面における温度差、シール作業を開始してから封止部を構成する石英ガラスと箔とが密着するまでの時間の差異などである。
【0026】
図7は、第2の発明の箔シールランプにおける作用について説明する図である。図5と同一符号は同一部分を示す。
第2の発明の箔シールランプによれば、MY箔24表面に、MoSi膜28が形成された構造である。これにより、封止部12のシール作業時に飛散するシリカが、MoSi膜28表面に付着することにより、封止部12を構成する石英ガラスとMY箔24とが密着する前の段階で発生するシリカとY粒子との早すぎる反応を抑制することができる。
したがって、第2の発明の箔シールランプは、Y粒子が存在するMY箔24表面の穴の中に良好にアンカーが形成されるので、封止部12を構成する石英ガラスとMY箔24との接合強度を向上させることができる。さらに、第1の発明で述べたように、封止部12を構成する石英ガラスとMY箔24との界面が緩やかに形成されるので、封止部12を構成する石英ガラスと箔との接合強度は一層向上する。
尚、図5、6、7において、Mo箔14およびMoSi膜28の厚み、Y粒子の粒径は非常に小さいものであるが誇張して表現している。
【0027】
第2の発明の箔シールランプにおいては、MoSi膜28の厚みは、10〜350nmの範囲に規定されている。
図8は、図3に示す実験で得られた、封止部を構成する石英ガラスとMY箔との接合強度のMoSi膜厚依存性を示す図である。
図8から、MoSi膜28の厚みが10〜350nmであると、MoSi膜を形成しない場合および厚みが1000nmを超える場合と比較して、接合強度が向上していることが分かる。また、MoSi膜28の厚みがY粒子の平均粒径(350nm)よりも小さいと、アンカーとなるYSiが良好に形成されることが分かる。また、MoSi膜28の厚みが大きすぎると、封止部のシール作業時におけるY粒子と封止部を構成する石英ガラスとの接触が阻害されると考えられる。
したがって、MoSi膜28の厚みを10〜350nmの範囲に規定することにより、封止部を構成する石英ガラスと箔との接合強度が向上する。
【0028】
図8のデータは、MY箔においてYとCeとの割合が5:1であるが、この割合に限らず、封止部を構成する石英ガラスとMY箔との接合強度に悪影響を及ぼさないのであればその他の割合であっても良い。また、Yのみを主成分とする物質によりドープされたMY箔あるいはCeのみを主成分とする物質によりドープされたMY箔を用いても良い。また、MY箔の厚みは20μmである。
【0029】
尚、第1、第2の発明の箔シールランプにおいては、モリブデンシリサイドとしてMoSiを用いているが、これに限らず、例えばMoSiなどを用いることもできる。また、酸化イットリウムとしてYを用い、さらに、酸化セリウムとしてCeを用いているが、それぞれ他の組成比のものを用いても良い。
【0030】
また、第2の発明の箔シールランプにおいては、YとCeとによりドープされたMo箔について説明したが、YとCeに加えて、例えば、YとCe以外のランタノイド酸化物を加えても良い。
【0031】
第3の発明の箔シールランプについて説明する。第3の発明の箔シールランプは、第1の発明および第2の発明における箔の表面のうち箔の発光部側の端部から箔全長の1/2以下の領域にMoSi膜が形成された構造であるが、便宜上、第1の発明の箔についてのみ以下に説明する。
【0032】
図9は、第3の発明の箔シールランプ30を説明するための図である。図10は、第3の発明の箔シールランプ30におけるMo箔14表面の構造を示す構造である。図9、図10において、図1と同一符号は同一部分を示す。
図9、10に示すように、Mo箔14の表面のうちMo箔14の発光部11側の端部からMo箔14の全長の1/2以下の領域の表面にMoSi膜38が形成されている。尚、Mo箔14およびMoSi膜38の厚みは非常に小さいものであるが誇張して表現している。
【0033】
ここで、MoSi膜38を発光部11側に形成する理由は、箔浮き現象が発生する箇所が封止部12における発光部11と接続されている部分であるからである。箔浮き現象は、ランプ点灯中にランプ容器13内が非常に高圧となり、封止部12を構成する石英ガラスとMo箔14との間に大きな剥離力が生じて生成するものであるため、高圧が作用していない外部リード17側の石英ガラスとMo箔13との界面には生じない。
【0034】
図10に示されるMoSi膜38の軸方向長さLは、2mm〜Mo箔14の全長の1/2に相当する長さであることが好ましい。Lが2mm未満であると、通常箔浮き現象が発生する部分をMoSi膜100で被覆することができない。また、本発明者は、鋭意検討の結果剥離応力が、Mo箔14において発光部11側の端部から最大でもMo箔14の全長の1/2程度に相当する長さまでの範囲に、働くことを、突き止めた。したがって、Mo箔14は、発光部11側の端部からMo箔14の全長の1/2程度に相当する長さ以下の範囲の表面がMoSi膜38で被覆されていれば良い。
【0035】
点灯時に封止部12の外部リード17側の温度は発光部11側に比較して低いので、石英ガラスにはMo箔14との熱膨張率の差が原因でより大きな歪みが生じる。ここで、封止部12に埋設されたMo箔14の全表面がMoSi膜で被覆されている場合、MoSiはMoより熱膨張係数が大きいため、封止部12のうち温度の低い領域においてはクラックが生じる可能性がわずかにある。
一方、第3の発明の箔シールランプ30によると、封止部12のうち比較的温度の低い領域に埋設されているMo箔14の表面にはMoSi膜が形成されてない構造であるため、このようなクラックが生じることはない。無論、第1の発明で述べたように、封止部12を構成する石英ガラスとMo箔14との接合強度が向上するという効果も得られる。
【0036】
第4の発明の箔シールランプについて説明する。第4の発明の箔シールランプは、第1、第2、第3の発明におけるMo箔表面に酸化モリブデン層(以後MoO層とも称す)を形成するというものであるが、便宜上、第1の発明の箔についてのみ以下に説明する。
【0037】
図11は、第4の発明の箔シールランプにおけるMo箔14表面の構造を示す図である。図1と同一符号は同一部分を示す。Mo箔14の表面にはMoO層100が形成され、その上に重なるようにMoSi膜18が形成されている。尚、Mo箔14、MoSi膜18、MoO層100の厚みは非常に小さいものであるが誇張して表現している。
【0038】
このようなMoO層100は、以下のようにして形成される。但し、以下の形成方法に限定されるものではない。
第1の方法は、Mo箔を電気炉に入れ大気中500℃で15分間加熱することにより、Mo箔表面に一度MoO層を形成する。その後水素気流中で400℃で10分間加熱し、MoOを還元してMoOを生成する。
第2の方法は、Mo箔を電気炉に入れ、その電気炉の中に水でバブリングを行った窒素を導入して、400℃で10分間加熱する。
【0039】
MoO層100の厚みは、概ね0.1〜30nmであることが好ましく、特に0.3〜3nmであることが好ましい。MoO層100の厚みが0.1nm未満であるとMoOが少なすぎ、MoO層100の厚みが30nmを超えるとMo箔14表面付近にMoよりも蒸気圧の高いMoOが多量に存在し封止部のシール作業時にMoOの蒸発量が多くなり気泡が発生するため、好ましくない。
【0040】
第4の発明の箔シールランプによれば、Mo箔14表面にMoO層100が形成されているので、Mo箔14表面とMoSi膜18との間にOが介在することによりMo−O−Si化合物が生成され、Mo箔14とMoSi膜18との接合強度を向上させることができる。
【0041】
以下、第1〜第4の発明の箔シールランプの数値例を示す
陽極の最大径、長さ :1.5mm、9mm
陰極の外径、長さ :0.7mm、9mm
電極間距離 :1.3mm
金属箔の幅、長さ :1.5mm、11mm
封止部の外径、長さ :5.5mm、16mm
ランプ容器全長 :50mm
ランプ容器の内容積 :75mm
封入水銀量 :20mg
定格点灯電圧 :80V
定格点灯電力 :150W
希ガス :アルゴン 13.3kPa
【0042】
尚、本発明の箔シールランプの構造は、点灯時における水銀蒸気圧が150気圧以上になる超高圧水銀ランプに限るものではなく、白熱電球、金属蒸気とハロゲン化物の解離生成物との混合物を発光物質とするメタルハライドランプ、キセノンガスを発光物質とするキセノンランプなどにも採用することができる。
【0043】
【効果】
本発明の箔シールランプによると、封止部を構成する石英ガラスと、Mo箔あるいはYとCeとでドープされたMo箔との接合強度を向上させることができるので、気密性の高い封止部を有する箔シールランプを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の発明の箔シールランプを説明するための図である。
【図2】第1の発明の箔シールランプにおけるMo箔表面の構造を示す図である。
【図3】封止部を構成する石英ガラスとMo箔との接合強度を評価する実験について説明する図である。
【図4】図3に示す実験にて得られた、封止部を構成する石英ガラスとMo箔との接合強度のMoSi膜の膜厚依存性を示す図である。
【図5】アンカー効果を説明するための図である。
【図6】アンカーとならないYSiが生成する理由を説明する図である。
【図7】第2の発明の箔シールランプにおける作用について説明する図である。
【図8】図3に示す実験で得られた、封止部を構成する石英ガラスとMY箔との接合強度のMoSi膜の膜厚依存性を示す図である。
【図9】第3の発明の箔シールランプを説明するための図である。
【図10】第3の発明の箔シールランプにおける箔表面の構造を示す図である。
【図11】第4の発明の箔シールランプにおける箔表面の構造を示す図である。
【符号の説明】
10 箔シールランプ
11 発光部
12 封止部
13 ランプ容器
14 Mo箔
15 電極
16 電極
17 リード棒
18 MoSi
24 MY箔
30 試料片
31 支持台
32 荷重棒
38 MoSi
100 MoO
L MoSi膜38の軸方向長さ

Claims (4)

  1. 発光部の内部に、点灯時の水銀蒸気圧が1気圧以上となるよう水銀が封入され、当該発光部の両端に連続して、モリブデン箔が埋設された封止部が形成され、前記モリブデン箔の一端に前記発光部内へ伸びる電極が電気的に接続され、前記モリブデン箔の他端に前記封止部の外方に伸び出る外部リードが電気的に接続された高圧水銀ランプにおいて、
    前記モリブデン箔の前記電極が接続された一端側の表面に、その厚みが10〜1000nmのモリブデンシリサイド膜が形成されたことを特徴とする高圧水銀ランプ。
  2. 発光部の内部に、点灯時の水銀蒸気圧が1気圧以上となるよう水銀が封入され、当該発光部の両端に連続して、モリブデン箔が埋設された封止部が形成され、前記モリブデン箔の一端に前記発光部内へ伸びる電極が電気的に接続され、前記モリブデン箔の他端に前記封止部の外方に伸び出る外部リードが電気的に接続された高圧水銀ランプにおいて、
    前記モリブデン箔は、酸化イットリウムと酸化セリウムのいずれか一方あるいはその両方を主成分とする物質によりドープされ、当該モリブデン箔の前記電極が接続された一端側の表面に、その厚みが10〜350nmのモリブデンシリサイド膜が形成されたことを特徴とする高圧水銀ランプ。
  3. 前記発光部の内部に、点灯時の水銀蒸気圧が150気圧以上となるよう水銀が封入されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の高圧水銀ランプ。
  4. 前記モリブデンシリサイド膜と前記モリブデン箔との間に酸化モリブデン層が形成されたことを特徴とする請求項1から請求項3に記載の高圧水銀ランプ。
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