JP4370807B2 - 焦点検出装置およびオートフォーカスカメラ - Google Patents

焦点検出装置およびオートフォーカスカメラ Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、焦点調節を自動で行う焦点検出装置およびオートフォーカスカメラに関する。
【0002】
【従来の技術】
撮影レンズを通過した光束を用いて撮影レンズの焦点調節状態、すなわちデフォーカス量を検出し、検出したデフォーカス量に基づいてフォーカスレンズを光軸方向に進退移動させることにより自動的にピント合わせを行うオートフォーカスカメラが知られている。デフォーカス量は、フォーカスレンズの合焦位置からのズレ量およびその方向を示す。一般に、ノイズなどに起因する焦点検出演算結果のバラツキや、進退駆動したフォーカスレンズの停止精度等により、デフォーカス量を完全に0にすることは困難である。そこで、デフォーカス量=0を基準とする所定範囲(たとえば、±70μm)内にピント合わせできれば合焦と見なされる。この所定範囲(深度)は合焦ゾーン(合焦判定範囲)と呼ばれる。このような合焦ゾーンに関して以下の技術が知られている。
【0003】
【特許文献1】
特公平6−29896号公報
【特許文献2】
特開平5−5828号公報
【特許文献3】
特開昭57−72112号公報
【0004】
特許文献1のものは、被写体に対応するコントラストが低い場合に合焦ゾーンを広くするものである。特許文献2のものは、フォーカスレンズを駆動する向きよって合焦ゾーンを変えるものである。特許文献3のものは、撮影レンズの開放F値もしくは焦点距離によって合焦ゾーンを変えるものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
主要被写体が人の顔のように比較的低コントラストであり、背景の被写体がビルの窓のように高コントラストである場合には、主要被写体が合焦ゾーン内に入って当該被写体にピントが合っているにもかかわらず、高コントラストの背景に影響されて画面全体を見ると主要被写体に対して後ピンであるように錯覚することがある。このような錯覚を後ピン錯覚と呼ぶ。従来は、このような後ピン錯覚に対処する焦点検出装置がなかった。
【0006】
本発明は、後ピン錯覚の発生を防ぐようにした焦点検出装置およびオートフォーカスカメラを提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明による焦点検出装置は、撮影レンズの撮影画面内の複数の焦点検出領域のそれぞれについてデフォーカス量を検出する焦点検出手段と、撮影レンズの合焦を判定するための撮影レンズによる合焦時のデフォーカス量(基準デフォーカス量)に対して前ピン側に設定された第1偏差と、基準デフォーカス量に対して後ピン側に設定された第2偏差とを合焦判定範囲として設定する合焦判定範囲設定手段と、焦点検出段によって検出された複数のデフォーカス量のうち、主要被写体に対するデフォーカス量と、主要被写体以外の被写体に対するデフォーカス量のうちの最遠方を示すデフォーカス量との差が所定の値より小さいとき、第2偏差を第1偏差より小さくするように合焦判定範囲設定手段を制御する制御手段とを備えることを特徴とする。
請求項4に記載の発明による焦点検出装置は、撮影レンズのデフォーカス量を検出する焦点検出手段と、撮影レンズの合焦を判定するための撮影レンズによる合焦時のデフォーカス量に対して前ピン側に設定された第1偏差と、合焦時のデフォーカス量に対して後ピン側に設定された第2偏差とを合焦判定範囲として設定する合焦判定範囲設定手段と、撮影レンズの撮影画面内の主要被写体に対応するコントラスト情報によって主要被写体以外の被写体に対応するコントラスト情報のうち最大を示すコントラスト情報を除したコントラスト比が所定の値より大きいとき、第2偏差を第1偏差より小さくするように合焦判定範囲設定手段を制御する制御手段とを備えることを特徴とする。
本発明によるオートフォーカスカメラは、請求項1〜6のいずれかに記載の焦点検出装置と、焦点検出手段により検出されるデフォーカス量が合焦判定範囲内に収まるように撮影レンズに対するレンズ駆動を指示するレンズ駆動指示手段とを有することを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
(第一の実施の形態)
図1は、本発明の第一の実施の形態による焦点検出装置を搭載した一眼レフオートフォーカスカメラを側面から見た図である。図1において、カメラ本体50に着脱可能な交換レンズ80が装着されている。被写体からの光束は、撮影レンズ81を通過した後、メインミラー61で一部が上方に反射されてファインダースクリーン63上に結像され、ペンタプリズム64および接眼レンズ65を介して撮影者によって観察される。被写体光束の他の一部はメインミラー61を透過してサブミラー62で下方に反射され、焦点検出用の光束として焦点検出モジュール52へ導かれる。
【0009】
CPU51は、焦点検出演算部2、合焦ゾーン設定部1、およびモータ駆動制御部3を含む。焦点検出演算部2は、焦点検出モジュール52から出力される信号を用いて後述する焦点検出演算を実行し、撮影レンズ81によるデフォーカス量[μm]を算出する。合焦ゾーン設定部1は、交換レンズ80内に備えられているレンズCPU(L_CPU)が出力するレンズ情報等に基づいて、合焦ゾーンを設定する。モータ駆動制御部3は、焦点検出演算部2が算出したデフォーカス量と、合焦ゾーン設定部1が設定した合焦ゾーンとに基づいて、モータ54を駆動制御し、撮影レンズ81が合焦状態となるように不図示のフォーカスレンズを光軸方向に進退移動させる。
【0010】
撮影時には、メインミラー61が上方に跳ね上げられてメインミラー61およびサブミラー62がファインダー方向に退避する。撮影レンズ81によって形成される光像は、撮像素子53上に結像する。撮像素子53は、たとえば、二次元CCDイメージセンサによって構成され、撮像面上の被写体像を撮像する。
【0011】
本実施の形態では、オートフォーカスカメラ50が位相差検出方式による焦点検出演算を行う。図2は、焦点検出モジュール52の構成を説明する図である。図2において、焦点検出用の光束のうち撮影レンズ100の領域101を介して入射した光束は、視野マスク200、フィールドレンズ300、絞り開口部401および再結像レンズ501を通り、イメージセンサアレイ600のA列上に結像する。
【0012】
同様に、焦点検出用の光束のうち撮影レンズ100の領域102を介して入射した光束は、視野マスク200、フィールドレンズ300、絞り開口部402および再結像レンズ502を通り、イメージセンサーアレイ600のB列上に結像する。これらイメージセンサーアレイ600のA列、B列上に結像した一対の被写体像は、撮影レンズ100が予定焦点面よりも前に被写体の鮮鋭像を結ぶいわゆる前ピン状態では互いに近づき、逆に予定焦点面より後ろに被写体の鮮鋭像を結ぶいわゆる後ピン状態では互いに遠ざかる。予定焦点面において被写体の鮮鋭像を結ぶ合焦時には、イメージセンサーアレイ600のA列、B列上の一対の被写体像が相対的に一致する。したがって、一対の被写体像をイメージセンサーアレイ600のA列、B列のそれぞれで光電変換して電気信号に変え、一対の被写体像を示す信号を演算処理してA列およびB列間の被写体像の相対位置ズレ量を求めることにより、撮影レンズ100の焦点調節状態、すなわちデフォーカス量が得られる。
【0013】
イメージセンサーアレイ600のA列、B列用の再結像レンズ501、502による投影像は、予定焦点面近傍で重なる。投影像が重なる領域は、撮影画面における焦点検出モジュール52の焦点検出領域に対応する。
【0014】
イメージセンサアレイ600は、入射光の強さに応じた信号を出力する複数の光電変換素子を一次元的に並べたセンサーアレイ(たとえば、CCDラインセンサ)によって構成される。CPU51は、被写体の輝度が低くてイメージセンサーアレイ600に入射する光量が少ない場合は、イメージセンサーアレイ600の電荷蓄積時間を長く設定し、被写体の輝度が高くてイメージセンサーアレイ600に入射する光量が多い場合は、電荷蓄積時間を短く設定する。電荷蓄積時間を変化させることにより、イメージセンサー600の出力信号レベルが焦点検出演算処理に適した信号レベルに調整される。
【0015】
CPU51は、デフォーカス量の演算処理を以下のように行う。イメージセンサーアレイ600のA列およびB列の出力信号を、それぞれデータ列a[1],a[2],...,a[n]、データ列b[1],b[2],...b[n]で表すと、A列の出力信号波形は図3(a)で、B列の出力信号波形は図3(b)で、それぞれ表される。図3(a)、(b)は、横軸が各センサーアレイの画素番号(1〜n)を表し、縦軸が画素単位の出力信号を表す。デフォーカス量演算では、これら一対のデータ列のうち所定範囲のデータを相対的に所定データ数Lずつシフトさせながら、次式(1)により相関量C[L]の演算を行う。最大シフト数をlmaxとすると、Lの範囲は−lmaxから+lmaxとなる。
【数1】
Figure 0004370807
ただし、L=-lmax,...,-2,-1,0,1,2,...,lmaxであり、上述のごとくデータ列のシフト量に当たる整数である。
【0016】
初項kと最終項rは、たとえば、次式(2)の如く、シフト量Lに依存して変化させる。
【数2】
Figure 0004370807
ここでk0、r0はシフト量Lが0の時の初項と最終項である。
【0017】
図4は、上式(2)によって初項kおよび最終項rを変化させる場合の、上式(1)においてA列、B列のデータ列の差分の絶対値を算出する組み合わせ、ならびに差分の絶対値を加算する演算範囲を例示する図である。図4において、シフト量Lの変化に伴い、A列、B列のデータ列の相関演算に使用する範囲にズレが生じている。
【0018】
初項kおよび最終項rを、シフト量Lにかかわらず一定にするようにしてもよい。この場合には、A列およびB列のうち一方のデータ列の相関演算に使用する範囲が常に一定となり、他方のデータ列の演算使用範囲のみがズレる。
【0019】
相対位置ズレ量は、一対のデータ列が一致したときのシフト量Lとなる。CPU51は、相関量C[L]の中で極小値を与えるシフト量を検出し、このシフト量に対して所定の定数を掛けてデフォーカス量を算出する。したがって、最大シフト数lmaxが大きいほど、大きなデフォーカス量を検出できる。
【0020】
相関量C[L]は、図3(c)に示すように離散的な値をとる。すなわち、検出可能なデフォーカス量の最小単位は、イメージセンサーアレイ600を構成する光電変換素子の画素ピッチ幅によって制限される。そこで、図3(c)で示される離散的な相関量C[L]に対し、次式(3)、(4)による3点内挿演算を行って相関量カーブの極小点に対応するシフト量Lsを算出する(図5)。図5においてシフト量Lsは、相関量C[L]の最小点C[Le]と点C[Le−1]とを通る傾きαの直線と、点C[Le+1]を通る傾き−αの直線との交点に対応する。シフト量Lsに対応する相関量の極小値を、真の極小値Cexとする。
【0021】
【数3】
Figure 0004370807
ただし、Eはスロープである。MAX{Ca,Cb}は、CaおよびCbのうち大きい方を選択する演算を表す。
【数4】
Ls=Le+DL/E (4)
【0022】
デフォーカス量DFは、シフト量Lsを用いて次式(5)によって算出される。
【数5】
DF=Kf×Ls (5)
ただし、Kfは図2の光学系およびイメージセンサーアレイ600の光電変換素子の画素ピッチ幅によってあらかじめ決定される定数である。
【0023】
CPU51は、デフォーカス量DFについて次式(6)を用いて信頼性判定する。
【数6】
Figure 0004370807
ただし、数値E1、G1はそれぞれ所定の判定閾値である。スロープEは、値が大きいほどコントラストが高く信頼性が高いことを示す。相関量の極小値Cexは、一対のデータ列が最も一致するときの差分であり、理論的に0となる。しかしながら、実際にはノイズの影響、領域101および領域102間で生じる視差に起因して一対の被写体像間に微妙な差が生じるので0にならない。そこで、Cex/Eを判定閾値G1と比較することにより、真のデフォーカス量が得られているか否かの判定を行う。Cex/Eが0に近いほど、一対のデータ列の一致度が高く、信頼性が高いことを示す。
【0024】
CPU51は、上式(6)の両式が成立する場合に信頼性有りを判定し、少なくとも一方が成立しない場合に信頼性無しを判定する。信頼性有りの場合は、デフォーカス量DFが真のデフォーカス量を示しているとみなす。信頼性無しの場合は、ノイズ等によって生じた相関量の揺らぎの影響を受けているおそれがあるとみなす。
【0025】
なお、スロープEの代わりに一対のデータ列の一方に関するコントラストを算出し、これを用いて信頼性判定を行ってもよい。
【0026】
本実施の形態では、上式(1)〜上式(6)の相関演算、補間演算、および信頼性判定をまとめて焦点検出演算と呼ぶ。また、スロープEをコントラスト情報Eと呼ぶことにする。CPU51は、焦点検出演算に関して信頼性有りを判定すると、デフォーカス量DFに基づくフォーカスレンズの駆動を行う。一般に、ノイズに起因する焦点検出演算結果のバラツキや、進退駆動したフォーカスレンズの停止精度等により、デフォーカス量DF=0まで追い込むことは困難である。そこで、CPU51は、デフォーカス量DF=0を基準とする所定範囲(合焦ゾーン)内に追い込めれば合焦と見なし、フォーカスレンズの進退駆動を停止する。本説明では、デフォーカス量DF=0より前ピン側のゾーン幅と、デフォーカス量DF=0より後ピン側のゾーン幅とを合わせて合焦ゾーンと呼ぶ。
【0027】
本発明は、上記合焦ゾーンの設定に特徴を有する。第一の実施の形態では、カメラ本体50にマウントされている交換レンズ80が有するレンズ81の焦点距離に基づいて、CPU51が合焦ゾーンの後ピン側を設定する。一般に、撮影レンズ81の焦点距離が短いほど被写界深度が大きいので、主要被写体とその背景間のデフォーカス量の差は小さくなる。したがって、焦点距離が短いほど後ピン錯覚が生じる可能性が高い。そこで、焦点距離が短い場合には合焦ゾーンの後ピン側ゾーン幅を初期の設定よりも狭く設定する(減少させる)。
【0028】
CPU51で行われる第一の実施の形態による焦点検出演算処理について、図6および図7のフローチャートを参照して説明する。焦点検出演算処理は、たとえば、不図示のレリーズボタンが半押し操作されると起動する。図6のステップS1において、CPU51は、焦点検出モジュール52のイメージセンサーアレイ600から出力信号を取り込んでステップS2へ進む。
【0029】
ステップS2において、CPU51は、焦点検出演算を実行してデフォーカス量DFを算出し、ステップS3へ進む。ステップS3において、CPU51は、合焦ゾーンを設定してステップS4へ進む。合焦ゾーンを設定する処理の詳細については後述する。
【0030】
ステップS4において、CPU51は信頼性判定を行う。CPU51は、信頼性有りを判定するとステップS4を肯定判定してステップS5へ進み、信頼性無しを判定するとステップS4を否定判定してステップS7へ進む。ステップS7へ進む場合は、フォーカスレンズの進退駆動を行わない。
【0031】
ステップS5において、CPU51は、デフォーカス量DFが合焦ゾーン以内であるか否かを判定する。CPU51は、デフォーカス量DFが合焦ゾーン内(すなわち、焦点深度内)にある場合にステップS5を肯定判定してステップS7へ進み、合焦ゾーンから外れている場合にステップS5を否定判定し、ステップS6へ進む。ステップS7へ進む場合は、フォーカスレンズの進退駆動を行わない。
【0032】
ステップS6において、CPU51は、デフォーカス量DFだけフォーカスレンズを移動するようにモータ54の駆動を制御してステップS7へ進む。ステップS7において、CPU51は、終了操作が行われたか否かを判定する。CPU51は、不図示のレリーズボタンの半押し操作が解除されるとステップS7を肯定判定し、図6による処理を終了する。CPU51は、レリーズボタンの半押し操作が解除されない場合は、ステップS7を否定判定してステップS1へ戻り、以上の焦点検出処理を繰り返す。
【0033】
合焦ゾーンを設定する処理の詳細について、図7のフローチャートを参照して説明する。図7のステップS11において、CPU51は、レンズCPU(L_CPU)83から撮影レンズ81の開放絞り値Apを示す情報を入力し、ステップS12へ進む。ここで、開放絞り値Apはアペックス値で示されている。ステップS12において、CPU51は、開放絞り値Apを用いて次式(7)によって合焦ゾーンの前ピン側ゾーン幅FrW[μm]を算出し、ステップS13へ進む。
【数7】
Figure 0004370807
【0034】
図8は、上式(7)で算出される前ピン側ゾーン幅FrWを示す図である。図8において、開放絞り値Apが1〜4の範囲では、開放絞り値Apが小さくなる(すなわち、明るく焦点深度が浅い)ほどFrWが20μmに近づき、開放絞り値Apが大きくなる(すなわち、焦点深度が深い)ほどFrWが25μmに近づく。
【0035】
ステップS13において、CPU51は、レンズCPU(L_CPU)83から撮影レンズ81の焦点距離Fm[mm]を示す情報を入力し、ステップS14へ進む。ステップS14において、CPU51は、焦点距離Fmを用いて次式(8)によって合焦ゾーンの後ピン側ゾーン幅RrW[μm]を算出し、図7による処理を終了する。
【数8】
RrW=αF×FrW (8)
ただし、Fm<20のとき、係数αF=0.25
20≦Fm≦80のとき、 係数αF=Fm×0.25/20
80<Fmのとき、 係数αF=1
図9は、上式(8)で算出される後ピン側ゾーン幅RrWを示す図である。図9において、焦点距離Fmが20〜80の範囲では、焦点距離が短かくなるにつれてRrWがFrW×1/4に近づき、焦点距離が長くなるにつれてRrWがFrWに近づく。
【0036】
以上説明した第一の実施の形態についてまとめる。
(1)CPU51は、交換レンズ80のレンズCPU83から撮影レンズ81の開放絞り値Ap、ならびに撮影レンズ81の焦点距離Fm[mm]を示す情報をそれぞれ入力し(ステップS11、S13)、合焦ゾーンを次のように算出する(ステップS12、S14)。
1.開放F値Apが1より小のとき、前ピン側ゾーン幅FrWを20μmにする。
2.開放F値Apが4より大のとき、前ピン側ゾーン幅FrWを50μmにする。
3.開放F値が1以上〜4以下の範囲では、20μm〜50μmの間で開放F値に応じた値にする。
4.焦点距離Fmが20mmより短いとき、後ピン側ゾーン幅RrWを前ピン側ゾーン幅FrWの1/4にする。
5.焦点距離Fmが80mmより長いとき、後ピン側ゾーン幅RrWを前ピン側ゾーン幅FrWと同一幅にする。
6.焦点距離Fmが20mm以上〜80mm以下の範囲では、前ピン側ゾーン幅FrWの1/4および前ピン側ゾーン幅FrWの間で焦点距離に応じた値にする。
【0037】
(2)CPU51は、焦点検出モジュール52による一対の被写体像に基づいてデフォーカス量DFを求め(ステップS2)、モータ54を駆動制御してフォーカスレンズを合焦位置へ移動させる(ステップS6)。
【0038】
上記(1)、(2)によれば、後ピン錯覚が生じやすい場合、たとえば、焦点距離f=20mm、開放F値2.8(アペックス値Ap=3)の広角レンズを使用する場合に、前ピン側ゾーン幅FrWが40μmに、後ピン側ゾーン幅RrWが10μmに、それぞれ設定される。これにより、デフォーカス量DF=0に対して後ピン側でフォーカスレンズが停止する確率を低くできる上に、フォーカスレンズが後ピン側で停止した場合でもデフォーカス量を10μm以内に小さく抑えられるので、後ピン錯覚の発生を防止することができる。一方、後ピン錯覚が生じにくい場合、たとえば、焦点距離f=85mm、開放F値2.0(アペックス値Ap=2)の望遠レンズを使用する場合には、前ピン側ゾーン幅FrW、および後ピン側ゾーン幅RrWがともに30μmに設定される。ゾーン幅がデフォーカス量DF=0に対して前後対称で広くされるので、素早い合焦動作を行う事ができる。
【0039】
以上の説明では、開放F値Apに応じて前ピン側ゾーン幅FrWを変化させるようにしたが、変化させずに一定値にしてもよい。
【0040】
開放F値Apおよび前ピン側ゾーン幅FrWの関係は、ステップS12において例示した数値どおりでなくてもよく、適宜設定してよい。
【0041】
焦点距離Fmが80mmより長いとき、後ピン側ゾーン幅RrWを前ピン側ゾーン幅FrWと同一幅にしたが、前ピン側ゾーン幅FrWより若干大きくてもよい。
【0042】
焦点距離Fm[mm]および上式(8)の係数αFの関係は、ステップS14において例示した数値どおりでなくてもよく、適宜設定してよい。
【0043】
(第二の実施の形態)
第二の実施の形態は、カメラ本体50にマウントされている交換レンズ80が有するレンズ81の焦点距離および撮影距離(被写体距離)から撮影倍率を算出し、この撮影倍率に基づいて合焦ゾーンの後ピン側を設定するものである。撮影倍率は、たとえば、焦点距離f/(被写体距離I−焦点距離f)で表す。
【0044】
焦点距離が短くても撮影距離が近くて撮影倍率が高ければ、主要被写体と背景間のデフォーカス量の差が大きくなり、後ピン錯覚が生じにくい。また、焦点距離が長いレンズであっても撮影距離が遠くて撮影倍率が低ければ、主要被写体と背景間のデフォーカス量の差が小さくり、後ピン錯覚が生じる可能性が高まる。そこで、撮影倍率が低い場合に合焦ゾーンの後ピン側ゾーン幅を初期の設定よりも狭く設定する。
【0045】
合焦ゾーンを設定する処理の詳細について、図10のフローチャートを参照して説明する。図10による処理は、第一の実施の形態による図7の処理に代えて行う。図10のステップS21において、CPU51は、レンズCPU(L_CPU)83から撮影レンズ81の開放絞り値Apを示す情報を入力し、ステップS22へ進む。ステップS22において、CPU51は、開放絞り値Apを用いて上式(7)によって合焦ゾーンの前ピン側ゾーン幅FrW[μm]を算出し、ステップS23へ進む。ステップS22およびステップS23は、それぞれ図7のステップS11およびステップS12と同一である。
【0046】
ステップS23において、CPU51は、レンズCPU(L_CPU)83から撮影レンズ81の焦点距離Fm、およびその時点でのフォーカスレンズ位置Lp[m]を示す情報をそれぞれ入力し、ステップS24へ進む。レンズ位置Lpは、当該レンズ位置において合焦している撮影距離を表す。ステップS24において、CPU51は、焦点距離Fmおよびレンズ位置Lpを用いて次式(9)によって撮影倍率Vpを算出し、ステップS25へ進む。
【数9】
Vp=Fm/(1000×Lp−2×Fm) (9)
【0047】
ステップS25において、CPU51は、撮影倍率Vpを用いて次式(10)によって合焦ゾーンの後ピン側ゾーン幅RrW[μm]を算出し、図10による処理を終了する。
【数10】
RrW=αV×FrW (10)
ただし、Vp<1/100のとき、 係数αV=0.25
1/100≦Vp≦1/25のとき、係数αV=1.25−1/(Vp×100)
1/25<Vpのとき、 係数αV=1
図11は、上式(10)で算出される後ピン側ゾーン幅RrWを示す図である。図11において、撮影倍率Vpが1/100〜1/25の範囲では、撮影倍率が低くなるにつれてRrWがFrW×1/4に近づき、撮影倍率が高くなるにつれてRrWがFrWに近づく。
【0048】
以上説明した第二の実施の形態についてまとめる。
(1)CPU51は、交換レンズ80のレンズCPU83から撮影レンズ81の開放絞り値Ap、撮影レンズ81の焦点距離Fm[mm]、ならびにレンズ位置Lp[m]を示す情報をそれぞれ入力し(ステップS21、S23)、合焦ゾーンを次のように算出する(ステップS22、S24)。
1.開放F値Apが1より小のとき、前ピン側ゾーン幅FrWを20μmにする。
2.開放F値Apが4より大のとき、前ピン側ゾーン幅FrWを50μmにする。
3.開放F値が1以上〜4以下の範囲では、20μm〜50μmの間で開放F値に応じた値にする。
4.撮影倍率Vpが1/100より小のとき、後ピン側ゾーン幅RrWを前ピン側ゾーン幅FrWの1/4にする。
5.撮影倍率Vpが1/25より大のとき、後ピン側ゾーン幅RrWを前ピン側ゾーン幅FrWと同一幅にする。
6.撮影倍率Vpが1/100〜1/25の範囲では、前ピン側ゾーン幅FrWの1/4および前ピン側ゾーン幅FrWの間で撮影倍率に応じた値にする。
【0049】
(2)CPU51は、焦点検出モジュール52による一対の被写体像に基づいてデフォーカス量DFを求め(ステップS2)、モータ54を駆動制御してフォーカスレンズを合焦位置へ移動させる(ステップS6)。
【0050】
上記(1)、(2)によれば、たとえば、焦点距離f=20mm、開放F値2.8(アペックス値Ap=3)の広角レンズで撮影距離が近距離(0.44m)の場合に、前ピン側ゾーン幅FrW、および後ピン側ゾーン幅RrWがともに40μmに設定される。一般に、近距離撮影では主要被写体と背景間のデフォーカス量差が大きい事が多く、後ピン錯覚が生じにくい。この場合にゾーン幅をデフォーカス量DF=0に対して前後対称で広く設定すると、素早い合焦動作を行う事ができる。一方、たとえば、焦点距離f=85mm、開放F値2.0(アペックス値Ap=2)の望遠レンズで撮影距離が10mの場合は、前ピン側ゾーン幅FrWが30μmに、後ピン側ゾーン幅RrWが7.5μmに、それぞれ設定される。撮影倍率が1/100より低くなる場合は、主要被写体と背景間のデフォーカス量差が小さい可能性が高く、後ピン錯覚が起きやすい。この場合にデフォーカス量DF=0に対して後ピン側でフォーカスレンズが停止する確率を低くし、後ピン側でフォーカスレンズが停止する場合でもデフォーカス量を7.5μm以内に小さく抑えることで、後ピン錯覚を防止することができる。
【0051】
撮影倍率Vpおよび上式(10)の係数αVの関係は、ステップS25において例示した数値どおりでなくてもよく、適宜設定してよい。
【0052】
撮影倍率Vpが1/25より大のとき、後ピン側ゾーン幅RrWを前ピン側ゾーン幅FrWと同一幅にしたが、前ピン側ゾーン幅FrWより若干大きくてもよい。
【0053】
(第三の実施の形態)
第三の実施の形態は、第一の実施の形態および第二の実施の形態に比べて、撮影画面内に複数の焦点検出領域を設け、主要被写体以外の被写体に関するデフォーカス量も用いる点が異なる。本実施の形態では、図12に示すように、撮影画面内に5つの焦点検出領域Fa1〜Fa5を設ける。各焦点検出領域に対応して、図2の光学系と同様の焦点検出光学系がそれぞれ設けられている。各焦点検出領域で得られる一対のデータ列を用いた焦点検出演算をそれぞれ行うことにより、5つの焦点検出領域Fa1〜Fa5に関するデフォーカス量DF[1]〜DF[5]がそれぞれ算出される。
【0054】
一般に、焦点検出領域を複数有する場合は、主として合焦させるべき領域を選択する必要がある。この選択には、撮影者が操作部材を操作して選択する方法や、カメラのCPU51が複数の焦点検出領域に対応するデフォーカス量のうち最至近を示すデフォーカス量に対応する焦点検出領域を選択する方法などがある。ここでは、図6による処理のステップS2において、あらかじめ決められているいずれかの方法で1つの選択デフォーカス量DFs(すなわち、1つの選択焦点検出領域)が決定されることとする。また、選択デフォーカス量DFsは、主要被写体に対するデフォーカス量を表すものとする。
【0055】
第三の実施の形態は、撮影画面内で複数得られるデフォーカス量、すなわち、デフォーカス量の分布に基づいて合焦ゾーンの後ピン側を設定するものである。主要被写体に対応する選択デフォーカス量DFsと、最も遠方の被写体に対応するデフォーカス量との差分が小さい場合は、後ピン錯覚が生じる可能性が高い。また、選択デフォーカス量DFsと、最も遠方の被写体に対応するデフォーカス量との差分が大きい場合には、後ピン錯覚が生じにくい。そこで、上記差分が小さい場合に後ピン側ゾーン幅を初期の設定よりも狭く設定する。
【0056】
合焦ゾーンを設定する処理の詳細について、図13のフローチャートを参照して説明する。図13による処理は、第一の実施の形態による図7の処理に代えて行う。図13のステップS31において、CPU51は、レンズCPU(L_CPU)83から撮影レンズ81の開放絞り値Apを示す情報を入力し、ステップS32へ進む。ステップS32において、CPU51は、開放絞り値Apを用いて上式(7)によって合焦ゾーンの前ピン側ゾーン幅FrW[μm]を算出し、ステップS33へ進む。ステップS31およびステップS32は、それぞれ図7のステップS11およびステップS12と同一である。
【0057】
ステップS33において、CPU51は、ステップS2(図6)で選択されている選択デフォーカス量DFsを入力し、ステップS34へ進む。ステップS34において、CPU51は、ステップS2(図6)で算出されている焦点検出領域Fa1〜Fa5に関するデフォーカス量DF[1]〜DF[5]をそれぞれ入力し、ステップS35へ進む。
【0058】
ステップS35において、CPU51は、デフォーカス量DF[1]〜DF[5]の中で最も遠方を表す最遠方デフォーカス量DFfを検出し、ステップS36へ進む。ステップS36において、CPU51は、選択デフォーカス量DFsと最遠方デフォーカス量DFfとの差=デフォーカス量差DFdを算出し、ステップS37へ進む。
【0059】
ステップS37において、CPU51は、デフォーカス量差DFdを用いて次式(11)によって合焦ゾーンの後ピン側ゾーン幅RrW[μm]を算出し、図13による処理を終了する。
【数11】
RrW=αD×FrW (11)
ただし、DFd<70のとき、係数αD=0.25
70≦DFd≦280のとき、係数αD=DFd×0.25/70
280<DFdのとき、 係数αD=1
【0060】
図14は、上式(11)で算出される後ピン側ゾーン幅RrWを示す図である。図14において、デフォーカス量差DFdが70〜280の範囲では、デフォーカス量差が小さいほどRrWが1/4×FrWに近づき、デフォーカス量差が大きいほどRrWがFrWに近づく。
【0061】
以上説明した第三の実施の形態についてまとめる。
(1)オートフォーカスカメラ50に5つの焦点検出用領域Fa1〜Fa5を備え、CPU51は、焦点検出用領域Fa1〜Fa5のそれぞれに対応してデフォーカス量DF[1]〜DF[5]を算出する。CPU51はさらに、あらかじめ決められた方法で設定されている選択デフォーカス量DFsと、デフォーカス量DF[1]〜DF[5]の中で最遠方を表す最遠方デフォーカス量DFfとの差=デフォーカス量差DFdを算出する(ステップS36)。
【0062】
(2)CPU51は、交換レンズ80のレンズCPU83から撮影レンズ81の開放絞り値Apを示す情報を入力し(ステップS31)、合焦ゾーンを次のように算出する(ステップS32、S37)。
1.開放F値Apが1より小のとき、前ピン側ゾーン幅FrWを20μmにする。
2.開放F値Apが4より大のとき、前ピン側ゾーン幅FrWを50μmにする。
3.開放F値が1以上〜4以下の範囲では、20μm〜50μmの間で開放F値に応じた値にする。
4.デフォーカス量差DFdが70より小さいとき、後ピン側ゾーン幅RrWを前ピン側ゾーン幅FrWの1/4にする。
5.デフォーカス量差DFdが280より大きいとき、後ピン側ゾーン幅RrWを前ピン側ゾーン幅FrWと同一幅にする。
6.デフォーカス量差DFdが70〜280の範囲では、前ピン側ゾーン幅FrWの1/4および前ピン側ゾーン幅FrWの間でデフォーカス量差に応じた値にする。
【0063】
(2)CPU51は、焦点検出モジュール52による一対の被写体像に基づいてデフォーカス量DFを求め(ステップS2)、モータ54を駆動制御してフォーカスレンズを合焦位置へ移動させる(ステップS6)。
【0064】
上記(1)、(2)によれば、主要被写体と背景間のデフォーカス量差が大きい場合に、ゾーン幅をデフォーカス量DF=0に対して前後対称で広く設定するので、素早い合焦動作を行う事ができる。一方、主要被写体と背景間のデフォーカス量差が小さい場合は、デフォーカス量DF=0に対して後ピン側でフォーカスレンズが停止する確率を低くするとともに、後ピン側でフォーカスレンズが停止する場合でも前ピン側に比べてデフォーカス量を小さく抑えることで、後ピン錯覚の発生を抑えることができる。
【0065】
デフォーカス量差DFdおよび上式(11)の係数αDの関係は、ステップS37において例示した数値どおりでなくてもよく、適宜設定してよい。
【0066】
デフォーカス量差DFdが280より大きいとき、後ピン側ゾーン幅RrWを前ピン側ゾーン幅FrWと同一幅にしたが、前ピン側ゾーン幅FrWより若干大きくてもよい。
【0067】
また、選択デフォーカス量DFsは、デフォーカス量DF[1]〜DF[5]の中のいずれか1つでなくてもよく、たとえば、デフォーカス量DF[1]〜DF[5]の中の複数のデフォーカス量の平均値を用いてもよい。
【0068】
(第四の実施の形態)
第四の実施の形態は、撮影画面内で複数得られるコントラスト情報、すなわち、コントラスト分布に基づいて合焦ゾーンの後ピン側を設定するものである。コントラストは、複数の焦点検出領域ごとに得る。コントラストを表す数値としては、上式(3)で得られるコントラスト情報Eを用いる。第三の実施の形態と同様に、撮影画面内に5つの焦点検出領域Fa1〜Fa5を設け、それぞれの焦点検出領域で焦点検出演算を行うことにより、デフォーカス量DF[1]〜DF[5]をそれぞれ算出する。本実施の形態ではさらに、焦点検出領域Fa1〜Fa5に対応するコントラスト情報E[1]〜E[5]をそれぞれ算出する。なお、図6による処理のステップS2において、選択デフォーカス量DFsが決定される。
【0069】
第四の実施の形態では、選択デフォーカス量DFsに対応する(同一の焦点検出領域において算出される)選択コントラスト情報Esと、選択コントラスト情報Esを除いた中で最も高いコントラストを表すコントラスト情報とを比較する。選択コントラスト情報が十分に大きい場合には、後ピン錯覚が生じにくい。また、選択コントラスト情報が十分に大きくない場合には、後ピン錯覚が生じる可能性が高い。そこで、上記選択コントラスト情報が十分大でない場合に後ピン側ゾーン幅を初期の設定よりも狭く設定する。
【0070】
合焦ゾーンを設定する処理の詳細について、図15のフローチャートを参照して説明する。図15による処理は、第一の実施の形態による図7の処理に代えて行う。図15のステップS41において、CPU51は、レンズCPU(L_CPU)83から撮影レンズ81の開放絞り値Apを示す情報を入力し、ステップS42へ進む。ステップS42において、CPU51は、開放絞り値Apを用いて上式(7)によって合焦ゾーンの前ピン側ゾーン幅FrW[μm]を算出し、ステップS43へ進む。ステップS41およびステップS42は、それぞれ図7のステップS11およびステップS12と同一である。
【0071】
ステップS43において、CPU51は、ステップS2(図6)で選択されている選択デフォーカス量DFsに対応する選択コントラスト情報Esを入力し、ステップS44へ進む。ステップS44において、CPU51は、ステップS2(図6)で算出されている焦点検出領域Fa1〜Fa5に対応するコントラスト情報E[1]〜E[5]をそれぞれ入力し、ステップS45へ進む。
【0072】
ステップS45において、CPU51は、コントラスト情報E[1]〜E[5]から選択コントラスト情報Esを除いた値のうち最大値をとる最大コントラスト情報Exを検出し、ステップS46へ進む。ステップS46において、CPU51は、選択コントラスト情報Esと最大コントラスト情報Exとのコントラスト比Er(=Ex/Es)を算出し、ステップS47へ進む。
【0073】
ステップS47において、CPU51は、コントラスト比Erを用いて次式(12)によって合焦ゾーンの後ピン側ゾーン幅RrW[μm]を算出し、図15による処理を終了する。
【数12】
RrW=αC×FrW (12)
ただし、Er<3のとき、係数αC=1
3≦Er≦12のとき、 係数αC=1.25−Er/12
12<Erのとき、 係数αC=0.25
【0074】
図16は、上式(12)で算出される後ピン側ゾーン幅RrWを示す図である。図16において、コントラスト比Erが3〜12の範囲では、コントラスト比が小さいほどRrWがFrWに近づき、コントラスト比が大きいほどRrWが1/4×FrWに近づく。
【0075】
以上説明した第四の実施の形態についてまとめる。
(1)オートフォーカスカメラ50に5つの焦点検出用領域Fa1〜Fa5を備え、CPU51は、焦点検出用領域Fa1〜Fa5のそれぞれに対応してデフォーカス量DF[1]〜DF[5]、ならびにコントラスト情報E[1]〜E[5]を算出する。CPU51はさらに、あらかじめ決められた方法で設定されている選択デフォーカス量DFsと同一の焦点検出領域において算出される選択コントラスト情報Esと、コントラスト情報E[1]〜E[5]から選択コントラスト情報Esを除外した中で最大値をとる最大コントラスト情報Exとの比Erを算出する(ステップS46)。
【0076】
(2)CPU51は、交換レンズ80のレンズCPU83から撮影レンズ81の開放絞り値Apを示す情報を入力し(ステップS41)、合焦ゾーンを次のように算出する(ステップS42、S47)。
1.開放F値Apが1より小のとき、前ピン側ゾーン幅FrWを20μmにする。
2.開放F値Apが4より大のとき、前ピン側ゾーン幅FrWを50μmにする。
3.開放F値が1以上〜4以下の範囲では、20μm〜50μmの間で開放F値に応じた値にする。
4.コントラスト比Erが3より小さいとき、後ピン側ゾーン幅RrWを前ピン側ゾーン幅FrWと同一幅にする。
5.コントラスト比Erが12より大きいとき、後ピン側ゾーン幅RrWを前ピン側ゾーン幅FrWの1/4にする。
6.コントラスト比Erが3〜12の範囲では、前ピン側ゾーン幅FrWおよび前ピン側ゾーン幅FrWの1/4の間でコントラスト比に応じた値にする。
【0077】
これにより、選択デフォーカス量DFsに対応する焦点検出領域に位置する被写体(すなわち、主要被写体)のコントラストが、他の焦点検出領域のコントラストに比べて十分大きい場合に、ゾーン幅をデフォーカス量DF=0に対して前後対称で広く設定するので、素早い合焦動作を行う事ができる。一方、主要被写体のコントラストが他の焦点検出領域のコントラストに比べて十分大きくない場合には、デフォーカス量DF=0に対して後ピン側でフォーカスレンズが停止する確率を低くするとともに、後ピン側でフォーカスレンズが停止する場合でも前ピン側に比べてデフォーカス量を小さく抑えることで、後ピン錯覚の発生を抑えることができる。
【0078】
コントラスト比Erおよび上式(12)の係数αCの関係は、ステップS47において例示した数値どおりでなくてもよく、適宜設定してよい。
【0079】
コントラスト比Erが3より小さいとき、後ピン側ゾーン幅RrWを前ピン側ゾーン幅FrWと同一幅にしたが、前ピン側ゾーン幅FrWより若干大きくてもよい。
【0080】
また、選択デフォーカス量DFsは、デフォーカス量DF[1]〜DF[5]の中のいずれか1つでなくてもよく、たとえば、デフォーカス量DF[1]〜DF[5]の中の複数のデフォーカス量の平均値を用いてもよい。この場合には、選択デフォーカス量DFsの算出に使用した複数のデフォーカス量DF[*](ただし、*は、1〜5の値)と同一の焦点検出領域においてそれぞれ算出される複数のコントラスト情報E[*]の平均値を、選択コントラスト情報Esとして用いる。
【0081】
上述した第一の実施の形態〜第四の実施の形態を組み合わせてもよい。たとえば、第一の実施の形態と第四の実施の形態とを組み合わる場合には、係数αFおよびαCから新たな係数αNを決定する。係数αNの値は、たとえば、次式(13)によって最小を示す値とする。
【数13】
αN=Min(αF、αC) (13)
【0082】
あるいは、次式(14)のように両者の積をとってもよい。ただし、αNが小さすぎると後ピン側に合焦ゾーンが存在しなくなるので、所定の制限値(たとえば、0.25)を設けるのが好ましい。
【数14】
αN=αF×αC (14)
この様に決定した係数αNを用いて、実際の処理に用いる後ピン側ゾーン幅RrWを次式(15)により算出する。
【数15】
RrW=αN×FrW (15)
【0083】
同様の方法により、第一の実施の形態〜第四の実施の形態の中から少なくとも二つを任意に組み合わせることができる。
【0084】
以上の説明では、位相差検出方式のオートフォーカスカメラを例に説明したが、撮像素子からの出力信号を用いたコントラスト検出方式のオートフォーカスカメラでも本発明を適用することができる。この場合には、いわゆる焦点評価値を最大にするフォーカスレンズ位置を真の合焦位置とする。合焦判定するための判定閾値は、上記真の合焦位置に対して前ピン側および後ピン側にそれぞれ設ける。カメラは、後ピン錯覚の発生を防ぐように、後ピン側の判定閾値を真の合焦位置に近づけるように変化させる。
【0085】
オートフォーカスカメラは、電子カメラに限らず銀塩カメラであってもよい。また、一眼レフカメラでも一眼レフでないカメラであってもよい。
【0086】
特許請求の範囲における各構成要素と、発明の実施の形態における各構成要素との対応について説明する。焦点検出手段は、たとえば、焦点検出モジュール52およびCPU51によって構成される。第1偏差は、たとえば、前ピン側ゾーン幅FrWが対応する。第2偏差は、たとえば、後ピン側ゾーン幅RrWが対応する。合焦判定範囲は、たとえば、合焦ゾーンが対応する。合焦判定範囲設定手段、制御手段およびレンズ駆動指示手段は、たとえば、CPU51によって構成される。所定の焦点距離および第2の焦点距離は、たとえば、80mmが対応する。第1の焦点距離は、たとえば、20mmが対応する。所定の偏差は、たとえば、第1偏差の1/4が対応する。
【0087】
所定の倍率および第2の倍率は、たとえば、1/25が対応する。第1の倍率は、たとえば、1/100が対応する。デフォーカス量差の所定の値および第2の値は、たとえば、280μmが対応する。第1の値は、たとえば、70μmが対応する。コントラスト比の所定の値および第1の値は、たとえば、3が対応する。第2の値は、たとえば、12が対応する。なお、本発明の特徴的な機能を損なわない限り、各構成要素は上記構成に限定されるものではない。
【0088】
【発明の効果】
本発明によれば、いわゆる後ピン錯覚の発生を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の実施の形態による焦点検出装置を有する一眼レフオートフォーカスカメラを側面から見た図である。
【図2】焦点検出モジュールの構成を説明する図である。
【図3】 (a)A列の出力信号波形図、(b)B列の出力信号波形図、(c)A列およびB列波形の相関を示す図である。
【図4】A列、B列のデータ列の差分の絶対値を算出する組み合わせ、ならびに差分の絶対値を加算する演算範囲を例示する図である。
【図5】3点内挿演算を説明する図である。
【図6】第一の実施の形態による焦点検出演算処理の流れを説明するフローチャートである。
【図7】第一の実施の形態による合焦ゾーン設定処理の詳細を説明するフローチャートである。
【図8】前ピン側ゾーン幅を示す図である。
【図9】後ピン側ゾーン幅を示す図である。
【図10】第二の実施の形態による合焦ゾーン設定処理の詳細を説明するフローチャートである。
【図11】後ピン側ゾーン幅を示す図である。
【図12】焦点検出領域を説明する図である。
【図13】第三の実施の形態による合焦ゾーン設定処理の詳細を説明するフローチャートである。
【図14】後ピン側ゾーン幅を示す図である。
【図15】第四の実施の形態による合焦ゾーン設定処理の詳細を説明するフローチャートである。
【図16】後ピン側ゾーン幅を示す図である。
【符号の説明】
50…カメラ本体、 51…CPU、
52…焦点検出モジュール、 53…撮像素子、
54…モータ、 80…交換レンズ、
81…撮影レンズ、 83…レンズCPU

Claims (7)

  1. 撮影レンズの撮影画面内の複数の焦点検出領域のそれぞれについてデフォーカス量を検出する焦点検出手段と、
    前記撮影レンズの合焦を判定するための前記撮影レンズによる合焦時のデフォーカス量(基準デフォーカス量)に対して前ピン側に設定された第1偏差と、前記基準デフォーカス量に対して後ピン側に設定された第2偏差とを合焦判定範囲として設定する合焦判定範囲設定手段と、
    前記焦点検出段によって検出された複数の前記デフォーカス量のうち、主要被写体に対するデフォーカス量と、前記主要被写体以外の被写体に対するデフォーカス量のうちの最遠方を示すデフォーカス量との差が所定の値より小さいとき、前記第2偏差を前記第1偏差より小さくするように前記合焦判定範囲設定手段を制御する制御手段とを備えることを特徴とする焦点検出装置。
  2. 請求項1に記載の焦点検出装置において、
    前記合焦判定範囲設定手段は、前記デフォーカス量差が前記所定の値より大きいとき、前記第2偏差を前記第1偏差とほぼ同程度とすることを特徴とする焦点検出装置。
  3. 請求項1または2に記載の焦点検出装置において、
    前記合焦判定範囲設定手段は、
    (1)前記デフォーカス量差が第1の値より小さいとき、前記第2偏差を前記第1偏差より小さい所定の偏差にし、
    (2)前記デフォーカス量差が前記第1の値より大きい第2の値よりさらに大きいとき、前記第2偏差を前記第1偏差とほぼ同程度とし、
    (3)前記デフォーカス量差が前記第1の値から前記第2の値の範囲では、前記第2偏差を前記(1)による値から前記(2)による値の間で前記デフォーカス量差に応じた値にすることを特徴とする焦点検出装置。
  4. 撮影レンズのデフォーカス量を検出する焦点検出手段と、
    前記撮影レンズの合焦を判定するための前記撮影レンズによる合焦時のデフォーカス量に対して前ピン側に設定された第1偏差と、前記合焦時のデフォーカス量に対して後ピン側に設定された第2偏差とを合焦判定範囲として設定する合焦判定範囲設定手段と、
    前記撮影レンズの撮影画面内の主要被写体に対応するコントラスト情報によって前記主要被写体以外の被写体に対応するコントラスト情報のうち最大を示すコントラスト情報を除したコントラスト比が所定の値より大きいとき、前記第2偏差を前記第1偏差より小さくするように前記合焦判定範囲設定手段を制御する制御手段とを備えることを特徴とする焦点検出装置。
  5. 請求項4に記載の焦点検出装置において、
    前記合焦判定範囲設定手段は、前記コントラスト比が前記所定の値より小さいとき、前記第2偏差を前記第1偏差とほぼ同程度とすることを特徴とする焦点検出装置。
  6. 請求項4または5に記載の焦点検出装置において、
    前記合焦判定範囲設定手段は、
    (1)前記コントラスト比が第1の値より小さいとき、前記第2偏差を前記第1偏差とほぼ同程度とし、
    (2)前記コントラスト比が前記第1の値より大きい第2の値よりさらに大きいとき、前記第2偏差を前記第1偏差より小さい所定の偏差にし、
    (3)前記コントラスト比が前記第1の値から前記第2の値の範囲では、前記第2偏差を前記(1)による値から前記(2)による値の間で前記コントラスト比に応じた値にすることを特徴とする焦点検出装置。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の焦点検出装置と、
    前記焦点検出手段により検出されるデフォーカス量が前記合焦判定範囲内に収まるように前記撮影レンズに対するレンズ駆動を指示するレンズ駆動指示手段とを有することを特徴とするオートフォーカスカメラ。
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