JP4370269B2 - 有機ハロゲン化合物放電分解装置 - Google Patents
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そして、放電管4内にガス供給装置15からアルゴンガス(易放電ガス)を導入し(あるいは、バルブ21を介して排気ポンプ20にて放電管4内を減圧排気した後)、放電管4の内管12中の着火電極13に対し、高電圧パルス電源14から数kVの高電圧を印加し、スパーク放電により電子を供給した後、キャビティ3によって形成されたマイクロ波電界で放電を起こし、熱プラズマを形成する。そして、反応管2内で有機ハロゲン性ガスを熱プラズマにより分解する。
(1)放電管内で熱プラズマを生成して有機ハロゲン化合物を分解する際に、熱プラズマの下流側に、分解副次生成物として水素化ハロゲンガス(HF)等の腐蝕性ガスが生成するので、熱プラズマ発生部の下流側の放電管が腐蝕損傷することがある。
(2)万が一、放電管が腐蝕損傷してガスが漏れた場合、キャビティ(空洞共振器)だけでなく大気側にも放電管内を流れるガスが流出してしまうため、放電管の周囲を損傷するだけでなく、他の電界強度が強い部分(例えばキャビティの下流側端板近傍)においても異常放電が発生する恐れがある。
(3)放電管内で生成した熱プラズマに向けて放電管の上流側から供給する初期ガスに反応ガスを大量に混合すると、熱プラズマ通過時に反応ガスが過分解してしまい、熱プラズマ通過後にCO、NOx等の有害ガスが大量発生してしまう。
また、プラズマ生成後の下流側に位置する放電管下端から反応ガスを別途混合すると、放電管上流側に逆流して熱プラズマ側に反応ガスが過剰に供給される場合がある。これにより、反応ガスの過分解が発生して放電管の腐食が生じる場合がある。
(4)上記特許文献1では、放電管はその上部のみで固定されているが、放電管下部については固定されておらず、放電管の固定が不充分となる構造となっている。特に大流量のガスを放電管内に流した場合、放電管が振動し、キャビティの下流側端板と放電管との間隔が変動し、この部分で電界強度が高くなり、局所放電が発生し、装置を損傷してしまう場合があった。
また、絶縁ガイドを空洞共振器の下流側端板に設けることとしたので、他の位置に下流固定手段を設ける場合に比べて、コンパクトな構成で下流固定手段を実現することができる。
「絶縁ガイド」としては、アルミナとシリカとからなる繊維状のセラミックスペーパが挙げられる。
また、放電管下流端近傍は熱プラズマが形成される領域なので高温となっており、この高温領域に反応ガス吹き込み手段によって反応ガスを吹き込むこととしたので、高温領域の温度管理が可能となり、高温領域で生成されるCOやNOx等の有害ガスを減少させることができる。
「反応ガス」とは、有機ハロゲン化合物の分解反応に用いられるガスを意味し、例えば、有機ハロゲン化合物、酸素、空気、窒素、水蒸気などが挙げられる。
[第1参考例]
以下、本発明の第1参考例について、図1及び図2を用いて説明する。なお、図9を用いて説明した従来の有機ハロゲン化合物放電分解装置と同様の構成については同一符号を付し、場合によってはその説明を省略する。
図1には、本参考例にかかる有機ハロゲン化合物放電分解装置の全体が示された概略図が示されている。
図1において、水平方向に延びる方形導波管5の始端部には、周波数2.45GHzのマイクロ波を発振するマグネトロンを備えたマイクロ波電源6が設けられている。このマイクロ波電源6から発振されたマイクロ波は、方形導波管5によって、始端側から終端側に向けて伝送される。
キャビティは、マイクロ波の空洞共振器として用いられるものである。このキャビティ25の下端板25aには、その中央部に貫通孔25bが形成されており、この貫通孔25bを貫くように放電管4が配置されている。
放電管4の外管4bの外周とキャビティ下端板25aの貫通孔25bとの間には、微小な隙間が形成されており、この隙間を通ってガスが不可避的に拡散してしまう。したがって、放電管4の外管4bの下端(下流端)から流出したガスが拡散して、上記隙間を通り、キャビティ3の環状空洞部にガスが到達してしまうことがある。
排ガス処理タンク1は、有機ハロゲン化合物を分解した際に生成されて吹込管8から吹き出される酸性ガス(フッ化水素および塩化水素)を中和して無害化するために設けられたものであり、水に水酸化カルシウムを加えたアルカリ液9が収容されている。
つまり、放電管4内を流れるガスの平均流速をv(m/s)とした場合、L1が0以上4.7×10−3・v(m)以下となるように、放電管の下流端の位置が設定されている。
ここで、但し、v=(被処理ガスの単位時間当りの供給量(m3/s))/(放電管4のガスが流れる流路断面積(m2))である。
被処理ガスである有機ハロゲン性ガスや水蒸気を供給する前に、まず、系内に残留する水分の除去を目的として加熱されたエアを所定の時間供給することにより、分解装置の操業を開始する。
そして、アルゴンガス供給中に、マイクロ波電源6を動作させてマイクロ波を発振して着火電極13による着火を行う。これにより、熱プラズマ27が初期生成される。
所定時間経過後、有機ハロゲン性ガスの分解運転を行う。
分解後の酸性ガスは、アルカリ液9へと導かれ、ここで中和される。炭酸ガス等を含む残りのガスは排気処理装置10を経由し大気放出される。
これは、有機ハロゲン化合物は、数1000℃以上の熱プラズマ中にて有機物原子(分子)とハロゲン原子分子に分解された後、温度がある程度低下した領域で水素化ハロゲンガス(HF)などが生成されるので、高温プラズマ領域が維持される範囲で放電管4の下流端を短くすることにより、放電管の存在領域に腐蝕性ガスが存在しないようにできる。これにより、放電管4の腐蝕損傷が抑制することが可能となる。
つまり、我々は、放電管の腐蝕損傷の抑制効果が期待できるキャビティ下端板25aと放電管下流端までの距離L1(m)について、放電管内を流れる被処理ガスの平均供給流速v(m/s)に対して、0以上4.7×10−3・v(m)以下の関係が成り立つ範囲が適正であること実験的に見出した。
放電管4として外径φ15mm×内径φ10mmの石英管を用い、着火時にArガス(20〜40SLM)を流入してプラズマ着火させた後、N2/CF4/エア=20〜40SLM/0.2〜0.4SLM/1〜10SLMの条件にて水蒸気を適量混合し、マイクロ波電力3kWにてCF4ガス分解処理を1時間実施した。
ここで、放電管の終端位置を、キャビティ下端板25aから下側に30mmの位置(L1=5.9×10-3v〜1.2×10-2v相当)に設定した場合では、放電管4の下流端内面にHF腐蝕による白濁痕が発生し、石英管が減肉し解け落ちる事象が確認されたが、放電管4の下流端位置を、キャビティ下端板25aから下側に5mmの位置(L1=5.9×10-4v〜1.2×10-3v相当)に設定した結果、放電管4に多少の白濁は認められるものの石英管の減肉は認められず、安定した分解処理を行うことができた。
次に、本発明の有機ハロゲン化合物放電分解装置およびその方法にかかる第2参考例について図3を用いて説明する。なお、第1参考例と同様の構成については同一符号を付し、その説明を省略する。
本参考例では、放電管4の下流端近傍に向けて反応ガスを吹き込む反応ガス吹き込み手段23を備えている。反応ガス吹き込み手段23には、バルブ22が設けられており、図示しないコントローラの指示によって、反応ガスが供給されるようになっている。
反応ガスには、有機ハロゲン化合物の分解反応に用いられるガスが用いられ、例えば、有機ハロゲン化合物、酸素、空気、窒素、水蒸気などが挙げられる。
また、熱プラズマが形成されて高温となった高温領域に反応ガス吹き込み手段23によって反応ガスを吹き込むこととしたので、高温領域の温度管理が可能となり、高温領域で生成されるCOやNOx等の有害ガスを減少させることができる。
また、反応ガス吹き込み手段は、放電管4の外周から反応気体を旋回流として混合するように構成されている。これにより、反応ガスの混合を促進し均一な反応を行う事が出来る。
放電管4として外径φ15mm×内径φ10mmの石英管を用い、着火時にArガス(20〜40SLM)を流入してプラズマ着火させた後、N2/CF4/エア=20〜40SLM/0.2〜0.4SLM/1〜10SLMの条件にて水蒸気を適量混合し、マイクロ波電力3kWにてCF4ガス分解処理を実施した。
ここで、キャビティ下端板から下側に2.5mmの位置(L2=2.9×10-4v〜5.9×10-4v相当)から、放電管4側に向かってφ3mmの噴出孔×2箇所から空気を2SLM噴出させた結果、CF4ガスの分解性能は約90%に維持したまま、処理後ガス中のCO濃度を70ppmから10ppmに低減させることができた。
次に、本発明の有機ハロゲン化合物放電分解装置およびその方法にかかる第3参考例について図4を用いて説明する。なお、第1参考例と同様の構成については同一符号を付し、その説明を省略する。
本参考例では、放電管4とキャビティ3との間に、放電管4を囲繞するようにマイクロ波透過材料で形成されたマイクロ波透過管24が設けられている。
マイクロ波透過管24は、マイクロ波電界を通すので、放電管4にマイクロ波電力を注入、放電させることができる。
「マイクロ波透過材料」としては、例えば、ガラス、窒化ケイ素、アルミナ、その他のセラミックス等が挙げられる。
そして、マイクロ波透過管24と放電管4との間に、酸素、空気、窒素、水蒸気等の反応ガス(ガス)を流すガス供給手段7が設けられている。
また、マイクロ波透過管24の下流端は、図5に示すように、放電管4の下流端と同等の位置とするのが好ましく、具体的には、マイクロ波透過管24の下流端とキャビティ上端板25aとの距離L3を、0以上4.7×10−3・v(m)としている。
また、マイクロ波透過管24と放電管4との間に反応ガスを流すこととしたので、熱プラズマが形成されて高温となった放電管4の高温領域を冷却することができる。これにより、安定した通電運転が可能となるとともに、COやNOx等の有害ガスの発生を抑えることができる。
放電管として外径φ15mm×内径φ10mmの石英管を用い、着火時にArガス(20〜40SLM)を流入してプラズマ着火させた後、N2/CF4/エア=20〜40SLM/0.2〜0.4SLM/1〜10SLMの条件にて水蒸気を適量混合し、マイクロ波電力3kWにてCF4ガス分解処理を1時間実施した。
ここで、放電管4の終端位置を、キャビティ下端板25aから下方に10mmの位置(L1=1.2×10-3v〜2.4×10-3v相当)に、マイクロ波透過管24の下流端をキャビティ下端板25aの下方8mmの位置(L3=9.4×10-4v〜1.9×10-3v相当)に設定し、かつ、放電管4とマイクロ波透過管24との間から空気を2SLM噴出させた結果、CF4ガスの分解性能を約90%に維持したまま、処理後ガス中のCO濃度を10ppmにて安定した分解処理を行うことができた。
次に、本発明の有機ハロゲン化合物放電分解装置およびその方法にかかる第4参考例について図6を用いて説明する。なお、第2参考例と同様の構成については同一符号を付し、その説明を省略する。
このように、放電管4の下流端直後に拡大流路30を設けることによって、拡大流路30におけるガス流速が小さくなるので、拡大流路30における動圧が放電管4内における動圧よりも小さくなり、結果として、拡大流路30の全圧が放電管4内の全圧よりも小さくなる。これにより、拡大流路30の下流側からガス供給装置11によって吹き込まれた反応ガスや熱プラズマ通過後の未反応の反応ガスが、放電管4内に逆流してしまうことを抑制できる。したがって、放電管4内の熱プラズマ領域に過剰に反応ガスが供給されることがないので、放電管4内で腐食性ガスが生成されることが防止され、放電管4の腐食損傷を抑えることができる。
(実施例4)
放電管4として外径φ15mm×内径φ10mmの石英管を用い、着火時にArガス(20〜40SLM)を流入してプラズマ着火させた後、N2/CF4/エア=20〜40SLM/0.2〜0.4SLM/1〜10SLMの条件にて水蒸気を適量混合し、マイクロ波電力3kWにてCF4ガス分解処理を1時間実施した。
ここで、放電管4の下流端を、キャビティ下端板25aから下に5mmの位置(L1=5.9×10-4v〜1.2×10-3v相当)に設定し、かつキャビティ下端板25aから下に2.5mmの位置(L2=2.9×10-4v〜5.9×10-4v相当)から、放電管4側に向かってφ3mmの噴出孔×2箇所から空気を2SLM噴出させると共に、放電管4の出口下部に、φ30mm×長さ10mmの拡大流路30を設けた。その結果、CF4ガスの分解性能を約90%に維持したまま、放電管4に白濁したHF腐蝕痕は認められず、かつ処理後ガス中のCO濃度を10ppmにて安定した分解処理を行うことができた。
次に、本発明の有機ハロゲン化合物放電分解装置にかかる第1実施形態について図7を用いて説明する。なお、第1参考例と同様の構成については同一符号を付し、その説明を省略する。
本実施形態では、図示されていないが、放電管の上流側は上流固定手段によって装置本体に対して固定されている。
また、放電管4の下流側は、キャビティ下端板25aに形成された貫通孔の内周側に設置されるとともに絶縁材料で形成された絶縁ガイド(下流固定手段)26によって、装置本体側に固定されている。
絶縁ガイド26は、アルミナとシリカとからなる繊維状のセラミックスペーパとされている。
また、キャビティ下端板25aに絶縁ガイド26を設けて放電管4の下流側を固定することとしたので、放電管4とキャビティ上端板25aとの距離が常に一定に保たれることになる。これにより、キャビティ下端板25aに電界強度の局所集中が防止されるので、この部分における異常放電が防止され、ひいては放電管4の損傷が防止される。
また、絶縁ガイド26をキャビティ下端板25aに設けて一体としたので、他の位置で放電管4の下流側を固定する場合に比べて、コンパクトな構成で実現することができる。
放電管4として外径φ15mm×内径φ10mmの石英管を用い、着火時にArガス(20〜40SLM)を流入してプラズマ着火させた後、マイクロ波電力3〜5kWにてN2/CF4/エア=40〜80SLM/0.2〜0.8SLM/1〜10SLMの条件にて水蒸気を適量混合し、CF4ガス分解処理を1時間実施した。
ここで、放電管4の下流端位置を、キャビティ下端板25aから下に5mmの位置に設定し、かつキャビティ下端板25aと、その下部に同じ直径を有して設けられSUS金属フランジの間に、外径φ20mm×内径φ15mmのリング状のセラミックスペーパを挟みこむ形で配置した。
その結果、N2流量を40→80SLM増加させても安定した放電発生、分解処理を行う事が出来た。
これにより、コンパクトな構成で反応ガスを放電管下流端近傍に吹き込むことができる。
3 キャビティ
3c アンテナ
4 放電管
6 マイクロ波電源
25a キャビティ下端板
Claims (2)
- 有機ハロゲン化合物を含むガスが流されるとともに、内部でマイクロ波による熱プラズマが形成される放電管と、
該放電管を囲繞するように配置され、前記放電管の電界分布を決定する空洞共振器と、を備え、
熱プラズマ中で前記放電管内を流れる有機ハロゲン化合物を分解する有機ハロゲン化合物放電分解装置において、
前記放電管の上流側を固定する上流固定手段と、
前記放電管の下流側を固定する下流固定手段と、
が設けられ、
前記空洞共振器の下流端部を規定する下流側端板には、前記放電管を挿通するための貫通孔が形成され、
前記下流固定手段は、前記空洞共振器の前記下流側端板に形成された前記貫通孔の内周側に設置されるとともに絶縁材料で形成された絶縁ガイドとされ、
該絶縁ガイドは、アルミナとシリカとからなる繊維状のセラミックスペーパとされていることを特徴とする有機ハロゲン化合物放電分解装置。 - 前記放電管の下流端近傍に向けて反応ガスを吹き込む反応ガス吹き込み手段を備え、
該反応ガス吹き込み手段は、前記空洞共振器の前記下流側端板側に接続されていることを特徴とする請求項1記載の有機ハロゲン化合物放電分解装置。
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