JP3615938B2 - プラズマ生成装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、マイクロ波領域の電磁波を利用したプラズマ生成装置に関するものである。更に詳述すると、本発明は、大気圧雰囲気で用いられるプラズマトーチとして微量分析等に使用される原子化源、半導体装置の生成のためのCVD( Chemical Vapor Deposition)装置、エッチング装置、スパッタリング装置、新規材料合成装置、有害ガス等の分解処理装置(有機ハロゲン化合物分解装置)等に用いられる、マイクロ波領域の電磁波を利用したプラズマ生成装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
マイクロ波領域の電磁波を利用した大気圧雰囲気で用いられるプラズマトーチは、周波数13.56MHz 付近の高周波放電とともに、これまで、主として微量分析等に使用される原子化源、半導体装置の生成のためのCVD( Chemical Vapor Deposition) 装置、エッチング装置、スパッタリング装置に多く使われている。
【0003】
これら高周波のなかでも電源が安価で操作性が優れていることから工業周波数2.45GHz のマイクロ波の利用が装置化されつつあるが、新規材料合成装置、有害ガス等の分解処理装置等についてはキャビティー(空胴共振器)の設計が困難なためあまり用いられていない。
【0004】
従来のマイクロ波を利用した大気圧雰囲気で用いられるプラズマ生成装置では、プラズマ等の生成に関して、Spect. Chem. Acta, Vol.37B, p583 (1982) 等で、主に元素分析に使用されるキャビティーが論じられている。
【0005】
ここで、マイクロ波放電プラズマ生成を用いた従来のプラズマトーチを図6及び図7を参照して説明する。
【0006】
図6に示すプラズマトーチにおいては、キャビティー(空胴共振器)01は約10mmの円筒形で側面には同軸コネクター02が取り付けられ、この同軸コネクター02の内導体の先端にはワイヤがループアンテナ03となるようキャビティー01の端板に固定されている。マイクロ波04は、同軸ケーブル(図示省略)により伝送されてきて、同軸コネクター02を介してキャビティー01に入力される。キャビティー01の中心軸上には放電管05が設置され、この放電管05には、放電用ガス06及び冷却ガス07が供給される。また、キャビティー01にはチューナ08が備えられている。この従来のプラズマトーチでは、マイクロ波入力パワーを約200Wにしたときに、トーチ状の大気圧プラズマ09が得られる。
【0007】
図7に示すプラズマトーチにおいては、キャビティー(空胴共振器)010に、矩形導波管011を介してマイクロ波012が導入される。キャビティー010には、矩形導波管011に接続された、円形リッジ013が備えられている。この円形リッジ013は、ドアノブ型の同軸導波管変換器の同軸部分を極端に短くしたものであり、結果的にはリッジ導波管のように導波管高さが小さくされており、矩形導波管011内で形成される定在波に対して電界を強化する効果を奏する。そして、円形リッジ013の中心部に放電管014が設けられている。この放電管014には、放電用ガス015及び冷却ガス016が供給される。なお、017は電界ベクトルである。このプラズマトーチでは、マイクロ波入力パワーを約1kWにしたときに、トーチ状の大気圧プラズマ018が得られる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、図6に示す従来技術では、キャビティー01は、TM010 モードを形成するものであるが、本来このモードは円筒内で軸対象の電界を発生させるはずであるが、内部に設置されたループアンテナ03のためアンテナ部がひずんだ電界分布となる。従って、放電管05の内部のプラズマがうまく中心軸上に維持できないという問題がある。なお、TM010 モードとは、Transverse Magnetic Modeであり、キャビティー内部に電界の定在波の節や腹が無いモードであり、電界の方向は、円筒形キャビティーの軸と同一である。
【0009】
また、図6に示す従来技術では、分解反応等に富んだ反応性プラズマが内部に発生するとプラズマとしての負荷が大きく変動する。このとき、キャビティー軸方向及び径方向に取り付けたチューナ08でインピーダンスを調整するが、これらチューナ08の挿入によって電界分布をさらに大きくひずませるため、チューナ08自体でのエネルギー損失(発熱)が大きくなり、長時間の連続した放電を安定に維持できない等の問題がある。
【0010】
更に、同軸ケーブルを用いるループアンテナ03によるエネルギー入力では、大電力を投入できないため、分解や材料合成等の処理速度を上げられないという設備上の問題がある。
【0011】
図7に示す従来技術では、同軸ケーブルを使用せず矩形導波管011を使用しているため、比較的大きな電力を放電管014内のプラズマ018に投入できるが、矩形導波管011の基本モードであるTE10モードの定在波を、マグネトロン(マイクロ波発生源)側とキャビティー側の両終端板間で形成させるため、放電管014側に電界を集中するように導波管高さ(電界方向)を極端に狭くする必要がある。このため、マイクロ波投入電力が高い場合や負荷の急激な変動が生じた場合には、電界ベクトル017にひずみが生じ、導波管011内で放電が起こる可能性がある。
【0012】
更に、このようなかなり通常から外れた条件での整合状態では、高調波等の発生により、マグネトロン(マイクロ波発生源)が影響を受け、電源が誤動作し、マグネトロンの暴走に直結しやすいという欠点がある。また、マイクロ波電力約500W以下では、上記理由により、電界強度が安定せず、放電が着火しにくいという欠点がある。
【0013】
本発明に関する大気圧でのプラズマ生成に関しては、特開平2−131116号公報に示されているように、アルゴンガスを用いて周波数1〜40MHz の高周波放電及び周波数1〜3GHz のマイクロ波放電が誘導加熱方式として使われているが、有機ハロゲン化合物のような分解性に富んだ分子性ガスを添加した系で、かつ、大気圧条件で長時間安定に、かつ均一なプラズマを生成することは現状では困難である。
【0014】
本発明は、上記実状に鑑みなされたもので、フロン、トリクロロメタン等の揮発性有機ハロゲン化合物を高効率で分解することができるプラズマ生成装置を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する本発明の構成は、
マイクロ波を伝送すると共に開口が形成されている矩形導波管と、
前記開口を介して連通状態で前記矩形導波管に結合しており、しかも中心軸が前記矩形導波管内の電界方向に一致するように配置されている円筒形空胴共振器と、
前記円筒形空胴共振器の中心軸に対して同軸となると共に前記開口を通る状態で配置されて、前記矩形導波管及び前記円筒形空胴共振器を貫通している誘電体製の放電管と、
前記矩形導波管の底部に連結されており、前記放電管を囲繞しつつ前記開口を通って前記円筒形空胴共振器の内部にまで延在しており、前記円筒形空胴共振器の内部にまで延在している円筒部分がプローブアンテナとなっている金属導体と、
前記円筒形空胴共振器の端板に備えられて前記放電管を囲繞しつつ軸方向にスライド移動ができる環状金属導体と、を有することを特徴とする。
【0018】
また本発明の構成は、マイクロ波を伝送すると共に開口が形成されている矩形導波管と、
前記開口を介して連通状態で前記矩形導波管に結合しており、しかも中心軸が前記矩形導波管内の電界方向に一致するように配置されている円筒形空胴共振器と、
前記円筒形空胴共振器の中心軸に対して同軸となると共に前記開口を通る状態で配置されて、前記矩形導波管及び前記円筒形空胴共振器を貫通している誘電体製の放電管と、
前記矩形導波管の底部に連結されており、前記放電管を囲繞しつつ前記開口を通って前記円筒形空胴共振器の内部にまで延在している金属導体と、
前記円筒形空胴共振器の端板のうち前記放電管が貫通している部分に備えられて前記放電管を囲繞するテーパ管と、を有することを特徴とする。
【0019】
また本発明の構成は、前記円筒形空胴共振器の内部の電界としてTM010 モードを形成させることを特徴とする。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態にかかるプラズマ生成装置を説明する。なお、以下に説明するプラズマ生成装置は、有機ハロゲン化合物を含んだガスにマイクロ波を照射することによって熱プラズマを生成し、この熱プラズマを利用して有機ハロゲン化合物を分解させる有機ハロゲン化合物分解用のプラズマ生成装置である。
【0021】
〔第1の実施の形態〕
先ず初めに本発明の第1の実施の形態に係る有機ハロゲン化合物分解用のプラズマ生成装置を、図1及び図2を参照しつつ説明する。両図に示すように、矩形導波管1の始端部(左端部)には周波数2.45GHzのマイクロ波を発振するマイクロ波発振器2が備えられており、矩形導波管1の終端部(右端部)近傍には開口1aが形成されている。この矩形導波管1は、始端部側から終端部側に向けて、マイクロ波を伝送する。
【0022】
円筒形空胴共振器3は、前記開口1aを介して矩形導波管1に連通する状態で結合している。しかも、円筒形空胴共振器3の中心軸が矩形導波管1内の電界方向に一致するように配置している。そして、円筒形空胴共振器3の上面が、開口1a(つまり、矩形導波管1と円筒形空胴共振器3との結合部)の絞り3aとなっている。
【0023】
誘電体製の放電管4は、円筒形空胴共振器3の中心軸に対して同軸となると共に開口1aを通る状態で配置されて、矩形導波管1及び円筒形空胴共振器3を貫通している。この放電管4の先端部(下端部)は、円筒形空胴共振器3の端板3bを貫通して反応器5に連通している。この放電管4の基端部(上端部)には、ガス供給管6を介して、フロンガス7や空気8や水蒸気発生器9からの水蒸気が供給される。
【0024】
金属導体10は、矩形導波管1の底部1bに連結されており、放電管4を囲繞しつつ開口1aを通って円筒形空胴共振器3の内部にまで延在されている。この金属導体10のうち、円筒形空胴共振器3内にまで延在されている円筒部分が、プローブアンテナ10aとなっている。
【0025】
一方、反応器5の下端は、容器11内のアルカリ水溶液12中に浸漬しており、容器11の上部には排気ダクト13が連結されている。
【0026】
かかる構成となっている有機ハロゲン化合物分解用のプラズマ生成装置では、マイクロ波発振器2で発生したマイクロ波は、矩形導波管1により伝送され、このマイクロ波は、金属導体10及びプローブアンテナ10aを介して、円筒形空胴共振器3に伝送される。このとき、円筒形空胴共振器3内の電界としては、電界強度の大きなTM010 モードが形成される。しかも、金属導体10及びプローブアンテナ10aにより、矩形導波管1内の電界モードと、円筒形空胴共振器3内の電界モードとがカップリングされているため、円筒形空胴共振器3内の電界は安定する。なお、図2において、14は、TM010 モードの電界が形成されているときの電界ベクトルを示す。
【0027】
このとき、放電管4内に、有機ハロゲン化合物を含んだガスを供給し、このガスにマイクロ波を照射すると、放電管4内には、電子エネルギーが高く、温度が2000〜6000Kの熱プラズマ15が発生する。このため、有機ハロゲン化合物を含んだガスは、容易に、塩素原子,フッ素原子,水素原子に解離し易い状態になり分解する。
【0028】
この場合、有機ハロゲン化合物の解離に大量のエネルギー吸収等が発生し、負荷変動が大きい状態になるが、電界強度が大きいTM010 モードの電界を形成すると共に、矩形導波管1内の電界モードと、円筒形空胴共振器3内の電界モードとをカップリングさせているため、負荷変動に耐えて安定して、有機ハロゲン化合物の分解ができる。
【0029】
〔第1実施例〕
ここで、図1及び図2に示すプラズマ生成装置により有機ハロゲン化合物を分解したときの、第1実施例を説明する。
【0030】
この第1実施例はフロンR12を分解する例であり、熱プラズマ15を生成する円筒形空胴共振器3を内径90mm,長さ35mmとし、プローブアンテナ10aと円筒形空胴共振器3の端板3bとのギャップ長さを15mmとし、外径12mm,内径11mmの石英製の放電管4を、金属導体10及びプローブアンテナ10aの内部に貫通させて円筒形空胴共振器3内に取り付けた。
【0031】
円筒形空胴共振器3の内部の放電管4にはフロンガス(R12)7を大気圧、流量10リットル/minで供給した。そして2.45GHz のマイクロ波が、マイクロ波発振器2から矩型導波管1に取り付けた金属導体10及びプローブアンテナ10aを経て、円筒形空胴共振器3内に導かれ、円筒形空胴共振器3内に形成されたTM010 モードの軸方向電界により放電を発生させた。
【0032】
放電は大気圧でも従来の方法と比較して、十分安定しており、解析的に求められた電界ベクトル14は円筒形空胴共振器3の中心で高電界を維持していることがわかった。フロンガス7は放電した熱プラズマ15により反応器5内で分解された後、アルカリ水溶液12(水酸化カルシウム)中を通過し、除害処理され、炭酸ガス等を含む残りのガスは排気ダクト13から排出した。
【0033】
フロンの分解率は反応器5内のガスを一部採取し、プラズマ有無のフロン濃度のガスクロ分析から算出した。フロン供給量1kg/hでマイクロ波パワーをパラメータとした場合の分解率測定の実験結果を表1に示す。
【0034】
また、この試験において、空気8を混入したフロン134aについても同様の試験を行った。結果を表1に示す。この表から、フロン134aについても同様の分解が可能であることが確認された。
【0035】
一方、添加ガスとしてアルゴンや空気等が混入しても、マイクロ波パワーを調節すれば、ほぼ同程度の分解率が得られることも実験的に確認した。
【0036】
【表1】
Figure 0003615938
【0037】
上記第1実施例において、対象となる有機ハロゲン化合物の分解反応機構は、次のようになっている。
代表的な例としてエアコン等の冷媒に使用されているフロンR12(CCl)については、
CCl+2HO → 2HCl+2HF+CO
と考えられ、生成物の除害には次の反応を用いることができる。
2HCl+2HF+2Ca(OH) → CaCl+CaF+4H
また、塩素を含まない代替フロンとして知られ、分解が比較的困難とされていたフロン134a(CFCHF)についても本発明は有効である。反応例を次に示す。
CFCHF+2HO → 4HF+CO+C
Cは酸素等の存在下ではCOに転化する。
【0038】
〔第2の実施の形態〕
次に本発明の第2の実施の形態に係る有機ハロゲン化合物分解用のプラズマ生成装置を、要部断面図である図3を参照して説明する。
【0039】
第2の実施の形態に係る有機ハロゲン化合物分解用のプラズマ生成装置では、有機ハロゲン化合物に水蒸気を添加したガスの添加量を変化させても放電を安定化できるよう、電界強度調整用のチューナとなるスライド式プローブアンテナ20を設けたものである。
【0040】
更に説明すると、図3に示すように、金属導体10は、矩形導波管1の底部1bに連結されており、放電管4の上部を囲繞して矩形導波管1の内部に存在しているが、円筒形空胴共振器3の内部にまでは延在されていない。この金属導体10と放電管4との間には、円筒状のスライド式プローブアンテナ20が介在されて軸方向にスライド自在に備えられている。このスライド式プローブアンテナ20は、金属導体10に摺接して金属導体10からのマイクロ波を伝送するものであり、開口1aを通って円筒形空胴共振器3の内部にまで延在している。このスライド式プローブアンテナ20をスライドさせることにより、円筒形空胴共振器3内でのスライド式プローブアンテナ20の長さを調整することにより、放電管4の内部で発生する熱プラズマ15等の負荷変動に対して電界強度を調整することができる。
【0041】
このため、従来のマイクロ波トーチのように、プラズマ条件の変化に伴う負荷変動に対して使用電力範囲が大きくとれるため、これまで、分解が十分できなかった有機ハロゲン化合物についても分解が十分にできる。
【0042】
〔第2実施例〕
ここで、図3に示すプラズマ生成装置により有機ハロゲン化合物を分解したときの、第2実施例を説明する。
【0043】
図3に示すプラズマ生成装置では、有機ハロゲン化合物と水蒸気の混合ガスにマイクロ波を照射することによって生成する熱プラズマ15中で、フロン(R12)を分解させる。図3に示すプラズマ生成装置では、矩型導波管1の底面1bから円筒形空胴共振器3内に引き込んだ金属導体の長さすなわちスライド式プローブアンテナ20の長さを調節することによって、放電管4内部で発生するプラズマ等の負荷変動に対して電界強度を調整した。
【0044】
プローブアンテナ長に対するフロン分解率は第1実施例と同様にして求めた。フロン供給量1kg/h及び水蒸気供給量1kg/hでマイクロ波パワーをパラメータとした場合の分解率測定の実験結果を表2に示す。この試験において、添加ガスとしてアルゴンや空気等が混入しても、マイクロ波パワーを調節すれば、ほぼ同程度の分解率が得られることがわかった。
【0045】
【表2】
Figure 0003615938
【0046】
〔第3の実施の形態〕
次に本発明の第3の実施の形態に係る有機ハロゲン化合物分解用のプラズマ生成装置を、要部断面図である図4を参照して説明する。
【0047】
第3の実施の形態に係る有機ハロゲン化合物分解用のプラズマ生成装置では、円筒形空胴共振器3の中心軸上での電界強度を強化するように工夫したものである。つまり、図4に示すように、円筒形空胴共振器3の端板3bには、放電管4を囲繞する状態で環状金属導体21を備えている。この環状金属導体21を軸方向に沿いスライド移動することができるようにしている。このスライド移動により、電界強度の強化量を調整することができる。
【0048】
〔第3実施例〕
ここで、図4に示すプラズマ生成装置により有機ハロゲン化合物を分解したときの、第3実施例を説明する。
【0049】
図4に示すプラズマ生成装置では、有機ハロゲン化合物を含んだガスにマイクロ波を照射することによって生成する熱プラズマ15中でフロン(R12)を分解する。このプラズマ生成装置では、円筒型空胴共振器3の端板3bに放電管4を取り囲むように取り付けた環状金属導体21により、円筒形空胴共振器3の中心軸上の電界強度を強化することができる。
【0050】
フロン分解率は第1実施例と同様にして求めた。フロン供給量1kg/h及び噴霧する水供給量1kg/hで金属環の挿入長をパラメータとした場合の分解率測定の実験結果を表3に示す。この試験において、添加ガスとしてアルゴンや空気等が混入しても、マイクロ波パワーを調節すれば、ほぼ同程度の分解率が得られることがわかった。
【0051】
【表3】
Figure 0003615938
【0052】
〔第4の実施の形態〕
次に本発明の第4の実施の形態に係る有機ハロゲン化合物分解用のプラズマ生成装置を、要部断面図である図5を参照して説明する。
【0053】
第4の実施の形態に係る有機ハロゲン化合物分解用のプラズマ生成装置では、円筒形空胴共振器3内部での電界強度を強化すると共に、熱プラズマ15が放電管4に接触するのを防止するように工夫したものである。つまり、図5に示すように、円筒形空胴共振器3の端板3bのうち、放電管4が貫通している部分には、端板3b側から円筒形空胴共振器3の内部に向かって絞りこまれつつ、放電管4を囲繞しているテーパ管22が取り付けられている。
【0054】
〔第4実施例〕
ここで、図5に示すプラズマ生成装置により有機ハロゲン化合物を分解したときの、第4実施例を説明する。
【0055】
第4実施例において、フロン分解率は第1実施例と同様にして求めた。フロン供給量0.1kg/h及び噴霧する水酸化カルシウムを溶解させたアルカリ水供給量1kg/hでテーパ管有無での分解率測定の実験結果を表4に示す。この試験において、添加ガスとしてアルゴンや空気等が混入しても、マイクロ波パワーを調節すれば、ほぼ同程度の分解率が得られることがわかった。
【0056】
本実施例ではアルカリ水の供給方法として壁面を流す方法を記載したが、反応器5内のプラズマを取り囲むように直接アルカリ水噴霧してもよい。
【0057】
【表4】
Figure 0003615938
【0058】
【発明の効果】
以上実施の形態及び実施例と共に具体的に説明したように、本発明では、マイクロ波を伝送すると共に開口が形成されている矩形導波管と、
前記開口を介して連通状態で前記矩形導波管に結合しており、しかも中心軸が前記矩形導波管内の電界方向に一致するように配置されている円筒形空胴共振器と、
前記円筒形空胴共振器の中心軸に対して同軸となると共に前記開口を通る状態で配置されて、前記矩形導波管及び前記円筒形空胴共振器を貫通している誘電体製の放電管と、
前記矩形導波管の底部に連結されており、前記放電管を囲繞しつつ前記開口を通って前記円筒形空胴共振器の内部にまで延在しており、前記円筒形空胴共振器の内部にまで延在して円筒部分がプローブアンテナとなっている金属導体と、
前記円筒形空胴共振器の端板に備えられて前記放電管を囲繞しつつ軸方向にスライド移動ができる環状金属導体と、を有する構成とした。
【0059】
かかる構成としたため、長時間の連続した放電を安定に維持できる。また、同軸ケーブルを用いないため、大電力を投入でき、分解や材料合成等の処理速度を上げられる。更に、導波管高さ等を特殊な構造にしないため、マイクロ波投入電力が高い場合や負荷の急激な変動に容易に対応できる。また更に、負荷に応じたキャビティー(円筒形空洞共振器)の調整ができるので試料に応じて放電が容易に着火できる。
【0060】
さらに、本発明によれば、これまで分解しにくかった廃棄物中あるいは排気ガス中のフロンやトリクロロメタン等の有機ハロゲン化合物を高い分解率(99.99%以上)で無害化処理できる。本発明で用いるキャビティー(円筒形空洞共振器)は、大きなマイクロ波電力を効率よく有機ハロゲン化合物を含んだガスを集中的に供給し、効率良く安定にプラズマ化できる。さらに、電磁波として整合等の制御性に優れることや量産化電源が使用可能の点から、装置の小型化や低コスト化が図れる。
【0064】
かかる構成としたため、円筒形空胴共振器の中心軸上の電界強度を強化することができる。
【0065】
また本発明では、マイクロ波を伝送すると共に開口が形成されている矩形導波管と、
前記開口を介して連通状態で前記矩形導波管に結合しており、しかも中心軸が前記矩形導波管内の電界方向に一致するように配置されている円筒形空胴共振器と、
前記円筒形空胴共振器の中心軸に対して同軸となると共に前記開口を通る状態で配置されて、前記矩形導波管及び前記円筒形空胴共振器を貫通している誘電体製の放電管と、
前記矩形導波管の底部に連結されており、前記放電管を囲繞しつつ前記開口を通って前記円筒形空胴共振器の内部にまで延在している金属導体と、
前記円筒形空胴共振器の端板のうち前記放電管が貫通している部分に備えられて前記放電管を囲繞するテーパ管と、を有する構成とした。
【0066】
かかる構成としたため、円筒形空胴共振器内部の電界を強化することができると共に、円筒形空胴共振器から放出されるプラズマが放電管に接触することを防止することができる。
【0067】
また本発明では、前記円筒形空胴共振器の内部の電界としてTM010 モードを形成させる構成とした。
【0068】
かかる構成としたため、電界強度を大きくすることができ、負荷変動が大きくても、安定してプラズマを形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る有機ハロゲン化合物分解用のプラズマ生成装置を示す構成図。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る有機ハロゲン化合物分解用のプラズマ生成装置の要部を示す断面図。
【図3】本発明の第2の実施の形態に係る有機ハロゲン化合物分解用のプラズマ生成装置の要部を示す断面図。
【図4】本発明の第3の実施の形態に係る有機ハロゲン化合物分解用のプラズマ生成装置の要部を示す断面図。
【図5】本発明の第4の実施の形態に係る有機ハロゲン化合物分解用のプラズマ生成装置の要部を示す断面図。
【図6】従来のプラズマトーチを示す構成図。
【図7】従来のプラズマトーチを示す構成図。
【符号の説明】
1 矩形導波管
1a 開口
1b 底部
2 マイクロ波発振器
3 円筒形空胴共振器
3a 絞り
3b 端板
4 放電管
5 反応器
6 ガス供給管
7 フロンガス
8 空気
9 水蒸気発生器
10 金属導体
10a プローブアンテナ
11 容器
12 アルカリ水溶液
13 排気ダクト
14 電界ベクトル
15 熱プラズマ
20 スライド式プローブアンテナ
21 環状金属導体
22 テーパ管

Claims (3)

  1. マイクロ波を伝送すると共に開口が形成されている矩形導波管と、
    前記開口を介して連通状態で前記矩形導波管に結合しており、しかも中心軸が前記矩形導波管内の電界方向に一致するように配置されている円筒形空胴共振器と、
    前記円筒形空胴共振器の中心軸に対して同軸となると共に前記開口を通る状態で配置されて、前記矩形導波管及び前記円筒形空胴共振器を貫通している誘電体製の放電管と、
    前記矩形導波管の底部に連結されており、前記放電管を囲繞しつつ前記開口を通って前記円筒形空胴共振器の内部にまで延在しており、前記円筒形空胴共振器の内部にまで延在している円筒部分がプローブアンテナとなっている金属導体と、
    前記円筒形空胴共振器の端板に備えられて前記放電管を囲繞しつつ軸方向にスライド移動ができる環状金属導体と、を有することを特徴とするプラズマ生成装置。
  2. マイクロ波を伝送すると共に開口が形成されている矩形導波管と、
    前記開口を介して連通状態で前記矩形導波管に結合しており、しかも中心軸が前記矩形導波管内の電界方向に一致するように配置されている円筒形空胴共振器と、
    前記円筒形空胴共振器の中心軸に対して同軸となると共に前記開口を通る状態で配置されて、前記矩形導波管及び前記円筒形空胴共振器を貫通している誘電体製の放電管と、
    前記矩形導波管の底部に連結されており、前記放電管を囲繞しつつ前記開口を通って前記円筒形空胴共振器の内部にまで延在している金属導体と、
    前記円筒形空胴共振器の端板のうち前記放電管が貫通している部分に備えられて前記放電管を囲繞するテーパ管と、を有することを特徴とするプラズマ生成装置。
  3. 請求項1または請求項2において、前記円筒形空胴共振器の内部の電界としてTM010 モードを形成させることを特徴とするプラズマ生成装置。
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