JP3622965B1 - 有機ハロゲン化合物放電分解装置およびその方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 有機ハロゲン化合物を含むガスが流されるとともに、内部でマイクロ波による熱プラズマが形成される放電管4と、放電管4の下流側に配置され、有機ハロゲン化合物の分解反応が行われる反応容器25と、放電管4を囲繞するように配置され、放電管4の電界分布を決定するキャビティ3とを備え、有機ハロゲン化合物を熱プラズマによって分解する有機ハロゲン化合物放電分解装置において、反応容器25の内面には、耐蝕性材料26が設けられていることを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
また、放電管4の材料としては、石英ガラスのほかに、マイクロ波の透過性や分解ガスに対する耐蝕性を考慮して、炭化珪素、窒化珪素、六方晶窒化ボロン、窒化アルミニウム、酸化マグネシウム、又はアルミナを母材としたものが知られている(特許文献1参照)。
反応管2には、水供給装置23からバルブ22を介して供給される水を噴射する噴霧ノズル21が設けられている。
また、排ガス処理タンク1には、オーバーフローしたアルカリ液9を排出するための排出口24が設けられている。
そして、放電管4内にガス供給装置15からアルゴンガスを導入し、放電管4の内管4a中の着火電極13に対し、高電圧パルス電源14から数kVの高電圧を印加し、スパーク放電により電子を供給した後、キャビティ3によって形成されたマイクロ波電界で放電を起こし、熱プラズマ27を形成する。そして、熱プラズマ27を通過した後の有機ハロゲン性ガスを反応容器25内で分解する。
(1)放電管内で熱プラズマを生成して有機ハロゲン化合物を分解する際に、熱プラズマの下流側に、分解副次生成物として水素化ハロゲンガス(HF)等の腐蝕性ガスが生成する。この腐蝕性ガスが熱プラズマ発生部の下流側の放電管やその下流側に配置される反応管を腐蝕損傷させることがある。
また、特許文献1のように放電管として耐蝕性材料を採用しても、その下流側の反応管が腐蝕損傷してしまうことがある。
さらに、特許文献1に記載された耐蝕性材料は、従来から広く流通している石英管に比べると、熱膨張率が大きいので(例えば、石英:5×10-7/Kに対して、窒化ボロン:2×10-6/K、窒化アルミニウム:5×10-6/K、炭化ケイ素:4×10-6/K、アルミナ:8×10-6/K)、加熱時に破損する可能性が高く、また光学的に透過性が低く、プラズマからの輻射による加熱の影響を受け易いという欠点があった。
(2)また、放電管や反応管が腐蝕損傷した場合、腐蝕損傷した部分のみの交換ができず、放電管や反応管の全体を交換することとなり、コストの増大を招いていた。
すなわち、本発明にかかる有機ハロゲン化合物放電分解装置は、有機ハロゲン化合物を含むガスが流されるとともに、内部でマイクロ波による熱プラズマが形成される放電管と、該放電管の下流側に配置され、前記有機ハロゲン化合物の分解反応が行われる反応管と、前記放電管を囲繞するように配置され、前記放電管の電界分布を決定する空洞共振器と、を備え、前記有機ハロゲン化合物を熱プラズマによって分解する有機ハロゲン化合物放電分解装置において、前記反応管の内面には、耐蝕性材料が設けられ、前記放電管の下流端は、前記空洞共振器の下流端部を規定する下流側端板の下流側であって、前記放電管内を流れるガスの平均流速をv(m/s)とした場合、前記下流側端板から0以上4.7×10 −3 ・v(m)以下の位置に設定されていることを特徴とする。
耐蝕性材料としては、アルミナ、シリカ、窒化珪素、窒化アルミニウム、窒化ボロン、炭化珪素、酸化カルシウムから選ばれる1種類以上を主成分とするセラミックス、または、ハステロイ、インコネル、インコロイ、ニモニック、ユーディメット、ハインズ等の超合金、またはSUS316、SUS317、SUS347から選ばれるステンレス鋼を採用することができる。
なお、着脱部材の内面だけでなく着脱部材全体を耐蝕性材料で構成することとしても良い。
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態について、図1及び図2を用いて説明する。なお、図7を用いて説明した従来の有機ハロゲン化合物放電分解装置と同様の構成については同一符号を付し、場合によってはその説明を省略する。
図1には、本実施形態にかかる有機ハロゲン化合物放電分解装置の全体が示された概略図が示されている。
図1において、水平方向に延びる方形導波管5の始端部には、周波数2.45GHzのマイクロ波を発振するマグネトロンを備えたマイクロ波電源6が設けられている。このマイクロ波電源6から発振されたマイクロ波は、方形導波管5によって、始端側から終端側に向けて伝送される。
また、排ガス処理タンク1には、オーバーフローしたアルカリ液9を排出するための排出口24が設けられている。
被処理ガスである有機ハロゲン性ガスや水蒸気を供給する前に、まず、系内に残留する水分の除去を目的として加熱されたエアを所定の時間供給することにより、分解装置の操業を開始する。
そして、アルゴンガス供給中に、マイクロ波電源6を動作させてマイクロ波を発振して着火電極13による着火を行う。これにより、熱プラズマ27が初期生成される。
この際に、反応容器25を流れるガスの温度(より具体的には反応容器25出口部におけるガス温度)が600℃以上1100℃以下となるように運転する。この温度制御は、ガス流量と放電電力を調整することによって実現される。また、反応容器25の長さを変更して温度調節することとしても良い。
次に、本発明の有機ハロゲン化合物放電分解装置およびその方法にかかる第2実施形態について図3を用いて説明する。なお、第1実施形態と同様の構成については同一符号を付し、その説明を省略する。
つまり、放電管4内を流れるガスの平均流速をv(m/s)とした場合、L1が0以上4.7×10−3・v(m)以下となるように、放電管4の下流端の位置が設定されている。
ここで、v=(被処理ガスの単位時間当りの供給量(m3/s))/(放電管4のガスが流れる流路断面積(m2))である。
つまり、有機ハロゲン化合物は、数千℃以上の熱プラズマ中にて有機物原子(分子)とハロゲン原子分子に分解された後、温度がある程度低下した領域で水素化ハロゲンガス(HF)などが生成されるので、高温プラズマ領域が維持される範囲で放電管4の下流端を短くすることにより、放電管の存在領域に腐蝕性ガスが存在しないようにしたものである。これにより、放電管4の腐蝕損傷が抑制することが可能となる。
このように、本発明者らは、放電管の腐蝕損傷の抑制効果が期待できるキャビティ下端板3dと放電管下流端までの距離L1(m)について、放電管内を流れる被処理ガスの平均供給流速v(m/s)に対して、0以上4.7×10−3・v(m)以下の関係が成り立つ範囲が適正であること実験的に見出した(後述の実施例参照)。
次に、本発明の有機ハロゲン化合物放電分解装置およびその方法にかかる第3実施形態について図4を用いて説明する。なお、第1実施形態と同様の構成については同一符号を付し、その説明を省略する。
本実施形態では、反応容器25に着脱管(着脱部材)28が設けられている。この着脱管28は、管形状とされており、反応容器25の上端(上流側)から反応容器25に差し込むことによって装着されるようになっている。
着脱管28の形状としては、図7に示されているように、反応容器25の上端に対して嵌合する顎部が上部に設けられたスリーブ形状(図7(a)参照)、反応容器25の延在方向にわたって設けられた短管(図7(b)参照)、上端が反応容器25の外方(上方)に突出する延長部が設けられた延長管(図7(c)参照)といった形状を採用することができる。
着脱管28は、分解副次生成物として発生する水素化ハロゲンガス(HF)等の腐蝕性ガスに対する耐蝕性を有する耐蝕性材料で構成されており、耐蝕性材料としては、アルミナ、シリカ、窒化珪素、窒化アルミニウム、窒化ボロン、炭化珪素、酸化カルシウムから選ばれる1種類以上を主成分とするセラミックス、または、ハステロイ、インコネル、インコロイ、ニモニック、ユーディメット、ハインズ等の超合金、またはSUS316、SUS317、SUS347から選ばれるステンレス鋼が用いられる。
また、着脱管28の形状を管形状とすることとしたので、反応容器25の上方から挿入するだけで装着が可能となり、着脱作業が簡便となる。
反応容器25の内面に配置する耐蝕性材料26として、Al2O363%、SiO231%、バインダからなるセラミックス系キャスタブルを採用した。
このセラミックス系キャスタブルは、以下のように製造される。
ミキサー内に原料混合粉体(旭硝子セラミックス製CLC-A649−RE)を導入した後、適量の水を添加し、3〜4分間混練する。
混練後、排出口よりミキサー内の混練物を取り出す。
反応管25として用いられるSUS304製の円筒管内に、その外周面によってキャスタブルの内周面を規定する軸棒を配置する。これら円筒管と軸棒間に混練物を流し込む。
この状態で、24時間以上放置養生する。
25〜50℃/hの温度上昇率で約400℃まで昇温し、混練物を乾燥させる。
その後、円筒管内の軸棒を除去する。これにより、円筒管内にセラミックス系キャスタブルが配置される。
ここで、放電管の終端位置を、マイクロ波キャビティの終端から下端側に5mm(L1=5.9×10-4v〜1.2×10-3v相当)の位置に設定し、アルミナキャスタブルを有する反応容器の位置を、放電管の終端から下端側に10mmの位置に設定した。
その結果、連続20時間放電分解した際に、石英放電管にHF腐蝕による白濁損傷はなく、またアルミナキャスタブルを有する反応容器にも損傷無い状態にて、CF4分解率90〜95%で安定した分解運転を行う事が出来た。
表1に結果を示す。
放電管4として外径φ15mm×内径φ10mmの石英管を、セラミックス系キャスタブル層を有する反応容器25として、外径φ100mm×内径φ90mmのSUS管の内面に肉厚30mmを有する実施例1で用いたアルミナキャスタブルを配置した円筒管を用い、着火時にArガス(20〜40SLM)を流入してプラズマ着火させた後、N2/CF4/エア=20〜40SLM/0.2〜0.4SLM/1〜10SLMの条件にて水蒸気を適量混合し、マイクロ波電力3kWにてCF4ガス分解処理を実施した。CF4ガス分解評価は、処理後の排出ガスを同時にサンプリングし、ガス中のCF4濃度をFT−IR(赤外吸光分光法)を用いて分解率を求めた。
ここで、放電管4の終端位置を、マイクロ波キャビティの終端から下端側に5mm(L1=5.9×10-4v〜1.2×10-3v相当)の位置に設定し、セラミックス系キャスタブル層を有する反応容器25の位置を、放電管4の終端から下端側に10mmの位置に設定した。
さらに、反応容器25内部に、外径φ28mm×内径φ18mm×長さ150mmのハステロイからなる着脱管28を挿入設置した。
その結果、連続20時間放電分解した際に、石英製の放電管にHF腐蝕による白濁損傷はなく、またアルミナキャスタブルを有する反応容器25及び着脱管28にも損傷無い状態にて、CF4分解率90〜95%で安定した分解運転を行う事が出来た。
なお、着脱管28の材料として窒化珪素を用いた場合にも同様に、損傷がみられなかった。
3 キャビティ(空洞共振器)
3d キャビティ下端板
4 放電管
25 反応容器
26 耐蝕性材料
Claims (4)
- 有機ハロゲン化合物を含むガスが流されるとともに、内部でマイクロ波による熱プラズマが形成される放電管と、
該放電管の下流側に配置され、前記有機ハロゲン化合物の分解反応が行われる反応管と、
前記放電管を囲繞するように配置され、前記放電管の電界分布を決定する空洞共振器と、を備え、
有機ハロゲン化合物を熱プラズマによって分解する有機ハロゲン化合物放電分解装置において、
前記反応管の内面には、耐蝕性材料が設けられ、
前記放電管の下流端は、前記空洞共振器の下流端部を規定する下流側端板の下流側であって、前記放電管内を流れるガスの平均流速をv(m/s)とした場合、前記下流側端板から0以上4.7×10 −3 ・v(m)以下の位置に設定されていることを特徴とする有機ハロゲン化合物放電分解装置。 - 有機ハロゲン化合物を含むガスが流されるとともに、内部でマイクロ波による熱プラズマが形成される放電管と、
該放電管の下流側に配置され、前記有機ハロゲン化合物の分解反応が行われる反応管と、
前記放電管を囲繞するように配置され、前記放電管の電界分布を決定する空洞共振器と、を備え、
有機ハロゲン化合物を熱プラズマによって分解する有機ハロゲン化合物放電分解装置において、
前記反応管の内面には、耐蝕性材料が設けられ、
前記耐蝕性材料は、前記反応管に対して着脱可能とされた着脱部材の内面に設けられていることを特徴とする有機ハロゲン化合物放電分解装置。 - 前記着脱部材は、管形状とされていることを特徴とする請求項2に記載の有機ハロゲン化合物放電分解装置。
- 前記耐蝕性材料は、アルミナ、シリカ、窒化珪素、窒化アルミニウム、窒化ボロン、炭化珪素、酸化カルシウムから選ばれる1種類以上を主成分とするセラミックス、
ハステロイ、インコネル、インコロイ、ニモニック、ユーディメット、ハインズ等の超合金、または、
SUS316、SUS317、SUS347から選ばれるステンレス鋼とされていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の有機ハロゲン化合物放電分解装置。
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