JP4370033B2 - フィン修正加工機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はフィン修正加工機に関し、タービンの円形状の翼環内周面に取付けられ回転する動翼先端との間をシールするフィン先端部を修正加工したり、あるいは新しいフィンに取替えを行い先端部を調整加工する場合に使用され、人手に保持して簡単にフィンの加工ができるようにしたものである。
【0002】
【従来の技術】
図5は蒸気タービンの一般的な翼環と静翼の一部を示す斜視図である。図において、30は静翼であり、円周方向に複数枚が配列し、内側シュラウド31と外側シュラウド32との間に取付けられ、外側シュラウド32は翼環33に組み込まれ、固定されている。円周方向Rに取付けられた静翼33は軸方向には回転する動翼(図示省略)と交互に配列しており、動翼先端が通過する翼環33の周方向壁面35にはシールフィンが取付けられている。シールフィン34a,34b,34cは軸方向Xには複数列(図では3列)平行に翼環33壁面の溝に埋め込まれ、円周方向全周に配設されており、その先端は回転する動翼先端部と近接し、ガスパスを通過する高温の蒸気が動翼先端から洩れるのを防止している。
【0003】
図6はシールフィン取付部の断面図であり、翼環33の壁面35には周方向全周に溝36が加工されており、L字状の基部を形成したシールフィン34a(34aを代表して図示)が挿入され、溝36内へはコーキングピース37が注入されてシールフィン34aを溝36内へ固定している。シールフィンの寸法の一例を示すと、壁面35から突出する部分の高さは、約5〜6mm、フィンの厚さが1.0〜0.8mmの薄い形状のものが翼環39の全周囲に配設されている。
【0004】
上記構成のシールフィンは、ロータに取付けられた動翼が回転し、動翼先端が近接し、一定のクリアランスを確保して回転しなければならないので、その先端部は真円度を保って配置されることが要求される。工場で組立時には、ターニングテーブル等にカッタを取付けて加工すれば良いが、現地での調整や、点検時において新しいフィンに取替えを行う際には、手作業による加工となり、長時間を要し、かつ、一定の寸法に先端を加工し、かつ、真円度を保持するには熟練を要し、困難な作業であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
前述のように、従来の蒸気タービンのシールフィンの補修作業は、現地での手作業に依存しなければならず、困難な作業を実施しており、シールフィンの先端部の真円度を保つためには何らかの対策が望まれていた。
【0006】
そこで本発明は、シールフィンの補修を行う際に簡単な構造で作業員が手に持って作業することができ、かつ、カッタの位置合わせを行うのみで、シールフィンに沿って円周方向に移動させながらフィンの修正加工を高精度で、かつ、短時間に行うことのできるフィン修正加工機を提供することを課題としてなされたものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は前述の課題を解決するために、次の(1)、(2)の手段を提供する。
【0008】
(1)タービン翼環の内周壁面に、回転する動翼先端と対向し同動翼先端に近接して取付けられたシールフィン先端部を修正加工する加工機であって、後端に手で把持する部分及び空気供給チューブを有する外筒と、同外筒内に摺動可能に挿通され先端部が前記外筒から突出し、前記空気供給チューブから供給され回転刃の周囲に噴出する空気流により回転する回転刃を回転可能に支持する内筒と、前記外筒の先端部に取付けられ前記回転刃周囲を覆うと共に先端側に同回転刃の切削位置までシールフィンが挿入される溝を有する回転刃ケースと、前記内筒内へ供給される空気を開閉するスイッチとを具備し、前記回転刃及び回転刃ケースの中心軸は前記外筒の軸心と直交する方向とし前記回転刃の回転面を前記外筒から所定の距離離すと共に、前記回転刃ケースの溝は前後両側に設けられ、前記内筒は手で把持する部分において回転式ダイヤルに螺合し、前記外筒内で前後に移動可能とし先端の回転刃の位置調整を可能としてなることを特徴とするフィン修正加工機。
【0011】
(2)前記外筒は移動可能な回転ローラ付きの台車に取付けられ、同台車はシールフィン間を跨いで配置され、同シールフィンに沿って周方向に移動させ前記回転刃によりシールフィンを修正加工することを特徴とする(1)に記載のフィン修正加工機。
【0012】
本発明の(1)においては、作業員は手で把持する部分を持ってシールフィンを回転刃ケースの溝内に挿入し、内筒を前後することにより先端の回転刃を前後させ、加工すべきシールフィンとの間の位置合わせを行う。位置調整が完了するとスイッチを開いて空気を内筒に流入させると、空気は先端の回転刃の周囲に噴出して回転刃に当たり、回転刃を空気流により回転させてシールフィン先端部が修正加工される。同時に作業員はシールフィンに沿って加工機を所定の速さで移動させ、翼環の全周囲を加工する。このような加工機により、シールフィンが所定の寸法で周方向に均一な加工ができ、真円度を正確に保つことができるので現地でのシールフィンの修正加工作業が大幅に合理化される。
【0013】
また、回転刃ケースは、外筒より所定距離ずらせ、回転刃の回転面が外筒より外側に配設されているので、加工用の溝も前後両方に設けることができ、後方の溝にシールフィンが挿入できる場合には、後方の溝内へシールフィンを挿入して加工することもできる。又、回転刃ケースの外筒への取付けも簡単な構造で実現できる。
【0014】
そして、内筒の移動は回転式ダイヤルを回転することにより、内筒を容易に前後に移動、位置調整することが可能となる。例えば、回転式ダイヤルに目盛を付しておき、目盛に比例して回転させるようにすれば、内筒を前後に微調整が容易になされ、回転刃のシールフィン先端に対する位置調整が簡単な機構で実現できる。
【0015】
本発明の(2)では、加工機の外筒を移動可能な台車に固定し、作業員は台車をシールフィンを跨いで翼環に当接し、回転刃とシールフィンとの間の位置調整を上記(1)のように行った後、空気流により回転刃を回転させ、台車をシールフィンに沿って周方向に移動させるだけで、シールフィンの修正加工が容易にでき、台車により位置がセットされているので正確な寸法でシールフィンの修正加工ができ、(1)の発明よりも一層精度良く加工ができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面に基づいて具体的に説明する。図1は本発明の実施の第1形態に係る修正加工機の全体を示し、(a)は側面図、(b)は(a)におけるA−A矢視図である。(a)において、1は加工機全体であり、2は外筒、3は外筒2に接続する把持部で作業員が手で把持する部分である。4は回転式ダイヤルであり、後述するように回転刃の位置調整を行うものである。5は空気供給チューブで駆動用の空気を内筒へ供給するチューブである。6はプラグであり、図示してない空気源へ接続される。7は位置決めガイドであり、外筒2に設けられている。8はピンであり、後述する内筒に螺合し、内,外筒を固定するものである。9は溝であり外筒2に設けられ、空気開閉スイッチ10が挿入されており、内筒内へ流れる空気を開閉するものである。
【0017】
11は内筒であり、外筒2内へ摺動自在に挿通され、回転式ダイヤル4に連結し、回転式ダイヤル4を回転することにより前後に移動可能な構成である。回転式ダイヤル4は1回転で0.5mmの移動を可能なように内筒11に螺合されている。12は支持部であり一端は外筒2にネジ等で固定され、他端は回転刃ケース13に固定され、回転刃ケース13を外筒2に支持している。回転刃ケース13は(b)に示すように円筒形状で、後述するように周辺の前後には加工用溝14が設けられ、又、内部には内筒11に支持された回転刃15が回転する構成である。
【0018】
図2は図1(a)におけるB−B断面図であり、回転刃と回転刃ケースを示している。図において、回転刃ケース13には両側に加工用溝14が形成されており、この溝14内にシールフィン先端部17が挿入される。中心には内筒11に回転可能に取付けられた軸16を有する回転刃15が回転自在配置されており、回転することにより刃15aによりシールフィン先端部17を加工する。
【0019】
図3は回転刃ケース13を示し、(a)は上面図、(b)はその側面図である。両図において、回転刃ケース13には支持部12が設けられ、外筒2へ取付けられる構造であり、回転刃ケース13の中心部には内筒11の先端が挿入され、内筒11の中心部には軸挿入部18が内壁面に固定され、軸挿入部18には回転刃15の軸16が回転可能に挿入されて支持され、回転刃15が回転する構成である。回転刃ケース13の前後両端には加工用溝14が形成され、シールフィンの先端部が挿入される。加工用溝14はシールフィンが挿入しやすいように開口部が拡大したテーパが設けられている。又、回転刃ケース13は支持部12により外筒2よりもやや外側の位置となるように離れて取付けられ、両側の加工用溝14でシールフィンを加工可能としている。
【0020】
上記構成の実施の第1形態において、シールフィンを加工する場合には、空気開閉スイッチ10を閉にして、プラグ6を空気源に接続し、作業員が加工機の把持部3を把持し、回転刃ケース13の加工溝14へシールフィン先端部17を図1(b)に示すように挿入してセットする。次に、回転式ダイヤル4を左右に回転して内筒11を外筒2内から出入させ回転刃15の前後の位置を調整する。回転刃ケース13は、支持部12により外筒2に固定されているので、回転刃15は回転刃ケース13内で前後の位置を調整し、シールフィンの加工すべき長さを調整することができる。
【0021】
回転刃15の位置調整が終わると、ピン8を廻して外筒2と内側11との位置を固定し、空気開閉スイッチ10を開き、空気を内筒11内に流す。空気は空気供給チューブ5より内筒11内を流れ、内筒11先端の周囲より回転刃15の周囲に噴出し、4枚の刃を空気流により回転させ、4枚の刃15aでシールフィン先端部17を高速回転して加工する。同時に、作業員は把持部3を把持して所定の速度でフィンに沿って加工機を翼環周方向に移動させると、回転刃ケース13と回転刃15とにより設定された加工溝14の所定の深さにガイドされて、シールフィン先端部17は所定の寸法で円周方向に順次加工される。通常、蒸気タービンの翼環の内径は約2m前後あり、フィン全周を加工するのに約15分程度で加工ができ、しかも正確な寸法で真円度が確保される。
【0022】
図4は本発明の実施の第2形態に係るフィン修正加工機を示し、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は(a)におけるC−C矢視図である。これら図において、20は台車であり、22,23は台車20に取付けられたローラで台車20の両側にそれぞれ2個所、軸23により回転自在に取付けられている。台車20は門型をしており、複数のシールフィン34(図では3列のシールフィンで構成されている)を跨ぐ構造で4個のローラ21,22で走行可能としている。
【0023】
台車20には外筒25が固定されており、外筒25の下部には内筒24が接続されている。内筒24及び外筒25は図1に示した内筒11、外筒2と同じ構造で、下端には回転刃ケース13が支持されている。内筒24は外筒25内に挿通され、図1と同様の構造で上,下方向に微調整可能とし回転刃ケース13との位置を調整し、シールフィン先端の加工範囲を調整できるようにしている。外筒25は図1の外筒2と同じように把持部3、回転式ダイヤル4、スイッチ10が取付けられ、その構造、作用は図1のものと同じである。
【0024】
上記の構成において、台車20のローラ21,22を、把持部3を把持するか、又は台車20を手で支持してシールフィン33を跨いで翼環側に押し当てる。回転式ダイヤル4を廻して回転刃を上下動して位置調整を行い、その後、スイッチ10を操作して空気を内筒24へ導き、回転刃を回転させてシールフィン34を加工する。同時に台車20を翼環の円周方向に所定の速度で人手により移動し、シールフィン33を加工してゆく。従って、図1に示す実施の第1形態と同様に、シールフィンの加工が一定の寸法で加工され、真円度が正確に確保される。
【0025】
以上説明の実施の第1形態では、図1に示すように把持部3を把持して先端の回転刃ケース13の溝14にシールフィンを挿入して、シールフィンに沿わせて加工機を移動させ、回転刃15を回転させてシールフィン先端部を加工し、実施の第2形態ではローラ付きの台車20に外筒25、内筒24、回転刃ケース13からなる加工機を支持し、台車20をシールフィンに沿って移動させて加工するようにしたので、シールフィンの修正、加工が一定の寸法で、正確かつ、高速度に加工することができ、真円度を正確に確保することができる。
【0026】
【発明の効果】
本発明のフィン修正加工機は、(1)タービン翼環の内周壁面に、回転する動翼先端と対向し同動翼先端に近接して取付けられたシールフィン先端部を修正加工する加工機であって、後端に手で把持する部分及び空気供給チューブを有する外筒と、同外筒内に摺動可能に挿通され先端部が前記外筒から突出し、前記空気供給チューブから供給され回転刃の周囲に噴出する空気流により回転する回転刃を回転可能に支持する内筒と、前記外筒の先端部に取付けられ前記回転刃周囲を覆うと共に先端側に同回転刃の切削位置までシールフィンが挿入される溝を有する回転刃ケースと、前記内筒内へ供給される空気を開閉するスイッチとを具備している。このような構成により、シールフィンが所定の寸法で周方向に均一な加工ができ、真円度を正確に保つことができるので現地でのシールフィンの修正加工作業が大幅に合理化される。
【0027】
また、回転刃ケースは、外筒より所定距離ずらせ、回転刃の回転面が外筒より外側に配設されているので、加工用の溝も前後両方に設けることができ、回転刃ケースの外筒への取付けが簡単な構造で取付けることができる。また、後方の溝にシールフィンが挿入できる場合には、後方の溝内へシールフィンを挿入して加工することもできる。
【0028】
そして、内筒の移動は回転式ダイヤルを回転することにより、内筒を容易に前後に移動、位置調整することが可能となる。例えば、回転式ダイヤルに目盛を付しておき、目盛に比例して回転させるようにすれば、内筒を前後に微調整が容易になされ、回転刃のシールフィン先端に対する位置調整が簡単な機構で実現できる。
【0029】
本発明の(2)では、加工機の外筒を移動可能な台車に固定し、作業員は台車をシールフィンを跨いで翼環に当接し、回転刃とシールフィンとの間の位置調整を上記(1)のように行った後、空気流により回転刃を回転させ、台車をシールフィンに沿って周方向に移動させるだけで、シールフィンの修正加工が容易にでき、台車により位置がセットされているので正確な寸法でシールフィンの修正加工ができ、(1)の発明よりも一層精度良く加工ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の第1形態に係るフィン修正加工機を示し、(a)は側面図、(b)は(a)におけるA−A矢視図である。
【図2】 図(a)のB−B断面図である。
【図3】 本発明の実施の第1形態に係るフィン修正加工機の先端部を示し、(a)は回転刃ケースの平面図、(b)は側面図である。
【図4】 本発明の実施の第2形態に係るフィン修正加工機を示し、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は(a)におけるC−C矢視図である。
【図5】 蒸気タービンのシールフィンを示す一般的な斜視図である。
【図6】 シールフィンの一般的な断面図である。
【符号の説明】
1 加工機全体
2,25 外筒
3 把持部
4 回転式ダイヤル
5 空気供給チューブ
6 プラグ
7 位置決めガイド
8 ピン
9 溝
10 空気開閉スイッチ
11,24 内筒
12 支持部
13 回転刃ケース
14 加工用溝
15 回転刃
16 軸
17 シールフィン先端部
18 軸挿入部
20 台車
21,22 ローラ
23 軸
34a,34b,34c シールフィン
Claims (2)
- タービン翼環の内周壁面に、回転する動翼先端と対向し同動翼先端に近接して取付けられたシールフィン先端部を修正加工する加工機であって、後端に手で把持する部分及び空気供給チューブを有する外筒と、同外筒内に摺動可能に挿通され先端部が前記外筒から突出し、前記空気供給チューブから供給され回転刃の周囲に噴出する空気流により回転する回転刃を回転可能に支持する内筒と、前記外筒の先端部に取付けられ前記回転刃周囲を覆うと共に先端側に同回転刃の切削位置までシールフィンが挿入される溝を有する回転刃ケースと、前記内筒内へ供給される空気を開閉するスイッチとを具備し、前記回転刃及び回転刃ケースの中心軸は前記外筒の軸心と直交する方向とし前記回転刃の回転面を前記外筒から所定の距離離すと共に、前記回転刃ケースの溝は前後両側に設けられ、前記内筒は手で把持する部分において回転式ダイヤルに螺合し、前記外筒内で前後に移動可能とし先端の回転刃の位置調整を可能としてなることを特徴とするフィン修正加工機。
- 前記外筒は移動可能な回転ローラ付きの台車に取付けられ、同台車はシールフィン間を跨いで配置され、同シールフィンに沿って周方向に移動させ前記回転刃によりシールフィンを修正加工することを特徴とする請求項1に記載のフィン修正加工機。
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JP2000023728A JP4370033B2 (ja) | 2000-02-01 | 2000-02-01 | フィン修正加工機 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000023728A JP4370033B2 (ja) | 2000-02-01 | 2000-02-01 | フィン修正加工機 |
Publications (2)
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JP2001212710A JP2001212710A (ja) | 2001-08-07 |
JP4370033B2 true JP4370033B2 (ja) | 2009-11-25 |
Family
ID=18549848
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2000023728A Expired - Lifetime JP4370033B2 (ja) | 2000-02-01 | 2000-02-01 | フィン修正加工機 |
Country Status (1)
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IT201900023850A1 (it) * | 2019-12-12 | 2021-06-12 | Nuovo Pignone Tecnologie Srl | Struttura di tenuta composita per una macchina, e metodo per produrre la struttura di tenuta composita |
-
2000
- 2000-02-01 JP JP2000023728A patent/JP4370033B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
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