JP4369763B2 - 飽和炭化水素燃料ガスによるガス圧接法およびそこで用いる加熱用バーナー - Google Patents

飽和炭化水素燃料ガスによるガス圧接法およびそこで用いる加熱用バーナー Download PDF

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Description

本発明はガス圧接法とそこで用いる加熱用バーナーに関し、特に、例えば天然ガスのように、メタン、エタン、プロパン、ブタンなどの飽和炭化水素系の燃料ガスを加熱源として利用するガス圧接法とそこで用いる加熱用バーナーに関する。
建築用鉄筋、肉厚パイプ、鉄道レールなどを接合するのに、ガス圧接法が広く用いられている。ガス圧接法では、互いに接合すべき双方の端面(例えば鉄筋端面)を必要な場合には研削して平滑化した後に、それら両端面を突き合わせて専用の加圧治具に固定し、接合部方向に加圧しながら突き合わせ部を火炎で加熱し、接合端面を溶かすことなく赤熱状態として、接合部に膨らみ部ができるように圧縮して接合する。
従来、ガス圧接の加熱源には酸素−アセチレン炎が用いられており、酸素−アセチレン燃焼は強還元炎であり高温であることから、接合面(密着面)は酸化膜の残留のない良好な接合面となり、満足なガス圧接が得られる。酸素−アセチレン炎を用いた圧接では、加熱用バーナーに低酸素比条件で還元炎を形成し、突き合わせ部を加熱して赤熱状態として密着面を形成するいわゆる前期加熱の後、作業者は後期加熱として、燃焼酸素比を増加させて還元炎を中性炎に切り換え、加熱用バーナーを左右に振って巾焼きを行いながらさらに圧縮することにより、なだらかな丸みをおびた膨らみ部を接合部に形成するようにしている。
しかしながら、アセチレンガスは高価でありまた火力が強いため、被接合部の表面と中心部の温度に差ができ圧接性能に悪影響を受け易かった。また、一般的にアセチレンガスは危険度が高く取り扱いに慎重さが要求されると共に、アセチレン炎は逆火が起こりやすく、特に後期加熱で使用する中性炎では逆火が起き易い問題がある。
その問題に対処するための1つの方法として、特許文献1(特開2001−47255号公報)には、突き合せ面が密着されるまでアセチレンガスを使用して前期加熱を行い、その後、プロパンガス、LNG、エチレンガス、ブタンガス、メタンガス、エタンガス、プロピレンガス、水素ガスなどの1つ、またはそれらの混合ガスと切り換えて後期加熱を行うガス圧接法が提案されている。
特開2001−47255号公報
鉄筋などのガス圧接において、特許文献1に記載のように前期加熱と後期加熱とで燃料ガス種を切り換えることにより、安全性の向上などいくつかの効果がもたらされる。しかし、一連の圧接工程中に燃料ガスの切り換えを行うことは大きな作業負担を伴い、また装置も複雑となる。天然ガスやプロパンガスなどはアセチレンガスに比べて安全性が高く、またアセチレンガスと比較して炭酸ガスの発生量も少なく環境面からも好ましいことから、前期加熱の段階から、天然ガスやプロパンガスのような飽和炭化水素燃料を使用することが求められる。しかし、これらの燃料ガスは、アセチレンガスに比べて還元作用が弱く、接合面に酸化物が残留し易いために、接合品質上の問題から、前期加熱の熱源としてはこれまで使用に至っていないのが現状である。
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、接合のための熱源として当初から天然ガスのような飽和炭化水素系の燃料ガスを用いながら良好な接合面が得られるようにしたガス圧接法およびそこで用いる加熱用バーナーを提供することを目的とする。
本発明者らは上記の課題を解決すべく、飽和炭化水素系の燃料ガスとして特に圧縮天然ガス(都市ガス)を用いて鉄筋の端面同士をガス圧接する実験を、予混合ガスの酸素比、火炎の形状、火口の炎孔負荷などをいろいろと変えながら行った。圧接性能の評価は、接合後に接合面に切り込みを入れて強制的に曲げ切断させ、破面の状況を観察する破面検査、および接合鉄筋の90°曲げ試験(JIS G3112)にて行った。
その結果、燃焼条件を選定することにより、前期加熱の段階から天然ガスを燃料ガスとして用いてガス圧接を行った本発明の接合鉄筋は、アセチレンガスを用いて圧接した場合と同等の接合強度を持つ接合鉄筋を得られることを知った。
本発明は上記のような実験をとおして得られた知見に基づくものであり、第1の発明は、飽和炭化水素燃料ガス−酸素火炎を用いてガス圧接を行うに際して、加熱用バーナー火炎の酸素比を0.43〜0.58の範囲内に設定し、接合部密着までの前期加熱を行うことを特徴とする。後の実施例に示すように、飽和炭化水素系の燃料ガスである天然ガスを酸素比がこの範囲として燃焼させてガス圧接を行うことにより、圧接に十分な燃焼安定性および還元性が得らる。その結果、破面検査において観察される接合面の酸化膜面積もきわめて小さくなる。それにより、アセチレン火炎による圧接と同等の曲げ強さを備えた接合部が得られる。加熱用バーナー火炎の酸素比が0.43〜0.58の範囲を外れると、検査破面状況は劣化し、接合面の酸化膜面積が大きくなる、あるいは、過度の接合部温度上昇により、焼き割れが発生してしまう。すなわち、良好な圧接ができない。
第2の発明は、飽和炭化水素燃料ガス−酸素火炎を用いてガス圧接を行うに際して、加熱用バーナー火炎の先端と接合部とに隔離距離を保持した状態で、接合部密着までの前期加熱を行うことを特徴とする。前記したように、加熱を天然ガスのように飽和炭化水素を主成分とする燃料ガスの予混合気で行う場合、火炎の還元性はアセチレン火炎に比べて弱く接合面が酸化されやすい。上記第2の発明は、少なくとも衝接した端部同士が密着するまでの前期加熱を、火炎と鉄筋とが接触しない状態で行うことによって、後の実施例に示すように、接合面に酸化膜の残留物が形成されるのを抑制する。それにより、アセチレン火炎による圧接と同等の曲げ強さを備えた接合部が得られる。
また、本発明者らは実験および破面検査による性能評価をとおして、酸素比など他の燃焼条件によって最適値は異なるが、火炎先端と鉄筋との距離(隔離距離)を10mm以下の範囲として前期加熱を行うことことにより、酸化膜の殆どない接合面が得られることを破面検査により確認した。火炎先端が鉄筋表面と接する状態(隔離距離≦0)では、酸化膜面積がきわめて大きくなり、良好な圧接ができなくなる。従って、本発明のガス圧接法において、火炎先端と鉄筋表面との隔離距離を設け、かつこの距離を10mm以下として行うことは、きわめて好ましい態様である。
上記した本発明によるガス圧接法により、天然ガスのような飽和炭化水素系の燃料ガスを熱源として用いてガス圧接を行っても、アセチレン火炎でのガス圧接と同等の接合状態が得られるが、さらに、加熱用バーナー火口として、メイン火炎をパイロット火炎にて保炎させる構造のバーナー火口を用い、かつ、メイン火炎とパイロット火炎の燃料量比(メイン火炎/パイロット火炎)が1.2以上であり、火口の炎孔負荷を1200kcal/mmh以下として前期加熱を行うことにより、後の実施例に示すように、さらに圧接に十分な燃焼安定性および還元性が得られ、より良好な圧接が可能となる。
本発明は、また、飽和炭化水素燃料ガス−酸素火炎を用いてガス圧接を行うガス圧接装置で用いる加熱用バーナーであって、鉄筋やレールなどの被圧接物を囲うようになっている燃料ガス供給管と、燃焼ガスの噴出方向が被圧接物に向かうようにして燃料ガス供給管に取り付けられた複数個のバーナー火口とを有し、各バーナー火口はメイン炎孔とその周囲のパイロット炎孔を備え、メイン火炎とパイロット火炎の燃料量比(メイン火炎/パイロット火炎)が1.2以上となるように断面積が設定されており、かつ、火口の炎孔負荷を1200kcal/mmh以下として加熱を行うことを特徴とするガス圧接用の加熱用バーナーをも開示している。
上記のようなガス圧接装置で用いる加熱用バーナーの場合、現場加工性から、被圧接物を囲うようになっている燃料ガス供給管は、そのほぼ中央位置に鉄筋やレールなどの被圧接物を容易にセットでき、かつ圧接後に容易に取り出すことが可能な形状とされるのが普通である。すなわち、一部に被圧接物の入口出口となる開口部を設けるか、あるいは複数個の燃料ガス供給管でもって被圧接物を囲うように組み付けまた分離できるようにしている。しかし、そのような場合に、開口部あるいは燃料ガス供給管の端部などには、構造上、製作上、バーナー火口を配置できないので、単に燃料ガス供給管にすべてのバーナー火口を等しい条件で取り付けた場合には、被圧接物の表面に対して均一(むらなく)加熱することが困難となる。
それに対処するために、本発明は、上記したガス圧接用の加熱用バーナーであって、複数個のバーナー火口は、各バーナー火口からの燃焼火炎が被圧接物の表面にほぼ等間隔で衝突できるように、かつ、各バーナー火口からの火炎先端と被圧接物の表面との隔離距離がほぼ等しくなるようにして、燃料ガス供給管に取り付けられていることを特徴とするガス圧接用の加熱用バーナーをも開示する。
本発明によれば、燃料ガスとして、メタン、エタン、プロパン、ブタンなどの飽和炭化水素系の燃料ガス、例えば都市ガスのような天然ガスを用いて鉄筋等の圧接を行っても、アセチレンガスを燃料ガスとした場合と同様の接合強度を持つ接合部材を得ることができる。天然ガスのような飽和炭化水素系の燃料はアセチレンと比較して取り扱いも容易であり安全性も高くかつ環境にも優しいことから、新たな鉄筋等のガス圧接技術として本発明はきわめて有効である。
以下、図面を参照しながら本発明を実施の形態に基づき説明する。図1は本発明によるガス圧接法を実施するための装置の模式図であり、図2および図3はそこで用いるバーナー火口の2つの例を示す断面図である。また、図4および図5は図2あるいは図3に示すバーナー火口を備えたバーナーの一例を示している。なお、図1において、被圧接物の例として2本の鉄筋1a,1bを示すが、被圧接物が鉄筋に限らないことはいうまでもない。
2本の鉄筋1a,1bは、適宜の圧接機2のクランプ3a,3bにより把持された状態で、その先端面同士を衝接させた姿勢に保持される。衝接面4を含む仮想平面内にバーナー火口5が位置するようにしてリング状のバーナー6が配置され、バーナー6には燃料ガス供給源7から制御された量の圧縮天然ガスと酸素との予混合気が供給される。予混合気は加熱用バーナー火炎の酸素比を0.43〜0.58の範囲内となるように調整される。
各バーナー火口5の火炎吹き出し方向は2本の鉄筋1a,1bの軸線Lに向かうようにされ、接合面が密着するまで(すなわち、前期加熱時)は、予混合気量およびバーナー火口形状などを調整して、燃焼火炎の先端が鉄筋1a,1bの表面に接しない状態で衝接部を加熱することが望ましい。なお、その際に、鉄筋表面と火炎先端との距離は10mm以下とすることは、接合部内への酸化膜等の残留をより抑制できることから望ましい。
バーナー火口5は任意の形状とすることができる。しかし、本発明者らの実験では、後の実施例に示すように、図2または図3に示すような、メイン炎孔11の周囲に複数個のパイロット炎孔12を配置したタイプの構造とする場合に、メイン火炎はパイロット火炎により火口に保炎されて高い安定燃焼を実現でき、結果として良好な接合状態を得ることを確認した。従って、本発明において、メイン炎孔11の周囲に複数個のパイロット炎孔12を配置したタイプのバーナー火口5を持つバーナー6を用いることは好ましい。
その際に、メイン火炎とパイロット火炎の燃料量比(メイン火炎/パイロット火炎)が1.2以上であり、火口の炎孔負荷を1200kcal/mmh以下として前期加熱を行うことにより、後の実施例に示すように、圧接に十分な燃焼安定性および還元性が得られ、より良好な圧接が可能となる。なお、図2のものは全体が1ピース構造であり、図3のものは製作の容易性から外筒5a内に内筒5bを嵌入した2ピース構造とされている。バーナー火口としての機能は両者とも同じである。
バーナー6の好ましい態様について、一例として図4、図5を参照して説明する。鉄筋などの長尺物のガス圧接に用いられるバーナー5として、図1bに示すようにリング状のものが用いられる場合、突き合わせ鉄筋をリング中央に持ち込み、接合後にバーナーを取り外すために、一部に開口8を有した形状となっているのが普通である。その場合、図1bに示すようにバーナー火口5の数が少ないときには、開口8が存在しても、鉄筋表面を均一にむらなく加熱することができる。
しかし、図4に示すように、多数のバーナー火口が近接した状態で配置される場合には、鉄筋表面の開口8に面する部分は燃焼ガスが衝突しない領域となりやすく、また、製作上の問題から予混合気導入部9の近傍にもバーナー火口を配置できないので、その近傍の鉄筋表面も燃焼ガスが衝突しない領域となりやすい。そのために、鉄筋周方向に加熱ムラが生じ、圧接性能に悪影響を及ぼすことが起こり得る。図4に鎖線で示すように、火口の角度を調整することで燃焼ガス衝突位置を調整することはできるとしても、角度の精度を出すことが難しく、また、火口と鉄筋表面までの距離が火口毎に異なってしまう。
なお、図4に示すバーナー6は、リングバーナーの内周をバーナー火口取り付け台座21とし、そこにバーナー火口取り付け口22を必要個数だけ形成して、そこにバーナー火口5を交換可能にネジ込むようにしているが、他の構成のものであってもよい。
図5は、そのような不都合を解消した、より改良されたバーナー6aを示している。ここでは、バーナー火口取り付け台座21に段差を付けている。すなわち、開口8および予混合気導入部9に近接する台座部分は高さを高くして中心に近いものとし、そこから離れるにつれて次第に高さを低くしている。そのように段差を付けた台座部分にバーナー火口取り付け口22を形成し、そこにバーナー火口5を取り付けることにより、図のように鉄筋表面円周方向に均等に燃焼ガスを当てることが可能となり、また、各バーナー火口5と鉄筋表面との距離もほぼ等しくすることができ、上記の不都合は解消される。
なお、各段差を具体的にどの程度とするかは、リング状のバーナーの直径、開口の開き角度、予混合気導入部9近傍でのバーナー火口取り付け口22を形成できない角度領域、圧接しようとする部材の断面形状や寸法、などを考慮して最適値を個々に定めればよい。そのときの設計指針としては、被圧接物(例えば鉄筋)表面を均一加熱するために被圧接物の周方向に均等に燃焼ガス衝突位置(図中黒丸)を設定すること、および、目標衝突位置から等距離となる位置にバーナー火口を配置すること、であり、このことが達成できるように、段差形状を計算によりあるいは実験的に決定するようにする。
なお、上記では開口部8を設けたバーナー形状を例に説明したが、複数個の供給管を組み合わせる形状など他の形状のバーナーにおいても、製作上の都合による火口の配置方法の制約に由来して被圧接物の加熱ムラが生じる場合には、それを回避するために、火口の配置に上記と同じ設計指針を採用できること、そして、それがきわめて有効であることは明白である。
[実施例1]
図1aに基づき説明したガス圧接装置、および図5に示したバーナー6aに図2に示したバーナー火口5を取り付けたものを用い、12個の試験体(鉄筋)を3つのグループ1〜3に分け、天然ガス(CNG)流量と酸素(O)流量とを変えることにより酸素比を変化させた以外は同じ条件で鉄筋の圧接試験を行った。後期加熱終了後の接合鉄筋の接合部にノッチ(切り込み)を入れ、接合鉄筋を曲げて破断し、破面の残留酸化膜面積を観察することで圧接状況の良否を判断した。なお、前期加熱は、バーナー火炎先端が鉄筋表面にほぼ接する条件で行った。その結果を表1に示す。
Figure 0004369763
表1に示すように、酸素比λが変わることにより酸化膜面積が変化しており、グループ1の酸素比λ=0.40では酸化膜面積が大きい。これは、火炎の還元性は高いが燃焼限界のために燃焼安定性が劣化する(一部火炎が吹き飛ぶ)ことが原因と考えられる。また、火炎温度低下により作業時間が長くなる傾向にあり、大気中の酸素との接触時間が長期化することも一因と考えられる。グループ2と3では酸化膜面積は小さく、アセチレンガス圧接による接合面に生じる酸化膜面積とほぼ同等の値となっている。
酸素比λ>0.43程度となると燃焼安定性は向上し火炎温度も上昇するが、酸素比λ=0.59〜0.6(後期加熱時の中性炎条件)以上に酸素比を増加させると、火炎温度が過度に上昇するため、接合部が溶融してしまい、いわゆる焼き割れが発生してしまう。従って、酸素比λ=0.43〜0.58の範囲となるように天然ガス(CNG)流量と酸素(O)流量を調整してガス圧接を行うことにより、アセチレンガス圧接と同等の接合強度を備えた接合鉄筋が得られることがわかる。
[実施例2]
実施例1と同じ装置とバーナーを用い、天然ガス(CNG)流量と酸素(O)流量とを変えることにより、酸素比λを、0.40、0.44、0.50の3つの態様とした。各態様について、火炎先端と鉄筋表面との距離を変化させた以外は同じ条件で鉄筋の圧接試験を行った。後期加熱終了後の接合鉄筋の接合部にノッチ(切り込み)を入れ、接合鉄筋を曲げて破断し、破面のフラット面積を観察することで圧接状況の良否を判断した。その結果を図6のグラフに示す。
図6からわかるように、火炎先端と鉄筋表面との距離が0以下、すなわち、火炎先端が鉄筋表面に接している状態では、酸素比如何にかかわらず、フラット面積は80%以上となっており、十分な接合強度が得られないことがわかる。酸素比λ=0.44,0.50では、火炎先端と鉄筋表面とに隔離距離を設けることによりフラット面積は大きく低減するが、酸素比λ=0.40では大きな低減はない。また、隔離距離が20mmを越えるとフラット面積は再び増加する傾向が現れる。
このことから、天然ガス−酸素火炎を用いてガス圧接を行うに際して、加熱用バーナー火炎の先端と接合部とに隔離距離を保持した状態で、少なくとも接合部密着までの前期加熱を行うことにより、アセチレンガス圧接と同等の接合強度を備えた接合鉄筋が得られることがわかる。その際に、好ましくは、前述の理由で酸素比λ=0.43〜0.58の範囲の火炎で加熱を行うこと、また、隔離距離が20mm以下、好ましくは10mm以下の範囲で加熱を行うことが、良好な圧接を行うのに効果的であることもわかる。
すなわち、使用した装置においては、大気開放燃焼であるため、所定量の燃料と酸素で構成される予混合気は周囲空気を巻き込みながら燃焼する(供給酸素ガス+周囲空気と燃料ガスの燃焼)。そのために、火炎先端が鉄筋表面に接する場合(隔離距離<0の場合)には、接合面開口部内にも火炎が浸入し効率的に加熱が行われるように見えるが、火炎衝突によって未燃予混合気中の酸素が接合面に供給され鉄の酸化を促進してしまい、その結果、破面検査において、酸化層やフラット面が大きくなるという結果に繋がったものと考えられる。
火炎先端と鉄筋表面との間に隔離距離を設けた場合には、火炎帯を通過した燃焼ガスが確実に接合面に供給され加熱が行われる。そのため、予混合気中の酸素による鉄の酸化が抑制され、圧接性能が向上すると考えられる。しかし、さらに距離を長くとると、加熱源が離れることにより鉄筋温度上昇に時間がかかり接合部の周囲空気との接触時間が長くなってしまうことに加え、火炎あるいは燃焼ガスの周囲空気巻き込み量を増加させてしまうこととなり、燃焼ガス中の酸素濃度が上昇し、圧接性能を劣化させてしまうと考えられる。
[実施例3]
図2に示したメイン火炎をパイロット火炎にて保炎させるタイプの構造のバーナー火口を用い、メイン火炎とパイロット火炎の燃料量比(メイン火炎/パイロット火炎)を変化させて燃焼状態の安定性を検討した。表2はその結果を示している。
Figure 0004369763
図2に示すメイン炎孔の周囲にパイロット炎孔を配置するタイプの構造とするバーナー火口は、パイロット火炎によりメイン火炎を保炎して安定燃焼を実現する。しかし、表2に示すように、同じ酸素比での燃焼条件であっても、メイン炎孔の燃焼量に対するパイロット燃焼量が大きすぎると、火炎基部がリフトし易く保炎性能が劣化する。圧接用火口としては、火炎の吹き飛びは圧接品質に悪影響を及ぼしてしまうのは前述のとおりであり、火炎吹き飛びのない安定した火口の設計が必要となる。上記の実験から、図1aに示す装置に図2あるいは図3に示すタイプのバーナー火口を用いて本発明によるガス圧接法を行うに際しては、メイン火炎とパイロット火炎の燃料量比(メイン火炎/パイロット火炎)が1.2程度以上であることが、有効であることがわかる。
[実施例4]
本発明によるガス圧接法では、飽和炭化水素系の燃料ガス(例えば、天然ガス)と酸素と予混合火炎を用いるが、このような予混合火炎は、予混合気流速と燃焼速度との釣合により火炎の形成位置が決定することから、一般に燃焼量(炎孔負荷)を増加させると火炎長が長くなる。同時にメイン保炎用のパイロット炎の火炎長も徐々に増加して基部がリフトし、燃焼安定性が劣化する。従って、図2あるいは図3に示すようなタイプの構造を持つバーナー火口を用いて本発明によるガス圧接を行う場合、燃焼安定性が劣化しない範囲での火口の炎孔負荷で作業を行うことが推奨される。
安定した燃焼を維持できる火口の炎孔負荷を求めるべく、本発明者らは実験を行った。その結果を図7に示す。なお、炎孔負荷は、単位炎孔面積当たりの燃焼量(燃焼量/炎孔面積)であり、火炎長は火口に形成される火炎(内炎)の目視火炎長さである。図7からわかるように、炎孔負荷がほぼ1200kcal/mmhを越えた状態となると、火炎長が急激増加しており、メイン火炎基部が浮き上がり気味になるのを確認した。また、この時、保炎用のパイロット炎も長炎化するとともに、場合によっては基部がリフトし始めることも知った。
このことから、図1に示す装置を用い、バーナー火口として図2あるいは図3に示すメイン炎孔の周囲にパイロット炎孔を配置するタイプの構造のものを用いて、本発明によるガス圧接を行う場合に、実施例3からメイン火炎とパイロット火炎の燃料量比(メイン火炎/パイロット火炎)が1.2以上であり、かつ、火口の炎孔負荷を1200kcal/mmh以下として少なくとも前期加熱を行うことにより、燃焼性がさらに安定して一層良好な圧接が得られることがわかる。
[実施例5]
図1aに示す装置を用い、バーナー火口として図2に示すメイン炎孔の周囲にパイロット炎孔を配置するタイプの構造のものを用いて、複数の試験体に対して実際に鉄筋のガス圧接を行った。ただし、燃焼条件は、天然ガス(CNG)流量と酸素(O)流量とを変えて酸素比0.48〜0.58の範囲で変化させた。なお、すべての試験体について、メイン火炎とパイロット火炎の燃料量比(メイン火炎/パイロット火炎)は2.3、バーナー火口の炎孔負荷は970kcal/mmhで一定とした。その条件で、前期加熱時における火炎先端と鉄筋表面との距離sを、0mm<s<10mmのもの(試験体1〜7)と、s≒15mm(試験体8)、s≒15mm(試験体9)、s≒14mm(試験体10)とした。
後期加熱後の接合鉄筋を取り出し90°曲げ試験(JIS G3112)を行った。その結果を表3、表4に示す。
Figure 0004369763
Figure 0004369763
火炎先端が鉄筋表面に接する(S<0)条件では、接合部の酸化が促進され、良好な接合が行われないことは前述のとおりである。表3、表4の結果は、他の条件(例えば、酸素比λ=0.43〜0.58)が本発明に規定した条件を満たす場合でも、前期加熱時における火炎先端と鉄筋表面との隔離距離sが0mm<s<10mmの条件を満たさない場合には、90°曲げ試験で破断が生じる場合があることを示しており、天然ガスを用いるガス圧接法において、火炎先端と鉄筋表面との隔離距離sを0mm<s<10mmに保って少なくと前期加熱を行うことが、重要な要件となっていることがわかる。
図1aは本発明によるガス圧接法を実施するための装置の一例を示す模式図であり、図1bは使用するバーナーの一例を示す模式図である。 バーナー火口の一例を示す断面図。 バーナー火口の他の例を示す断面図。 バーナーの他の例を示す図。 バーナーのさらに他の例を示す図。 鉄筋火炎間距離とフラット破面面積との関係を示すグラフ。 炎孔負荷と火炎長との関係を示すグラフ。
符号の説明
1a,1b…鉄筋、2…圧接機、3a,3b…クランプ、4…衝接面、5…バーナー火口、6…バーナー、7…燃料ガス供給源、8…バーナーの開口、11…メイン炎孔、12…パイロット炎孔、21…バーナー火口取り付け台座、22…バーナー火口取り付け口

Claims (5)

  1. 飽和炭化水素燃料ガス−酸素火炎を用いてガス圧接を行うに際して、接合部密着までの前期加熱を、加熱用バーナーとして、メイン火炎をパイロット火炎にて保炎させる構造のバーナーを用い、かつ、メイン火炎とパイロット火炎の燃料量比(メイン火炎/パイロット火炎)が1.2以上であり、火口の炎孔負荷を1200kcal/mm h以下とし、かつ、前記加熱用バーナー火炎の酸素比を0.44〜0.58の範囲内に設定して行うことを特徴とする飽和炭化水素燃料ガスによるガス圧接法。
  2. 請求項1に記載の飽和炭化水素燃料ガスによるガス圧接法であって、加熱用バーナー火炎の先端と接合部とに隔離距離を保持した状態で、接合部密着までの前期加熱を行うことを特徴とする飽和炭化水素燃料ガスによるガス圧接法。
  3. 請求項2に記載の飽和炭化水素燃料ガスによるガス圧接法であって、隔離距離が10mm以下の範囲で前期加熱を行うことを特徴とする和炭化水素燃料ガスによるガス圧接法。
  4. 飽和炭化水素燃料ガス−酸素火炎を用いてガス圧接を行うガス圧接装置で用いる加熱用バーナーであって、鉄筋やレールなどの被圧接物を囲うようになっている燃料ガス供給管と、燃焼ガスの噴出方向が被圧接物に向かうようにして燃料ガス供給管に取り付けられた複数個のバーナー火口とを有し、各バーナー火口はメイン炎孔とその周囲のパイロット炎孔を備え、メイン火炎とパイロット火炎の燃料量比(メイン火炎/パイロット火炎)が1.2以上となるように、かつ、火口の炎孔負荷を1200kcal/mmh以下として加熱を行うことを特徴とするガス圧接用の加熱用バーナー。
  5. 複数個のバーナー火口は、各バーナー火口からの燃焼火炎が被圧接物の表面にほぼ等間隔で衝突できるように、かつ、各バーナー火口からの火炎先端と被圧接物の表面との隔離距離がほぼ等しくなるようにして、燃料ガス供給管に取り付けられていることを特徴とする請求項に記載のガス圧接用の加熱用バーナー。
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