JP4369628B2 - ヘリウムリークディテクタ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、外部の雰囲気による汚染を防止したヘリウムリークディテクタに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ヘリウムリークディテクタの本体は、真空計、バルブ、分析管などの機器や配管などにより構成されており、図1に示すように、質量分析管aに配管bを介して分子ポンプcを接続し、該分子ポンプcに、フォアバルブeを備えた配管bを介してフォアポンプdに接続すると共にテストバルブgを備えた配管bを介してテストポートfに接続し、更に、該テストポートfをラフィングバルブhを介してフォアポンプdとフォアバルブgの間の配管bへ接続した構成のものが知られている。同図の符号iは各機器や配管の接続部に設けられるOリングなどの取付部品の箇所を示し、jはベントバルブ、kは真空計を示す。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ヘリウムリークディテクタを気体循環式のクリーンルーム内に設置し、真空吹付け法などにより多量のヘリウムをテスト品に吹付けてリークテストを行うと、クリーンルーム内のヘリウム濃度が上昇してしまい、各機器や配管の接続部に使用されているOリングなどのシール部をヘリウムが透過して機器内や配管内へと入り込み、バックグランドが上昇して高感度のリークテストを行えなくなる不都合が生じることがあった。こうした不都合は、Oリングやパッキンを合成樹脂製でなく金属製のものを使用することで抑制できるが、本体の価格が上昇したり、メンテナンス時のOリング等の交換のコストが高くなってしまう欠点があった。
【0004】
これを更に説明すると、図1の構成のものでは、構成部品の接続部は10箇所であるが、実際には校正リークなどのために構成部品の点数が増えるので、20〜25箇所程度の接続部が設けられることになる。Oリングを透過してくるヘリウムを測定するため、図2に示すようなフランジl、lでOリングmを挟み込み、外部を100%ヘリウムoを充填したフードnで囲んでフランジlの一端をヘリウムリークディテクタに接続したところ、Oリングmの太さや合成樹脂の種類によっても異なるが、リークレートに換算すると、数分で1×10-9〜-8Pa・m3/s程度まで上昇してしまう。図1の場合は、透過量が1×10-9Pa・m3/sとしても、Oリングが10箇所あるため、トータルのバックグランドは各Oリングの総和となり、1×10-8Pa・m3/sになってしまう。
【0005】
実際は、ヘリウムリークディテクタの周辺雰囲気が100%ヘリウムの雰囲気になることはないが、気体循環式のクリーンルームなどでヘリウムを吹付けるようなリークテストを実施した場合には、吹付けに使用したヘリウムが循環することでクリーンルーム内のヘリウム濃度が高まって10%程度になってしまう可能性がある。この状況においても機器のバックグランドは1×10-9Pa・m3/sとなり、1×10-11Pa・m3/sといった微小なリークを測定したい場合には問題になってしまう。
【0006】
本発明は、ヘリウムリークディテクタの外部のヘリウム濃度が高まっても安価な合成樹脂製Oリング等の接続部を透過してバックグランドを上昇させることのないヘリウムリークディテクタを提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明では、上記の目的を達成すべく、ヘリウムリークディテクタの本体を密閉性のあるカバーで覆い、該カバーに、該カバーの外部周辺の空気と異なる成分の空気を該本体と該カバーの間の空間へ導入する導入管を設け、該空間の圧力を該外部周辺の空気の圧力よりも高い圧力に調整する昇圧手段を設けた。該ヘリウムリークディテクタを構成する配管及び機器の接続部には、合成樹脂製のOリング又はパッキンを使用する。また、該カバーの外部周辺の空気と異なる成分の空気には、ヘリウムガスの成分が自然濃度の空気を利用すればよく、該空間から該カバーの外部へ連通させて設けた排気管と該導入管へ空気導入量を該排気管からの排気量よりも多くして該昇圧手段を構成することで、簡単且つ安価に製作できる。
【0008】
【発明の実施の形態】
図面に基づき本発明の実施の形態を説明すると、図3に於いて符号1は、気体循環式のクリーンルーム2に設置したヘリウムリークディテクタの本体を示し、該本体1の周囲を金属製や樹脂製などの密閉性のあるカバー3で覆い、該カバー3に、該カバー3の外部周辺すなわちクリーンルーム2の空気と異なる成分の気体を該カバー3と該本体1との間の空間4へ導入する導入管5を設け、該空間4の圧力を該外部周辺の空気の圧力よりも高い圧力に調整する昇圧手段6を設けた。
【0009】
気体循環式のクリーンルーム2内でテスト品にヘリウム吹付け法によるリークテストを実施すると、クリーンルーム2内のヘリウム濃度が、通常のオープンエアーに近い部屋は数ppmであるのに対し、0.1%に近い極端に高い値に上昇してしまう。このようなヘリウム濃度の高い環境下でヘリウムリークディテクタを使用すると、該本体1の機器や配管などの接続部を構成しているOリングやパッキンなどのゴム材をヘリウムが透過し、ヘリウムリークディテクタのバックグランドを上昇させ、1×10-11Pa・m3/sといった微小なリークのレベルの測定が困難になるが、前記のようにカバー3、導入管5および昇圧手段6を設けることで、この困難が解消される。該本体1は、ポンプや電気系を備えているため、空冷が必要であり、また、ロータリポンプのオイルミストなどを外部へ排出する必要もあるので、クリーンルーム2の周辺の高いヘリウム濃度の雰囲気とは異なる成分の気体、例えば自然濃度のヘリウムの空気を導入管5から導入し、その空間4の圧力を昇圧手段6により該外部周辺の空気の圧力すなわちクリーンルーム2の圧力よりも僅かに高い圧力に調整して流通させ、空冷と排気の他にヘリウムが自然濃度で圧力の高い気体によりヘリウム濃度の高い該外部周辺の空気を該本体1の周囲から排除し、ヘリウムが本体1の接続部を透過することを防止した。図示の例では、該昇圧手段6として導入管5の断面積よりも排気管18の断面積を小さくし、送風機19によりクリーンルーム2の外部のヘリウムが自然濃度の気体を圧送することで該空間4の圧力を高め、周辺雰囲気がカバー3内部へ侵入することを防いでカバー3内が汚染されぬようにした。
【0010】
該ヘリウムリークディテクタの本体1の構成は従来のものと特に変わりがなく、質量分析管7に配管8を介して分子ポンプ9を接続し、該分子ポンプ9に、フォアバルブ10を備えた配管8を介してフォアポンプ11に接続すると共にテストバルブ12を備えた配管8を介してテストポート13に接続し、更に、該テストポート13をラフィングバルブ14を介してフォアポンプ11とフォアバルブ10の間の配管8へ接続した。各機器や配管の接続部15には、Oリングやパッキンなどの合成樹脂製の取付シール部品が設けられ、この接続部15をヘリウムが透過すると前記したようにバックグランドが上昇して測定の障害になるので、これを防ぐために本発明の構成が提供される。16はベントバルブ、17は真空計を示す。
【0011】
該本体1の分子ポンプ9などの各機器を作動させるためには電気系20が必要であり、測定結果を知るためと操作のために表示系21が必要であるが、カバー3の内部に本体1と共に電気系20を収容し、表示系21は該カバー3の外部に合成樹脂ゴムのOリングからなる接続部15を介して取付けした。また、リークテスト品に接続されるテストポート13も接続部15を介して該カバー3の外部へ延長させた。更に、図には明示してないが、ヘリウムリークディテクタへの電源ラインのコネクタなどの外部との接点についても、合成ゴム材などで隔離した。
【0012】
該テストポート13にリークテスト品を接続し、該本体1を作動させ、該テスト品にヘリウムを吹付けてリークテストが行われ、該テスト品にリークがあると質量分析管7にヘリウムガスが捕捉されてリークを判定できる。しかし、該テスト品の数多くリークテストすると、クリーンルーム2内のヘリウム濃度が高まり、前記のように接続部15からヘリウムが本体1内へ透過するためバックグランドが高まり微小なリークの検出を行えなくなる不都合をもたらすが、該本体1が気密なカバー3で覆われ、導入管5から該クリーンルーム2のヘリウム濃度の高い空気でなくヘリウムが自然濃度の気体を該本体1とカバー3との間の空間4へ導入し、昇圧手段6で該空間4の空気圧を少し高めることで、該空間4が排熱やオイルミストの排出だけでなく本体1内へのヘリウム侵入を阻止する防御層として機能し、多数回のリークテストを行ってもバックグランドが高まらず、微小なリークを検出することができる。また、接続部15に高価な金属製のOリングを使用する必要がないので、保守管理が安価になる。
【0013】
尚、気密なカバー3に、図4に示したように、スリット22を形成して排気管18の代用とし、スリット22の開口面積を、導入管5から供給される該カバーの外部周辺の空気と異なる成分の気体の供給量よりも少ない排出量になるように形成しておくことで、該カバー3内を外部よりも高い圧力とし、バックグランドが高まらず高感度のリークテストを行える。
【0014】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、ヘリウムリークディテクタの本体を密閉のカバーで覆い、該カバーに導入管を設けて該カバーの外部周辺の空気と異なる成分の気体を該本体と該カバーの間の空間へ導入し、該空間の圧力を該外部周辺の空気の圧力よりも高くする昇圧手段を設けたので、該本体を構成する機器や配管の接続部を合成樹脂製のOリングなどの安価な部材を使用してヘリウムが該本体内に透過することを防止でき、微量のヘリウムを検出して高感度のリーク測定を行える等の効果があり、請求項3の構成とすることで保守と製作コストをより一層安価にできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来のヘリウムリークディテクタの構成線図
【図2】接続部のリークテスト状態の説明図
【図3】本発明の実施の形態を示す構成図
【図4】本発明の他の実施の形態を示す斜視図
【符号の説明】
1 本体、2 クリーンルーム、3 カバー、4 空間、5 導入管、6 昇圧手段、15 接続部、18 排気管、
Claims (3)
- ヘリウムリークディテクタの本体を密閉性のあるカバーで覆い、該カバーに、該カバーの外部周辺の空気と異なる成分の気体を該本体と該カバーの間の空間へ導入する導入管を設け、該空間の圧力を該外部周辺の空気の圧力よりも高い圧力に調整する昇圧手段を設けたことを特徴とするヘリウムリークディテクタ。
- 上記ヘリウムリークディテクタを構成する配管及び機器の接続部に、合成樹脂製のOリング又はパッキンを使用したことを特徴とする請求項1に記載のヘリウムリークディテクタ。
- 上記カバーの外部周辺の空気と異なる成分の気体は、ヘリウムガスの成分が自然濃度の気体であり、上記空間から該カバーの外部へ連通させて設けた排気管と該導入管へ空気導入量を該排気管からの排気量よりも多くして該昇圧手段を構成したことを特徴とする請求項1に記載のヘリウムリークディテクタ。
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