JP4367986B2 - オートロック機構制御用送信機および受信機とその運用方法 - Google Patents

オートロック機構制御用送信機および受信機とその運用方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、オートロック機構制御用の送信機および受信機と制御方法に関する。
近年、利便性のためにワイヤレス方式のオートロック機構が広く市場に出まわるようになった。例えば、家屋の扉をワイヤレスで施錠/解錠するオートロック機構や、車庫のシャッターを車に乗ったままワイヤレスで解錠し巻き上げるオートロック機構や、車両のドアやトランクやガラス窓をワイヤレスで施錠/解錠するオートロック機構である。この中で、車両のドアやトランク等をワイヤレスで施錠/解錠するシステムは、キーレスエントリシステム(あるいはワイヤレスドアロックシステム)として最も広く普及しており、以下の説明は主としてこのキーレスエントリシステムを例にとって行う。なお上記のワイヤレス方式としては現在、光を用いるものが主流であって将来はIrDA(Infrared Data Association )に準拠した光(赤外線)を用いるものも普及することが予想される。
【0002】
【従来の技術】
上述のキーレスエントリシステムについて見ると、車両のドアをワイヤレスで施錠/解錠するための、オートロック機構制御用送信機(以下、単に送信機とも称す)をエンジンキーと一体に構成する一体型送信機と、その送信機をエンジンキーに付属させるキーホルダー型送信機の二種が主流となっている。これら一体型送信機とキーホルダー型送信機はそれぞれ一長一短があるが、特に冬場における静電気による損傷を受けにくいという長所を有する等の観点から、キーホルダー型送信機も広く採用されている。なお日本ではキー一体型の方が広く採用されているが、海外では上記の理由等からキーホルダ型が広く採用される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記のキーホルダー型送信機は上記のとおり、耐静電気性能等の点で、上記のエンジンキー一体型送信機よりも有利である。
しかしながら反面、そのキーホルダー型送信機には不利もある。現代人、例えばビジネスマン等にとっては、公用あるいは私用のいずれにおいても外出時携帯すべき所持品が益々増えている。各種カード類やノート型パソコンやエンジンキーや携帯電話、PHS等々である。
【0004】
このように外出時において携帯すべき所持品が増える社会状況下において、上記のキーホルダー型送信機は、たとえその大きさが数cm立方程度とは言え、その所持品をさらに1つ増やすことになり、携帯し忘れの可能性が高まる、という問題がある。
したがって本発明は、上記問題点に鑑み、携帯し忘れの可能性を確実に低減することのできる、オートロック機構制御用送信機ならびにその受信機、さらにはその運用方法を提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
図1は本発明の原理構成を示す図である。本図において、参照番号24はオートロック部であり、車両のキーレスエントリシステムであれば、車両のドアのキーに相当し、また例えば車庫のシャッターであれば、シャッターの端部に設けられたキーである。
【0006】
このオートロック部24は、オートロック機構の一部を構成する機構駆動部23により駆動され、または非駆動とされる。つまり機構駆動部23は、上述したキーの施錠または解錠を行う。
機構駆動部23の起動または停止は、オートロック機構制御用受信機(以下、単に受信機とも称す)20を構成する受信手段21ならびにワイヤレス放射部15を介して、オートロック機構制御用送信機(以下、単に送信機とも称す)10により行われる。なお、図1ではワイヤレス放射部15を電波放射のためのアンテナとして図示しているが、これに限らず、既述のIrDAに準拠した赤外線発光デバイスとしてもよい。
【0007】
この送信機10を構成する送信手段12は、携帯電話やPHS等の移動体通信端末11に内蔵される。この送信手段12と協働する移動体通信処理部13とキー入力部14は、移動体通信端末11が本来的に有する機能部分である。
かくのごとく本発明に基づく送信機10は、オートロック機構21をワイヤレスで制御するための送信手段12を移動体通信端末11と一体に構成してなることを特徴とするものである。
【0008】
既に述べたとおり、現代人が外出時に携帯すべき所持品は種々あるが、その中で特に携帯電話やPHS等の移動体通信端末(以下、単に端末とも称す)11は携帯し忘れてはならない大事なものである。本発明はこのことに着目したものであり、この端末11の中に、前述のキーホルダー型送信機(10に相当)を一体に組み込んでしまう。そうすれば、当然、該キーホルダー型送信機の携帯し忘れという事態は起こり得ない。
【0009】
また、キーホルダー型送信機に必要な電池やアンテナを、移動体通信端末11に不可欠な電池やアンテナと共用できるという利点もある。これにより、キーホルダー型送信機と端末11とを個別に用意する場合に比べ、所要スペースは縮小化され、ひいてはトータルコストの低減化にもつながる、という利点も生まれる。
【0010】
さらに上述した共用化を、電池やアンテナに止まらず、端末11の送信機能部分やキー入力機能部分の共用化にまで拡大すれば、上述したスペースの縮小化やコストの低減化は一層顕著になる。
【0011】
【発明の実施の形態】
図2は本発明に係るオートロック機構制御用送信機の第1実施例を示す図である。本図において、送信手段12、移動体通信処理部13、キー入力部14および無線のアンテナ33として示されたワイヤレス放射部15は、図1において示したとおりである。
【0012】
参照番号31は、オートロック機構制御用送信機10の一部をなす送信コード生成部であり、32は送信部である。
また参照番号34および35は、第1切替スイッチおよび第2切替スイッチである。端末11をオートロック機構制御用として動作させたいときは、第1および第2切替スイッチ34および35の各接点をそれぞれ図示する側に切り替える。
【0013】
この図2に示した第1実施例においては、送信手段12が、移動体通信端末11のキー入力部14からのコマンドにより、移動体通信処理部13を主構成要素とする移動体通信用送信手段と切り替えて起動されることを特徴とするものである。なお、このコマンド入力は、キー入力部14をなすテンキーの中から予め定めた1つのキーを押下することにより行うことができる。
【0014】
図3は本発明に係るオートロック機構制御用送信機の第2実施例を示す図である。本図において、移動体通信処理部13と、キー入力部14と、送信コード生成部31については、既述のとおりである。
この第2実施例では、送信手段12のワイヤレス放射部(15)として、光、好ましくは赤外線を用いている。図3における発光デバイス42がその発光源であり、送信コード生成部31からの出力信号を増幅する光通信ドライバ41によって該発光デバイス42が駆動される。
【0015】
第2実施例におけるもう一方の系統は移動体通信端末本来の送信系であり、移動体通信処理部13からの出力信号を無線信号として送出するための移動体通信無線部43とそのアンテナ44とを有する。
図4は本発明に係るオートロック機構制御用送信機の第3実施例を示す図である。本図において、移動体通信処理部13と、キー入力部14と、送信コード生成部31と、アンテナ33と、移動体通信無線部43については、既述のとおりである。
【0016】
この第3実施例では、送信コード生成部31を間欠的に動作させるタイマー51と、この送信コード生成部31とアンテナ33との間に挿入されるコード送信部52とが設けられる。
かくして第3実施例の送信手段12は、移動体通信端末11のキー入力部14からのコマンドなしに、オートロック機構制御用の予め定めたID番号を含む送信コードをタイマー51により間欠的に生成する送信コード生成部31およびこの送信コード生成部31の出力信号を放射するコード送信部52を有することを特徴とするものである。
【0017】
図5は第1実施例および第2実施例における送信コード生成部31により生成される送信コードのデータフォーマットを示す図である。本図において、送信コードCDは、図示するビット群B1〜B4からなり、繰り返し送出される。
すなわち、送信コード生成部31は、送信コードCDとして、同期用ビットB1、ID番号を表示するビットB2、オートロック部24が複数種あるときいずれを指定するかを表示するビットB3および誤りチェックのためのビットB4を生成する。なおB1〜B4の各々は1ビットまたは数ビットから構成される。
【0018】
さらに具体的には、ビットB1はヘッダであり、スタートビット、ビット同期信号あるいは製造者固有のビットである。
ビットB2はID番号、すなわちユーザ認証番号である。これはユーザ固有のコードまたは各移動体通信端末11に固有のコードである。
ビットB3はスイッチビットである。オートロック部24として、車両のドアのキーの他、トランクのキーや車庫のシャッター(ガレージ)のキー等があるとき、これらのいずれのキーをワイヤレス操作すべきか等を指定する。例えば次のとおりである。
【0019】
000:番号登録
001:施錠
010:解錠
011:トランクオープン
100:ガレージオープン
ビットB4はチェックビットであり、パリティビットあるいはCRC符号等を用いる。
【0020】
図6は第3実施例(図4)における送信コード生成部31から生成される送信コードのデータフォーマットを示す図である。図5に示した送信コードCDとほぼ同じであるが、ビットB3は図6にはない。すなわち、図4の送信コード生成部31は、送信コードCDとして、同期用ビットB1、ID番号を表示するビットB2および誤りチェックのためのビットB4を生成する。
【0021】
第3実施例(図4)の特徴はキー入力部14からのコマンド入力なしに、キーの解錠と施錠を行うことにあり、このために図6の送信コードCDは一定時間間隔で常に送出される。一定時間間隔としたのは電池の消耗を防ぐためであり、図4のタイマー51の設定は例えば5秒間隔である。この場合、間欠的ではあるが電波を常時発信し続けるため電池容量に十分な余裕が必要である。しかしながら、携帯電話等は、そのような電波発信に要するパワーに比べて十分大きい容量の電池を内蔵しており、しかも、いつも充電可能なので問題はない。
【0022】
この第3実施例の利点は、キーレスエントリシステムの場合、ユーザが自分の車両に近づくだけでドアのキーが解錠し、他方、ユーザがこの車から遠去かるだけでドアのキーが施錠することにある。しかし、オートロック部24として1つしか選択できない、という不利は伴う。したがって図6の送信コードCDには、上述のとおり、ビットB3がない。
【0023】
後に説明するが、この第3実施例に相当するオートロック機構制御用受信機20は、ユーザが近づいて図6の送信コードCDを確実に受信すると同時に機構駆動部23を即座に起動するようになっており、他方、ユーザが車両から遠去かって(数10m離れて)、その送信コードCDの正確な受信ができなくなってから所定時間経過後、例えば3分後に、その機構駆動部23の起動を即座に停止するようになっている。したがって、この場合、コード送信部52(図4)は、微弱な電波を送信するように設計される。かくしてユーザはオートロック機構制御のためのボタン操作から開放される。
【0024】
上述した第1、第2および第3実施例を参照すると、図1に示すオートロック機構制御用送信機10は次のように構成される。
(i)送信手段12は、電波または光のいずれかを用いて、オートロック機構21をワイヤレスで制御する。
(ii)送信手段12の機能部分と、移動体通信用送信手段の機能部分とが、部分的に、相互に共用するように構成される。例えば第1実施例に示す送信部32である。
【0025】
(iii) 送信手段12は、オートロック機構制御用の予め定めたID番号を含む送信コードを生成する送信コード生成部31を有する。図5や図6に示す、ID番号B2を含む送信コードCDである。
(iv)送信手段12は、送信コード生成部31からの出力信号をワイヤレス信号として放射する送信部を含む。この送信部は、第1実施例の送信部32、第2実施例の発光デバイス42、第3実施例のコード送信部52に相当する。
【0026】
次に図1に示すオートロック機構制御用受信機20について説明する。
図7は本発明に係るオートロック機構制御用受信機の第1実施例を示す図である。これは第1または第2実施例(図2、図3)のオートロック機構制御用送信機10から放射されたオートロック機構制御用信号を受信する受信手段22を、オートロック機構21内に備えるオートロック機構制御用受信機20である。
【0027】
本図において、オートロック機構21と、受信手段22と、機構駆動部23(例えばソレノイドあるいは小型モータ)と、オートロック部24(例えばキー)については、既述のとおりである。
図8は本発明に係るオートロック機構制御用受信機の第2実施例を示す図である。これは第3実施例(図4)のオートロック機構制御用送信機10から放射されたオートロック機構制御用信号を受信する受信手段22を、オートロック機構21内に備えるオートロック機構制御用受信機20である。
【0028】
本図において、参照番号21、22、23、24、61、62、63および64を付した構成要素は、前図(図7)に示したものと同じであり、相違するのはタイマー65が付加されたことである。このタイマー65は、既述した、ユーザが車両から遠去かって送信コードCDの正確な受信ができなくなってから所定時間経過後、例えば3分後に、機構駆動部23の起動を即座に停止する際の、その所定時間(3分)を計時するタイマーである。
【0029】
なお、図7および図8において、受信手段22の入力部分には、送信機10側との間にワイヤレスリンクを形成するためのアンテナ61および受信部62が図示されているが、第2実施例の送信機10(図3)とペアになるときは、当然、その入力部分は、そのアンテナ61等に代えて、受光部および受光増幅部により形成される。
【0030】
第1実施例の受信機20(図7)において、受信手段22は、オートロック機構制御用信号に含まれるオートロック機構制御用の予め定めたID番号(B2)を含む送信コードCDを受信してこれを復号するコード復号部63と、復号されたそのID番号が、当該オートロック機構21に予め割り当てられたID番号と一致するか否か判定し一致したときに、該オートロック機構21を駆動するための信号を出力するコード判定部64を有する。
【0031】
第2実施例の受信機20(図8)においてもまた、受信手段22は、オートロック機構制御用信号に含まれるオートロック機構制御用の予め定めたID番号(B2)を含む送信コードCDを受信してこれを復号するコード復号部63と、復号されたそのID番号が、当該オートロック機構21に予め割り当てられたID番号と一致するか否か判定し一致したときに、該オートロック機構21を駆動するための信号を出力するコード判定部64とを有する。そしてこの第2実施例での受信手段22は、上述した一致の判定がなされずに(例えば3分間)所定時間が経過したとき、当該オートロック機構21を非駆動とするための信号を出力せしめるタイマー65をさらに有する。
【0032】
このような第2実施例の受信機20における動作について説明する。
図9は図8に示す受信手段22における動作を表すフローチャート(その1)、
図10は同図(その2)である。
図9および図10を参照すると、各ステップは次のとおりである。
【0033】
ステップ(S1):キーレスエントリシステムにおける車両のドアのキーが施錠されているか解錠されているかを示すOPENフラグが0となっている。すなわち施錠されている。ユーザが自己の車両から離れたことを表す状態である。
ステップ2(S2):送信機10からの送信コードCDを受信したか否か調べる。
【0034】
ステップ3(S3):送信コードCDを受信するとさらに、図6に示すID番号ビットB2を調べる。すなわち受信手段22の中に予め登録されているID番号との一致/不一致を、図8のコード判定部64(予め登録されたID番号をROM内に格納)において調べる。一致すれば正規ユーザである。
ステップ(S4):正規ユーザであることを確認すると、上記OPENフラグの0/1を確認する。OPENフラグが0ならば現時点でドアのキーが施錠中であるから、これを即座に解錠する。
【0035】
ステップ5(S5):上記の解錠と共に、OPENフラグを0→1(解錠中)に書き換える。
図9および図10に示すフローチャートのステップは繰り返し休みなく実行される。したがってOPENフラグが上記のように一旦0→1となると(ユーザが車両の中かまたはその近傍にいると)、上記ステップ4(S4)での判定はNoとなり、後述のステップ7(S7)にジャンプする。
【0036】
ステップ6(S6):OPENフラグを0→1にすると同時に、図8の機構駆動部23を起動し、オートロック部24であるドアのキーを解錠する。
ステップ7(S7):正規ユーザからのコードが受信できている間、以上の一連のステップS2→S6は、連続して繰り返し行われる。一方その都度、図8のタイマー65が例えば3分にセット(ON)されカウントダウンが始まる。このタイマー65は既に述べたように例えば3分でタイムオーバーとなる。
【0037】
しかしユーザが車両の中かその近傍にいる限り、そのタイマー65は3分にセット(ON)され続ける。
ステップ8(S8):ところがユーザが車両から離れると、送信機10から送出する電波が微弱であることから、上記ステップ2(S2)および、ステップ3(S3)におけるコード受信の判定結果は、NoとなったりYesとなったりし、ユーザが数10m以上も離れると、その判定結果は殆んどNoの連続となる。そして、そのNoの状態が3分を超えると、タイマー65はタイムオーバーとなる。ステップ8ではタイマーがONでかつタイムオーバーを検知した場合に、ステップ9へ移行する。
【0038】
ステップ9(S9):そのタイムオーバーを受けてタイマー65はリセット(OFF)される。
ステップ10(S10):タイマー65のリセットと共に当該車両のキーは自動的に施錠される。ユーザが車両に再び戻ると、上記ステップS2からの一連のステップが再開される。
【0039】
上述した第3実施例および既述の第1および第2実施例において表した受信手段22は、さらに、下記の2種の形態(I)および(II)によって構成されるようにしてもよい。
形態(I):受信手段22は、オートロック機構制御用送信機10から放射されたオートロック機構制御用信号を受信する第1の受信手段と、既存のオートロック機構制御用送信機から放射されたオートロック機構制御用信号を受信する第2の受信手段とから構成する、という第1の形態。
【0040】
形態(II):オートロック機構制御用送信機10から放射されたオートロック機構制御用信号のフォーマットと、既存のオートロック機構制御用送信機から放射されたオートロック機構制御用信号のフォーマットとを統一して、上述した第1の受信手段と第2の受信手段を1つの共通化するように構成する、という第2の形態。
【0041】
具体的には、次のとおりである。
上記第1の形態(I)では、移動体通信端末11から送信される信号と、従来のキーレス送信機の信号は個別のものとし、2系統の受信系を有する受信機を使用する。受信機の規模は大きくなるが、移動体通信端末側の送信フォーマットを統一することによって、この機能を有する受信機に対して、キーレス送信機を内蔵したすべての移動体通信端末11からの操作が可能となる。
【0042】
上記第2の形態(II)では、移動体通信端末11から送信される信号と、従来のキーレス送信機の信号を統一することによって、従来と同じ受信機で、両方のコードを受信できるようにする。電波式の場合は周波数、変調方式、信号フォーマット等を統一する。光通信方式の場合も変調方式や信号フォーマットを統一する。
【0043】
以上詳述したオートロック機構制御用送信機を一体に内蔵した携帯電話やPHS等の移動通信端末11が広く普及した場合、例えばキーレスエントリシステムにあっては、車両の盗難防止というセキュリティの問題を併せて考慮しておかなければならない。すなわち、図5および図6に示すID番号(ビットB2)の設定手法であり、オートロック機構の運用上の問題である。以下、このID番号の設定についていくつかの例を示す。
【0044】
図11はID番号設定の第1例を図解的に表す図である。
オートロック機構制御用送信機の中に設定されるID番号(B2)を、当該オートロック機構21のユーザに固有の電話番号に基づいて定める。ユーザが保有する携帯電話あるいはPHSの電話番号である。
この電話番号は、もともと携帯電話等と基地局との間の通信プロトコル上必然的に発信されるものであるから、ソフトウェアやハードウェア上の改変はほとんど要しない。またその性質上、同一の電話番号は、日本全国で2つとあり得ない。なおその電話番号の一部に、追加あるいは削除を行っても構わない。
【0045】
図12はID番号設定の第2例を図解的に表す図である。
オートロック機構制御用送信機の中に設定されるID番号(B2)を、当該移動体通信端末11に固有の製造番号および/または技術基準適合認定番号、いわゆる技適番号、に基づいて定める。
一般に移動体通信端末は、その製造時において固有の製造番号が与えられ、また無線装置であるから認定に合格したことを示す技適番号が付与される。このことに着目したのが本第2例であり、これらの番号は、通常、当該端末内のROMに、製造工程において既に書き込まれている。したがってソフトウェアやハードウェア上の改変はほとんど要しない。なおその番号の一部に追加あるいは削除を行っても構わない。
【0046】
図13はID番号設定の第3例を図解的に表す図である。
オートロック機構制御用送信機の中に設定されるID番号(B2)を、当該オートロック機構21のユーザが任意に指定した番号によって定める。すなわちユーザが勝手に意のままに決めたものである。例えば、生年月日ならびに時刻が1960年11月23日05時38分ならば、“196011230538”とする。かかるID番号は、悪意の第三者が手を尽くしても知りようのない番号である。
【0047】
このような全く任意のID番号を採用できることも本発明の特徴の1つである。これは移動体通信端末11が送信機10と一体に備わっているからであり、該端末11には必ずキー入力部(テンキー)14があることから、このテンキーにより全く自由なID番号を入力することができる。
図14はID番号設定の第4例を図解的に表す図である。
【0048】
図11から図13のいずれかにより定められたID番号に対してさらに暗号化処理を加えたID番号を用いる。
上述した図11〜図13によるID番号でも十分セキュリティは確保されるが、さらに暗号化処理を加えればID番号の推測はほとんど不可能であり、秘匿性は飛躍的に向上する。
【0049】
暗号化処理の1つとしては、数学的手法を用いる処理があり、8ビット程度のマイコンを用いて十分処理可能である。
あるいはスクランブル処理もある。これは単純に論理回路だけを用いて(マイコンを用いずに)実現できる。
図15はID番号設定の第5例を図解的に表す図である。
【0050】
オートロック機構制御用送信機の中に設定されるID番号(B2)を、当該移動体通信端末11の内部で発生させた乱数に基づいて定める。
例えば時刻データを用いて乱数を発生させる。悪意の第三者にとってこのようなID番号もまた全く推測不可能な番号であり、秘匿性が向上する。
第6例については図解を省略するが、いわゆるローリングコード方式を併用するものである。すなわち図11〜図15のいずれかにより定められたID番号(B2)を、ローリングコード方式に従って、1つのID番号を送信する毎に変化させる。
【0051】
送信コードCDのフォーマットにおいて、ID番号(B2)が固定の場合、正規のユーザがコードCDを送信している間に、悪意の第三者が別の受信機でそのコードを盗聴し、その盗聴したコードで車両が盗難されてしまうという事件が発生し、欧州ではローリングコード方式が一般的に使用されている。
ローリングコード方式の場合、送信コードCDの中に現在何番めの送信であるかを示す情報が追加される。この送信番号情報を表すコード長は、十分長いものが使用される。受信機側では、前回受け付けた送信番号をメモリに記憶しておき(今回受信した送信番号が前回の番号より新しい)、かつ、前回の番号+α以下のときのみ施錠/解錠処理を実行するという仕組みとなっている。なお、これらのコードに暗号化を施したりして秘匿性を高めたりしてもよい。上記の+αについて説明を加えると、ユーザが車両から離れたあとでたまたま無意識に送信コードの送信ボタンを空打ちしてしまうことがある。このような空打ちの数をマージンとして(例えばα+10)加えたのが、その+αである。
【0052】
以上の第1〜第6例のいずれかにより送信機10側でID番号が設定されたならば、そのID番号のコピーを対応する受信機20内のメモリに移植する必要がある。すなわち、第1例〜第6例のいずれかの方法により定められたID番号(B2)を、ペアリングによって、対応するオートロック機構制御用受信機20の中に登録する。この登録は現状のキーレスエントリシステムで採用している手法をそのまま利用すればよい。一般的には、ユーザがキーレスエントリシステムを購入するとき、車両の取扱い者(販売ディーラー)が、特別な手段を用いて受信機側への登録を行う(ペアリング)。
【0053】
もしユーザ個人でペアリングを行うのならば、当該車両のイグニッション・オン時に、オートロック機構制御用受信機20に設けた登録ボタンを押下しながら、送信機10からの送信コードの書込みを実行するようにしてもよい。
送信機側でのID番号の登録は次のようにしても行える。オートロック機構制御用送信機10の中に設定されるID番号を登録すべき当該車両の取扱い者(販売ディーラー)の電話機から当該移動体通信端末11に対して電話送信することにより設定する。
【0054】
本来ID番号の受信機20への登録は、既述したように、販売ディーラーで行うものであるが、これをユーザ側で行うようにするものである。これは送信機10が移動体通信端末11と一体になっていることを利用したものであり、販売ディーラーの電話機からこの端末11へID番号を送り、かつ、このときに端末11内の送信機10のメモリにこのID番号を書き込むようにする。
【0055】
その後、ユーザ個人で、当該受信機20へのID番号のペアリングを行えばよい。
最後に本発明に固有の利用形態について説明する。一例としてある1つの状況を想定する。ある会社の会社員Aがこの会社に出勤し、この会社のパーキングエリアに駐車している担当の車両で外勤に出ようとする。ところがこのとき会社員Aは、オートロック機構制御用送信機10を内蔵した移動体通信端末11を、自宅に置き忘れてしまったことに気付く。したがって会社員A担当の車両で約束先へ出発することができない。
【0056】
かかる状況が仮に発生したとしても会社員Aは自宅に端末11を取りに帰るには及ばない。
会社員Aは、会社に予備の端末11(あるいは会社員Bの端末11)を一旦借りる。会社員Aは借りた端末11から販売ディーラーに電話をし、会社員Aの車両のID番号(当該キーレスエントリシステムの購入先である販売ディーラーにおいては既知である)を、今電話中の端末11(会社員Bのもの)に電話送信することを要請する。
【0057】
ここに予備の端末11内(あるいは会社員Bの端末11内)の送信機10には、一時的に、会社員Aの車両のID番号が登録される。このID番号をもって会社員Aは担当車両のドアのキーを解錠し、発車可能となる。
すなわち、オートロック機構制御用受信機20に対しID番号を登録した当該車両の取扱い者の電話機から、当該移動体通信端末11とは異なる他の移動体通信端末に対して当該ID番号を電話送信することにより、該他の移動体通信端末にそのID番号を登録し、該他の移動体通信端末から当該オートロック機構21を駆動するようにすることができる。
【0058】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、従来は携帯すべき所持品の1つとして独立に存在していた、オートロック機構制御用のキーホルダー型送信機を、例えば携帯電話の中に一体に組み入れてしまったので、このキーホルダー型送信機を携帯し忘れるという可能性はきわめて低くなる。なぜなら現代人特にビジネスマンにとって、携帯電話は一時も離すことのできない所持品の1つとなっているからである。
【0059】
そして万一携帯し忘れたとしても、上述したように、携帯電話機能を活用して、少なくともキーの解錠はできる(なお、車両から離れるときの施錠はマニュアルで可能である)。
さらに携帯電話に本来備わっているキー入力機能を利用してユーザが自由にID番号を設定し、さらに登録することもできる。この場合、セキュリティが気になるが、既述した種々のID番号の設定から1つを選択して行えば、悪意の第三者から全く推測不可能なID番号が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の原理構成を示す図である。
【図2】本発明に係るオートロック機構制御用送信機の第1実施例を示す図である。
【図3】本発明に係るオートロック機構制御用送信機の第2実施例を示す図である。
【図4】本発明に係るオートロック機構制御用送信機の第3実施例を示す図である。
【図5】第1および第2実施例における送信コード生成部31により生成される送信コードのデータフォーマットを示す図である。
【図6】第3実施例(図4)における送信コード生成部31から生成される送信コードのデータフォーマットを示す図である。
【図7】本発明に係るオートロック機構制御用受信機の第1実施例を示す図である。
【図8】本発明に係るオートロック機構制御用受信機の第2実施例を示す図である。
【図9】図8に示す受信手段22における動作を表すフローチャート(その1)である。
【図10】図8に示す受信手段22における動作を表すフローチャート(その2)である。
【図11】ID番号設定の第1例を図解的に表す図である。
【図12】ID番号設定の第2例を図解的に表す図である。
【図13】ID番号設定の第3例を図解的に表す図である。
【図14】ID番号設定の第4例を図解的に表す図である。
【図15】ID番号設定の第5例を図解的に表す図である。
【符号の説明】
10…オートロック機構制御用送信機
11…移動体通信端末
12…送信手段
13…移動体通信処理部
14…キー入力部
15…ワイヤレス放射部
20…オートロック機構制御用受信機
21…オートロック機構
22…受信手段
23…機構駆動部
24…オートロック部
31…送信コード生成部
32…送信部
33…アンテナ
34…第1切替スイッチ
35…第2切替スイッチ
41…光通信ドライバ
42…発光デバイス
43…移動体通信無線部
44…アンテナ
51…タイマー
52…コード送信部
61…アンテナ
62…受信部
63…コード復号部
64…コード判定部
65…タイマー
CD…送信コード

Claims (19)

  1. オートロック機構をワイヤレスで制御するための送信手段を移動体通信端末と一体に構成し、前記送信手段は、電波または光のいずれかを用いて、前記オートロック機構をワイヤレスで制御し、かつ前記移動体通信端末のキー入力部からのコマンドなしに、オートロック機構制御用の予め定めたID番号を含む送信コードを間欠的に生成する送信コード生成部および該送信コード生成部の出力信号を放射するコード送信部を有することを特徴とするオートロック機構制御用送信機。
  2. 前記送信手段の機能部分と、前記移動体通信用送信手段の機能部分とが、部分的に、相互に共用するように構成される請求項に記載のオートロック機構制御用送信機。
  3. 前記送信コード生成部は、前記送信コードとして、同期用ビット、前記ID番号を表示するビットおよび誤りチェックのためのビットを生成する請求項に記載のオートロック機構制御用送信機。
  4. 前記請求項に記載のオートロック機構制御用送信機から放射されたオートロック機構制御用信号を受信する受信手段を、オートロック機構内に備えるオートロック機構制御用受信機。
  5. 前記受信手段は、前記オートロック機構制御用信号に含まれるオートロック機構制御用の予め定めたID番号を含む送信コードを受信してこれを復号するコード復号部と、復号された前記ID番号が、当該オートロック機構に予め割り当てられたID番号と一致するか否か判定し一致したときに、該オートロック機構を駆動するための信号を出力するコード判定部とを有する請求項に記載のオートロック機構制御用受信機。
  6. 前記受信手段は、前記一致の判定がなされずに所定時間が経過したとき、前記オートロック機構を非駆動とするための信号を出力せしめるタイマーを有する請求項に記載のオートロック機構制御用受信機。
  7. 前記受信手段は、前記オートロック機構制御用送信機から放射されたオートロック機構制御用信号を受信する第1の受信手段と、既存のオートロック機構制御用送信機から放射されたオートロック機構制御用信号を受信する第2の受信手段とからなる請求項に記載のオートロック機構制御用受信機。
  8. 前記オートロック機構制御用送信機から放射されたオートロック機構制御用信号のフォーマットと、前記既存のオートロック機構制御用送信機から放射されたオートロック機構制御用信号のフォーマットとを統一して、前記第1の受信手段と前記第2の受信手段を1つに共通化する請求項に記載のオートロック機構制御用受信機。
  9. 請求項に記載のオートロック機構制御用送信機の中に設定される前記ID番号を、当該オートロック機構のユーザに固有の電話番号に基づいて定めるオートロック機構運用方法。
  10. 請求項に記載のオートロック機構制御用送信機の中に設定される前記ID番号を、当該移動体通信端末に固有の製造番号および/または技術基準適合認定番号に基づいて定めるオートロック機構運用方法。
  11. 請求項に記載のオートロック機構制御用送信機の中に設定される前記ID番号を、当該オートロック機構のユーザが任意に指定した番号によって定めるオートロック機構運用方法。
  12. 請求項から11のいずれか一項記載の方法により定められた前記ID番号に対してさらに暗号化処理を加えたID番号を用いるオートロック機構運用方法。
  13. 請求項に記載のオートロック機構制御用送信機の中に設定される前記ID番号を、当該移動体通信端末の内部で発生させた乱数に基づいて定めるオートロック機構運用方法。
  14. 請求項から13のいずれか一項記載の方法により定められた前記ID番号を、ローリングコード方式に従って、1つのID番号を送信する毎に変化させるオートロック機構運用方法。
  15. 当該移動体通信端末のキー入力部から、前記ID番号を入力する請求項11に記載のオートロック機構運用方法。
  16. 請求項から14のいずれか一項記載の方法により定められた前記ID番号を、ペアリングによって、対応するオートロック機構制御用受信機の中に登録するオートロック機構運用方法。
  17. 前記オートロック機構が車両に搭載されるものであるとき、該車両のイグニッション・オン時に、前記オートロック機構制御用受信機に設けた登録ボタンを押下しながら前記ペアリングを実行する請求項16に記載のオートロック機構運用方法。
  18. 前記オートロック機構が車両に搭載されるものであるとき、請求項に記載のオートロック機構制御用送信機の中に設定されるID番号を登録すべき当該車両の取扱い者の電話機から当該移動体通信端末に対して電話送信することにより設定するオートロック機構運用方法。
  19. 前記オートロック機構が車両に搭載されるものであるとき、請求項4に記載のオートロック機構制御用受信機に対し該ID番号を登録した当該車両の取扱い者の電話機から、当該移動通信端末とは異なる他の移動体通信端末に対して該ID番号を電話送信することにより、該他の移動体通信端末に該ID番号を登録し、該他の移動体通信端末から当該オートロック機構を駆動するオートロック機構運用方法。
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