(第1実施形態)
以下、本発明を具体化した第1実施形態を図1〜図7に従って説明する。
図2に示すように、車両に設けられる自動変速装置10は、自動変速機11、シフト装置12、シフトアップスイッチ13、シフトダウンスイッチ14、変速機電子制御装置(以下、T−ECUという。)15等によって構成されている。
自動変速機11は、ガソリンエンジン(内燃機関。以下、単にエンジンという。)16の出力をトルクコンバータ17を介して入力し、変速した出力を、図示しない駆動系に出力する。
自動変速機11は、ギヤ部18、油圧制御部19を備えている。
ギヤ部18は、例えば遊星ギヤ式のギヤトレーンに加え、油圧クラッチ、油圧ブレーキ等の複数の摩擦係合要素を備えている。そして、作動する摩擦係合要素の組み合わせが切り換えられることで、ギヤトレーンの作動連結状態が、駐車状態、後退状態、中立状態、前進状態の内のいずれかに切り換えられる。さらに、前進状態において、作動連結するギヤ段が、1st、2nd、3rd、4th及び5thの内から選択される。
油圧制御部19は、外部から入力する制御信号に基づいて作動する複数の電磁ソレノイドを備え、各電磁ソレノイドの作動状態によって油圧クラッチ及び油圧ブレーキの作動状態を切り換える。そして、制御信号に基づいて、ギヤ部18の作動状態を、駐車状態、後退状態、中立状態、前進状態の内のいずれかに切り換えられる。
シフト装置12は、運転席の横に設けられ、自動変速機11の作動状態を、駐車状態、後退状態、中立状態及び前進状態のいずれから選択するためのシフトレバー20を備えている。
シフト装置12は、図4に示すように、P(駐車)位置、R(後退)位置、N(中立)位置、D(ドライブレンジ)位置、M(マニュアルレンジ)位置、2(2速レンジ)位置、L(1速レンジ)位置のシフト位置を備えたシフトゲートを備え、シフトレバー20によって各シフト位置が選択される。
シフトアップスイッチ13は、図2に示すように、ステアリングホイール21の左部に設けられ、また、シフトダウンスイッチ14は、ステアリングホイール21の右部に設けられている。シフトアップスイッチ13及びシフトダウンスイッチ14は、運転者がステアリング操作しながら操作することができるように設けられている。シフトアップスイッチ13は、シフト装置12によってM位置が選択されている状態のときに、運転者が意図的にそのときのギヤ段を1段高いギヤ段に切り換えるシフトアップ操作を行うために設けられている。同じく、シフトダウンスイッチ14は、そのときのギヤ段を1段低いギヤ段に切り換えるシフトダウン操作を行うために設けられている。
次に、本実施形態の電気的構成について説明する。
図2に示すように、エンジン16には、水温センサ22が設けられている。水温センサ22は、エンジン冷却水の水温TWを検出する。
吸気管23には、スロットルバルブ24のスロットル開度THを検出するスロットル開度センサ25が設けられている。
自動変速機11には、車速Vを検出する車速センサ26が設けられている。
本実施形態では、スロットル開度TH及び車速Vが第1の車両運転情報であり、車速Vが第2の車両運転情報である。
シフト装置12には、シフト位置SPを検出するシフト位置センサ27が設けられている。
図3に示すように、T−ECU15は、シフトアップスイッチ13、シフトダウンスイッチ14からそれぞれの操作信号を入力する。また、T−ECU15は、水温センサ22、スロットル開度センサ25、車速センサ26、シフト位置センサ27からそれぞれの検出信号を入力する。
一方、T−ECU15は、自動変速機11の油圧制御部19に、その作動状態を指令する制御信号と、前進状態のときに作動連結するギヤ段を指令する制御信号とを出力する。本実施形態では、T−ECU15が、モード切換時ギヤ段設定手段、モード切換時シフトレンジ設定手段である。
T−ECU15は、シフト位置センサ27が検出するシフト位置SPに基づき、自動変速機11の油圧制御部19を制御して、ギヤ部18の作動状態を切り換える。
すなわち、T−ECU15は、シフト位置SPがP位置のときにはギヤ部18を駐車状態とし、同じくR位置のときには後退状態とし、また、同じくN位置のときには中立状態とする。
また、T−ECU15は、シフト位置SPがD位置のときには自動変速モードとなる。そして、図5に示すように、1st〜5thの全ギヤ段から、そのときの車両運転状態に応じて適切な燃費及び動力が得られるギヤ段を随時選択し、そのギヤ段による作動連結する自動変速制御を行う。
自動変速制御は公知の制御であって、本実施形態では、車速V及びスロットル開度THに基づいて車両運転状態(エンジン負荷、運転者の要求トルク等)を判定し、そのときの車両運転状態に対して予め設定されているギヤ段を選択する。本実施形態では、車速V及びスロットル開度THが、第1の車両運転情報を構成する。
また、T−ECU15は、シフト位置SPが2位置のときには、2ndから高いギヤ段へのアップシフトを行わず、図5に示すように、車両運転状態に応じて2ndを上限ギヤ段とするシフトレンジで、自動変速モード時と同内容の自動変速制御を行う。
また、T−ECUは、シフト位置がL位置のときには、作動連結するギヤ段を1stに固定する。
また、T−ECU15は、シフト位置SPがM位置のときには手動変速モードとなり、シフトアップスイッチ13によるシフトアップ操作SU、又は、シフトダウンスイッチ14によるシフトダウン操作SDに基づき、そのとき設定しているシフトレンジを変化させる。シフトレンジは、5レンジ、4レンジ、3レンジ、2レンジ及びLレンジの5つである。図7に示すように、5レンジは1st〜5thが選択可能であり、4レンジは1st〜4thが選択可能である。また、3レンジは1st〜3rdが選択可能であり、2レンジは1st,2ndが選択可能である。また、Lレンジは1stのみが使用可能である。すなわち、T−ECU15は、手動変速モードにおいて、いわゆるレンジホールド型の変速制御を行う。本実施形態では、シフトアップ操作SU及びシフトダウン操作SDがそれぞれ手動変速操作である。
手動変速モードにおいて、T−ECU15は、シフトアップ操作SUが行われたときに、そのときに設定しているシフトレンジを、このシフトレンジの上限ギヤ段の1つ高いギヤ段を上限ギヤ段とするシフトレンジに切り換える。すなわち、図6に示すように、そのときにLレンジを設定しているときには2レンジに切り換え、同じく2レンジを設定しているときには3レンジに切り換える。また、そのときに3レンジを設定しているときには4レンジに切り換え、同じく4レンジを設定しているときには5レンジに切り換える。
また、T−ECU15は、シフトダウン操作SDが行われたときに、そのときに設定しているシフトレンジを、このシフトレンジの上限ギヤ段の1つ低いギヤ段を上限ギヤ段とするシフトレンジに切り換える。すなわち、図6に示すように、そのときに5レンジを設定しているときには4レンジに切り換え、同じく4レンジを設定しているときには3レンジに切り換える。また、そのときに3レンジを設定しているときには2レンジに切り換え、同じく2レンジを設定しているときにはLレンジに切り換える。
また、T−ECU15は、手動変速モードにおいて、そのときに設定しているシフトレンジで、D位置での自動変速モードで行う自動変速制御の同内容の自動変速制御を行う。すなわち、そのときに設定しているシフトレンジが5レンジであるときには、図7に示すように、1st〜5thのギヤ段を、スロットル開度TH及び車速Vに基づいて切り換え、また、4レンジであるときには、1st〜4thのギヤ段を同様に切り換える。同じく、シフトレンジが3レンジであるときには、1st〜3rdのギヤ段を同様に切り換え、また、2レンジであるときには1st,2ndのギヤ段を同様に切り換える。なお、シフトレンジがLレンジであるときには、スロットル開度TH及び車速Vに関係なく1stに固定する。すなわち、T−ECU15は、手動変速モードにおいて、L,2,3及び4レンジでの自動変速制御を行うときには、自動変速モードでの自動変速制御と異なり、そのときのシフトレンジの上限ギヤ段からのアップシフトを停止する。
(第1シフトレンジ設定制御)
また、T−ECU15は、シフト位置SPがD位置からM位置に切り換えられたときに、そのときの車速Vに基づいて、切り換え後のシフトレンジを5つのシフトレンジから選択して設定する第1シフトレンジ設定制御を行う。本実施形態では、車速Vが第2の車両運転情報である。
第1シフトレンジ設定制御の制御内容を、図1のフローチャートに従って説明する。
先ず、ステップ(以下、Sと略記する。)100で、シフト位置SPがM位置であるか否かを判断し、M位置であったときには手動変速モードのままとなり手動変速制御を継続する。
S100でシフト位置SPがD位置であったときには、S101で手動変速モードから自動変速モードとなって自動変速制御を実行する。
自動変速モードにおいて、先ず、S102で、車速Vが所定の第1車速判定値SPDCHK1未満であるか否かを判断する。そして、第1車速判定値SPDCHK1未満であったときには、S103で、3レンジフラグsftch3RGを「1」とし、4レンジフラグsftch4RG及び5レンジフラグsftch5RGを「0」する。ここで、第1車速判定値SPDCHK1は、そのときの車速Vが、自動変速モードでの自動変速制御において3rd及び4thのいずれが選択される大きさであるか否かを判断することができる値である。また、3レンジフラグsftch3RG、4レンジフラグsftch4RG及び5レンジフラグsftch5RGは、それぞれ3レンジ、4レンジ及び5レンジを設定するためのものである。
S103で、車速Vが第1車速判定値SPDCHK1以上であったときには、S104で、車速Vが、第1車速判定値SPDCHK1よりも大きな値に設定された第2車速判定値SPDCHK2未満であるか否かを判断する。そして、車速Vが第2車速判定値SPDCHK2未満であったときには、S105で、4レンジフラグsftch4RGを「1」とし、3レンジフラグsftch3RG及び5レンジフラグsftch5RGを「0」とする。ここで、第2車速判定値SPDCHK2は、そのときの車速Vが、自動変速モードでの自動変速制御において4th及び5thのいずれが選択される大きさであるか否かを判断することができる値である。
S104で、車速Vが第2車速判定値SPDCHK2以上であったときには、S106で、5レンジフラグsftch5RGを「1」とし、3レンジフラグsftch3RG及び4レンジフラグsftch4RGを「0」とする。
S103,S105,S106の実行後、次にS107で、シフト位置SPがD位置からM位置に切り換えられたか否かを判定し、D位置のままであったときには再びS101を実行する。
一方、S107でシフト位置SPがM位置であったときには、先ず、S108で、3レンジフラグsftch3RGが「1」であるか否かを判断し、「1」であったときには、次にS109で3レンジに切り換え、また、3レンジフラグsftch3RGを「0」とした後に本処理を終了する。
S108で3レンジフラグsftch3RGが「1」でなかったときには、S110で4レンジフラグsftch4RGが「1」であるか否かを判断し、「1」であったときには、次にS111で4レンジに切り換え、また、4レンジフラグsftch4RGを「0」とした後に本処理を終了する。
また、S110で4レンジフラグsftch4RGが「1」でなかったときには、次にS112で5レンジに切り換え、また、5レンジフラグsftch5RGを「0」とした後に本処理を終了する。
(作用)
次に、以上のように構成された本実施形態の作用について説明する。
運転者がシフト位置SPをD位置とし、自動変速制御によって3rdが設定されている状態、すなわち、車速Vが第1車速判定値SPDCHK1未満の定速走行状態からアクセルペダルを離すと、スロットル開度THが全閉となったことにより、3rdから5thへアップシフトされる。
ここで、運転者が、5thでのエンジンブレーキよりも強いエンジンブレーキをかけるためのダウンシフトを行おうとするときには、シフト位置SPをD位置からM位置に切り換える。すると、第1シフトレンジ設定制御により、M位置でのシフトレンジが3レンジとなり、ギヤ段が5thから3rdに切り替わる。
この状態で運転者が1回だけシフトダウン操作SDを行うと、シフトレンジが3レンジから2レンジに切り換えられ、ギヤ段が3rdから2ndへダウンシフトする。その結果、自動変速制御によって3rdが選択される定速走行時に、1段低い2ndのギヤ段によるより強い大きさのエンジンブレーキが得られる。
また、運転者がシフト位置SPをD位置とし、自動変速モードにおいて5thが設定されている状態、すなわち、車速Vが第2車速判定値SPDCHK2以上の高速走行状態からアクセルペダルを離すと、5thが維持される。
ここで、運転者が、5thでの加速トルクよりも強い加速トルク、あるいは、5thでのエンジンブレーキよりも強いエンジンブレーキを得るためのダウンシフトを行おうとするときには、シフト位置SPをD位置からM位置に切り換える。すると、第1シフトレンジ設定制御により、M位置でのシフトレンジが5レンジとなり、ギヤ段が5thのままとなる。
この状態で運転者が1回だけシフトダウン操作SDを行うと、シフトレンジが5レンジから4レンジに切り換えられ、ギヤ段が5thから4thにダウンシフトする。その結果、自動変速制御によって5thが設定される高速走行時に、1段低い4thのギヤ段によるより強い加速トルク、あるいは、エンジンブレーキが得られる。
従って、自動変速モードから手動変速モードに切り換えた後、シフトダウン操作を1回行うだけで、自動変速モードで設定されていたギヤ段から1段低いギヤ段へのダウンシフトを行うことができる。
(効果)
次に、以上詳述した本実施形態が有する効果を列記する。
(1) シフト位置SPがD位置のときの自動変速モードでは、T−ECU15が、そのときのスロットル開度TH及び車速V(第1の車両情報)に基づいて5速の中からギヤ段を選択し、自動変速機11に設定する。
運転者がシフト位置SPをD位置からM位置に切り換えたときに、T−ECU15は、そのときの車速V(第2の車両運転情報)に基づいて選択したシフトレンジを自動変速機11に設定する。
従って、手動変速モードへの切換時に、自動変速モードにおいて設定されるギヤ段とは異なるギヤ段が設定されるので、手動変速モードでのより少ないシフトダウン操作によって運転者が意図するより強いエンジンブレーキが得られるギヤ段へのダウンシフトを行うことができる。
一方、特開平6−221417号公報の車両用自動変速機の変速制御装置では、自動変速モードでの走行中に、3rdで加速した状態から、運転者が減速を意図してアクセルペダルを戻すと、変速制御装置がギヤ段を3rdから5thにアップシフトしてしまう。ここで、運転者がより強い減速を意図してシフト装置をDレンジからBレンジに切り換えると、ギヤ段が5thから4thにダウンシフトされる。ところが、運転者が意図するエンジンブレーキは、3rdより1段低い2ndで得られるため、Bレンジで2回のシフトダウン操作を行う必要がある。
これに対し、本実施形態では、手動変速モードへの切り換え後、1回のシフトダウン操作SDを行うだけで2ndが設定される。
(2) 手動変速モードのときに、T−ECU15は、自動変速モードからの切換時に設定されたシフトレンジの範囲で、そのときのスロットル開度TH及び車速V(第1の車両運転情報)に基づいてギヤ段を選択し、そのギヤ段を自動変速機11に設定する。
また、T−ECU15は、手動変速モードでのシフトアップ操作SUに基づいて、上限ギヤ段が1段高いシフトレンジに切り換え、また、同じくシフトダウン操作に基づいて、上限ギヤ段を1段低いシフトレンジに切り換える。
従って、手動変速モードでの走行時に、そのときの車両運転状態に応じてギヤ段のダウンシフトが自動で行われる。
このため、手動変速モードでの運転時において、意図的なダウンシフトによるより強いエンジンブレーキをかけない状態での減速時に、自動でダウンシフトが行われるので、シフトダウン操作が不要となり運転が容易となる。
(3) 運転者が自動変速モードから手動変速モードに切り換えたときに、T−ECU15が、そのときの車速V(第2の車両運転情報)に基づいてギヤ段を選択して自動変速機11に設定する。
従って、自動変速モードでの走行時に、運転者のアクセルオフに基づいてそのときのギヤ段からのアップシフトが行われた状態で手動変速モードに切り換えられたときに、切換後のギヤ段が、アクセルオフ前に自動変速制御によりスロットル開度TH及び車速Vに基づいて設定されていたギヤ段となる。
このため、自動変速モードでのアクセルペダルの踏込み状態に関係なく、手動変速モードに切り換えられるときの車速Vに応じて適切なギヤ段が設定される。そして、手動変速モードでの1回のシフトダウン操作によって、運転者が意図するより強いエンジンブレーキ(あるいは、加速トルク)が得られるギヤ段に切り換えることができる。
(第2実施形態)
次に、本発明を具体化した第2実施形態を図8に従って説明する。尚、本実施形態が前記第1実施形態と異なる点は、次の3点である。先ず、第1点は、自動変速機のギヤ段を6段としたことである。第2点は、自動変速モードにおいて、登降坂制御を行うようにしたことである。第3点は、第1シフトレンジ設定制御の代わりに第2シフトレンジ設定制御を行うようにしたことである。従って、第1実施形態と同じ構成については、符号を同じにしてその説明を省略し、第1実施形態と異なる3点のみについて説明する。
本実施形態では、T−ECU15が、手動変速時ギヤ段設定手段、手動変速時シフトレンジ設定手段及び自動変速時変速制限手段である。
T−ECU15は、シフト位置SPがD位置のときの自動変速モードにおいて、1st〜6thの全ギヤ段から、そのときの車両運転状態に応じて適切な燃費及び動力が得られるギヤ段を随時選択し、そのギヤ段による作動連結する自動変速制御を行う。本実施形態においても、前記第1実施形態と同様に、第1の車両運転情報としての車速V及びスロットル開度THに基づいてギヤ段を選択する。
また、T−ECU15は、シフト位置SPがM位置のときには手動変速モードとなり、シフトアップ操作SU及びシフトダウン操作SDに基づき、そのときに設定するシフトレンジを順に切り換える。このシフトレンジは、第1実施形態の5つのレンジに、6レンジが加えられたものである。6レンジは、1st〜6thが選択可能である。すなわち、T−ECU15は、そのときに5レンジを設定しているときには、シフトアップ操作によって6レンジに切り換える。また、そのときに6レンジを設定しているときには、シフトダウン操作によって5レンジに切り換える。さらに、T−ECU15は、手動変速モードにおいて6レンジを設定しているときに、車両運転状態に応じて適切なギヤ段を1st〜6thの中から選択し、自動変速機11に設定する。
(登降坂制御)
T−ECU15は自動変速モードでの登坂及び降坂時に、そのとき設定するギヤ段の上限を、その勾配抵抗に基づいて、より低いギヤ段に制限する登降坂制御を行う。
登降坂制御は公知の制御であって、本実施形態ではスロットル開度THと、車速Vから求めた車両加速度とに基づいて登坂時及び降坂時の勾配抵抗を検出する。本実施形態では、登坂時又は降坂時の勾配抵抗が、第3の車両運転情報である。
具体的に説明すると、登坂時における勾配抵抗の検出値(正の値)の大きさが所定の第1勾配判定値以上となったときには5thを上限のギヤ段とし、5thから6thへのアップシフトを停止し、また、6thから5thへのダウンシフトを行う。また、同じく検出値の大きさが第1勾配判定値よりも大きな値に設定された第2勾配判定値以上となったときには4thを上限のギヤ段とし、4thから5thへのアップシフトを停止し、また、5th,6thから4thへのダウンシフトを行う。さらに、同じく検出値の大きさが第2勾配判定値よりも大きな値に設定された第3勾配判定値以上となったときには3rdを上限のギヤ段とし、3rdから4thへのアップシフトを停止し、また、4th,5th,6thから3rdへのダウンシフトを行う。
また、降坂時における勾配抵抗の検出値(負の値)の大きさが所定の第4勾配判定値以上となったときには5thを上限のギヤ段とし、5thから6thへのアップシフトを停止し、また、6thから5thへのダウンシフトを行う。また、同じく検出値の大きさが第4勾配判定値よりも大きな値に設定された第5勾配判定値以上となったときには4thを上限のギヤ段とし、4thから5thへのアップシフトを停止し、また、5th,6thから4thへのダウンシフトを行う。さらに、同じく検出値の大きさが第5勾配判定値よりも大きな値に設定された第6勾配判定値以上となったときには3rdを上限のギヤ段とし、3rdから4thへのアップシフトを停止し、また、4th,5th,6thから3rdへのダウンシフトを行う。
また、T−ECU15は、自動変速モードにおいて登降坂制御を実行していたときにシフト位置SPがD位置からM位置に切り換えられときには、その登降坂制御によって制限された上限のギヤ段を上限ギヤ段とするシフトレンジを設定する第2シフトレンジ設定制御を実行する。
本実施形態では、登降坂制御によって制限された上限のギヤ段が、第2の車両運転情報である。
(第2シフトレンジ設定制御)
第2シフトレンジ設定制御の制御手順を、図8のフローチャートに従って説明する。
先ず、S200で、シフト位置SPがM位置であるか否かを判断し、M位置であったときには手動変速モードのままとなり手動変速制御を継続する。
S200でシフト位置SPがD位置であったときには、S201で手動変速モードから自動変速モードとなって自動変速制御を実行する。
自動変速制御において、先ず、S202で、登降坂制御において上限ギヤ段の制限を行っている状態であるか否かを判断する。そして、上限ギヤ段の制限を行なっていない状態であるときには、S203で、3速フラグXEN3rd、4速フラグXEN4th及び5速フラグXEN5thを全て「0」とした後に自動変速制御を継続する。ここで、3速フラグXEN3rd、4速フラグXEN4th及び5速フラグXEN5thは、それぞれ3レンジ、4レンジ及び5レンジを設定するためのものである。
一方、S202で、上限ギヤ段の制限を行っていたときには、次に、S204で、そのときに設定しているシフトレンジの上限ギヤ段が、3rd、4th及び5thのいずれであるか判定する。
S204で、上限ギヤ段が3rdであったときには、次にS205で、3速フラグXEN3rdを「1」とし、同じく上限ギヤ段が4thであったときには、次にS206で、4速フラグXEN4thを「1」とする。また、S204で、上限ギヤ段が5thであったときには、次にS207で、5速フラグXEN5thを「1」とする。
S205,S206,S207の実行後、次にS208で、シフト位置SPがDレンジからMレンジに切り換えられたか否かを判定し、D位置のままであったときには再びS201を実行する。
一方、S208で、シフト位置SPがM位置であったときには、先ず、S209で、3速フラグXEN3rdが「1」であるか否か判断し、「1」であったときには、次にS210で3レンジに切り換えた後に本処理を終了する。
S209で3速フラグXEN3rdが「1」でなかったときには、次にS211で4速フラグXEN4thが「1」であるか否か判断し、「1」であったときには、次にS212で4レンジに切り換えた後に本処理を終了する。
S211で4速フラグXEN4thが「1」でなかったときには、次にS213で5レンジに切り換えた後に本処理を終了する。
(作用)
次に、以上のように構成された本実施形態の作用について説明する。
運転者がシフト位置SPをD位置とし、車両を登坂させているときの登坂勾配による勾配抵抗が第1勾配判定値以上で第2勾配判定値未満の緩やかな登坂状態では、登降坂制御によりギヤ段の上限が5thに制限される。
ここで、運転者が、5thでの登坂トルクよりも強い登坂トルクを得るためのダウンシフトを行おうとするときには、シフト位置SPをD位置からM位置に切り換える。すると、第2シフトレンジ設定制御により、M位置でのシフトレンジが5レンジとなり、ギヤ段は5thのままとなる。
この状態で運転者が1回だけシフトダウン操作すると、シフトレンジが5レンジから4レンジに切り換えられ、ギヤ段が5thから4thにダウンシフトする。その結果、登降坂制御によって5thがシフトレンジの上限ギヤ段として設定される緩やかな登坂走行時に、1段低い4thのギヤ段によるより強い登坂トルクが得られる。
また、自動変速モードで車両を登坂時させているときの勾配抵抗が第2勾配抵抗判定値以上で第3勾配抵抗判定値未満の中程度の登坂状態では、登降坂制御によりギヤ段の上限が4thに制限される。
ここで、運転者が、4thでの登坂トルクよりも強い登坂トルクを得るためのダウンシフトを行おうとするときには、シフト位置SPをD位置からM位置に切り換える。すると、第2シフトレンジ設定制御により、M位置でのシフトレンジが4レンジとなり、ギヤ段は4thのままとなる。
この状態で運転者が1回だけシフトダウン操作すると、シフトレンジが4レンジから3レンジに切り換えられ、ギヤ段が4thから3rdにダウンシフトする。その結果、登降坂制御によって4thが上限ギヤ段として設定される中程度の登坂走行時に、1段低い3rdのギヤ段によるより強い登坂トルクが得られる。
また、自動変速モードで車両を登坂させているときの勾配抵抗が第3勾配抵抗判定値以上の急な登坂状態では、登降坂制御によりギヤ段の上限が3rdに制限される。
ここで、運転者が、3rdでの登坂トルクよりも強い登坂トルクを得るためのダウンシフトを行おうとするときには、シフト位置SPをD位置からM位置に切り換える。
すると、第2シフトレンジ設定制御により、M位置でのシフトレンジが3レンジとなり、ギヤ段は3rdのままとなる。
この状態で運転者が1回だけシフトダウン操作すると、シフトレンジが3レンジから2レンジに切り換えられ、ギヤ段が3rdから2ndにダウンシフトする。
その結果、登降坂制御によって3rdが上限ギヤ段として設定される急な登坂走行時に、1段低い2ndのギヤ段によるより強い登坂トルクが得られる。
従って、自動変速モードから手動変速モードに切り換えた後、シフトダウン操作を1回行うだけで、自動変速モードで設定されていたギヤ段から1段低いギヤ段へのダウンシフトを行うことができる。
また、車両降坂時においても、登坂時と同様に、運転者が1回シフトダウン操作すると、そのときの上限ギヤ段よりも1段低いギヤ段にダウンシフトされ、1段低いギヤ段によるより強いエンジンブレーキが得られる。
(効果)
次に、以上詳述した本実施形態が有する効果を列記する。
(4) 運転者が自動変速モードから手動変速モードに切り換えたときに、T−ECU15が、登降坂制御によって制限された上限のギヤ段(第3の車両運転情報)を上限ギヤ段とするシフトレンジを設定する。
このため、自動変速モードでの登降坂制御によって制限されているギヤ段の上限が異なっても、手動変速モードへの切り換えたときに、そのときに制限されている上限のギヤ段が設定される。
従って、手動変速モードへの切換後、シフトダウン操作SDを1回行うだけで、運転者が意図するより強い登坂トルクが得られるギヤ段に切り換えることができる。
(第3実施形態)
次に、本発明を具体化した第3実施形態を図9、図10、図11及び図12に従って説明する。本実施形態は、次の2点においてのみ前記第1実施形態と異なる。先ず、第1点は、新たにエンジン回転数センサ30、吸気量センサ31及びアクセル開度センサ33を備えたことである。第2点は、手動変速モード時にT−ECU15が第3シフトレンジ設定制御を行うことである。従って、第1実施形態と同じ構成についてはその説明を省略し、第1実施形態と異なる前記2点のみについて説明する。
図9に示すように、エンジン16には、エンジン回転数NEを検出するエンジン回転数センサ30が設けられている。
吸気管23の入り口には、燃焼用空気の吸気量Vfを検出する吸気量センサ31が設けられている。
アクセルペダル32には、アクセル開度tapを検出するアクセル開度センサ33が設けられている。
本実施形態では、T−ECU15が、手動変速時ギヤ段設定手段、手動変速時シフトレンジ設定手段である。
T−ECU15は、エンジン回転数センサ30が出力する検出信号からエンジン回転数NEを取得し、吸気量センサ31が出力する検出信号から吸気量Vfを取得し、また、アクセル開度センサ33が出力する検出信号からアクセル開度tapを取得する。
T−ECU15は、十分に短い時間間隔で取得した車速Vから、現時点での車両加速度である現車両加速度gbefを求める。
また、T−ECU15は、取得したエンジン回転数NE及び吸気量Vfからエンジントルクを求める。
さらに、T−ECU15は、求めたエンジントルク、車速V、手動変速モードにおいてそのとき設定されているシフトレンジよりも1段又は2段低いギヤ段を上限ギヤ段とするシフトレンジのときに設定されるギヤ段のギヤ比、動力伝達系の伝達比等から、変速後加速度gafを推定する。
本実施形態のT−ECU15は、手動変速モードにおいてシフトダウン操作SDが行われたときのシフトレンジを、そのときのアクセル開度tap、現車両加速度gbef、及び、変速後加速度gafに基づいて設定する第3シフトレンジ設定制御を行う。
本実施形態では、アクセル開度tap、現車両加速度gbef及び変速後加速度gafから第4の車両運転情報が把握される。
第3シフトレンジ設定制御において、T−ECU15は、アクセル開度tapに基づいて、運転者が加速する意図があるか否かを判断する。また、このアクセル開度tapに対応した現車両加速度gbefから、現時点において車両が加速状態であるか、それとも、定常走行状態又は減速状態であるかを判断する。さらに、このときのアクセル開度tapに対応する変速後加速度gafから、変速後において車両が加速状態となるか、それとも、定常走行状態又は減速状態となるかを推定する。そして、これらの判断結果から、ダウンシフト操作SDが行われたときに設定するシフトレンジを決定する。
(第3シフトレンジ設定制御)
第3シフトレンジ設定制御の制御内容を、図10〜図12に示すフローチャートに従って説明する。
先ず、S300で、シフト位置SPに基づいて手動変速モードであるか否かを判断し、手動変速モードでなかったときにはこの制御を実行しない。
一方、S300で手動変速モードであったときには、次にS301で、アクセル開度tapが、予め設定されているアクセル開度判定値tap1未満であるか否かを判断する。アクセル開度判定値tap1は、運転者が加速する意図でアクセルペダル32を踏み込んでいるか否かを判断することができる値に設定されている。すなわち、S301では、運転者が加速する意図をもってアクセルペダル32を踏み込んでいるか否かを判断する。
(運転者に加速する意図がない場合)
S301で、アクセル開度tapがアクセル開度判定値tap1未満であったときには、次に、S302で、非加速度フラグtapcstを「1」とする。
次に、S303で、現車両加速度gbefが、予め設定されている非加速時第1加速度判定値regg1を超えているか否かを判断する。非加速時第1加速度判定値regg1は、運転者が加速する意図を持たずにアクセルペダル32を踏み込んでいるときの現車両加速度gbefについて、その相対的な大きさを判別することができる値に設定されている。すなわち、S303では、運転者が加速する意図を持たず、アクセルペダル32をそれほど踏み込んでいないときに、そのときの駆動力と走行抵抗とによって決定される現車両加速度gbefが、相対的に大きいか否かを判断する。ここで、走行抵抗は、そのときの車速Vに応じた空気抵抗や、走行路の傾斜に応じた勾配抵抗等の総和である。
S303において、現車両加速度gbefが非加速時第1加速度判定値regg1以下であったときには、次に、S304で、非加速時第1加速度フラグgbefidacを「0」とした後にS305を実行する。
S305では、現時点で設定されているシフトレンジを、上限ギヤ段が1段低いシフトレンジ(Xレンジ)に切り換えたときに設定されるギヤ段によってもたらされる加速度である変速後加速度gafが、予め設定されている非加速時第2加速度判定値dcafgより小さくなるか否かを判断する。非加速時第2加速度判定値dcafgは、上限ギヤ段が1段低いシフトレンジから設定されるギヤ段によってもたらされる変速後加速度gafについて、その相対的な大きさを判別することができる値である。すなわち、S305では、運転者が加速する意図を持たないときに、そのときの駆動力と走行抵抗とによって決定される変速後加速度gafが、相対的に大きいか否かを判断する。
なお、シフトダウン操作SDによって、現時点で設定されているシフトレンジが、1段低いギヤ段を上限ギヤ段とするシフトレンジに切り換えられたときに設定されるギヤ段は、現時点のギヤ段より1段低いギヤ段である場合と、現時点のギヤ段と同じギヤ段である場合とがある。すなわち、現時点のシフトレンジでその上限ギヤ段が設定されているときには、シフトレンジのダウンシフトによって1段低いギヤ段が設定される。また、現時点のシフトレンジでその上限ギヤ段よりも低いギヤ段が設定されているときには、シフトレンジのダウンシフトによっても設定されるギヤ段に変化がない。
S305で、上限ギヤ段が1段低いシフトレンジから設定されるギヤ段によってもたらされる変速後加速度gafが非加速時第2加速度判定値dcafgより小さかったときには、次に、S306で、非加速時第2加速度フラグgafiddcを「1」とした後にS308を実行する。一方、S305で、同じく変速後加速度gafが非加速時第2加速度判定値dcafg以上であったときには、次に、S307で、非加速時第2加速度フラグgafiddcを「0」とした後にS308を実行する。
一方、S303において、現車両加速度gbefが非加速時第1加速度判定値regg1を超えていたときには、次にS309で、非加速時第1加速度フラグを「1」とした後にS310を実行する。
S310では、現時点のシフトレンジを、上限ギヤ段が2段低いシフトレンジ(X−1レンジ)に切り換えたときに設定されるギヤ段によってもたらされる変速後加速度gafが非加速時第2加速度判定値dcafgより小さくなるか否かを判断する。非加速時第2加速度判定値dcafgは、上限ギヤ段が2段低いシフトレンジから設定されるギヤ段によってもたらされる変速後加速度gafについて、その相対的な大きさを判別することができる値である。すなわち、S310においてもS305と同様に、運転者が加速する意図を持たないときに、そのときの駆動力と走行抵抗とによって決定される変速後加速度gafが、相対的に大きいか否かを判断する。
なお、シフトダウン操作SDによって、現時点で設定されているシフトレンジが、2段低いギヤ段を上限ギヤ段とするシフトレンジに切り換えられたときに設定されるギヤ段は、現時点のシフトレンジから設定されているギヤ段より2段又は1段低いギヤ段である場合と、現時点のギヤ段と同じギヤ段である場合とがある。すなわち、現時点のシフトレンジでその上限ギヤ段又はその1段低いギヤ段が設定されているときには、シフトレンジのダウンシフトによって2段又は1段低いギヤ段が設定される。また、現時点のシフトレンジでその上限ギヤ段よりも2段以上低いギヤ段が設定されているときには、シフトレンジのダウンシフトによっても設定されるギヤ段に変化がない。
S310で、上限ギヤ段が2段低いシフトレンジから設定されるギヤ段によってもたらされる変速後加速度gafが非加速時第2加速度判定値dcafgより小さかったときには、次に、S306で、非加速時第2加速度フラグgafiddcを「1」とした後にS308を実行する。一方、S310で、同じく変速後加速度gafが非加速時第2加速度判定値dcafg以上であったときには、次に、S307で、非加速時レンジ設定フラグgafiddcを「0」とした後にS308を実行する。
(運転者に加速する意図がある場合)
また、S301において、アクセル開度tapがアクセル開度判定値tap1以上であったときには、次に、S311で、非加速度フラグtapcstを「0」とする。
次に、S312で、現車両加速度gbefが、予め設定されている加速時第1加速度判定値regg2を超えているか否かを判断する。加速時第1加速度判定値regg2は、運転者が加速する意図をもってアクセルペダル32を踏み込んでいるときの現車両加速度gbefについて、相対的な大きさを判別することができる値に設定されている。すなわち、S312では、運転者が加速意図をもってアクセルペダル32を踏み込んでいるときに、そのときの駆動力と走行抵抗とによって決定される現車両加速度gbefが、相対的に大きいか否かを判断する。
S312において、現車両加速度gbefが加速時第1加速度判定値regg2以下であったときには、次にS313で、加速時第1加速度フラグgbeftaacを「1」とした後にS314を実行する。
S314では、現時点で設定されているシフトレンジを、上限ギヤ段が1段低いシフトレンジ(Xレンジ)に切り換えたときに設定されるギヤ段によってもたらされる変速後加速度gafが、予め設定されている加速時第2加速度判定値acafgより小さくなるか否かを判断する。加速時第2加速度判定値acafgは、上限ギヤ段が1段低いシフトレンジから設定されるギヤ段によってもたらされる変速後加速度gafについて、その相対的な大きさを判別することができる値である。すなわち、S314では、運転者が加速する意図を持っていないときに、そのときの駆動力と走行抵抗とによって決定される変速後加速度gafが、相対的に大きいか否かを判断する。
S314で、上限ギヤ段が1段低いシフトレンジから設定されるギヤ段によってもたらされる変速後加速度gafが加速時第2加速度判定値acafgより大きかったときには、次に、S315で、加速時第2加速度フラグgaftaacを「1」とした後にS308を実行する。一方、S314で、同じく変速後加速度gafが加速時第2加速度判定値acafg以下であったときには、次に、S316で、加速時第2加速度フラグgaftaacを「0」とした後にS308を実行する。
一方、S312において、現車両加速度gbefが加速時第1加速度判定値regg2以下であったときには、次にS317で、加速時第1加速度フラグgbeftaacを「0」とした後にS318を実行する。
S318では、現時点のシフトレンジを、上限ギヤ段が2段低いシフトレンジ(X−1レンジ)に切り換えたときに設定されるギヤ段によってもたらされる変速後加速度gafが加速時第2加速度判定値acafgより小さくなるか否かを判断する。加速時第2加速度判定値acafgは、上限ギヤ段が2段低いシフトレンジから設定されるギヤ段によってもたらされる変速後加速度gafについて、その相対的な大きさを判別することができる値である。すなわち、S318においてもS314と同様に、運転者が加速する意図を持っているときに、そのときの駆動力と走行抵抗とによって決定される変速後加速度gafが、相対的な大きいか否かを判断する。
S318で、上限ギヤ段が2段低いシフトレンジから設定されるギヤ段によってもたらされる変速後加速度gafが加速時第2加速度判定値acafgより大きかったときには、次に、S315で、加速時第2加速度フラグgaftaacを「1」とした後にS308を実行する。一方、S318で、同じく変速後加速度gafが加速時第2加速度判定値acafg以下であったときには、次に、S316で、加速時第2加速度フラグgaftaacを「0」とした後にS308を実行する。
次に、S308では、シフトダウン操作SDがされたか否かを判断し、シフトダウン操作SDがされないときにはS300からの処理を繰り返す。
一方、S308でシフトダウン操作SDを検出したときには、次に、S319で、非加速度フラグtapcst、非加速時第1加速度フラグgbefidac、非加速時第2加速度フラグgafiddc、加速時第1加速度フラグgbeftaac、加速時第2加速度フラグgaftaacの各状態を判定する。
そして、非加速度フラグtapcstが「1」であって、かつ、非加速時第1加速度フラグgbefidacが「0」であるときに、非加速時第2加速度フラグgafiddcが「1」のときには、S320で、現時点のシフトレンジを、上限ギヤ段が1段低いシフトレンジ(Xレンジ)に切り換える。同じく、非加速時第2加速度フラグgafiddcが「0」のときには、S321で、現時点のシフトレンジを、上限ギヤ段が2段低いシフトレンジ(X−1レンジ)に切り換える。
また、非加速度フラグtapcstが「1」であって、かつ、非加速時第1加速度フラグgbefidacが「1」であるときに、非加速時第2加速度フラグgafiddcが「1」のときには、S321で、現時点のシフトレンジを、上限ギヤ段が2段低いシフトレンジ(X−1レンジ)に切り換える。同じく、非加速時第2加速度フラグgafiddcが「0」のときには、S322で、現時点のシフトレンジを、上限ギヤ段が3段低いシフトレンジ(X−2レンジ)に切り換える。
一方、非加速度フラグtapcstが「0」であって、かつ、加速時第1加速度フラグgbeftaacが「1」であるときに、加速時第2加速度フラグgaftaacが「1」のときには、S321で、現時点のシフトレンジを、上限ギヤ段が1段低いシフトレンジ(Xレンジ)に切り換える。同じく、加速時第2加速度フラグgaftaacが「0」のときには、S321で、現時点のシフトレンジを、上限ギヤ段が2段低いシフトレンジ(X−1レンジ)に切り換える。
また、非加速度フラグtapcstが「0」であって、かつ、加速時第1加速度フラグgbeftaacが「0」であるときに、加速時第2加速度フラグgaftaacが「1」のときには、S321で、現時点のシフトレンジを、上限ギヤ段が2段低いシフトレンジ(X−1レンジ)に切り換える。同じく、加速時第2加速度フラグgaftaacが「0」のときには、S322で、現時点のシフトレンジを、上限ギヤ段が3段低いシフトレンジ(X−2レンジ)に切り換える。
(作用)
次に、以上のように構成された本実施形態の作用について説明する。
(運転者に加速する意図がない場合)
運転者が手動変速モードで例えば5レンジを選択して走行しているとき、そのときの走行状態に応じてT−ECU15が5thを設定しているときに、運転者が減速又は定速走行を意図してアクセルペダル32を踏み込み状態から戻すとアクセル開度tapがアクセル操作判定値tap1未満となる。
このとき、5thのギヤ段で得られる車両駆動力に対し、緩い降坂走行時のように走行抵抗が相対的に大きい状態での走行時には、現車両加速度gbefが非加速時第1加速度判定値regg1以下となる。すなわち、アクセルペダル32を戻したことにより、ある程度以上の大きさのエンジンブレーキが車両に加わり、車両が定速走行又は減速する走行状態となる。
このとき、1段低い4thを上限ギヤ段とする4レンジへのダウンシフトを行い、これに伴って5thからダウンシフトされる4thで得られる車両駆動力に対してこのときの走行抵抗が相対的に大きいと、変速後加速度gafが非加速時第2加速度判定値dcafg未満となる。すなわち、4thにダウンシフトすれば、現時点より強いエンジンブレーキが得られ、車両がより大きな減速度で減速する運転状態であると推定される。
この状態で運転者がより強い減速を意図してシフトダウン操作SDを1回行うと、シフトレンジが5レンジから4レンジにダウンシフトされ、これに伴いギヤ段が5thから4thにダウンシフトされる。
従って、手動変速モードで5レンジを選択して5thで走行中に車両が緩い降坂走行に入ったときに、運転者がより強いエンジンブレーキを意図してシフトダウン操作SDを1回行うと、ギヤ段が5thから4thにダウンシフトされ、車両の走行状態に応じた適正な大きさのエンジンブレーキがかかる。
一方、1段低いギヤ段である4thで得られる車両駆動力に対してこのときの走行抵抗が相対的に小さいと、変速後加速度gafが非加速時第2加速度判定値dcafg以上となる。すなわち、4thにダウンシフトさせてもそれほど強いエンジンブレーキが得られず、車両がそれほど減速しない運転状態であると推定される。
この状態で運転者がより強い減速を意図してシフトダウン操作SDを1回行うと、シフトレンジが5レンジから3レンジにダウンシフトされ、これに伴いギヤ段が5thから3rdに直接ダウンシフトされる。
従って、手動変速モードで5レンジを選択して5thで走行中に車両がやや急な降坂走行に入ったときに、運転者がより強いエンジンブレーキを意図してシフトダウン操作SDを1回行うと、ギヤ段が5thから3rdに直接ダウンシフトされ、車両の走行状態に応じた適正な大きさのエンジンブレーキがかかる。
また、5レンジの5thで走行中にアクセルペダル32を戻したとき、5thのギヤ段で得られる車両駆動力に対し、急な降坂走行時のように走行抵抗が相対的に小さいと、現車両加速度gbefが非加速時第1加速度判定値regg1を超える。すなわち、アクセルペダル32を戻したにも拘らず、車両が加速する走行状態となる。
このとき、2段低いギヤ段である3rdで得られる車両駆動力に対してこのときの走行抵抗が相対的に大きいと、変速後加速度gafが非加速時第2加速度判定値dcafg未満となる。すなわち、3rdにダウンシフトすれば、より強い大きさのエンジンブレーキが得られ、車両がより大きな減速度で減速する運転状態であると推定される。
この状態で運転者がより強い減速を意図してシフトダウン操作SDを1回行うと、シフトレンジが5レンジから3レンジにダウンシフトされ、これに伴いギヤ段が5thから3rdにダウンシフトされる。
従って、車両が急な降坂走行に入ったときに、運転者がより強いエンジンブレーキを意図してシフトダウン操作SDを1回行うと、ギヤ段が5thから3rdに直接ダウンシフトされ、そのときの車両の走行状態に応じた適正な大きさのエンジンブレーキがかかる。
一方、2段低いギヤ段である3rdで得られる車両駆動力に対してこのときの走行抵抗が相対的に小さいと、変速後加速度gafが非加速時第2加速度判定値dcafg以上となる。すなわち、3rdにダウンシフトしても、それほど強いエンジンブレーキが得られず、車両がそれほど減速しない運転状態であると推定される。
この状態で運転者がより強い減速を意図してシフトダウン操作SDを1回行うと、シフトレンジが5レンジから2レンジにダウンシフトされ、これに伴いギヤ段が5thから2ndに直接ダウンシフトされる。
従って、手動変速モードで5レンジを選択して5thで走行中に車両がより急な降坂走行に入ったときに、運転者がより強いエンジンブレーキを意図してシフトダウン操作SDを1回行うと、ギヤ段が5thから2ndに直接ダウンシフトされる。そして、そのときの車両の走行状態に応じた適正な大きさのエンジンブレーキがかかる。
(運転者に加速する意図がある場合)
また、運転者が手動変速モードで例えば5レンジを選択して走行しているとき、そのときの走行状態に応じてT−ECU15が5thを設定しているときに、運転者が加速を意図してアクセルペダル32を踏み込むとアクセル開度tapがアクセル操作判定値tap1以上となる。
このとき、5thのギヤ段で得られる車両駆動力に対し、緩い登坂走行時のように走行抵抗が相対的に小さい状態での走行時には、車両の現車両加速度gbefが加速時第1加速度判定値regg2を超える。すなわち、アクセルペダル32を踏み込んだことにより、ある程度以上の強さの加速力が車両に加わり、車両がある程度加速する運転状態となる。
このとき、1段4thを上限ギヤ段とする4レンジへのダウンシフトを行い、これに伴って5thからダウンシフトされる4thで得られる車両駆動力に対してこのときの走行抵抗が相対的に小さいと、変速後加速度gafが加速時第2加速度判定値acafgを超える。すなわち、4thにダウンシフトすれば、現時点より強い加速力が得られ、車両がより大きな加速度で加速する運転状態であると推定される。
この状態で運転者がより強い加速を意図してシフトダウン操作SDを1回行うと、シフトレンジが5レンジから4レンジにダウンシフトされ、これに伴いギヤ段が5thから4thにダウンシフトされる。
従って、手動変速モードで5レンジを選択して5thで走行中に車両が緩い登坂走行に入ったときに、運転者がより強い加速力を意図してシフトダウン操作SDを1回行うと、ギヤ段が5thから4thにダウンシフトされ、そのときの車両の走行状態に応じた適正な大きさの駆動力が得られる。
一方、1段低いギヤ段である4thで得られる車両駆動力に対してこのときの走行抵抗が相対的に大きいと、変速後加速度gafが加速時第2加速度判定値acafg以下となる。すなわち、4thにダウンシフトしても、それほど強い加速力が得られず、車両がそれほど加速しない運転状態であると推定される。
この状態で運転者がより強い加速を意図してシフトダウン操作SDを1回行うと、シフトレンジが5レンジから3レンジにダウンシフトされ、これに伴いギヤ段が5thから3rdに直接ダウンシフトされる。
従って、走行中に車両がより急な登坂走行に入ったときに、運転者がより強い加速を意図してシフトダウン操作SDを1回行うと、ギヤ段が5thから3rdに直接ダウンシフトされ、そのときの走行状態に応じた適正な大きさの駆動力が得られる。
また、5レンジの5thで走行中にアクセルペダル32を踏み込んだとき、5thのギヤ段で得られる車両駆動力に対し、急な登坂走行時のように走行抵抗が相対的に大きいと、現車両加速度gbefが加速時第1加速度判定値regg2以下となる。すなわち、アクセルペダル32を踏み込んでいるにも拘らず、車両がそれほど加速しない走行状態となる。
このとき、2段低いギヤ段である3rdで得られる車両駆動力に対してこのときの走行抵抗が相対的に小さいと、変速後加速度gafが加速時第2加速度判定値acafgを超える。すなわち、3rdにダウンシフトすれば、より強い大きさの加速力が得られ、車両がより強い加速度で加速する運転状態であると推定される。
この状態で運転者がより強い加速を意図してシフトダウン操作SDを1回行うと、シフトレンジが5レンジから3レンジにダウンシフトされ、これに伴いギヤ段が5thから3rdにダウンシフトされる。
従って、走行中に車両が急な登坂走行に入ったときに、運転者がより強い加速を意図してシフトダウン操作SDを1回行うと、ギヤ段が5thから3rdに直接ダウンシフトされ、そのときの車両の走行状態に応じた適正な大きさの駆動力が得られる。
一方、2段低いギヤ段である3rdで得られる車両駆動力に対してこのときの走行抵抗が相対的に大きいと、変速後加速度gafが加速時第2加速度判定値acafg以下となる。すなわち、3rdにダウンシフトしても、それほど強い加速力が得られず、車両がそれほど加速しない運転状態であると推定される。
この状態で運転者がより強い加速を意図してシフトダウン操作SDを1回行うと、シフトレンジが5レンジから2レンジにダウンシフトされ、これに伴いギヤ段が5thから2ndに直接ダウンシフトされる。
従って、手動変速モードで5レンジを選択して5thで走行中に車両がより急な登坂走行に入ったときに、運転者がより強い加速を意図してシフトダウン操作SDを1回行うと、ギヤ段が5thから2ndに直接ダウンシフトされ、そのときの車両の走行状態に応じた適正な大きさの駆動力が得られる。
(効果)
次に、以上詳述した本実施形態が有する効果を列記する。
(5) 本実施形態によれば、手動変速モードでの走行中に、運転者がアクセルペダル32を踏み込まなくなった状態でシフトダウン操作SDを1回行うと、より強い適正なエンジンブレーキが得られるシフトレンジへのダウンシフトが行われる。このため、運転者が意図するより強いエンジンブレーキが得られるギヤ段とするために、2回以上のシフトダウン操作SDを行う必要がない。
また、アクセルペダル32を踏み込んだ状態でシフトダウン操作SDを1回行うと、より強い適正な駆動力が得られるシフトレンジへのダウンシフトが行われる。このため、運転者が意図するより強い加速力が得られるギヤ段とするために、2回以上のシフトダウン操作SDを行う必要がない。
これに対し、従来の一般的なレンジホールドタイプ手動変速モード付き自動変速装置では、シフトアップ操作SU毎にシフトレンジを1段高いギヤ段を上限ギヤ段とするシフトレンジに切り換え、また、シフトダウン操作SD毎に1段低いギヤ段を上限ギヤ段とするシフトレンジに切り換えているだけである。
このため、従来は、手動変速モードでの走行中にシフトダウン操作SDを1回行っても、運転者が意図するより強いエンジンブレーキあるいは加速力が得られるギヤ段へのダウンシフトが行われず、シフトダウン操作SDをさらに1回又は2回行わなければならないことがある。
従って、本実施形態によれば、手動変速モード時に、運転者が意図するギヤ段へのダウンシフトを、より少ないシフトダウン操作SDによって行うことができる。
(第4実施形態)
次に、本発明を具体化した第4実施形態を図13に従って説明する。本実施形態は、次の2点においてのみ前記第1実施形態と異なる。先ず、第1点は、手動変速モードにおいて登降坂制御を行うようにしたことである。第2点は、手動変速モードで行う登降坂制御時に第4シフトレンジ設定制御を行うようにしたことである。従って、第1実施形態と同じ構成についてはその説明を省略し、第1実施形態と異なる前記2点のみについて説明する。
本実施形態では、T−ECU15が、手動変速時ギヤ段設定手段、手動変速時シフトレンジ設定手段及び手動変速時変速制限手段である。
(登降坂制御)
T−ECU15は、手動変速モードにおいて、車両の登坂及び降坂時に、そのとき設定されているシフトレンジから設定するギヤ段の上限を、そのときの勾配抵抗に基づいて、そのシフトレンジの上限ギヤ段よりも低いギヤ段に制限する登降坂制御を行う。
登降坂制御は、公知の変速補助制御であって、本実施形態では、スロットル開度THと車両加速度とに基づいて登坂時又は降坂時の勾配抵抗を検出する。
本実施形態では、登坂時又は降坂時の勾配抵抗が、第3の車両運転情報である。
具体的に説明すると、手動変速モードにおいて5レンジが設定されているときに、そのときのギヤ段として4thが設定されているときには、登坂時における勾配抵抗の検出値(正の値)が所定の第1勾配判定値以上となったときには、5thの設定を禁止し、ギヤ段の上限を4thに制限する。
また、同じく4レンジ又は5レンジが設定されているとき、そのときのギヤ段として3rdが設定されているときには、登坂時における勾配抵抗の検出値が、第1勾配判定値よりも大きな値に設定された第2勾配判定値以上となったときに、4thの設定を禁止し、ギヤ段の上限を3rdに制限する。
さらに、同じく3レンジ、4レンジ及び5レンジのいずれかが設定されているとき、そのときのギヤ段に2ndが設定されているときには、登坂時における勾配抵抗の検出値が、第2勾配判定値よりも大きな値に設定された第3勾配判定値以上となったときに、3rdの設定を禁止する。そして、ギヤ段の上限を2ndに制限する。
また、手動変速モードにおいて5レンジが設定されているときに、そのときのギヤ段として4thが設定されているときには、降坂時における勾配抵抗の検出値(負の値)の大きさが所定の第4勾配判定値以上となったときに、5thの設定を禁止し、ギヤ段の上限を4thに制限する。
また、同じく4レンジ又は5レンジが設定されているときに、そのときのギヤ段として3rdが設定されているときには、降坂時における勾配抵抗の検出値の大きさが、第4勾配判定値よりも大きな値に設定された第5勾配判定値以上となったときに、4thの設定を禁止し、ギヤ段の上限を3rdに制限する。
さらに、同じく3レンジ、4レンジ及び5レンジのいずれかが設定されているとき、そのときのギヤ段に2ndが設定されているときには、降坂時における勾配抵抗の検出値の大きさが、第5勾配判定値よりも大きな値に設定された第6勾配判定値以上となったときに、3rdの設定を禁止する。そして、ギヤ段の上限を2ndに制限する。
また、T−ECU15は、手動変速モードにおいて登降坂制御を実行しているときにシフトダウン操作SDが行われたときのシフトレンジを、そのとき制限された上限のギヤ段に基づいて設定する第4シフトレンジ設定制御を行う。
本実施形態では、登降坂制御によって制限された上限のギヤ段が、第4の車両運転情報である。
第4シフトレンジ設定制御において、T−ECU15は、手動変速モードにおいて登降坂制御を行っているときにシフトダウン操作SD(手動変速操作)が行われたときには、その登降坂制御によって制限された上限のギヤ段より1段低いギヤ段を上限ギヤ段とするシフトレンジを設定する。
(第4シフトレンジ設定制御)
第4シフトレンジ設定制御の制御手順を、図13に示すフローチャートに従って説明する。
先ず、S400において、シフト位置SPに基づき、手動変速モードであるか否かを判断し、手動変速モードでなかったときにはこの制御を実行しない。
S400で手動変速モードであったときには、次にS401で、ギヤ段禁止フラグXENをクリヤする。
次に、S402で、現時点で設定されているシフトレンジが5レンジであり、かつ、登降坂制御によって5thへのアップシフトが禁止され、ギヤ段として4thが設定されている状態であるか否かを判断する。
S402で5thへのアップシフトが禁止されていたときには、次に、S403で、ギヤ段禁止フラグXENに「5th」をセットした後にS404を実行する。
一方、S402で、5thへのアップシフトが禁止されていなかったときには、次にS404を実行する。
S404では、現時点で設定されているシフトレンジが5レンジ又は4レンジであり、かつ、登降坂制御によって4thへのアップシフトが禁止され、ギヤ段として3rdが設定されている状態であるか否かを判断する。
S404で4thへのアップシフトが禁止されていたときには、次に、S405で、ギヤ段禁止フラグXENに「4th」をセットした後にS406を実行する。
一方、S404で、4thへのアップシフトが禁止されていなかったときには、次にS406を実行する。
S406では、現時点で設定されているシフトレンジが5レンジ、4レンジ又は3レンジであり、かつ、登降坂制御によって3rdへのアップシフトが禁止され、ギヤ段として2ndが設定されている状態であるか否かを判断する。
S406で3rdへのアップシフトが禁止されていたときには、次に、S407で、ギヤ段禁止フラグXENに「3rd」をセットした後にS408を実行する。
一方、S406で3rdへのアップシフトが禁止されていなかったときには、次にS408を実行する。
S408では、シフトダウン操作SDが行われたか否かを判定し、シフトダウン操作SDが行われていないときにはS400からの処理を繰り返す。
一方、S408でシフトダウン操作SDを検出したときには、次に、S409で、ギヤ段禁止フラグXENにセットされたギヤ段を判別する。
そして、セットされたギヤ段が5thであったときには、S410で、現時点で設定されている5レンジを3レンジにダウンシフトし、これに伴いギヤ段を4thから3rdにダウンシフトする。
また、セットされたギヤ段が4thであったときには、S411で、現時点で設定されている5レンジ又は4レンジを2レンジにダウンシフトし、これに伴いギヤ段を3rdから2ndにダウンシフトする。
さらに、セットされたギヤ段が3rdであったときには、S412で、現時点で設定されている5レンジ、4レンジ又は3レンジを2レンジにダウンシフトし、これに伴いギヤ段を2ndのままとする。
(作用)
次に、以上のように構成された本実施形態の作用について説明する。
運転者が手動変速モードで5レンジを選択して走行し、T−ECU15が4thを設定しているときに、車両が緩い登坂走行に移ると、登降坂制御によって5thへのアップシフトが禁止され、4thが維持される。
ここで、運転者がより強い登坂力を意図してシフトダウン操作SDを1回行うと、シフトレンジが5レンジから3レンジにダウンシフトし、ギヤ段が4thから3rdにダウンシフトする。
従って、手動変速モードで5レンジを選択して4thで走行中に車両が緩い登坂走行に入ったときに、運転者がより強い登坂力を得ることを意図してシフトダウン操作SDを1回行うと、ギヤ段が4thから3rdにダウンシフトされる。
また、運転者が手動変速モードで5レンジ又は4レンジを選択して走行し、T−ECU15が3rdを設定しているときに、車両がやや急な登坂走行に移ると、登降坂制御によって4thへのアップシフトが禁止され、3rdが維持される。
ここで、運転者がより強い登坂力を意図してシフトダウン操作SDを1回行うと、シフトレンジが4レンジから2レンジにダウンレンジされ、ギヤ段が3rdから2ndにダウンシフトする。
従って、手動変速モードで5レンジ又は4レンジを選択して3rdで走行中に車両がやや急な登坂走行に入ったときに、運転者がより強い登坂力を得ることを意図してシフトダウン操作SDを1回行うと、ギヤ段が3rdから2ndにダウンシフトされる。
さらに、運転者が手動変速モードで5レンジ、4レンジ又は3レンジを選択して走行し、T−ECU15が2ndを設定しているときに、車両が急な登坂走行に移ると、登降坂制御によって3rdへのアップシフトが禁止され、2ndが維持される。
ここで、運転者がより強い登坂力を意図してシフトダウン操作SDを1回行うと、シフトレンジが3レンジから2レンジにダウンレンジされ、ギヤ段が2ndのままとなる。
従って、手動変速モードで5レンジ、4レンジ又は3レンジを選択して2ndで走行中に車両が急な登坂走行に入ったときに、運転者がより強い登坂力を得ることを意図してシフトダウン操作SDを1回行っても、ギヤ段が1stにダウンシフトされず、2ndに維持される。
一方、手動変速モードで走行中に、勾配抵抗の大きさが小さく、登降坂制御が実行されない走行状態においてシフトダウン操作SDが行われたときには、通常の手動変速制御により、現時点で設定されているシフトレンジから、上限ギヤ段が1段低いシフトレンジにダウンシフトされる。
このため、例えば5レンジを選択した状態で走り始め直後の加速時に運転者が5thへのアップシフトが行わないようにするためにシフトダウン操作SDを行った場合には、手動変速制御によってそのとき設定されているギヤ段からのダウンシフトが行われることはない。
(効果)
次に、以上詳述した本実施形態が有する効果を記載する。
(5) 手動変速モードにおいて登降坂制御が実行され、そのときのシフトレンジの上限ギヤ段よりも低いギヤ段の設定が禁止されているときに、1回のシフトダウン操作SD(手動変速操作)だけでより強い登坂力が得られるギヤ段へのダウンシフトが行われる。このため、運転者がより強いエンジンブレーキ又は駆動力を意図してシフトダウン操作SDを行ったにも拘らず、ギヤ段のダウンシフトが行われないことはない。
一方、手動変速モードにおいて登降坂制御が行われていないときには、シフトダウン操作SDを行う毎に、そのときよりも1段低いギヤ段を上限ギヤ段とするシフトレンジにダウンシフトされる。このため、加速時に運転者が意図的に高いギヤ段へのアップシフトを禁止するためにシフトダウン操作SDを行った場合には、ギヤ段のダウンシフトが行われることはない。
これに対し、従来の一般的なレンジホールドタイプ手動変速モード付き自動変速装置では、手動変速モードにおいて登降坂制御が実行されているときに、運転者がより強い登坂力を得ることを意図してシフトダウン操作SDを行っても、シフトダウン操作SDしたにも拘らずギヤ段のダウンシフトが行われないことがある。これは、そのとき設定が禁止されたギヤ段よりも高いギヤ段を上限ギヤ段とするシフトレンジが選択されている場合、シフトダウン操作SDしてもそのシフトレンジの上限ギヤ段が、そのときのギヤ段より低いギヤ段とならないためである。この場合、意図する登坂力が得られるギヤ段までダウンシフトするために、さらに1回又は2回のシフトダウン操作SDが必要となる。
また、特開平9−14417号公報に記載された自動変速機の変速切換装置では、シフトダウン操作を行ったときに現時点のギヤ段より1段又は2段低いギヤ段へのダウンシフトが行われる。しかしながら、この技術では、加速時に運転者が意図的に高いギヤ段へのアップシフトを禁止するためにシフトダウン操作を行った場合であっても、そのときのギヤ段からのダウンシフトが起こってしまう。
従って、本実施形態によれば、手動変速モード時に、運転者が意図するギヤ段へのダウンシフトをより少ないシフトダウン操作SDによって行うことができる。
(他の実施形態)
次に、上記第1、第2、第3及び第4実施形態以外の実施形態を列記する。
・ 前記第2実施形態で、T−ECU15は自動変速モードにおいて、第3の車両運転情報としての冷却水の水温TWが低いときに、登降坂制御と同様に、必要なエンジン回転数NEとならないギヤ段へのアップシフトを停止する低温時制御を行う構成とする。
この低温時制御は公知の制御であって、水温TWが所定の第1水温判定値未満であるときには、自動変速制御によって3rdから4thへのアップシフトを行う車両運転状態であってもアップシフトを行わず、ギヤ段の上限を3rdに制限する。同様に、水温TWが第1水温判定値よりも高く設定された第2水温判定値未満であるときには、4thから5thへのアップシフトを行わず、ギヤ段の上限を4thに制限する。そして、運転者が自動変速モードから手動変速モードに切り換えたときに、T−ECU15が、低温時制御によって制限されているギヤ段の上限(第2の車両運転情報)を上限ギヤ段とするシフトレンジを設定する。
このため、自動変速モードでの低温時制御によって制限されているギヤ段の上限が異なっても、手動変速モードに切り換えたときに、そのときに制限されている上限のギヤ段を上限ギヤ段とするシフトレンジが設定される。この結果、手動変速モードへの切換後に、水温を上昇させるために必要なエンジン回転数が得られないギヤ段が設定されないようにすることができる。そして、手動変速モードでの1回のシフトダウン操作によって、運転者が意図するより強い駆動力又はエンジンブレーキが得られるギヤ段に切り換えることができる。
・ 前記第2実施形態で、第3の車両運転情報としての自動変速機の循環油(ATF)の油温が低いときに、前記低温時制御と同様に、あるギヤ段からのアップシフトを停止するATF油温制御を行う構成とする。そして、自動変速モードにおいてATF油温制御によりギヤ段の上限が制限されているときに、手動変速モードへの切換後のシフトレンジを、ATF油温制御で制限された上限のギヤ段を上限ギヤ段とするシフトレンジとする。この場合にも、自動変速モードでのATF油温制御によって制限されているギヤ段の上限が異なっても、手動変速モードに切り換えたときに、そのときに制限されている上限のギヤ段を上限ギヤ段とするシフトレンジが設定される。この結果、手動変速モードでの1回のシフトダウン操作SDによって、運転者が意図するより強い駆動力又はエンジンブレーキが得られるギヤ段に切り換えることができる。
・ 前記第1実施形態で、第2の車両運転情報として、車速Vに代えて、自動変速モードから手動変速モードに切り換えられるときのエンジン負荷に基づいて、切換後のシフトレンジを設定する構成とする。エンジン負荷は、例えばスロットル開度TH及びエンジン回転数NEから推定することができる。この場合、第1シフトレンジ設定制御において、図15(a)に示すように、S102で、エンジン負荷EGLDが所定の第1負荷判定値EGLD1以上であるか否かを判断する。また、S104で、エンジン負荷EGLDが、第1負荷判定値EGLD1よりも小さな値に設定された第2負荷判定値EGLD2以上であるか否かを判断する。この処理により、エンジン負荷EGLDの大きさを、例えば登坂時及び降坂時や、牽引時に自動変速モードで3rdが選択される大負荷状態、同じく4thが選択される中負荷状態、及び、5thが選択される小負荷状態の3段階で区別する。そして、大負荷状態のときには、S103で、3レンジフラグsftch3RGを「1」とし、中負荷状態のときには、S105で4レンジフラグsftch4RGを「1」とし、また、小負荷状態のときには、S106で5レンジフラグsftch5RGを「1」とする。このような構成によっても、前記第1実施形態の(1)〜(3)に記載した効果がある。
また、この実施形態において、エンジン負荷に代えて、勾配抵抗(走行抵抗)としても同じ効果がある。勾配抵抗は、例えばスロットル開度THと、車速Vから求めた車両加速度とから推定することができる。
・ 前記第1実施形態で、第2の車両運転情報として、車速Vに代えて、自動変速モードから手動変速モードに切り換えられるときのアクセル踏込速度(アクセル操作速度)に基づいて、切換後のシフトレンジを設定する構成とする。アクセル踏込速度は、アクセル開度の時間当たりの変化量から求められる。この場合、第1シフトレンジ設定制御において、図15(b)に示すように、S102で、アクセル踏込速度ACCFが所定の第1速度判定値ACCF1以上であるか否かを判断する。また、S104で、アクセル踏込速度ACCFが、第1速度判定値ACCF1よりも小さな値に設定された第2速度判定値ACCF2以上であるか否かを判断する。この処理により、アクセル踏込速度ACCFの大きさを、運転者が最も強い加速トルクを意図する高速度、次に強い加速トルクを意図する中速度、及び、やや強い加速トルクを意図する低速度の3段階で区別する。そして、高速度のときには、S103で、3レンジフラグsftch3RGを「1」とし、中負荷のときには、S105で4レンジフラグsftch4RGを「1」とし、また、小負荷のときには、S106で5レンジフラグsftch5RGを「1」とする。このような構成によっても、前記第1実施形態の(1)〜(3)に記載した効果がある。
また、第2の車両運転情報として、前記アクセル踏込速度に代えて、アクセル戻し速度(アクセル操作速度)を用いてもよい。
・ 前記第2実施形態で、第2シフトレンジ設定制御のみを行う構成としてもよい。また、前記第3実施形態で、第3シフトレンジ設定制御のみを行う構成としてもよい。また、前記第4実施形態で、第4シフトレンジ設定制御のみを行う構成としてもよい。さらに、前記第1実施形態で、第1〜第4シフトレンジ設定制御を行う構成としてもよい。
・ 前記第1〜第4実施形態で、T−ECU15は、自動変速モードから手動変速モードへの切換時に、第2の車両運転情報に基づいて選択したギヤ段を設定し、そのギヤ段の設定状態を保持する。そして、手動変速モードでのシフトダウン操作SD又はシフトアップ操作SUに基づいて、ギヤ段を1段ずつアップシフト又はダウンシフトする構成とする。すなわち、手動変速モードが、第1〜第4実施形態のレンジホールドタイプでなく、ギヤホールドタイプである変速制御装置に実施する。このような構成によれば、前記第1実施形態の(1),(3)に記載した効果がある。
・ 前記第4実施形態で、手動変速モードでの走行時に、アクセルペダル32のアクセル踏込速度(第4の車両運転情報)に基づいて、シフトダウン操作SDが行われたときにダウンシフトするシフトレンジを設定する構成とする。
例えば、図14に示すように、S500で手動変速モードであると判定したときに、S501で、アクセル踏込速度ACCFが、第1速度判定値ACCF1を超えるか否かを判定する。さらに、S502で、アクセル踏込速度ACCFが、第1速度判定値ACCF1よりも小さい第2速度判定値ACCF2を超えるか否かを判定する。このS501,S502の処理によってアクセル踏込速度ACCFを、高速、中速及び低速の3つの速度域に判別し、S503,S504,S505で、各速度域に対してダウンシフトするシフトレンジを設定する。すなわち、アクセル踏込速度ACCFが高速のときには、S505で、現時点のシフトレンジより3つ低いシフトレンジへのダウンシフトを設定し、同じく中速のときには、S504で、同じく2つ低いシフトレンジへのダウンシフトを設定する。同様に、低速のときには、S503で、同じく1つ低いシフトレンジへのダウンシフトを設定する。次に、S506でシフトダウン操作SDを検出したときに、S507,S508,S509,S510で、アクセル踏込速度ACCFに応じて設定されたシフトレンジへダウンシフトする。なお、設定されたシフトレンジがLレンジより低くなるときには、Lレンジを設定する。
この実施形態によれば、運転者がアクセルペダル32を踏み込んでシフトダウン操作SDを行うと、そのときのアクセル踏込速度ACCFに基づいて推定された運転者の加速要求の程度に応じてダウンシフトされるシフトレンジが設定される。従って、手動変速モードでの加速時に、運転者が意図するギヤ段へのダウンシフトをより少ないシフトダウン操作SDによって行うことができる。
この実施形態において、アクセル踏込速度ACCFに代えて、ブレーキペダルに加えられたブレーキ踏込力(第4の車両運転情報)の程度を判別し、その程度に応じて、ダウンシフトするシフトレンジを設定する構成としてもよい。この場合には、運転者がブレーキペダルを踏み込んでシフトダウン操作SDを行うと、そのときのブレーキ踏込力に応じて推定された運転者の減速要求の程度に応じてダウンシフトされるシフトレンジが設定される。手動変速モードでの減速時に、運転者が意図するギヤ段へのダウンシフトをより少ないシフトダウン操作SD
によって行うことができる。なお、ブレーキ踏込力としては、マスターシリンダが供給するブレーキ油圧や、ブレーキブースト圧を用いることができる。
・ 前記第1〜第4実施形態で、手動変速モードでのシフトダウン操作SD及びシフトアップ操作SUを、シフト装置で行うようにしてもよい。すなわち、図16に示すように、M位置から選択的に操作可能な、シフトアップ操作用の(+)位置と、シフトダウン操作用の(−)位置とを設ける。そして、シフトレバーをM位置から(+)位置に一時切換操作することがシフトアップ操作SUとなり、同じくM位置から(−)位置に一時切換操作することがシフトダウン操作SDとなるようにする。
(他の技術的思想)
以下、前記各実施形態から把握される技術的思想をその効果とともに列記する。
(1) 請求項1に記載の発明において、前記第2の車両運転情報は、車速、走行抵抗、エンジン負荷及びアクセル操作速度の内の少なくともいずれか1つであることを特徴とする車両用自動変速装置の変速制御装置。ここで、走行抵抗とは、登坂時又は降坂時の勾配抵抗を含む。また、アクセル操作速度は、アクセル踏込速度及びアクセル戻し速度を含む。このような構成によれば、車速、走行抵抗、又は、エンジン負荷に基づいて判断可能な車両走行状態や、アクセル操作速度に基づいて判断可能な運転者の意図に基づいて、手動変速モードへの切換時に、適切なシフトレンジの設定を行うことができる。
(2) 自動変速機のギヤ段を選択するために用いられる第1の車両運転情報に基づいてギヤ段を設定する自動変速モードと、手動変速操作に基づいてギヤ段を設定する手動変速モードとを備え、自動変速モードと手動変速モードとの切り換えを手動切換操作に基づいて行う車両用自動変速機の変速制御装置において、自動変速モードが手動変速モードに切り換えられたときのギヤ段を、前記第1の車両運転情報とは異なる第2の車両運転情報に基づいて設定するモード切換時ギヤ段設定手段と、前記手動変速モードにおいて手動変速操作が行われたときに設定するギヤ段を、第4の車両運転情報に基づいて設定する手動変速時ギヤ段設定手段とを備えていることを特徴とする車両用自動変速機の変速制御装置。
(3) 自動変速機のギヤ段を選択するために用いられる第1の車両運転情報に基づいてギヤ段を設定する自動変速モードと、手動変速操作に基づき、前記第1の車両運転情報に基づいて設定するギヤ段のシフトレンジを変更する手動変速モードとを備え、自動変速モードと手動変速モードとの切り換えを手動切換操作に基づいて行う車両用自動変速機の変速制御装置において、自動変速モードが手動変速モードに切り換えられたときのシフトレンジを、前記第1の車両運転情報とは異なる第2の車両運転情報に基づいて設定するモード切換時シフトレンジ設定手段と、前記手動変速モードにおいて手動変速操作が行われたときのシフトレンジを、第4の車両運転情報に基づいて設定する手動変速時シフトレンジ設定手段とを備えていることを特徴とする車両用自動変速機の変速制御装置。
(4) 請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の発明、又は、上記(1)に記載の技術的思想において、前記第1の車両運転情報を取得する第1運転情報取得手段(スロットル開度センサ25、車速センサ26)と、前記自動変速モード又は手動変速モードを手動切換操作に基づいて設定するモード設定手段(シフト装置15)と、前記自動変速モードのときに、第1の車両運転情報に基づいて自動変速機のギヤ段を設定する自動変速手段(T−ECU15)と、前記第2の車両運転情報を取得する第2運転情報取得手段(水温センサ23、車速センサ26)と、手動変速モードでの手動変速操作を検出する手動操作検出手段(シフトアップスイッチ13,シフトダウンスイッチ14)とを備えたことを特徴とする車両用自動変速装置。
10…自動変速装置、11…自動変速機、12…シフト装置、13…手動操作検出手段としてのシフトアップスイッチ、14…同じくシフトダウンスイッチ、15…モード切換時ギヤ段設定手段、手動変速時ギヤ段設定手段、モード切換時シフトレンジ設定手段、手動変速時シフトレンジ設定手段、自動変速時変速制限手段及び手動変速時変速制限手段としての変速機電子制御装置(T−ECU)、16…内燃機関としてのエンジン、20…シフトレバー、22…水温センサ、25…スロットル開度センサ、26…車速センサ、27…シフト位置センサ、1st,2nd,3rd,4th,5th,6th…ギヤ段、ACCF…他の実施形態における第2の車両運転情報及び第4の車両運転情報としてのアクセル踏込速度、EGLD…同じくエンジン負荷、NE…第3実施形態における第4の車両運転情報を構成するエンジン回転数、SP…シフト位置、SU…シフトアップ操作、SD…シフトダウン操作、TH…第1〜第4実施形態における第1の車両運転情報、第2及び第4実施形態における第3の車両運転情報を構成するスロットル開度、TW…他の実施形態における第3の車両運転情報としての水温、V…第1〜第4実施形態における第1の車両運転情報、第2及び第4実施形態における第3の車両運転情報、第3実施形態における第4の車両運転情報を構成する第1実施形態における第2の車両運転情報としての車速、Vf…第3実施形態における第4の車両運転情報を構成する吸気量、gaf…変速後加速度、gbef…現車両加速度、tap…第3実施形態における第4の車両運転情報を構成するアクセル開度。