JP4367220B2 - バイポーラ電池、バイポーラ電池の製造方法、組電池、およびこの組電池を用いた自動車 - Google Patents

バイポーラ電池、バイポーラ電池の製造方法、組電池、およびこの組電池を用いた自動車 Download PDF

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Description

本発明は、バイポーラ電池、バイポーラ電池の製造方法、組電池、およびこの組電池を用いた自動車に関する。
リチウムイオン二次電池は、その中に封入する電解質として、高分子ゲル電解質を用いたものがある。
高分子ゲル電解質は、たとえばポリフッ化ビニリデン(PVDF)などのそのもの自体はリチウムイオン伝導性を持たない高分子の骨格中に電解液を保持させたものである(たとえば特許文献1参照)。
特開平11−204136号公報
この高分子ゲル電解質を用いて単電池を構成し、この単電池を複数積層してバイポーラ電池を製作した場合、各単電池間において電解液が染み出し、他の単電池の電解質と接触して液絡と称する単電池同士の短絡が発生してしまうと言う問題があった。
そこで本発明の目的は、高分子ゲル電解質を用いた単電池を複数積層して電池を構成した場合でも単電池同士の液絡を防止したバイポーラ電池を提供することである。また、このような単電池同士の液絡を防止したバイポーラ電池の製造方法を提供することである。
さらに本発明のほかの目的は、単電池同士の液絡を防止し、耐久性、信頼性の高い組電池を提供することであり、また、この組電池を用いた自動車を提供することである。
本発明の上記目的は、一つの集電体の一面に正極を設け、他面に負極を設けたバイポーラ電極と、前記正極と前記負極の間に位置するゲル電解質と、前記正極、前記負極、およびゲル電解質によって構成された単電池の周囲を取り囲み前記集電体の間に設けられ、前記ゲル電解質から滲出した電解液を吸収する吸収層と、を有することを特徴とするバイポーラ電池により達成される。
また、本発明の上記他の目的は、請求項1〜11のいずれか一つに記載のバイポーラ電池の製造方法であって、一つの集電体の一面に正極を設け、他面に負極を設けたバイポーラ電極を形成し、前記正極と前記負極の間に電解質を挟み込むと共に、前記ゲル電解質の周囲で、かつ前記集電体の間に前記吸収層となる材料を配置し、これらを複数積層した状態で、端部の集電体側から熱加圧することを特徴とするバイポーラ電池の製造方法により達成される。
また、本発明の上記他の目的は、上記バイポーラ電池を複数個、並列および/または直列に接続したことを特徴とする組電池によって達成される。
さらに、本発明の上記他の目的は、上記組電池を車輪を駆動するためのモータの電源として用いたことを特徴とする自動車によって達成される。
本発明のバイポーラ電池によれば、単電池ごとに吸収層を設けることとしたので、単電池内の電解質から滲出した電解液をこの吸収層によって吸収させることで、単電池からの電解液の漏出を防止し、これにより単電池同士の液絡を防止して、耐久性、信頼性の高い電池を提供することが可能となる。
本発明のバイポーラ電池の製造方法によれば、正極と負極の間に電解質を挟み込むと共に、電解質の周囲で、かつ集電体の間に吸収層となる材料を配置して、これらを複数積層した状態で、端部の集電体を熱加圧することとしたので、吸収層を持つバイポーラ電池を容易に形成することができる。
また、本発明の組電池によれば、単電池からの電解液の漏出を防止したバイポーラ電池を複数直列および/または並列に接続したものであるので、それぞれの組電池としての耐久性、信頼性を向上させることができる。さらに、このような組電池を自動車におけるモータの電源として用いたことでモータを動力源とする自動車そのものの信頼性を向上することもできる。
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本発明を適用した第1の実施形態におけるバイポーラ電池の構造を説明するための断面図であり、図2は、このバイポーラ電池を構成する単電池の部分拡大断面図である。
バイポーラ電池1は、両端部以外の一つの集電体2の両面に正極3と負極4が形成されており、この集電体2の正極3と負極4との間に電解質5を挟んで単電池6を構成し、この単電池6が複数積層された構造を持つ。そして、集電体2を挟んで正極3と負極4を設けた構成をバイポーラ電極という。なお、両端部にある集電体(端部集電体7と称する)は、一方の面に、正極または負極のみを有するもので、バイポーラ電池全体の電極と接続される。
ここで用いている電解質5は、たとえば、ポリマー骨格中に、数質量%〜98質量%程度電解液を保持させたゲル電解質で、特に本実施形態においては、好ましくは70質量%以上電解液を保持したゲル電解質を使用することができる。
このバイポーラ電池1では、単電池6からの電解液の漏れ(液漏れ)を防止するために、一つひとつの単電池6の周囲を取り囲み、集電体2および7同士の間に配置された吸収層9を設けている。
以下各部について詳細に説明する。
[吸収層]
吸収層9は、電解液を吸収する高分子材料を用いている。このような吸収層となる材料としては、たとえば、ポリエチレンオキシドを主鎖または側鎖に持つポリマー(PEO)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリメタクリル酸エステル、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリフッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンの共重合体(PVdF−HFP)よりなる群から選択された少なくとも一つの高分子材料である。
なお、これら材料の形状は、粒子状のものでも膜状のものでも、流れ出たりしなければどのような形状のものを用いてもよい。一方、これら材料の製造時の塗布密度は、塗布部分において隙間なく塗布されていることが好ましい。これは、電解液と吸収層9とが接触さえすれば、電解液は吸収層に吸収されるのであるが、塗布密度が低く、大きな隙間があると、その部分を通過して電解液が漏れる可能性があるので、できるだけ隙間なく塗布することが望まれるのである。
これらの高分子材料は、ゲル電解質の骨格材となるものであり、電解液の保持性が良く、電解質5から漏れ出した電解液をよく吸収する。
この吸収層9は、二つの集電体2(または7)と密着している。これは、漏れ出した電解液が集電体に沿って染み出ようとした場合でも集電体2(または7)と吸収層9が密着することで、電解液を吸収層9が全て吸い取ることができるようにするためである。なお、二つの集電体2(または7)と吸収層9は、密着さえしていれば、機能的には接着剤などによって接着されている必要はないが、接着剤で接着しても差し支えない。
一方、吸収層9と電解質5とは、離れている必要がある。これは、電解質5と吸収層9が接触してしまうと、電解質5の電解液を吸収層9が吸収してしまうため好ましくないからである。なお、吸収層9と電解質5との間隔は接触さえしていなければよく、限定されない。また、図示はしないが、吸収層9と電解質5とが直接接触しないように、電解液をはじくような部材を介してもよい。この場合、電解液をはじくような部材は、吸収層9と電解質5とが直接接触して、吸収層9が電解質5の中の電解液を吸収しないようにするためだけのものであるので、電解質5からの電解液の漏れを防止する性能はなくてよい。
吸収層9の量、すなわち、吸収層9となる前記の高分子材料使用量は、電解質5から滲出する電解液を吸収することのできる量であればよい。一例を挙げると、電解質からの電解液の滲出量は、電池作成時の加圧・減圧工程による圧力変化や、電池を作動させる際の周囲の温度変化(充放電サイクルに伴う電池自体の温度変化なども含む)によってかわるが、おおむね全電解質の質量に対して0〜30質量%程度発生する。一方、前記した高分子材料の液体吸収率は、最も少ないものでも、自重に対して2.5倍程度あれば、確実に電解液を保持することができる。これは、液体吸収率が最も少ないポリマーを用いた場合、電解液を漏らさないでいられる限界値が、ポリマーの自重に対して、およそ2.5倍程度になるということである。言い換えると、およそ電解液:ポリマー=70:30(質量%比)。よって、電解液に対しては約40質量%以上のポリマーがあれば十分に漏れ出しを吸収できる。
したがって、最も多く電解液が滲出し、かつ、吸収層9の液体吸収率が最も少ないものを使用した場合、使用する吸収層9の量は、滲出する電解液の最大量を基準として、その滲出電解液の質量の40質量%以上あればよいことになる。すなわち、使用している電解質の全質量×0.3×0.4以上あれば、確実に滲出した電解液を吸収層9で吸収することができる。
なお、当然のことであるが、液体吸収性能が自重の数倍〜十数倍になるような高分子材料を用いる場合には、それに応じて吸収層の量を少なくすることも可能であるので、適宜調整するとよい。
このように、集電体に挟まれた電解質5のまわりを吸収層9で覆うことにより、電解質から漏れ出た電解液が吸収層9の外側へ漏れ出ることが防止される。したがって、単電池6の外側に電解液が漏れて、単電池6同士が短絡するのを防止することができる。
[集電体]
集電体2(および7)は、製法上、スプレーコートなどの薄膜製造技術により、いかような形状を有するものにも製膜積層して形成し得る必要上、たとえば、アルミニウム、銅、チタン、ニッケル、ステンレス鋼(SUS)、これらの合金などの金属粉末を主成分として、これにバインダー(樹脂)、溶剤を含む集電体金属ペーストを加熱して成形してなるものであり、上記金属粉末およびバインダーにより形成されてなるものである。また、これら金属粉末を1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよいし、さらに、製法上の特徴を生かして金属粉末の種類の異なるものを多層に積層したものであってもよい。
上記バインダーとしては、特に制限されるべきものではなく、たとえば、エポキシ樹脂など、従来公知の樹脂バインダー材料を用いることができるほか、導電性高分子材料を用いても良い。
集電体の厚さは、特に限定されないが、通常は1〜100μm程度である。
[正極(正極活物質層)]
正極3は、正極活物質を含む。このほかにも、イオン伝導性を高めるために電解質、リチウム塩、導電助剤などが含まれ得る。特に、正極または負極の少なくとも一方に電解質、好ましくは固体高分子電解質が含まれていることが望ましいが、バイポーラ電池の電池特性をより向上させるためには、双方に含まれることが好適である。
上記正極活物質としては、溶液系のリチウムイオン電池でも使用される、遷移金属とリチウムとの複合酸化物を使用できる。具体的には、LiCoOなどのLi・Co系複合酸化物、LiNiOなどのLi・Ni系複合酸化物、スピネルLiMnなどのLi・Mn系複合酸化物、LiFeOなどのLi・Fe系複合酸化物などが挙げられる。このほか、LiFePOなどの遷移金属とリチウムのリン酸化合物や硫酸化合物;V、MnO、TiS、MoS、MoOなどの遷移金属酸化物や硫化物;PbO、AgO、NiOOHなどが挙げられる。
正極活物質の粒径は、製法上、正極材料をペースト化してスプレーコートなどにより製膜し得るものであればよいが、さらにバイポーラ電池の電極抵抗を低減するために、電解質が固体でない溶液タイプのリチウムイオン電池で一般に用いられる粒径よりも小さいものを使用するとよい。具体的には、正極活物質の平均粒径が10〜0.1μmであるとよい。
上記正極に含まれる電解質としては、固体高分子電解質、高分子ゲル電解質、およびこれらを積層したものなどが利用できる。すなわち、正極を多層構造とすることもでき、集電体側と電解質側とで、正極を構成する電解質の種類や活物質の種類や粒径、さらにはこれらの配合比を変えた層を形成することもできる。好ましくは、高分子ゲル電解質を構成するポリマーと電解液との比率(質量比)が、20:80〜2:98とする、比較的電解液の比率が大きい範囲である。
高分子ゲル電解質は、イオン伝導性を有する高分子骨格中に、通常リチウムイオン電池で用いられる電解液を保持させたものや、あるいは、それ自身ではリチウムイオン伝導性を持たない高分子骨格中に同様の電解液を保持させたものなどが含まれる。
ここで、高分子ゲル電解質として用いる高分子は、たとえば、ポリエチレンオキシドを主鎖または側鎖に持つポリマー(PEO)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリメタクリル酸エステル、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリフッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンの共重合体(PVdF−HFP)などが用いられる。ただし、これに限られるわけではない。
高分子ゲル電解質に含まれる電解液(電解質塩および可塑剤)としては、通常リチウムイオン電池で用いられるものであればよく、たとえば、LiPF、LiBF、LiClO、LiAsF、LiTaF、LiAlCl、Li10Cl10等の無機酸陰イオン塩、LiCFSO、Li(CFSON、Li(CSON等の有機酸陰イオン塩の中から選ばれる、少なくとも1種類のリチウム塩(電解質塩)、またはこれらの混合物を含み、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート等の環状カーボネート類;ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等の鎖状カーボネート類;テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジブトキシエタン等のエーテル類;γ−ブチロラクトン等のラクトン類;アセトニトリル等のニトリル類;プロピオン酸メチル等のエステル類;ジメチルホルムアミド等のアミド類;酢酸メチル、蟻酸メチルの中から選ばれる少なくともから1種類または2種以上を混合した、非プロトン性有機溶媒(可塑剤)を用いたものなどが使用できる。ただし、これらに限られるわけではない。
上記リチウム塩としては、たとえば、LiPF、LiBF、LiClO、LiAsF、LiTaF、LiAlCl、Li10Cl10等の無機酸陰イオン塩、Li(CFSON、Li(CSON等の有機酸陰イオン塩、またはこれらの混合物などが使用できる。ただし、これらに限られるわけではない。
導電助剤としては、アセチレンブラック、カーボンブラック、グラファイト等が挙げられる。ただし、これらに限られるわけではない。
正極における、正極活物質、電解質(好ましくは固体高分子電解質)、リチウム塩、導電助剤の配合量は、電池の使用目的(出力重視、エネルギー重視など)、イオン伝導性を考慮して決定すべきである。たとえば、正極内における電解質、特に固体高分子電解質の配合量が少なすぎると、活物質層内でのイオン伝導抵抗やイオン拡散抵抗が大きくなり、電池性能が低下してしまう。一方、正極内における電解質、特に固体高分子電解質の配合量が多すぎると、電池のエネルギー密度が低下してしまう。したがって、これらの要因を考慮して、目的に合致した固体高分子電解質量を決定する。
正極の厚さは、特に限定するものではなく、配合量について述べたように、電池の使用目的(出力重視、エネルギー重視など)、イオン伝導性を考慮して決定すべきである。一般的な正極活物質層の厚さは10〜500μm程度である。
[負極(負極活物質層)]
負極4は、負極活物質を含む。このほかにも、イオン伝導性を高めるために電解質、リチウム塩や導電助剤などが含まれ得る。負極活物質の種類以外は、基本的に「正極」の項で記載した内容と同様であるため、ここでは説明を省略する。
負極活物質としては、溶液系のリチウムイオン電池でも使用される負極活物質を用いることができる。たとえば、金属酸化物、リチウム−金属複合酸化物金属、カーボンなどが好ましい。より好ましくは、カーボン、遷移金属酸化物、リチウム−遷移金属複合酸化物である。さらに好ましくは、チタン酸化物、リチウム−チタン複合酸化物、カーボンである。これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
[電解質]
電解質5としては、高分子ゲル電解質である。この電解質は多層構造とすることもでき、正極側と負極側とで、電解質の種類や成分配合比を変えた層を形成することもできる。
高分子ゲル電解質を用いる場合、該高分子ゲル電解質を構成するポリマーと電解液との比率(質量比)が、20:80〜2:98と比較的電解液の比率が大きい範囲である。
このような高分子ゲル電解質としては、イオン伝導性を有する高分子骨格中に、通常リチウムイオン電池で用いられる電解液を保持させたものや、あるいは、それ自身ではリチウムイオン伝導性を持たない高分子骨格中に同様の電解液を保持させたものなどが含まれる。これらについては、正極に含まれる電解質の1種として説明した高分子ゲル電解質と同様であるため、ここでの説明は省略する。
これら高分子ゲル電解質は、電池を構成する高分子電解質のほか、上記したように正極および/または負極にも含まれ得るが、電池を構成する高分子電解質、正極、負極によって異なる高分子電解質を用いてもよいし、同一の高分子電解質を使用してもよいし、層によって異なる高分子電解質を用いてもよい。
電池を構成する電解質の厚さは、特に限定するものではない。しかしながら、コンパクトなバイポーラ電池を得るためには、電解質としての機能が確保できる範囲で極力薄くすることが好ましい。一般的な固体高分子電解質層の厚さは10〜100μm程度である。ただし、電解質の形状は、製法上の特徴を生かして、電極(正極または負極)の上面ならびに側面外周部も被覆するように形成することも容易であり、機能、性能面からも部位によらず常に略一定の厚さにする必要はない。
[電池外装材(電池ケース)]
バイポーラ電池は、外部からの衝撃、環境劣化を防止するために、使用する際の外部からの衝撃、環境劣化を防止するために、バイポーラ電池本体である型板を含めた電池積層体全体を電池外装材ないし電池ケース(図示せず)に収容するとよい。
軽量化の観点からは、アルミニウム、ステンレス、ニッケル、銅などの金属(合金を含む)をポリプロピレンフィルム等の絶縁体で被覆した高分子−金属複合ラミネートフィルムやアルミラミネートパックなど、従来公知の電池外装材を用いて、その周辺部の一部または全部を熱融着にて接合することにより、電池積層体を収納し密封した構成とするのが好ましい。
この場合、上記正極および負極リードは、上記熱融着部に挟まれて上記電池外装材の外部に露出される構造とすればよい。また、熱伝導性に優れた高分子−金属複合ラミネートフィルムやアルミラミネートパックなどを用いることが、自動車の熱源から効率よく熱を伝え、電池内部を電池動作温度まですばやく加熱することができる点で好ましい。
[正極および負極端子板]
正極および負極端子板(不図示)は、最外層の端部集電体7に取り付けられる。正極および負極端子板(不図示)は端子としての機能を有するほか、薄型化の観点からは極力薄い方がよいが、製膜により積層されてなる電極、電解質および集電体はいずれも機械的強度が弱いため、これらを両側から挟示し支持するだけの強度を持たせることが望ましい。さらに、端子部での内部抵抗を抑える観点から、正極および負極端子板の厚さは、通常0.1〜2mm程度が望ましいといえる。
正極および負極端子板の材質は、通常リチウムイオン電池で用いられる材質を用いることができる。たとえば、アルミニウム、銅、チタン、ニッケル、ステンレス鋼(SUS)、これらの合金などを利用することができる。耐蝕性、作り易さ、経済性などの観点からは、アルミニウムを用いることが好ましい。
正極端子板と負極端子板との材質は、同一の材質を用いてもよいし、異なる材質のものを用いてもよい。さらに、これら正極および負極端子板は、材質の異なるものを多層に積層したものであってもよい。
正極および負極端子板の形状は、型板と兼用する場合には、自動車の熱源外面等をトレースした形状に、また、型板と対極する位置に設けられる端子板では、該端子板を設置する集電体外面をトレースした形状であればよく、プレス成形等によりトレースして形成すればよい。なお、型板と対極する位置に設けられる端子板では、集電体と同様にスプレーコートにより形成してもよい。
[正極および負極リード]
正極および負極リードに関しては、通常リチウムイオン電池で用いられる公知のリードを用いることができる。なお、電池外装材(電池ケース)から取り出された部分は、自動車の熱源との距離がないことから、これらに接触して漏電したりして自動車部品(特に電子機器)に影響を与えないように、耐熱絶縁性の熱収縮チューブなどにより被覆しておくのが好ましい。
図3は、図1および2に示したバイポーラ電池1をアルミラミネートパックにより電池20として構成した場合の外観を示す図面である。この電池20は、バイポーラ電池1の端部集電体7に上記の正極および負極端子板を設け、さらにリードを取り付けて、電極23および24としている。
[製造方法]
図4は、本実施形態におけるバイポーラ電池の製造方法の概略を説明するための図面である。
本実施形態におけるバイポーラ電池の製造方法は、まず、一つの集電体2の一面に正極3を塗布して形成し、他面に負極4を同様に塗布して形成する。これにより、バイポーラ電極ができる。なお、最外層の端部集電体7には、一方の面にのみ、正極3を設けた集電体電極と、一方の面に負極4のみを設けた集電体電極を同様にして製作する。
続いて、正極3と負極4の間に電解質5を挟み込むと共に、電解質5の周囲で、電解質と接触しない位置のいずれか一方の集電体2上に吸収層9となる材料を塗布する。このとき吸収層9となる材料の塗布位置は、後述する複数の単電池6を積層した状態で圧着した後に、電解質5と吸収層9とが接触しないようにする必要がある。
続いて、正極3と負極4の間に電解質5を挟み込み、電解質5の周囲に吸収層9を配置した単電池を複数積層した状態で、最外層の端部集電体7の端部を加熱しつつ加圧13する。これにより積層された状態のバイポーラ電池の内部構成ができあがる。その後、端子板を最外層の端部集電体7に取り付けて、さらにリードを端子板に取り付け、外装ケースに封止する。これにより複数の単電池6からなるバイポーラ電池ができあがる。
したがって、この与那吸収層を持つバイポーラ電池であっても、基本的には各部材を配置して、積層し、それを端部で熱加圧により締め付けるだけであるので、容易に製造することができる。
このように本第1の実施形態によれば、一つひとつの単電池6ごとに電解質5の周囲に、電解質5から滲出する可能性のある電解液を吸収する吸収層9を設けたので、単電池6からの液漏れが防止でき、単電池同士の液絡を防ぐことができる。
(第2の実施形態)
図5は、本発明を適用した第2の実施形態におけるバイポーラ電池を構成する単電池の部分拡大断面図である。なお、第2の実施形態においても、電池全体の構造は第1の実施形態と同様に、図1に示した単電池を複数積層した構造をなす。したがって、構造の違う単電池部分のみを図示し、積層構造の図示は省略する。また、集電体や電極、電解質、および吸収層の構成および材料は前述した第1の実施形態と同様である。また、本第2の実施形態においても、電池としての外観構造は図3に示したようなラミネートタイプのリチウムイオン二次電池として用いることができる。
第2の実施形態におけるバイポーラ電池の単電池の構造は、第1の実施形態と同様部分として、集電体2の一面に正極3、他面に負極4が設けられたバイポーラ電極を用いて、正極3と負極4の間にゲル電解質4を挟み込み、電解質5を取り囲むように集電体2の間に吸収層9が設けられている。
そして、この第2の実施形態におけるバイポーラ電池では、吸収層9の外側で、集電体2(最外層では一方が端部集電体7となる。以下同様)の間にシール層10を有する。
[シール層]
シール層10は、吸収層9の外側で、集電体2同士の間に配置することで、単電池6を積層して端部を加熱加圧する際に(第1の実施形態における製造方法参照)、集電体2と熱圧着される。
このシール層10と吸収層9の間は、間隔があってもよいし、密着させていてもよい。
このようなシール層10の材料としては、電解液を通さないものであればよく、たとえば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂/ポリアミド系樹脂/ポリオレフィン系樹脂の三層樹脂、ポリテトラフルオロエチレン樹脂(フッ素樹脂)、シリコーン樹脂、およびウレタン樹脂よりなる群から選択された少なくとも一つの高分子材料を用いることができる。
そして、これらの材料は、集電体端部を加熱しながら加圧することにより、集電体2とシール層10が熱融着されてシーリングされることになる。
このようなシール層10を用いることで、第1の実施形態のように吸収層を用いた場合に、吸収層からさらに電解液が漏れ出るようなことがあっても電解液の単電池外への漏出を防ぐことができる。また、自動車などに搭載された場合に振動などにより吸収層がいったん吸収した電解液が外側に飛び出してしまうのを防止することもできる。
このように吸収層9とその外側のシール層10との組み合わせによって、吸収層9で電解質5から滲出した殆どの電解液が吸収されるため、たとえば、シール層10のみで電解液の漏出を防止しようとした場合に、シール層10と集電体2との融着性の悪い部分から電解液がしみ出るなどと言った不具合を起こすこともない。したがって、電池内部における単電池同士の液絡を防ぐことができる。
(第3の実施形態)
図6は、本発明を適用した第3の実施形態におけるバイポーラ電池を構成する単電池の部分拡大断面図である。なお、第3の実施形態においても、電池全体の構造は第1の実施形態と同様に、図1に示した単電池を複数積層した構造をなす。したがって、構造の違う単電池部分のみを図示し、積層構造の図示は省略する。また、集電体や電極、電解質、および吸収層の構成および材料は前述した第1の実施形態と同様である。また、本第3の実施形態においても、電池としての外観構造は図3に示したようなラミネートタイプのリチウムイオン二次電池として用いることができる。
第3の実施形態におけるバイポーラ電池の単電池の構造は、第1の実施形態と同様部分として、集電体2の一面に正極3、他面に負極4が設けられたバイポーラ電極を用いて、正極3と負極4の間にゲル電解質4を挟み込み、電解質5を取り囲むように集電体2の間に吸収層9が設けられている。
そして、この第3の実施形態におけるバイポーラ電池では、吸収層9の外側で、集電体2の間に、電解液をはじく撥液性層11を有する。
[撥液性層]
撥液性層11は、電解液をはじく性能、すなわち電解液との濡れ性の悪い材料で構成されている。撥液性層11は、吸収層9の外側で、集電体2同士の間に配置する。好ましくは、吸収層9に密着させて配置する。
この撥液性層11として用いる材料としては、たとえば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)(フッ素樹脂)、およびシリコーン樹脂よりなる群から選択された少なくとも一つの高分子材料を用いることができる。これらの材料は、電解液の主な成分である有機溶媒との濡れ性が悪く、電解液をはじく。
なお、これら材料の形状は、粒子状のものでも膜状のものでも、流れ出たりしなければよい。一方、これら材料の製造時の塗布密度は、塗布部分において隙間なく塗布されていることが好ましい。これは、隙間があると、その部分で電解液を吸収層側へ戻す作用がなくなり、その部分から染み出してしまう可能性があるからである。
このため撥液性層11は、吸収層9の外側からさらに染み出ようとする電解液を吸収層9側に戻す作用をなす。したがって、吸収層9の外側からさらに染み出た電解液は撥液性層11によって吸収層9に再吸収されやすくなり、確実に単電池単位での電解液の漏れ出しを防止して、電池内部における単電池同士の液絡を防ぐことができる。
また、このように撥液性層11を持たせることで、吸収層9の外側からのさらなる電解液の滲出を防止して見掛けの吸収力を挙げることができ、吸収層9の量を第1の実施形態よりも少なくすることも可能となる。これは、吸収層9の量をその吸収率のぎりぎりの量とした場合に、第1の実施形態のように吸収層のみでは、その外側から電解液が染み出してしまう可能性もあるが、本第3の実施形態のごとく、撥液性層11を設けることで、吸収率のぎりぎり量であっても、電解液を吸収層が効果的に吸収するようになるため、吸収層9外側への電解液の染み出しを防ぐことができるようになるからである。
さらに、自動車などに搭載された場合に振動などにより吸収層がいったん吸収した電解液が外側に飛び出してしまうのを防止することもできる。
また、本第3の実施形態では、集電体と撥液性層11とは密着させるようにすることが好ましいが、特に接着させる必要はないものの、集電体端部の加熱、加圧の際に熱融着させるようにして、撥液性層11を前述したシール層と同じように機能させてもよい。
(第4の実施形態)
図7は、本発明を適用した第4の実施形態におけるバイポーラ電池を構成する単電池の部分拡大断面図である。なお、第4の実施形態においても、電池全体の構造は第1の実施形態と同様に、図1に示した単電池を複数積層した構造をなす。したがって、構造の違う単電池部分のみを図示し、積層構造の図示は省略する。
第4の実施形態におけるバイポーラ電池の単電池の構造は、第1の実施形態と同様部分として、集電体2の一面に正極3、他面に負極4が設けられたバイポーラ電極を用いて、正極3と負極4の間にゲル電解質4を挟み込み、電解質5を取り囲むように集電体2の間に吸収層9が設けられている。
そして、この第4の実施形態におけるバイポーラ電池では、吸収層9の外側で、集電体2の間に、電解液をはじく撥液性層11と、さらにその外側にシール層10を有する。
シール層10および撥液性層11は、第2の実施形態および第3の実施形態で説明したとおり、本第4の実施形態においても、シール層10は集電体と熱融着されており、撥液性層11は電解液をはじく作用があり、好ましくは、吸収層9に密着させて配置されている。
このため撥液性層11によって、吸収層9の外側からさらに染み出ようとする電解液が吸収層9側に戻されて、さらに撥液性層11と集電体2との間から染み出した場合でも、シール層11によって単電池外への漏出を確実に防止する。したがって、このように吸収層9、撥液性層11、およびシール層10からなる電解液の漏れ防止のための層を3つ設けたことで、いっそう確実に単電池単位での電解液の漏れ出しを防止して、電池内部における単電池同士の液絡を防ぐことができる。
なお、集電体や電極、電解質、および吸収層の構成および材料は前述した第1の実施形態と同様である。また、本第2の実施形態においても、電池としての外観構造は図4に示したようなラミネートタイプのリチウムイオン二次電池として用いることができる。
(第5の実施形態)
第5の実施形態は、上述した第1〜4の実施形態のいずれかのバイポーラ電池を複数個接続した組電池である。
図7は、第5の実施形態による組電池の斜視図であり、図9は、内部構成を上方から見た図面である。
図示するようにこの組電池50は、上述した第1の実施形態によるバイポーラ電池1をラミネートパックによりパッケージした電池20(図3参照)複数個直列に接続したものをさらに並列に接続したものである。電池20同士は、導電バー53により各電池の電極23および24が接続されている。この組電池50には電極ターミナル51および52が、この組電池50の電極として組電池50の一側面に設けられている。
この組電池においては、電池20を直接に接続しさらに並列に接続する際の接続方法として、超音波溶接、熱溶接、レーザー溶接、リベット、かしめ、電子ビームなどを用いることができる。このような接続方法をとることで、長期的信頼性のある組電池を製造することができる。
本第5の実施形態による組電池によれば、前述した各実施形態によるバイポーラ電池を用いて組電池化することで、高容量、高出力と得ることができ、しかも一つひとつの電池は、内部の単電池における液絡が防止されていて信頼性が高いため、組電池としての長期的信頼性を向上させることができる。
なお、組電池としての電池20の接続は、電池20を複数個全て並列に接続してもよいし、また、電池20を複数個全て直列に接続してもよい。
(第6の実施形態)
第6の実施形態は、上述した第2の実施形態による組電池を複数個接続した組電池モジュールである。
図10は、第6の実施形態による組電池モジュールの斜視図である。
この組電池モジュール60は、前述した第5の実施形態による組電池50を複数個積層し、各組電池50の電極ターミナル51、52を導電バー61および62によって接続し、モジュール化したものである。
このように、組電池50をモジュール化することによって、電池制御を容易にし、たとえば電気自動車やハイブリッド自動車などの車搭用として最適な組電池モジュールとなる。そして、この組電池モジュール60は、上述した組電池を用いたものであるから長期的信頼性の高いものとなる。
なお、このような組電池モジュールも組電池の一種である。
(第7の実施形態)
第7の実施形態は、上述した第6の実施形態による組電池モジュールを搭載し、モータの電源として使用してなる自動車である。組電池モジュールをモータ用電源として用いる自動車としては、たとえば電気自動車、ハイブリッド自動車など、車輪をモータによって駆動している自動車である。
参考までに、図11に、組電池モジュール60を搭載する自動車100の概略図を示す。自動車に搭載される組電池モジュール60は、上記説明した特性を有する。このため、組電池モジュール60を搭載してなる自動車は高い耐久性を有し、長期間に渡って使用した後であっても充分な出力を提供しうる。
上述した第2の実施形態および第4の実施形態に基づくバイポーラ電池を製作し、単電池同士の液絡評価のために充放電サイクル特性を試験した。
[サンプル作製]
実際に作製したバイポーラ電池は、下記のとおりである。
(単電池構造部分)
集電体2は、ステンレス(SUS)箔を使用し、端部集電体7には正極3または負極4を形成し、集電体2には正極3および負極4を形成した。
正極3は、LiMn(85質量%)に、導電助剤としてアセチレンブラック(5質量%)、バインダーとしてポリフッ化ビニリデン(PVDF)(10質量%)、粘度調整溶媒としてN−メチル−2−ピロリドン(NMP)(適量)を入れて、これらを混合して正極スラリーを作製し、これを正極活物質として、集電休であるステンレス箔(厚さ20μm)の片面に塗布し、乾燥させて正極3とした。
負極4は、ハードカーボン(90質量%)、バインダーとしてPVDF(10質量%)、粘度調整溶媒としてNMP(適量)を入れて、これらを混合して負極スラリーを作製し、この負極スラリーを正極3を塗布したステンレス箔の反対面に塗布し、乾燥させて負極4とした。
このようにしてバイポーラ電極を製作した。また、電池として用いる場合の最外層側の集電体電極として、一方の面に正極のみを設けたものと、負極のみを設けたものをそれぞれ別途製作した。
高分子ゲル電解質5としては、厚さ50μmのポリプロピレン(PP)不織布に、平均分子量約8000のPEO系マクロモノマー(ポリエチレンオキシドとポリプロピレンオキシドの共重合体)5質量%、電解液としてEC+PC(1:1)に1.0MのLiBF4を溶解させたもの95質量%、および重合開始剤を2000ppm入れたプレゲル溶液(1g)を含浸させ、不活性雰囲気下で光架橋させることによりゲル電解質を形成した。
(実施例1)
上記単電池構造部分として製作した集電体上に負極を形成したものの上に、上記ゲル電解質をのせ、その周りに変性PP/ナイロン/変性PPの三層構造から成るシール層を配置した。さらに、ゲル電解質とシール層の間に、電解質と接触しないように、吸収層としてPVDFポリマーを塗布し、これらの上から、別の集電体の正極側が当たるようにのせて、これらを5層積層したのちにシール層部分を上下から熱と圧力をかけ融着し、各層をシールした。
吸収層としてのPVDFポリマーの量は、用いたゲル電解質量が1g、用いたゲル電解質に対して最大の漏れ出し量を30質量%、すなわち、0.3g以下として、その漏れ出し液に対して40質量%以上のポリマーとなるように調整した(PVDFポリマー量=1g×0.3×0.4=0.12g)。
したがって、各層における吸収層としては、PVDFポリマーの量が0.12gとなるように塗布した。
そして、この積層体をラミネートパックで封止し、バイポーラ電池を形成した。
(実施例2)
上記単電池構造部分として製作した集電体上に負極を形成したものの上に、上記ゲル電解質をのせ、その周りに変性PP/ナイロン/変性PPの三層構造から成るシール層を配置し、ゲル電解質とシール層の間に、電解質側で、電解質と接触しないように、吸収層としてPVDFポリマーを塗布し、さらに、この吸収層とシール層との間に、吸収層と接触させるようにしてPEポリマーを塗布した。そしてこれらの上から、別の集電体の正極側が当たるようにのせて、これらを5層積層したのちにシール層部分を上下から熱と圧力をかけ融着し、各層をシールした。なお、吸収層の量は実施例1と同じである。
そして、この積層体をラミネートパックで封止し、バイポーラ電池を形成した。
(比較例)
上記ゲル電解質を、シール層なしで電極の正極と負極がゲル電解質を挟むように、5層積層した後、積層体をラミネートパックで封止し、バイポーラ電池を形成した。
(評価)
評価には、実施例1、実施例2、および比較例の各電池を、それぞれ5つずつ作製して評価した。評価は、それぞれの電池において、サイクル試験(1C CC充放電試験)を行った。
電解質シール層を持たないバイポーラ電池(比較例)は、初回の充電を行っている途中に、電池電圧が著しく低下した。内部を空けてみたところ、電解液が単電池外に染み出し、他の単電池の電解質と接触して液絡が起こっているのが確認できた。
吸収層とシール層を有するバイポーラ電池(実施例1)、吸収層、シール層、および撥液性層を有するバイポーラ電池(実施例2)は、50サイクルを超えても同等な電圧を維持し、容量維持率についても良好なサイクル特性を示した。さらに、100サイクルを超えたところでは、実施例1に比べて実施例2の方が、電圧維持率、容量維持率ともにより良好なサイクル特性を示した。
100サイクル終了後、実施例1および2のそれぞれの電池を分解したところ、目視による液絡は認められなかった。
この評価結果から、単電池6ごとに吸収層9を設けることで、単電池同士の液絡を確実に防止できることがわかる。また、吸収層9にはさらに撥液性層11を設けることで、よりいっそうサイクル特性の向上することがわかった。
以上のように本発明を適用した実施形態および実施例によれば、複数の単電池を積層した電池において、単電池ごとに吸収層を設けることで単電池同士の液絡を防止し、耐久性、信頼性の高い電池を提供することが可能となる。
本発明を適用した第1の実施形態によるバイポーラ電池の構造を説明するための断面図である。 バイポーラ電池を構成する単電池の部分拡大断面図である。 上記バイポーラ電池をラミネートパックにした電池の外観を示す斜視図である。 バイポーラ電池の製造方法を説明するための図面である。 本発明を適用した第2の実施形態によるバイポーラ電池を構成する単電池の部分拡大断面図である。 本発明を適用した第3の実施形態によるバイポーラ電池を構成する単電池の部分拡大断面図である。 本発明を適用した第4の実施形態によるバイポーラ電池を構成する単電池の部分拡大断面図である。 本発明を適用した第5の実施形態による組電池の斜視図である。 上記組電池の内部構成を上方から見た図面である。 本発明を適用した第6の実施形態による組電池モジュールの斜視図である。 本発明を適用した第6の実施形態における組電池モジュールを設けた自動車の図面である。
符号の説明
1 バイポーラ電池
2 集電体
3 正極
4 負極
5 電解質
6 単電池
7 端部集電体
9 吸収層
10 シール層
11 撥液性層
50 組電池、
60 組電池モジュール
100 自動車

Claims (17)

  1. 一つの集電体の一面に正極を設け、他面に負極を設けたバイポーラ電極と、
    前記正極と前記負極の間に位置するゲル電解質と、
    前記正極、前記負極、およびゲル電解質によって構成された単電池の周囲を取り囲み前記集電体の間に設けられ、前記ゲル電解質から滲出した電解液を吸収する吸収層と、
    を有することを特徴とするバイポーラ電池。
  2. 前記吸収層は、前記ゲル電解質と接触しない位置に設けられていることを特徴とする請求項1記載のバイポーラ電池。
  3. 前記吸収層の外側で、前記集電体の間に、前記電解液を通さないシール層をさらに有することを特徴とする請求項1または2記載のバイポーラ電池。
  4. 前記吸収層の外側で、前記集電体の間に、前記電解液をはじく撥液性層をさらに有することを特徴とする請求項1または2記載のバイポーラ電池。
  5. 前記撥液性層は、前記吸収層の外側に密着していることを特徴とする請求項4記載のバイポーラ電池。
  6. 前記撥液性層は、前記電解液を通さないシール層であることを特徴とする請求項4または5記載のバイポーラ電池。
  7. 前記撥液性層の外側で、前記集電体の間に、前記電解液を通さないシール層をさらに有することを特徴とする請求項4または5記載のバイポーラ電池。
  8. 前記吸収層は、ポリエチレンオキシドを主鎖または側鎖に持つポリマー、ポリアクリロニトリル、ポリメタクリル酸エステル、ポリフッ化ビニリデン、およびポリフッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンの共重合体よりなる群から選択された少なくとも一つの高分子材料からなることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一つに記載のバイポーラ電池。
  9. 前記撥液性層は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、およびシリコーンよりなる群から選択された少なくとも一つの高分子材料からなることを特徴とする請求項4〜7のいずれか一つに記載のバイポーラ電池。
  10. 前記シール層は、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂/ポリアミド系樹脂/ポリオレフィン系樹脂の三層樹脂、ポリテトラフルオロエチレン樹脂、シリコーン樹脂、およびウレタン樹脂よりなる群から選択された少なくとも一つの高分子材料からなることを特徴とする請求項3、6、および7のいずれか一つに記載のバイポーラ電池。
  11. 前記正極はリチウムと遷移金属との複合酸化物を有し、前記負極はカーボンまたはリチウムと遷移金属複合酸物を有することを特徴とする請求項1〜10のいずれか一つに記載のバイポーラ電池。
  12. 請求項1〜11のいずれか一つに記載のバイポーラ電池の製造方法であって、
    一つの集電体の一面に正極を設け、他面に負極を設けたバイポーラ電極を形成し、前記正極と前記負極の間に電解質を挟み込むと共に、前記電解質の周囲で、かつ前記集電体の間に前記吸収層となる材料を配置し、これらを複数積層した状態で、端部の集電体側から熱加圧することを特徴とするバイポーラ電池の製造方法。
  13. 前記吸収層となる材料を配置する段階は、前記吸収層となる材料の外側に、さらに前記シール層となる材料を配置する段階を有することを特徴とする請求項12記載のバイポーラ電池の製造方法。
  14. 前記吸収層となる材料を配置する段階は、前記吸収層となる材料の外側に、さらに前記撥液層となる材料を配置する段階を有することを特徴とする請求項12記載のバイポーラ電池の製造方法。
  15. 前記吸収層となる材料を配置する段階は、前記吸収層となる材料の外側に、さらに前記撥液層となる材料とさらにその外側に前記シール層となる材料を配置する段階を有することを特徴とする請求項12記載のバイポーラ電池の製造方法。
  16. 請求項1〜11のいずれか一つ記載のバイポーラ電池を複数個、並列および/または直列に接続したことを特徴とする組電池。
  17. 請求項16記載の組電池を車輪を駆動するためのモータの電源として用いたことを特徴とする自動車。
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