JP4367139B2 - 現像装置及び画像形成装置 - Google Patents

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Description

本発明は、静電潜像をトナー像に現像する電子写真方式の現像装置及び前記現像装置を備えた複写機、FAX、プリンタ等の画像形成装置に関し、特に、上下方向に隣接して配置された第1撹拌室及び第2撹拌室を有する現像装置及び前記現像装置を備えた画像形成装置に関する。
近年、電子写真方式の画像形成装置の小型化が要求されているなかで、静電潜像をトナー像に現像する現像装置の小型化は画像形成装置全体の小型化に貢献する。特に、タンデム型のフルカラー画像形成装置では、各色毎に現像装置が設けられているため、現像装置の小型化は、画像形成装置全体の小型化に大きく貢献する。
前記タンデム型の画像形成装置において、現像装置には、トナー補給装置によりトナーが補給される。前記補給されたトナーは、静電気等により凝集している場合があるので、現像装置には、補給されたトナーを撹拌しながら循環させるトナー循環室が設けられている。特に、トナーとキャリアからなる2成分現像剤を使用する場合は、撹拌循環時にトナーとキャリアとを擦り合わせて、トナーの摩擦帯電も行っている。
前記トナー循環室は、通常、特定の第1搬送方向にトナーを搬送する第1撹拌室と、第1トナー搬送方向とは逆方向の第2搬送方向にトナーを搬送する第2撹拌室とを有しており、前記第1撹拌室と第2撹拌室との間でトナーを循環させている。そして、前記トナー循環室を有する現像装置として、特許文献1(特開2002−148908号公報)記載の技術のように第1撹拌室と第2撹拌室とが横方向に隣接して配置された横循環型現像装置と、特許文献2(特開平6−51634号公報)や特許文献3(特開2003−167438号公報)記載の技術のように第1撹拌室と第2撹拌室とが縦方向(上下方向)に隣接して配置された縦循環型現像装置とが従来公知である。
特開2002−148908号公報(第1図) 特開平6−51634号公報(第1図) 特開2003−167438号公報(第1図、第3図、第4図、第7図)
しかしながら、特許文献1記載の横循環型現像装置では、第1撹拌室と第2撹拌室とが横方向に隣接して配置されているので、現像装置が横方向に大きくなり、小型化に不向きである。一方、特許文献2、3記載の縦循環型現像装置では、第1撹拌室と第2撹拌室とが上下に隣接しているので、現像装置を小型化し易く、画像形成装置全体を小型化し易い。
図9は従来の縦循環型現像装置において、下方から上方にトナーが移動する部分の説明図である。
図9において、縦循環型現像装置01において、下方に配置された第1撹拌室の第1搬送方向下流端部02と、上方に配置された第2撹拌室の第2搬送方向上端部03との間の仕切壁には、連通口04が形成されている。
前記縦型循環現像装置01では、第1撹拌部材(オーガ)06により上流側から順次トナーが搬送され、下流端部02に蓄積される。そして、上流からトナーが順次搬送・蓄積されて、下流端部02に蓄積されたトナーの水準面が上昇し、第2撹拌室03の底面よりも高くすることにより、連通口04を介して第1撹拌室02のトナーを第2撹拌室03に移動させている。そして、第2撹拌室03を第2撹拌部材(オーガ)07により撹拌搬送されたトナーが現像ロール08表面に付着して現像に使用される。
特許文献2、3及び図9に示す従来の縦循環型現像装置では、連通口04からトナーを上昇させるために第1撹拌室下流端部02に蓄積されたトナーに、上流側から順次トナーが搬送される。したがって、既に蓄積されていたトナーが上流から搬送されてくるトナーに押されて力を受ける。このため、第1撹拌室02の下流端部において、トナーが密集し、凝集しやすくなり、凝集したトナーが上方の第2撹拌室03に搬送され、画像形成に使用されると画質が低下するという問題がある。
また、トナーが蓄積された部分では、トナーが力を受けて密集しているので、撹拌部材06(オーガやアジテータ)の回転抵抗が大きくなり、撹拌部材06を駆動するモータに作用する負荷が大きくなる(高トルク化につながる)という問題がある。そして、抵抗や負荷が大きくなると、撹拌部材06やモータが損傷しやすくなり、現像装置01の寿命が短くなるという問題もある。
さらに、前記特許文献2、3及び図9記載の従来の縦循環型現像装置では、現像容器へのトナーの補給タイミングや補給されたトナー量、温湿度の変動等に伴うトナーの流動性の変化、第1撹拌部材06の回転ムラ等によって、第1撹拌室の第1搬送方向下流端部02に蓄積されるトナーの量は変動する。したがって、第1搬送方向下流端部02に蓄積されたトナーの量の変動により、トナーが受ける力や回転抵抗にムラが発生するという問題もある。
本発明は、前述の事情に鑑み、縦循環型現像装置において、次の記載内容(O01)〜(O03)を技術的課題とする。
(O01)トナーを下方から上方に搬送する部分において、トナーの密集を低減し、トナーに作用する力を低減すること。
(O02)蓄積したトナーによる回転抵抗の増大を抑えること。
(O03)トナーに作用する力及び回転抵抗のムラを低減すること。
(本発明)
次に、前記課題を解決した本発明を説明するが、本発明の要素には、後述の実施の形態の具体例(実施例)の要素との対応を容易にするため、実施例の要素の符号をカッコで囲んだものを付記する。また、本発明を後述の実施例の符号と対応させて説明する理由は、本発明の理解を容易にするためであり、本発明の範囲を実施例に限定するためではない。
(第1発明)
前記技術的課題を解決するために、第1発明の現像装置は、下記の構成要件(A01)〜(A06)を備えたことを特徴とする。
(A01)静電潜像がトナー像に現像される現像領域(Q2)にトナーを搬送する現像ロール(R0)、
(A02)前記現像ロール(R0)を収容する現像ロール収容部(V1)と、前記現像ロール収容部(V1)の斜め下方に配置された第1撹拌室(V2)と、前記現像ロール収容部(V1)に隣接し且つ前記第1撹拌室(V2)の上方に配置された第2撹拌室(V3)と、を有する現像容器(V)、
(A03)前記第1撹拌室(V2)に収容され、前記第1撹拌室(V2)内のトナーを所定の第1搬送方向に撹拌しながら搬送する第1撹拌部材(R1)と、
前記第2撹拌室(V3)に収容され、前記第1搬送方向とは逆方向の第2搬送方向に前記第2撹拌室(V3)内のトナーを撹拌しながら搬送する第2撹拌部材(R2)と、
を有する循環搬送部材(R1+R2)、
(A04)前記現像ロール(R0)の軸方向の長さに対応して、前記第1撹拌室(V2)と前記第2撹拌室(V3)との間を仕切る仕切壁(4)、
(A05)前記第1撹拌室(V2)の第1搬送方向下流端部から前記第2撹拌室(V3)の第2搬送方向上流端部にトナーを搬送するために前記仕切壁(4)より前記第1搬送方向下流側に形成され、前記第1撹拌室(V2)の第1搬送方向下流端部と前記第2撹拌室(V3)の第2搬送方向上流端部とを連通する連通口(4b)、
(A06)前記仕切壁(4)の第1搬送方向下流端部に、部分的に形成され且つ前記連通口(4b)に連結するように形成され、前記第1撹拌室(V2)前記第2撹拌室(V3)とを連通させる開口(4c)。
(第1発明の作用)
前記構成要件(A01)〜(A06)を備えた第1発明の現像装置では、現像容器(V)は、前記現像ロール(R0)を収容する現像ロール収容部(V1)に隣接し且つ前記第1撹拌室(V2)の上方に配置された第2撹拌室(V3)を有している。前記第1撹拌室(V2)と第2撹拌室(V3)との間は、前記現像ロール(R0)の軸方向の長さに対応する仕切壁(4)により仕切られている。循環搬送部材(R1+R2)の第1撹拌部材(R1)は、前記第1撹拌室(V2)に収容され、前記第1撹拌室(V2)内のトナーを所定の第1搬送方向に撹拌しながら搬送する。第2撹拌部材(R2)は、前記第2撹拌室(V3)に収容され、前記第1搬送方向とは逆方向の第2搬送方向に前記第2撹拌室(V3)内のトナーを撹拌しながら搬送する。
前記仕切壁(4)より前記第1搬送方向下流側に形成された連通口(4b)を通じて、前記第1撹拌室(V2)の第1搬送方向下流端部から前記第2撹拌室(V3)の第2搬送方向上流端部にトナーが搬送される。そして、前記仕切壁(4)の第1搬送方向下流端部に部分的に形成され且つ前記連通口(4b)に連結するように形成された開口(4c)は、前記第1撹拌室(V2)前記第2撹拌室(V3)とを連通させて、トナーを搬送できる。
したがって、第1発明の現像装置では、開口(4c)を通じて連通口(4b)よりも上流側でもトナーを搬送できるので、第1搬送方向下流端部までトナーを搬送し、連通口(4b)のみでトナーを第2撹拌室(V3)に搬送する従来の場合と比較して、第1撹拌室(V2)の第1搬送方向下流端部でのトナーの密集を低減できる。この結果、トナーに作用する力(圧力)を低減でき、トナーの凝集が低減され、画質の低下を防止できる。また、トナーの密集が低減されるので、第1撹拌部材(R1)の回転抵抗が低減される。したがって、第1撹拌部材(R1)に作用する負荷や、第1撹拌部材(R1)を駆動する駆動装置(モータ等)に対する負荷の増大を抑えることができ、第1撹拌部材(R1)や駆動装置の損傷を低減でき、長寿命化することができる。
また、現像装置にトナーが補給されるタイミングや一度に補給されるトナー量、温度・湿度変化等に伴うトナーの流動性の変化、第1撹拌部材(R1)の回転ムラにより、第1撹拌室(V2)の第1搬送方向下流端に蓄積されるトナー量が多くなる場合がある。連通口(4b)のみで第2撹拌室(V3)にトナーを搬送する従来の場合、第1撹拌室(V2)の第1搬送方向下流端のトナー量が多くなると、第1搬送方向下流端でのトナーの密集度が高まり、トナーが受ける力も大きくなる。しかしながら、第1発明の現像装置では、第1搬送方向下流端部のトナー量が多くなっても、連通口(4b)の上流側に形成された開口(4c)からトナーを上方の第2撹拌室(V3)に搬送できるので、第1搬送方向下流端のトナーの密集が高まることを低減できる。したがって、トナーが受ける力が増大することを抑えることができ、トナーの凝集及び画質の劣化を低減できる。また、トナー量が多くなっても、第1撹拌部材(R1)の回転抵抗の増大を抑えることができ、トナーに作用する力及び回転抵抗のムラが低減される。この結果、回転抵抗のムラが低減されるので、安定してトナーの凝集及び画質の劣化を抑えることができ、第1撹拌部材(R1)の回転及び作用する負荷を安定させることができる。
(第1発明の形態1)
また、第1発明の形態1の現像装置は、前記第1発明の現像装置において、下記の構成要件(A07),(A08)を備えたことを特徴とする。
(A07)前記開口(4c)の第1搬送方向上流端が前記現像ロール(R0)の第1搬送方向下流端よりも前記第1搬送方向上流側に形成された前記開口(4c)、
(A08)前記第1撹拌部材(R1)の回転軸(R1c)に対して前記現像ロール(R0)から離隔した側に形成された前記開口(4c)。
(第1発明の形態1の作用)
前記構成要件(A07),(A08)を備えた第1発明の形態1の現像装置では、前記開口(4c)の第1搬送方向上流端が前記現像ロール(R0)の第1搬送方向下流端よりも前記第1搬送方向上流側に形成されている。そして、前記開口(4c)は、前記第1撹拌部材(R1)の回転軸(R1c)に対して前記現像ロール(R0)から離隔した側に形成されている。したがって、開口(4c)を通じて第2撹拌室(V3)から第1撹拌室(V2)にトナーが落下する場合でも、開口(4c)が現像ロール(R0)から離隔した位置に形成されているので、現像ロール(R0)近傍のトナー量が減少して画像形成不良が発生することを防止できる。
(第1発明の形態2)
また、第1発明の形態2の現像装置は、前記第1発明または第1発明の形態1の現像装置において、下記の構成要件(A09)を備えたことを特徴とする。
(A09)前記第1搬送方向下流側の幅が前記第1搬送方向上流側の幅よりも幅広く形成された前記開口(4c)。
(第1発明の形態2の作用)
前記構成要件(A09)を備えた第1発明の形態2の現像装置では、開口(4c)は、前記第1搬送方向下流側が前記第1搬送方向上流側よりも幅広く形成されているので、連通口(4b)に近い第1搬送方向下流側においてトナーをより多く第2撹拌室(V3)に搬送することができる。また、連通口(4b)から遠い第1搬送方向上流側の開口(4c)の幅が狭いので、第2撹拌室(V3)を第2搬送方向に搬送されているトナーが、第2搬送方向下流側で第2撹拌室(V3)から第1撹拌室(V2)に落下する(逆流する)トナーの量を少なくすることができる。
(第1発明の形態3)
また、第1発明の形態3の現像装置は、前記第1発明及び第1発明の形態1、2のいずれかの現像装置において、下記の構成要件(A010)を備えたことを特徴とする。
(A010)前記第1搬送方向下流端部に配置され、前記第1撹拌室(V2)の第1搬送方向下流端部のトナーを上方の前記第2撹拌室(V3)の第2搬送方向上流端部に搬送するトナー押上部材(R1b′)を有する前記第1撹拌部材(R1)。
(第1発明の形態3の作用)
前記構成要件(A010)を備えた第1発明の形態3の現像装置では、第1撹拌部材(R1)のトナー押上部材(R1b′)は、前記第1搬送方向下流端部に配置され、前記第1撹拌室(V2)の第1搬送方向下流端部のトナーを上方の前記第2撹拌室(V3)の第2搬送方向上流端部に搬送する。したがって、トナー押上部材(R1b′)により第2撹拌室(V3)に搬送するので、トナー押上部材(R1b′)を使用せず、第1撹拌室(V2)の第1搬送方向下流端部に蓄積されたトナーの水準面を上昇させる従来技術と比較して、トナーを効率的に押し上げることができる。この結果、第1撹拌室(V2)の第1搬送方向下流端部のトナーの密集を低減でき、トナーに作用する力や回転抵抗を低減できる。
(第2発明)
前記技術的課題を解決するために第2発明の画像形成装置は、前記第1発明及び第1発明の形態1〜3のいずれかの現像装置(Gy〜Gk)を備えたことを特徴とする。
(第2発明の作用)
第2発明の画像形成装置は、第1発明及び第1発明の形態1〜3のいずれかの現像装置(Gy〜Gk)を備えているので、開口(4c)を通じて連通口(4b)よりも上流側でもトナーを搬送できる。したがって、第1搬送方向下流端部までトナーを搬送し、連通口(4b)のみでトナーを第2撹拌室(V3)に搬送する従来の場合と比較して、第1撹拌室(V2)の第1搬送方向下流端部でのトナーの密集を低減できる。この結果、トナーに作用する力(圧力)を低減でき、トナーの凝集が低減され、画質の低下を防止できる。また、トナーの密集が低減されるので、第1撹拌部材(R1)の回転抵抗が低減される。したがって、第1撹拌部材(R1)に作用する負荷や、第1撹拌部材(R1)を駆動する駆動装置(モータ等)に対する負荷の増大を抑えることができ、第1撹拌部材(R1)や駆動装置の損傷を低減でき、長寿命化することができる。
また、現像装置にトナーが補給されるタイミングや一度に補給されるトナー量、温度・湿度変化等に伴うトナーの流動性の変化、第1撹拌部材(R1)の回転ムラにより、第1撹拌室(V2)の第1搬送方向下流端に蓄積されるトナー量が多くなる場合がある。連通口(4b)のみで第2撹拌室(V3)にトナーを搬送する従来の場合、第1撹拌室(V2)の第1搬送方向下流端のトナー量が多くなると、第1搬送方向下流端でのトナーの密集度が高まり、トナーが受ける力も大きくなる。しかしながら、第2発明の画像形成装置では、第1発明の現像装置を備えているので、第1搬送方向下流端部のトナー量が多くなっても、連通口(4b)の上流側に形成された開口(4c)からトナーを上方に搬送できる。したがって、第1搬送方向下流端のトナーの密集が高まることを低減できる。この結果、トナーが受ける力の増大を抑えることができ、トナーの凝集及び画質の劣化を低減できる。また、トナー量が多くなっても、第1撹拌部材(R1)の回転抵抗の増大を抑えることができ、トナーに作用する力及び回転抵抗のムラが低減される。この結果、安定してトナーの凝集及び画質の劣化を抑えることができ、第1撹拌部材(R1)の回転及び作用する負荷を安定させることができる。
前述の本発明は、下記の効果(E01)〜(E05)を奏する。
(E01)トナーを下方から上方に搬送する部分において、トナーの密集を低減し、トナーに作用する力を低減することができる。
(E02)蓄積したトナーによる回転抵抗の増大を抑えることができる。
(E03)トナーに作用する力及び回転抵抗のムラを低減することができる。
(E04)トナーの凝集を防止し、画質の低下を防止できる。
(E05)循環搬送部材にかかる負荷を低減でき、損傷を防止し、長寿命化することができる。
次に図面を参照しながら、本発明の実施の形態の具体例(実施例)を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
なお、以後の説明の理解を容易にするために、図面において、前後方向をX軸方向、左右方向をY軸方向、上下方向をZ軸方向とし、矢印X,−X,Y,−Y,Z,−Zで示す方向または示す側をそれぞれ、前方、後方、右方、左方、上方、下方、または、前側、後側、右側、左側、上側、下側とする。
また、図中、「○」の中に「・」が記載されたものは紙面の裏から表に向かう矢印を意味し、「○」の中に「×」が記載されたものは紙面の表から裏に向かう矢印を意味するものとする。
図1は本発明の実施例1の現像装置を備えた画像形成装置の全体説明図である。
図1において、実施例1の画像形成装置(デジタル複写機)Uは、プリンタ(画像形成装置本体)U1、イメージスキャナU2、自動原稿搬送装置U3を有している。
前記自動原稿搬送装置U3は、イメージスキャナU2上面のプラテンガラスPG上に支持されている。
前記自動原稿搬送装置U3は、複写しようとする複数の原稿Giが重ねて載置される原稿給紙トレイTG1を有している。前記原稿給紙トレイTG1に載置された複数の各原稿Giは順次プラテンガラスPG上の複写位置(プラテンロールGR1の圧接位置)を通過して原稿排出ロールGR2から原稿排紙トレイTG2に排出されるように構成されている。
前記自動原稿搬送装置U3は、その後端部(図1の紙面の背面側部分)に設けた左右方向に延びるヒンジ軸(図示せず)により前記プラテンガラスPG上面に対して回動可能であり、原稿Giを作業者が手でプラテンガラスPG上に置く場合に上方に回動される。
前記イメージスキャナU2は、ユーザがコピースタート等の作動指令信号を入力操作するUI(ユーザインタフェース)(図1参照)を有している。
前記透明なプラテンガラスPGの下方には原稿画像を読み取るための露光光学系Aが配置されている。
前記自動原稿搬送装置U3でプラテンガラスPG上面に搬送されて前記複写位置を通過する原稿または手動でプラテンガラスPG上に置かれた原稿(図示せず)からの反射光は、前記露光光学系Aを介して、CCD(固体撮像素子)で電気信号に変換される。
IPS(イメージプロセッシングシステム)は、CCDから入力されるR,G,B(レッド、グリーン、ブルー)の電気信号をY,M,C,K(イエロー、マゼンタ、シアン、黒)の画像データ(デジタルデータ)に変換して一時的に記憶し、前記画像データを所定のタイミングで潜像形成用の画像データとしてレーザ駆動回路DLに出力する。
レーザ駆動回路DLは、入力された画像データに応じてレーザ駆動信号をROS(潜像形成装置)のレーザダイオード(図示せず)に出力する。なお、前記UI(ユーザインタフェース)、IPSおよびレーザ駆動回路DLと、後述の現像ロールR0、1次転写ロールTy,Tm,Tc,Tk、2次転写ロール(シート転写部材)T2b等にバイアス電圧を印加する電源回路E等の動作はコントローラCにより制御される。
前記IPSが出力するYMCKの4色の画像データ(レーザ駆動データ)が入力されたレーザ駆動回路DLは、入力された前記各色の画像データに応じた各色のレーザ駆動信号を所定のタイミングで、各色のROS(潜像形成装置)に出力する。
各像担持体(感光体)Py,Pm,Pc,Pkはそれぞれの帯電ロール(帯電部材)CRにより一様に帯電された後、前記各色のROSy〜ROSk(潜像形成装置)の出力する光ビームによりその表面に静電潜像が形成される。前記像担持体Py,Pm,Pc,Pk表面の静電潜像はそれぞれ、各現像装置Gy,Gm,Gc,Gkと対向する現像領域(Q2)において各色YMCKのトナー像に現像される。前記各色の現像装置Gy,Gm,Gc,Gkの現像容器(V)にはトナーカートリッジTy〜Tkから各色のトナーが補給される。
前記現像された各色YMCKのトナー像は、前記各像担持体Py,Pm,Pc,Pkとエンドレスの中間転写ベルト(像担持体)Bとが接触する1次転写領域Q3に搬送される。前記各1次転写領域Q3において中間転写ベルトBの裏面側に配置された1次転写ロールTy,Tm,Tc,Tkには、コントローラCにより制御される電源回路Eから所定のタイミングで現像剤の帯電極性と逆極性の1次転写電圧が印加される。前記各像担持体Py〜Pk上のトナー像は前記各1次転写ロールTy,Tm,Tc,Tkに対向する1次転写領域Q3において中間転写ベルトBに重ねて1次転写される。1次転写後の像担持体Py,Pm,Pc,Pk表面の残留トナーは、像担持体クリーナCLpで除去される。
前記各像担持体Py〜Pk、各色のROSy〜ROSk(潜像形成装置)、各色の現像装置Gy〜Gkによって、前記各像担持体Py〜Pk上に各色のトナー像を形成する各色のトナー像形成装置UY(Py+ROSy+Gy),UM(Pm+ROSm+Gm),UC(Pc+ROSc+Gc),UK(Pk+ROSk+Gk)が構成される。
前記各色の像担持体Py,Pm,Pc,Pkの下方には左右一対のスライドレールSR,SRによりスライドフレームF1が前後方向(紙面に垂直な方向、すなわち、X軸方向)にスライド移動可能に支持されている。スライドフレームF1にはベルトモジュールBMのベルトフレームF2が上昇した動作位置(像担持体Py〜Pkに接触する位置)と下方に移動したメンテナンス位置(像担持体Py〜Pkから下方に離れた位置)との間で昇降可能に支持されている。前記ベルトモジュールBMが前記ベルトメンテナンス位置に下降した状態では、前記スライドフレームF1およびこれに支持されたベルトモジュールBMを、前記像担持体PRと摩擦接触させることなく、画像形成装置本体U1に対して出入させることができるように構成されている。
前記スライドフレームF1を前後移動させる構成およびベルトモジュールBMを昇降させる構成は、従来公知(例えば、特開平8−171248号公報参照)であり、従来公知の種々の構成を採用することが可能である。
前記ベルトモジュールBMは、前記中間転写ベルトBと、ベルト駆動ロールRd、テンションロールRt、ウォーキングロールRw、複数のアイドラロール(フリーロール)RfおよびバックアップロールT2aを含むベルト支持ロール(Rd,Rt,Rw,Rf,T2a)と、前記4個の1次転写ロールTy,Tm,Tc,Tkとを有している。そして、前記中間転写ベルトBは前記ベルト支持ロール(Rd,Rt,Rw,Rf,T2a)により矢印Ya方向に回転移動可能に支持されている。
前記バックアップロールT2aに接する中間転写ベルトBの表面に対向して2次転写ロール(シート転写部材)T2bが配置されており、中間転写ベルトBおよび2次転写ロールT2bの対向する領域には2次転写領域(シート転写領域)Q4が形成される。前記2次転写ロールT2bにはコントローラCにより制御される電源回路Eから所定のタイミングで現像剤の帯電極性と逆極性の2次転写電圧が印加される。前記2次転写ロールT2bに対向して配置された前記バックアップロールT2aはアース(接地)されており、前記2次転写ロールT2bに2次転写電圧が印加されたときには、前記2次転写ロールT2bおよびバックアップロールT2a間には2次転写電界が形成される。前記バックアップロールT2aおよび2次転写ロールT2bにより2次転写器T2が構成される。
前記4個の1次転写ロールTy,Tm,Tc,Tkおよび中間転写ベルトBを含むベルトモジュールBMと、2次転写器T2等により、トナー像形成装置(UY,UM,UC,UK)の像担持体Py〜Pk表面に形成されたトナー像を記録シートSに転写する転写装置(BM+T2)が構成されている。
プリンタ(画像形成装置本体)U1の下部には、シートSを収容したカセットトレイ(給紙トレイ)TR1〜TR3および給紙用シート搬送路SH1が設けられている。また、前記給紙用シート搬送路SH1には手差トレイ(給紙トレイ)TR4から給紙できるように構成されている。前記カセットトレイ(給紙トレイ)TR1〜TR3に収容されたシートSは、所定のタイミングでピックアップロールRpにより取り出され、さばきロールRsで1枚づつ分離されて、複数の搬送ロールRaによりレジロールRrに搬送される。また、手差トレイ(給紙トレイ)TR4から給紙されたシートは搬送ロールRaによりレジロールRrに搬送される。前記レジロールRrに搬送された記録シートSは、前記中間転写ベルトBに1次転写された多重トナー像または単色トナー像が2次転写領域Q4に移動するのにタイミングを合わせて、2次転写領域Q4に搬送される。
前記2次転写領域Q4を記録シートSが通過する際、2次転写ロールT2bに前記2次転写電圧が印加されるので、前記中間転写ベルトBに重ねて1次転写されたカラートナー像は、前記2次転写領域Q4において一括して記録シートSに2次転写される。
2次転写後の中間転写ベルトBはベルトクリーナCLbにより残留トナーが除去される。
トナー像が2次転写された前記記録シートSは、転写後シートガイドSG、シート搬送ベルトHBにより定着装置Fに搬送される。定着装置Fは一対の圧接する加熱ロールFhおよび加圧ロールFpを有しており、前記加熱ロールFhおよび加圧ロールFpの圧接領域により定着領域Q5が形成されている。前記記録シートS上のトナー像は前記定着領域Q5を通過する際に、加熱定着される。トナー像が定着された記録シートSは、排出用シート搬送路SH2または両面記録用シート搬送路SH3に搬送される。排出用シート搬送路SH2に搬送されたシートは排紙トレイTRhに排出され、両面記録用シート搬送路SH3に搬送されたシートは表裏反転されてから前記レジロールRrに再送される。
前記符号Rp,Rs,Ra,Rr,SG,HB,SH1,SH2,SH3等で示された要素によりシート搬送装置SHが構成されている。
前記符号SH1,SH2,SH3で示された要素によりシート搬送路(SH1〜SH3)が構成されている。また、前記符号Rp,Rs,Ra,Rr,HB等で示された要素によりシート搬送部材(Rp,Rs,Ra,Rr,HB)が構成されている。
(現像装置G)
図2は実施例1の現像装置の斜視図である。
図3は実施例1の現像装置の現像剤補給口部分の拡大説明図で前記図2の矢印III方向から見た部分断面図である。
図4は実施例1の現像装置の後端部の説明図であり、前記図2の矢印IV方向からみた部分断面図である。
図5は実施例1の現像装置の後端部の説明図であり、図4のV−V線断面図である。
図6は実施例1の現像装置の説明図であり、図6Aは図3のVIA−VIA線断面図、図6Bは図3のVIB−VIB線断面図である。
図7は実施例1の現像装置の説明図であり、図7Aは図4のVIIA−VIIA線断面図であり、図7Bは図4のVIIB−VIIB線断面図、図7Cは現像装置の回転力伝達ギヤの説明図である。
次に、実施例1の現像装置の説明を行うが、各色の現像装置Gy〜Gkは同様に構成されているので、Y色の現像装置Gyについてのみ説明を行い、その他の色の現像装置Gm,Gc,Gkについての詳細な説明は省略する。
図2〜図7において、現像領域Q2(図6B、図7B参照)において像担持体Pyに対向して配置された現像装置Gyは、負極帯電性のトナーおよび正極帯電性の磁性キャリアから成る2成分現像剤を収容する現像容器Vを有している。
図2において、現像容器Vは、現像容器本体1と、現像容器本体1の前端(X端)および後端(−X端)に連結された前側接続部材2および後側接続部材3を有している。前側接続部材2は、前側上部接続部材2aおよび前側下部接続部材2b(図2、図3、図6A参照)を有しており、後側接続部材3は、後側上部接続部材3aおよび後側下部接続部材3b(図2、図4、図7A参照)を有している。
図2において、前記現像容器本体1の前端および後端のそれぞれ上側の部分には、一対の被支持部1a,1aが設けられており、前記現像容器Vが画像形成装置U内部に装着された際、前記各被支持部1aが画像形成装置Uのフレーム(図示せず)により支持される。
図3、図6B、図7Bにおいて、前記現像容器本体1、前側接続部材2および後側接続部材3を有する現像容器Vは、その内部に、現像ロール収容部V1と、現像ロール収容部V1の斜め下方に配置された第1撹拌室V2と、前記現像ロール収容部V1に隣接し且つ第1撹拌室V2の上方に配置された第2撹拌室V3とを有している。
図3〜図7において、前記第1撹拌室V2と第2撹拌室V3との間は、仕切壁4により仕切られている。図3において、前記仕切壁4の前端部には、第1撹拌室V2と第2撹拌室V3とを上下に連通させる前側連通口(連通路)4aが形成されている。図5、図7Aにおいて、前記仕切壁4の後端部(−X端部)には、第1撹拌室V2と第2撹拌室V3とを上下に連通させる後側連通口(連通路)4bが形成されている。
図5において、前記仕切壁4の後側連通口4bの前方には、第1撹拌室V1と第2撹拌室とを連通するスリット(開口)4cが形成されている。前記スリット4cの後端は、後側連通口4bの前端に連結して形成され、前記スリット4cの前端(+X端)は、現像ロール収容部V1の後端(−X端、現像ロールR0の後端)よりも前方に配置されている。また、前記スリット4cの左端縁4c1(−Y端縁)は、第1撹拌室V1の中心に沿って(第1撹拌部材R1の回転軸R1cに沿って)前後方向に延びており、右端縁4c2(+Y端縁)は、後方に行くに連れて前記左端縁4c1との間隔が広くなるように形成されている。したがって、図5に示すように、スリット4cは、右端縁4c2が現像ロール収容部V1から離隔する側(現像ロールR0から離隔する側)に形成され、上方(+Z方向)から見た場合に直角三角形状に形成されている。
図6B、図7Bにおいて、前記現像ロール収容部V1には、現像ロールR0が回転可能に支持されている。前記現像ロールR0は、磁石ロールR0aと前記磁石ロールR0aの外側面を被覆する回転可能な現像スリーブ(現像剤搬送スリーブ)R0bとを有する。前記第1撹拌室V2及び第2撹拌室V3には、それぞれ第1撹拌部材R1及び第2撹拌部材R2が回転可能に支持されている。
図3〜図5において、第1撹拌部材R1は、回転駆動時に、前方から後方(第1搬送方向)に第1撹拌室V2内のトナーを撹拌しながら搬送するオーガ(トナー撹拌搬送部材)R1aを有している。図4、図5において、第1撹拌部材R1の後端部(−X端部、第1搬送方向下流端部)には、第1撹拌室V2の後端部のトナーを後方から前方(第1搬送方向とは逆方向)に搬送する逆搬送オーガ(トナー押上部材)R1bが配置されている。したがって、第1搬送方向にトナーを搬送するオーガR1aと、逆方向にトナーを搬送する逆搬送オーガR1bとによって後端部のトナーが前後両側から力を受け、上方の第2撹拌室V3に移動する。
図3、図4において、前記第2撹拌部材R2は、回転駆動時に後方から前方(第2搬送方向)に第2撹拌室V3内のトナーを撹拌しながら搬送するオーガR2aを有している。また、図3において、前記第2撹拌部材R2の前端部(+X端部)には、前側上部接続部材2aの上部前端部に形成された現像剤補給口6から補給された現像剤を撹拌し且つ後方(第2搬送方向とは逆方向)に搬送する補給現像剤撹拌部材R2bが配置されている。
前記第1撹拌部材R1及び第2撹拌部材R2によって循環搬送部材(R1+R2)が構成されている。
図6、図7において、前記第1撹拌部材R1と現像ロールR0との間には滞留現像剤搬送部材R3が配置されている。前記滞留現像剤搬送部材R3は、現像ロールR0と第1撹拌部材R1との間に滞留する現像剤を撹拌搬送するための部材である。
また、図2、図3、図6Aにおいて、前記前側上部接続部材2a側面には現像剤排出口7が形成されている。前記現像剤排出口7は、前記現像剤補給口6から補給された新しい現像剤が補給後すぐに排出される割合を少なくするため、前記現像剤補給口6の位置より第2搬送方向上流側(後端側)に形成されている。
図6Bにおいて、現像容器V内には前記現像ロールR0上の現像剤の層厚を規制するための層厚規制部材8が配置されている。
前記現像ロール収容部V1、撹拌室V2,V3及び符号1〜8で示された要素等から、実施例1の現像容器Vが構成されている。
図3、図7Cにおいて、前記現像ロールR0の軸の後端部(−X端部)には、ギヤG0が装着され、撹拌部材R1,R2、滞留現像剤搬送部材R3の軸の後端部にはギヤG1,G2,G3が装着されている。ギヤG0とギヤG1とは中間ギヤG4を介して噛み合っている。またギヤG1,G2,G3は順次噛み合っている。そして、現像動作時には、現像装置用モータ(図示せず)の回転力は順次ギヤG0,G4,G1,G2,G3に伝達され、現像ロールR0、攪拌搬送部材R1,R2、攪拌部材R3が回転駆動される。
図2、図6Aにおいて、現像容器Vの前記現像剤排出口7の外側には排出用現像剤搬送筒接続部21が配置されている。
前記排出用現像剤搬送筒接続部21には排出用現像剤搬送筒22の前端部(X端部)が接続されており、前記排出用現像剤搬送筒22の後端部(−X端部)には排出現像剤回収タンク23(図2、図7B参照)が接続されている。前記排出用現像剤搬送筒22の内部は現像剤排出路22aを形成している。
図2において、前記排出用現像剤搬送筒22内部には、排出用現像剤搬送部材R5が配置されている。
この現像剤の排出は、容器内トナー濃度センサ(図示せず)の検出値により行われている。
図2、図7Cにおいて、前記排出用現像剤搬送部材R5の回転軸の後端部にはギヤG6が装着されており、ギヤG6は、図示しない現像剤排出用モータにより回転駆動される。前記ギヤG6が回転すると前記排出用現像剤搬送部材R5が回転し、前記現像剤排出口7から排出用現像剤搬送筒接続部21を介して排出用現像剤搬送筒22内に排出された余剰現像剤は、前記排出現像剤回収タンク23へ搬送されるようになっている。
前記現像容器V、現像ロールR0、撹拌部材R1〜R5及び符号21〜23で示された要素等により実施例1のY色用の現像装置Gyが構成されている。
(実施例1の作用)
前記構成を備えた実施例1の現像装置Gy〜Gkを備えた画像形成装置Uでは、現像剤補給口6から補給された2成分現像剤(トナー及びキャリア)は、前側連通口4aを通じて、第1撹拌室V2に搬送される。第1撹拌室V2の現像剤は、第1撹拌部材R1により撹拌されながら、前方から後方(第1搬送方向)に搬送される。第1撹拌室V2の後端部、即ち第1搬送方向下流端部に搬送された現像剤は、逆搬送オーガR1bにより第1搬送方向とは逆方向の力を受ける。この結果、第1撹拌室V2の後端部の現像剤は前後から力を受けて上方に押し上げられ、後側連通口4bやその上流側のスリット4cを通じて上方の第2撹拌室V3に移動する。そして、第2撹拌部材R2により後方から前方(第2搬送方向)に搬送される。
そして、第2撹拌室V3を撹拌されながら搬送される現像剤が、現像ロールR0の磁石ロールR0aの磁力により現像スリーブR0bの表面に吸着する。そして、層厚規制部材8により、現像剤の層厚が調節されてトナーが現像領域Q2に搬送され、像担持体Py表面の静電潜像がトナー像に現像される。現像に使用されなかった現像剤は、第2撹拌部材R2により前方に搬送され、劣化したキャリア等を含む余剰現像剤は現像剤排出口7から排出される。そして、排出されなかった現像剤は、前側連通路4aから第1撹拌室V2に落下し、再び第1撹拌部材R1により搬送される。このようにして、前記第1撹拌部材R1及び第2撹拌部材R2によって、現像容器V内のトナーが撹拌されながら循環する。
実施例1の現像装置Gy〜Gkを備えた画像形成装置Uでは、スリット4cを通じて後側連通口4bよりも上流側でもトナーを搬送できる。したがって、第1搬送方向下流端部において後側連通口4bのみでトナーを第2撹拌室V3に搬送する従来の場合と比較して、第1撹拌室V2の後端部(第1搬送方向下流端部)での現像剤(トナー及びキャリア)の密集を低減できる。この結果、第1撹拌室V2の後端部において、現像剤に作用する力(圧力)を低減でき、現像剤の凝集が低減され、画質の低下を防止できる。また、現像剤の密集が低減されるので、第1撹拌部材R1の回転抵抗が低減される。したがって、第1撹拌部材R1に作用する負荷(オーガの羽根に作用する負荷等)や、第1撹拌部材R1を駆動する現像装置用モータ(図示せず)に対する負荷の増大を抑えることができ、第1撹拌部材R1や現像装置用モータの損傷を低減でき、長寿命化することができる。
また、実施例1の現像装置Gy〜Gkを備えた画像形成装置Uでは、現像剤補給口6から現像剤が補給されるタイミングや一度に補給される現像剤の量により第1撹拌室V2の後端部(第1搬送方向下流端部)に蓄積される現像剤の量が変動する。また、温度・湿度変化等に伴い現像容器V内での現像剤の流動性が変化したり、第1撹拌部材R1の回転ムラにより、第1撹拌室V2の第1搬送方向下流端に蓄積されるトナー量が変動する場合もある。後側連通口4bのみで第2撹拌室V3にトナーを搬送する従来の現像装置では、第1撹拌室V2の第1搬送方向下流端のトナー量が多くなると、第1搬送方向下流端でのトナーの密集度が高まり、トナーが受ける力も大きくなっていた。
しかしながら、実施例1の現像装置Gy〜Gkでは、第1搬送方向下流端部の現像剤の量が多くなっても、連通口4bの上流側に形成されたスリット4cからトナーを上方に搬送できる。例えば、蓄積された現像剤の量が通常時には、後側連通口4bとスリット4cの第1搬送方向下流側部分で現像剤が第2撹拌室V3に搬送し、現像剤の量が多くなった場合にスリット4cの上流側部分でも現像剤が第2撹拌室V3に搬送し、現像剤の量が少なくなった場合に連通口4bのみで第2撹拌室V3に搬送するように設計することができる。この場合、第1撹拌室V2の後端部(第1搬送方向下流端部)の現像剤の量が変動しても、変動に応じてスリット4cを通過して第2撹拌室V3に現像剤が搬送されるので、蓄積された現像剤が密集しすぎることを防止できる。
したがって、第1撹拌室V2後端部の現像剤が多くなっても、現像剤が受ける力の増大を抑えることができ、現像剤の凝集及び画質の劣化を低減できる。また、後端部の現像剤の量が多くなっても現像剤の密集が防止されるので、第1撹拌部材R1の回転抵抗の増大を抑えることができ、後端部の現像剤量の応じて現像剤に作用する力や回転抵抗の変動(ムラ)が低減される。この結果、安定して現像剤の凝集を防止でき、第1撹拌部材R1の回転を安定させることができる。即ち、現像剤の凝集に伴う画質劣化や、回転抵抗の変動に伴う作用する負荷の変動及び回転ムラを安定して抑えることができる。
さらに、第1撹拌室V2の第1搬送方向下流端部に蓄積されたトナー量が少なく、スリット4cを通じて第2撹拌室V3から第1撹拌室V2に落下する(逆流する)場合でも、実施例1の現像装置Gy〜Gkでは、スリット4cが現像ロールR0から離隔する側に配置されているので、現像ロールR0近傍の現像剤の量に影響を及ぼし難い。したがって、現像ロールR0近傍の現像剤量が減少することを防止でき、現像ロールR0に付着する現像剤の量が減少して画像形成不良が発生することを防止できる。
また、スリット4cは、後端側(第1搬送方向下流側)の幅が前端側(第1搬送方向上流側)の幅よりも広く形成されている。したがって、後側連通口4bから離れるに連れて、即ち、現像ロールR0の内側(前方)にいくに連れてスリット4cの幅が狭くなるので、第2撹拌室V3を第2搬送方向に搬送されている現像剤が第2搬送方向下流側に行くに連れて(現像ロールR0の内側にいくに連れて)、第2撹拌室V3から第1撹拌室V2に落下する現像剤の量を少なくできる。
図8は実施例2の現像装置の説明図であり、図8Aは実施例1の図4に対応する図であり、図8Bはパドルの説明図である。
なお、この実施例2の説明において、前記実施例1の構成要素に対応する構成要素には同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
この実施例2は、下記の点で前記実施例1と相違しているが、他の点では前記実施例1と同様に構成されている。
図8において、実施例2の現像装置Gy〜Gkでは、実施例1の逆搬送オーガR1bに換えて、第1撹拌部材R1の後端部には、現像剤を第1搬送方向に搬送せず、撹拌を行うパドル(トナー押上部材)R1b′が配置されている。図8Bにおいて、前記パドルR1b′は、第1撹拌部材R1の回転軸R1cが貫通する円筒部5aと、前記円筒部5aから放射方向に延びる4つのトナー押上プレート5bとを有している。そして、前記トナー押上プレート5bの外周端部には、パドルR1b′の回転方向下流側に突出する折曲げ部5cが形成されている。したがって、図8Bに示すようにパドルR1b′は断面略卍型に形成されている。
また、第2撹拌部材R2の後端部(第2搬送方向上流端部)には、実施例1のオーガR2aのピッチ(オーガR2aが1回転した時のトナーの搬送距離)よりもピッチの大きな大ピッチオーガR2a1(高速搬送部材)が配置されている。
(実施例2の作用)
前記構成を備えた実施例2の現像装置Gy〜Gkを備えた画像形成装置Uでは、第1撹拌室V2の後端部(第1搬送方向下流端部)にパドルR1b′が配置されているので、後端部の現像剤は第1搬送方向に搬送されず、パドルR1b′により上方に掻き上げられる。したがって、逆搬送オーガR1bにより前後から力を作用させて上方に現像剤を搬送する実施例1の場合と比較して、現像剤に作用する力を低減できる。また、トナーを掻き上げるので、実施例1の場合と比較して効率的に現像剤を上方に搬送できる。
さらに、第2撹拌部材R2の後端部には大ピッチオーガR2a1が配置されているので、第2撹拌室V3後端部(第2搬送方向上流端部)の現像剤が速やかに前方に搬送される。したがって、第1撹拌室V2の後端部から上方に搬送された現像剤を速やかに搬送できるので、第1撹拌室V2から第2撹拌室への現像剤の搬送効率が高まり、第1撹拌室V2の後端部の現像剤の密集度を低減することができる。
その他、実施例2の現像装置Gy〜Gkを備えた画像形成装置Uは、実施例1の画像形成装置Uと同様の作用効果を奏する。
(変更例)
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内で、種々の変更を行うことが可能である。本発明の変更例(H01)〜(H07)を下記に例示する。
(H01)前記各実施例において、画像形成装置は、フルカラーの画像形成装置に限定されず、モノクロの画像形成装置に適用可能である。また、複写機以外の画像形成装置、即ち、FAXやプリンタ、複合機等にも使用可能である。
(H02)前記各実施例において、前記第1撹拌部材R1の後端部に逆搬送オーガR1bまたはパドルR1b′を配置したが、全てオーガにより構成することも可能であり、パドル以外のトナー押上部材により構成することも可能である。なお、第1撹拌室V2の後端部でのトナーの密集を低減する観点から、トナー押上部材(トナー撹拌搬送部材)は、第1搬送方向の搬送力を抑え、トナーを上方に押し上げる力を高めることが望ましい。他にも、第1撹拌部材R1後端部に、ピッチを小さくしたオーガ(トナー押上部材)を配置し、第1搬送方向の搬送力を低減することも可能である。また、第1撹拌部材R1後端部に、歯幅(羽根の厚み)を大きくしたオーガ(トナー押上部材)を配置し、トナーを搬送する羽根の間の空間を狭くすることにより搬送力を低減することも可能である。
(H03)前記各実施例において、パドルR1b′の形状は、卍型に限定されず、種々の形状のものに変更可能である。例えば、折曲げ部5cが形成されていない十字型のパドルや、平板ではなく湾曲したトナー押上プレートを有するパドル、3つのトナー押上プレートを有するY字形のパドルを使用可能である。また、トナー押上プレート5bの枚数は4枚に限定されず、1枚や2枚、あるいは5枚以上のトナー押上プレートを有するパドルを使用可能である。
(H04)前記各実施例において、前記スリット4cの形状、位置及び大きさは任意に変更可能である。例えば、直角三角形状に限定されず、不等辺三角形状、長方形状、平行四辺形状、台形状等任意の形状に変更可能である。また、スリット4cの後端が後側連通口4bの前端に連続せず、離れた開口に変更することも可能である。また、スリット4cの前端が、現像ロールR0の後端よりも前方に配置されているが、現像ロールR0の後端よりも後方に位置するようにスリット4cを形成することも可能である。
(H05)前記各実施例において、現像装置で使用される現像剤は、2成分現像剤に限定されず、トナーのみで構成された1成分現像剤も使用可能である。
(H06)前記各実施例において、撹拌部材R1、R2としてオーガ(トナー撹拌搬送部材)を使用したが、これに替えてスプリング状のアジテータ等のトナー撹拌搬送部材を使用することも可能である。
(H07)前記各実施例において、第1撹拌部材R1の回転軸R1cに対して垂直な断面(図7A等参照)において、第1撹拌室V2後端部の断面積(トナー流路断面積)を狭くすることにより、第1撹拌室V2から第2撹拌室V3への現像剤の上昇効率を高めることも可能である。
図1は本発明の実施例1の現像装置を備えた画像形成装置の全体説明図である。 図2は実施例1の現像装置の斜視図である。 図3は実施例1の現像装置の現像剤補給口部分の拡大説明図で前記図2の矢印III方向から見た部分断面図である。 図4は実施例1の現像装置の後端部の説明図であり、前記図2の矢印IV方向からみた部分断面図である。 図5は実施例1の現像装置の後端部の説明図であり、図4のV−V線断面図である。 図6は実施例1の現像装置の説明図であり、図6Aは図3のVIA−VIA線断面図、図6Bは図3のVIB−VIB線断面図である。 図7は実施例1の現像装置の説明図であり、図7Aは図4のVIIA−VIIA線断面図であり、図7Bは図4のVIIB−VIIB線断面図、図7Cは現像装置の回転力伝達ギヤの説明図である。 図8は実施例2の現像装置の説明図であり、図8Aは実施例1の図4に対応する図であり、図8Bはパドルの説明図である。 図9は従来の縦循環型現像装置において下方から上方にトナーが移動する部分の説明図である。
符号の説明
4…仕切壁、
4b…連通口、
4c…開口、
Q2…現像領域、
R0…現像ロール、
R1…第1撹拌部材、
R1+R2…循環搬送部材、
R1b′…トナー押上部材、
R2…第2撹拌部材、
V…現像容器、
V1…現像ロール収容部、
V2…第1撹拌室、
V3…第2撹拌室。

Claims (5)

  1. 下記の構成要件(A01)〜(A06)を備えたことを特徴とする現像装置、
    (A01)静電潜像がトナー像に現像される現像領域にトナーを搬送する現像ロール、
    (A02)前記現像ロールを収容する現像ロール収容部と、前記現像ロール収容部の斜め下方に配置された第1撹拌室と、前記現像ロール収容部に隣接し且つ前記第1撹拌室の上方に配置された第2撹拌室と、を有する現像容器、
    (A03)前記第1撹拌室に収容され、前記第1撹拌室内のトナーを所定の第1搬送方向に撹拌しながら搬送する第1撹拌部材と、
    前記第2撹拌室に収容され、前記第1搬送方向とは逆方向の第2搬送方向に前記第2撹拌室内のトナーを撹拌しながら搬送する第2撹拌部材と、
    を有する循環搬送部材、
    (A04)前記現像ロールの軸方向の長さに対応して、前記第1撹拌室と前記第2撹拌室との間を仕切る仕切壁、
    (A05)前記第1撹拌室の第1搬送方向下流端部から前記第2撹拌室の第2搬送方向上流端部にトナーを搬送するために前記仕切壁より前記第1搬送方向下流側に形成され、前記第1撹拌室の第1搬送方向下流端部と前記第2撹拌室の第2搬送方向上流端部とを連通する連通口、
    (A06)前記仕切壁の第1搬送方向下流端部に、部分的に形成され且つ前記連通口に連結するように形成され、前記第1撹拌室前記第2撹拌室とを連通させる開口。
  2. 下記の構成要件(A07),(A08)を備えたことを特徴とする請求項1記載の現像装置、
    (A07)前記開口の第1搬送方向上流端が前記現像ロールの第1搬送方向下流端よりも前記第1搬送方向上流側に形成された前記開口、
    (A08)前記第1撹拌部材の回転軸に対して前記現像ロールから離隔した側に形成された前記開口。
  3. 下記の構成要件(A09)を備えたことを特徴とする請求項1または2記載の現像装置、
    (A09)前記第1搬送方向下流側の幅が前記第1搬送方向上流側の幅よりも幅広く形成された前記開口
  4. 下記の構成要件(A010)を備えたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか記載の現像装置、
    (A010)前記第1搬送方向下流端部に配置され、前記第1撹拌室の第1搬送方向下流端部のトナーを上方の前記第2撹拌室の第2搬送方向上流端部に搬送するトナー押上部材を有する前記第1撹拌部材。
  5. 請求項1ないし4のいずれか記載の現像装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
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