JP4366985B2 - 液晶表示装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、ディスコティック液晶層を有する視野角改善素子を備えた液晶表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
液晶表示装置としては、対向配置された一対の基板の互いに向き合う内面にそれぞれ互いに対向する領域により複数の画素を形成する電極が設けられ、前記一対の基板間に、液晶分子を前記基板間において実質的に90°の捩れ角でツイスト配向させた液晶層が設けられた液晶素子と、前記液晶素子を挟んで配置された一対の偏光板とにより構成されたTN(ツイステッド・ネマティック)型のものが広く利用されている。
【0003】
しかし、このTN型液晶表示装置は、表示の視野角(表示を良好なコントラストで観察できる観察角度範囲)が狭いという問題をもっている。
【0004】
そのため、従来から、前記液晶素子と一対の偏光板との間にそれぞれ、ディスコティック液晶分子を、そのチルト方向を一方向に揃え、且つ前記偏光板に対向する面と前記液晶素子に対向する面の一方から他方に向かって順次チルト角を異ならせて配向させたディスコティック液晶層を有する視野角改善素子を配置することにより、視野角を広くした液晶表示装置が提案されている(特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開2000−338489号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前記視野角改善素子を備えた液晶表示装置は、前記液晶素子の液晶層及び前記視野角改善素子のディスコティック液晶層の光学特性に波長依存性があり、その光学的作用が視角(表示の観察方向)によって変化するため、視角の変化に応じて表示の色相が変化する。
【0007】
この色相の変化は、一対の偏光板をそれぞれの透過軸を実質的に互いに直交させて配置したノーマリーホワイトモードの液晶表示装置では、黒表示の色が視角に応じて著しく変化する。
【0008】
そして、液晶素子にその複数の画素にそれぞれ対応する赤、緑、青の3色のカラーフィルタを備えさせたカラー液晶表示装置では、視角による各色の光の透過強度が視角に依存して変化するため、視角に応じて観察されるカラー画像の色相が変化し、またコントラストも低下する。
【0009】
この発明は、視野角が広く、しかも視角による表示の色変化がほとんど無く、広い視野角にわたって、実質的に同じコントラスト及び色相のカラー画像を観察させることができる液晶表示装置を提供することを目的としたものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
この発明の液晶表示装置は、対向配置された一対の基板の互いに向き合う内面にそれぞれ互いに対向する領域により複数の画素を形成する電極が設けられ、一方の基板の内面に前記複数の画素にそれぞれ対応する赤、緑、青の3色のカラーフィルタが設けられ、前記一対の基板間に、液晶分子を前記基板間において実質的に90°の捩れ角でツイスト配向させた液晶層が設けられた液晶素子と、前記液晶素子を挟んで配置された実質的に互いに直交する方向に透過軸を有する一対の偏光板と、フィルム基板と、その上に形成されたディスコティック液晶層からなり、前記液晶素子と前記一対の偏光板との間に、前記フィルム基板を前記偏光板に対向させてそれぞれ配置され、前記ディスコティック液晶層が、前記フィルム基板上にディスコティック液晶分子を、前記フィルム基板の面に対するチルト方向を一方向に揃え、且つ前記フィルム基板の面から前記液晶素子に対向する面に向かってチルト角が順次大きくなるように、互いに逆の傾きで配向されてなる一対の視野角改善素子とを備え、前記一対の視野角改善素子は、それぞれのフィルム基板に対するディスコティック液晶分子の平均チルト角αが、それぞれ前記液晶素子の電極間に黒を表示させる電圧を印加したときの前記液晶分子の平均チルト角θとしたとき、α=90−θの関係を満たす値に設定されていることを特徴とする。
【0011】
この液晶表示装置は、前記液晶素子と前記一対の偏光板との間にそれぞれ前記ディスコティック液晶層を有する視野角改善素子を配置しているため、表示の視野角が広い。
【0012】
しかも、この液晶表示装置は、前記一対の偏光板をそれぞれの透過軸を実質的に互いに直交させて配置したノーマリーホワイトモードのものであるが、前記一対の視野角改善素子のディスコティック液晶分子の平均チルト角αをそれぞれ、前記液晶素子の電極間に黒を表示させる電圧を印加したときの液晶分子の平均チルト角θに対して、α=90−θの関係を満たす値に設定しているため、視角による表示の色変化がほとんど無く、したがって、広い視野角にわたって実質的に同じコントラスト及び色相のカラー画像を観察させることができる。
【0013】
このように、この発明の液晶表示装置は、一対の基板の互いに向き合う内面にそれぞれ互いに対向する領域により複数の画素を形成する電極が設けられ、一方の基板の内面に複数の画素にそれぞれ対応する赤、緑、青の3色のカラーフィルタが設けられ、前記一対の基板間に、液晶分子を前記基板間において実質的に90°の捩れ角でツイスト配向させた液晶層が設けられた液晶素子と、前記液晶素子を挟んで配置された実質的に互いに直交する方向に透過軸を有する一対の偏光板との間にそれぞれ、フィルム基板と、その上に形成されたディスコティック液晶層からなり、ディスコティック液晶層が、前記フィルム基板上にディスコティック液晶分子を、前記フィルム基板の面に対するチルト方向を一方向に揃え、且つ前記フィルム基板の面から前記液晶素子に対向する面に向かってチルト角が順次大きくなるように、互いに逆の傾きで配向されてなる視野角改善素子を配置し、さらに、前記視野角改善素子のディスコティック液晶分子の平均チルト角αを、前記液晶素子の電極間に黒を表示させる電圧を印加したときの前記液晶分子の平均チルト角θに対して、α=90−θの関係を満たす値に設定することにより、視野角を広くし、しかも視角による表示の色変化をほとんど無くして、広い視野角にわたって実質的に同じコントラスト及び色相のカラー画像を観察させることができるようにしたものである。
【0014】
この発明の液晶表示装置において、前記液晶素子の液晶層は、波長が450nmの光に対する屈折率異方性をΔn(450nm)とし、波長が650nmの光に対する屈折率異方性をΔn(650nm)としたとき、1<Δn(450nm)/Δn(650nm)≦1.07を満足する液晶材料により形成されているのが望ましい。
【0015】
また、この発明の液晶表示装置において、前記液晶素子の液晶層は、波長が450nmの光に対する液晶の屈折率異方性Δn(450nm)と液晶層厚dとの積ΔndからなるΔnd(450nm)値に対する、波長が650nmの光に対する液晶の屈折率異方性Δn(650nm)と液晶層厚dとの積ΔndからなるΔnd(650nm)値の比が、0.94≦Δnd(450nm)/Δnd(650nm)≦1.10を満たすように、前記液晶の屈折率異方性の値と液晶層厚の値を設定するのが望ましい。
【0016】
さらに、前記一対の視野角改善素子のディスコティック液晶層はそれぞれ150nmの面内位相差を有しており、液晶素子の液晶の屈折率異方性Δnと液晶層厚dの積Δndの値は340〜430nmに設定されているのが望ましい。
【0017】
さらに、前記一対の視野角改善素子のディスコティック液晶層の面内位相差をそれぞれ150nmとする場合、前記液晶素子のΔndの値は、赤のカラーフィルタに対応する画素と緑のカラーフィルタに対応する画素のΔndがそれぞれ340〜430nm、青のカラーフィルタに対応する画素のΔndが前記赤及び緑のカラーフィルタに対応する画素のΔndよりも1.10倍以下の比率で大きく設定されているのがより望ましい。
またさらに、液晶素子は、赤、緑、青の3色のカラーフィルタに対応する画素ごとに、その画素の液晶層厚を変えるための液晶層厚調整膜を設けることが、或いは、赤、緑、青の3色のカラーフィルタに対応する画素ごとに、それぞれ異なる厚さのカラーフィルタを備えることが望ましい。
【0018】
【発明の実施の形態】
図1〜図3はこの発明の第1の実施例を示しており、図1は液晶表示装置の一部分の断面図である。
【0019】
この実施例の液晶表示装置は、航空機のコックピットに装備される航空機用液晶表示装置であり、図1に示したように、液晶素子1と、前記液晶素子1を挟んでその前側と後側とに配置された一対の偏光板12,13と、前記液晶素子1と前記一対の偏光板12,13との間にそれぞれ配置された一対の視野角改善素子14,15とを備えている。
【0020】
前記液晶素子1は、対向配置され、図示しない枠状のシール材を介して接合された前後一対の透明基板(例えばガラス基板)2,3の互いに向き合う内面にそれぞれ互いに対向する領域により複数の画素を形成する透明電極4,5が設けられ、一方の基板、例えば表示の観察側(図1において上側)である前側の基板(以下、前基板と言う)1の内面に前記複数の画素にそれぞれ対応する赤、緑、青の3色のカラーフィルタ6R,6G,6Bが設けられ、前記一対の基板2,3間に液晶層10が設けられた構成となっている。
【0021】
この液晶素子1は、例えばTFT(薄膜トランジスタ)をアクティブ素子とするアクティブマトリックス液晶表示素子であり、後側の基板(以下、後基板と言う)3の内面に形成された電極5は、行方向および列方向にマトリックス状に配列する複数の画素電極、前基板2の内面に形成された電極4は、前記複数の画素電極5に対向する一枚膜状の対向電極である。
【0022】
なお、図1では省略しているが、前記後基板3の内面には、前記複数の画素電極5にそれぞれ対応する複数のTFTと、各行のTFTにゲート信号を供給する複数のゲート配線と、各列のTFTにデータ信号を供給する複数のデータ配線とが設けられており、前記複数の画素電極5はそれぞれ、その画素電極5に対応するTFTに接続されている。
【0023】
また、前記赤、緑、青のカラーフィルタ6R,6G,6Bは、前記前基板2の基板面上に形成されており、これらのカラーフィルタ6R,6G,6Bの上に前記対向電極4が形成されている。
【0024】
さらに、前記一対の基板2,3の内面にはそれぞれ、前記電極4,5を覆って、実質的に互いに直交する方向に配向処理された水平配向膜8,9が形成されている。
【0025】
そして、前記液晶層10は、前記一対の基板2,3間の前記シール材により囲まれた領域に、正の誘電異方性を有するネマティック液晶を充填して形成されており、その液晶分子11は、前記水平配向膜8,9により前後の基板2,3の近傍における配向方向を規定され、図1に実線で示したように、前記基板2,3間において実質的に90°の捩れ角でツイスト配向している。
【0026】
前記液晶素子1の液晶層10は、波長が450nmの光、つまり青の波長帯域の光に対する屈折率異方性をΔn(450nm)とし、波長が650nmの光、つまり赤の波長帯域の光に対する屈折率異方性をΔn(650nm)としたとき、Δn(450nm)/Δn(650nm)の値が1.07以下であって1より大きい液晶材料により形成されている。
【0027】
図6は前記Δn(450nm)/Δn(650nm)の値が1.06〜1.13の各液晶を用いた液晶表示素子における液晶層の各Δndに対するカラーシフトの値を示したものであり、この場合、カラーシフトの上限は0.05〜0.06である。
【0028】
この図6から、前記液晶素子1の液晶層10は、前記Δn(450nm)/Δn(650nm)の値が1.07以下であって1より大きい液晶材料、すなわち、
1<Δn(450nm)/Δn(650nm)≦1.07
を満足する液晶材料により形成するのが好ましい。
【0029】
さらに、前記液晶素子1の液晶層厚dは、赤、緑、青のカラーフィルタ6R,6G,6Bに対応する画素の全てにわたって実質的に等しく形成されている。この液晶素子1の液晶は、図7で示されるように、屈折率異方性Δnと液晶層厚dの積Δndの値が340〜430nmの間に横コントラスト及び上コントラストが極大値を示すため、Δndの値は340〜430nmに設定されている。
【0030】
また、この液晶表示装置はノーマリホワイトモードのものであり、前記一対の偏光板12,13は、それぞれの透過軸12a,13a(図3参照)を実質的に互いに直交させて配置されている。
【0031】
一方、前記液晶素子1と前記一対の偏光板12,13との間にそれぞれ配置された一対の視野角改善素子14,15は、いずれも、透明なフィルム基板16の一方の面に配向処理膜17を形成し、その上に、ディスコティック液晶分子19を、そのチルト方向を一方向に揃え、且つ前記フィルム基板16に隣接する面から他方の面に向かって順次チルト角を異ならせて配向させたディスコティック液晶層18を設けたものである。
【0032】
すなわち、前記ディスコティック液晶層18は、前記フィルム基板16の配向処理膜17上にディスコティック液晶を塗布し、そのディスコティック液晶を、前記フィルム基板16に隣接するディスコティック液晶分子19を前記配向処理膜17によりフィルム基板16面と略平行に配列させ、前記フィルム基板16とは反対側の面で前記ディスコティック液晶分子19を前記フィルム基板16に対して大きなチルト角で配列させた状態で硬化させたディスコティックフィルムからなっている。
【0033】
上述した如く、視野角改善素子14,15は、ディスコティック液晶分子19を、そのチルト方向を一方向に揃え、且つ一方の面(フィルム基板16側の面)から他方の面に向かって徐々にチルト角が大きくなるように配向させたディスコティック液晶層18を有している。
【0034】
前記ディスコティック液晶層18は、その模式的な断面を示す図2のように、ディスコティック液晶分子19の円板状の面に垂直なぞれぞれの分子軸19aが連続的に傾くように配列し、これらの分子軸19aを平均した方向を、屈折率が最小となるディスコティック液晶層18の光学軸20とし、負の光学的異方性をもっている。
【0035】
前記一対の視野角改善素子14,15のそれぞれのディスコティック液晶分子19のフィルム基板16に対すチルト角を層厚全体で平均した平均チルト角(図1及び図2に一点鎖線で示したチルト角)αはそれぞれ、前記液晶素子1の電極4,5間に黒を表示させる電圧(液晶分子11を図1に二点鎖線で示したように基板2,3面に対して垂直に近い立ち上がり角で配向させる電圧)を印加したときの前記液晶分子11の平均チルト角をθとしたとき、
α=90−θ
の関係を満たす値に設定されている。
【0036】
図8は、前記液晶素子1の電極4,5間に印加する電圧と、その電界により挙動する液晶分子11の平均チルト角との関係を示しており、図9は、表示画面の法線に対して50゜傾いた方向のコントラストである横コントラストを示し、図10は、u‘v’色度座標系(CIE1976UCSの色度座標)で表示画面の法線に対して50゜傾いた方向から観察したときの表示色の変化であるカラーシフトの値を示し、図11は、表示画面の法線に対して30゜傾いた方向のコントラストである上方向コントラストを示している。
【0037】
図8のように、前記液晶素子1の電極4,5間に6Vの電圧を印加すると、液晶分子11の平均チルト角θがほぼ72゜となり、透過率が低い黒を表示する。
【0038】
一方、前記視野角改善素子14,15のディスコティック液晶層18は、図9のように、ディスコティック液晶分子19の平均チルト角αが大きい方が横コントラストが高い。
【0039】
これに対して、前記ディスコティック液晶層18によるカラーシフトは、ディスコティック液晶分子19の平均チルト角αが17゜〜19゜の間で極小値を示し、図11のように、平均チルト角が17゜〜19゜の範囲に充分高いコントラストが得られる。
【0040】
これらの図に示されたように、十分なコントラストが得られ、カラーシフトが充分に小さくなるための、前記ディスコティック液晶分子の平均チルト角の範囲は17゜〜19゜であり、特に18゜であることが望ましい。
【0041】
この液晶表示装置の液晶素子1の電極4,5間に黒表示電圧を印加したときの液晶分子11の平均チルト角θは約72°であり、そのため、前記一対の視野角改善素子14,15のディスコティック液晶分子19を、その平均チルト角αが約18°(α=90−72=18)になるように配向させている。
【0042】
さらに、前記図9,10,11で示したように、ディスコティック液晶層をその法線方向に入射する光に対する常光と異常光の屈折率の差である面内位相差の値が150nmのディスコティック液晶層18を用いるときに、コントラスト及びカラーシフトの両方が優れた特性が得られる。
【0043】
そのため、この液晶表示装置では、150nmの面内位相差をもった視野角改善素子14,15を用いている。
【0044】
そして、前記一対の視野角改善素子14,15は、それぞれのディスコティック液晶分子19のチルト角変化方向を互いに逆向きにするとともに、前記ディスコティック液晶層18の屈折率が最小となる光学軸20を前記ディスコティック液晶層18の表面に投影した方向(以下、基板投影光学軸と言う)20aを所定の方向に向けて、前記液晶素子1と前後の偏光板12,13との間にそれぞれ配置されている。
【0045】
この実施例では、図1に示したように、前記一対の視野角改善素子14,15を、それぞれのディスコティック液晶分子19のチルト角が大きい面側を液晶素子1に対向させて配置し、粘着層21により前記液晶素子1に貼付けている。
【0046】
図3は、前記液晶素子1の一対の基板2,3の近傍における液晶分子配向方向2a,3aと、前後の偏光板12,13の透過軸12a,13aの向きと、一対の視野角改善素子14,15の基板投影光学軸20aの向きとを示している。
【0047】
図3のように、前記液晶素子1の前基板2の近傍における液晶分子配向方向2aは、液晶表示装置の画面の横軸xに対し、表示の観察側である前側から見て左回りに45°ずれた方向、後基板3の近傍における液晶分子配向方向3aは、前記横軸xに対し、前側から見て右回りに45°ずれた方向にあり、この液晶素子1の液晶層10の液晶分子11は、そのツイスト方向を図に破線矢印で示したように、後基板3から前基板2に向かい、前側から見て右回りに実質的に90°の捩れ角でツイスト配向している。
【0048】
また、前記液晶素子1の前側の偏光板12は、その透過軸12aを前記液晶素子1の前基板2の近傍における液晶分子配向方向2aに対し、図3のように実質的に直交させるか、あるいは実質的に平行にして配置され、後側の偏光板13は、その透過軸13aを前側偏光板12の透過軸12aに対し、実質的に直交させて配置されている。
【0049】
さらに、前記一対の視野角改善素子14,15のうち、前側の視野角改善素子14は、前記液晶素子1と前側偏光板12との間に、前記基板投影光学軸(ディスコティック液晶層18の屈折率が最小となる光学軸20を前記ディスコティック液晶層18の表面に投影した方向)20aを前記液晶素子1の前基板2の近傍における液晶分子配向方向2aと実質的に平行にして配置され、後側の視野角改善素子15は、前記液晶素子1と後側偏光板13との間に、前記基板投影光学軸20aを前記液晶素子1の後基板3の近傍における液晶分子配向方向3aと実質的に平行にして配置されている。
【0050】
この液晶表示装置は、その後側に配置される面光源からの照明光を利用して表示するものであり、後側偏光板13によりその透過軸13aに平行な直線偏光とされて入射し、後側の視野角改善素子15のディスコティック液晶層18と、液晶素子1の液晶層と、前側の視野角改善素子14のディスコティック液晶層18とにより偏光状態を変えられ、これらの光のうち、前側偏光板12の吸収軸(図示せず)に平行な直線偏光成分がこの前側偏光板12により吸収され、前記前側偏光板12の透過軸12aに平行な直線偏光成分が、この前側偏光板12を透過して観察側に出射する。
【0051】
この液晶表示装置は、前記液晶素子1の複数の画素の電極4,5間に印加する電圧値を所定の表示階調数に応じて制御することにより駆動され、前記複数の画素に対応する表示の明暗を変化させて画像を表示する。
【0052】
なお、この液晶表示装置は、前後の偏光板12,13をそれぞれの透過軸12a,13aを実質的に互いに直交させて配置したノーマリホワイトモードのものであり、前記液晶素子1の複数の画素のうち、電極4,5間に液晶分子11を図1に二点鎖線で示したように基板2,3面に対して垂直に近い立ち上がり角で配向させる黒表示電圧が印加された画素に対応する表示が黒表示となる。
【0053】
また、前記黒表示電圧よりも低い電圧が印加された画素に対応する表示は印加電圧に応じた階調の明表示であり、印加電圧が実質的に0Vとなったとき、つまり液晶分子11が初期のツイスト配向状態に配向したときに、その画素に対応する表示が最も明るい明表示になる。
【0054】
さらに、この液晶表示装置は、前記液晶素子1に複数の画素にそれぞれ対応する赤、緑、青の3色のカラーフィルタ6R,6G,6Bを備えさせているため、前記明表示は赤、緑、青のいずれかの色の表示であり、これらの赤、緑、青の明表示の階調と前記黒表示とによりカラー画像が表現される。
【0055】
この液晶表示装置は、液晶素子1と前後の偏光板12,13との間にそれぞれディスコティック液晶層18を有する視野角改善素子14,15を配置しているため、表示の視野角が広い。
【0056】
すなわち、前記液晶素子1の液晶層10の液晶分子11は、電圧の印加によりツイスト配向状態を保ちながら基板2,3面に対して立上がるように配向状態を変えるが、配向膜8,9による配向規制力を強く受ける基板近傍の液晶分子11は、電圧が印加されても初期のプレチルト角またはそれに近い角度で倒伏した状態のままであるため、前記液晶素子1の電極4,5間に液晶分子11を基板2,3面に対して垂直に近い立ち上がり角(約72°)で配向させる電圧を印加したときでも、前記液晶層10は、基板近傍の液晶分子11が初期の配向状態からほとんど変化しないことによる残留リタデーションをもっている。
【0057】
また、前記液晶素子1の液晶層10は、この液晶層10を垂直方向に透過する光と斜め方向(垂直方向に対して傾いた方向)に透過する光に対して異なるリタデーションを示すため、ノーマリーホワイトモードの液晶表示装置では、画面の正面方向(画面に垂直な方向の付近)から観察したときは黒表示の暗さが充分な良好なコントラストの表示を観察できるが、斜め方向から表示を観察すると、黒表示の暗さが浮き上がり、コントラストが大きく低下する。
【0058】
一方、前記一対の視野角改善素子14,15は、ディスコティック液晶層18を有し、ディスコティック液晶分子19を、そのチルト方向を一方向に揃え、且つ前記偏光板12,13に対向する面と前記液晶素子1に対向する面の一方から他方に向かって順次チルト角を異ならせて配向させたものであり、この一対の視野角改善素子14,15が、それぞれのディスコティック液晶分子19のチルト角変化方向を互いに逆向きにして前記液晶素子1と前後の偏光板12,13との間に配置されているため、これらの視野角改善素子14,15のディスコティック液晶分子19の配向状態は、前記液晶素子1の電圧印加時における液晶層厚の中央から一方の基板側の液晶分子配向状態及び他方の基板側の液晶分子配向状態と見掛け上逆である。
【0059】
しかも、この視野角改善素子14,15の液晶層18はディスコティック液晶層であるため、そのリタデーションに方向性が無い。
【0060】
そして、この液晶表示装置では、前記液晶素子1と前側偏光板12との間の視野角改善素子14を、その基板投影光学軸(ディスコティック液晶層18の屈折率が最小となる光学軸20を前記ディスコティック液晶層18の表面に投影した方向)20aを前記液晶素子1の前基板2の近傍における液晶分子配向方向2aと実質的に平行にして配置し、前記液晶素子1と後側偏光板13との間の視野角改善素子14を、その基板投影光学軸20aを前記液晶素子1の後基板3の近傍における液晶分子配向方向3aと実質的に平行にして配置している。
【0061】
そのため、前記液晶素子1の電圧印加時における基板近傍の液晶分子11が初期の配向状態からほとんど変化しないことによる残留リタデーションを前記一対の視野角改善素子14,15により打ち消し、表示の視野角、つまり黒表示の暗さが充分な良好なコントラストの表示を観察できる観察角度範囲を広くすることができる。
【0062】
しかも、この液晶表示装置は、前後の偏光板12,13をそれぞれの透過軸12a,13aを実質的に互いに直交させて配置したノーマリーホワイトモードのものであるが、前記一対の視野角改善素子14,15のディスコティック液晶分子19の平均チルト角αをそれぞれ、前記液晶素子1の電極4,5間に黒を表示させる電圧を印加したときの液晶分子11の平均チルト角θに対して、α=90−θの関係を満たす値に設定しているため、正面方向から観察したときの黒表示も、斜め方向から観観したときの黒表示も、ほとんど同じ色の表示である。
【0063】
そのため、この液晶表示装置は、視角による表示の色変化がほとんど無く、したがって、広い視野角にわたって、実質的に同じコントラスト及び色相のカラー画像を観察させることができる。
【0064】
また、この実施例では、上述したように、前記液晶素子1の液晶層10を、波長が450nmの光(青の波長帯域の光)に対する屈折率異方性Δn(450nm)と、波長が650nmの光(赤の波長帯域の光)に対する屈折率異方性Δn(650nm)との比が、1<Δn(450nm)/Δn(650nm)≦1.07を満足する液晶材料により形成しているため、視角による赤、緑、青の各波長帯域の光の透過率バランスの変化を小さくし、赤、緑、青の出射光の合成色の色相の視角依存性を極く小さくすることができ、したがって、広い視野角にわたって、ほとんど同じ色相のカラー画像を観察させることができる。
【0065】
さらに、この実施例では、上述したように、前記一対の視野角改善素子14,15のディスコティック液晶層18の面内位相差をそれぞれ150nmに設定し、前記液晶素子1のΔndの値を340〜430nmに設定しているため、上述した液晶素子1の電圧印加時における基板近傍の液晶分子11が初期の配向状態からほとんど変化しないことによる残留リタデーションを、前記一対の視野角改善素子14,15により、ほとんど表示に影響しない程度に効果的に打ち消し、広い視野角にわたって、色相がほとんど同じでコントラスト及び色相の変化もほとんど無いカラー画像を観察させることができる。
【0066】
そのため、この液晶表示装置は、航空機用表示装置に要求される機能を全て有している。
【0067】
すなわち、航空機のコックピットに装備される表示装置は、どのような視角で観察しても、表示のコントラストが変わらず、またコントラストと色相も変わって見えないことがシビアに要求される。
【0068】
前記液晶表示装置は、上述したように、視野角が広く、しかも視角による表示の色変化がほとんど無く、広い視野角にわたって、実質的に同じコントラスト及び色相のカラー画像を観察させることができるため、航空機のコックピットに装備される表示装置に好適である。
【0069】
図4はこの発明の第2の実施例を示す液晶表示装置の一部分の断面図であり、この実施例の液晶表示装置は、液晶素子1と前後の偏光板12,13との間にそれぞれ配置された一対の視野角改善素子14,15のディスコティック液晶層18の面内位相差をそれぞれ上述したように150nmに設定し、前記液晶素子1のΔndの値を、赤のカラーフィルタ(以下、赤色フィルタと言う)6Rに対応する画素と緑のカラーフィルタ(以下、緑色フィルタと言う)6Gに対応する画素のΔndをそれぞれ340〜430nm、青のカラーフィルタ(以下、青色フィルタと言う)6Bに対応する画素のΔndを前記赤色及び緑色フィルタ6R,6Gに対応する画素のΔndに対して、横方向のカラーシフト(画面の横軸方向への視角の変化によるカラーシフト)及び上方向のカラーシフト(画面の縦軸方向への視角の変化によるカラーシフト)がその上限内になるように設定したものである。
【0070】
すなわち、図12及び図13は、波長が450nmの光に対する液晶の屈折率異方性Δn(450nm)とその波長光が透過する領域(画素)の液晶層厚dとの積ΔndからなるΔnd(450nm)値に対する、波長が650nmの光に対する液晶の屈折率異方性Δn(650nm)とその波長光が透過する領域の液晶層厚dとの積ΔndからなるΔnd(650nm)値との比Δnd(450nm)/Δnd(650nm)の値と視角の変化によるカラーシフトとの関係を示しており、図12は、中間調(グレー)を表示したときの横方向カラーシフトを示し、図13は、黒を表示したときの上方向カラーシフトを示している。
【0071】
図12のように、カラーシフトの上限を0.05としたとき、前記Δnd(450nm)/Δnd(650nm)の値は1.1であり、また図13のように、黒表示のカラーシフトを0.1としたとき、前記Δnd(450nm)/Δnd(650nm)の値は0.94となる。
【0072】
したがって、前記Δnd(450nm)/Δnd(650nm)の値は、0.94以上で1.10以下の範囲が望ましく、好ましくは1.07以下であり、さらに好ましくは1.02である。
【0073】
そのため、この実施例では、前記青色フィルタ6Bに対応する画素のΔndを、赤色及び緑色フィルタ6R,6Gに対応する画素のΔndに対して、0.94〜1.10の比率の値に設定している。
【0074】
なお、この実施例の液晶表示装置は、液晶素子1の青色フィルタ6Bに対応する画素のΔndを赤色及び緑色フィルタ6R,6Gに対応する画素のΔndよりも大きく設定したものであるが、他の構成は上記第1の実施例と同じである。
【0075】
また、この実施例においても、前記液晶素子1の液晶層10は、波長が450nmの光に対する屈折率異方性Δn(450nm)と、波長が650nmの光に対する屈折率異方性Δn(650nm)との比が、1<Δn(450nm)/Δn(650nm)≦1.07を満足する液晶材料により形成するのが望ましい。
【0076】
この実施例では、前記液晶素子1の前基板2の内面に設けられた赤、緑、青のカラーフィルタ6R,6G,6Bのうち、青色フィルタ6Bの上(対向電極4の下)に透明な液晶層厚調整膜7を設けることにより、赤色フィルタ6R及び緑色フィルタ6Gに対応する画素の液晶層厚d1と前記青色フィルタ6Bに対応する画素の液晶層厚d2とを異ならせ、前記赤色フィルタ6R及び緑色フィルタ6Gに対応する画素のΔnd(以下、Δnd1と記す)と、前記青色フィルタ6Bに対応する画素のΔnd(以下、Δnd2と記す)の値とを、0.94<Δnd2/Δnd1<1.10の関係に設定している。
【0077】
なお、上述したように、前記液晶素子1の赤色フィルタ6R及び緑色フィルタ6Gに対応する画素のΔnd1はそれぞれ340〜430nmであり、したがって、前記青色フィルタ6Bに対応する画素のΔnd2は374〜473nmである。
【0078】
この実施例の液晶表示装置は、前記一対の視野角改善素子14,15のディスコティック液晶層18の面内位相差をそれぞれ150nmに設定し、前記液晶素子1の赤色及び緑色フィルタ6R,6Gに対応する画素のΔnd1をそれぞれ340〜430nm、青色フィルタ6Bに対応する画素のΔnd2を前記赤色及び緑色フィルタ6R,6Gに対応する画素のΔnd1の値に対して0.94〜1.10の比率で設定しているため、黒表示をさらに黒に近くし、広い視野角にわたって、コントラスト及び色再現性の高いカラー画像を観察させることができる。
【0079】
すなわち、この液晶表示装置はノーマリーホワイトモードのものであるため、前記液晶素子1の電極3,4間に印加する電圧を高くするのにともなって光の透過率が低くなる。
【0080】
しかし、この液晶表示装置の電圧―透過率特性には波長依存性があるため、前記液晶素子1の赤、緑、青の各色のフィルタ6R,6G,6Bに対応する画素のΔnd値が同じである場合は、低電圧側での赤、緑、青の各波長帯域の光の透過率の差は小さいが、高電圧側、つまり黒表示側では、青の各波長帯域の光の透過率よりも赤及び緑の波長帯域の光の透過率の低下の度合が大きくなり、表示が青味を帯びる。
【0081】
それに対し、この実施例では、前記液晶素子1の青色フィルタ6Bに対応する画素のΔnd2を赤色及び緑色フィルタ6R,6Gに対応する画素のΔnd1よりも大きくし、且つ、前記青色フィルタ6Bに対応する画素のΔnd2の赤色及び緑色フィルタ6R,6Gに対応する画素のΔnd1に対する比率を0.94〜1.10にしているため、高電圧側での青の各波長帯域の光の透過率を赤及び緑の波長帯域の光の透過率と略同じにし、高電圧側、つまり黒表示側での表示の帯色をほとんど無くすことができる。
【0082】
そのため、この実施例の液晶表示装置によれば、黒表示をさらに黒に近くするとともに、黒表示に近い低階調側の表示の帯色も無くすことができ、したがって、広い視野角にわたってコントラスト及び色再現性の高いカラー画像を観察させることができる。
【0083】
ただし、この実施例では、低電圧側において青の各波長帯域の光の透過率が赤及び緑の波長帯域の光の透過率よりも低くなるが、前記青色フィルタ6Bに対応する画素のΔnd2の赤色及び緑色フィルタ6R,6Gに対応する画素のΔnd1に対する比率は0.94〜1.10であるため、低電圧側での青の各波長帯域の光の透過率と赤及び緑の波長帯域の光の透過率との差は、表示のコントラスト及び色相にほとんど影響しない。
【0084】
したがって、この液晶表示装置によれば、低電圧側から高電圧側にわたってコントラスト及び色再現性の高いカラー画像を表示し、その画像を、広い視野角にわたって略同じコントラスト及び色相で観察させることができる。
【0085】
なお、前記液晶素子1の青色フィルタ6Bに対応する画素のΔnd2の赤色及び緑色フィルタ6R,6Gに対応する画素のΔnd1に対する比率は、1.02(Δnd2/Δnd1=1.02)にするのが好ましく、このようにすることにより、低電圧側から高電圧側にわたって、よりコントラスト及び色再現性の高いカラー画像を表示することができる。
【0086】
また、上記第2の実施例では、液晶素子1の赤色フィルタ6R及び緑色フィルタ6Gに対応する画素の液晶層厚d1と青色フィルタ6Bに対応する画素の液晶層厚d2とを異ならせるために、前記青色フィルタ6Bの上に液晶層厚調整膜7を設けているが、図5に示した第3の実施例のように、青色フィルタ6Bを赤色フィルタ6R及び緑色フィルタ6Gの膜厚よりも厚く形成することにより、前記赤色フィルタ6R及び緑色フィルタ6Gに対応する画素の液晶層厚d1と前記青色フィルタ6Bに対応する画素の液晶層厚d2とを異ならせてもよい。
【0087】
上述した第2及び第3の実施例に関し、次のような仕様の液晶表示装置(以下、実施例と言う)1,2と、比較のための液晶表示装置(以下、比較例と言う)1,2を作製し、それぞれについて、白を表示(赤、緑、青の全画素表示)したとき、黒を表示したとき、50%の中間調(グレー)を表示したとき、及び20%の中間調を表示したときのカラーシフトの視角依存性を測定した結果を図14,15,16,17にそれぞれ示した。
【0088】
[実施例1]
赤色フィルタに対応する画素の液晶層厚=4.0μm
緑色フィルタに対応する画素の液晶層厚=4.0μm
青色フィルタに対応する画素の液晶層厚=3.8μm
液晶の650nmの波長光に対するΔn=0.099
液晶の550nmの波長光に対するΔn=0.102
液晶の475nmの波長光に対するΔn=0.107
液晶のΔεの値=4.6
Δnd(650nm)=0.396
Δnd(550nm)=0.408
Δnd(450nm)=0.407
Δnd(450nm)/Δnd(650nm)=1.028
ディスコティック液晶の平均チルト角=18゜
ディスコティック液晶の面内位相差=150nm
[実施例2]
赤色フィルタに対応する画素の液晶層厚=4.8μm
緑色フィルタに対応する画素の液晶層厚=4.8μm
青色フィルタに対応する画素の液晶層厚=4.6μm
液晶の650nmの波長光に対するΔn=0.081
液晶の550nmの波長光に対するΔn=0.083
液晶の450nmの波長光に対するΔn=0.086
液晶のΔεの値=5.3
Δnd(650nm)=0.389
Δnd(550nm)=0.398
Δnd(450nm)=0.395
Δnd(450nm)/Δnd(650nm)=1.017
ディスコティック液晶の平均チルト角=18゜
ディスコティック液晶の面内位相差=150nm
[比較例1]
赤色フィルタに対応する画素の液晶層厚=4.1μm
緑色フィルタに対応する画素の液晶層厚=4.3μm
青色フィルタに対応する画素の液晶層厚=4.3μm
液晶の650nmの波長光に対するΔn=0.077
液晶の550nmの波長光に対するΔn=0.079
液晶の450nmの波長光に対するΔn=0.083
液晶のΔεの値=4.7
Δnd(650nm)=0.316
Δnd(550nm)=0.340
Δnd(450nm)=0.357
Δnd(450nm)/Δnd(650nm)=1.130
ディスコティック液晶の平均チルト角=15゜
ディスコティック液晶の面内位相差=130nm
[比較例2]
赤色フィルタに対応する画素の液晶層厚=4.3μm
緑色フィルタに対応する画素の液晶層厚=4.3μm
青色フィルタに対応する画素の液晶層厚=4.1μm
液晶の650nmの波長光に対するΔn=0.081
液晶の550nmの波長光に対するΔn=0.083
液晶の475nmの波長光に対するΔn=0.086
液晶のΔεの値=5.3
Δnd(650nm)=0.348
Δnd(550nm)=0.357
Δnd(450nm)=0.353
Δnd(450nm)/Δnd(650nm)=1.013
ディスコティック液晶の平均チルト角=15゜
ディスコティック液晶の面内位相差=130nm
これらの図14,15,15,17からわかるように、上記[実施例1]及び[実施例2]は、視角の変化に対するカラーシフトが小さく視野角が広い。
【0089】
また、図18は、上記[実施例2]の印加電圧に対する上方向カラーシフトの液晶層厚依存性を示し、図19は上記[比較例]2の上方向カラーシフトの液晶層厚依存性を示している。
【0090】
これらの図18,19から明らかなように、上記[実施例2]は、一定の電圧値に対し、液晶層厚の違いに対するカラーシフトの値が小さい。特に印加電圧を5としたときには、カラーシフトが極めて小さくなる。このことは、液晶層厚の誤差が大きくても、カラーシフトが小さいことを表しており、製造を容易とし、また製造工程での歩留まりを高くすることができる。
【0091】
なお、上述した第1〜第3の実施例の液晶表示装置は、航空機のコックピットに装備されるものであるが、この発明は、航空機用液晶表示装置に限らず、他の用途の液晶表示装置にも適用することができる。
【0092】
【発明の効果】
この発明の液晶表示装置は、一対の基板の互いに向き合う内面にそれぞれ互いに対向する領域により複数の画素を形成する電極が設けられ、一方の基板の内面に複数の画素にそれぞれ対応する赤、緑、青の3色のカラーフィルタが設けられ、前記一対の基板間に、液晶分子を前記基板間において実質的に90°の捩れ角でツイスト配向させた液晶層が設けられた液晶素子と、前記液晶素子を挟んで配置された実質的に互いに直交する方向に透過軸を有する一対の偏光板との間にそれぞれ、フィルム基板と、その上に形成されたディスコティック液晶層からなり、ディスコティック液晶層が、前記フィルム基板上にディスコティック液晶分子を、前記フィルム基板の面に対するチルト方向を一方向に揃え、且つ前記フィルム基板の面から前記液晶素子に対向する面に向かってチルト角が順次大きくなるように、互いに逆の傾きで配向されてなる視野角改善素子を配置し、さらに、前記視野角改善素子のディスコティック液晶分子の平均チルト角αを、前記液晶素子の電極間に黒を表示させる電圧を印加したときの前記液晶分子の平均チルト角θに対して、α=90−θの関係を満たす値に設定したものであるため、視野角が広く、しかも視角による表示の色変化がほとんど無く、広い視野角にわたって、実質的に同じコントラスト及び色相のカラー画像を観察させることができる。
【0093】
この発明の液晶表示装置において、前記液晶素子の液晶層は、波長が450nmの光に対する屈折率異方性Δn(450nm)と、波長が650nmの光に対する屈折率異方性Δn(650nm)との比が、1<Δn(450nm)/Δn(650nm)=≦1.07を満足する液晶材料により形成されているのが望ましく、このようにすることにより、広い視野角にわたって、ほとんど同じ色相のカラー画像を観察させることができる。
【0094】
また、前記一対の視野角改善素子のディスコティック液晶層はそれぞれ150nmの面内位相差を有しており、液晶素子のΔndの値は340〜430nmに設定されているのが望ましく、このようにすることにより、広い視野角にわたって、色相がほとんど同じでコントラスト及び色相の変化もほとんど無いカラー画像を観察させることができる。
【0095】
また、この発明の液晶表示装置において、前記液晶素子の液晶層は、波長が450nmの光に対する液晶の屈折率異方性Δn(450nm)と液晶層厚dとの積ΔndからなるΔnd(450nm)値に対する、波長が650nmの光に対する液晶の屈折率異方性Δn(650nm)と液晶層厚dとの積ΔndからなるΔnd(650nm)値の比が、0.94≦Δnd(450nm)/Δnd(650nm)≦1.10を満たすように、前記液晶の屈折率異方性の値と液晶層厚の値を設定するのが望ましく、このようにすることにより、広い視野角にわたって、コントラスト及び色再現性の高いカラー画像を観察させることができる。
【0096】
さらに、前記一対の視野角改善素子のディスコティック液晶層の面内位相差をそれぞれ150nmとする場合、前記液晶素子のΔndの値は、赤色フィルタに対応する画素と緑色フィルタに対応する画素のΔndがそれぞれ340〜430nm、青色フィルタに対応する画素のΔndが前記赤色及び緑色フィルタに対応する画素のΔndよりも1.10倍以下の比率で大きく設定されているのがより望ましく、また液晶素子は、赤、緑、青の3色のカラーフィルタに対応する画素ごとに、その画素の液晶層厚を変えるための液晶層厚調整膜を設けることが、或いは、赤、緑、青の3色のカラーフィルタに対応する画素ごとに、それぞれ異なる厚さのカラーフィルタを備えることが望ましく、このようにすることにより、黒表示をさらに黒に近くし、広い視野角にわたって、コントラスト及び色再現性の高いカラー画像を観察させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の第1の実施例を示す液晶表示装置の一部分の断面図。
【図2】 視野角改善素子のディスコティック液晶層の模式的断面図。
【図3】 前記液晶表示装置の液晶素子の一対の基板の近傍における液晶分子配向方向と、一対の偏光板の透過軸の向きと、一対の視野角改善素子の基板投影光学軸の向きとを示す図。
【図4】 この発明の第2の実施例を示す液晶表示装置の一部分の断面図。
【図5】 この発明の第2の実施例を示す液晶表示装置の一部分の断面図。
【図6】 Δn(450nm)/Δn(650nm)の値が1.06〜1.13の各液晶を用いた液晶表示素子における液晶層の各Δndに対するカラーシフトの値を示す図。
【図7】 液晶素子の液晶のΔndと横コントラスト及び上コントラストとの関係を示す図。
【図8】 液晶素子に印加する電圧と液晶分子の平均チルト角との関係を示す図。
【図9】 前記液晶表示装置の横コントラストを示す図。
【図10】 前記液晶表示装置のカラーシフトを示す図。
【図11】 前記液晶表示装置の上方向コントラストを示す図。
【図12】 前記液晶表示装置の中間調を表示したときの横方向カラーシフトを示す図。
【図13】 前記液晶表示装置の黒を表示したときの上方向カラーシフトを示す図。
【図14】 比較例1,2と実施例1,2の白を表示したときのカラーシフトの視角依存性を示す図。
【図15】 比較例1,2と実施例1,2の黒を表示したときのカラーシフトの視角依存性を示す図。
【図16】 比較例1,2と実施例1,2の50%の中間調を表示したときのカラーシフトの視角依存性を示す図。
【図17】 比較例1,2と実施例1,2の20%の中間調を表示したときのカラーシフトの視角依存性を示す図。
【図18】 実施例2の印加電圧に対する上方向カラーシフトの液晶層厚依存性を示す図。
【図19】 比較例2の上方向カラーシフトの液晶層厚依存性を示す図。
【符号の説明】
1…液晶素子、2,3…基板、2a,3a…液晶分子配向方向、4,5…電極、6R,6G,6B…カラーフィルタ、7…液晶層厚調整膜、8,9…配向膜、10…液晶層、11…液晶分子、θ…黒表示電圧を印加したときの液晶分子の平均チルト角、12,13…偏光板、12a,13a…透過軸、14,15…視野角改善素子、16…フィルム基板、17…配向膜、18…ディスコティック液晶層、19…ディスコティック液晶分子、20…屈折率が最小となる光学軸、20a…基板投影光学軸、α…ディスコティック液晶分子の平均チルト角、21…粘着剤。
Claims (5)
- 対向配置された一対の基板の互いに向き合う内面にそれぞれ互いに対向する領域により複数の画素を形成する電極が設けられ、一方の基板の内面に前記複数の画素にそれぞれ対応する赤、緑、青の3色のカラーフィルタが設けられ、前記一対の基板間に、液晶分子を前記基板間において実質的に90°の捩れ角でツイスト配向させた液晶層が設けられた液晶素子と、
前記液晶素子を挟んで配置された実質的に互いに直交する方向に透過軸を有する一対の偏光板と、
フィルム基板と、その上に形成されたディスコティック液晶層からなり、前記液晶素子と前記一対の偏光板との間に、前記フィルム基板を前記偏光板に対向させてそれぞれ配置され、前記ディスコティック液晶層が、前記フィルム基板上にディスコティック液晶分子を、前記フィルム基板の面に対するチルト方向を一方向に揃え、且つ前記フィルム基板の面から前記液晶素子に対向する面に向かってチルト角が順次大きくなるように、互いに逆の傾きで配向されてなる一対の視野角改善素子とを備え、
前記一対の視野角改善素子は、それぞれのフィルム基板に対するディスコティック液晶分子の平均チルト角αが、それぞれ前記液晶素子の電極間に黒を表示させる電圧を印加したときの前記液晶分子の平均チルト角をθとしたとき、
α=90−θ
の関係を満たす値に設定されていることを特徴とする液晶表示装置。 - 液晶素子の液晶層は、波長が450nmの光に対する屈折率異方性をΔn(450nm)とし、波長が650nmの光に対する屈折率異方性をΔn(650nm)としたとき、
1<Δn(450nm)/Δn(650nm)≦1.07
を満足する液晶材料により形成されていることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。 - 一対の視野角改善素子のディスコティック液晶層はそれぞれ150nmの面内位相差を有しており、液晶素子の液晶の屈折率異方性Δnと液晶層厚dの積Δndの値は340〜430nmに設定されていることを特徴とする請求項1または2に記載の液晶表示装置。
- 液晶素子の液晶層は、波長が450nmの光に対する液晶の屈折率異方性Δn(450nm)と液晶層厚dとの積ΔndからなるΔnd(450nm)値に対する、波長が650nmの光に対する液晶の屈折率異方性Δn(650nm)と液晶層厚dとの積ΔndからなるΔnd(650nm)値の比が、
0.94≦Δnd(450nm)/Δnd(650nm)≦1.10
を満たすように、前記液晶の屈折率異方性の値と液晶層厚の値が設定されていることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。 - 一対の視野角改善素子のディスコティック液晶層はそれぞれ150nmの面内位相差を有しており、液晶素子の液晶の屈折率異方性Δnと液晶層厚dの積Δndの値は、赤のカラーフィルタに対応する画素と緑のカラーフィルタに対応する画素のΔndがそれぞれ340〜430nm、青のカラーフィルタに対応する画素のΔndが前記赤及び緑のカラーフィルタに対応する画素のΔndよりも1.10倍以下の比率で大きく設定されていることを特徴とする請求項1または2に記載の液晶表示装置。
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