JP4133564B2 - 液晶表示装置及び液晶表示素子の駆動方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、液晶表示装置及び液晶表示素子の駆動方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
液晶表示装置には、互いに対向する一対の基板の対向面の一方及び他方にそれぞれ形成され、互いに対向する領域により複数の画素を形成する電極、前記一対の基板の電極間で液晶分子を実質的に90゜の捩れ角でツイスト配向させた液晶層を有する液晶パネルと、前記液晶パネルの両側にそれぞれ配置された一対の偏光板とからなり、前記複数の画素の電極間に印加される電圧に応じて各画素の透過率を制御するTN(ツイステッド・ネマティック)型の液晶表示素子が広く利用されている。
【0003】
しかし、このTN型の液晶表示素子は、表示の視野角(表示を良好なコントラストで観察できる観察角度範囲)が狭いという問題をもっている。
【0004】
そのため、従来から、前記液晶パネルと一対の偏光板との間にそれぞれ、ディスコティック液晶層を有する視野角改善フィルムを配置することにより、視野角を広くした液晶表示素子が提案されている(特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開2000―338489号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前記視野角改善フィルムを備えた液晶表示素子は、前記液晶パネルの液晶層及び前記視野角改善フィルムのディスコティック液晶層の光学特性に波長依存性があり、その光学的作用が視角(表示の観察方向)によって変化するため、視角の変化に応じて表示の色相が変化する。
【0007】
この色相の変化は、例えば一対の偏光板をそれぞれの透過軸を実質的に互いに直交させて配置したノーマリーホワイトモードの液晶表示素子では、黒表示の色が視角に応じて著しく変化する。
【0008】
そして、前記液晶パネルに、その一対の基板の対向面にそれぞれ形成された電極が互いに対向する領域により形成される複数の画素毎に対応させて赤、緑、青の3色のカラーフィルタを形成した液晶表示素子では、視角による赤、緑、青の各色の光の透過強度が視角に依存して変化するため、視角に応じて観察されるカラー画像の色相が変化し、またコントラストも低下する。
【0009】
この発明は、ディスコティック液晶層を有する視野角改善フィルムを備えた液晶表示素子に、広い視野角にわたって、実質的に同じコントラスト及び色相のカラー画像を表示させることができる液晶表示装置及び前記液晶表示素子の駆動方法を提供することを目的としたものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
この発明の液晶表示装置は、互いに対向する一対の基板の対向面の一方及び他方にそれぞれ形成され、互いに対向する領域により複数の画素を形成する電極、前記複数の画素毎に対応させて形成された赤、緑、青の3色のカラーフィルタ、前記一対の基板間で液晶分子を実質的に90゜の捩れ角でツイスト配向させた液晶層を有する液晶パネルと、前記液晶パネルの両側にそれぞれ配置されたディスコティック液晶層を有する一対の視野角改善フィルムと、前記一対の視野角改善フィルムの外側にそれぞれ配置された一対の偏光板とからなり、前記複数の画素の電極間に印加される電圧に応じて各画素の透過率を制御する液晶表示素子と、前記液晶表示素子の複数の画素のうち、赤のカラーフィルタが設けられた赤色画素及び緑のカラーフィルタが設けられた緑色画素の電極間には、階調の変化に対して予め定めた第1の割合で変化する電圧を表示データの階調に応じて選択して印加し、青のカラーフィルタが設けられた青色画素の電極間には、明暗のいずれか一方の階調から予め定めた中間階調までの範囲では、階調の変化に対して前記第1の割合で変化する電圧を、前記予め定めた中間階調から他方の階調までの範囲では、階調の変化に対して前記第1の割合と異なる第2の割合で変化する電圧を表示データの階調に応じて選択して印加する駆動手段とを備えたことを特徴とする。
【0011】
この液晶表示装置は、液晶表示素子を、液晶パネルの両側にそれぞれディスコティック液晶層を有する一対の視野角改善フィルムを配置し、前記一対の視野角改善フィルムの外側にそれぞれ一対の偏光板を配置した構成としているため、この液晶表示素子の表示の視野角が広い。
【0012】
そして、この液晶表示装置は、前記液晶表示素子を前記駆動手段により駆動するため、前記液晶表示素子に、広い視野角にわたって、実質的に同じコントラスト及び色相のカラー画像を表示させることができる。
【0013】
このように、この発明の液晶表示装置は、液晶分子を実質的に90゜の捩れ角でツイスト配向させた液晶層を有する液晶パネル、前記液晶パネルの両側にそれぞれ配置されたディスコティック液晶層を有する一対の視野角改善フィルム、前記一対の視野角改善フィルムの外側にそれぞれ配置された一対の偏光板からなる液晶表示素子と、前記液晶表示素子の複数の画素のうち、赤のカラーフィルタが設けられた赤色画素及び緑のカラーフィルタが設けられた緑色画素の電極間には、階調の変化に対して予め定めた第1の割合で変化する電圧を表示データの階調に応じて選択して印加し、青のカラーフィルタが設けられた青色画素の電極間には、明暗のいずれか一方の階調から予め定めた中間階調までの範囲では、階調の変化に対して前記第1の割合で変化する電圧を、前記予め定めた中間階調から他方の階調までの範囲では、階調の変化に対して前記第1の割合と異なる第2の割合で変化する電圧を表示データの階調に応じて選択して印加する駆動手段とを備えることにより、前記液晶表示素子に、広い視野角にわたって実質的に同じコントラスト及び色相のカラー画像を表示させることができるようにしたものである。
【0014】
この発明の液晶表示装置において、前記液晶表示素子を、前記一対の偏光板をそれぞれの透過軸を実質的に互いに直交させて配置したノーマリーホワイトモードとする場合、前記駆動手段は、前記液晶表示素子の青色画素の透過率を予め定めた中間階調よりも低く制御する階調において、前記予め定めた中間階調の階調値をN、定数βを0<β<1、外部から供給された青色の表示データをiB、前記液晶表示素子を駆動するドライバへの青色の出力データをoBとしたとき、前記供給された青色の表示データの階調を、
oB=β×iB+(1−β)×N
によって求められる階調に変換するのが望ましい。
【0015】
また、前記液晶表示素子をノーマリーホワイトモードとする場合、前記駆動手段は、前記液晶表示素子の画素の透過率を予め定めた中間階調よりも低く制御する階調において、前記液晶表示素子の青色画素に、階調に応じて変化しない前記中間階調の電圧を印加するのが望ましい。
【0016】
この発明の液晶表示装置において、前記予め定めた中間階調は、階調の変化に応じた前記液晶表示素子の青色光に対する透過率の変化が、増加から減少、或いは減少から増加に反転する境界付近の階調が望ましい。
【0017】
さらに、前記液晶表示素子をノーマリーホワイトモードとする場合、前記一対の視野角改善フィルムはそれぞれ、ディスコティック液晶分子の平均的チルト角をα、前記液晶パネルの電極間に黒を表示させるための電圧を印加したときの前記液晶パネルの液晶分子の平均的チルト角をθとしたとき、
α=90−θ
の関係を満たすディスコティッ液晶層からなっているのが好ましい。
【0018】
また、この発明の液晶表示素子の駆動方法は、互いに対向する一対の基板の対向面の一方及び他方にそれぞれ形成され、互いに対向する領域により複数の画素を形成する電極、前記複数の画素毎に対応させて形成された赤、緑、青の3色のカラーフィルタ、前記一対の基板間で液晶分子を実質的に90゜の捩れ角でツイスト配向させた液晶層を有する液晶パネルと、前記液晶パネルの両側にそれぞれ配置されたディスコティック液晶層を有する一対の視野角改善フィルムと、前記一対の視野角改善フィルムの外側にそれぞれ配置された一対の偏光板とからなり、前記複数の画素の電極間に印加される電圧に応じて各画素の透過率を制御する液晶表示素子の駆動方法において、
前記液晶表示素子の複数の画素の電極間にそれぞれ、明暗のいずれか一方の階調から予め定めた中間階調までの範囲では、階調の変化に対して予め定めた第1の割合で変化する電圧を表示データの階調に応じて選択して印加し、前記予め定めた中間階調を越えた階調の範囲では、前記複数の画素のうち、赤のカラーフィルタが設けられた赤色画素及び緑のカラーフィルタが設けられた緑色画素の電極間に、階調の変化に対して前記第1の割合で変化する電圧を表示データの階調に応じて選択して印加し、青のカラーフィルタが設けられた青色画素の電極間に、階調の変化に対して前記第1の割合とは異なる第2の割合で変化する電圧を表示データの階調に応じて選択して印加することを特徴とする。
【0019】
この駆動方法によれば、前記液晶表示素子に、広い視野角にわたって、実質的に同じコントラスト及び色相のカラー画像を表示させることができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の液晶表示装置の実施例を図面を参照して説明する。
【0021】
この実施例の液晶表示装置は、航空機のコックピットに装備される航空機用液晶表示装置であり、TN型の液晶表示素子と、その駆動手段とからなっている。
【0022】
まず、前記液晶表示素子について説明すると、図1はこの発明の第1の実施例を示す液晶表示素子の一部分の断面図であり、この液晶表示素子A1は、液晶パネル1と、前記液晶パネル1の両側にそれぞれ配置されたディスコティック液晶層18を有する一対の視野角改善フィルム14,15と、前記一対の視野角改善フィルム14,15の外側にそれぞれ配置された一対の偏光板12,13とからなっている。
【0023】
前記液晶パネル1は、図示しない枠状のシール材を介して接合された互いに対向する一対の透明基板2,3の対向面(以下、内面と言う)の一方及び他方にそれぞれ形成され、互いに対向する領域により複数の画素を形成する透明電極4,5と、前記複数の画素毎に対応させて形成された赤、緑、青の3色のカラーフィルタ6R,6G,6Bと、前記一対の基板間で液晶分子11を実質的に90゜の捩れ角でツイスト配向させた液晶層10とを有している。
【0024】
この液晶パネル1は、例えばTFT(薄膜トランジスタ)をアクティブ素子とするアクティブマトリックス液晶パネルであり、前記一対の基板2,3のうち、表示の観察側(図1において上側)とは反対側である後側の基板(以下、後基板と言う)3の内面に形成された電極5は、行方向および列方向にマトリックス状に配列する複数の画素電極、表示の観察側である前側の基板(以下、前基板と言う)2の内面に形成された電極4は、前記複数の画素電極5に対向する一枚膜状の対向電極である。
【0025】
なお、図1では省略しているが、前記後基板3の内面には、前記複数の画素電極5にそれぞれ対応する複数のTFTと、各行のTFTにゲート信号を供給する複数のゲート配線と、各列のTFTにデータ信号を供給する複数のデータ配線とが設けられており、前記複数の画素電極5はそれぞれ、その画素電極5に対応するTFTに接続されている。
【0026】
また、前記赤、緑、青のカラーフィルタ6R,6G,6Bは、前記前基板2の基板面上に形成されており、これらのカラーフィルタ6R,6G,6Bの上に前記対向電極4が形成されている。
【0027】
さらに、前記一対の基板2,3の内面にはそれぞれ、前記電極4,5を覆って、実質的に互いに直交する方向に配向処理された水平配向膜8,9が形成されている。
【0028】
そして、前記液晶層10は、前記一対の基板2,3間の前記シール材により囲まれた領域に、正の誘電異方性を有するネマティック液晶を充填して形成されており、その液晶分子11は、前記水平配向膜8,9により前後の基板2,3の近傍における配向方向を規定され、図1に実線で示したように、前記基板2,3間において実質的に90°の捩れ角でツイスト配向している。
【0029】
この液晶層10は、波長が450nmの光、つまり青の波長帯域の光に対する屈折率異方性をΔn(450nm)とし、波長が650nmの光、つまり赤の波長帯域の光に対する屈折率異方性をΔn(650nm)としたとき、Δn(450nm)/Δn(650nm)の値が1.07以下であって1より大きい液晶材料により形成されている。
【0030】
図6は前記Δn(450nm)/Δn(650nm)の値が1.06〜1.13の各液晶を用いた液晶表示素子における液晶層の各Δndに対するカラーシフトの値を示している。
【0031】
このカラーシフトの上限は0.05〜0.06であり、したがって、前記液晶パネル1の液晶層10は、前記Δn(450nm)/Δn(650nm)の値が1.07以下であって1より大きい液晶材料、すなわち、
1<Δn(450nm)/Δn(650nm)≦1.07
を満足する液晶材料により形成されている。
【0032】
さらに、前記液晶パネル1の液晶層厚dは、赤、緑、青のカラーフィルタ6R,6G,6Bに対応する画素の全てにわたって実質的に等しく形成されている。
【0033】
この液晶パネル1の液晶は、図7で示されるように、屈折率異方性Δnと液晶層厚dの積Δndの値が340〜430nmの間に横コントラスト及び上コントラストが極大値を示すため、Δndの値は340〜430nmに設定されている。
【0034】
また、この液晶表示素子A1は、ノーマリホワイトモードのものであり、前記一対の偏光板12,13は、それぞれの透過軸12a,13a(図3参照)を実質的に互いに直交させて配置されている。
【0035】
一方、前記一対の視野角改善フィルム14,15は、いずれも、透明なフィルム基板16の一方の面に配向処理膜17を形成し、その上に、ディスコティック液晶分子19を、そのチルト方向を一方向に揃え、且つ前記フィルム基板16に隣接する面から他方の面に向かって順次チルト角を異ならせて配向させたディスコティック液晶層18を設けたものである。
【0036】
前記ディスコティック液晶層18は、前記フィルム基板16の配向処理膜17上にディスコティック液晶を塗布し、そのディスコティック液晶を、前記フィルム基板16に隣接するディスコティック液晶分子19を前記配向処理膜17によりフィルム基板16面と略平行に配列させ、前記フィルム基板16とは反対側のディスコティック液晶分子19を前記フィルム基板16に対して大きなチルト角で配列させた状態で硬化させることにより形成されている。
【0037】
このように、前記視野角改善フィルム14,15は、ディスコティック液晶分子19を、そのチルト方向を一方向に揃え、且つ一方の面(フィルム基板16側の面)から他方の面に向かって徐々にチルト角が大きくなるように配向させたディスコティック液晶層18を有している。
【0038】
前記ディスコティック液晶層18は、図2にその模式的な断面を示したように、ディスコティック液晶分子19が、その円板状の面に垂直な分子軸19aが連続的に角度を変えて傾いた状態に配列しており、これらのディスコティック液晶分子19の分子軸19aの向きを平均した方向に屈折率が最小となる光学軸20を有する負の光学的異方性をもっている。
【0039】
前記一対の視野角改善フィルム14,15のディスコティック液晶分子19のフィルム基板16に対すチルト角を液晶層厚全体で平均した平均的チルト角(図1及び図2に一点鎖線で示したチルト角)αはそれぞれ、前記液晶パネル1の電極4,5間に黒を表示させる電圧(液晶分子11を図1に二点鎖線で示したように基板2,3面に対して垂直に近い立ち上がり角で配向させる電圧)を印加したときの前記液晶パネル1の液晶分子11の平均的チルト角をθとしたとき、
α=90−θ
の関係を満たす値に設定されている。
【0040】
前記液晶表示素子A1は、前記液晶パネル1の複数の画素の電極4,5間に印加される電圧に応じて各画素の透過率を制御する。
【0041】
図8は、前記液晶パネル1の電極4,5間に印加する電圧と、その電界により挙動する液晶分子11の平均的チルト角との関係を示しており、図9は、画面の法線に対して50゜傾いた方向のコントラストである横コントラストを示し、図10は、u‘v’色度座標系(CIE1976UCSの色度座標)で画面の法線に対して50゜傾いた方向から観察したときの表示色の変化であるカラーシフトの値を示し、図11は、画面の法線に対して画面の上縁方向に30゜傾いた方向のコントラストである上方向コントラストを示している。
【0042】
図8のように、前記液晶パネル1の電極4,5間に6Vの電圧を印加すると、液晶分子11の平均的チルト角θが略72゜となり、液晶表示素子A1の表示が、透過率の低い黒表示になる。
【0043】
一方、前記視野角改善フィルム14,15のディスコティック液晶層18は、図9のように、ディスコティック液晶分子19の平均的チルト角αが大きい方が横コントラストが高い。
【0044】
これに対して、前記ディスコティック液晶層18によるカラーシフトは、ディスコティック液晶分子19の平均的チルト角αが17゜〜19゜の間で極小値を示し、図11のように、平均的チルト角が17゜〜19゜の範囲に充分高いコントラストが得られる。
【0045】
このように、十分なコントラストが得られ、カラーシフトが充分に小さくなるための、前記ディスコティック液晶分子19の平均的チルト角の範囲は17゜〜19゜であり、特に18゜であることが望ましい。
【0046】
この液晶表示素子A1では、液晶パネル1の電極4,5間に黒表示電圧(6V)を印加したときの液晶分子11の平均的チルト角θが上述したように略72°であるため、前記一対の視野角改善フィルム14,15のディスコティック液晶分子19を、その平均的チルト角αが約18°(α=90−72=18)になるように配向させている。
【0047】
さらに、この液晶表示素子A1は、ディスコティック液晶層18をその法線方向に入射する光に対する常光と異常光の屈折率の差である面内位相差の値が150nmである視野角改善フィルム14,15を用いるときに、コントラスト及びカラーシフトの両方が優れた特性が得られる。
【0048】
そのため、この液晶表示素子A1では、150nmの面内位相差をもった視野角改善フィルム14,15を用いている。
【0049】
そして、前記一対の視野角改善フィルム14,15は、それぞれのディスコティック液晶分子19のチルト角変化方向を互いに逆向きにするとともに、前記ディスコティック液晶層18の屈折率が最小となる光学軸20を前記ディスコティック液晶層18の表面に投影した方向(以下、基板投影光学軸と言う)20aを所定の方向に向けて、前記液晶パネル1の前側と後側とにそれぞれ配置されている。
【0050】
この液晶表示素子A1では、図1に示したように、前記一対の視野角改善フィルム14,15を、それぞれのディスコティック液晶分子19のチルト角が大きい面側を液晶パネル1に対向させて配置し、粘着層21により前記液晶パネル1に貼付けている。
【0051】
図3は、前記液晶パネル1の一対の基板2,3の近傍における液晶分子配向方向2a,3aと、前後の偏光板12,13の透過軸12a,13aの向きと、一対の視野角改善フィルム14,15の基板投影光学軸20aの向きとを示している。
【0052】
図3のように、前記液晶パネル1の前基板2の近傍における液晶分子配向方向2aは、液晶表示素子A1の画面の横軸xに対し、表示の観察側である前側から見て左回りに45°ずれた方向、後基板3の近傍における液晶分子配向方向3aは、前記横軸xに対し、前側から見て右回りに45°ずれた方向にあり、この液晶パネル1の液晶層10の液晶分子11は、そのツイスト方向を図に破線矢印で示したように、後基板3から前基板2に向かい、前側から見て右回りに実質的に90°の捩れ角でツイスト配向している。
【0053】
また、前記液晶パネル1の前側の偏光板12は、その透過軸12aを前記液晶パネル1の前基板2の近傍における液晶分子配向方向2aに対し、図3のように実質的に直交させるか、あるいは実質的に平行にして配置され、後側の偏光板13は、その透過軸13aを前側偏光板12の透過軸12aに対し、実質的に直交させて配置されている。
【0054】
さらに、前記一対の視野角改善フィルム14,15のうち、前側の視野角改善フィルム14は、前記液晶パネル1の前側、つまり液晶パネル1と前側偏光板12との間に、前記基板投影光学軸(ディスコティック液晶層18の屈折率が最小となる光学軸20を前記ディスコティック液晶層18の表面に投影した方向)20aを前記液晶パネル1の前基板2の近傍における液晶分子配向方向2aと実質的に平行にして配置され、後側の視野角改善フィルム15は、前記液晶パネル1の後側、つまり液晶パネル1と後側偏光板13との間に、前記基板投影光学軸20aを前記液晶パネル1の後基板3の近傍における液晶分子配向方向3aと実質的に平行にして配置されている。
【0055】
この液晶表示素子A1は、その後側に配置される図示しない面光源からの照明光を利用して表示するものであり、前記液晶パネル1の複数の画素の電極4,5間に印加する電圧値を所定の表示階調数に応じて制御することにより駆動され、前記複数の画素に対応する表示の明暗を変化させて画像を表示する。
【0056】
すなわち、この液晶表示素子A1は、後側偏光板13によりその透過軸13aに平行な直線偏光とされて入射し、後側の視野角改善フィルム15のディスコティック液晶層18と、液晶パネル1の液晶層と、前側の視野角改善フィルム14のディスコティック液晶層18とにより偏光状態を変えられた光のうち、前側偏光板12の吸収軸(図示せず)に平行な直線偏光成分を、この前側偏光板12により吸収し、前記前側偏光板12の透過軸12aに平行な直線偏光成分を、この前側偏光板12を透過させて観察側に出射する。
【0057】
なお、この液晶表示素子A1は、前後の偏光板12,13をそれぞれの透過軸12a,13aを実質的に互いに直交させて配置したノーマリホワイトモードのものであり、前記液晶パネル1の複数の画素のうち、電極4,5間に液晶分子11を図1に二点鎖線で示したように基板2,3面に対して垂直に近い立ち上がり角で配向させる黒表示電圧が印加された画素に対応する表示が黒表示となる。
【0058】
また、前記黒表示電圧よりも低い電圧が印加された画素に対応する表示は印加電圧に応じた階調の明表示であり、印加電圧が実質的に0Vとなったとき、つまり液晶分子11が初期のツイスト配向状態に配向したときに、その画素に対応する表示が最も明るい明表示になる。
【0059】
さらに、この液晶表示素子A1は、前記液晶パネル1に複数の画素にそれぞれ対応する赤、緑、青の3色のカラーフィルタ6R,6G,6Bを備えさせているため、前記明表示は赤、緑、青のいずれかの色の表示であり、これらの赤、緑、青の明表示の階調と前記黒表示とによりカラー画像を表示する。
【0060】
この液晶表示素子A1は、液晶パネル1の両側にそれぞれディスコティック液晶層18を有する一対の視野角改善フィルム14,15を配置し、前記一対の視野角改善フィルム14,15の外側にそれぞれ一対の偏光板12,13を配置した構成であるため、表示の視野角が広い。
【0061】
すなわち、前記液晶パネル1の液晶層10の液晶分子11は、電圧の印加によりツイスト配向状態を保ちながら基板2,3面に対して立上がるように配向状態を変えるが、配向膜8,9による配向規制力を強く受ける基板近傍の液晶分子11は、電圧が印加されても初期のプレチルト角またはそれに近い角度で倒伏した状態のままであるため、前記液晶パネル1の電極4,5間に液晶分子11を基板2,3面に対して垂直に近い立ち上がり角(略72°)で配向させる電圧を印加したときでも、前記液晶層10は、基板近傍の液晶分子11が初期の配向状態からほとんど変化しないことによる残留リタデーションをもっている。
【0062】
また、前記液晶パネル1の液晶層10は、この液晶層10を垂直方向に透過する光と斜め方向(垂直方向に対して傾いた方向)に透過する光に対して異なるリタデーションを示すため、ノーマリーホワイトモードの液晶表示素子では、画面の正面方向(画面に垂直な方向の付近)から観察したときは黒表示の暗さが充分な良好なコントラストの表示を観察できるが、斜め方向から表示を観察すると、黒表示の暗さが浮き上がり、コントラストが大きく低下する。
【0063】
一方、前記一対の視野角改善フィルム14,15は、ディスコティック液晶層18を有し、ディスコティック液晶分子19を、そのチルト方向を一方向に揃え、且つ前記偏光板12,13に対向する面と前記液晶パネル1に対向する面の一方から他方に向かって順次チルト角を異ならせて配向させたものであり、この一対の視野角改善フィルム14,15が、それぞれのディスコティック液晶分子19のチルト角変化方向を互いに逆向きにして前記液晶パネル1と前後の偏光板12,13との間に配置されているため、これらの視野角改善フィルム14,15のディスコティック液晶分子19の配向状態は、前記液晶パネル1の電圧印加時における液晶層厚の中央から一方の基板側の液晶分子配向状態及び他方の基板側の液晶分子配向状態と見掛け上逆である。
【0064】
しかも、この視野角改善フィルム14,15の液晶層18はディスコティック液晶層であるため、そのリタデーションに方向性が無い。
【0065】
そして、この液晶表示素子A1では、前記液晶パネル1と前側偏光板12との間の視野角改善フィルム14を、その基板投影光学軸(ディスコティック液晶層18の屈折率が最小となる光学軸20を前記ディスコティック液晶層18の表面に投影した方向)20aを前記液晶パネル1の前基板2の近傍における液晶分子配向方向2aと実質的に平行にして配置し、前記液晶パネル1と後側偏光板13との間の視野角改善フィルム14を、その基板投影光学軸20aを前記液晶パネル1の後基板3の近傍における液晶分子配向方向3aと実質的に平行にして配置している。
【0066】
そのため、前記液晶パネル1の電圧印加時における基板近傍の液晶分子11が初期の配向状態からほとんど変化しないことによる残留リタデーションを前記一対の視野角改善フィルム14,15により打ち消され、表示の視野角、つまり黒表示の暗さが充分な良好なコントラストの表示を観察できる観察角度範囲が広くなる。
【0067】
しかも、この液晶表示素子A1は、前後の偏光板12,13をそれぞれの透過軸12a,13aを実質的に互いに直交させて配置したノーマリーホワイトモードのものであるが、前記一対の視野角改善フィルム14,15のディスコティック液晶分子19の平均的チルト角αをそれぞれ、前記液晶パネル1の電極4,5間に黒を表示させる電圧を印加したときの液晶分子11の平均的チルト角θに対して、α=90−θの関係を満たす値に設定しているため、正面方向から観察したときの黒表示も、斜め方向から観観したときの黒表示も、ほとんど同じ色の表示である。
【0068】
また、この液晶表示素子A1では、上述したように、前記液晶パネル1の液晶層10を、波長が450nmの光(青の波長帯域の光)に対する屈折率異方性Δn(450nm)と、波長が650nmの光(赤の波長帯域の光)に対する屈折率異方性Δn(650nm)との比が、1<Δn(450nm)/Δn(650nm)≦1.07を満足する液晶材料により形成しているため、視角による赤、緑、青の各波長帯域の光の透過率バランスの変化が小さく、したがって、赤、緑、青の出射光の合成色の色相の視角依存性が小さい。
【0069】
さらに、この液晶表示素子A1では、上述したように、前記一対の視野角改善フィルム14,15のディスコティック液晶層18の面内位相差をそれぞれ150nmに設定し、前記液晶パネル1のΔndの値を340〜430nmに設定しているため、上述した液晶パネル1の電圧印加時における基板近傍の液晶分子11が初期の配向状態からほとんど変化しないことによる残留リタデーションが、前記一対の視野角改善フィルム14,15により、ほとんど表示に影響しない程度に効果的に打ち消される。
【0070】
図4はこの発明の第2の実施例を示す液晶表示素子の一部分の断面図であり、この液晶表示素子A2は、液晶パネル1の前側と後側にそれぞれ配置された一対の視野角改善フィルム14,15のディスコティック液晶層18の面内位相差をそれぞれ上述したように150nmに設定し、前記液晶パネル1のΔndの値を、赤のカラーフィルタ(以下、赤色フィルタと言う)6Rに対応する画素と緑のカラーフィルタ(以下、緑色フィルタと言う)6Gに対応する画素のΔndをそれぞれ340〜430nm、青のカラーフィルタ(以下、青色フィルタと言う)6Bに対応する画素のΔndを前記赤色及び緑色フィルタ6R,6Gに対応する画素のΔndに対して、横方向のカラーシフト(画面の横軸方向への視角の変化によるカラーシフト)及び上方向のカラーシフト(画面の法線に対して画面の上縁方向への視角の変化によるカラーシフト)がその上限内になるように設定したものである。
【0071】
すなわち、図12及び図13は、波長が450nmの光に対する液晶の屈折率異方性Δn(450nm)とその波長光が透過する領域(画素)の液晶層厚dとの積ΔndからなるΔnd(450nm)値に対する、波長が650nmの光に対する液晶の屈折率異方性Δn(650nm)とその波長光が透過する領域の液晶層厚dとの積ΔndからなるΔnd(650nm)値との比Δnd(450nm)/Δnd(650nm)の値と視角の変化によるカラーシフトとの関係を示しており、図12は、中間調(グレー)を表示したときの横方向カラーシフトを示し、図13は、黒を表示したときの上方向カラーシフトを示している。
【0072】
図12のように、カラーシフトの上限を0.05としたとき、前記Δnd(450nm)/Δnd(650nm)の値は1.1であり、また図13のように、黒表示のカラーシフトを0.1としたとき、前記Δnd(450nm)/Δnd(650nm)の値は0.94となる。
【0073】
したがって、前記Δnd(450nm)/Δnd(650nm)の値は、0.94以上で1.10以下の範囲が望ましく、好ましくは1.07以下であり、さらに好ましくは1.02である。
【0074】
そのため、この液晶表示素子A2では、前記青色フィルタ6Bに対応する画素のΔndを、赤色及び緑色フィルタ6R,6Gに対応する画素のΔndに対して、0.94〜1.10の比率の値に設定している。
【0075】
なお、この液晶表示素子A2は、液晶パネル1の青色フィルタ6Bに対応する画素のΔndを赤色及び緑色フィルタ6R,6Gに対応する画素のΔndよりも大きく設定したものであるが、他の構成は上記第1の実施例の液晶表示素子A1と同じである。
【0076】
また、この液晶表示素子A2においても、前記液晶パネル1の液晶層10は、波長が450nmの光に対する屈折率異方性Δn(450nm)と、波長が650nmの光に対する屈折率異方性Δn(650nm)との比が、1<Δn(450nm)/Δn(650nm)≦1.07を満足する液晶材料により形成している。
【0077】
そして、この液晶表示素子A2では、前記液晶パネル1の前基板2の内面に設けられた赤、緑、青のカラーフィルタ6R,6G,6Bのうち、青色フィルタ6Bの上(対向電極4の下)に透明な液晶層厚調整膜7を設けることにより、赤色フィルタ6R及び緑色フィルタ6Gに対応する画素の液晶層厚d1と前記青色フィルタ6Bに対応する画素の液晶層厚d2とを異ならせ、前記赤色フィルタ6R及び緑色フィルタ6Gに対応する画素のΔnd(以下、Δnd1と記す)と、前記青色フィルタ6Bに対応する画素のΔnd(以下、Δnd2と記す)の値とを、0.94<Δnd2/Δnd1<1.10の関係に設定している。
【0078】
なお、上述したように、前記液晶パネル1の赤色フィルタ6R及び緑色フィルタ6Gに対応する画素のΔnd1はそれぞれ340〜430nmであり、したがって、前記青色フィルタ6Bに対応する画素のΔnd2は374〜473nmである。
【0079】
この液晶表示素子A2は、前記一対の視野角改善フィルム14,15のディスコティック液晶層18の面内位相差をそれぞれ150nmに設定し、前記液晶パネル1の赤色及び緑色フィルタ6R,6Gに対応する画素のΔnd1をそれぞれ340〜430nm、青色フィルタ6Bに対応する画素のΔnd2を前記赤色及び緑色フィルタ6R,6Gに対応する画素のΔnd1の値に対して0.94〜1.10の比率で設定しているため、黒表示がさらに黒に近くなる。
【0080】
したがって、この実施例の液晶表示素子A2は、コントラスト及び色再現性の高いカラー画像を表示する。
【0081】
前記液晶パネル1の青色フィルタ6Bに対応する画素のΔnd2の赤色及び緑色フィルタ6R,6Gに対応する画素のΔnd1に対する比率は、1.02(Δnd2/Δnd1=1.02)にするのが好ましく、このようにすることにより、コントラスト及び色再現性がより高いカラー画像を表示させることができる。
【0082】
なお、上記第2の実施例では、液晶パネル1の赤色フィルタ6R及び緑色フィルタ6Gに対応する画素の液晶層厚d1と青色フィルタ6Bに対応する画素の液晶層厚d2とを異ならせるために、前記青色フィルタ6Bの上に液晶層厚調整膜7を設けているが、図5に示した第3の実施例の液晶表示素子A3のように、青色フィルタ6Bを赤色フィルタ6R及び緑色フィルタ6Gの膜厚よりも厚く形成することにより、前記赤色フィルタ6R及び緑色フィルタ6Gに対応する画素の液晶層厚d1と前記青色フィルタ6Bに対応する画素の液晶層厚d2とを異ならせてもよい。
【0083】
上述した第2及び第3の実施例の液晶表示素子A2,A3に関し、次のような仕様の実施例素子1,2と比較素子1,2を作製し、それぞれについて、白を表示(赤、緑、青の全画素を明表示)したとき、黒を表示したとき、50%の中間調(グレー)を表示したとき、及び20%の中間調を表示したときのカラーシフトの視角依存性を測定した結果を図14,15,16,17にそれぞれ示した。
【0084】
[実施例素子1]
赤色フィルタに対応する画素の液晶層厚=4.0μm
緑色フィルタに対応する画素の液晶層厚=4.0μm
青色フィルタに対応する画素の液晶層厚=3.8μm
液晶の650nmの波長光に対するΔn=0.099
液晶の550nmの波長光に対するΔn=0.102
液晶の475nmの波長光に対するΔn=0.107
液晶のΔεの値=4.6
Δnd(650nm)=0.396
Δnd(550nm)=0.408
Δnd(450nm)=0.407
Δnd(450nm)/Δnd(650nm)=1.028
ディスコティック液晶の平均的チルト角=18゜
ディスコティック液晶の面内位相差=150nm
[実例例素子2]
赤色フィルタに対応する画素の液晶層厚=4.8μm
緑色フィルタに対応する画素の液晶層厚=4.8μm
青色フィルタに対応する画素の液晶層厚=4.6μm
液晶の650nmの波長光に対するΔn=0.081
液晶の550nmの波長光に対するΔn=0.083
液晶の450nmの波長光に対するΔn=0.086
液晶のΔεの値=5.3
Δnd(650nm)=0.389
Δnd(550nm)=0.398
Δnd(450nm)=0.395
Δnd(450nm)/Δnd(650nm)=1.017
ディスコティック液晶の平均的チルト角=18゜
ディスコティック液晶の面内位相差=150nm
[比較素子1]
赤色フィルタに対応する画素の液晶層厚=4.1μm
緑色フィルタに対応する画素の液晶層厚=4.3μm
青色フィルタに対応する画素の液晶層厚=4.3μm
液晶の650nmの波長光に対するΔn=0.077
液晶の550nmの波長光に対するΔn=0.079
液晶の450nmの波長光に対するΔn=0.083
液晶のΔεの値=4.7
Δnd(650nm)=0.316
Δnd(550nm)=0.340
Δnd(450nm)=0.357
Δnd(450nm)/Δnd(650nm)=1.130
ディスコティック液晶の平均的チルト角=15゜
ディスコティック液晶の面内位相差=130nm
[比較素子2]
赤色フィルタに対応する画素の液晶層厚=4.3μm
緑色フィルタに対応する画素の液晶層厚=4.3μm
青色フィルタに対応する画素の液晶層厚=4.1μm
液晶の650nmの波長光に対するΔn=0.081
液晶の550nmの波長光に対するΔn=0.083
液晶の475nmの波長光に対するΔn=0.086
液晶のΔεの値=5.3
Δnd(650nm)=0.348
Δnd(550nm)=0.357
Δnd(450nm)=0.353
Δnd(450nm)/Δnd(650nm)=1.013
ディスコティック液晶の平均的チルト角=15゜
ディスコティック液晶の面内位相差=130nm
これらの図14,15,15,17からわかるように、上記実施例素子1,2は、視角の変化に対するカラーシフトが小さく視野角が広い。
【0085】
また、図18は、上記実施例素子2の印加電圧に対する上方向カラーシフトの液晶層厚依存性を示し、図19は上記比較素子2の上方向カラーシフトの液晶層厚依存性を示している。
【0086】
これらの図18,19から明らかなように、上記実施例素子2は、一定の電圧値に対し、液晶層厚の違いに対するカラーシフトの値が小さく、特に印加電圧を5Vとしたときには、カラーシフトが極めて小さくなる。このことは、液晶層厚の誤差が大きくても、カラーシフトが小さいことを表している。
【0087】
すなわち、前記第2及び第3の実施例の液晶表示素子A2,A3はノーマリーホワイトモードのものであるため、前記液晶パネル1の電極3,4間に印加する電圧を高くするのにともなって光の透過率が低くなる。
【0088】
しかし、液晶表示素子の電圧―透過率特性には波長依存性があるため、前記液晶パネル1の赤、緑、青の各色のフィルタ6R,6G,6Bに対応する画素のΔnd値が同じである場合は、低電圧側での赤、緑、青の各波長帯域の光の透過率の差は小さいが、高電圧側、つまり黒表示側では、青の各波長帯域の光の透過率よりも赤及び緑の波長帯域の光の透過率の低下の度合が大きくなり、表示が青味を帯びる。
【0089】
それに対し、前記液晶表示素子A2,A3では、液晶パネル1の青色フィルタ6Bに対応する画素のΔnd2を赤色及び緑色フィルタ6R,6Gに対応する画素のΔnd1よりも大きくし、且つ、前記青色フィルタ6Bに対応する画素のΔnd2の赤色及び緑色フィルタ6R,6Gに対応する画素のΔnd1に対する比率を0.94〜1.10にしているため、高電圧側での青の各波長帯域の光の透過率が、赤及び緑の波長帯域の光の透過率に近くなり、表示の青味が軽減される。
【0090】
上述したように、前記第1〜第3の実施例の液晶表示素子A1,A2,A3は、いずれも、液晶パネル1の両側にそれぞれディスコティック液晶層18を有する一対の視野角改善フィルム14,15を配置し、前記一対の視野角改善フィルム14,15の外側にそれぞれ一対の偏光板12,13を配置したものであるため、表示色の視角依存性を改善し、視野角を広くすることができる。
【0091】
ただし、前記液晶表示素子A1,A2,A3は、ディスコティック液晶分子19の平均的チルト角αが、液晶パネル1の電極4,5間に黒を表示させるための電圧を印加したときの前記液晶パネル1の液晶分子11の平均的チルト角θに対してα=90−θの関係を満たすディスコティッ液晶層18を有する一対の視野角改善フィルム14,15を備えているため、特に、ディスコティック液晶分子19の平均的チルトαが大きく、面内位相差が大きい視野角改善フィルム14,15を使用すると、液晶パネル1の電極4,5間に印加する電圧を高くしたときに、印加電圧を高くするのに伴う青色光に対する透過率の変化が、減少から増加に反転する領域が生じる。
【0092】
すなわち、前記液晶表示素子A1,A2,A3は、一対の偏光板12,13をそれぞれの透過軸12a,13aを実質的に互いに直交させて配置したノーマリーホワイトモードのものであるため、赤、緑、青の各色の光に対する透過率が印加電圧を高くするのにともなって減少するが、印加電圧がある値以上になると、前記各色の光のうち、青色の光に対する透過率が逆に増加する。
【0093】
図20は、図4及び図5に示した第2及び第3の実施例の液晶表示素子A2,A3における赤、緑、青の各色の光に対する電圧―透過率特性を示しており、この液晶表示素子A2,A3では、液晶パネル1の電極4,5間に印加する電圧を5〜6V以上にしたときに、青色光に対する透過率の変化が、減少から増加に反転する。
【0094】
なお、図20には第2及び第3の実施例の液晶表示素子A2,A3における赤、緑、青の各色の光に対する電圧―透過率特性を示したが、図1に示した第1の実施例の液晶表示素子A1における赤、緑、青の各色の光に対する電圧―透過率特性も同様な特性である。
【0095】
したがって、前記液晶表示素子A1,A2,A3は、液晶パネル1の電極4,5間に印加する電圧を高くしたとき、つまり黒または黒に近い階調で表示が青味を帯び、表示の色相の著しい変化と、コントラストの低下を招く。
【0096】
そのため、この液晶表示装置では、次のような構成の駆動手段により前記液晶表示素子A1,A2,A3を駆動手段し、広い視野角にわたって、実質的に同じコントラスト及び色相のカラー画像を表示させるようにしている。
【0097】
図21は前記駆動手段の概要を示すブロック図であり、この駆動手段22は、前記液晶表示素子A1,A2,A3の液晶パネル1の複数のゲート配線に接続されたゲートドライバ23と、前記液晶パネル1の複数のデータ配線に接続されたソースドライバ24と、青色の表示データを変換するための青色調整回路25とからなっている。
【0098】
そして、前記ゲートドライバ23には、図示しない外部回路から、ゲート信号を生成するための複数のクロック信号および複数の電圧信号が供給され、また前記ソースドライバ24には、図示しない外部回路から前記青色調整回路25を介して、表示タイミング信号と、赤、緑、青の各色の表示データR,G,Bが供給される。
【0099】
前記青色調整回路25は、図22に示すように、前記表示タイミング信号からソースドライバ制御信号を生成するソースドライバ制御信号発生回路26と、外部回路からの青色表示データと階調設定器27に設定された階調値データが供給され、前記設定された階調値に応じて前記ソースドライバ24に供給する青色表示データを変換する青色データ変換回路28と、外部回路からの赤色表示データと緑色表示データ及び前記青色データ変換回路28から出力された青色表示データが供給され、赤、緑、青の各色のドライバ駆動データを、その出力タイミングを調整して前記ソースドライバ24に供給する出力回路29とからなっている。
【0100】
前記階調設定器27には、明階調と暗階調との間の複数の中間階調のうち、前記液晶表示素子A1,A2,A3の青色光に対する透過率の変化が減少から増加に反転する印加電圧(図20において5〜6V)に対応した中間階調の階調値が設定されている。
【0101】
また、前記青色データ変換回路28は、図23に示すように、供給された青色データ信号の階調と前記階調設定器27に設定された階調値とを比較する比較器30と、外部から供給された青色データ信号の階調と前記階調設定器27に設定された階調値とに基づく演算を行う演算部31と、変換されていない青色の無変換表示データと、前記演算部31により演算された変換表示データとが供給され、前記比較器30からの比較結果信号に応じて、前記無変換表示データと変換表示データとを選択的にソースドライバ24に出力する出力選択回路32とからなっている。
【0102】
前記演算部31は、前記設定器27に設定された階調値をN、定数βを0<β<1、外部回路から供給された青色の表示データをiB、前記液晶表示素子を駆動するドライバへの青色の出力データをoBとしたとき、外部から供給された青色データ信号の階調と前記設定器27に設定された階調値とに基づいて、
oB=β×iB+(1−β)×N
の演算を行ない、その演算結果を変換表示データとして前記出力選択回路32に供給する。
【0103】
なお、前記外部回路から供給される赤、緑、青の各色の表示データ(以下、入力表示データと言う)は、例えば8ビットのデータiR[0-7],iG[0-7],iB[0-7]であり、したがって前記演算部31は、
oB[0-7]=β×iB[0-7]+(1−β)×N
の演算を行なう。
【0104】
次に、前記駆動手段22による前記液晶表示素子A1,A2,A3の駆動方法を説明する。
【0105】
図24は、前記液晶表示素子A1,A2,A3の第1の駆動例を示す概念図であり、この例では、前記液晶表示素子A1,A2,A3の電極4,5間に高い電圧を印加したとき、つまり透過率が低くなる方を低階調としている。
【0106】
この駆動例では、8ビットの赤、緑、青の各色の入力表示データiR[0-7],iG[0-7],iB[0-7]が外部回路から供給され、そのうち、赤色及び緑色の入力表示データiR[0-7],iG[0-7]はそのままソースドライバ24に供給される。
【0107】
一方、青色の入力表示データiB[0-7]は、前記青色調整回路25に送られ、比較器30により、前記階調設定器27に設定された階調値、つまり予め定めた中間階調の階調値(以下、設定階調値と言う)Nと比較される。
【0108】
同時に、前記演算部31により上述した演算が行われ、その演算結果が変換表示データとして前記出力選択回路32に供給される。
【0109】
そして、前記出力選択回路32は、前記比較器30の比較結果が前記設定階調値N以下のときは前記演算部31により演算された変換表示データをソースドライバ24に供給し、前記比較器30の比較結果が前記設定階調値Nより大きいときは変換されない無変換表示データを前記ソースドライバ24に供給する。
【0110】
そのため、青色の入力表示データiB[0-7]が設定階調値Nより大きいときは、その入力表示データiB[0-7]の信号がドライバ駆動データoB[0-7]としてソースドライバ24に供給され、前記青色の入力表示データiB[0-7]が前記設定階調値Nより小さいときは、その入力表示データiB[0-7]の信号が、β×iB[0-7]+(1−β)×Nの値のドライバ駆動データoB[0-7]として前記ソースドライバ24に供給される。
【0111】
すなわち、青色の入力表示データiB[0-7]と前記ソースドライバ24に供給されるドライバ駆動データoB[0-7]との関係は、図24のように、入力表示データiB[0-7]が設定階調値Nより大きいときはiB[0-7]=oB[0-7]となり、傾きが1の直線で表され、入力表示データiB[0-7]が設定階調値Nより小さいときはiB[0-7]=β×iB[0-7]+(1−β)×Nとなり、傾きがβの直線で表される。
【0112】
そして、前記ソースドライバ24は、前記液晶表示素子A1,A2,A3の各画素のうち、赤色フィルタ6Rが設けられた赤色画素及び緑色フィルタ6Gが設けられた緑色画素に対応する画素電極5に対しては、前記赤色及び緑色の入力表示データiR[0-7],iG[0-7]の階調の変化に対して予め定めた第1の割合で変化する書込み電圧を、前記入力表示データiR[0-7],iG[0-7]の階調に応じて選択し、その書込み電圧を前記赤色画素及び緑色画素の電極4,5間に印加する。
【0113】
また、前記ソースドライバ24は、前記液晶表示素子A1,A2,A3の青色フィルタ6Bが設けられた青色画素に対応する画素電極5に対しては、青色の入力表示データiB[0-7]が設定階調値Nより大きいときに、その入力表示データiB[0-7]の階調の変化に対して前記予め定めた第1の割合で変化する書込み電圧(ドライバ駆動データoB[0-7]=iB[0-7]の階調に対応する電圧)を、前記青色の入力表示データiB[0-7]が前記設定階調値Nより小さいときは、前記入力表示データiB[0-7]の階調の変化に対して前記第1の割合と異なる第2の割合で変化する電圧(ドライバ駆動データoB[0-7]=β×iB[0-7]+(1−β)×Nの階調に対応する電圧)を、前記入力表示データiB[0-7]の階調に応じて選択し、その書込み電圧を前記青色画素の電極4,5間に印加する。
【0114】
図25及び図26はその具体例を示しており、図25は、赤、緑、青の各色の入力表示データの階調と前記ソースドライバ24に供給されるドライバ駆動データの階調との関係を示し、図26は、前記赤、緑、青の各色の入力表示データの階調と液晶表示素子A1,A2,A3の赤、緑、青の各色の画素の電極4,5間に印加される液晶駆動電圧との関係を示している。なお、この具体例は、階調数=256、設定階調値N=40、定数β=0.325の場合である。
【0115】
ここで、前記定数βの値は、液晶表示素子A1,A2,A3の表示特性に応じて決められる任意の値であって、前記液晶表示素子A1,A2,A3の色相の変化を最も小さくするように設定される。
【0116】
すなわち、前記駆動手段22は、前記液晶表示素子A1,A2,A3の複数の画素のうち、赤色フィルタ6Rが設けられた赤色画素及び緑色フィルタ6Gが設けられた緑色画素の電極4,5間には、階調の変化に対して予め定めた第1の割合で変化する電圧を赤色及び緑色の入力表示データiR[0-7],iG[0-7]の階調に応じて選択して印加し、青色フィルタ6Bが設けられた青色画素の電極4,5間には、明階調から予め定めた中間階調までの範囲では、階調の変化に対して前記第1の割合で変化する電圧を、前記予め定めた中間階調から暗階調までの範囲では、階調の変化に対して前記第1の割合と異なる第2の割合で変化する電圧を、青色の入力表示データiB[0-7]の階調に応じて選択して印加する。
【0117】
そして、前記駆動方法は、前記駆動手段22により、前記液晶表示素子A1,A2,A3を、その複数の画素の電極4,5間にそれぞれ、明階調から予め定めた中間階調までの範囲では、階調の変化に対して予め定めた第1の割合で変化する電圧を入力表示データの階調に応じて選択して印加し、前記予め定めた中間階調を越えた階調の範囲では、前記複数の画素のうち、前記赤色画素及び緑色画素の電極4,5間に、階調の変化に対して前記第1の割合で変化する電圧を入力表示データの階調に応じて選択して印加し、前記青色画素の電極4,5間に、階調の変化に対して前記第1の割合とは異なる第2の割合で変化する電圧を入力表示データの階調に応じて選択して印加することにより駆動するため、前記液晶表示素子A1,A2,A3に、広い視野角にわたって、実質的に同じコントラスト及び色相のカラー画像を表示させることができる。
【0118】
なお、上記実施例では、青色の液晶駆動電圧を、予め定めた中間階調を越えた階調範囲(暗側の階調範囲)でも、入力表示データの階調が低くなる(暗階調に近くなる)のに伴って電圧が低くなるように変化させているが、液晶表示素子A1,A2,A3を上述したように一対の偏光板12,13をそれぞれの透過軸12a,13aを実質的に互いに直交させて配置したノーマリーホワイトモードとする場合、その駆動手段22は、前記液晶表示素子A1,A2,A3の画素の透過率を予め定めた中間階調よりも低く制御する階調において、前記液晶表示素子A1,A2,A3の青色画素に、階調に応じて変化しない前記中間階調の電圧を印加するように構成してもよい。
【0119】
図27は、その場合に採用する第2の駆動例を示す概念図であり、この例でも、前記液晶表示素子A1,A2,A3の電極4,5間に高い電圧を印加したとき、つまり透過率が低くなる方を低階調としている。また、この駆動例でも、8ビットの赤、緑、青の各色の入力表示データiR[0-7],iG[0-7],iB[0-7]が外部回路から供給され、そのうち、赤色及び緑色の入力表示データiR[0-7],iG[0-7]はそのままソースドライバ24に供給される。
【0120】
この駆動例では、青色の入力表示データiB[0-7]とソースドライバ24に供給されるドライバ駆動データoB[0-7]との関係は、図27のように、入力表示データiB[0-7]が設定階調値Nより大きいとき(iB[0-7]=oB[0-7]のとき)は、傾きが1の直線で表され、入力表示データiB[0-7]が設定階調値Nより小さいとき(iB[0-7]=β×iB[0-7]+(1−β)×Nのとき)は、傾きが0の直線で表される。
【0121】
図28及び図29はその具体例を示しており、図28は、赤、緑、青の各色の入力表示データの階調と前記ソースドライバ24に供給されるドライバ駆動データの階調との関係を示し、図29は、前記赤、緑、青の各色の入力表示データの階調と液晶表示素子A1,A2,A3の赤、緑、青の各色の画素の電極4,5間に印加される液晶駆動電圧との関係を示している。なお、この具体例は、階調数=256、設定階調値N=27、定数β=0の場合である。
【0122】
この駆動例による場合は、前記駆動手段22を、液晶表示素子A1,A2,A3の画素の透過率を予め定めた中間階調よりも低く制御する階調において、前記液晶表示素子A1,A2,A3の青色画素に、階調に応じて変化しない前記中間階調の電圧を印加するように構成すればよいため、前記青色画素に印加する電圧の制御を容易にすることができる。
【0123】
図30及び図31は、図4及び図5に示した第2及び第3の実施例の液晶表示素子A2,A3を前記第1の駆動例により駆動したときの表示特性を示しており、図30は、青色画素印加電圧とコントラストの視角依存性の関係、図31は、黒を表示したときの青色画素印加電圧とカラーシフトの視角依存性の関係を示している。
【0124】
なお、この表示特性は、前記第2及び第3の実施例の液晶表示素子A2,A3を前記第2の駆動例により駆動したときも、また図1に示した第1の実施例の液晶表示素子A1を前記第1と第2の駆動例のいずれにより駆動したときも略同じである。
【0125】
上述したように、前記液晶表示素子A1,A2,A3の表示は、電極4,5間に6Vの電圧を印加したときに黒になる(図8参照)が、コントラストの視角依存性及び黒表示のカラーシフトの視角依存性は、図30及び図31のように、青色画素の電極4,5間に印加する電圧を5.2Vとしたときに小さくなる。
【0126】
したがって、前記駆動例のいずれの場合も、青色画素への印加電圧は、赤色画素及び緑色画素への印加電圧に比べて略1V低い値となるように青色の入力表示データを変換するのが望ましい。
【0127】
なお、上述した第1〜第3の実施例の液晶表示素子A1,A2,A3はノーマリーホワイトモードのものであるが、液晶表示素子は、一対の偏光板を12,13をそれぞれの透過軸12a,13aを実質的に互いに平行にして配置したノーマリーブラックモードのものでもよく、その場合は、駆動手段22を、青色画素の電極間に、暗階調から予め定めた中間階調までの範囲では、階調の変化に対して予め定めた第1の割合で変化する電圧を、前記予め定めた中間階調から明階調までの範囲では、階調の変化に対して前記第1の割合と異なる第2の割合で変化する電圧を表示データの階調に応じて選択して印加するように構成すればよい。
【0128】
すなわち、液晶表示素子をノーマリーブラックモードとする場合は、前記液晶表示素子の複数の画素の電極間にそれぞれ、明階調から予め定めた中間階調までの範囲では、階調の変化に対して予め定めた第1の割合で変化する電圧を表示データの階調に応じて選択して印加し、前記予め定めた中間階調を越えた階調の範囲では、前記複数の画素のうち、赤色画素及び緑色画素の電極間に、階調の変化に対して前記第1の割合で変化する電圧を表示データの階調に応じて選択して印加し、青色画素の電極間に、階調の変化に対して前記第1の割合とは異なる第2の割合で変化する電圧を表示データの階調に応じて選択して印加する方法で前記液晶表示素子を駆動すればよい。
【0129】
上述したように、前記液晶表示装置は、液晶分子11を実質的に90゜の捩れ角でツイスト配向させた液晶層10を有する液晶パネル1、前記液晶パネル1の両側にそれぞれ配置されたディスコティック液晶層18を有する一対の視野角改善フィルム14,15、前記一対の視野角改善フィルム14,15の外側にそれぞれ配置された一対の偏光板12,13からなる液晶表示素子A1と、前記液晶表示素子A1の複数の画素のうち、赤色画素及び緑色画素の電極間には、階調の変化に対して予め定めた第1の割合で変化する電圧を表示データの階調に応じて選択して印加し、青色画素の電極間には、明暗のいずれか一方の階調から予め定めた中間階調までの範囲では、階調の変化に対して前記第1の割合で変化する電圧を、前記予め定めた中間階調から他方の階調までの範囲では、階調の変化に対して前記第1の割合と異なる第2の割合で変化する電圧を表示データの階調に応じて選択して印加する駆動手段22とを備えているため、前記液晶表示素子A1に、広い視野角にわたって実質的に同じコントラスト及び色相のカラー画像を表示させることができる。
【0130】
また、上記実施例の液晶表示装置では、前記液晶表示素子A1,A2,A3を、一対の偏光板12,13をそれぞれの透過軸12a,13aを実質的に互いに直交させて配置したノーマリーホワイトモードとし、前記駆動手段22を、前記液晶表示素子A1,A2,A3の青色画素の透過率を予め定めた中間階調よりも低く制御する階調において、外部回路から供給された青色の入力表示データの階調を、
oB=β×iB+(1−β)×N
N:予め定めた中間階調の階調値
β:定数(0<β<1)
iB:青色の入力表示データ
oB:青色の出力データ
によって求められる階調に変換するように構成しているため、前記液晶表示素子A1,A2,A3に、広い視野角にわたって、より同じコントラスト及び色相のカラー画像を表示させることができる。
【0131】
また、上記実施例では、前記液晶表示素子A1,A2,A3をノーマリーホワイトモードとし、前記予め定めた中間階調を、前記液晶表示素子A1,A2,A3の電極4,5間への印加電圧の高電圧側への変化、つまり階調の暗階調側への階調の変化に応じて前記液晶表示素子A1,A2,A3の青色光に対する透過率の変化が減少から増加に反転する境界付近の階調に設定しているため、前記液晶表示素子A1,A2,A3に、広い視野角にわたって、さらに同じコントラスト及び色相のカラー画像を表示させることができる。
【0132】
さらに、上記実施例では、前記液晶表示素子A1,A2,A3をノーマリーホワイトモードとし、一対の視野角改善フィルム14,15をそれぞれ、ディスコティック液晶分子19の平均的チルト角αを、液晶パネル1の電極4,5間に黒を表示させるための電圧を印加したときの前記液晶パネル1の液晶分子11の平均的チルト角θに対して、
α=90−θ
の関係を満たすディスコティッ液晶層18により形成しているため、前記液晶表示素子A1,A2,A3を上述した駆動手段22によって駆動することにより、前記液晶表示素子A1,A2,A3に、広い視野角にわたって、実質的に同じコントラスト及び色相のカラー画像を表示させることができる。
【0133】
そのため、この液晶表示装置は、航空機用表示装置に要求される機能を全て有している。
【0134】
すなわち、航空機のコックピットに装備される表示装置は、どのような視角で観察しても、表示のコントラストが変わらず、またコントラストと色相も変わって見えないことがシビアに要求される。
【0135】
前記液晶表示装置は、上述したように、視野角が広く、しかも視角による表示の色変化がほとんど無く、広い視野角にわたって、実質的に同じコントラスト及び色相のカラー画像を観察させることができるため、航空機のコックピットに装備される表示装置に好適である。
【0136】
また、上述したように、前記液晶表示素子の駆動方法は、前記液晶表示素子の複数の画素の電極間にそれぞれ、明暗のいずれか一方の階調から予め定めた中間階調までの範囲では、階調の変化に対して予め定めた第1の割合で変化する電圧を表示データの階調に応じて選択して印加し、前記予め定めた中間階調を越えた階調の範囲では、前記複数の画素のうち、赤色画素及び緑色画素の電極間に、階調の変化に対して前記第1の割合で変化する電圧を表示データの階調に応じて選択して印加し、色画素の電極間に、階調の変化に対して前記第1の割合とは異なる第2の割合で変化する電圧を表示データの階調に応じて選択して印加するものであるため、前記液晶表示素子に、広い視野角にわたって、実質的に同じコントラスト及び色相のカラー画像を表示させることができる。
【0137】
なお、上述した実施例の液晶表示装置は、航空機のコックピットに装備されるものであるが、この発明は、航空機用液晶表示装置に限らず、他の用途の液晶表示装置にも適用することができる。
【0138】
【発明の効果】
この発明の液晶表示装置は、液晶分子を実質的に90゜の捩れ角でツイスト配向させた液晶層を有する液晶パネル、前記液晶パネルの両側にそれぞれ配置されたディスコティック液晶層を有する一対の視野角改善フィルム、前記一対の視野角改善フィルムの外側にそれぞれ配置された一対の偏光板からなる液晶表示素子と、前記液晶表示素子の複数の画素のうち、赤のカラーフィルタが設けられた赤色画素及び緑のカラーフィルタが設けられた緑色画素の電極間には、階調の変化に対して予め定めた第1の割合で変化する電圧を表示データの階調に応じて選択して印加し、青のカラーフィルタが設けられた青色画素の電極間には、明暗のいずれか一方の階調から予め定めた中間階調までの範囲では、階調の変化に対して前記第1の割合で変化する電圧を、前記予め定めた中間階調から他方の階調までの範囲では、階調の変化に対して前記第1の割合と異なる第2の割合で変化する電圧を表示データの階調に応じて選択して印加する駆動手段とを備えたものであるため、前記液晶表示素子に、広い視野角にわたって実質的に同じコントラスト及び色相のカラー画像を表示させることができる。
【0139】
この発明の液晶表示装置において、前記液晶表示素子を、前記一対の偏光板をそれぞれの透過軸を実質的に互いに直交させて配置したノーマリーホワイトモードとする場合、前記駆動手段は、前記液晶表示素子の青色画素の透過率を予め定めた中間階調よりも低く制御する階調において、前記予め定めた中間階調の階調値をN、定数βを0<β<1、外部から供給された青色の表示データをiB、前記液晶表示素子を駆動するドライバへの青色の出力データをoBとしたとき、前記供給された青色の表示データの階調を、
oB=β×iB+(1−β)×N
によって求められる階調に変換するのが望ましく、このようにすることにより、前記液晶表示素子に、広い視野角にわたって、より同じコントラスト及び色相のカラー画像を表示させることができる。
【0140】
また、前記液晶表示素子をノーマリーホワイトモードとする場合、前記駆動手段は、前記液晶表示素子の画素の透過率を予め定めた中間階調よりも低く制御する階調において、前記液晶表示素子の青色画素に、階調に応じて変化しない前記中間階調の電圧を印加するのが望ましく、このようにすることにより、前記青色画素に印加する電圧の制御を容易にすることができる。
【0141】
この発明の液晶表示装置において、前記予め定めた中間階調は、階調の変化に応じた前記液晶表示素子の青色光に対する透過率の変化が、増加から減少、或いは減少から増加に反転する境界付近の階調が望ましく、このようにすることにより、前記液晶表示素子に、広い視野角にわたって、さらに同じコントラスト及び色相のカラー画像を表示させることができる。
【0142】
さらに、前記液晶表示素子をノーマリーホワイトモードとする場合、前記一対の視野角改善フィルムはそれぞれ、ディスコティック液晶分子の平均的チルト角をα、前記液晶パネルの電極間に黒を表示させるための電圧を印加したときの前記液晶パネルの液晶分子の平均的チルト角をθとしたとき、
α=90−θ
の関係を満たすディスコティッ液晶層により形成するのが好ましく、この液晶表示素子上述した駆動手段によって駆動することにより、前記液晶表示素子に、広い視野角にわたって、実質的に同じコントラスト及び色相のカラー画像を表示させることができる。
【0143】
また、この発明の液晶表示素子の駆動方法は、前記液晶表示素子の複数の画素の電極間にそれぞれ、明暗のいずれか一方の階調から予め定めた中間階調までの範囲では、階調の変化に対して予め定めた第1の割合で変化する電圧を表示データの階調に応じて選択して印加し、前記予め定めた中間階調を越えた階調の範囲では、前記複数の画素のうち、赤のカラーフィルタが設けられた赤色画素及び緑のカラーフィルタが設けられた緑色画素の電極間に、階調の変化に対して前記第1の割合で変化する電圧を表示データの階調に応じて選択して印加し、青のカラーフィルタが設けられた青色画素の電極間に、階調の変化に対して前記第1の割合とは異なる第2の割合で変化する電圧を表示データの階調に応じて選択して印加するものであるため、前記液晶表示素子に、広い視野角にわたって、実質的に同じコントラスト及び色相のカラー画像を表示させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の第1の実施例を示す液晶表示素子の一部分の断面図。
【図2】 視野角改善フィルムのディスコティック液晶層の模式的断面図。
【図3】 前記液晶表示素子の液晶パネルの一対の基板の近傍における液晶分子配向方向と、一対の偏光板の透過軸の向きと、一対の視野角改善フィルムの基板投影光学軸の向きとを示す図。
【図4】 この発明の第2の実施例を示す液晶表示素子の一部分の断面図。
【図5】 この発明の第2の実施例を示す液晶表示素子の一部分の断面図。
【図6】 Δn(450nm)/Δn(650nm)の値が1.06〜1.13の各液晶を用いた液晶表示素子における液晶層の各Δndに対するカラーシフトの値を示す図。
【図7】 液晶パネルの液晶のΔndと横コントラスト及び上コントラストとの関係を示す図。
【図8】 液晶パネルに印加する電圧と液晶分子の平均的チルト角との関係を示す図。
【図9】 前記液晶表示素子の横コントラストを示す図。
【図10】 前記液晶表示素子のカラーシフトを示す図。
【図11】 前記液晶表示素子の上方向コントラストを示す図。
【図12】 前記液晶表示素子の中間調を表示したときの横方向カラーシフトを示す図。
【図13】 前記液晶表示素子の黒を表示したときの上方向のカラーシフトを示す図。
【図14】 実施例素子と比較素子の白を表示したときのカラーシフトの視角依存性を示す図。
【図15】 実施例素子と比較素子の黒を表示したときのカラーシフトの視角依存性を示す図。
【図16】 実施例素子と比較素子の50%の中間調を表示したときのカラーシフトの視角依存性を示す図。
【図17】 実施例素子と比較素子の20%の中間調を表示したときのカラーシフトの視角依存性を示す図。
【図18】 実施例素子の印加電圧に対する上方向カラーシフトの液晶層厚依存性を示す図。
【図19】 比較素子の上方向カラーシフトの液晶層厚依存性を示す図。
【図20】 第2及び第3の実施例の液晶表示素子における赤、緑、青の各色の光に対する電圧―透過率特性図。
【図21】 駆動手段の概要を示すブロック図。
【図22】 前記駆動手段の青色調整回路を示す図。
【図23】 前記青色調整回路の青色データ変換回路を示す図。
【図24】 液晶表示素子の第1の駆動例を示す概念図。
【図25】 第1の駆動例における赤、緑、青の各色の入力表示データの階調とドライバ駆動データの階調との関係を示す図。
【図26】 第1の駆動例における赤、緑、青の各色の入力表示データの階調と液晶表示素子の赤、緑、青の各色の画素の電極間に印加される液晶駆動電圧との関係を示す図。
【図27】 液晶表示素子の第2の駆動例を示す概念図。
【図28】 第2の駆動例における赤、緑、青の各色の入力表示データの階調とドライバ駆動データの階調との関係を示す図。
【図29】 第2の駆動例における赤、緑、青の各色の入力表示データの階調と液晶表示素子の赤、緑、青の各色の画素の電極間に印加される液晶駆動電圧との関係を示す図。
【図30】 液晶表示素子の青色画素印加電圧とコントラストの視角依存性の関係を示す図。
【図31】 液晶表示素子の黒表示における青色画素印加電圧とカラーシフトの視角依存性の関係関係を示す図。
【符号の説明】
A1,A2,A3…液晶表示素子、1…液晶パネル、2,3…基板、2a,3a…液晶分子配向方向、4,5…電極、6R,6G,6B…カラーフィルタ、7…液晶層厚調整膜、8,9…配向膜、10…液晶層、11…液晶分子、θ…黒表示電圧を印加したときの液晶分子の平均的チルト角、12,13…偏光板、12a,13a…透過軸、14,15…視野角改善フィルム、16…フィルム基板、17…配向膜、18…ディスコティック液晶層、19…ディスコティック液晶分子、20…屈折率が最小となる光学軸、20a…基板投影光学軸、α…ディスコティック液晶分子の平均的チルト角、21…粘着剤、22…駆動手段、23…ゲートドライバ、24…ソースドライバ、25…青色調整回路、26…ソースドライバ制御信号発生回路、27…階調設定器、28…青色データ変換回路、29…出力回路、30…比較器、31…演算部、32…出力選択回路。
Claims (6)
- 互いに対向する一対の基板の対向面の一方及び他方にそれぞれ形成され、互いに対向する領域により複数の画素を形成する電極、前記複数の画素毎に対応させて形成された赤、緑、青の3色のカラーフィルタ、及び前記一対の基板間で液晶分子を実質的に90゜の捩れ角でツイスト配向させた液晶層を有する液晶パネルと、前記液晶パネルの両側にそれぞれ配置されたディスコティック液晶層を有する一対の視野角改善フィルムと、前記一対の視野角改善フィルムの外側にそれぞれ配置された一対の偏光板とからなり、前記複数の画素の電極間に印加される電圧に応じて各画素の透過率を制御する液晶表示素子と、
前記液晶表示素子の複数の画素のうち、赤のカラーフィルタが設けられた赤色画素及び緑のカラーフィルタが設けられた緑色画素の電極間には、階調の変化に対して予め定めた第1の割合で変化する電圧を表示データの階調に応じて選択して印加し、青のカラーフィルタが設けられた青色画素の電極間には、明暗のいずれか一方の階調から予め定めた中間階調までの範囲では、階調の変化に対して前記第1の割合で変化する電圧を、前記予め定めた中間階調から他方の階調までの範囲では、階調の変化に対して前記第1の割合と異なる第2の割合で変化する電圧を表示データの階調に応じて選択して印加する駆動手段とを備えたことを特徴とする液晶表示装置。 - 液晶表示素子の一対の偏光板は、それぞれの透過軸を実質的に互いに直交させて配置され、駆動手段は、前記液晶表示素子の青色画素の透過率を予め定めた中間階調よりも低く制御する階調において、前記予め定めた中間階調の階調値をN、定数βを0<β<1、外部から供給された青色の表示データをiB、前記液晶表示素子を駆動するドライバへの青色の出力データをoBとしたとき、前記供給された青色の表示データの階調を、
oB=β×iB+(1−β)×N
によって求められる階調に変換することを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。 - 液晶表示素子の一対の偏光板は、それぞれの透過軸を実質的に互いに直交させて配置され、駆動手段は、前記液晶表示素子の画素の透過率を予め定めた中間階調よりも低く制御する階調において、前記液晶表示素子の青色画素に、階調に応じて変化しない前記中間階調の電圧を印加することを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
- 予め定めた中間階調は、階調の変化に応じた液晶表示素子の青色光に対する透過率の変化が、増加から減少、或いは減少から増加に反転する境界付近の階調であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の液晶表示装置。
- 液晶表示素子の一対の偏光板は、それぞれの透過軸を実質的に互いに直交させて配置され、一対の視野角改善フィルムはそれぞれ、ディスコティック液晶分子の平均的チルト角をα、液晶パネルの電極間に黒を表示させるための電圧を印加したときの前記液晶パネルの液晶分子の平均的チルト角をθとしたとき、
α=90−θ
の関係を満たすディスコティッ液晶層からなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の液晶表示装置。 - 互いに対向する一対の基板の対向面の一方及び他方にそれぞれ形成され、互いに対向する領域により複数の画素を形成する電極、前記複数の画素毎に対応させて形成された赤、緑、青の3色のカラーフィルタ、及び前記一対の基板間で液晶分子を実質的に90゜の捩れ角でツイスト配向させた液晶層を有する液晶パネルと、前記液晶パネルの両側にそれぞれ配置されたディスコティック液晶層を有する一対の視野角改善フィルムと、前記一対の視野角改善フィルムの外側にそれぞれ配置された一対の偏光板とからなり、前記複数の画素の電極間に印加される電圧に応じて各画素の透過率を制御する液晶表示素子の駆動方法において、
前記液晶表示素子の複数の画素の電極間にそれぞれ、明暗のいずれか一方の階調から予め定めた中間階調までの範囲では、階調の変化に対して予め定めた第1の割合で変化する電圧を表示データの階調に応じて選択して印加し、前記予め定めた中間階調を越えた階調の範囲では、前記複数の画素のうち、赤のカラーフィルタが設けられた赤色画素及び緑のカラーフィルタが設けられた緑色画素の電極間に、階調の変化に対して前記第1の割合で変化する電圧を表示データの階調に応じて選択して印加し、青のカラーフィルタが設けられた青色画素の電極間に、階調の変化に対して前記第1の割合とは異なる第2の割合で変化する電圧を表示データの階調に応じて選択して印加することを特徴とする液晶表示素子の駆動方法。
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