JP2006189813A - カラー液晶表示素子及びカラー液晶表示装置 - Google Patents
カラー液晶表示素子及びカラー液晶表示装置 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2006189813A JP2006189813A JP2005351365A JP2005351365A JP2006189813A JP 2006189813 A JP2006189813 A JP 2006189813A JP 2005351365 A JP2005351365 A JP 2005351365A JP 2005351365 A JP2005351365 A JP 2005351365A JP 2006189813 A JP2006189813 A JP 2006189813A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- liquid crystal
- retardation
- color
- substrate
- plate
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Withdrawn
Links
Images
Landscapes
- Liquid Crystal (AREA)
- Polarising Elements (AREA)
Abstract
【課題】ハイブリッドカラー液晶表示装置における色の視野角変化を改善する。
【解決手段】液晶層66の液晶分子を電圧無印加時に基板63,69に略垂直に配向させると共に、光軸が基板面に略垂直方向に存在する位相差板62を備え、この位相差板62として、基板法線方向のリタデーションの絶対値が、第1又は第2の副画素の液晶層の、黒表示状態におけるリタデーションの絶対値と、色相表示状態におけるリタデーションの絶対値との間の値のものを用いる。
【選択図】図1
【解決手段】液晶層66の液晶分子を電圧無印加時に基板63,69に略垂直に配向させると共に、光軸が基板面に略垂直方向に存在する位相差板62を備え、この位相差板62として、基板法線方向のリタデーションの絶対値が、第1又は第2の副画素の液晶層の、黒表示状態におけるリタデーションの絶対値と、色相表示状態におけるリタデーションの絶対値との間の値のものを用いる。
【選択図】図1
Description
本発明は、反射型カラー液晶表示素子、半透過型カラー液晶表示素子等のカラー液晶表示素子及びカラー液晶表示装置に関し、特に位相差板を用いたものに関する。
現在、フラットパネルディスプレイはパソコン用などの各種モニタ、携帯電話用表示素子などに広く普及しており、今後は大画面テレビ用途への展開を図るなど、ますます普及の一途をたどることが予測されている。中でも最も広く普及しているのが液晶ディスプレイであり、このような液晶ディスプレイにおいてカラー表示方式として広く使用されているのが、マイクロカラーフィルタ方式と呼ばれるカラー表示方式である。
ここで、このマイクロカラーフィルタ方式は、ひとつの画素を少なくとも3つの副画素に分割し、それぞれの副画素に3原色の赤(R)・緑(G)・青(B)のカラーフィルタを形成することによってフルカラー表示を行うものである。このマイクロカラーフィルタ方式は、高い色再現性能を容易に実現することができるというメリットがある。
しかし、このマイクロカラーフィルタ方式は、透過率が1/3になってしまうことから、光利用効率が悪くなってしまうという欠点がある。そして、このような光利用効率の悪さは、バックライトを有する透過型液晶表示装置や、フロントライトを有する反射型液晶表示装置において、補助光源であるバックライトやフロントライトの消費電力が高くなってしまう原因となっている。また、こうした補助光源を使用しない反射型液晶表示装置では、光利用効率の悪さが致命的となっており、現在ではほとんど用いられていない。
一方、電界制御複屈折効果によるカラー表示モード(以下、ECBカラーモードと称する)が主として1970年代を中心に広く検討された。この表示を用いれば干渉色によるカラー表示ができるので、カラーフィルタを形成することなく明るいカラー表示を行うことが可能である。
しかしながら、ECBカラーモードでは純度の高い赤色表示ができなかったり、視野角特性が極めて悪かったりといった欠点が多く存在する。このため、1980年代以降はマイクロカラーフィルタ方式にとって替わられ、現在ではECBカラーモードの液晶表示素子はほとんど利用されていないのが現状である。
本発明者らは、このようなカラーフィルタ方式及びECBカラー方式のそれぞれ異なる課題を解決するための新しい表示原理を提案した。この方式によると、ECBカラー方式とカラーフィルタ方式とを組み合わせることによって、従来のRGBカラーフィルタ方式と比較して光利用効率が高くなるため、明るい表示装置が実現可能である(特許文献1参照)。
以下、この複屈折による着色現象とカラーフィルタとを組み合わせたハイブリッド型のカラー表示方式のことを本方式、もしくはハイブリッドカラー液晶モードと称する。
以下、ハイブリッドカラー液晶モードの原理について説明する。なお、本方式は上記特許文献に記載のように、様々な応用例、変形例があげられるが、ここでは基本形態と2つの変形例について説明する。
(基本形態)
図5は、基本形態に係る液晶表示素子の画素構成を示す図であり、この液晶表示素子においては、図5に示すように、1画素10を複数の副画素11,12に分割し、そのうちの1つの副画素12には緑色のカラーフィルタGを重ねている。また、残る副画素11は、リタデーションを調節して、黒から白に至る無彩色の輝度変化と、赤からマゼンタを経て青に至るいずれかの色とを表示させる。
図5は、基本形態に係る液晶表示素子の画素構成を示す図であり、この液晶表示素子においては、図5に示すように、1画素10を複数の副画素11,12に分割し、そのうちの1つの副画素12には緑色のカラーフィルタGを重ねている。また、残る副画素11は、リタデーションを調節して、黒から白に至る無彩色の輝度変化と、赤からマゼンタを経て青に至るいずれかの色とを表示させる。
即ち、電圧印加により液晶層のリタデーションを変化させて有彩色を表示する第1の副画素11と、カラーフィルタを有し、電圧によって明度変化範囲でリタデーションを変化させてカラーフィルタの色(緑)を表示する第2の副画素12とで単位画素を構成する。なお、この構成は、光の三原色のうち、視感度の高い緑色を表示させる副画素12には、ECBによる着色を利用しないで緑色のカラーフィルタGを用い、赤と青だけにECBによる着色現象を利用することが特徴である。
例えば、緑(G)のカラーフィルタのある副画素(以下、G副画素という)12を暗状態とし、カラーフィルタのない副画素(以下、透明副画素という)11を白色(無彩色変化領域の最大輝度状態)にすることにより、画素全体として白を表示することが出来る。あるいは、G副画素12を最大透過状態にし、透明副画素11を有彩色領域のマゼンタ色にしてもよい。マゼンタ色は赤(R)と青(B)の両方の色を含むので、合成の結果、白表示が得られる。
また、G単色にするには、G副画素12を最大透過状態にし、透明副画素11を暗状態にする。R単色(B単色)にするには、G副画素12を暗状態にし、透明副画素11のリタデーション値を赤(青)表示となるように適宜調整すればよい。例えば、クロスニコルに挟んだ液晶素子を透過型として観測する場合には、リタデーション値を450nm(600nm)にすればよい。これらを組み合わせることでRとG、BとGの混色も得られる。
G副画素12と透明副画素11をともにリタデーションを0にして暗状態とすれば黒表示が得られことはいうまでもない。なお、円偏光板を使用した一枚偏光板型反射型液晶表示素子の場合には、リタデーション値はここに記載する値の半分である。
この構成では、G副画素12はリタデーションを0から250nmの範囲で変化させ、透明副画素11はリタデーションを0から250nmの範囲と450nmから600nmの範囲で変化させる。通常、液晶材料は両副画素で共通にするので、駆動電圧範囲を異なるように設定する。
そして、この構成では、カラーフィルタを緑色に選んだ結果、緑をリタデーションの調節で作ることが回避される。ここで、リタデーションによって得られる緑色は1300nm程度であって、極めて大きな値であるので製造上および特性上の不利を招くのであるが、緑カラーフィルタを用いる本方式を用いることによってこうした大きなリタデーション値を用いる必要がなくなる。また、緑色は視感度が高いので、カラーフィルタによって純度の高い色を作ることにより、画質が向上する。
また、このように構成することにより、通常用いられる液晶表示素子と比較してセル厚を極端に厚くする必要がなくなる。例えば、透過型の場合、赤はリタデーションが450nmであって、青はリタデーションが600nmである。したがって、600nmのリタデーションを実現するためのセル厚に設定すればよいことになる。
従来のRGBカラーフィルタを用いる液晶表示素子の場合、白黒表示に必要なリタデーションは250nm程度であるので、本方式に必要なセル厚は従来の約2倍である約10ミクロンに設定すればよいことになる。
応答速度はセル厚の二乗に比例するとされているが、最近の駆動技術の進展によって数ミリ秒の応答速度が実現されつつあるために、本方式で応答が約4倍の時間がかかったとしても、若干のボケは存在するものの動画表示は可能となる。またこれを反射型液晶表示素子に適用した場合には、セル厚が半分となるため応答速度はこの1/4となり、動画表示にもほぼ問題ないレベルにすることができる。また緑の色再現範囲はカラーフィルタによって決まり、かつ視感度が高いために、白色成分の透過率を犠牲にすることなく色再現性を高めることが可能となる。
(変形例1)
以上の基本形態に対して、リタデーション変化で着色する方の第1の副画素にマゼンタなどの緑色と補色の関係にあるカラーフィルタを配設することもできる。
以上の基本形態に対して、リタデーション変化で着色する方の第1の副画素にマゼンタなどの緑色と補色の関係にあるカラーフィルタを配設することもできる。
この基本形態の変形例に係る画素構成を図6に示す。G画素22には基本形態と同じく緑のカラーフィルタが配設されており、基本形態では透明であった第1の副画素21にマゼンタ色のカラーフィルタMが配設されている。
第2の副画素(G画素)22には、上記基本形態と同じく明度を変化させる変調領域の変調を与えて緑色の明度を変化させる。第1の副画素21には、色相を変化させる変調領域の変調を与えて有彩色を表示させるとともに、明度を変化させる変調領域の変調を与えてマゼンタ色の明度を変化させる表示を行う。
図7に、波長480nm〜580nmまでの透過率がゼロであり、それ以外の波長の透過率が100%となるような理想的なマゼンタカラーフィルタを配設した場合のリタデーションによる色変化の計算値を示す。
図7に示すように、第1の副画素は、リタデーション量がゼロから増加するにつれて黒色表示から暗いマゼンタ色(マゼンタ色の中間調)を経て明るいマゼンタ色表示に至る明度変化を示す。その後リタデーション量が更に増加し、カラーフィルタを用いないときには白色となったリタデーション値を超えると、マゼンタ→赤→赤紫(マゼンタ)→紫→青色、というような有彩色の連続的変化を示す。
なお、図7と、マゼンタカラーフィルタを用いない場合の計算値である図8とを比較してみると、図7の場合、色度変化の範囲が赤と青の純色(色度図の隅)近くにまで広がっていることが判る。これにより、マゼンタカラーフィルタを配設することによって赤と青の色再現範囲が広がっていることがわかる。
また、赤から青への変化が色度図の下辺に沿って動くので、赤から青への連続的な混色の変化が得られることもわかる。このように、第1の副画素にマゼンタカラーフィルタを配設することによって、赤と青の色再現範囲が広がると同時に、リタデーション変化したときに中間色の連続的変化も得られる。
なお、本変形例において、白色を表示するには、マゼンタ副画素21とG副画素22をともに最大透過率を与える同じリタデーション値(250nm)に設定する。あるいは、G副画素22を最大透過率状態(リタデーション値250nm)にし、マゼンタ副画素21を赤と青の中間のリタデーション値(550nm付近)に設定してもよい。
前者の方法の場合、無彩色の明度を変化させるには、両副画素の階調がそろって変化するように、マゼンタ画素のリタデーションを緑色のカラーフィルタ画素のリタデーションに合わせて変化させればよい。なお、黒表示、G・R・Bの各単色を表示する場合、それらの混色を表示する場合は、基本形態と同じである。
以上説明したように、マゼンタ色など緑色と補色関係にあるカラーフィルタを用いることによって、無彩色の階調表現ができると同時に、緑の補色の階調表現ができることから、表現できる表示色数を増加させることができる。また、マゼンタカラーフィルタは赤色と青色の両方を透過するので、従来の赤と青のカラーフィルタを併設する方式に比べて明るい表示が得られる。
(変形例2)
図5に示す液晶表示素子では、視感度特性の高い緑画素については連続階調表示可能であるが、透明画素部分の有彩色状態、つまり青と赤は、ECBによる着色を利用しているため電圧によって色相が変化する領域である。このECBカラー領域は色相変化とともに明度も若干変化する領域なので、この範囲であっても色相変化が視認上気にならない範囲では明度変調を利用することで擬似的に階調表示を行うことが可能であるが、厳密な意味での階調表示はできない。
図5に示す液晶表示素子では、視感度特性の高い緑画素については連続階調表示可能であるが、透明画素部分の有彩色状態、つまり青と赤は、ECBによる着色を利用しているため電圧によって色相が変化する領域である。このECBカラー領域は色相変化とともに明度も若干変化する領域なので、この範囲であっても色相変化が視認上気にならない範囲では明度変調を利用することで擬似的に階調表示を行うことが可能であるが、厳密な意味での階調表示はできない。
ただし、ECBカラー効果を用いる表示色における階調数は明暗の2値のみに限定されるが、従来のRGBカラーフィルタ方式を用いる場合と比較すると、1つの画素に必要な副画素数が3つから2つに減らすことが可能となる。これにより、ドライバICの数が同一であったときには有効画素数が1.5倍となり、高解像度な表示が得られる。もしくは同一の画素数を得るためには、必要なドライバIC数を減らすことが出来るために、低コストなパネルを得ることが可能となる。また開口率の面からも副画素数が少ないため有利である。
図9は、階調数の問題点を改良した変形例であり、この液晶表示素子では画素50の透明副画素51を複数のサブピクセル51a,51bに分割し、その面積比を変えることによってデジタル的に階調を表現する。ここで、サブピクセル51a,51bは異なる面積を有しているので、点灯して色が表示されるサブピクセルの面積によっていくつかの段階の中間調が表示される。
このとき、サブピクセルがN個あったとき、その面積比を1:2:・・・:2N−1となるよう分割することで、リニアリティーの高い階調表示特性を得ることが出来る。図9の例ではN=2としている。
本変形例では視感度特性の低い赤と青にのみデジタル階調を使用している。緑画素には0から250nmの範囲で連続的な変調を与えることにより、連続的な階調が表示できる。そのために、人間の目には、階調性が大きく損なわれたようには感じられず、比較的良好なカラー画像を得ることができる。即ち、目の検知しうる階調数が少ない赤と青に限ってデジタル階調を使用することで、限られた階調数でも十分な特性を持たせることが可能となる。
なお上記のように限られた階調数でも十分な階調性を感じさせるためにも、画素ピッチは細かい方が好ましい。つまり、人間が画素を識別できなくなる解像度という観点で、200ミクロンピッチ以下にしておくことがより望ましい。以上述べた方式に従えば、明るく、光利用効率が高く、視認上フルカラー表示が可能な液晶表示素子を実現することが可能となる。
一方、最近は液晶表示素子の一部の領域を光反射性領域とし、一部の領域を光透過性領域とするような半透過型液晶表示素子が、携帯電話や携帯情報端末などに広く使用されるようになってきている。特に、可搬型電子装置は、屋外で使用することが多く非常に明るい外光中でも十分な視認性が確保されることと、暗い室内においても高いコントラストや色再現性といった高い表示品位を確保されることが要求される。
ところで、上述したとおり、RGBカラーフィルタ方式のカラー液晶表示素子は明るさに関しては犠牲になっているものの、応答速度やコントラストなどの表示特性が近年飛躍的に改善しており広く普及している。中でも特に視野角依存性に関しては各方面で広く検討が進められ、視野角補償フィルムの最適化によって大幅に視野角特性が改善されており現在では全く問題になっていない。
これに対して、ハイブリッドカラー液晶モードでは、複屈折によるカラー表示原理を利用しているため、表示色が視野角に依存するという問題は残されたままであった。
一般のVAモードを用いた液晶ディスプレイでは、視野角依存性の課題に対して、いわゆる負のCプレート(詳細は後述)を挿入することで電圧無印加時の液晶の複屈折量を完全に補償し、光学的に等方性とする方法が提案されており、広く用いられている。
しかしながら本発明者が鋭意検討したところによると、こうした光学的等方性となるように補償フィルムをハイブリッドカラー液晶モードに適用すると、かえって視野角特性を悪化させることが判明した。
そこで本発明では、このような現状に鑑みてなされたものであり、表示品位が高く、かつ広い視野角特性を有するカラー液晶表示素子及びカラー液晶表示装置を提供することを目的とするものである。
本発明は、偏光板と、第1の位相差板と、電極が形成され対向して配置された第1及び第2の基板と、前記第1及び第2の基板の間に配置され、電圧無印加時に液晶が前記基板に垂直に配向した液晶層とを有し、印加電圧に応じて前記液晶層の基板面内のリタデーションを変化させて有彩色を表示する第1の副画素と、カラーフィルタを備え、印加電圧に応じて明度変化範囲で前記液晶層の基板面内のリタデーションを変化させて前記カラーフィルタの色を表示する第2の副画素とで画素を構成するカラー液晶表示素子であって、前記第1の位相差板は、光軸が基板面に垂直で、基板法線方向の屈折率が基板面内方向の屈折率より小さく、かつ基板法線方向のリタデーションの絶対値が、前記画素の黒表示状態における前記第1または第2の副画素の液晶層の基板法線方向のリタデーションの絶対値と、第1または第2の副画素の色相表示状態における前記液晶層の基板法線方向のリタデーションの絶対値との間の値であることを特徴とするものである。
本発明のように、第1の位相差板として、基板法線方向のリタデーションの絶対値が、第1又は第2の副画素の液晶層の、黒表示状態におけるリタデーションの絶対値と、色相表示状態におけるリタデーションの絶対値との間の値のものを用いる。これにより、表示品位が高く、かつ広い視野角特性を有するカラー液晶表示素子及びカラー液晶表示装置を提供することができる。
液晶層に対して斜めに入射する光は垂直入射光と異なる光学変調を受ける。これは視野角依存性と言われて、液晶ディスプレイの表示品質を決める大きな要因である。視野角依存性の生じる原因の1つは、液晶層が、基板に垂直な方向と基板面内方向で異なる屈折率を持つことである。
垂直方向に入射する光は、基板に垂直な方向の屈折率に何ら影響されないが、斜め入射光は基板に垂直な方向の成分を持つため、面内の屈折率と垂直方向の屈折率が異なるとその影響を受けて垂直入射光とは異なる偏光状態の光となって出射される。
以下の説明においては、液晶層あるいは位相差板のリタデーションについて、基板面内の屈折率と基板法線方向の屈折率との差に液晶層の厚さ(または位相差板の厚さ)をかけたものを面外リタデーション、または単にリタデーションという。
そして、基板面内の屈折率が方位によって異なるときは、光の入射面を含む方位を取り、その方位の面内屈折率と法線屈折率との差に液晶層の厚さ(または位相差板の厚さ)をかけたものを面外リタデーションとする。
多くの液晶ディスプレイは、電圧を加えて面内の屈折率異方性を変化させ、それによって明暗のコントラストを生じさせている。通常、面内の屈折率異方性、即ち面内の最大屈性率と最小屈折率との差に液晶の厚さをかけたものをリタデーションといい、上記の背景技術の説明で用いられているリタデーションは、この意味である。以下の説明においては、これを面内リタデーションといい、面外リタデーションと区別する。位相差板についても同様の区別で用いる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を用いて詳細に説明する。
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るカラー液晶表示装置に用いられるカラー液晶表示素子の一例である反射型液晶表示素子の構造を示す図である。この反射型液晶表示素子60は、偏光板61、視野角補償フィルム62、第1ガラス基板63、透明電極64、配向膜65、液晶層66、配向膜67、反射電極68、第1ガラス基板63に対向配置された第2ガラス基板69が順に積層された構成のものである。なお、第1ガラス基板63は、観察者側の第1の基板であり、第2ガラス基板69は、第1ガラス基板63に対向配置された第2基板である。
なお、反射電極68には公知の方法を用いて凹凸形状を付与することで拡散性を持たせてもよいし、視野角補償フィルム62とガラス基板61の間、もしくは視野角補償フィルム62の上に前方散乱フィルムを用いることで拡散性を持たせてもよい。
液晶表示素子60は、誘電率異方性が負の液晶材料を基板に垂直に配向させた、いわゆるVA配向モードを用いる。偏光板61としては広帯域円偏光板を用いることが好ましい。広帯域円偏光板を用いた場合には電圧無印加状態にて黒表示される、いわゆるノーマリブラックモードとなる。
偏光板61と第1ガラス基板63の間に配設されている第1の位相差板としての視野角補償フィルム62は、光学軸がフィルムの法線方向にあり、フィルム面に垂直な方向の屈折率が異常であってフィルム面内方向には等方的な屈折率を持つ一軸性のものである。このような位相フィルムはCプレートと呼ばれている。
基板法線方向の屈折率が面内の屈折率よりも大きい、即ち基板法線方向に遅相軸があるものは正のCプレート、基板法線方向の屈折率が面内の屈折率よりも小さい、即ち基板法線方向に進相軸があるものは負のCプレートと称されている。
図2は、Cプレートの屈折率楕円体とフィルム面の関係を示す。図2(a)は正のCプレートで、フィルム1の面に対して葉巻型の屈折率楕円体2が垂直に位置している。図2(b)は負のCプレートで、偏平なオレンジ型の屈折率楕円体3が偏平な面をフィルム1の面に平行にして配置する。Cプレート(視野角補償フィルム62)のリタデーション値は、フィルム面内の屈折率とフィルム面に垂直な方向の屈折率との差にフィルムの厚さをかけたもので定義される。
現在、市販されているVA配向モード一般には負のCプレートが用いられ、斜めからみたときにも黒表示が保たれるようにリタデーションが設定される。VA液晶自身が基板法線方向に光軸(遅相軸)を有するような正のCプレートと同様の構造となっているので、視野角補償フィルム62として液晶層66と同じ位相差の負のCプレートを用いることで、上記の条件を満たすことが可能となる。逆に、正のCプレートを用いてしまうと視野角を悪化させる原因となるので、通常用いられることがない。
このようにして光学的等方性を得た液晶セルでは、黒表示においてまったく複屈折媒体が存在しないのと同じ状態になるために、液晶に起因する視野角特性は存在しないことになる。
負のCプレートを用いることにより、いかなる傾斜方向から見た場合でも光が抜けて明るくなってしまうことがない。これによって視野角の広いディスプレイを得ることが可能となっている。実際の素子では偏光板に起因する視野角特性が残るために若干の視野角特性は存在するが、おおむね良好な視野角特性を得ている。
以上説明したように,黒表示時の複屈折が光学的等方性となるように最適化するためには、用いる視野角補償フィルム62のリタデーション量は、液晶層66のリタデーション量と絶対値が略一致していることが条件である。
しかしながら、このようなリタデーション量の光学フィルムをハイブリッドカラー液晶モードに適用したところ、黒表示時の特性については一般のVA液晶ディスプレイの場合と同様に極めて良好であった。しかし、赤色や青色表示をした際には視野角依存性が観測され、必ずしも良好な視認性が得られなかった。具体的な数値に関しては実施例中で述べるが、ここでは得られる結果および改善のための最良の形態について定性的な説明を行う。
ハイブリッドカラー液晶モードの黒表示特性も、VA液晶モードと同様、視野角補償フィルム62のリタデーション量を、液晶層66のリタデーション量と絶対値が等しくなるように設計することによって、複屈折媒体が存在しないのと等価になる。これにより、視野角に依存しない完全な黒を表示することが可能となる。これは一般に市販されているVA液晶ディスプレイと全く同じである。
VA液晶では電圧を印加すると垂直配向状態から平行配向状態へと配向変形する。ハイブリッドカラー液晶モードにおいても、液晶を垂直配向させノーマリブラック型とすると、電圧無印加時には垂直配向で黒表示となり、高い電圧を印加してカラー表示を行うときは平行配向に近づく。上述のような設計に基づき黒表示において完全な光学的等方性を得た場合、カラー表示では視野角によって色相が大きく変化することが、本発明者の検討によりわかった。
ここで、その原因について、1998年日本液晶学会討論会講演予稿集2C04 p.322に報告された論文に基づいた考察を行う。
上記論文は、インプレーンスイッチング(IPS)の視野角を改善するための補償フィルムについて述べている。IPSモードは平行配向で、その視野角による着色現象を抑制するために、正のCプレートを挿入した。Cプレートの複屈折量(リタデーション)は、垂直入射ではゼロで、入射方向の傾きとともに液晶層の複屈折量を打ち消すように変化する。このため、視角変化による表示の色づきを抑制することができると報告されている。
垂直配向モードにおいても、電圧を印加した状態では、液晶は基板に対し傾斜もしくはほぼ平行な配向となっている。基板に平行な配向状態はIPSモードにおける液晶分子配向方向と類似している。
上記論文では、平行配向のIPSと、垂直配向液晶と同じ構造を有する正のCプレートとの組み合わせが良好な結果をもたらしている。したがって、VA液晶モードで電圧印加状態の視野角を改善するためには正のCプレートを用いればよい。逆に負のCプレートを用いると、同様の考察を行った場合には、電圧印加状態において視野角特性を悪化させる原因となる。
VA液晶と同様の垂直配向モードを使ったECBカラー(ハイブリッドカラー液晶モードもその1つである)の場合も、電圧印加時のカラー表示に対しては、正のCプレートを用いることで表示色の視野角依存を抑制することが出来る。
ところが、正のCプレートをVA液晶モードに用いることは、上述したとおり黒状態において特性悪化の原因となる。単に複屈折によるカラー表示を素子全面で行うだけの場合には正のCプレートを用いれば良いが、ハイブリッドカラー液晶モードでは、ECBカラー表示を行う画素と、緑カラーフィルタを有する画素との2種類の画素の混色によってカラー表示が行われる。
例えば、一つの画素が二つの副画素から構成されており、第1の副画素にはマゼンタカラーフィルタ、第2の副画素には緑カラーフィルタが配設されている構成の場合において、は印加される電圧により、次のような表示色の変化が生じる。即ち、ノーマリブラックモードでは電圧無印加状態には黒表示、第1の副画素に対して徐々に電圧を大きくしながら印加した場合には、黒→暗いマゼンタ→明るいマゼンタ→赤→紫→青という表示色の変化が生じる。
同様に第1の副画素に対して徐々に電圧を大きくしながら印加した場合には、黒→暗い緑→明るい緑へと表示色が変化する。また、第1及び第2の副画素に対し同時に電圧印加した場合には、黒→灰色→白へと表示色が変化することになる。
このとき正のCプレートを用いると、第1の副画素での最大電圧印加近傍のECBカラー表示時の視野角特性は大きく改善されるのであるが、電圧無印加時における黒の視野角特性は極めて悪くなる。
例えば、青色表示を行うときには第1の副画素に最大電圧を印加して液晶分子を傾斜させ青色表示させ、第2の副画素には電圧を印加しないで液晶分子は垂直配向のままという状態とし、黒色表示とする。
このとき第1の副画素における青色表示部の視野角特性は良好であるが、第2の副画素では視野角特性が悪く、第2の副画素では視野角を変化させたときに黒表示が維持できず、緑色に着色するようになってしまう。つまり第1及び第2の副画素の混色を観測すると、視野角によって青が緑方向へとシフトしてしまい、色調が変化してしまうことになる。赤の場合も同様に、黄色方向へのシフトが生じてしまう。
逆に、一般のVA液晶ディスプレイに用いられているようにして、光学的に等方性となるように最適化された負のCプレートを用いると、第2の副画素における黒表示は視野角によらず一定である。これに対し、第1の副画素における青表示は大きな視野角依存性を持ってしまうことになる。
つまり、第1及び第2の副画素の混色を観測すると、視野角を変化させた場合に、第1の副画素の視野角特性に依存し、青の色調が変化してしまうことになる。青色表示の画素にはマゼンタカラーフィルタが配設されているので、青からマゼンタ方向へのカラーシフトが観測される。赤の場合も同様に、マゼンタ方向へのカラーシフトが生じてしまう。このように、黒表示の視野角とECBカラー表示での視野角にはトレードオフの関係がある。
本発明者は、表示する画像として、モノクロの文字やカラー写真など、実際に用いられるさまざまな画像を用いて評価を行い、視野角特性とコントラストの両方をバランスよく最適化することを試みて以下の結果を得た。
まず、文字表示の視認性に関しては、負のCプレートを用いたほうが優れた表示が得られるといえる。多くの場合、文字はモノクロ(白背景に黒色の文字)で表示されるので、色の視野角依存性は問題にならず、コントラストを最適化することによって文字表示の視認性が最もよくなる。
モノクロ表示では、緑およびマゼンタの副画素の明度変調のみを利用しているので、RGBカラー方式と同じく、コントラストの視野角変化が最も少なくなる負のCプレートを用いることによって良好な視認性を得ることができる。
写真画像を表示する場合も、緑やマゼンタ色のみのカラーの写真、あるいはモノクロ写真を表示するなら、明度変調のみを利用しているので、文字表示の場合と同様に負のCプレートを設定することによって良好な視認性を得ることができることは明らかである。
一般の青や赤が混ざった写真画像に関しては、上述のとおりマゼンタ副画素の視野角による色調変化が問題になる。しかし、負のCプレートのリタデーション量をコントラストの視野角変化が最も少なくなる値、即ち液晶層の屈折率異方性を完全にキャンセルするリタデーションよりも絶対値を少し小さめに設定することにより、カラー写真画像の表示としては問題ない画質になる。
その理由は、負のCプレートを用いることによって青と赤の表示の際に多少の色調の変化はあるものの、それがほぼ色相のみの変化であって彩度がほとんど変化しないため、さほど写真表示に悪い印象を与えないためであると考えられる。
正のCプレートを用いた場合には、上述のとおり光遮断状態(黒表示)を斜めからみたときに光漏れが生じて、色相が変化する。写真画像の表示に際しては、特に赤色表示が緑色の混色によって黄色く変化するので表示品位が大きく劣化する。
以上のように、コントラストと色相の視野角特性についてトータルバランスを鑑みたとき、最も良い特性を得られるのは負のリタデーションのCプレートを用いたときである。そして、Cプレートのリタデーションは、負の範囲で、垂直配向のときの液晶層のリタデーションを完全にキャンセルする条件よりも小さい値に設定すると、液晶が傾斜したときの屈折率変化に対してもある程度のキャンセル効果が残る。
これにより、光遮断状態のコントラスト変化だけでなく光透過状態の色相変化も小さく抑えることができる。その結果コントラストと色相の両方の視野角依存性をバランスよく最適化することができる。
従来のRGBカラー方式と同じように、負のCプレートのリタデーションを、黒表示時の液晶層のリタデーションをちょうどキャンセルする大きさに設定すると、色相変化領域で視野角依存性が顕著になってしまい好ましくない。それより小さい値であればコントラストを保ちつつ、色変化も少なくなり、バランスの取れた画像が得られる。
VA配向モードでは、電圧をかけないで液晶が垂直配向にあるとき、液晶層の屈折率楕円体は基板に垂直になり、垂直(長軸)方向に最大屈折率、面内(短軸)方向に最小屈折率を示す。電圧印加によって液晶が傾斜配向したとき液晶層の屈折率楕円体は垂直方向には小さい方向に変化し、水平方向には平均的に大きい方向に変化する。言い換えれば、液晶層は電圧印加によって斜め入射光に対してのリタデーションが小さくなる方向に変化する。
したがって、Cプレートのリタデーションの絶対値を、液晶層の屈折率異方性を完全にキャンセルするリタデーションよりも小さく設定するということは、次のことに他ならない。即ち、液晶が垂直配向状態にあり、画素が黒を表示しているときの液晶層のリタデーションと、液晶が傾斜配向または水平配向状態にあり、画素(第2の副画素)が有彩色表示状態にあるときの液晶層のリタデーションとの間の値に設定するということである。
これによって、コントラストと色相の両方についてバランスの取れた最適化が実現される。また、この負のCプレートのリタデーション値は、コントラストの視野角依存性が最適となる条件よりも小さい値であることが好ましいこともわかった。
コントラストが最適となる負のCプレートのリタデーション値をRCR[nm]としたとき、本方式にとって好ましい負のCプレートのリタデーション範囲は1[nm]以上であってRCR×3/4[nm]未満であることが好ましい。更に好ましくはRCR×1/4[nm]以上であってRCR×3/4[nm]未満であることが好ましい。
また液晶材料の屈折率異方性Δnとセル厚dの積をRLCとしたとき、本方式にとって好ましい負のCプレートのリタデーション範囲は、リタデーションの絶対値が1[nm]以上であってRLC×3/4[nm]未満であることが好ましい。
以上に述べたように、視野角補償フィルム62として負のCプレートを用いた構成を使用することによって、黒表示における視野角依存性を抑制し、コントラストの視野角依存性が改善された液晶表示素子を実現することが可能となる。また、カラー表示時の視野角依存性が抑制された液晶表示素子を実現することが可能となる。
具体的には、図1に示す液晶層66の液晶分子を電圧無印加時に基板63,69に略垂直に配向させると共に、光軸が基板面に略垂直方向に存在する視野角補償フィルム62を備えるようにする。
そして、この視野角補償フィルム62として基板法線方向と基板面内方向との光路長が基板法線方向よりも基板面内方向に大きい値を示し、かつ光路長差の絶対値が液晶層66のリタデーション量の絶対値よりも小さいものを用いるようにする。これにより、明るく、光利用効率が高く、表示品位が高く、かつ広い視野角特性を有するカラー液晶表示素子及びカラー液晶表示装置を提供することができる。
(第2の実施の形態)
以下、本発明の第2の実施の形態について説明する。本実施形態は、OCBモードの液晶層に本発明の位相補償板を適用したものである。基本的な考え方はVAモードを用いた第一の最良の形態と類似するので、異なる点を中心に説明する。
以下、本発明の第2の実施の形態について説明する。本実施形態は、OCBモードの液晶層に本発明の位相補償板を適用したものである。基本的な考え方はVAモードを用いた第一の最良の形態と類似するので、異なる点を中心に説明する。
基本的な構造は、図1に示したものと同様である。OCBモードの場合にはVAモードとは異なり、誘電率異方性が正の液晶材料を用いる。またベンド配向を実現するために、配向処理方向(ラビング方向)は平行に処理を行い、公知の方法を用いてスプレイ配向からベンド配向への配向変化処理(ベンド転移処理)を行ったものを表示素子として用いる。
OCBモードでは、所定のベンド維持電圧以上の電圧を印加すると、液晶がベンド配向から垂直配向に変化する。強い電界によって液晶は基板にほぼ垂直になるので、ここではそれを垂直配向と呼ぶ。ベンド配向と垂直配向との中間状態を電圧で制御することによって液晶層の面内リタデーションを変化させ、光学変調を行っている。
OCBモードではベンド配向および垂直配向のいずれの場合にも、面内リタデーションが残存するために、面内リタデーションを有する光学フィルム(Aプレートと呼ばれる)を用いて位相補償を行う。Aプレートは、液晶と合わせて光遮断状態の面内リタデーションの総計がゼロになるように設計される。
視野角を補償するために用いる光学フィルムは、基板面内方向に光軸を有するAプレート以外に、傾斜した光軸を有するOプレートや、液晶固有の配向状態を固定化しフィルムとして用いているものなど、さまざまなものを適用することができる。以下、原理の説明のため、Aプレートを用いて説明するが、他のフィルムも同様の考え方を用いて用意に応用できる。
ベンド配向状態が黒色になるようにAプレートの面内リタデーション量を設定する場合をノーマリブラックと称している。逆に、強い電圧を印加した垂直配向状態を黒色にするようAプレートの面内リタデーション量を設定する場合を(電圧ゼロまたは低電圧印加時に白が表示されるので)ノーマリホワイトと称している。
OCB液晶のハイブリッドカラー方式にAプレートを適用した例は、国際特許公開WO2005/106574号公報に提案されている。ハイブリッドカラー方式の場合には、強い電圧を印加した垂直配向状態を黒色にするようAプレートの面内リタデーション量を設定すると、電圧ゼロまたは低電圧印加時にはカラー表示される。以下、これをノーマリカラーと呼ぶ。
OCBモードを用い、ノーマリブラックまたはノーマリカラーのAプレートを備えたハイブリッドカラー液晶に対して、本発明を適用した形態を以下に説明する。基本的な考え方はVAモードと同様である。
まず、ノーマリカラーモードでは、高い電圧を印加して液晶分子をほぼ垂直にしたときに光が完全に遮断状態になるようにAプレートを置く。Aプレートの面内リタデーション値は、液晶がわずかに残している面内リタデーションを打ち消すように小さな値でよい。
Aプレートと液晶層の組み合わせにより光は遮断されるが、斜めからみると光漏れが生じてコントラストが低下する。液晶とAプレートとの組み合わせ系は、Aプレートの面内リタデーションが小さいのでほぼ液晶層のリタデーションが支配し、斜め入射の光に対して正のリタデーションを持つ。それをキャンセルするような負のリタデーションのCプレートを置くと、コントラストの視野角依存性は改善される。
しかし、VAモードの場合と同様に、低電圧領域において色相の視野角変化が生じて、写真画像の画質低下が著しい。そのため、Cプレートのリタデーション値は、負ではあるが、Aプレートを含めた液晶層の黒を完全に補償しうる値よりも絶対値の小さいほうが好ましい。
ノーマリブラックモードでは、弱い電圧を印加して液晶がベンド配向状態のときAプレートによって光遮断状態となる。Aプレートの面内リタデーションはベンド配向の面内リタデーションを打ち消すために比較的大きな値になる。
液晶層とAプレートを合わせた系の屈折率異方性は、面内方向にはなく、垂直方向に、おもに液晶層の垂直方向の屈折率成分による正の異方性がある。この正の屈折率異方性による視野角依存性を軽減するために、負のCプレートを置く。
ここで、Cプレートのリタデーション値を、光遮断状態の液晶とAプレートを合わせたリタデーションをちょうどキャンセルする値に設定してしまうと、高い電圧を印加して垂直配向状態にしたとき、色相の視野角依存性が大きくなり、良好な画質が得られない。
今の場合、電圧印加によって液晶は垂直方向成分が増すので、電圧を大きくするにつれて、垂直方向の屈折率は大きくなる方向に変化し、面内方向の屈折率は小さくなる方向に変化する。
言い換えれば、リタデーションは正の方向に大きくなる。したがって、色相変化領域における視野角依存性を低減させるためには、光遮断状態での液晶とAプレートを合わせたリタデーションをちょうどキャンセルする値より大きなリタデーション値のCプレートを用いることが好ましい。
以上の結果に基づき、これら第1の副画素と第2の副画素の視野角特性についてトータルバランスを鑑みたとき、最も良い特性を得られるのは負のCプレートを用いたときである。さらに、リタデーションの絶対値を、コントラストの視野角依存性が最適となる条件より、色相変調領域における視野角依存性を改善する方向にずらせた条件に設定することがより好ましい。
有彩色を表示するときの液晶層(Aプレートを含む)のリタデーションが、光遮断時のリタデーションよりも小さいときは、Cプレートの負のリタデーション値を、コントラストの視野角依存性が最適となる条件より絶対値の小さい方向にずらす。VAモード、ノーマリカラーに設定されたOCBモードはこの場合である。
逆に、有彩色を表示するときの液晶層(Aプレートを含む)のリタデーションが光遮断時のリタデーションよりも大きい時は、Cプレートの負のリタデーション値をコントラストの視野角依存性が最適となる条件より絶対値の大きい方向、即ち負の方向にずらす。ノーマリブラックのOCBモードは、この場合である。
いずれも、負のCプレートのリタデーションは、その絶対値が、Aプレートを含む液晶層の光遮断(黒表示)時のリタデーションと有彩色表示時のリタデーションの間に設定されている。
以上に述べたように、視野角補償フィルム62として負のCプレートを用いた構成を使用することによって、黒表示における視野角依存性を抑制し、コントラストの視野角依存性が改善された液晶表示素子を実現することが可能となる。また、カラー表示時の視野角依存性が抑制された液晶表示素子を実現することが可能となる。
ところで、これまではカラー液晶表示素子の一例として反射型液晶表示素子について述べてきたが、次にカラー液晶表示素子の他の例として半透過型液晶表示素子について説明する。
この半透過型液晶表示素子としては、既述した特許文献1に記載されているように、第2の基板に、第1の基板側から入射された光を反射する光反射層と、第1の基板側から入射された光を透過させる光透過層とを設けるようにしたものがある。そして、このように構成することにより、高い反射率の反射型表示と、フルカラー表示が出来る透過型表示を両立できるものがある。
この反射型の部分に上述の反射型液晶表示素子の原理を用い、透過型の部分は従来のRGBカラーフィルタ方式を用いることによって高い反射率の反射型表示とフルカラー表示が出来る透過型表示を両立することができる。
またこのとき、RGBカラーフィルタ方式にて必要とされる液晶層の面内リタデーション量と、本方式の複屈折効果を用いたカラー表示に必要とされる液晶層の面内リタデーション量とは近い値となる。このため、従来問題となっている反射型部と透過型部で異なったセル厚を形成する、いわゆるマルチギャッププロセスを用いる必要がなくなるというメリットがある。
また、これまでの説明において、複屈折効果を用いる反射型カラー表示に対しては、最適となるCプレートの大きさは、液晶層の複屈折を完全に補償し、光学的等方性を得るような条件よりも小さい値、例えば4分の3であることが示されている。つまり、コントラストの視野角依存性の観点からは若干理想からは外れるものの、色調変化を抑制できる値を採用することで良好な視認性を得ることができる。
一方、透過型表示部では高品質なフルカラー表示が求められる。ここで、特許文献1に記載の半透過型液晶素子では、上述のように透過型表示部では複屈折によるカラー表示を用いないで、液晶の明度変調領域のみを用いることと、RGBカラーフィルタ方式を用いていることでフルカラー表示を実現できる。つまり、これは従来のVA液晶モードと全く同じであるので、用いる補償フィルムはコントラストが最適条件となる条件に設定すればよい。
これらのことをまとめると、液晶層66から見て反射型として観測する方向には、光学的等方性となる条件よりも小さ目の負のCプレートを配置すればよく、透過型として観測するためには光学的等方性を得るような条件に設定すればよい。つまり、液晶層66から見て反射型として観測する側には上記の考え方で使用目的に応じて求めた所定量のCプレートを配置し、反対側の面には、光学的等方性にするために不足している量のCプレートを追加して配置するようにする。これにより、極めて良好な透過型表示を得ることができる。
なお完全に光学的等方性とはいえなくても反射型の観測側と反対に負のCプレートを配置することで改善効果が得られることはいうまでもない。
以下、実施例を用いて本発明を詳細に説明する。
(共通素子構成)
実施例に用いる共通の液晶表示素子構造として、下記のものを用いる。
実施例に用いる共通の液晶表示素子構造として、下記のものを用いる。
液晶表示素子として、基本的な構成は図1に示す構成と同様なものとする。即ち、垂直配向処理を施した2枚の第1ガラス基板63,69を重ね合わせセル化し、液晶材料として誘電率異方性Δεが負である液晶材料(メルク社製、型名MLC−6608)を注入する。
ここで、MLC6608の屈折率異方性Δnの値は0.083であり、セルの上下基板間の厚み(セル厚)は6ミクロンとする。つまり、液晶層66のリタデーション値は498nmである。また上下基板63,69での液晶分子は基板法線方向から1度傾いたプレチルト角を有しており、上下基板63,69でのプレチルトは反平行の関係となるように配置している。
基板構造としては、実施例に応じて、一方の基板にTFTが配置されたアクティブマトリクス基板を用い、もう一方の基板にはカラーフィルタが配置された基板を用いる。なお、TFT側の画素電極にはアルミ電極を用い、反射型の構成とする。
また上基板(カラーフィルタ基板)と直線偏光板との間には位相補償板として広帯域λ/4板(可視光領域で1/4波長条件をほぼ満たすことができる位相補償板)を配置することによって、広帯域の円偏光板とする。これにより反射型での表示の際に電圧無印加時には暗状態となり、電圧印加時には明状態となるようなノーマリブラック構成となる。さらに、この広帯域円偏光板61とカラーフィルタ基板63の間には、光軸が基板法線方向を向いているCプレートを配置する。このCプレートのリタデーション値は実施例に応じて変化させる。
実施例に用いる特性の評価は、村上色彩株式会社製分光変角測定器GCMS−11を用いて測定を行い、プレチルト角の傾斜している方位で、かつ基板法線から30度傾けた極角方向から光を入射させて、基板法線方向にて反射光を測定する。以下、この測定条件のことを、「30度入射、法線方向観測」の条件と称する。
(比較例1)
比較のために、1辺が1センチメートルの電極からなる反射型液晶素子を作製する。セルの構成は下から順に、下基板、アルミ電極、配向膜、液晶層、配向膜、透明電極、上基板、前方散乱板、広帯域円偏光板の順に配置するように構成される。この比較例ではTFTやカラーフィルタを用いていない。
比較のために、1辺が1センチメートルの電極からなる反射型液晶素子を作製する。セルの構成は下から順に、下基板、アルミ電極、配向膜、液晶層、配向膜、透明電極、上基板、前方散乱板、広帯域円偏光板の順に配置するように構成される。この比較例ではTFTやカラーフィルタを用いていない。
この素子では電圧無印加状態にて黒表示であって、2.75V印加することによって白表示が得られる。3.3V印加にて純度の悪い赤表示が得られ、4.3Vにて青表示が得られる。白黒の明るさの比であるコントラストは約5である。
(比較例2)
比較例1と同様の構成であって、上基板と透明電極の間に富士フイルムアーチ社製カラーレジストCMS571をマゼンタカラーフィルタとして用いる。
比較例1と同様の構成であって、上基板と透明電極の間に富士フイルムアーチ社製カラーレジストCMS571をマゼンタカラーフィルタとして用いる。
この素子では電圧無印加状態にて黒表示であって、2.75V印加することによって明るいマゼンタ表示が得られる。3.3V印加にて純度の良好な赤表示が得られ、4.3Vにて青表示が得られる。黒とマゼンタの明るさの比であるコントラストは約5である。
ほぼ正面から光を入射させ、基板法線方向へと反射する際の反射光の分光スペクトルを基準色として、30度入射、法線方向観測での分光スペクトルの表示色の違いを次に評価する。
この色の違いを評価するために、ΔEという評価尺度を用いる。
このΔEという尺度は、基準色と測定された表示色の二つの色の違いを定量的に表す指標である。そして、前記二つの色に対してCIELAB表色系におけるL*、a*、b*の3つの指標を求め、それぞれを(L1 *、a1 *、b1 *)、(L2 *、a2 *、b2 *)としたとき、
このΔEを評価すると、赤色表示のときのΔEは約10であり、青色表示のときのΔEは約6となる。
入射方位を変えたときの値は、入射方位がプレチルトの傾斜角方向から45度ずれている場合、赤表示の色差は約30、青表示の色差は約12となる。入射方位がプレチルトの傾斜角方向から90度ずれている場合、赤表示の色差は約30、青表示の色差は約13となる。
(比較例3)
比較例1と同様の素子を用い、前方散乱板と広帯域円偏光板との間にCプレートを配置した構成を用いる。このときCプレートの値を−500[nm]から+500[nm]まで変化させてコントラストの測定を行った。この結果、負のCプレートで380nmのリタデーション値を有するものを用いるときにコントラスト最大値が得られ、そのコントラスト値は50以上が得られる。
比較例1と同様の素子を用い、前方散乱板と広帯域円偏光板との間にCプレートを配置した構成を用いる。このときCプレートの値を−500[nm]から+500[nm]まで変化させてコントラストの測定を行った。この結果、負のCプレートで380nmのリタデーション値を有するものを用いるときにコントラスト最大値が得られ、そのコントラスト値は50以上が得られる。
次いで、比較例2と同様の素子を用い、前方散乱板と広帯域円偏光板との間にCプレートを配置した構成を用いる。このとき、Cプレートの値を−500[nm]から+500[nm]まで変化させてコントラストの測定を行った。この結果、上記カラーフィルタを用いない場合と同様に、負のCプレートで380nmのリタデーション値を有するものを用いるときにコントラスト最大値が得られ、そのコントラスト値は50以上が得られる。
さらに、このようにコントラスト最大となる負のCプレートを配置したときの色差ΔEを求めると、入射方位がプレチルトの傾斜角方向からの場合、赤表示の色差は約20、青表示の色差は約40となる。これにより、Cプレートを用いない場合と比較して悪化していることがわかる。また、入射方位がプレチルトの傾斜角方向から45度ずれている場合、赤表示の色差は約50、青表示の色差は約30となる。入射方位がプレチルトの傾斜角方向から90度ずれている場合、赤表示の色差は約60、青表示の色差は約40となる。
これらの結果は、比較例2で記載したCプレートを用いない場合と比較して、いずれの入射角においても大きく悪化していることがわかる。
(実施例1)
比較例2と同様の素子を用い、前方散乱板と広帯域円偏光板との間にCプレートを配置した構成を用いる。このときCプレートの値を−500[nm]から+500[nm]まで変化させてECB効果によるカラー表示時の視野角による色差が最小となるCプレートのリタデーション値を求める。
比較例2と同様の素子を用い、前方散乱板と広帯域円偏光板との間にCプレートを配置した構成を用いる。このときCプレートの値を−500[nm]から+500[nm]まで変化させてECB効果によるカラー表示時の視野角による色差が最小となるCプレートのリタデーション値を求める。
Cプレートのリタデーション値を−500[nm]から+500[nm]まで変化させてΔEの測定を行ってみると、赤表示、青表示時ともに、入射方位にもよるが、概ね正のリタデーション値のときにΔEが最小となる結果が得られる。
入射方位がプレチルトの傾斜角方向からの場合、赤表示の色差が最小となるCプレートのリタデーション値は−100nm程度であり、青表示のときは+100nm程度のときに色差が最小となる。このときの色差は赤表示において約5、青表示において1未満の値である。
入射方位がプレチルトの傾斜角方向から45度ずれている場合、赤表示の色差が最小となるCプレートのリタデーション値は+300nm程度であり、青表示のときは+300nm程度のときに色差が最小となる。このときの色差は赤表示において約6、青表示において約3の値である。
入射方位がプレチルトの傾斜角方向から90度ずれている場合、赤表示の色差が最小となるCプレートのリタデーション値は+250nm程度であり、青表示のときは+250nm程度のときに色差が最小となる。このときの色差は赤表示において約18、青表示において約6の値である。
なお+300nmのCプレートを用いる場合、入射方位がプレチルトの傾斜角方向の場合、および90度ずれている場合において、コントラストが1以下となり視野角依存による白黒反転現象が生じてしまうことがわかる。
以上述べたように、正のCプレートを用いることで、明暗のコントラストは悪化するものの、ほとんどの場合でECBカラー表示時の視野角による色調変化を抑制することが可能となる。
(実施例2)
本実施例では、アクティブマトリクス基板として、対角12インチ、画素数が縦600×横800のTFT基板を用いる。また、素子の断面構成は下から順に、TFT基板、アルミ電極、配向膜、液晶層、配向膜、透明電極、カラーフィルタ、上基板、前方散乱板、広帯域円偏光板の順に配置するように構成される。
本実施例では、アクティブマトリクス基板として、対角12インチ、画素数が縦600×横800のTFT基板を用いる。また、素子の断面構成は下から順に、TFT基板、アルミ電極、配向膜、液晶層、配向膜、透明電極、カラーフィルタ、上基板、前方散乱板、広帯域円偏光板の順に配置するように構成される。
各画素は2つの副画素に分割され、それぞれには緑とマゼンタのカラーフィルタが設けられている。さらに、これら緑(G)の副画素と、マゼンタ(M)の副画素はそれぞれ1:1.13の面積比に分割されている。
この画素に対し、G副画素に2.75Vを、M副画素に0Vを印加すると、全体として緑表示となる。また、G副画素に0Vを、M副画素に2.75Vを印加すると、全体としてマゼンタ表示となり、G・M副画素ともに2.75Vを印加すると全体として白表示となる。
さらに、G副画素に0V、M副画素に3.3Vを印加すると、全体として赤表示となり、G副画素に0V、M副画素に4.3Vを印加すると、全体として青表示となる。また、G副画素に2.75V、M副画素に3.3Vを印加すると、全体として黄表示となり、G副画素に2.75V、M副画素に4.3Vを印加すると全体としてシアン表示となる。
そして、このような素子に対し、前方散乱板と広帯域円偏光板との間にCプレートを配置した構成を用いる。このときCプレートの値を−500[nm]から+500[nm]まで変化させてECB効果によるカラー表示時の視野角による色差ΔEを測定した。
結果を図3に示す。図3の(a)は3.3Vを印加したときの赤表示時の結果、図3の(b)は4.3Vを印加したときの青表示時の結果である。このように負のCプレートを用いることで色差が最小となることがわかる。またその値は、比較例3で述べた−380nmよりも絶対値が小さく、0に近い値となっており、概ね−250nm程度がもっとも色差が小さいことがわかる。
250nmの負のCプレートを用いたところ、コントラストはプレチルト傾斜方向から見たときに20が得られ、十分な視認性が得られることがわかる。
(実施例3)
本実施例では、図4に示すような配置にしたがって、バックライトつきの半透過型液晶素子を得る。つまり、この半透過型液晶素子は、最背面にバックライト91が配設されており、その上に半透過型液晶表示素子92が配設されている。なお、この半透過型液晶表示素子92はバックライト側から、第1の広帯域円偏光板93、TFT付きガラス基板94、反射電極もしくは透明電極95の順に積層される。さらに、透明電極95の上に配向膜96、液晶層97、配向膜98、透明電極99、ガラス基板100、前方散乱板101、負のCプレート102、第2の広帯域円偏光板103の順に積層される。
本実施例では、図4に示すような配置にしたがって、バックライトつきの半透過型液晶素子を得る。つまり、この半透過型液晶素子は、最背面にバックライト91が配設されており、その上に半透過型液晶表示素子92が配設されている。なお、この半透過型液晶表示素子92はバックライト側から、第1の広帯域円偏光板93、TFT付きガラス基板94、反射電極もしくは透明電極95の順に積層される。さらに、透明電極95の上に配向膜96、液晶層97、配向膜98、透明電極99、ガラス基板100、前方散乱板101、負のCプレート102、第2の広帯域円偏光板103の順に積層される。
ここで、TFT付きガラス基板94と配向膜96の間には、透過型部では透明電極が配設されており、反射型部では反射電極が配設されている。なお、セル厚は透過型部と反射型部では共通とし、6ミクロンである。また、複数の副画素からなる単位画素は透過型部と反射型部に大別され、透過型部にはRGB三つのカラーフィルタが配設されており、反射型部には緑とマゼンタのカラーフィルタが配設されている。
上記構成において、前方散乱板101と第2の広帯域円偏光板103の間の負のCプレート102は、実施例1の結果に基づき、250nmの値の負のCプレートを用いることで良好な反射型表示を得ることができる。
さらに、第1の広帯域円偏光板93とTFT付きガラス基板94との間に、上記前方散乱板101と第2の広帯域円偏光板103の間の負のCプレート102とは別の負のCプレートを配置し、それを配置しない場合との比較を行った。この結果。60nmの負のCプレートを配置することにより、例えば75度入射のときの透過表示における視野角特性を改善でき、十分な視野角を得ることができる。
(実施例4)
本実施例では、実施例3と同じ半透過型液晶素子92を用い、バックライト91の替わりにフロントライトを半透過型液晶素子92の前面に配置する。このとき反射部を観測するときはフロントライトによって液晶層に照射された光の反射光を観測し、透過部を観測するときはフロントライトによって液晶層に照射された光の透過光を観測する。
本実施例では、実施例3と同じ半透過型液晶素子92を用い、バックライト91の替わりにフロントライトを半透過型液晶素子92の前面に配置する。このとき反射部を観測するときはフロントライトによって液晶層に照射された光の反射光を観測し、透過部を観測するときはフロントライトによって液晶層に照射された光の透過光を観測する。
このように得られる半透過型液晶表示素子92に関し、実施例3と同様の検討を行ってみると、以下の結果が得られた。第1の広帯域円偏光板とTFT付きガラス基板との間に、前方散乱板と第2の広帯域円偏光板の間の負のCプレートとは別の負のCプレートをさらに配置することにより、例えば75度入射のときの透過表示における視野角特性を改善できる。これにより、良好な視野角特性を得ることができる。
(実施例5)
本実施例では、実施例3と同様に、図4に示すような配置にしたがってバックライトつきの半透過型液晶素子を得る。つまり、この半透過型素子は、最背面にバックライト91が配設されており、その上に半透過型液晶表示素子92が配設されている。この半透過型液晶表示素子92は、バックライト側から、第1の広帯域円偏光板93、TFT付きガラス基板94、反射電極もしくは透明電極95の順に積層される。さらに、透明電極95の上に配向膜96、液晶層97、配向膜98、透明電極99、ガラス基板100、前方散乱板101、第2の広帯域円偏光板103の順に積層される。
本実施例では、実施例3と同様に、図4に示すような配置にしたがってバックライトつきの半透過型液晶素子を得る。つまり、この半透過型素子は、最背面にバックライト91が配設されており、その上に半透過型液晶表示素子92が配設されている。この半透過型液晶表示素子92は、バックライト側から、第1の広帯域円偏光板93、TFT付きガラス基板94、反射電極もしくは透明電極95の順に積層される。さらに、透明電極95の上に配向膜96、液晶層97、配向膜98、透明電極99、ガラス基板100、前方散乱板101、第2の広帯域円偏光板103の順に積層される。
上記構成において、第1の広帯域円偏光板とTFT付きガラス基板の間に負のCプレートを配置する場合と配置しない場合との比較を行ってみる。その結果、反射部では上記位置にCプレートがある場合とない場合とで特性に違いがないのは自明であるが、290nmの負のCプレートを配置することによって、透過型部の視野角依存性が良好になる。
以上の実施例ではガラスと偏光板との間に光学フィルムを設ける構成を記載したが、2枚のガラス基板の間に光学フィルムを塗布して位相差板とする、所謂in−cell型位相差板を用いることも可能である。必要に応じて、副画素ごとに異なるCプレートの値となるようにパターニングしたin−cell型位相差板を形成してもよい。
また、以上の実施例はVAモードの液晶を用いた例であるが、これをOCBモードに適用することは容易に可能である。その他、電圧無印加状態でホモジニアス配向状態となり、電圧とともに垂直配向に変化するECBモードや、上下のプレチルトが異なるハイブリッド配向(HAN)モードなど、さまざまな配向モードに本発明を適用することができる。
10 液晶素子の単位画素
11 第1の副画素
12 第2の副画素
20 液晶素子の単位画素
21 マゼンタ副画素
22 緑副画素
50 液晶素子の単位画素
51 透明副画素
52 緑副画素
60 反射型液晶表示素子
61 広帯域円偏光板
62 視野角補償フィルム(位相差板)
63 第1ガラス基板
64 透明電極
68 反射電極
69 第2ガラス基板
91 バックライト
92 液晶素子
11 第1の副画素
12 第2の副画素
20 液晶素子の単位画素
21 マゼンタ副画素
22 緑副画素
50 液晶素子の単位画素
51 透明副画素
52 緑副画素
60 反射型液晶表示素子
61 広帯域円偏光板
62 視野角補償フィルム(位相差板)
63 第1ガラス基板
64 透明電極
68 反射電極
69 第2ガラス基板
91 バックライト
92 液晶素子
Claims (12)
- 偏光板と、第1の位相差板と、電極が形成され対向して配置された第1及び第2の基板と、前記第1及び第2の基板の間に配置され、電圧無印加時に液晶が前記基板に垂直に配向した液晶層とを有し、印加電圧に応じて前記液晶層の基板面内のリタデーションを変化させて有彩色を表示する第1の副画素と、カラーフィルタを備え、印加電圧に応じて明度変化範囲で前記液晶層の基板面内のリタデーションを変化させて前記カラーフィルタの色を表示する第2の副画素とで画素を構成するカラー液晶表示素子であって、
前記第1の位相差板は、光軸が基板面に垂直で、基板法線方向の屈折率が基板面内方向の屈折率より小さく、かつ基板法線方向のリタデーションの絶対値が、前記画素の黒表示状態における前記第1または第2の副画素の液晶層の基板法線方向のリタデーションの絶対値と、第1または第2の副画素の色相表示状態における前記液晶層の基板法線方向のリタデーションの絶対値との間の値であることを特徴とするカラー液晶表示素子。 - 前記第1の位相差板は、基板法線方向のリタデーションの絶対値が、前記画素の黒表示状態における前記第1または第2の副画素の液晶層の基板法線方向のリタデーションの絶対値より小さく、第1または第2の副画素の色相表示状態における前記液晶層の基板法線方向のリタデーションの絶対値より大きいことを特徴とする請求項1記載のカラー液晶表示素子。
- 前記第1の位相差板は、前記画素の黒表示状態における前記第1または第2の副画素の液晶層の基板法線方向のリタデーションの4分の3よりも絶対値の小さいリタデーションを有することを特徴とする請求項2記載のカラー液晶表示素子。
- 前記液晶層が垂直配向の液晶分子を含むことを特徴とする請求項1に記載のカラー液晶表示素子。
- 前記液晶層がベンド配向の液晶分子と面内リタデーションを持つ第2の位相差板とを含むことを特徴とする請求項1に記載のカラー液晶表示素子。
- 前記第2の位相差板が前記ベンド配向状態の液晶分子の面内リタデーションをキャンセルすることを特徴とする請求項5に記載のカラー液晶表示素子。
- 前記第2の位相差板が前記電極に電圧を印加した状態で垂直配向状態にある液晶分子の面内リタデーションをキャンセルすることを特徴とする請求項5に記載のカラー液晶表示素子。
- 前記第1の位相差板が前記偏光板と前記第1の基板との間に配置され、前記第2の基板に、前記第1の基板側から入射された光を反射する反射層が設けられていることを特徴とする請求項1記載のカラー液晶表示素子。
- 前記第2の基板に、前記第1の基板側から入射された光を透過させる光透過層がさらに設けられていることを特徴とする請求項8記載のカラー液晶表示素子。
- 前記第1の位相差板が前記偏光板と前記第1の基板との間に配置され、前記画素の黒表示状態における前記第1または第2の副画素の液晶層の基板法線方向のリタデーションの4分の3よりも絶対値の小さいリタデーションを有し、別の位相差板を前記第2基板の外側に設けたことを特徴とする請求項1記載のカラー液晶表示素子。
- 前記第2の副画素のカラーフィルタは緑色のカラーフィルタであることを特徴とする請求項1に記載のカラー液晶表示素子。
- 前記請求項1乃至11の何れか1項に記載のカラー液晶表示素子を用いたことを特徴とするカラー液晶表示装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005351365A JP2006189813A (ja) | 2004-12-06 | 2005-12-05 | カラー液晶表示素子及びカラー液晶表示装置 |
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004353401 | 2004-12-06 | ||
JP2005351365A JP2006189813A (ja) | 2004-12-06 | 2005-12-05 | カラー液晶表示素子及びカラー液晶表示装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2006189813A true JP2006189813A (ja) | 2006-07-20 |
JP2006189813A5 JP2006189813A5 (ja) | 2009-01-29 |
Family
ID=36797035
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2005351365A Withdrawn JP2006189813A (ja) | 2004-12-06 | 2005-12-05 | カラー液晶表示素子及びカラー液晶表示装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2006189813A (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011022340A (ja) * | 2009-07-15 | 2011-02-03 | Sony Corp | タッチセンサ、表示装置および電子機器 |
JP2011170082A (ja) * | 2010-02-18 | 2011-09-01 | Stanley Electric Co Ltd | 液晶表示装置 |
JP2012208212A (ja) * | 2011-03-29 | 2012-10-25 | Japan Display West Co Ltd | 表示装置および電子機器 |
JP2013164871A (ja) * | 2013-05-27 | 2013-08-22 | Japan Display West Co Ltd | 表示装置および電子機器 |
KR101413943B1 (ko) | 2011-08-26 | 2014-07-01 | 보에 테크놀로지 그룹 컴퍼니 리미티드 | 호메오트로픽 배향 액정 디스플레이 및 그 제조방법 |
-
2005
- 2005-12-05 JP JP2005351365A patent/JP2006189813A/ja not_active Withdrawn
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011022340A (ja) * | 2009-07-15 | 2011-02-03 | Sony Corp | タッチセンサ、表示装置および電子機器 |
JP2011170082A (ja) * | 2010-02-18 | 2011-09-01 | Stanley Electric Co Ltd | 液晶表示装置 |
JP2012208212A (ja) * | 2011-03-29 | 2012-10-25 | Japan Display West Co Ltd | 表示装置および電子機器 |
CN106054460A (zh) * | 2011-03-29 | 2016-10-26 | 株式会社日本显示器 | 显示器和电子单元 |
KR101413943B1 (ko) | 2011-08-26 | 2014-07-01 | 보에 테크놀로지 그룹 컴퍼니 리미티드 | 호메오트로픽 배향 액정 디스플레이 및 그 제조방법 |
JP2013164871A (ja) * | 2013-05-27 | 2013-08-22 | Japan Display West Co Ltd | 表示装置および電子機器 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
KR100699166B1 (ko) | 컬러 액정표시소자 및 컬러 액정표시장치 | |
JP3236304B2 (ja) | 反射型液晶表示装置 | |
JP3796499B2 (ja) | カラー表示素子、カラー表示素子の駆動方法及びカラー表示装置 | |
JP3406242B2 (ja) | 液晶表示装置 | |
KR100742039B1 (ko) | 컬러 액정표시소자 | |
JP3692445B2 (ja) | 液晶装置及び電子機器 | |
JP4332515B2 (ja) | 液晶表示装置 | |
JP2006189813A (ja) | カラー液晶表示素子及びカラー液晶表示装置 | |
EP2159631A2 (en) | Liquid crystal display and method for manufacturing the same | |
JPH11237623A (ja) | 液晶装置及び電子機器 | |
WO1999054781A1 (fr) | Dispositif d'affichage a cristaux liquides reflectifs | |
JP3575607B2 (ja) | 液晶表示装置 | |
JP2008292747A (ja) | 表示装置および画像形成装置 | |
JP4133564B2 (ja) | 液晶表示装置及び液晶表示素子の駆動方法 | |
JP2004325795A (ja) | 液晶表示装置 | |
JP2713328B2 (ja) | ツイステッドネマティック型液晶表示素子 | |
JP2001356340A (ja) | タッチパネル一体型反射型液晶表示装置 | |
JP2000122060A (ja) | 反射型液晶表示装置 | |
JP3575608B2 (ja) | 液晶表示装置 | |
JP2007065558A (ja) | 液晶装置 | |
JP3710722B2 (ja) | 反射型液晶表示装置 | |
JP2005091897A (ja) | 液晶表示装置 | |
JP2006091930A (ja) | 液晶表示装置 | |
JP2001356347A5 (ja) | ||
JP3575609B2 (ja) | 液晶表示装置 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20081205 |
|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20081205 |
|
A761 | Written withdrawal of application |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761 Effective date: 20100518 |