JP4366804B2 - 貴金属微粒子分散液からの貴金属回収方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、金を含む貴金属の微粒子が分散した貴金属微粒子分散液から、貴金属微粒子を簡単且つ迅速に凝集沈澱させて回収する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、重金属類を含む重金属塩の回収方法としては、溶液を中和して重金属類を水酸化物とした後、硫酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム等の無機凝集剤や、ポリアクリル酸アミド等の高分子凝集剤を添加し、重金属粒子の凝集体を形成させる方法が用いられている。
【0003】
例えば、高分子凝集剤は、粒子に吸着し、粒子同士を架橋することで巨大な凝集体を形成する。また、無機凝集剤は、粒子を分散安定化している電気二重層を破壊し、粒子同士を凝集させる。いずれの場合も、重金属の粒子は凝集することにより、沈降性及び濾過性が高められるので、濾過により溶液から簡単に分離することができる。
【0004】
しかし、貴金属微粒子が溶媒に分散した貴金属微粒子分散液の場合、貴金属微粒子の表面は不活性であるため、高分子凝集剤を用いても吸着架橋が十分に形成されず、通常の凝集効果をほとんど示さない。また、無機凝集剤を用いても、電気二重層の破壊だけでは貴金属微粒子の凝集が不十分であり、貴金属微粒子の凝集体を生成させるためには長時間の静置が必要となる。
【0005】
さて、近年のオフィスオートメーション(OA)化により、オフィスに多くのOA機器が導入され、OA機器のディスプレイと向き合って終日作業を行うという環境が珍しくない。最近では、CRTから発生する低周波電磁波の人体に対する悪影響が懸念され、このような電磁波が外部に漏洩しないことがCRTに対して望まれている。
【0006】
そこで、貴金属の微粒子を溶媒に分散させた溶液(以後、貴金属微粒子分散液と記す)を、スピンコート法などによりCRTの前面ガラス表面に塗布した後、加熱処理し、導電性の透明導電層を形成することが行われている。一般に貴金属微粒子としては、金又は金を含む合金の微粒子が用いられている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
このように、電磁波の漏洩を防止するためCRT表面に透明導電層を形成することが行われているが、そのため貴金属微粒子分散液をCRTの前面ガラス表面に塗布する際に、貴金属微粒子を含む廃液が発生する。そこで、この貴金属微粒子を含む廃液から、貴金属を回収することが望まれている。
【0008】
しかしながら、上記したように分散している金属微粒子が貴金属の場合、高分子凝集剤や無機凝集剤を用いて凝集体を形成することが困難であった。加えて、上記用途に用いられる貴金属微粒子分散液の場合、高分子分散剤により貴金属微粒子を安定化しているため、高分子分散剤の立体障害により粒子同士が近づき難く、凝集剤の効果はほとんど得られなかった。
【0009】
尚、凝集体を形成し、濾過、回収する以外の回収方法として、貴金属微粒子が分散した溶媒を乾燥除去する方法も考えられるが、大掛かりな装置が必要となるうえ、エネルギーコストもかかり、工業的に利用するには不適当である。
【0010】
本発明は、このような従来の事情に鑑み、貴金属微粒子が溶媒に分散した貴金属微粒子分散液から、貴金属微粒子を短時間で凝集させ、沈降性及び濾過性の優れた貴金属の凝集体を生成させることで、貴金属と溶媒とを容易に分離できる工業的に有用性の高い貴金属回収方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明では、メルカプト基(−SH)が貴金属、特に金と強い結合を形成することに着目して検討を重ねた結果、分散微粒子が金を含む微粒子である場合に効果的な凝集作用を発揮することを見いだし、本発明に至ったものである。
【0012】
即ち、本発明が提供する貴金属微粒子分散液からの貴金属回収方法は、金を含む微粒子が溶媒に分散した貴金属微粒子分散液に、凝集剤としてメルカプト基を有する化合物を添加し、貴金属微粒子を凝集させた後、凝集した貴金属微粒子を溶媒と分離することを特徴とする。
【0013】
上記本発明の貴金属回収方法において、上記メルカプト基を有する化合物が、分子内に少なくとも2個以上のメルカプト基を有することを特徴とする。また、凝集剤である上記メルカプト基を有する化合物と共に、凝集補助剤として、無機塩を添加すること、若しくは酸又はアルカリを添加することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明が対象とする貴金属微粒子としては、金単体のほか、金を含む微粒子であればよい。金を含む微粒子の具体例としては、金と金以外の貴金属、例えば白金、パラジウム、銀、ルテニウム、イリジウム、ロジウムなどとの合金、或いは金と他の金属との合金からなる微粒子などが挙げられる。また、金属や金属酸化物などの表面を金で被覆した微粒子もこれに含まれる。
【0015】
貴金属微粒子分散液の溶媒としては、水、あるいはアルコール、エーテル、エステル、ケトン、芳香族化合物などの一般的な有機溶媒、及び水と有機溶媒の混合物が挙げられるが、これらに限定されない。また、貴金属微粒子分散液の貴金属含有量は0.001重量%以上であることが望ましく、貴金属微粒子含有量が0.001重量%未満である場合には、貴金属微粒子を十分に凝集させるために長時間の静置が必要となる。
【0016】
本発明で凝集剤として使用されるメルカプト基を有する化合物としては、エタンジチオール、1,3−プロパンジチオール、1,10−デカンジチオールなどが代表的なものとしてあげられる。また、メルカプト基を分子内に複数個有する樹脂などを使用することも可能である。これらメルカプト基を有する化合物のメルカプト基は、金と強い結合を形成し、金を含む貴金属微粒子同士を架橋して、凝集させる役割を果す。このため、メルカプト基を有する化合物は、その分子内に少なくとも2個以上のメルカプト基を有することが望ましい。
【0017】
凝集剤として用いるメルカプト基を有する化合物の添加量は、液中に分散している貴金属微粒子の量によるが、一般的には液中の貴金属微粒子の量に対して重量比で1/100以上とすることが望ましい。
【0018】
貴金属微粒子分散液においては、貴金属微粒子のコロイドは負に帯電しているため、無機塩を添加することにより、貴金属微粒子の液分散を安定化している電気二重層の静電反発が小さくなり、微粒子同士が凝集しやすくなる。従って、メルカプト基を有する化合物と共に、凝集補助剤として無機塩を添加することで、貴金属微粒子をより一層短時間で凝集させることができる。かかる無機塩としては、1価の陽イオンを有する無機塩でも効果はあるが、Al3+、Cu2+、Mg2+といった2価以上の陽イオンを有する無機塩が望ましい。
【0019】
また、メルカプト基を有する化合物と共に、凝集補助剤として酸やアルカリを添加することも有効である。即ち、メルカプト基を有する化合物を添加する前に、貴金属微粒子分散液に酸やアルカリを添加してpH調整をすることで、より効率よく貴金属微粒子を凝集させることができる。この場合のpH範囲としては、6以下あるいは8以上が好ましい。
【0020】
このように本発明によれば、金を含む貴金属微粒子が溶媒に分散した貴金属微粒子分散液に、メルカプト基を有する化合物を添加することによって、貴金属微粒子を極めて短時間で凝集させ、沈降性及び濾過性の優れた貴金属の凝集体を生成させることができる。従って、この貴金属の凝集体を溶媒から容易に分離することができ、工業的に有用性の高い貴金属を簡単に回収することができる。
【0021】
特に、貴金属微粒子分散液中の貴金属微粒子が高分子分散剤の立体障害により分散安定化されている場合、電解質の添加では貴金属微粒子を凝集させることは困難であるが、本発明によるメルカプト基を有する化合物の添加ではメルカプト基が粒子と結合して粒子同士を架橋させるため、高分子分散剤により分散安定化されている貴金属微粒子も凝集させることが可能である。
【0022】
【実施例】
実施例1
貴金属微粒子分散液として、AuとAgの重量比が1:1である貴金属微粒子を0.1重量%、高分子分散剤を0.01重量%、及び残部の水とエタノールの重量比が1:9である溶媒からなる分散液を用意した。この貴金属微粒子分散液20gに、凝集剤としてメルカプト基を有する化合物であるエタンジチオールを25ppm添加し、マグネティックスターラーで1分撹拌した。その後、室温で静置し、沈澱の形成開始時間、及び上澄み液が完全に透明になるまでの時間を測定したところ、静置後5秒以内に容器底部に沈澱が形成されはじめ、1分後に上澄み液が完全に透明になった。
【0023】
実施例2
凝集剤として1,3−プロパンジオチオールを使用した以外は実施例1と同様にして、沈澱の形成開始時間及び上澄み液が完全に透明になるまでの時間を測定したところ、静置後5秒以内に容器底部に沈殿が形成されはじめ、1分後に上澄み液が完全に透明になった。
【0024】
実施例3
凝集剤として1,10−デカンジチオールを使用した以外は実施例1と同様にして、沈殿の形成開始時間及び上澄み液が完全に透明になるまでの時間を測定したところ、静置後5秒以内に容器底部に沈殿が形成されはじめ、1分後に上澄み液が完全に透明になった。
【0025】
実施例4
貴金属微粒子分散液中の貴金属微粒子のAuとAgの重量比が2:1であること、及び凝集剤として1,10−デカンジチオールを使用したこと以外は実施例1と同様にして、沈殿の形成開始時間及び上澄み液が完全に透明になるまでの時間を測定したところ、静置後5秒以内に容器底部に沈殿が形成されはじめ、1分後に上澄み液が完全に透明になった。
【0026】
実施例5
貴金属微粒子分散液中の貴金属微粒子のAuとAgの重量比が4:1であること、及び凝集剤として1,10−デカンジチオールを使用したこと以外は実施例1と同様にして、沈殿の形成開始時間及び上澄み液が完全に透明になるまでの時間を測定したところ、静置後5秒以内に容器底部に沈殿が形成されはじめ、1分後に上澄み液が完全に透明になった。
【0027】
実施例6
貴金属微粒子分散液の溶媒として、水とメチルセロソルブの混合割合が重量比で1:9である溶媒を用いたこと以外は実施例1と同様にして、沈殿の形成開始時間及び上澄み液が完全に透明になるまでの時間を測定したところ、静置後5秒以内に容器底部に沈殿が形成されはじめ、1分後に上澄み液が完全に透明になった。
【0028】
実施例7
貴金属微粒子分散液の溶媒として、水とアセトンの混合割合が重量比で1:9である溶媒を用いたこと以外は実施例1と同様にして、沈澱の形成開始時間及び上澄み液が完全に透明になるまでの時間を測定したところ、静置後5秒以内に容器底部に沈殿が形成されはじめ、1分後に上澄み液が完全に透明になった。
【0029】
実施例8
貴金属微粒子分散液に含有される溶媒として、水とエタノールとメチルセロソルブの混合割合が重量比で1:5:4である溶媒を用いたこと以外は実施例1と同様にして、沈殿の形成開始時間及び上澄み液が完全に透明になるまでの時間を測定したところ、静置後5秒以内に容器底部に沈殿が形成されはじめ、1分後に上澄み液が完全に透明になった。
【0030】
実施例9
貴金属微粒子分散液の溶媒として水とエタノールの混合割合が重量比で1:1である溶媒を用いたこと、及び凝集剤としてエタンジチオールを50ppm添加したこと以外は実施例1と同様にして、沈殿の形成開始時間及び上澄み液が完全に透明になるまでの時間を測定したところ、静置後5秒以内に容器底部に沈殿が形成されはじめ、3分後に上澄み液が完全に透明になった。
【0031】
実施例10
貴金属微粒子分散液の溶媒として水とメチルセロソルブの混合割合が重量比で1:1である溶媒を用いたこと、及び凝集剤としてエタンジチオールを50ppm添加したこと以外は実施例1と同様にして、沈殿の形成開始時間及び上澄み液が完全に透明になるまでの時間を測定したところ、静置後5秒以内に容器底部に沈殿が形成されはじめ、3分後に上澄み液が完全に透明になった。
【0032】
実施例11
貴金属微粒子分散液中の貴金属微粒子として、AuとPtの重量比が1:1の貴金属微粒子を用いたこと以外は実施例1と同様にして、沈殿の形成開始時間及び上澄み液が完全に透明になるまでの時間を測定したところ、静置後5秒以内に容器底部に沈殿が形成されはじめ、1分後に上澄み液が完全に透明になった。
【0033】
実施例12
貴金属微粒子分散液中の貴金属微粒子として、AuとPdの重量比が1:1の貴金属微粒子を用いたこと以外は実施例1と同様にして、沈殿の形成開始時間及び上澄み液が完全に透明になるまでの時間を測定したところ、静置後5秒以内に容器底部に沈殿が形成されはじめ、1分後に上澄み液が完全に透明になった。
【0034】
実施例13
貴金属微粒子分散液中の貴金属微粒子として、AuとRuの重量比が1:1の貴金属微粒子を用いたこと以外は実施例1と同様にして、沈殿の形成開始時間及び上澄み液が完全に透明になるまでの時間を測定したところ、静置後5秒以内に容器底部に沈殿が形成されはじめ、1分後に上澄み液が完全に透明になった。
【0035】
実施例14
貴金属微粒子分散液中の貴金属微粒子として、Au単体の微粒子を用いたこと以外は実施例1と同様にして、沈殿の形成開始時間及び上澄み液が完全に透明になるまでの時間を測定したところ、静置後5秒以内に容器底部に沈殿が形成されはじめ、1分後に上澄み液が完全に透明になった。
【0036】
実施例15
高分子分散剤を0.05重量%としたこと以外は前記実施例5と同様にして、即ちAuとAgの重量比が4:1の貴金属微粒子を0.1重量%、高分子分散剤を0.05重量%、及び残部の水とエタノールの重量比が1:9である溶媒からなる貴金属微粒子分散液20gに、凝集剤として1,10−デンカンジチオールを25ppm添加し、1分撹拌した後静置した。沈殿の形成開始時間及び上澄み液が完全に透明になるまでの時間を測定したところ、静置後5秒以内に容器底部に沈殿が形成されはじめ、1分後に上澄み液が完全に透明になった。
【0037】
実施例16
貴金属微粒子分散液中の貴金属微粒子を0.05重量%としたこと、及び高分子分散剤を0.01重量%としたこと以外は実施例15と同様にして、沈殿の形成開始時間及び上澄み液が完全に透明になるまでの時間を測定したところ、静置後5秒以内に容器底部に沈殿が形成されはじめ、3分後に上澄み液が完全に透明になった。
【0038】
実施例17
貴金属微粒子分散液中の貴金属微粒子を0.01重量%としたこと、高分子分散剤を0.01重量%としたこと、及び凝集剤の1,10−デカンジチオールを50ppm添加したこと以外は実施例15と同様にし、更に凝集補助剤として塩酸を100ppm添加して、沈殿の形成開始時間及び上澄み液が完全に透明になるまでの時間を測定したところ、静置後5秒以内に容器底部に沈殿が形成されはじめ、3分後に上澄み液が完全に透明になった。
【0039】
実施例18
貴金属微粒子分散液中の貴金属微粒子を0.05重量%としたこと、及び高分子分散剤を0.01重量%としたこと以外は実施例15と同様にし、更に凝集補助剤として硫酸マグネシウムを25ppm添加して、沈殿の形成開始時間及び上澄み液が完全に透明になるまでの時間を測定したところ、静置後5秒以内に容器底部に沈殿が形成されはじめ、1分後に上澄み液が完全に透明になった。
【0040】
比較例1
凝集剤として、スミフロックFN13(住友化学工業(株)製ポリアクリル酸アミド系高分子凝集剤)を100ppm添加した以外は実施例1と同様にして、沈殿の形成開始時間及び上澄み液が完全に透明になるまでの時間を測定したところ、容器底部に沈殿が形成されはじめたのは3時間後であり、24時間経過しても上澄み液は透明にならなかった。
【0041】
比較例2
凝集剤として、スミフロックFN13を1000ppm添加した以外は実施例1と同様にして、沈殿の形成開始時間及び上澄み液が完全に透明になるまでの時間を測定したところ、容器底部に沈殿が形成されはじめたのは3時間後であり、24時間経過しても上澄み液は透明にならなかった。
【0042】
比較例3
凝集剤として、硫酸マグネシウムを100ppm添加した以外は実施例1と同様にして、沈殿の形成開始時間及び上澄み液が完全に透明になるまでの時間を測定したところ、24時間経過しても容器底部に沈殿が形成されなかった。
【0043】
比較例4
凝集剤として、硫酸マグネシウムを1000ppm添加した以外は実施例1と同様にして、沈殿の形成開始時間及び上澄み液が完全に透明になるまでの時間を測定したところ、容器底部に沈殿が形成されはじめたのは12時間後であり、24時間経過しても上澄み液は透明にならなかった。
【0044】
比較例5
凝集剤として、塩化ナトリウムを100ppm添加した以外は実施例1と同様にして、沈殿の形成開始時間及び上澄み液が完全に透明になるまでの時間を測定したところ、24時間経過しても容器底部に沈殿が形成されなかった。
【0045】
比較例6
凝集剤として、水酸化ナトリウムを100ppm添加した以外は実施例1と同様にして、沈殿の形成開始時間及び上澄み液が完全に透明になるまでの時間を測定したところ、24時間経過しても容器底部に沈殿が形成されなかった。
【0046】
比較例7
凝集剤として、塩酸を100ppm添加した以外は実施例1と同様にして、沈殿の形成開始時間及び上澄み液が完全に透明になるまでの時間を測定したところ、24時間経過しても容器底部に沈殿が形成されなかった。
【0047】
比較例8
凝集剤として、塩酸を1000ppm添加した以外は実施例1と同様にして、沈殿の形成開始時間及び上澄み液が完全に透明になるまでの時間を測定したところ、容器底部に沈殿が形成されはじめたのは12時間後であり、24時間経過しても上澄み液は透明にならなかった。
【0048】
上記の各実施例と各比較例について、それぞれ条件並びに結果をまとめて、下記表1及び表2に示した。尚、実施例1〜18については試料1〜18とし、比較例1〜8については比較試料1〜8として表示した。
【0049】
【表1】
【0050】
【表2】
【0051】
以上の実施例及び比較例から分かるように、分散液中に分散している金を含む貴金属微粒子は、従来から金属微粒子の凝集に使用されている高分子凝集剤や無機凝集剤では殆ど沈澱しないか、沈澱しても極めて長時間かかるのに対して、メルカプト基を有する化合物を凝集剤として用いる本発明方法によれば、簡単に且つ極めて短時間に沈澱させることができる。例えば、実施例1と比較例2を比較すると、エタンジチオールは高分子凝集剤の1/400の添加量で貴金属微粒子を極めて短時間で効率よく凝集させることが分かる。
【0052】
【発明の効果】
本発明によれば、金を含む貴金属微粒子を分散した貴金属微粒子分散液に凝集剤としてメルカプト基を有する化合物を添加するだけで、貴金属微粒子を短時間で凝集させ、沈降性及び濾過性に優れた貴金属の凝集体を生成させて、貴金属微粒子を溶媒から容易に分離することができる。
【0053】
従って、本発明方法を、電磁波の漏洩を防止するためCRTガラス表面に貴金属微粒子分散液を塗布して透明導電層を形成する際に発生する廃液に適用すれば、廃液から金を含む高価な貴金属を低コストで回収することことが可能である。また、本発明方法は、大掛かりな装置を必要としないうえ、溶媒の乾燥除去などの工程を含まないため、エネルギーコストが低く、且つ環境的にみても有用性が高いものである。
Claims (4)
- 金を含む微粒子が溶媒に分散した貴金属微粒子分散液に、凝集剤として、エタンジチオール、1,3−プロパンジチオール、1,10−デカンジチオールから選ばれた分子内に2個以上のメルカプト基を有する化合物を添加し、該メルカプト基が前記貴金属微粒子と結合して該粒子同士を架橋させて該貴金属微粒子を凝集させた後、凝集した貴金属微粒子を溶媒と分離することを特徴とする貴金属回収方法。
- 前記貴金属微粒子分散液は、高分子分散剤により金を含む微粒子が溶媒に分散安定化されていることを特徴とする、請求項1に記載の貴金属回収方法。
- 凝集剤である上記メルカプト基を有する化合物と共に、凝集補助剤として無機塩を添加することを特徴とする、請求項1又は2に記載の貴金属回収方法。
- 凝集剤である上記メルカプト基を有する化合物と共に、凝集補助剤として酸又はアルカリを添加することを特徴とする、請求項1又は2に記載の貴金属回収方法。
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