JP4366672B2 - 洗浄剤 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は洗浄剤に関するものである。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】
現在、小中学校の給食における食品素材は卸売市場などから未加工の状態で一括的に納入する形態を採ることが多い。そして、納入された野菜などの農産物では農薬が表面に付着して残っているため、また、各種の細菌を殺菌するために次亜鉛酸ナトリウムが食品素材の洗浄に用いられている。一方、一般家庭においては合成洗剤が食品素材や食器などの洗浄に用いられている。このように農産物などの食品素材の表面に残る農薬や細菌を取り除くために次亜鉛酸ナトリウムを使用したり、一般家庭で合成洗剤を使用しているが、これらは化学製品であって人体内への取り込みが懸念されるため、使用後には食品素材を十分に水洗いする必要がある。よって、先の次亜鉛酸ナトリウムや合成洗剤に代えて人体に対して有害とはならないものにより農薬の取り除きや殺菌が行なえるようにしたいとの要望もなされている。
また、上記食品素材以外においても一般家庭では手洗いや掃除に際して合成洗剤が多く利用されているが、この合成洗剤は石油を原料とする化学物質から形成されているものが多くあり、石油資源の枯渇を早める点が問題視されるようになってきた。
【0003】
上述した問題に対して本発明者は、不用物として処分されてきたホタテの貝殻を粉砕し、その粉体が、他の貝の貝殻よりなる粉体に比べて、化学物質を吸着する効果と細菌に対してその繁殖を抑える効果が極めて高いことに着目したものである。そこで、本発明は上記事情に鑑みて、農薬などの化学物質を取り除き殺菌を行なう洗浄剤をホタテの貝殻から得るようにすることを課題とし、不用物の有効利用を図ることを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題を考慮してなされたもので、炭酸カルシウムの方解石型構造による結晶構造体を備えた貝殻を粉砕した粉末からなる炭酸カルシウム粉末と、該炭酸カルシウム粉末を焼成してなる酸化カルシウム粉末とが混合されていることを特徴とする洗浄剤を提供して、上記課題を解消するものである。
【0005】
【発明の実施の形態】
つぎに本発明を発明の実施の形態に基づいて詳細に説明する。
洗浄剤を得るに当たっては、まず、少なくとも貝殻主要部分が炭酸カルシウムの方解石型構造による結晶構造体としている貝殻を用いるもので、この貝殻はホタテの貝殻であり、貝殻の大部分をこの結晶構造体としている点でホタテの貝殻は他の貝殻と異なる。即ち、ホタテはその生態において、貝殻を開閉して海水を勢いよく外部に放出することで「海中を泳ぐ」と表現されるように機敏に移動を行い、捕捉者(ヒトデなど)から逃げる動作が特長的であり、この動作が行なえるように大きな貝柱を有するとともに、貝殻自体が、比較的薄く軽量で、かつ、強度を有するという条件を兼ね備えており、その貝殻では、炭酸カルシウムの方解石型構造の結晶構造体が葉状構造を呈して貝内面側が形成され、貝内層(貝殻厚さ方向での芯となる層)では、炭酸カルシウムの方解石型構造の結晶構造体が板状構造を呈していて、この貝内面側と貝内層との構造が貝殻の主要部(表層部や蝶番部を除いた部分)を形作っているため、薄く軽量でありながら強度のあるものとなっている。
【0006】
そして、前述したようホタテの貝殻の主要部において、内面側は、炭酸カルシウムの方解石型構造の結晶構造体が葉状構造となる(針状結晶が剣山状に密に詰まって敷き並べられている状態)とともに、貝内層は、炭酸カルシウムの方解石型構造の結晶構造体が板状構造としている(ベニヤ板のように、針状結晶が同一方向に並んだ層が幾重にも重なり、針状結晶の向きが層ごとに異なっている状態)としているため、後述するようにこのホタテの貝殻から得られた粒体は方解石型構造が残って多孔質性を備えたものとなる。これに比べて他の貝殻では、炭酸カルシウムの結晶が面状に広がって重なった構造となっており、これによりパール状光沢を呈するものとなっているが、粒体とした場合にはほとんど多孔質性を呈しないものとなっている。
【0007】
上述したように洗浄剤を得るに当たってホタテの貝殻を原材料としているが、ホタテの貝柱を取り除いた後において不用物として処理されてきたものを利用でき、廃棄物の有用な利用が行なえる。まず、集められた貝殻を天日乾燥を行なって乾かし硬化させる。つぎに天日乾燥によって硬化した貝殻を粒径約200μmとなるまでに粉砕する。粉砕方法自体は特に限定するものではなく、既存の粉砕装置を用いればよい。このようにして炭酸カルシウム粉末が得られるものものであり、粒体は多孔性粒体となっている。
つぎに上述の多孔質性粒体からなる炭酸カルシウム粉末の一部分を用いてこれをセラミックの壺に入れて約1000℃の温度で数十分から数時間程度の時間で加熱して酸化カルシウム粉末を得るようにする。そして、このようにして得られた酸化カルシウム粉末と上記炭酸カルシウム粉末とを混合することで洗浄剤が得られる。
【0008】
上記洗浄剤中、炭酸カルシウム粉末分は上述したようにホタテの貝殻粉末の独特な多孔質粒体からなるもので、吸着効果が大である。また、酸化カルシウム粉末分はアルカリ性であり、殺菌性を示すものである。よって、この洗浄剤は、農薬などの化学物質を吸着する効果があり、この洗浄剤と水とを混合してなる洗浄液に食品素材を浸したり、その洗浄液を流水状態にしてその流水を食品素材に当てて洗うようにすることで、付着している農薬などの化学物質を取り去ることができ、アルカリ性の作用により細菌やカビなどを死滅させるようになる。食品素材の洗浄ばかりでなく、手洗いや汚れた物品の洗浄においても手や前記物品の表面に付いていた化学物質や微細な汚染物質を多孔質粒体が吸着し、アルカリ性の作用にて細菌などを死滅させる。なお、前記洗浄液による洗浄を終えた後には水洗いすればよく、仮に、酸化カルシウム粉末分が残留したとしても炭酸カルシウムに変化し人体に無毒であり、カルシウムイオンの人体への取り込みにも寄与できる。
なお、洗浄剤において上記炭酸カルシウム粉末分と上記酸化カルシウム粉末分との割合は適宜に変更できるものであり、割合を変えることで脱臭吸着の効能の方を高くしたり殺菌性の効能の方を高くすることでき、用途に応じてその割合を変えることが可能である。
【0009】
【発明の効果】
以上説明した本発明により、この洗浄剤を、野菜などの食品素材の洗浄や一般の汚れた物品の洗浄に用いれば、表面に付着していた化学物質や微細な汚染物質を取り除くようになるとともに、殺菌が行なえるようになる。そして、洗浄後に残留したとしても人体に無害なものに変化するという利点がある。さらに、貝殻を原材料としているため、今迄多く不用物として処分されてきた貝殻を有効に利用でき、ゴミの削減化に大きく寄与できる。そして、製造方法は煩雑な工程を経るものではなく、上述した有用な洗浄剤を低コストにて提供できるなど、実用性に優れた効果を奏するものである。

Claims (1)

  1. 炭酸カルシウムの方解石型構造による結晶構造体を備えた貝殻を粉砕した粉末からなる炭酸カルシウム粉末と該炭酸カルシウム粉末を焼成してなる酸化カルシウム粉末とが混合されていることを特徴とする洗浄剤。
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