JP4366528B2 - 室内消毒方法 - Google Patents

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本発明はフェオフォーバイドa(Phde a)若しくはフェオフォーバイドb(Phde b)又は両者の混合物の水溶液を用いた殺菌方法に関する。
フェオフォーバイドa及びbは、植物色素クロロフィル由来の感光性物質として知られ、癌等の悪性腫瘍の光化学療法に用いることができる。フェオフォーバイドa及びbは可視光、特に600〜700nmの波長を有する赤色光を効率よく吸収して、DNAの光切断等の光励起化学反応を引き起こすことが報告されている(非特許文献1、非特許文献2)。
高等植物及び藻類のうちの緑藻類にはクロロフィルaとbの2種類のクロロフィルが存在(但し、藍藻類にはクロロフィルaのみが存在)するが、いずれも長い疎水性の側鎖(フィチル基、−C2039)が存在するために水に対して不溶性である(非特許文献1)。そのため、クロロフィルa又はbを強酸処理によって側鎖を脱離して得られるフェオフォーバイドa若しくはb又は両者の混合物を光化学療法に用いることが検討されている。近年、単離されたフェオフォーバイドaとフェオフォーバイドbの細胞への取り込みについて、異なった挙動を示すことが示唆されている。つまり、フェオフォーバイドaは細胞膜を通過し、核に取り込まれるのに対して、フェオフォーバイドbは細胞膜を通過せず、細胞膜に対する親和性を有することが知られている。それらの使用に当たり、それらの水に対する溶解度が極めて低いため、そのままでは人体への適用は困難と考えられていた。
そこで本発明者の一人は先に、フェオフォーバイドaが溶媒と反応して分子変性を生じることなく水溶性のNa塩とするためには、水酸化ナトリウムをn−プロピルアルコール若しくはイソプロピルアルコール又はそれらの混合液中に溶解して水酸化ナトリウム溶液を調製し、この溶液に相溶性のある溶媒中にフェオフォーバイドaを溶解してフェオフォーバイドa溶液を調製し、該溶液と前記水酸化ナトリウム溶液とを混合・溶解させることにより、安定な形でフェオフォーバイドaの水溶性塩を形成することに成功した(特許文献1)。
現在までに開発された光感受性物質には種々のものがあり、現在治療に使われているものにヘマトポルフィリン系光感受性腫瘍親和性物質の全身投与とエキシマーレーザー癌治療装置との組合せ等が知られているが、副作用や光過敏症予防の必要性から長期の暗室内での生活を余儀なくされるため症例数は伸びていないのが実情である。また、従来のようなレーザーを使用した光線力学療法(Photo Dynamic Therapy,PDT)の応用では、正常組織に対する温熱効果の影響も考えられ、従来のPDT効果の面で問題となっていた。
近年、病院や特別養護老人ホーム等の各種医療機関や老人福祉施設、その他宿泊施設等においては、バクテリアやウィルスに起因する院内・室内感染が多発している。また、食品工場などの工業分野では、衛生管理上、微生物の制御による防菌・防黴体制の確立が大きな課題となっている。
これらの問題を未然に防止するため、従来、病室、調理室、宿泊室、食品工場等の備品等を消毒液を含ませた布等を用いて拭く;空気浄化装置を設置する;消毒液を簡易なスプレー器具を用いて噴霧する等の手法が用いられている。
例えば病室の床、壁、機器類、カーテン、ベッド、布団等には種々の病原菌が付着しており、これらの病原菌が院内感染の一因になると考えられ、病室は消毒して清浄にしておく必要がある。一般には、密閉した病室にホルマリン水や0.5%グルタールアルデヒド水溶液等の消毒液を噴霧又は清拭して殺菌・消毒を行う方法が行われている。この方法は、病室内に一定量の消毒液を一定時間滞留させ所定時間放置した後、中和液を室内に噴霧して、滞留している消毒液を中和除去するというものである。しかしこの方法は、消毒剤のもつ化学反応作用による殺菌消毒のため、その後の中和処理による中和生成物が病室内の設備に悪影響を与えるという問題があった。そこで通常は、病室内を消毒した後、病室の窓や扉を開放して自然換気を行っているが、防毒マスクを装着した作業員が病室内に入らなければならないという煩雑さや危険が伴っていた。
特に最近、従来の抗生物質が効かない、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)等の抗生物質耐性菌が出現してきており、院内感染の問題が大きく取り上げられてきている。
特許第2963178号公報 小林・小宮山、日本臨床、53(6)、207−214(1995) 小林、井上、仲里ら、第12回光線力学学会(12thJCIPA)プログラム/抄録集、平成14年(2002年)5月25日、5「Na−フェオフォーバイドaによるガンの光治療に関する基礎研究」
このようなMRSA等の抗生物質耐性菌に対しては、従来の消毒剤や消毒技術では十分に室内を殺菌消毒することは困難であった。そのため、抗生物質耐性菌に対しても十分に有効な、室内衛生確保のための対応が急務になっているというのが現状である。
また、病室、調理室、宿泊室、食品工場等の生活空間においては、殺菌消毒がされた環境が好ましいといっても、ヒトが滞在・活動している最中に殺菌消毒が行われていることは、薬品の持つ臭気やその化学反応作用等、健康管理上却って好ましくない場合もある。そこでより殺菌性が高く、簡易で人体に対しても安全性が高い殺菌消毒が行われることが好ましい。
本発明者らは、人体に対して安全で副作用のないフェオフォーバイドa若しくはb又は両者の混合物のナトリウム塩の水溶液と、可視光を効率よく吸収して光励起化学反応を引き起こし、細菌の殺細胞効果を可能にする特異な特性とを利用して、一定量の光の存在下でフェオフォーバイドa若しくはb又は両者の混合物の水溶液を室内に噴霧又は散布して殺菌・消毒を行うことにより、MRSA等の抗生物質耐性菌に対しても十分な室内消毒が可能となることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は以下の通りである。
(1)室内にフェオフォーバイドa若しくはb又は両者の混合物のナトリウム塩を含む水溶液を噴霧、散布又は清拭し、室内に光を照射することからなる室内の消毒方法。
(2)前記光は可視光である上記(1)記載の方法。
(3)前記光は600〜700nmの波長を含む光である上記(2)記載の方法。
(4)前記光はハロゲン光又はレーザー光である上記(3)記載の方法。
(5)前記水溶液中のフェオフォーバイドa若しくはb又は両者の混合物のナトリウム塩の濃度が1x10-6〜1x10-4Mであり、光照射時間が20分〜30分である上記(4)記載の方法。
(6)前記フェオフォーバイドa若しくはb又は両者の混合物のナトリウム塩は、水酸化ナトリウムをn−プロピルアルコール若しくはイソプロピルアルコール又はそれらの混合液中に溶解して水酸化ナトリウム溶液を調製し、該溶液に相溶性のある溶媒中にフェオフォーバイドa若しくはb又は両者の混合物を溶解してフェオフォーバイドa若しくはb又は両者の混合物の溶液を調製し、該溶液と前記水酸化ナトリウム溶液とを混合溶解させることにより製造されたものである、上記(1)〜(5)のいずれかに記載の方法。
(7)フェオフォーバイドa若しくはb又は両者の混合物のナトリウム塩を含む水溶液からなる消毒用薬剤。
(8)前記フェオフォーバイドa若しくはb又は両者の混合物のナトリウム塩は、水酸化ナトリウムをn−プロピルアルコール若しくはイソプロピルアルコール又はそれらの混合液中に溶解して水酸化ナトリウム溶液を調製し、該溶液に相溶性のある溶媒中にフェオフォーバイドa若しくはb又は両者の混合物を溶解してフェオフォーバイドa若しくはb又は両者の混合物の溶液を調製し、該フェオフォーバイドa若しくはb又は両者の混合物の溶液と前記水酸化ナトリウム溶液とを混合溶解させることにより製造されたものである、上記(7)に記載の薬剤。
フェオフォーバイドa若しくはb又は両者の混合物はそれ自体は無害であり、また脱色されるため非常に使用しやすい物質である。また、組織透過性のよい長波長側の比較的弱い光で容易に励起されるので、可視光領域での光励起が可能であり、光感受性物質として扱いやすい。更に、フェオフォーバイドa若しくはb又は両者の混合物は体内の正常組織からの代謝が非常に早いため、接触、吸引されたとしても副作用が少ない。従って、安全かつ容易に室内の殺菌消毒が可能である。
発明を実施するための形態
以下本発明を更に具体的に説明する。
フェオフォーバイドaではそのテトラピロール環の一つにCH基が結合しているが、フェオフォーバイドbではそれがCHO基に置き換わっているだけなので、両者は分子構造上類似している。
フェオフォーバイドa若しくはb又は両者の混合物、及びそれらのナトリウム塩は特許第2963178号公報(特許文献1)に記載された方法により製造することができる。
フェオフォーバイドa(C32324O(COOH)COOCH3)又はフェオフォーバイドb(C323042(COOH)COOCH3)をナトリウム塩にするには、フェオフォーバイドa若しくはb又は両者の混合物を溶解する溶媒と水酸化ナトリウムを溶解する溶媒とが混合しあうことが必要不可欠である。また生成したフェオフォーバイドa若しくはb又は両者の混合物のナトリウム塩が、その混合された溶媒系では不溶であり、沈澱を生成して分離が可能でなければならない。この条件を満足するフェオフォーバイドa若しくはb又は両者の混合物の溶媒としては、エーテル、アセトン、クロロホルム等が挙げられる。
一方、フェオフォーバイドa若しくはb又は両者の混合物は水酸化ナトリウムのようなアルカリの存在下では、メタノールやエタノールに接触すると激しく分子変性を起こし酸化が促進されることが知られている。従ってフェオフォーバイドa若しくはb又は両者の混合物をナトリウム塩とする場合は、酸化反応を促進しない溶媒を選択することが最も重要である。そこで、本発明においては、水酸化ナトリウムの溶媒として、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール又はその混合液を用いる。これにより、フェオフォーバイドa又はbの分子変性を全く起こすことなく、そのナトリウム塩を生成することができる。更に本発明においては、フェオフォーバイドa若しくはb又は両者の混合物の水溶化に際し、溶解補助剤を用いることなく、しかも特殊な溶解技法を用いることなく、極めて容易にフェオフォーバイドa若しくはb又は両者の混合物のナトリウム塩の水溶液を調製することができる。
本発明においては、室内にフェオフォーバイドa若しくはb又は両者の混合物のナトリウム塩を含む水溶液を噴霧、散布又は清拭してから、室内に光を照射する。上記水溶液を噴霧、散布又は清拭は、従来公知のいかなる噴霧機(装置)又は散布機(装置)を用いても実施可能であるが、上記水溶液の容器は遮光されていることが好ましい。室内に上記水溶液を均一に又は十分に噴霧又は散布できるのであれば、特別の機械や装置を使用する必要はないであろう。なお、フェオフォーバイドa若しくはb又は両者の混合物のナトリウム塩を含む水溶液の適用形態は噴霧、散布又は清拭等に限らず、必要に応じて塗布、浸漬、他の湿潤手段であってもよい。
フェオフォーバイドa若しくはb又は両者の混合物は600〜700nmに大きなQ吸収帯(max667nm)を有するので、可視光、特に細胞透過性の高い赤色光が利用できる。ヘマトポルフィリン誘導体のQ帯の波長におけるレーザー光に対する吸光度係数と比較すると、フェオフォーバイドaはヘマトポルフィリン誘導体の約338倍も大きいことがわかっている。
本発明において使用される光は、可視光、600〜700nmの波長を含む光、赤色光のほか、ハロゲン光、レーザー光、特に670nmの半導体レーザー、太陽光、蛍光灯の光(白色光)でもよいが、ハロゲン光又は670nmの半導体レーザーが好ましい。
フェオフォーバイドa若しくはb又は両者の混合物のナトリウム塩を含む水溶液の濃度は1x10-6〜1x10-4Mであることが好ましい。ハロゲン光又はレーザー光を使用する場合、光照射時間が20分〜30分であることが好ましい。
本発明において、フェオフォーバイドa若しくはb又は両者の混合物のナトリウム塩は、水酸化ナトリウムをn−プロピルアルコール若しくはイソプロピルアルコール又はそれらの混合液中に溶解して水酸化ナトリウム溶液を調製し、該溶液に相溶性のある溶媒中にフェオフォーバイドa若しくはb又は両者の混合物を溶解してフェオフォーバイドa若しくはb又は両者の混合物の溶液を調製し、該溶液と前記水酸化ナトリウム溶液とを混合・溶解させることにより製造されたものであることが好ましい。
以下、フェオフォーバイドa若しくはb又は両者の混合物のナトリウム塩の合成、フェオフォーバイドa若しくはb又は両者の混合物のナトリウム塩の水溶液の調製、及びフェオフォーバイドa若しくはb又は両者の混合物のナトリウム塩のHPLC(高機能性液体クロマトグラフィー)分析及び紫外−可視吸収スペクトルによる同定の一例について説明する。
(1)フェオフォーバイドa若しくはb又は両者の混合物のナトリウム塩の合成
既知の製法(クロロフィルa又はbをエーテル中、濃塩酸により脱マグネシウム、及び加水分解による脱フィトール化する方法)により得られたフェオフォーバイドa若しくはb又は両者の混合物 500mgを300mlのエーテルに溶解する。一方、水酸化ナトリウム100mgを30mlのn−プロピルアルコール又はイソプロピルアルコールに溶解する。次いでフェオフォーバイドa若しくはb又は両者の混合物のエーテル溶液中に水酸化ナトリウムのn−又はイソプロピルアルコール溶液を攪拌しながら滴下する。この際、反応の進行状態は、濾紙上に溶液を一滴落とすことにより沈澱の生成を観察するという方法で確認し、その終点は沈澱の周囲に広がる溶液の色が無色となった時とする。
次に上記沈澱(フェオフォーバイドa若しくはb又は両者の混合物のナトリウム塩)を含有する溶液を遠心管に入れ遠心分離(2500rpm、2分間)することにより沈澱部分を分離することができる。上澄みを捨て、遠心管底部に残る固形分を真空乾燥機にて乾燥することにより粉末状フェオフォーバイドa若しくはb又は両者の混合物のナトリウム塩を得ることができる。
(2)フェオフォーバイドa若しくはb又は両者の混合物のナトリウム塩の水溶液の調製
フェオフォーバイドa若しくはb又は両者の混合物のナトリウム塩約10mgに2mlの蒸留水を入れ軽く振るとフェオフォーバイドa若しくはb又は両者の混合物のナトリウム塩は溶解し、透明な溶液が形成される。その溶液のpHは約9.2〜9.5を示すため、燐酸緩衝液(pH7.4又は7.8)を用い、適宜適当な濃度に希釈し使用される。
(3)フェオフォーバイドa若しくはb又は両者の混合物のナトリウム塩のHPLC(高機能性液体クロマトグラフィー)分析及び紫外−可視吸収スペクトルによる同定
フェオフォーバイドa若しくはb又は両者の混合物のナトリウム塩を希塩酸により脱ナトリウム化し、そのエーテル溶液を得る。次いでこの溶液と既知のフェオフォーバイドa若しくはb又は両者の混合物との両サンプルのHPLC分析及び吸収スペクトルの測定を行い、比較検討する。HPLC分析に関しては、既知のフェオフォーバイドa若しくはb又は両者の混合物のチャートと上記エーテル溶液のチャートから保持時間を比較したところ、両チャートが一致することが判り、これをもってフェオフォーバイドa若しくはb又は両者の混合物の存在を確認することができる。ただし、上記HPLC分析の分離条件は次の通りである。
カラム・・・ODS SSCpack 4×250mm
溶離液・・・アセトニトリル:0.1%リン酸溶液:テトラヒドロフラン=88:10:2
流量・・・1.0ml/分、波長・・・410nm、チャート速度・・・0.5cm/分、温度・・・12℃
吸収スペクトルの吸収波長についても、上記エーテル溶液と既知のフェオフォーバイドa若しくはb又は両者の混合物の溶液とがほぼ完全に一致し、これによってもフェオフォーバイドa若しくはb又は両者の混合物の存在を確認できる。
以下本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら制限されるものではない。特に、以下の実施例はフェオフォーバイドaについてのものではあるが、フェオフォーバイドaとbとの類似性は上述の通りであるので、以下の実施例における方法論、結果、及び考察がフェオフォーバイドb及びフェオフォーバイドaとbとの混合物についても当てはまることは当業者であれば容易に理解できるはずである。
例1
MRSA菌株として臨床材料分離株を使用し、濁度計を用いてMcFarland No.1(108CFU/ml)相当のMRSA菌液を調製した。
光感受性物質として、滅菌フェオフォーバイドaナトリウム(Na−phde a)((有)クロロフィル研究所より提供)を滅菌生理食塩水に溶解し、6.8x10-5M(=68μmol/l)のNa−phde a溶液を調製した。
それぞれの液体を滅菌噴霧器に充填した。
病室の床をアルコール消毒しておき、菌液の噴霧前にあらかじめ菌のチェックを行った(図1(1)又は図2(1))。菌のチェックには培地として、ぺたんチェック(登録商標)25MRSA寒天培地(栄研器材株式会社)を用いた。次に、床にMRSA菌液を3回噴霧し、5分後に菌のチェックを行った(図1(2)又は図2(2))。次に、Na−phde a溶液を5回噴霧し、5分後に菌のチェックを行った(図1(3)又は図2(3))。MRSAにNa−phde aを作用させておいてから、ハロゲン電球(東京メタル工業株式会社製白熱灯照明器具型式HLC−110P、定格:使用電圧AC100V、適合ランプJDR110V75W、径50口金E11、有害光線及び熱の影響を排除すべく水及びガラスを透過させた)(図1(4))又は半導体レーザー(株式会社ジュンテック製可視光半導体レーザー(理化学用)、連続パワー出力:400mW、波長:670nm、ビーム拡散核<0.15N.A、スペクトル幅<3nm、導光ファイバー:石英ファイバー(コア径600μm)(図2(4))を床に30分間照射し、最後に菌のチェックを行った。
それぞれの培地をインキュベータに入れ、35〜37℃で24時間培養を行った。
ハロゲンランプ照射の実験結果とレーザー照射の実験結果をそれぞれまとめて図1と図2に示す。ハロゲンランプ照射、レーザー照射ともに、光照射後はMRSAの増殖は見られず、顕著な殺菌効果が得られた。
例2
光線力学療法(photodynamic therapy,PDT)を応用したインビトロでのMRSA殺菌実験を行った。
(実験材料)
例1と同様にNa−phde a溶液及びMRSA菌液を調製し、同様の光照射装置を用いた。培養は血液寒天培地を用い35〜37℃で24時間行った。
菌の発育状況は、集落の観察と集落数を計測することにより行った。
発育状況は以下のように判定した。
+++ : 集落が完全に融合している。
++ : 集落が一部融合しているが、集落の計数は不可能。
+ : 集落が孤立し、計数可能。
− : 発育が認められない。
(実験方法)
Miles&Misra法に準じて実験を行った。McFarland No.1(108CFU/ml)相当のMRSA菌液を106倍まで希釈し、108〜102CFU/ml相当の希釈系列を作成した。
それぞれの菌液にNa−phde a溶液を適用し、暗室で60分間作用させた。なお、コントロール群、ハロゲン光群、及びレーザー光群のいずれにも同量の生理食塩水を添加した。以下のようにNa−phde a溶液の適用と光照射を行った後、菌液を培地に滴下して培養した。

(結果)
ハロゲンランプ照射の実験結果とレーザー照射の実験結果をそれぞれまとめて図3と図4に示す。レーザー群、ハロゲン群、及びNa−phde a群ではコントロール群と比較しても殺菌効果は見られなかったが、Na−phde a +レーザー群及びNa−phde a +ハロゲン群では完全な殺菌効果が見られた。
本発明の消毒用薬剤及び消毒方法を用いることにより、MRSA等の抗生物質耐性菌に対しても安全かつ容易に、医療機関、福祉施設、宿泊施設、食品工場等の室内消毒を行うことができ、産業上極めて有用である。
ハロゲン光照射を用いたフェオフォーバイドaナトリウム塩水溶液の室内噴霧実験の結果を示す。 レーザー光照射を用いたフェオフォーバイドaナトリウム塩水溶液の室内噴霧実験の結果を示す。 ハロゲン光照射を用いたインビトロでのフェオフォーバイドaナトリウム塩水溶液のMRSA殺菌実験の結果を示す。 レーザー光照射を用いたインビトロでのフェオフォーバイドaナトリウム塩水溶液のMRSA殺菌実験の結果を示す。

Claims (8)

  1. 室内にフェオフォーバイドa若しくはb又は両者の混合物のナトリウム塩を含む水溶液を噴霧し、室内に光を照射することからなる室内の消毒方法。
  2. 前記光は可視光である請求項1記載の方法。
  3. 前記光は600〜700nmの波長を含む光である請求項1記載の方法。
  4. 前記光はハロゲン光又はレーザー光である請求項3記載の方法。
  5. 前記水溶液中のフェオフォーバイドa若しくはb又は両者の混合物のナトリウム塩の濃度は1x10-6〜1x10-4Mであり、光照射時間が20分〜30分である請求項4記載の方法。
  6. 前記フェオフォーバイドa若しくはb又は両者の混合物のナトリウム塩は、水酸化ナトリウムをn−プロピルアルコール若しくはイソプロピルアルコール又はそれらの混合液中に溶解して水酸化ナトリウム溶液を調製し、該溶液に相溶性のある溶媒中にフェオフォーバイドa若しくはb又は両者の混合物を溶解してフェオフォーバイドa若しくはb又は両者の混合物の溶液を調製し、該フェオフォーバイドa若しくはb又は両者の混合物の溶液と前記水酸化ナトリウム溶液とを混合溶解させることにより製造されたものである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
  7. フェオフォーバイドa若しくはb又は両者の混合物のナトリウム塩を含む水溶液からなる噴霧消毒用薬剤。
  8. 前記フェオフォーバイドa若しくはb又は両者の混合物のナトリウム塩は、水酸化ナトリウムをn−プロピルアルコール若しくはイソプロピルアルコール又はそれらの混合液中に溶解して水酸化ナトリウム溶液を調製し、該溶液に相溶性のある溶媒中にフェオフォーバイドa若しくはb又は両者の混合物を溶解してフェオフォーバイドa若しくはb又は両者の混合物の溶液を調製し、該フェオフォーバイドa若しくはb又は両者の混合物の溶液と前記水酸化ナトリウム溶液とを混合溶解させることにより製造されたものである、請求項7に記載の薬剤。
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