JP4366164B2 - 画像形成方法 - Google Patents
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Description
記録媒体上の画像の少なくとも一部に被覆層と該被覆層の下部かつ記録媒体の表層の内部に含浸層を有する画像記録物を形成する画像形成方法において、
水溶性高分子化合物を含む液体組成物を用意する工程と、
記録媒体上にインクジェット記録方法により形成した画像を用意する工程と、
前記画像上の少なくとも一部に前記液体組成物を付与し、該液体組成物中に含まれる水溶性高分子化合物を該画像表面で不溶化させることにより該液体組成物の付与位置に被覆層と含浸層を形成する工程と、
を有し、
前記水溶性高分子化合物が、
−COOA
(但し、式中のAはアルカリ金属、アンモニウム又は有機アンモニウムを表す。)で示される構造を有し、かつ、芳香族アルキル基または環状脂肪族アルキル基を含有する単量体とアクリル酸系単量体を用いて得られるビニル共重合体(1)と、芳香族アルキル基または環状脂肪族アルキル基を含有しない単量体とアクリル酸系単量体を用いて得られるビニル共重合体(2)の2種の水溶性高分子化合物を含み、前記ビニル共重合体(1)と前記ビニル共重合体(2)は、前記画像表面で不溶化する際の不溶化の挙動が互いに異なり、
前記液体組成物中の前記水溶性高分子化合物の含有量が前記液体組成物全量に対して1.0〜15.0質量%であり、
前記記録媒体が、前記水溶性高分子化合物を不溶化させる表面pHを持ち、該表面pHが4.0〜7.0である記録媒体、または前記水溶性高分子化合物を不溶化させる多価金属イオンを含有するインク受容層を表面に持ち、該多価金属イオンのインク受容層中の濃度が0.01〜1.0(mol/l)である記録媒体であり、
前記被覆層が前記ビニル共重合体(1)を含有し、前記含浸層が前記ビニル共重合体(2)を含有する
ことを特徴とする画像形成方法である。
(記録方法)
本発明における被覆層形成用の液体組成物に含まれる高分子化合物は、水性媒体中に溶解しており液体組成物が画像が形成された記録媒体の表面で不溶化する。その好ましい態様には、高分子化合物が下記一般式(1)で表される構造(以下カルボン酸塩と記載する場合もある)
−COOA・・・(1)
(但し、式中のAはアルカリ金属、アンモニウム又は有機アンモニウムを表わす。)を有し、画像の形成された記録媒体表面で高分子化合物が不溶化する形態が含まれる。具体的には、記録媒体表面のpHよりも高いpHに調整された液体組成物を、液体組成物のpHよりも低いpHを有する画像が形成された記録媒体画像上に付与することで高分子化合物の不溶化による被覆層の形成を行なう方法を挙げることができる。また、液体組成物中の高分子化合物が不溶化する多価金属イオン濃度に調整された画像が形成された記録媒体上で高分子化合物を瞬時に不溶化させ、被覆層の形成を行なう方法が挙げられる。すなわち、いずれの方法においても、画像上に付与された液体組成物中の高分子化合物は画像上で瞬時に不溶化して高分子化合物と水性媒体(溶媒成分)が固液分離し、水性媒体成分は更に画像が形成された記録媒体中に吸収されることで、画像上に不溶化した高分子化合物から得られる被覆層が形成される。
−COOA・・・(1)
(但し、式中のAはアルカリ金属、アンモニウム又は有機アンモニウムを表す。)
で表される構造(カルボン酸塩からなる構造)を有し、(1)pH作用、(2)多価金属イオンとの作用、あるいは(1)及び(2)の両方による作用を有することが好ましい。(1)のpH作用では、具体的には、画像記録後にインクジェット記録方式または種々のインク塗布方式により被覆層形成用の液体組成物を、液体組成物中の高分子化合物が不溶化する表面pHを有する記録媒体に形成した画像上に付与した際、画像が形成されている記録媒体が有する酸によって高分子化合物のカルボン酸塩の対イオンが脱離しプロトン化することで、高分子化合物が不溶化凝集して結晶性の高い薄膜が形成される。また、(2)の多価金属イオンの作用では、具体的には画像記録後にインクジェット記録方式または種々のインク塗布方式により被覆層形成用の高分子化合物を含有する液体組成物を液体組成物中に溶解させた高分子化合物が不溶化する多価金属濃度に調整された記録媒体表面を有する記録媒体に付与した際、インク受容層中の多価金属イオンによって液体組成物中に溶解させた高分子化合物のカルボン酸塩の対イオンが脱離し多価金属イオンを介して高分子化合物同士が会合することで、高分子化合物が不溶化凝集してインク受容層上に結晶性の高い薄膜が形成される。これらにより種々の物理的または化学的な変化から記録画像が保護され、記録画像がガスに対して高い堅牢性が得られるのである。
次に本発明における被覆層形成用の液体組成物について説明する。液体組成物に含まれる高分子化合物としてはカルボン酸塩を有する高分子化合物が好ましい。カルボン酸塩を有する高分子化合物としては、液体組成物中に安定して溶解し、かつ記録媒体の表面pHの作用、記録媒体に含まれる多価金属イオンの作用、あるいは両者の作用によって不溶化して安定した層を形成し得るものであればよい。例えば、アクリル酸、メタアクリル酸、マレイン酸、マレイン酸のハーフエステル、イタコン酸等のアクリル酸系単量体の1種以上を用いて得られたビニル共重合体を塩基性物質の添加により可溶化したものが好ましい。
−COOA・・・(1)
で表されるカルボン酸塩構造を(但し、式中のAはアルカリ金属、アンモニウム又は有機アンモニウムを表す。)有することは、液体組成物から以下の方法によって確認できる。即ち、赤外分光スペクトルにより、1550〜1610cm-1にカルボン酸塩のC=O逆対称伸縮振動に基づく吸収があるかないかで確認できる。さらには、イオンクロマトグラフィーによりカルボン酸塩の塩種も同定可能であり、カルボン酸塩のカウンターイオン固有のリテンションタイムからカルボン酸塩の塩種を同定できる。
(1)芳香族アルキル基または環状脂肪族アルキル基を含有する単量体とアクリル酸系単量体からなるビニル共重合体の少なくとも1種と、
(2)芳香族アルキル基または環状脂肪族アルキル基を含まない単量体とアクリル酸系単量体からなるビニル共重合体の少なくとも1種と、
の組合せが用いられる。このような少なくとも2種の水溶性高分子化合物を含有することで、記録媒体の表面上および表層内部に不溶化した高分子化合物を主体として形成された層を得ることができる。表面および表層内部に高分子化合物から形成された層が一体化して設けられることにより、過度の擦過や折り曲げ時においても十分なガスバリア性を保つことができる。
式中、Aは、被覆層の最大吸収波長λmaxにおける吸光度、Cは、被覆層の膜厚C(μm)である。
次に、本発明で使用される記録媒体について説明する。本発明では、前述したように記録媒体の画像が形成された面で、被覆層形成用の液体組成物中の高分子化合物を不溶化させる。したがって、高分子化合物の不溶化がpH作用による場合には、記録媒体中の表面pH(例えば酸の濃度)は、液体組成物中の高分子化合物を不溶化させうる値にコントロールしなくてはならない。具体的な記録媒体の表面pHは、液体組成物に用いる高分子化合物によって適宜選択させればよいが、好ましい範囲としては表面pHが4.0〜7.0が、更に好ましい範囲としては5.4〜7.0の範囲があげられる。表面pHがこの範囲を超えると、記録媒体上で液体組成物の高分子化合物が不溶化が起こりにくくなり、そのために高分子化合物のカルボン酸塩含有量を小さくしなくてはならないため充分な吐出安定性が得られないことがある。また、表面pHがこの範囲に満たない場合には、記録画像の色材の色味の変化やブロンズ化、更には、記録液(染料インク)に対する吸収性が悪くなることがある。
多価金属イオン濃度(mol/l)=W/VP
上式中のWおよびVPは、インク受容層1gあたりの多価金属イオン含有量(mmol/g)およびインク受容層1g中の空隙容積(ml/g)をそれぞれ表す。上記Wは、記録媒体よりインク受容層を適宜取り出した後、蛍光X線測定装置などを用いて測定できる。またVPは、記録媒体上の単位面積あたりのインク受容層体積(V1(ml/m2))、記録媒体上の単位面積あたりのインク受容層質量(H1(g/m2))、およびインク受容層の真密度(D1(ml/g))から、VP=V1/H1−D1として求められる。インク受容層の真密度は、記録媒体よりインク受容層を適宜取り出した後、例えば乾式自動密度計((株)島津製作所製;アキュピック1330)などにより測定できる。また、基材上に多層の受容層が形成されている記録媒体の場合は、最表面を形成している層について測定を行ない求められるものである。
Al2O3-n(OH)2n・mH2O・・・(2)
式中、nは0、1、2または3の整数の内のいずれかを表し、mは0〜10、好ましくは0〜5の値を表す。なお、nとmは同時に0とはならない。mH2Oは多くの場合結晶格子の形成に関与しない脱離可能な水相を表すものであるため、mは整数でない値をとることができる。また、この種のアルミナ水和物をか焼するとmは0の値に達することがありうる。
(記録液)
次に本発明における色材を含む記録液について説明する。本発明において、色材の成分それ自体は公知のものでよく、例えば、直接染料、酸性染料、塩基性染料、反応性染料、食品用色素等に代表される水溶性染料がある。このような水溶性染料は、記録液中において一般には約0.1〜20質量%を占める割合で使用されている。
インクジェットによる画像形成部と液体組成物の両方を有する装置について説明する。本発明のインクジェット記録装置の一態様は、色材を含むインクを収容したインク収容部と、該インクを吐出させるインクジェットヘッドを備えた第1の記録ユニットと、液体組成物を収容した液体組成物収容部と、該液体組成物を吐出させるインクジェットヘッドを備えた第2の記録ユニットとを備えていることを特徴とする。又、別の形態のインクジェット記録装置としては、色材を含むインクを収容したインク収容部と、液体組成物を収容した液体組成物収容部と、上記インク収容部に収容されているインクと上記液体組成物収容部に収容されている液体組成物とを各々独立に吐出させるためのインクジェットヘッドとを備えていることを特徴とする。以下、これらについて説明する。
図6にローラ塗布装置のローラ塗布部の模式図例を示す。タンク42に液体組成物を充填し、多孔質体で構成した塗布部材40により中間塗布ローラ38に液体組成物を塗布し、この中間塗布ローラ36により画像が記録されたシート表面に液体組成物を塗布するようにしてある。41は、液体組成物塗布ローラへの液体組成物のコーティングを均一にする為のブレードである。液体組成物39の補充は、液体組成物カートリッジ43により行なわれるようにしてある。塗布ローラ36は、ゴムローラ、またはフッ素系樹脂コーティングローラ、またはフェルト状ローラ、またはブラシ状ローラ、または多孔質状ローラで構成することが可能である。
(耐ガス性)
ブラック単色ベタ部(100%)を、オゾン曝露試験機(スガ試験機社製)に入れて、23℃、60%RHの条件下で、濃度3ppmのオゾン中に6時間曝露し、耐ガス性をオゾン暴露試験後の画像濃度変化率(%)で評価した。この画像濃度変化率は下記の計算式(1)により求めた。画像濃度は透過/反射濃度計(X-Rite社製310TR)で測定した。
計算式(1):耐ガス性(%)=(オゾン暴露試験後画像濃度/オゾン暴露試験前の画像濃度)×100(%)
(吐出性)
キヤノン製インクジェット記録用ヘッド評価装置CANVAS及びキヤノン製プリンターBJF-660用プリントヘッドを用いて、プリンターで印字するヘッド駆動条件と同じ条件で液体組成物の吐出速度のばらつきを判定した。
◎:1m/s以下。
○:1m/sを超えて、2m/s以下。
△:2m/sを超えて、4m/s以下。
×:4m/sを超える。
(耐擦過性)
ブラック単色ベタ部(100%)上を40g/cm2加重でシルボン紙にて5回擦った後、上記耐ガス性の試験を行い、下記基準で目視評価した。
○:擦過部に擦り傷状の変色なし。
△:わずかに擦過部に擦り傷状の変色が認められるが、30センチ離して観察するとわからなくなる。
×:30センチ離して観察しても擦過部に擦り傷状の変色有り。
(色味)
シアン単色ベタ部(90%と100%)の色味を下記基準で目視評価した。
○:100%シアンベタ部で色味の変化がない。
△:90%シアンベタ部で色味の変化がない。
×:90%シアンベタ部で若干赤みがかかっている。
(被覆層のべとつき)
上記で作成した被覆層形成後の画像記録物のべとつき感を下記基準で評価した。
◎:被覆層形成後20秒後でべとつき感がない。
○:被覆層形成後20秒後でべとつき感は若干有るものの、60秒後ではなくなる。
×:被覆層形成後60秒後でべとつき感がある。
(発色性)
上記で作成した被覆層形成後の画像記録物の黒インク単色ベタ(100%)部のODを測定(X-Rite社製、310TR)した。
(にじみ)
上記で作成したベタ画像の縁部のにじみを下記基準で目視評価した。
○:2次色ベタ印字(200%)でにじみは発生していない。
△:単色ベタ印字(100%)でにじみは発生していない。
×:単色ベタ印字(100%)でにじみが発生している。
(ビーディング)
上記で作成したベタ画像のビーディングを下記基準で目視評価した。
○:2次色ベタ印字(200%)でビーディングは発生していない。
△:単色ベタ印字(100%)でビーディングは発生していない。
×:単色ベタ印字(100%)でビーディングが発生している。
(液体組成物の製造)
{液体組成物A}
ラジカル開始剤を用いた溶液重合法により合成したスチレン-アクリル共重合体A(St(スチレン)/AA(アクリル酸)=70/30(質量%)、分子量:1万、酸価201)を用いて、下記組成の液体組成物Aを作成した。なお、塩基性物質としては水酸化カリウムを用い、各液体組成物のpHが8.0となるように添加量は調整した。
・スチレン−アクリル共重合体A:3部
・グリセリン:7部
・ジエチレングリコール:5部
・水:85部
{液体組成物B}
スチレン-アクリル共重合体を表1に示すようにかえた以外は液体組成物Aと同様にして液体組成物B、を調整した。
(記録媒体の製造)
{記録媒体A}
アルミナ水和物としてDisperal HP13(商品名: CONDEA社製)を純水に混合して固形分が5質量%の分散液とした。次に、これに塩酸を加えpH4に調整してしばらく攪拌した。その後、この分散液を攪拌をしながら95℃まで昇温し、その温度で2時間保持を行なった。次に、苛性ソーダによりpHを9.5に調整し、その後、8時間攪拌保持を行なった。8時間後、分散液の温度を室温に戻し、pHを7.2に調整した。その後、脱塩処理を行い、続いて酢酸を添加して解膠処理してコロイダルゾルを得た。このコロイダルゾルを乾燥して得たアルミナ水和物をX線回折により測定したところ、擬ベーマイト構造を有するものであった。また、この時のBET表面積は、150.2m2/g、細孔容積は0.68(ml/g)であった。なお、比表面積、細孔容積は下記の方法でもとめた。1)細孔容積(PV):120℃で24時間脱気処理した後、窒素吸着脱離法によりカンタクローム社製、「オートソーブI」(商品名)を用いて測定した。
2)BET比表面積(SA):Brunauerらの方法を用いて計算し、求めた。
{記録媒体A〜D}
上記のように作成した記録媒体上にワイヤーバーにより、硝酸水溶液を塗工、乾燥して表1に示す表面pHに調整した記録媒体A〜Dを得た。
液体組成物と記録媒体を表1に示した組み合わせで下記評価を行った。記録物断面の走査型電子顕微鏡観察で、表1に示す厚みの薄膜の形成が認められた。結果を表1に示す。なお、参考例4ではモノマー組成を変更したスチレン-アクリル共重合体Bを使用した。
参考例1で使用した液体組成物中Aのスチレンアクリル共重合体の含有量を8部(液体組成物D、参考例6)、0.5部(液体組成物E、参考例7)及び0.2部(液体組成物F、参考例8)にそれぞれ変えたところ、薄膜層の厚みはそれぞれ920nm、50nm、20nmであった。
(評価方法)
(印字)
記録信号に応じた熱エネルギーをインクに付与することによりインクを吐出させるオンデマンド型マルチ記録ヘッドを有するインクジェット記録装置(キヤノン製BJF660)を用いて下記組成のカラーインクの単色印字(90%と100%)と2次色印字(200%)を行った。
・インク染料(Y、M、CまたはBk):5部
・エチレングリコール:10部
・ポリエチレングリコール:10部
・水:75部
インク染料
Y:C.I.アシッドイエロー23
M:C.I.アシッドレッド52
C:C.I.ダイレクトブルー199
Bk:C.I.フードブラック2
(被覆層形成:インクジェット方法)
上記色材を含む記録液の印字後、各色インクのベタ印字を行った部位を完全に覆うように同じ方法で液体組成物のベタ印字(200%)を行った。
上記色材を含む記録液の印字後、各色インクのベタ印字を行った部位を完全に覆うようにロールコーターで液体組成物を20g/m2付与した。
上記で作成したブラック単色ベタ部(100%)について耐ガス性を先に記載の方法により評価し、表1に示した。
(色味)
上記で作成したシアン単色ベタ部(90%と100%)の色味を先に記載の方法により評価し、表1に示した。
(液体組成物の製造)
{液体組成物1A}
ラジカル開始剤を用いた溶液重合法により合成したスチレン-アクリル酸共重合体1A(St/AA=80/20(質量%)、分子量:1万、実測酸価:132)を用いて、下記組成の液体組成物1Aを作成した。なお、塩基性物質としては水酸化カリウムを用い、各液体組成物のpHが8.0となるように添加量は調整した。
スチレン−アクリル酸共重合体1A:3部
・グリセリン:7部
・ジエチレングリコール:5部
・水:84部
・BC−30TX(日本サーファクタント工業製 ポリオキシエチレンセチルエーテルEO数 30):1部
{液体組成物1D}
使用する共重合体をスチレン-アクリル酸共重合体1Aの替わりに、ラジカル開始剤を用いた溶液重合法により合成したアクリル酸ベンジル-アクリル酸共重合体1D(BzA/AA=90/10(質量%)、分子量:11000、実測酸価:70)を用いて、液体組成物1Aと同様の方法で液体組成物Dを作成した。
{液体組成物1E}
使用する共重合体をスチレン-アクリル酸共重合体1Aの替わりに、ラジカル開始剤を用いた溶液重合法により合成したメタクリル酸n-ブチル-アクリル酸共重合体1E(n-BMA/AA=80/20(質量%)、分子量:10500、実測酸価:130)を用いて、液体組成物Aと同様の方法で液体組成物1Eを作成した。
{液体組成物1F}
メタアクリル酸-n-ブチル-アクリル酸共重合体1Eを用いて、下記組成の液体組成物1Fを作成した。なお、塩基性物質としては水酸化カリウムを用い、各液体組成物のpHが8.0となるように添加量は調整した。
・メタアクリル酸-n-ブチル−アクリル酸共重合体1E:3部
・グリセリン:7部
・ジエチレングリコール:5部
・水:84.95部
・BC−30TX(日本サーファクタント工業製 ポリオキシエチレンセチルエーテルEO数 30):0.05部
{液体組成物1G}
メタアクリル酸-n-ブチル-アクリル酸共重合体1Eを用いて、下記組成の液体組成物1Gを作成した。なお、塩基性物質としては水酸化カリウムを用い、各液体組成物のpHが8.0となるように添加量は調整した。
・アクリル酸-n-ブチル−アクリル酸共重合体1E:3部
・グリセリン:7部
・ジエチレングリコール:5部
・水:84部
・BC−5(日本サーファクタント工業製 ポリオキシエチレンセチルエーテルEO数 5):1部
(記録媒体)
参考例1で使用した記録媒体Bを用いた。
(評価方法)
(印字)
記録信号に応じた熱エネルギーをインクに付与することによりインクを吐出させるオンデマンド型マルチ記録ヘッドを有するインクジェット記録装置(キヤノン製BJF660)を用いて下記組成のカラーインクの単色印字(100%)を行った後、各色インクのベタ印字を行った部位を完全に覆うように液体組成物のベタ印字(200%)を行った。
・インク染料(Y、M、CまたはBk):4部
・エチレングリコール:5部
・グリセリン:10部
・エチレン尿素:5部
・水:76部
インク染料
Y:C.I.ダイレクトイエロー86
M:C.I.アシッドレッド52
C:C.I.ダイレクトブルー199
Bk:C.I.フードブラック2
(耐ガス性)
上記で作成したブラック単色ベタ部(100%)について耐ガス性を先に記載の方法により評価し、表2に示した。
(吐出性)
各液体組成物の吐出性を先に記載の方法により評価し、表2に示した。
(液体組成物の製造)
{液体組成物2A}
ラジカル開始剤を用いた溶液重合法により合成したアクリル酸n-ブチル/アクリル酸共重合体(nBA/AA=85/15(質量%)、分子量:1万)およびスチレン/アクリル酸共重合体(St/AA=70/30(質量%)、分子量:1万)を用いて、下記組成の液体組成物2Aを作成した。なお、塩基性物質としては水酸化カリウムを用い、各液体組成物のpHが8.0となるように添加量は調整した。
・アクリル酸n-ブチル/アクリル酸共重合体:1.5部
・スチレン/アクリル酸共重合体:1.5部
・グリセリン:7部
・ジエチレングリコール:5部
・水:85部
{液体組成物2D、2E}
アクリル酸n-ブチル/アクリル酸共重合体を表3に示したようにかえた以外は液体組成物2Aと同様にして液体組成物2Dおよび液体組成物2Eを調製した。
(記録媒体)
参考例1から3で使用した記録媒体AからCを用いた。
(実施例1〜3)
液体組成物と記録媒体を表4に示した組み合わせで下記評価を行った。記録物断面の走査型電子顕微鏡観察で、表4に示す厚みの表面上の被覆層及び表層での含浸層の形成が認められた。結果を表4に示す。
(実施例4及び5)
実施例1で使用した液体組成物中2Aのアクリル酸n-ブチル/アクリル酸共重合体の含有量を8部(液体組成物2D、実施例4)と0.5部(液体組成物2E、実施例5)にそれぞれかえて、表4に示した記録媒体との組合せで、先に記載した方法により耐ガス性、耐擦過性及び色味の評価を行った。評価結果を表4に示す。
(実施例6)
実施例1で使用した液体組成物2A中のアクリル酸n-ブチル/アクリル酸共重合体をアクリル酸2-エチルヘキシル/アクリル酸共重合体(2EHA/AA=85/15(質量%)、分子量:1万)に変えた以外は、液体組成物2Aと同様にして液体組成物2Fを調製した。表4に示す液体組成物と記録媒体の組合せで先に記載した方法により耐ガス性、耐擦過性及び色味の評価を行った。評価結果を表4に示す。
(実施例7)
記録媒体Bに画像を印字後、液体組成物2Aをワイヤーバーにより塗布した。このとき、記録媒体には、表面に0.9μmの被覆層、表層内部に1.1μmの含浸層の形成が認められた。この画像記録物を先に記載の評価方法により評価した結果、耐ガス性は98%、また、耐擦過性、色味、にじみ、画像表面のベタツキはいずれも○であった。
(評価用印字)
記録信号に応じた熱エネルギーをインクに付与することによりインクを吐出させるオンデマンド型マルチ記録ヘッドを有するインクジェット記録装置(キヤノン製BJF660)を用いて下記組成のカラーインクの単色印字(90%と100%)と2次色印字(200%)を行った後、各色インクのベタ印字を行った部位を完全に覆うように同じ方法で液体組成物のベタ印字(200%)を行った。
・インク染料(Y、M、CまたはBk):5部
・エチレングリコール:10部
・ポリエチレングリコール:10部
・水:75部
インク染料
Y:C.I.アシッドイエロー23
M:C.I.アシッドレッド52
C:C.I.ダイレクトブルー199
Bk:C.I.フードブラック2
<被記録媒体>
参考例1で使用した記録媒体Bを用いた。
<インク液体組成物に係る水溶性高分子共重合体の製造例>
製造例3−1
撹拌器、還流冷却管付きの反応器に重合溶剤であるプロピレングリコールモノメチルエーテル(以下PGMと略記する)を150g入れ窒素ガスを吹き込み撹拌しながら還流温度まで加熱した。別途、ベンジルメタアクリレート70.0g、メタアクリル酸30.0gを仕込んだ滴下漏斗を用意した。またPGM100gと重合開始剤ターシャリーブチルパーオキシベンゾエート2.0gを入れ滴下漏斗を別途用意し、これらの二つの滴下漏斗からそれぞれを2時間かけて前記の反応器中に滴下した。滴下終了後は70から80℃で2時間保温した。その後、窒素ガスを停止し水蒸気蒸留により溶剤であるPGMを系外へ除去し、48%苛性ソーダ29.1gとイオン交換水200gを添加して中和を行った。得られた高分子共重合体の水溶液は無色透明溶液であった。また実測酸価は172で質量平均分子量が9700であった。
製造例3−2
撹拌器、還流冷却管付きの反応器に重合溶剤であるPGMを150g入れ窒素ガスを吹き込み撹拌しながら還流温度まで加熱した。別途、シクロヘキシルアクリレート80.0g、アクリル酸20.0gを仕込んだ滴下漏斗を用意した。またPGM100gと重合開始剤ターシャリーブチルパーオキシベンゾエート2.0gを入れ滴下漏斗を別途用意し、これらの二つの滴下漏斗からそれぞれを2時間かけて前記の反応器中に滴下した。滴下終了後は70から80℃で2時間保温した。その後、窒素ガスを停止し水蒸気蒸留により溶剤であるPGMを系外へ除去し、48%苛性ソーダ23.1gとイオン交換水200gを添加して中和を行った。得られた高分子共重合体の水溶液は無色透明溶液であった。また実測酸価は126で重量平均分子量が7100であった。
製造例3−3
撹拌器、還流冷却管付きの反応器に重合溶剤であるPGMを150g入れ窒素ガスを吹き込み撹拌しながら還流温度まで加熱した。別途、スチレン68.0g、アクリル酸32.0gを仕込んだ滴下漏斗を用意した。またPGM100gと重合開始剤ターシャリーブチルパーオキシベンゾエート2.0gを入れ滴下漏斗を別途用意し、これらの二つの滴下漏斗からそれぞれを2時間かけて前記の反応器中に滴下した。滴下終了後は70から80℃で2時間保温した。その後、窒素ガスを停止し水蒸気蒸留により溶剤であるPGMを系外へ除去し、48%苛性ソーダ18.5gとイオン交換水200gを添加して中和を行った。得られた高分子共重合体の水溶液は淡黄色透明溶液であった。また実測酸価は205で重量平均分子量が7900であった。
製造例3−4
撹拌器、還流冷却管付きの反応器に重合溶剤であるPGMを150g入れ窒素ガスを吹き込み撹拌しながら還流温度まで加熱した。別途、ブチルメタクリレート84.0g、アクリル酸16.0gを仕込んだ滴下漏斗を用意した。またPGM100gと重合開始剤ターシャリーブチルパーオキシベンゾエート2.0gを入れ滴下漏斗を別途用意し、これらの二つの滴下漏斗からそれぞれを2時間かけて前記の反応器中に滴下した。滴下終了後は70から80℃で2時間保温した。その後、窒素ガスを停止し水蒸気蒸留により溶剤であるPGMを系外へ除去し、48%苛性ソーダ37.0gとイオン交換水200gを添加して中和を行った。得られた高分子共重合体の水溶液は淡黄色透明溶液であった。また実測酸価は115で重量平均分子量が9500であった。
製造例3−5
撹拌器、還流冷却管付きの反応器に重合溶剤であるPGMを150g入れ窒素ガスを吹き込み撹拌しながら還流温度まで加熱した。別途、スチレン65g、n−ブチルアクリレート15g、アクリル酸20gを仕込んだ滴下漏斗を用意した。またPGM100gと重合開始剤ターシャリーブチルパーオキシベンゾエート2.0gを入れ滴下漏斗を別途用意し、これらの二つの滴下漏斗からそれぞれを2時間かけて前記の反応器中に滴下した。滴下終了後は70から80℃で2時間保温した。その後、窒素ガスを停止し水蒸気蒸留により溶剤であるPGMを系外へ除去し、48%苛性ソーダ23.1gとイオン交換水200gを添加して中和を行った。得られた高分子共重合体の水溶液は淡黄色透明溶液であった。また実測酸価は145で重量平均分子量が10500であった。
製造例3−6
撹拌器、還流冷却管付きの反応器に重合溶剤であるPGMを150g入れ窒素ガスを吹き込み撹拌しながら還流温度まで加熱した。別途、n−ブチルアクリレート85g、アクリル酸15gを仕込んだ滴下漏斗を用意した。またPGM100gと重合開始剤ターシャリーブチルパーオキシベンゾエート2.0gを入れ滴下漏斗を別途用意し、これらの二つの滴下漏斗からそれぞれを2時間かけて前記の反応器中に滴下した。滴下終了後は70から80℃で2時間保温した。その後、窒素ガスを停止し水蒸気蒸留により溶剤であるPGMを系外へ除去し、48%苛性ソーダ17.3gとイオン交換水200gを添加して中和を行った。得られた高分子共重合体の溶液は淡黄色透明溶液であった。また実測酸価は108で重量平均分子量が10200であった。
<インクジェット記録用インク液体組成物の調整>
液体組成物31
インクの調整は以下の通りに行なう。すなわち製造例3−1で得られた水溶性高分子共重合体をグリセリン、ジエチレングリコール、トリメチロールプロパン、イオン交換水と以下に記載する質量比で混合し、30分攪拌する。その後、0.2μmのメンブランフィルターで濾過し、液体組成物31を調整した。
グリセリン:7質量%
ジエチレングリコール:5質量%
トリメチロールプロパン:7質量%
製造例3−1で得られた水溶性高分子共重合体
(ポリマー固形分濃度として):3質量%
イオン交換水:78質量%
以下の液体組成物32から35を液体組成物31に準じて調整した。
液体組成物32
グリセリン:7質量%
ジエチレングリコール:5質量%
トリメチロールプロパン:7質量%
製造例3−2で得られた水溶性高分子共重合体
(ポリマー固形分濃度として):3質量%
イオン交換水:78質量%
液体組成物33
グリセリン:7質量%
ジエチレングリコール:5質量%
トリメチロールプロパン:7質量%
製造例3−3で得られた水溶性高分子共重合体
(ポリマー固形分濃度として):3質量%
イオン交換水:78質量%
液体組成物34
グリセリン:7質量%
ジエチレングリコール:5質量%
トリメチロールプロパン:7質量%
製造例3−4で得られた水溶性高分子共重合体
(ポリマー固形分濃度として):3質量%
イオン交換水:78質量%
液体組成物35
グリセリン:7質量%
ジエチレングリコール:5質量%
トリメチロールプロパン:7質量%
製造例3−5で得られた水溶性高分子共重合体
(ポリマー固形分濃度として):3質量%
イオン交換水:78質量%
液体組成物36
グリセリン:7質量%
ジエチレングリコール:5質量%
トリメチロールプロパン:7質量%
製造例3−6で得られた水溶性高分子共重合体
(ポリマー固形分濃度として):3質量%
イオン交換水:78質量%
重合度100のポバールを用いて液体組成物37を下記のような組成にてインク
31と同様に作成した。
液体組成物37
グリセリン:7質量%
ジエチレングリコール:5質量%
トリメチロールプロパン:7質量%
ポバール(重合度100)
(ポリマー固形分濃度として):3質量%
イオン交換水:78質量%
(参考例14〜19、比較例1)
液体組成物31から37を下記方法により評価した。結果を表5に示した。
被記録媒体Bをそのまま使用して(液体組成物を塗布しないで)ブランクとした。
(評価方法)
(印字)
記録信号に応じた熱エネルギーをインクに付与することによりインクを吐出させるオンデマンド型マルチ記録ヘッドを有するインクジェット記録装置(キヤノン製BJF660)を用いて下記組成のカラーインクの単色印字(100%)と2次色印字(200%)を行った後、各色インクのベタ印字を行った部位を完全に覆うように液体組成物のベタ印字(200%)を行い、更に未印字部にも同じ方法で液体組成物のベタ印字(200%)を行った。
・インク染料(Y、M、CまたはBk):4部
・エチレングリコール:5部
・グリセリン:10部
・エチレン尿素:5部
・水:76部
インク染料
Y:C.I.ダイレクトイエロー86
M:C.I.アシッドレッド52
C:C.I.ダイレクトブルー199
Bk:C.I.フードブラック2
(耐ガス性)
上記で作成したブラック単色ベタ部(100%)について耐ガス性を先に記載の方法により評価し、表5に示した。
製造例3―1で得られた高分子共重合体を1.0部、3.0部、6.0部、含有するインク液体組成物をそれぞれ以下の方法で調整した。
(参考例20)
製造例3−1で得られた高分子共重合体が1.0部の場合は次の方法で調整した。
グリセリン:7質量%
ジエチレングリコール:5質量%
トリメチロールプロパン:7質量%
製造例3−1で得られた水溶性高分子共重合体
(ポリマー固形分濃度として):1質量%
イオン交換水:80質量%
製造例3−1で得られた高分子共重合体が3.0部の場合は次の方法で調整した。
グリセリン:7質量%
ジエチレングリコール:5質量%
トリメチロールプロパン:7質量%
製造例3−1で得られた水溶性高分子共重合体
(ポリマー固形分濃度として):3質量%
イオン交換水:78質量%
製造例3−1で得られた高分子共重合体が6.0部の場合は次の方法で調整した。
グリセリン:7質量%
ジエチレングリコール:5質量%
トリメチロールプロパン:7質量%
製造例3−1で得られた水溶性高分子共重合体
(ポリマー固形分濃度として):6質量%
イオン交換水:75質量%
同様に、ポバール(重合度100)(比較例3)について参考例20と同様の方法で調整した。これらの液体組成物と記録媒体Bを組み合わせて参考例14〜19と同様にして評価を行った。結果を表6に示す。
<被記録媒体>
参考例1で使用した記録媒体Bを用いた。
<インク液体組成物に係る水溶性高分子共重合体の製造例>
製造例4−1
撹拌器、還流冷却管付きの反応器に重合溶剤であるプロピレングリコールモノメチルエーテル(以下PGMと略記する)を150g入れ窒素ガスを吹き込み撹拌しながら還流温度まで加熱した。別途、スチレン69.0g、メタアクリル酸30.0g、2−(2'−ヒドロキシ−5'−メタクリロキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール1.0gを仕込んだ滴下漏斗を用意した。またPGM100gと重合開始剤ターシャリーブチルパーオキシベンゾエート2.0gを入れ滴下漏斗を別途用意し、これらの二つの滴下漏斗からそれぞれを2時間かけて前記の反応器中に滴下した。滴下終了後は70から80℃で2時間保温した。その後、窒素ガスを停止し水蒸気蒸留により溶剤であるPGMを系外へ除去し、48%苛性ソーダ29.1gとイオン交換水200gを添加して中和を行った。得られた高分子共重合体の水溶液は無色透明溶液であった。
製造例4−2
撹拌器、還流冷却管付きの反応器に重合溶剤であるPGMを150g入れ窒素ガスを吹き込み撹拌しながら還流温度まで加熱した。別途、スチレン65.0g、メタアクリル酸30.0g、2−(2'−ヒドロキシ−5'−メタクリロキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール5.0gを仕込んだ滴下漏斗を用意した。またPGM100gと重合開始剤ターシャリーブチルパーオキシベンゾエート2.0gを入れ滴下漏斗を別途用意し、これらの二つの滴下漏斗からそれぞれを2時間かけて前記の反応器中に滴下した。滴下終了後は70から80℃で2時間保温した。その後、窒素ガスを停止し水蒸気蒸留により溶剤であるPGMを系外へ除去し、48%苛性ソーダ29.1gとイオン交換水200gを添加して中和を行った。得られた高分子共重合体の水溶液は無色透明溶液であった。
製造例4−3
撹拌器、還流冷却管付きの反応器に重合溶剤であるPGMを150g入れ窒素ガスを吹き込み撹拌しながら還流温度まで加熱した。別途、スチレン60.0g、メタアクリル酸30.0g、2−(2'−ヒドロキシ−5'−メタクリロキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール10.0gを仕込んだ滴下漏斗を用意した。またPGM100gと重合開始剤ターシャリーブチルパーオキシベンゾエート2.0gを入れ滴下漏斗を別途用意し、これらの二つの滴下漏斗からそれぞれを2時間かけて前記の反応器中に滴下した。滴下終了後は70から80℃で2時間保温した。その後、窒素ガスを停止し水蒸気蒸留により溶剤であるPGMを系外へ除去し、48%苛性ソーダ29.1gとイオン交換水200gを添加して中和を行った。得られた高分子共重合体の水溶液は淡黄色透明溶液であった。
製造例4−4
撹拌器、還流冷却管付きの反応器に重合溶剤であるPGMを150g入れ窒素ガスを吹き込み撹拌しながら還流温度まで加熱した。別途、スチレン50.0g、メタアクリル酸30.0g、2−(2'−ヒドロキシ−5'−メタクリロキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール20.0gを仕込んだ滴下漏斗を用意した。またPGM100gと重合開始剤ターシャリーブチルパーオキシベンゾエート2.0gを入れ滴下漏斗を別途用意し、これらの二つの滴下漏斗からそれぞれを2時間かけて前記の反応器中に滴下した。滴下終了後は70から80℃で2時間保温した。その後、窒素ガスを停止し水蒸気蒸留により溶剤であるPGMを系外へ除去し、48%苛性ソーダ29.1gとイオン交換水200gを添加して中和を行った。得られた高分子共重合体の水溶液は淡黄色透明溶液であった。
<液体組成物の調整>
インクの調整は以下の通りに行う。すなわち製造例4−1で得られた水溶性高分子共重合体をグリセリン、ジエチレングリコール、トリメチロールプロパン、イオン交換水と以下に記載する質量比で混合し、30分攪拌する。その後、0.2μmのメンブランフィルターで濾過し、液体組成物41を調整した。
液体組成物41
グリセリン:7質量%
ジエチレングリコール:5質量%
トリメチロールプロパン:7質量%
製造例4−1で得られた水溶性高分子共重合体
(ポリマー固形分濃度として):4質量%
イオン交換水:77質量%
(耐ガス性)
上記で作成したブラック単色ベタ部(100%)について耐ガス性を先に記載の方法により評価し、表7に示した。
<耐光性>
上記で作成したマゼンタ単色ベタ部(100%)を、蛍光灯耐光性試験機を用いて、下記条件で耐光暴露試験を行ない、耐光性を以下の計算式(2)で求めた耐光性試験後の画像濃度変化率(%)で評価した。得られた結果を表7に示した。
計算式(2):耐ガス性(%)=(蛍光灯試験後画像濃度/蛍光灯試験前の画像濃度)×100(%)
試験条件;
照射光量:70klux
試験時間:620時間
試験層内温湿度条件:24℃・60%RH
フィルタ:ソーダライム
<UV吸光スペクトル測定>
上記液体組成物41をPETフィルム上に塗布し薄膜形成させ、PETフィルムをブランクとしてUV吸光スペクトル(日立製作所製:U−3300)を測定したところ、最大吸収波長が338.5nmであり、吸光度が0.15であった。さらにSEM観察の結果、膜厚が0.48μmであったので、吸光係数を算出した結果、e=0.31であった。
以下の液体組成物を液体組成物41に準じて調整した。
液体組成物42
グリセリン:7質量%
ジエチレングリコール:5質量%
トリメチロールプロパン:7質量%
製造例4−2で得られた水溶性高分子共重合体
(ポリマー固形分濃度として):4質量%
イオン交換水:77質量%
液体組成物43
グリセリン:7質量%
ジエチレングリコール:5質量%
トリメチロールプロパン:7質量%
製造例4−3で得られた水溶性高分子共重合体
(ポリマー固形分濃度として):4質量%
イオン交換水:77質量%
液体組成物44
グリセリン:7質量%
ジエチレングリコール:5質量%
トリメチロールプロパン:7質量%
製造例4−4で得られた水溶性高分子共重合体
(ポリマー固形分濃度として):4質量%
イオン交換水:77質量%
参考例21と同様に、液体組成物42から44についても、評価を行った。
液体組成物を塗布しないこと以外は参考例21と同様に評価を行った。参考例21から24の耐ガス性、耐光性評価結果を比較例4とあわせて表7に示した。
(液体組成物の製造)
{液体組成物5A}
ラジカル開始剤を用いた溶液重合法により合成したスチレン-アクリル共重合体5A(St/AA=70/30(質量%)、分子量:10500、酸価206)を用いて、下記組成の液体組成物5Aを作成した。なお、塩基性物質としては水酸化カリウムを用い、各液体組成物のpHが8.0となるように添加量は調整した。
・スチレン−アクリル共重合体6A:3部
・グリセリン:7部
・ジエチレングリコール:5部
・水:85部
{液体組成物5B、5C}
スチレン−アクリル共重合体を表9に示すようにかえた以外は液体組成物5Aと同様にして液体組成物5B、5Cを調整した。なお、表9におけるStはスチレンモノマーをAAはアクリル酸モノマーを示す。
(記録媒体の製造)
{記録媒体5A}
米国特許明細書第4242271号に記載された方法でアルミニウムsec―ブトキシドを製造した。上記アルミニウムsec―ブトキシド濃度75質量%のsec−ブチルアルコールの混合液を、水30質量%を含有するsec−ブチルアルコールの混合液により85℃で加水分解してアルミナスラリーを得た。このアルミナスラリーを電磁攪拌式オートクレープ中、125℃、3時間エージングした後、直ちに固形分濃度20質量%となる量の水を加え冷却した。更に3.8%の硝酸水溶液によりpH調整してアルミナ水和物5Aを得た。このコロイダルゾルを乾燥して得たアルミナ水和物AをX線回折により測定したところ、擬ベーマイト構造を有するものであった。また、この時のBET表面積は、175m2/g、細孔容積は0.65(ml/g)であった。なお、比表面積、細孔容積は下記の方法でもとめた。
1)細孔容積(PV):120℃で24時間脱気処理した後、窒素吸着脱離法によりカンタクローム社製、「オートソーブI」(商品名)を用いて測定した。
2)BET比表面積(SA):Brunauerらの方法を用いて計算し、求めた。
{記録媒体5B〜5D}
記録媒体Aに用いたアルミナ水和物合成時の温度、エージング時間を変化させて表10に示すアルミナ水和物5B〜5Dを用いた以外は記録媒体5Aと同様にして記録媒体5B〜5D(各表面pH6.0)を得た。
{記録液5A}
下記組成の記録液5Aを調整した。
・インク染料(Y、M、CまたはBk):5部
・エチレングリコール:10部
・ポリエチレングリコール:10部
・水:75部
インク染料
Y:C.I.アシッドイエロー23
M:C.I.アシッドレッド52
C:C.I.ダイレクトブルー199
Bk:C.I.フードブラック2
{記録液5B}
下記組成の記録液5Bを調整した。
・インク染料(Y、M、C、Bk):5部
・エチレングリコール:10部
ポリエチレングリコール:10部
アセチレノールEH(川研ファインケミカル工業製):2部
・水:73部
インク染料
Y:C.I.アシッドイエロー23
M:C.I.アシッドレッド52
C:C.I.ダイレクトブルー199
Bk:C.I.フードブラック2
液体組成物、記録液、記録媒体及び被覆層形成方法を表9、10及び11に示した組み合わせで下記評価を行った。
(評価方法)
(印字)
記録信号に応じた熱エネルギーをインクに付与することによりインクを吐出させるオンデマンド型マルチ記録ヘッドを有するインクジェット記録装置(キヤノン製BJF660)を用いて各カラーインクの単色印字(100%)と2次色印字(200%)を行った。
(被覆層形成:インクジェット(IJ)方法)
上記色材を含む記録液の印字後、5秒及び60秒後に各色インクのベタ印字を行った部位を完全に覆うように同じ方法で液体組成物のベタ印字(200%)を行った。
(被覆層形成:塗布方式)
上記色材を含む記録液の印字後、5秒及び60秒後に各色インクのベタ印字を行った部位を完全に覆うようにロールコーター(RC)で液体組成物を20g/m2付与した。
上記で作成したブラック単色ベタ部(100%)について耐ガス性を先に記載の方法により評価し、その結果を表11に示した。
(被覆層のべとつき)
上記で作成した被覆層形成後の画像記録物のべとつき感を、先に記載した方法で評価した。
(発色性)
上記で作成した被覆層形成後の画像記録物の黒インク単色ベタ(100%)部のODを先に記載した方法で評価した。
(にじみ)
上記で作成したベタ画像の縁部のにじみを、先に記載した方法で評価した。
(ビーディング)
上記で作成したベタ画像のビーディングを、先に記載した方法で評価した。
(液体組成物の製造)
{液体組成物6A}
ラジカル開始剤を用いた溶液重合法により合成したスチレン-アクリル共重合体6A(スチレン(St)/アクリル酸(AA)=70/30(質量%)、分子量:1万、酸価:201)を用いて、下記組成の液体組成物6Aを作成した。なお、塩基性物質としては水酸化カリウムを用い、各液体組成物のpHが8.0となるように添加量は調整した。
・スチレン−アクリル共重合体6A:3部
・グリセリン:7部
・ジエチレングリコール:5部
・水:85部
{液体組成物6B、6C}
スチレン-アクリル共重合体を表12に示すように変えた以外は液体組成物6Aと同様にして液体組成物6B、6Cを調製した。
{記録媒体6A}
アルミナ水和物としてDisperal HP13(商品名: CONDEA社製)を純水に混合して固形分が5質量%の分散液とした。次に、これに塩酸を加えpH4に調整してしばらく攪拌した。その後、この分散液を攪拌しながら95℃まで昇温し、その温度で2時間保持を行なった。次に、苛性ソーダによりpHを9.5に調整し、その後、8時間攪拌保持を行なった。8時間後、分散液の温度を室温に戻し、pHを7.2に調整した。その後、脱塩処理を行い、続いて酢酸を添加して解膠処理してコロイダルゾルを得た。このコロイダルゾルを乾燥して得たアルミナ水和物をX線回折により測定したところ、擬ベーマイト構造を有するものであった。また、この時のBET表面積は、150.2m2/g、細孔容積は0.68(ml/g)であった。なお、比表面積、細孔容積は下記の方法で求めた。
1)細孔容積(PV):120℃で24時間脱気処理した後、窒素吸着脱離法によりカンタクローム社製、「オートソーブI」(商品名)を用いて測定した。
2)BET比表面積(SA):Brunauerらの方法を用いて計算し、求めた。
{記録媒体6B〜6E}
記録媒体6Aの塩化カルシウム(多価金属塩)と多価金属イオン濃度を表12のようにかえた以外は記録媒体6Aと同様にして、記録媒体6B〜6Eを得た。
液体組成物と記録媒体を表12に示した組み合わせで下記評価を行った。記録物断面の走査型電子顕微鏡観察で、表12に示す厚みの薄膜の形成が認められた。結果を表12に示す。
参考例34で使用した液体組成物中6Aのスチレンアクリル共重合体の含有量を6部(液体組成物6D、参考例43)、1.0(液体組成物6E、参考例44)及び0.2(液体組成物6F、参考例45)にそれぞれ変えたところ、薄膜層の厚みはそれぞれ970nm、50nm及び20nmであった。
(印字)
記録信号に応じた熱エネルギーをインクに付与することによりインクを吐出させるオンデマンド型マルチ記録ヘッドを有するインクジェット記録装置(キヤノン製BJF660)を用いて下記組成のカラーインクの単色印字(90%と100%)と2次色印字(200%)を行った。
・インク染料(Y、M、CまたはBk):5部
・エチレングリコール:10部
・ポリエチレングリコール:10部
・水:75部
インク染料
Y:C.I.アシッドイエロー23
M:C.I.アシッドレッド52
C:C.I.ダイレクトブルー199
Bk:C.I.フードブラック2
(被覆層形成:インクジェット方法)
上記色材を含む記録液の印字後、各色インクのベタ印字を行った部位を完全に覆うように同じ方法で液体組成物のベタ印字(200%)を行った。
(被覆層形成:塗布方式)
上記色材を含む記録液の印字後、各色インクのベタ印字を行った部位を完全に覆うようにロールコーターで液体組成物を20g/m2付与した。
上記で作成したブラック単色ベタ部(100%)について耐ガス性を先に記載の方法により評価し、その結果を表12に示した。
(色み)
上記で作成したシアン単色ベタ部(90%と100%)の色味を、先に記載の方法で評価し、その結果を表12に示した。
○:100%シアンベタ部で色みの変化がない。
△:90%シアンベタ部で色みの変化がない。
×:90%シアンベタ部で若干赤みがかかっている。
(液体組成物の製造)
{液体組成物7A}
ラジカル開始剤を用いた溶液重合法により合成したスチレン-アクリル酸共重合体7A(St/AA=80/20(質量%)、分子量:1万、実測酸価:132)を用いて、下記組成の液体組成物7Aを作成した。なお、塩基性物質としては水酸化カリウムを用い、各液体組成物のpHが8.0となるように添加量は調整した。
・スチレン−アクリル酸共重合体7A:3部
・グリセリン:7部
・ジエチレングリコール:5部
・水:84部
・BC−30TX(日本サーファクタント工業製 ポリオキシエチレンセチルエーテルEO数 30):1部
{液体組成物7B}
使用する共重合体をスチレン-アクリル酸共重合体7Aのかわりに、ラジカル開始剤を用いた溶液重合法により合成したアクリル酸ベンジル−アクリル酸共重合体7B(BzA/AA=90/10(質量%)、分子量:11000、実測酸価:70)を用いて、液体組成物7Aと同様の方法で液体組成物7Bを作成した。
使用する共重合体をスチレン-アクリル酸共重合体7Aのかわりに、ラジカル開始剤を用いた溶液重合法により合成したメタクリル酸n-ブチル−アクリル酸共重合体7C(n−BMA/AA=80/20(質量%)、分子量:10500、実測酸価:130)を用いて、液体組成物7Aと同様の方法で液体組成物7Cを作成した。
{液体組成物7D}
メタアクリル酸-n-ブチル-アクリル酸共重合体7Cを用いて、下記組成の液体組成物7Dを作成した。なお、塩基性物質としては水酸化カリウムを用い、各液体組成物のpHが8.0となるように添加量は調整した。
・メタアクリル酸-n-ブチル−アクリル酸共重合体7C:3部
・グリセリン:7部
・ジエチレングリコール:5部
・水:84.95部
・BC−30TX(日本サーファクタント工業製 ポリオキシエチレンセチルエーテルEO数 30): 0.05部
{液体組成物7E}
メタアクリル酸-n-ブチル-アクリル酸共重合体7Cを用いて、下記組成の液体組成物7Eを作成した。なお、塩基性物質としては水酸化カリウムを用い、各液体組成物のpHが8.0となるように添加量は調整した。
・メタアクリル酸-n-ブチル−アクリル酸共重合体7C:3部
・グリセリン:7部
・ジエチレングリコール:5部
・水:84部
・BC−5(日本サーファクタント工業製 ポリオキシエチレンセチルエーテルEO数 5):1部
(記録媒体)
参考例34で使用した記録媒体6Bを用いた。
(評価方法)
(印字)
記録信号に応じた熱エネルギーをインクに付与することによりインクを吐出させるオンデマンド型マルチ記録ヘッドを有するインクジェット記録装置(キヤノン製BJF660)を用いて下記組成のカラーインクの単色印字(100%)を行った後、各色インクのベタ印字を行った部位を完全に覆うように液体組成物のベタ印字(200%)を行った。
・インク染料(Y、M、CまたはBk):4部
・エチレングリコール:5部
・グリセリン:10部
・エチレン尿素:5部
・水:76部
インク染料
Y:C.I.ダイレクトイエロー86
M:C.I.アシッドレッド52
C:C.I.ダイレクトブルー199
Bk:C.I.フードブラック2
(耐ガス性)
上記で作成したブラック単色ベタ部(100%)について耐ガス性を先に記載の方法により評価し、その結果表13に示した。
(吐出性)
先に記載方法で液体組成物の吐出性を評価し、その結果を表13に示した。
(参考例46〜50)
液体組成物と記録媒体を表13に示した組み合わせで上記評価を行った。
(液体組成物の製造)
{液体組成物8A}
ラジカル開始剤を用いた溶液重合法により合成したアクリル酸n-ブチル/アクリル酸共重合体(nBA/AA=85/15(質量%)、分子量:1万)およびスチレン/アクリル酸共重合体(St/AA=70/30(質量%)、分子量:1万)を用いて、下記組成の液体組成物8Aを作成した。なお、塩基性物質としては水酸化カリウムを用い、各液体組成物のpHが8.0となるように添加量は調整した。
・アクリル酸n-ブチル/アクリル酸共重合体:1.5部
・スチレン/アクリル酸共重合体:1.5部
・グリセリン:7部
・ジエチレングリコール:5部
・水:85部
(記録媒体)
参考例34から36で使用した記録媒体6Aから6Cを用いた。
液体組成物と記録媒体を表15に示した組み合わせで下記評価を行った。記録物断面の走査型電子顕微鏡観察で、表15に示す厚みの被覆層の形成が認められた。結果を表15に示す。
(実施例11〜14)
液体組成物中8Aのアクリル酸n-ブチル/アクリル酸共重合体の含有量を8部(液体組成物8B)と0.5部(液体組成物8C)にかえて、表15に示した記録媒体との組合わせで下記評価を行った。評価結果を表15に示す。
液体組成物8A中のアクリル酸n-ブチル/アクリル酸共重合体をアクリル酸2-エチルヘキシル/アクリル酸共重合体(2EHA/AA=85/15(質量%)、分子量:1万)に変えた以外は、液体組成物8Aと同様にして液体組成物8Dを調製した。
(実施例13)
液体組成物と記録媒体を表15に示した組み合わせで下記評価を行った。結果を表15に示す。
(実施例14)
記録媒体6Bに画像を印字後、液体組成物8Aをワイヤーバーにより塗布した。このとき、記録媒体には、表面に0.34μmの被覆層、表層内部に1.0μmの含浸層の形成が認められた。この画像記録物を後述の評価方法により評価した結果、耐ガス性は98%、また、耐擦過性、色みはいずれも○であった。
(印字)
記録信号に応じた熱エネルギーをインクに付与することによりインクを吐出させるオンデマンド型マルチ記録ヘッドを有するインクジェット記録装置(キヤノン製BJF660)を用いて下記組成のカラーインクの単色印字(90%と100%)と2次色印字(200%)を行った後、各色インクのベタ印字を行った部位を完全に覆うように同じ方法で液体組成物のベタ印字(200%)を行った。
・インク染料(Y、M、CまたはBk):5部
・エチレングリコール:10部
・ポリエチレングリコール:10部
・水:75部
インク染料
Y:C.I.アシッドイエロー23
M:C.I.アシッドレッド52
C:C.I.ダイレクトブルー199
Bk:C.I.フードブラック2
(耐ガス性)
上記で作成したブラック単色ベタ部(100%)について耐ガス性を先に記載の方法により評価し、その結果を表14に示した。
(耐擦過性)
上記で作成したブラック単色ベタ部(100%)上について先に記載の方法で評価し、その結果を表14に示した。
(色味)
上記で作成したシアン単色ベタ部(90%と100%)の色味を、先に記載の方法で評価し、その結果を表14に示した。
<記録媒体>
参考例34で使用した記録媒体6Bを用いた。
<液体組成物に係る水溶性高分子共重合体の製造例>
製造例9−1
撹拌器、還流冷却管付きの反応器に重合溶剤であるプロピレングリコールモノメチルエーテル(以下PGMと略記する)を150g入れ窒素ガスを吹き込み撹拌しながら還流温度まで加熱した。別途、ベンジルメタアクリレート70.0g、メタアクリル酸30.0gを仕込んだ滴下漏斗を用意した。またPGM100gと重合開始剤ターシャリーブチルパーオキシベンゾエート2.0gを入れ滴下漏斗を別途用意し、これらの二つの滴下漏斗からそれぞれを2時間かけて前記の反応器中に滴下した。滴下終了後は70から80℃で2時間保温した。その後、窒素ガスを停止し水蒸気蒸留により溶剤であるPGMを系外へ除去し、48%苛性ソーダ29.1gとイオン交換水200gを添加して中和を行った。得られた高分子共重合体の水溶液は無色透明溶液であった。また実測酸価は172で重量平均分子量が9700であった。
製造例9―2
撹拌器、還流冷却管付きの反応器に重合溶剤であるPGMを150g入れ窒素ガスを吹き込み撹拌しながら還流温度まで加熱した。別途、シクロヘキシルアクリレート80.0g、アクリル酸20.0gを仕込んだ滴下漏斗を用意した。またPGM100gと重合開始剤ターシャリーブチルパーオキシベンゾエート2.0gを入れ滴下漏斗を別途用意し、これらの二つの滴下漏斗からそれぞれを2時間かけて前記の反応器中に滴下した。滴下終了後は70から80℃で2時間保温した。その後、窒素ガスを停止し水蒸気蒸留により溶剤であるPGMを系外へ除去し、48%苛性ソーダ23.1gとイオン交換水200gを添加して中和を行った。得られた高分子共重合体の水溶液は無色透明溶液であった。また実測酸価は126で重量平均分子量が7100であった。
撹拌器、還流冷却管付きの反応器に重合溶剤であるPGMを150g入れ窒素ガスを吹き込み撹拌しながら還流温度まで加熱した。別途、スチレン68.0g、アクリル酸32.0gを仕込んだ滴下漏斗を用意した。またPGM100gと重合開始剤ターシャリーブチルパーオキシベンゾエート2.0gを入れ滴下漏斗を別途用意し、これらの二つの滴下漏斗からそれぞれを2時間かけて前記の反応器中に滴下した。滴下終了後は70から80℃で2時間保温した。その後、窒素ガスを停止し水蒸気蒸留により溶剤であるPGMを系外へ除去し、48%苛性ソーダ18.5gとイオン交換水200gを添加して中和を行った。得られた高分子共重合体の水溶液は淡黄色透明溶液であった。また実測酸価は205で重量平均分子量が7900であった。
製造例9−4
撹拌器、還流冷却管付きの反応器に重合溶剤であるPGMを150g入れ窒素ガスを吹き込み撹拌しながら還流温度まで加熱した。別途、ブチルメタクリレート84.0g、アクリル酸16.0gを仕込んだ滴下漏斗を用意した。またPGM100gと重合開始剤ターシャリーブチルパーオキシベンゾエート2.0gを入れ滴下漏斗を別途用意し、これらの二つの滴下漏斗からそれぞれを2時間かけて前記の反応器中に滴下した。滴下終了後は70から80℃で2時間保温した。その後、窒素ガスを停止し水蒸気蒸留により溶剤であるPGMを系外へ除去し、48%苛性ソーダ37.0gとイオン交換水200gを添加して中和を行った。得られた高分子共重合体の水溶液は淡黄色透明溶液であった。また実測酸価は115で重量平均分子量が9500であった。
撹拌器、還流冷却管付きの反応器に重合溶剤であるPGMを150g入れ窒素ガスを吹き込み撹拌しながら還流温度まで加熱した。別途、スチレン65g、n−ブチルアクリレート15g、アクリル酸20gを仕込んだ滴下漏斗を用意した。またPGM100gと重合開始剤ターシャリーブチルパーオキシベンゾエート2.0gを入れ滴下漏斗を別途用意し、これらの二つの滴下漏斗からそれぞれを2時間かけて前記の反応器中に滴下した。滴下終了後は70から80℃で2時間保温した。その後、窒素ガスを停止し水蒸気蒸留により溶剤であるPGMを系外へ除去し、48%苛性ソーダ23.1gとイオン交換水200gを添加して中和を行った。得られた高分子共重合体の水溶液は淡黄色透明溶液であった。また実測酸価は145で重量平均分子量が10500であった。
製造例9−6
撹拌器、還流冷却管付きの反応器に重合溶剤であるPGMを150g入れ窒素ガスを吹き込み撹拌しながら還流温度まで加熱した。別途、n−ブチルアクリレート85g、アクリル酸15gを仕込んだ滴下漏斗を用意した。またPGM100gと重合開始剤ターシャリーブチルパーオキシベンゾエート2.0gを入れ滴下漏斗を別途用意し、これらの二つの滴下漏斗からそれぞれを2時間かけて前記の反応器中に滴下した。滴下終了後は70から80℃で2時間保温した。その後、窒素ガスを停止し水蒸気蒸留により溶剤であるPGMを系外へ除去し、48%苛性ソーダ17.3gとイオン交換水200gを添加して中和を行った。得られた高分子共重合体の水溶液は淡黄色透明溶液であった。また実測酸価は108で重量平均分子量が10200であった。
液体組成物9A
製造例9−1で得られた水溶性高分子共重合体をグリセリン、ジエチレングリコール、トリメチロールプロパン、イオン交換水と以下に記載する質量比で混合し、30分攪拌する。その後、0.2μmのメンブランフィルターで濾過し、液体組成物9Aを調製した。
グリセリン:7質量%
ジエチレングリコール:5質量%
トリメチロールプロパン:7質量%
製造例9−1で得られた水溶性高分子共重合体(ポリマー固形分濃度として):3質量%
イオン交換水:78質量%
以下の液体組成物9Bから9Fを液体組成物9Aに準じて調製した。
液体組成物9B
グリセリン:7質量%
ジエチレングリコール:5質量%
トリメチロールプロパン:7質量%
製造例9−2で得られた水溶性高分子共重合体(ポリマー固形分濃度として):3質量%
イオン交換水:78質量%
液体組成物9C
グリセリン:7質量%
ジエチレングリコール:5質量%
トリメチロールプロパン:7質量%
製造例9−3で得られた水溶性高分子共重合体(ポリマー固形分濃度として):3質量%
イオン交換水:78質量%
液体組成物9D
グリセリン:7質量%
ジエチレングリコール:5質量%
トリメチロールプロパン:7質量%
製造例9−4で得られた水溶性高分子共重合体(ポリマー固形分濃度として):3質量%
イオン交換水:78質量%
液体組成物9E
グリセリン:7質量%
ジエチレングリコール:5質量%
トリメチロールプロパン:7質量%
製造例9−5で得られた水溶性高分子共重合体(ポリマー固形分濃度として):3質量%
イオン交換水:78質量%
液体組成物9F
グリセリン:7質量%
ジエチレングリコール:5質量%
トリメチロールプロパン:7質量%
製造例9−6で得られた水溶性高分子共重合体(ポリマー固形分濃度として):3質量%
イオン交換水:78質量%
液体組成物9G
下記のような組成にて液体組成物9Aと同様にして液体組成物9Gを調製した。
グリセリン:7質量%
ジエチレングリコール:5質量%
トリメチロールプロパン:7質量%
ポバール(重合度100)(ポリマー固形分濃度として):3質量%
イオン交換水:78質量%
(参考例51〜56、比較例5)
液体組成物9Aから9Gを下記方法により評価した。結果を表16に示した。
記録媒体6Bをそのまま使用して(液体組成物を塗布しないで)ブランクとした。
(印字)
記録信号に応じた熱エネルギーをインクに付与することによりインクを吐出させるオンデマンド型マルチ記録ヘッドを有するインクジェット記録装置(キヤノン製BJF660)を用いて下記組成のカラーインクの単色印字(100%)と2次色印字(200%)を行った後、各色インクのベタ印字を行った部位を完全に覆うように液体組成物のベタ印字(200%)を行い、更に未印字部にも同じ方法で液体組成物のベタ印字(200%)を行った。
・インク染料(Y、M、CまたはBk):4部
・エチレングリコール:5部
・グリセリン:10部
・エチレン尿素:5部
・水:76部
インク染料
Y:C.I.ダイレクトイエロー86
M:C.I.アシッドレッド52
C:C.I.ダイレクトブルー199
Bk:C.I.フードブラック2
(耐ガス性)
上記で作成したブラック単色ベタ部(100%)について耐ガス性を先に記載の方法により評価し、その結果を表16に示した。
製造例9−1で得られた高分子共重合体が1.0部、3.0部、6.0部、15.0部含有する液体組成物をそれぞれ以下の方法で調製した。
(参考例57)
製造例9−1で得られた高分子共重合体が1.0部の場合は次の方法で調製した。
グリセリン:7質量%
ジエチレングリコール:5質量%
トリメチロールプロパン:7質量%
製造例9−1で得られた水溶性高分子共重合体(ポリマー固形分濃度として):1質量%
イオン交換水:80質量%
製造例9−1で得られた高分子共重合体が3.0部の場合は次の方法で調製した。
グリセリン:7質量%
ジエチレングリコール:5質量%
トリメチロールプロパン:7質量%
製造例9−1で得られた水溶性高分子共重合体(ポリマー固形分濃度として):3質量%
イオン交換水:78質量%
製造例9−1で得られた高分子共重合体が6.0部の場合は次の方法で調製した。
グリセリン:7質量%
ジエチレングリコール:5質量%
トリメチロールプロパン:7質量%
製造例9−1で得られた水溶性高分子共重合体(ポリマー固形分濃度として):6質量%
イオン交換水:75質量%
また製造例9−1で得られた高分子共重合体が15.0部の場合は次の方法で調製した。
グリセリン:7質量%
ジエチレングリコール:5質量%
トリメチロールプロパン:7質量%
製造例9−1で得られた水溶性高分子共重合体(ポリマー固形分濃度として):15質量%
イオン交換水:66質量%
同様に、ポリビニルアルコール(重合度100)(比較例7)について参考例57と同様の方法で調製した。
<記録媒体>
参考例34で使用した記録媒体6Bを用いた。
<液体組成物に係る水溶性高分子共重合体の製造例>
製造例10−1
撹拌器、還流冷却管付きの反応器に重合溶剤であるプロピレングリコールモノメチルエーテル(以下PGMと略記する)を150g入れ窒素ガスを吹き込み撹拌しながら還流温度まで加熱した。別途、スチレン69.0g、メタアクリル酸30.0g、2−(2'−ヒドロキシ−5'−メタクリロキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール1.0gを仕込んだ滴下漏斗を用意した。またPGM100gと重合開始剤ターシャリーブチルパーオキシベンゾエート2.0gを入れ滴下漏斗を別途用意し、これらの二つの滴下漏斗からそれぞれを2時間かけて前記の反応器中に滴下した。滴下終了後は70から80℃で2時間保温した。その後、窒素ガスを停止し水蒸気蒸留により溶剤であるPGMを系外へ除去し、48%苛性ソーダ29.1gとイオン交換水200gを添加して中和を行った。得られた高分子共重合体の水溶液は無色透明溶液であった。
製造例10−2
撹拌器、還流冷却管付きの反応器に重合溶剤であるPGMを150g入れ窒素ガスを吹き込み撹拌しながら還流温度まで加熱した。別途、スチレン65.0g、メタアクリル酸30.0g、2−(2'−ヒドロキシ−5'−メタクリロキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール5.0gを仕込んだ滴下漏斗を用意した。またPGM100gと重合開始剤ターシャリーブチルパーオキシベンゾエート2.0gを入れ滴下漏斗を別途用意し、これらの二つの滴下漏斗からそれぞれを2時間かけて前記の反応器中に滴下した。滴下終了後は70から80℃で2時間保温した。その後、窒素ガスを停止し水蒸気蒸留により溶剤であるPGMを系外へ除去し、48%苛性ソーダ29.1gとイオン交換水200gを添加して中和を行った。得られた高分子共重合体の水溶液は無色透明溶液であった。
撹拌器、還流冷却管付きの反応器に重合溶剤であるPGMを150g入れ窒素ガスを吹き込み撹拌しながら還流温度まで加熱した。別途、スチレン60.0g、メタアクリル酸30.0g、2−(2'−ヒドロキシ−5'−メタクリロキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール10.0gを仕込んだ滴下漏斗を用意した。またPGM100gと重合開始剤ターシャリーブチルパーオキシベンゾエート2.0gを入れ滴下漏斗を別途用意し、これらの二つの滴下漏斗からそれぞれを2時間かけて前記の反応器中に滴下した。滴下終了後は70から80℃で2時間保温した。その後、窒素ガスを停止し水蒸気蒸留により溶剤であるPGMを系外へ除去し、48%苛性ソーダ29.1gとイオン交換水200gを添加して中和を行った。得られた高分子共重合体の水溶液は淡黄色透明溶液であった。
製造例10−4
撹拌器、還流冷却管付きの反応器に重合溶剤であるPGMを150g入れ窒素ガスを吹き込み撹拌しながら還流温度まで加熱した。別途、スチレン50.0g、メタアクリル酸30.0g、2−(2'−ヒドロキシ−5'−メタクリロキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール20.0gを仕込んだ滴下漏斗を用意した。またPGM100gと重合開始剤ターシャリーブチルパーオキシベンゾエート2.0gを入れ滴下漏斗を別途用意し、これらの二つの滴下漏斗からそれぞれを2時間かけて前記の反応器中に滴下した。滴下終了後は70から80℃で2時間保温した。その後、窒素ガスを停止し水蒸気蒸留により溶剤であるPGMを系外へ除去し、48%苛性ソーダ29.1gとイオン交換水200gを添加して中和を行った。得られた高分子共重合体の水溶液は淡黄色透明溶液であった。
液体組成物10A
製造例10−1で得られた水溶性高分子共重合体の共重合体と、グリセリン、ジエチレングリコール、トリメチロールプロパン、イオン交換水とを以下に記載する質量比で混合し、30分攪拌する。その後、0.2μmのメンブランフィルターで濾過し、液体組成物10Aを調製した。
グリセリン:7質量%
ジエチレングリコール:5質量%
トリメチロールプロパン:7質量%
製造例10−1で得られた水溶性高分子共重合体
(ポリマー固形分濃度として):3質量%
イオン交換水:78質量%
参考例58
参考例34で使用した記録媒体6Bに、インクジェットプリンター(BJF870、キヤノン(株)製)を用いて下記組成のカラーインクの単色印字(100%)を行った後、各色インクのベタ印字を行なった部位を完全に覆うように同じ方法で液体組成物10Aのベタ印字(200%)を行ない、記録物の耐ガス性、耐光性を下記方法により評価した。またUV吸光スペクトル測定も行った。
上記で作成したブラック単色ベタ部(100%)について耐ガス性を先に記載の方法により評価し、その結果を18に示した。
(耐光性)
上記で作成したマゼンタ単色画像部(100%)を、蛍光灯耐光性試験機を用いて、下記条件で耐光暴露試験を行ない、耐光性を耐光性試験後の画像濃度変化率(%)で評価した。その結果を表18に示した。
耐光性(%)=(蛍光灯試験後画像濃度/蛍光灯試験前の画像濃度)×100(%)
試験条件;
照射光量:70klux
試験時間:520時間
試験層内温湿度条件:24℃・60%RH
フィルタ:ソーダライム
(UV吸光スペクトル測定)
上記液体組成物10AをPETフィルム上に塗布し薄膜形成させ、PETフィルムをブランクとしてUV吸光スペクトル(日立製作所製:U−3300)を測定したところ、最大吸収波長が338.5nmであり、吸光度が0.15であった。さらにSEM観察の結果、膜厚が0.48μmであったので、吸光係数を算出した結果、e=0.31であった。
液体組成物10Aの調製と同様にして、以下に記載する組成にて液体組成物10B〜10Dを調製した。
液体組成物10B
グリセリン:7質量%
ジエチレングリコール:5質量%
トリメチロールプロパン:7質量%
製造例10−2で得られた水溶性高分子共重合体(ポリマー固形分濃度として):3質量%
イオン交換水:78質量%
液体組成物10C
グリセリン:7質量%
ジエチレングリコール:5質量%
トリメチロールプロパン:7質量%
製造例10−3で得られた水溶性高分子共重合体(ポリマー固形分濃度として):3質量%
イオン交換水:78質量%
液体組成物10D
グリセリン:7質量%
ジエチレングリコール:5質量%
トリメチロールプロパン:7質量%
製造例10−4で得られた水溶性高分子共重合体(ポリマー固形分濃度として):3質量%
(参考例59〜61)
参考例58において液体組成物10Aを表18に示すようにかえた以外は参考例58と同様にして、参考例59〜61を行なった。
(比較例8)
参考例58において液体組成物10Aを塗布しないこと以外は同様にして行った。参考例58〜61の耐ガス性、耐光性評価結果を比較例8とあわせて表18に示した。
(液体組成物の製造)
{液体組成物11A}
ラジカル開始剤を用いた溶液重合法により合成したスチレン-アクリル共重合体11A(St/AA=70/30(質量%)、分子量:10500、酸価206)を用いて、下記組成の液体組成物11Aを作成した。なお、塩基性物質としては水酸化カリウムを用い、各液体組成物のpHが8.0となるように添加量は調整した。
・スチレン−アクリル共重合体11A:3部
・グリセリン:7部
・ジエチレングリコール:5部
・水:85部
{液体組成物11B、11C}
スチレン-アクリル共重合体を表20に示すようにかえた以外は液体組成物11Aと同様にして液体組成物11B、11Cを調製した。
(記録媒体の製造)
{記録媒体11A}
米国特許明細書第4242271号に記載された方法でアルミニウムsec―ブトキシドを製造した。上記アルミニウムsec―ブトキシド濃度75質量%のsec−ブチルアルコールの混合液を、水30質量%を含有するsec−ブチルアルコールの混合液により85℃で加水分解してアルミナスラリーを得た。このアルミナスラリーを電磁攪拌式オートクレープ中、125℃、3hエージングした後、直ちに固形分濃度20質量%となる量の水を加え冷却した。更に3.8%の硝酸水溶液によりpH調整してアルミナ水和物6Aを得た。このコロイダルゾルを乾燥して得たアルミナ水和物AをX線回折により測定したところ、擬ベーマイト構造を有するものであった。また、この時のBET表面積は、175m2/g、細孔容積は0.65(ml/g)であった。なお、比表面積、細孔容積は下記の方法で求めた。
1)細孔容積(PV):120℃で24時間脱気処理した後、窒素吸着脱離法によりカンタクローム社製、「オートソーブI」(商品名)を用いて測定した。
2)BET比表面積(SA):Brunauerらの方法を用いて計算し、求めた。
記録媒体11Aに用いたアルミナ水和物合成時の温度、エージング時間を変化させて表21に示すアルミナ水和物11B〜11Dを用いた以外は記録媒体11Aと同様にして記録媒体11B〜11Dを得た。
(色材を含む記録液の製造)
{記録液11A}
下記組成の記録液11Aを調製した。
・インク染料(Y、M、CまたはBk):5部
・エチレングリコール:10部
・ポリエチレングリコール:10部
・水:75部
インク染料
Y:C.I.アシッドイエロー23
M:C.I.アシッドレッド52
C:C.I.ダイレクトブルー199
Bk:C.I.フードブラック2
{記録液11B}
下記組成の記録液11Bを調製した。
・インク染料(Y、M、CまたはBk):5部
・エチレングリコール:10部
ポリエチレングリコール:10部
アセチレノールEH(川研ファインケミカル工業製):2部
・水:73部
インク染料
Y:C.I.アシッドイエロー23
M:C.I.アシッドレッド52
C:C.I.ダイレクトブルー199
Bk:C.I.フードブラック2
(参考例62〜70)
液体組成物、記録液、記録媒体及び被覆層形成方法を表20、21及び22に示した組み合わせで下記評価を行った。
(印字)
記録信号に応じた熱エネルギーをインクに付与することによりインクを吐出させるオンデマンド型マルチ記録ヘッドを有するインクジェット記録装置(キヤノン製BJF660)を用いて各カラーインクの単色印字(100%)と2次色印字(200%)を行った。
(被覆層形成:インクジェット方法)
上記色材を含む記録液の印字後、5秒及び60秒後に各色インクのベタ印字を行った部位を完全に覆うように同じ方法で液体組成物のベタ印字(200%)を行った。
(被覆層形成:塗布方式)
上記色材を含む記録液の印字後、5秒及び60秒後に各色インクのベタ印字を行った部位を完全に覆うようにロールコーターで液体組成物を20g/m2付与した。
上記で作成したブラック単色ベタ部(100%)について耐ガス性を先に記載の方法により評価し、その結果を表22に示した。
(被覆層のべとつき)
上記で作成した被覆層形成後の画像記録物のべとつき感を、先に記載の方法により評価し、その結果を表22に示した。
(発色性)
上記で作成した被覆層形成後の画像記録物の黒インク単色ベタ部(100%)のODを、先に記載の方法により評価し、その結果を表22に示した。
(にじみ)
上記で作成したベタ画像の縁部のにじみを、先に記載の方法により評価し、その結果を表22に示した。
(ビーディング)
上記で作成したベタ画像のビーディングを、先に記載の方法により評価し、その結果を表22に示した。
38 中間塗布ローラ
40 塗布部材
41 ブレード
42 タンク
43 液体組成物カートリッジ
61 ワイピング部材
62 キャップ
63 インク吸収体
65 記録ヘッド
66 キャリッジ
81、82、83、84、85 記録ヘッド
1001 カートリッジ
1101 記録ヘッド
Claims (6)
- 記録媒体上の画像の少なくとも一部に被覆層と該被覆層の下部かつ記録媒体の表層の内部に含浸層を有する画像記録物を形成する画像形成方法において、
水溶性高分子化合物を含む液体組成物を用意する工程と、
記録媒体上にインクジェット記録方法により形成した画像を用意する工程と、
前記画像上の少なくとも一部に前記液体組成物を付与し、該液体組成物中に含まれる水溶性高分子化合物を該画像表面で不溶化させることにより該液体組成物の付与位置に被覆層と含浸層を形成する工程と、
を有し、
前記水溶性高分子化合物が、
−COOA
(但し、式中のAはアルカリ金属、アンモニウム又は有機アンモニウムを表す。)で示される構造を有し、かつ、芳香族アルキル基または環状脂肪族アルキル基を含有する単量体とアクリル酸系単量体を用いて得られるビニル共重合体(1)と、芳香族アルキル基または環状脂肪族アルキル基を含有しない単量体とアクリル酸系単量体を用いて得られるビニル共重合体(2)の2種の水溶性高分子化合物を含み、前記ビニル共重合体(1)と前記ビニル共重合体(2)は、前記画像表面で不溶化する際の不溶化の挙動が互いに異なり、
前記液体組成物中の前記水溶性高分子化合物の含有量が前記液体組成物全量に対して1.0〜15.0質量%であり、
前記記録媒体が、前記水溶性高分子化合物を不溶化させる表面pHを持ち、該表面pHが4.0〜7.0である記録媒体、または前記水溶性高分子化合物を不溶化させる多価金属イオンを含有するインク受容層を表面に持ち、該多価金属イオンのインク受容層中の濃度が0.01〜1.0(mol/l)である記録媒体であり、
前記被覆層が前記ビニル共重合体(1)を含有し、前記含浸層が前記ビニル共重合体(2)を含有する
ことを特徴とする画像形成方法。 - 前記水溶性高分子化合物が紫外線吸収能を有する単量体からなる単位を含有する請求項1に記載の画像形成方法。
- 前記液体組成物が、エチレンオキサイドを持った界面活性剤を含有する請求項1または2に記載の画像形成方法。
- 前記記録媒体がアルミナ水和物を含む多孔質インク受容層を有するものである請求項1乃至3のいずれか一項に記載の画像形成方法。
- 前記多価金属イオンがアルカリ土類金属イオン、希土類金属イオン及びジルコニウムイオンから選択された少なくとも1種である請求項1乃至4のいずれか一項に記載の画像形成方法。
- 前記液体組成物の前記記録媒体へのブリストー法における0.025秒から0.1秒における吸収係数Kα1が0.5から1.5(ml・m-2・msec-1/2)の範囲である請求項1乃至5のいずれか一項に記載の画像形成方法。
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