JP4365706B2 - Xyステージ - Google Patents

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本発明は、電子顕微鏡や電子ビーム描画装置等の試料ステージのように高精度の位置決めを行う必要があるXYステージに関する。
本発明は特に、真空環境、非磁性、非発熱、対振動性が要求される試料ステージに好適に適用される。また、本発明は2軸ステージや傾斜台上に配置される試料ステージとして使用可能であり、特に、可動部の質量が小さく軽量化され優れた動特性が必要とされる汎用ステージとして有効に利用可能である。
電子ビーム露光装置用のXYステージとしては、特許文献1(特開2002−110523号公報)記載の技術が従来公知である。
この特許文献1に記載されたXYステージは、平行な一対のX軸ガイド軸11,11および前記X軸ガイド軸に沿って移動可能なスライダ12,12を有するXアクチュエータ10と、平行な一対のY軸ガイド軸21,21および前記Y軸ガイド軸に沿って移動可能なスライダ22,22を有するYアクチュエータ20とを備えている。各アクチュエータ10,20は、ガイド軸11,12の周囲とスライダとの間に圧力室を形成すると共に、前記圧力室を軸方向に関して2つのシリンダ室に区画する隔壁をスライダまたはガイド軸の一方に設け、2つに区画されたシリンダ室にそれぞれ、ガイド軸内に設けられた供給/排出通路を通して圧縮空気を出入り可能に構成し、一方のガイド軸21,21を他方のガイド軸11,11のスライダ12,12に連結することにより、一方のスライダ22,22に連結した前記ステージ30をX軸方向、Y軸方向に移動可能にしている。
この特許文献1の例では、ステージを静圧空気軸受で支持し、かつ、その静圧空気軸受自身がエアシリンダの機能を持っており、電子ビームを使用する装置に要求される性能(非発熱、非磁性、低い摺動抵抗等の高精度位置決め性)を有している。
特開2002−110523号公報(要約書)
(前記特許文献1記載の技術の問題点)
前記特許文献1記載の技術で使用している静圧空気軸受は、エアギャップが数μmあり、振動の抑制を行うことが困難であると言われている。また、静圧空気軸受は一般に高い加工精度を必要とするため高価である。
また、特許文献1記載のXYステージの構成では、X軸側のアクチュエータに対する可動部質量は、Y軸側の静圧空気軸受の質量を含むことになるので、比較的大きく、重くなってしまう。このため、アクチュエータの発生力を大きくするなどの対応が必要である。
本発明は、前述の事情に鑑み下記(O01),(O02)の記載内容を課題とする。
(O01)可動部分が軽量で動特性の優れたXYステージを提供すること。
(O02)微振動に対する剛性が高いXYステージを提供すること。
次に、前記課題を解決した本発明を説明するが、本発明の説明において本発明の構成要素の後に付記したカッコ内の符号は、本発明の構成要素に対応する後述の実施例の構成要素の符号である。なお、本発明を後述の実施例の構成要素の符号と対応させて説明する理由は、本発明の理解を容易にするためであり、本発明の範囲を実施例に限定するためではない。
(第1発明)
前記課題を解決するために、第1発明のXYステージは下記の構成要件(A01)〜(A05)を備えたことを特徴とする、
(A01)前後方向に設定したX軸に沿って延びる平行な一対のX軸転がりガイドレール(3a,3b)を支持するベース(2)、
(A02)前記一対の各X軸転がりガイドレール(3a,3b)上にそれぞれ2個づつ移動可能に支持され且つ上方から見て長方形の各頂点に対応する位置に配置された合計4個のX軸移動ブロック(4f,4r,5f,5r)であって、前記X軸転がりガイドレール(3a,3b)により移動可能に支持される下部被支持部と、前記X軸と直交する左右方向に設定したY軸の方向に延びる一対のY軸転がりガイドレール(6a,6b)を移動可能に支持する上部支持部とを有するX軸移動ブロック(4f,4r,5f,5r)、
(A03)前記一対のY軸転がりガイドレール(6a,6b)に固定され前記Y軸転がりガイドレール(6a,6b)と一体的に移動する可動プレート(7)、
(A04)前記ベース(2)と前記X軸移動ブロック(4f,4r,5f,5r)との間に伸縮可能に設けられ、伸縮した時に前記X軸移動ブロック(4f,4r,5f,5r)をX軸方向に移動させるX軸エアシリンダ(11,12,16,17;16′)、
(A05)前記可動プレート(7)と前記X軸移動ブロック(4f,4r,5f,5r)との間に伸縮可能に設けられ、伸縮した時に前記可動プレート(7)をY軸方向に移動させるY軸エアシリンダ(21,22,26,27;26′)。
本明細書及び特許請求の範囲において、前記「転がりガイドレール」は、ガイドレールに対して相対移動可能な移動ブロックと前記ガイドレールとが相対移動する際に、転がり部材を介して相対移動するガイドレールを意味している。前記転がりガイドレールは例えば次のガイドレールを意味する。
(1)移動ブロックに装着されているローラにより移動可能に支持されたガイドレール。
(2)ガイドレールの長手方向に沿って形成された転動体(ボールや円柱等)収容溝と、前記ガイドレールに対して相対移動可能な移動ブロックに形成された転動体収容溝とが共通の転動体を収容した構造の前記ガイドレール。
(3)ボールスプラインや、LMガイド等のように、ガイドレールの長手方向に沿って形成された転動体(ボールや円柱等)収容溝と、前記ガイドレールに対して相対移動可能な移動ブロックに形成された転動体循環溝とを転動体が循環する構造の前記ガイドレール。
(第1発明の作用)
前記構成要件(A01)〜(A05)を備えた第1発明のXYステージでは、ベース(2)は、前後方向に設定したX軸の方向に延びる平行な一対のX軸転がりガイドレール(3a,3b)を支持する。
上方から見て長方形の各頂点に対応する位置に配置された合計4個のX軸移動ブロック(4f,4r,5f,5r)は、前記一対の各X軸転がりガイドレール(3a,3b)上にそれぞれ2個づつ移動可能に支持される。
前記X軸移動ブロック(4f,4r,5f,5r)は、その下部被支持部が前記X軸転がりガイドレール(3a,3b)に移動可能に支持される。また、X軸移動ブロック(4f,4r,5f,5r)は、その上部支持部が、前記X軸と直交する左右方向に設定したY軸の方向に延びる一対のY軸転がりガイドレール(6a,6b)を移動可能に支持する。
前記一対のY軸転がりガイドレール(6a,6b)に固定された可動プレート(7)は、前記Y軸転がりガイドレール(6a,6b)と一体的に移動する。
前記ベース(2)と前記X軸移動ブロック(4f,4r,5f,5r)との間に伸縮可能に設けられたX軸エアシリンダ(11,12,16,17;16′)は、伸縮した時に前記X軸移動ブロック(4f,4r,5f,5r)をX軸方向に移動させる。前記可動プレート(7)と前記X軸移動ブロック(4f,4r,5f,5r)との間に伸縮可能に設けられたY軸エアシリンダ(21,22,26,27;26′)は、伸縮した時に前記可動プレート(7)をY軸方向に移動させる。
また前記第1発明では、4個のX軸移動ブロック(4f,4r,5f,5r)と、前記4個のX軸移動ブロック(4f,4r,5f,5r)に支持された一対のY軸転がりガイドレール(6a,6b)と、前記一対のY軸転がりガイドレール(6a,6b)に固定された可動プレート(7)と、前記X軸移動ブロック(4f,4r,5f,5r)および可動プレート(7)間に配置されたY軸エアシリンダ(21,22,26,27;26′)とにより可動部材(4f,4r,5f,5r,6a,6b,7,21,22,26,27;4f,4r,5f,5r,6a,6b,7,26′)が構成されている。
前記4個のX軸移動ブロック(4f,4r,5f,5r)と、一対のY軸転がりガイドレール(6a,6b)と、可動プレート(7)とにより構成される可動部分は構成が簡単で軽量であり、前記Y軸エアシリンダ(21,22,26,27;26′)は作動用アクチュエータとしては構成が簡単で軽量である。したがって、前記第1発明の前記4個のX軸移動ブロック(4f,4r,5f,5r)、一対のY軸転がりガイドレール(6a,6b)、可動プレート(7)およびY軸エアシリンダ(21,22,26,27;26′)を有する可動部材(4f,4r,5f,5r,6a,6b,7,21,22,26,27;4f,4r,5f,5r,6a,6b,7,26′)を軽量にすることができる。前記可動部材が軽量になると可動部材の慣性が小さくなるので、可動部材の移動、停止を高速度で行うことが可能となり、また、停止時の位置決めを高精度で容易に行うことが可能となる。
また、前記X軸移動ブロック(4f,4r,5f,5r)は、その下部被支持部が前記X軸転がりガイドレール(3a,3b)に移動可能に支持されるので、X軸移動ブロック(4f,4r,5f,5r)とX軸転がりガイドレール(3a,3b)との間にはガタがほとんどない。このため、X軸転がりガイドレール(3a,3b)に対するX軸移動ブロック(4f,4r,5f,5r)のX軸方向の位置決めを高精度で行うことができる。
また、X軸移動ブロック(4f,4r,5f,5r)は、その上部支持部が、前記X軸と直交するY軸方向に延びる一対のY軸転がりガイドレール(6a,6b)をY軸方向に移動可能に支持するので、X軸移動ブロック(4f,4r,5f,5r)の上部支持部とY軸転がりガイドレール(6a,6b)との間にはガタがない。このため、X軸移動ブロック(4f,4r,5f,5r)に対する可動プレート(7)のY軸方向の位置決めを高精度に行うことが可能である。
(第2発明)
前記課題を解決するために、第2発明のXYステージは下記の構成要件(A01′)〜(A03′),(A04),(A05)を備えたことを特徴とする、
(A01′)前後方向に設定したX軸に沿って延びる平行な一対のX軸循環型転がりガイドレール(3a,3b)を支持するベース(2)、
(A02′)前記一対の各X軸循環型転がりガイドレール(3a,3b)上にそれぞれ2個づつ移動可能に支持され且つ上方から見て長方形の各頂点に対応する位置に配置された合計4個のX軸移動ブロック(4f,4r,5f,5r)であって、前記X軸循環型転がりガイドレール(3a,3b)により移動可能に支持される下部被支持部と、前記X軸と直交する左右方向に設定したY軸の方向に延びる一対のY軸循環型転がりガイドレール(6a,6b)を移動可能に支持する上部支持部とを有するX軸移動ブロック(4f,4r,5f,5r)、
(A03′)前記一対のY軸循環型転がりガイドレール(6a,6b)に固定され前記Y軸循環型転がりガイドレール(6a,6b)と一体的に移動する可動プレート(7)、
(A04)前記ベース(2)と前記X軸移動ブロック(4f,4r,5f,5r)との間に伸縮可能に設けられ、伸縮した時に前記X軸移動ブロック(4f,4r,5f,5r)をX軸方向に移動させるX軸エアシリンダ(11,12,16,17;16′)、
(A05)前記可動プレート(7)と前記X軸移動ブロック(4f,4r,5f,5r)との間に伸縮可能に設けられ、伸縮した時に前記可動プレート(7)をY軸方向に移動させるY軸エアシリンダ(21,22,26,27;26′)。
本明細書及び特許請求の範囲において、前記「循環型転がりガイドレール」は、ボールスプラインや、LMガイド等のように、ガイドレールの長手方向に沿って形成された転動体(ボールや円柱等)収容溝と、前記ガイドレールに対して相対移動可能な移動ブロックに形成された転動体循環溝とを転動体が循環する構造のガイドレールを意味している。
(第2発明の作用)
前記構成要件(A01)〜(A05)を備えた第2発明のXYステージでは、ベース(2)は、前後方向に設定したX軸の方向に延びる平行な一対のX軸循環型転がりガイドレール(3a,3b)を支持する。
上方から見て長方形の各頂点に対応する位置に配置された合計4個のX軸移動ブロック(4f,4r,5f,5r)は、前記一対の各X軸循環型転がりガイドレール(3a,3b)上にそれぞれ2個づつ移動可能に支持される。
前記X軸移動ブロック(4f,4r,5f,5r)は、その下部被支持部が前記X軸循環型転がりガイドレール(3a,3b)に移動可能に支持される。また、X軸移動ブロック(4f,4r,5f,5r)は、その上部支持部が、前記X軸と直交する左右方向に設定したY軸の方向に延びる一対のY軸循環型転がりガイドレール(6a,6b)を移動可能に支持する。
前記一対のY軸循環型転がりガイドレール(6a,6b)に固定された可動プレート(7)は、前記Y軸循環型転がりガイドレール(6a,6b)と一体的に移動する。
前記ベース(2)と前記X軸移動ブロック(4f,4r,5f,5r)との間に伸縮可能に設けられたX軸エアシリンダ(11,12,16,17;16′)は、伸縮した時に前記X軸移動ブロック(4f,4r,5f,5r)をX軸方向に移動させる。前記可動プレート(7)と前記X軸移動ブロック(4f,4r,5f,5r)との間に伸縮可能に設けられたY軸エアシリンダ(21,22,26,27;26′)は、伸縮した時に前記可動プレート(7)をY軸方向に移動させる。
また前記第2発明では、4個のX軸移動ブロック(4f,4r,5f,5r)と、前記4個のX軸移動ブロック(4f,4r,5f,5r)に支持された一対のY軸循環型転がりガイドレール(6a,6b)と、前記一対のY軸循環型転がりガイドレール(6a,6b)に固定された可動プレート(7)と、前記X軸移動ブロック(4f,4r,5f,5r)および可動プレート(7)間に配置されたY軸エアシリンダ(21,22,26,27;26′)とにより可動部材(4f,4r,5f,5r,6a,6b,7,21,22,26,27;4f,4r,5f,5r,6a,6b,7,26′)が構成されている。
前記4個のX軸移動ブロック(4f,4r,5f,5r)と、一対のY軸循環型転がりガイドレール(6a,6b)と、可動プレート(7)とにより構成される可動部分は構成が簡単で軽量であり、前記Y軸エアシリンダ(21,22,26,27;26′)は作動用アクチュエータとしては構成が簡単で軽量である。したがって、前記第2発明の前記4個のX軸移動ブロック(4f,4r,5f,5r)、一対のY軸循環型転がりガイドレール(6a,6b)、可動プレート(7)およびY軸エアシリンダ(21,22,26,27;26′)を有する可動部材(4f,4r,5f,5r,6a,6b,7,21,22,26,27;4f,4r,5f,5r,6a,6b,7,26′)を軽量にすることができる。前記可動部材が軽量になると可動部材の慣性が小さくなるので、可動部材の移動、停止を高速度で行うことが可能となり、また、停止時の位置決めを高精度で容易に行うことが可能となる。
また、前記X軸移動ブロック(4f,4r,5f,5r)は、その下部被支持部が前記X軸循環型転がりガイドレール(3a,3b)に移動可能に支持されるので、X軸移動ブロック(4f,4r,5f,5r)とX軸循環型転がりガイドレール(3a,3b)との間にはガタがほとんどない。このため、X軸循環型転がりガイドレール(3a,3b)に対するX軸移動ブロック(4f,4r,5f,5r)のX軸方向の位置決めを高精度で行うことができる。
また、X軸移動ブロック(4f,4r,5f,5r)は、その上部支持部が、前記X軸と直交するY軸方向に延びる一対のY軸循環型転がりガイドレール(6a,6b)をY軸方向に移動可能に支持するので、X軸移動ブロック(4f,4r,5f,5r)の上部支持部とY軸循環型転がりガイドレール(6a,6b)との間にはガタがない。このため、X軸移動ブロック(4f,4r,5f,5r)に対する可動プレート(7)のY軸方向の位置決めを高精度に行うことが可能である。
(本発明の形態1)
本発明の形態1のXYステージは、前記第1発明または第2発明において、下記の構成要件(A06)を備えたことを特徴とする。
(A06)シリンダ(11a,12a,16a,17a;16a′;21a,22a,26a,27a;26a′)と前記シリンダ(11a,12a,16a,17a;16a′;21a,22a,26a,27a;26a′)のロッド貫通孔(11f)を貫通するピストンロッド(11b,12b,16b,17b;16b′;21b,22b,26b,27b;26b′)とを有し、前記ロッド貫通孔(11f)内周面およびピストンロッド(11b,12b,16b,17b;16b′;21b,22b,26b,27b;26b′)外周面間の間隙に多段の差動排気孔(11g,11h,11i)を設けた前記X軸エアシリンダ(11,12,16,17;16′)およびY軸エアシリンダ(21,22,26,27;26′)。
(本発明の形態1の作用)
前記構成要件(A06)を備えた本発明の形態1のXYステージでは、前記X軸エアシリンダ(11,12,16,17;16′)およびY軸エアシリンダ(21,22,26,27;26′)は、シリンダ(11a,12a,16a,17a;16a′;21a,22a,26a,27a;26a′)と前記シリンダのロッド貫通孔(11f)を貫通するピストンロッド(11b,12b,16b,17b;16b′;21b,22b,26b,27b;26b′)とを有し、前記ロッド貫通孔(11f)内周面およびピストンロッド外周面間の間隙に多段の差動排気孔(11g,11h,11i)を設けている。前記ロッド貫通孔(11f)内周面およびピストンロッド外周面間の間隙に多段の差動排気孔(11g,11h,11i)を設けることにより、前記ロッド貫通孔(11f)内周面およびピストンロッド外周面間にOリング等の摩擦接触部材を配置せずに、エアシリンダ作動用のエアの漏れを防止することが可能となる。また、摩擦接触部材を使用する必要がないので、出力の小さなエアシリンダにより可動部材を移動させることが可能となる。このため、Y軸エアシリンダ(21,22,26,27;26′)を小型化できるので、Y軸エアシリンダ(21,22,26,27;26′)を含む前記可動部材の重量をさらに軽量化することができる。
(本発明の形態2)
本発明の形態2のXYステージは、前記第1発明もしくは第2発明または本発明の形態1において下記の構成要件(A07)を備えたことを特徴とする。
(A07)前記X軸に沿う一方側に向かう方向を+X方向とし、他方側に向かう方向を−X方向とした場合に、前記X軸移動ブロック(4f,4r,5f,5r)のX軸方向の移動時に前記X軸移動ブロック(4f,4r,5f,5r)を常時+X方向に移動させる力を発生する+X軸エアシリンダ(11,12)と常時−X方向に移動させる力を発生する−X軸エアシリンダ(16,17)とを有する前記X軸エアシリンダ(11,12,16,17)。
(本発明の形態2の作用)
前記構成要件(A07)を備えた本発明の形態2のXYステージでは、前記X軸エアシリンダ(11,12,16,17)を構成する+X軸エアシリンダ(11,12)は、前記X軸移動ブロック(4f,4r,5f,5r)のX軸方向の移動時に前記X軸移動ブロック(4f,4r,5f,5r)を常時+X方向に移動させる力を発生する。また、−X軸エアシリンダ(16,17)は、前記X軸移動ブロック(4f,4r,5f,5r)を常時−X方向に移動させる力を発生する。
したがって、前記X軸移動ブロック(4f,4r,5f,5r)はX軸方向の移動時に、−X方向および+X方向の両方向に押圧されながら移動する。このため本発明の形態2のXYステージは、ギヤを使用した移動装置のバックラッシュに相当するものがないので、X軸移動ブロック(4f,4r,5f,5r)の位置決めを高精度に行うことができる。
(本発明の形態3)
本発明の形態3のXYステージは、前記第2発明において構成要件(A08)を備えたことを特徴とする。
(A08)前記一対のX軸循環型転がりガイドレール(3a,3b)の中間にX軸線を設定した場合に、前記X軸線に関して対称に配置された一対の+X軸エアシリンダ(11,12)と一対の−X軸エアシリンダ(16,17)との合計4本のエアシリンダを有する前記X軸エアシリンダ(11,12,16,17)。
(本発明の形態3の作用)
前記構成要件(A08)を備えた本発明の形態3のXYステージでは、前記一対のX軸循環型転がりガイドレール(3a,3b)の中間にX軸線を設定した場合に、一対の+X軸エアシリンダ(11,12)は前記X軸線に関して対称に配置され、また、一対の−X軸エアシリンダ(16,17)も前記X軸線に関して対称に配置される。このため、一対の+X軸エアシリンダ(11,12)と一対の−X軸エアシリンダ(16,17)とは、前記X軸移動ブロック(4f,4r,5f,5r)に回転モーメントを作用させずに、X軸方向に移動させる力のみを作用させることができる。
(本発明の形態4)
本発明の形態4のXYステージは、前記第2発明または本発明の形態3において下記の構成要件(A09)を備えたことを特徴とする。
(A09)前記Y軸に沿う一方側に向かう方向を+Y方向とし、他方側に向かう方向を−Y方向とした場合に、前記可動プレート(7)のY軸方向の移動時に前記可動プレート(7)を常時+Y方向に移動させる力を発生する+Y軸エアシリンダ(26,27)と前記可動プレート(7)を常時−Y方向に移動させる力を発生する−Y軸エアシリンダ(21,22)とを有する前記Y軸エアシリンダ(21,22,26,27)。
(本発明の形態4の作用)
前記構成要件(A09)を備えた本発明の形態4のXYステージでは、前記Y軸エアシリンダ(21,22,26,27;26′)の+Y軸エアシリンダ(26,27)は、前記可動プレート(7)のY軸方向の移動時に前記可動プレート(7)を常時+Y方向に移動させる力を発生し、−Y軸エアシリンダ(21,22)は、前記可動プレート(7)を常時−Y方向に移動させる力を発生する。したがって、前記可動プレート(7)は、−Y方向および+Y方向の両方向に押圧されながら移動する。このため本発明の形態4のXYステージは、ギヤを使用した移動装置のバックラッシュに相当するものがないので、可動プレート(7)の位置決めを高精度に行うことができる。
(本発明の形態5)
本発明の形態5のXYステージは、前記本発明の形態4において下記の構成要件(A010)を備えたことを特徴とする。
(A010)前記一対のY軸循環型転がりガイドレール(6a,6b)の中間にY軸線を設定した場合に、前記Y軸線に関して対称に配置された一対の+Y軸エアシリンダ(26,27)と一対の−Y軸エアシリンダ(21,22)との合計4本のエアシリンダを有する前記Y軸エアシリンダ(21,22,26,27)。
(本発明の形態5の作用)
前記構成要件(A010)を備えた本発明の形態5のXYステージでは、前記一対のY軸循環型転がりガイドレール(6a,6b)の中間にY軸線を設定した場合に、一対の+Y軸エアシリンダ(26,27)は前記Y軸線に関して対称に配置され、また、一対の−Y軸エアシリンダ(21,22)も前記Y軸線に関して対称に配置される。このため、一対の+Y軸エアシリンダ(26,27)と一対の−Y軸エアシリンダ(21,22)とは、前記可動プレート(7)に回転モーメントのような余分な力をあまり作用させずに、X軸方向に移動させる力のみを作用させることができる。
前記本発明は次の作用効果(E01),(E02)を奏することができる。
(E01)可動部分が軽量で動特性の優れたXYステージを提供することができる。
(E02)微振動に対する剛性が高いXYステージを提供することができる。
次に図面を参照しながら、本発明のXYステージの実施の形態の具体例(実施例)を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
なお、以後の説明の理解を容易にするために、図面において、前後方向をX軸方向、左右方向をY軸方向、上下方向をZ軸方向とし、矢印X,−X,Y,−Y,Z,−Zで示す方向または示す側をそれぞれ、前方、後方、右方、左方、上方、下方、または、前側、後側、右側、左側、上側、下側とする。
また、図中、「○」の中に「・」が記載されたものは紙面の裏から表に向かう矢印を意味し、「○」の中に「×」が記載されたものは紙面の表から裏に向かう矢印を意味するものとする。
(実施例1)
図1は本発明のXYステージの実施例1の説明図で、図1Aは平面図、図1Bは前記図1Aの矢印IBから見た図、図1Cは前記図1Aの矢印ICから見た図である。
図1において、XYステージ1は、ベース2を有している。ベース2は、X軸方向に延びる平行な一対のX軸循環型転がりガイドレール3a,3bを支持している。X軸循環型転がりガイドレール3a,3bはセラミック製である。前記一対の各X軸循環型転がりガイドレール3aおよび3b上には、それぞれ2個のX軸移動ブロック4f,4rおよび5f,5rが移動可能に支持されている。前記合計4個のX軸移動ブロック4f,4rおよび5f,5rは、図1A(上方から見た図)において、長方形の各頂点に対応する位置に配置されている。
前記各X軸移動ブロック4f,4rおよび5f,5rの下部にはX軸循環型転がりガイドレール3a,3bに移動可能に支持される下部被支持部が設けられ、上部には、前記X軸と直交するY軸方向に延びる一対のY軸循環型転がりガイドレール6a,6bを移動可能に支持する上部支持部が設けられている。前記一対のY軸循環型転がりガイドレール6a,6aに固定された可動プレート7は、前記Y軸循環型転がりガイドレール6a,6aと一体的に移動する。Y軸循環型転がりガイドレール6a,6bおよび可動プレート7はセラミック製である。
図1Aにおいて、前記ベース2の後部(−X部)の左右両端部には+X軸エアシリンダ(伸長時にX軸移動ブロック4f,4r,5f,5rを+X軸方向(前方)に移動させるエアシリンダ)11および12が配置されている。+X軸エアシリンダ11および12は、前記一対のX軸循環型転がりガイドレール3a,3bの中間にX軸線を設定した場合に、前記X軸線に関して対称に配置されている。
前記+X軸エアシリンダ11は、シリンダ11aおよびピストンロッド11bを有している。ピストンロッド11bの先端部は前方(+X方向)に突出している。前記シリンダ11aはベース2に固定され、ピストンロッド11bの先端部は連結ブラケット13を介してX軸移動ブロック4fに連結されている。
また、前記+X軸エアシリンダ12は、前記+X軸エアシリンダ11と同様に構成されており、シリンダ12aおよびピストンロッド12bを有している。ピストンロッド12bの先端部は前方(+X方向)に突出している。前記シリンダ12aはベース2に固定され、ピストンロッド12bの先端部は連結ブラケット14を介してX軸移動ブロック5fに連結されている。
ピストンロッド11b,12bの先端(前端)がX軸移動ブロック4f,5fの連結ブラケット13,14に連結されているので、前記+X軸エアシリンダ11,12が前後方向に伸長した場合、X軸移動ブロック4f,4r,5f,5rが前方(+X軸方向)に移動する。
図1Aにおいて、前記ベース2の前部(+X部)には前記一対のX軸循環型転がりガイドレール3a,3bの間に左右一対の−X軸エアシリンダ(伸長時にX軸移動ブロック4f,4r,5f,5rを−X軸方向(前方)に移動させるエアシリンダ)16および17が配置されている。−X軸エアシリンダ16および17は、前記一対のX軸循環型転がりガイドレール3a,3bの中間にX軸線を設定した場合に、前記X軸線に関して対称に配置されている。
前記−X軸エアシリンダ16は、シリンダ16aおよびピストンロッド16bを有している。ピストンロッド16bの先端部は後方(−X方向)に突出している。前記シリンダ16aはベース2に固定され、ピストンロッド16bの先端部は連結ブラケット18を介してX軸移動ブロック4r,5rに連結されている。
また、前記−X軸エアシリンダ17は、前記−X軸エアシリンダ16と同様に構成されており、シリンダ17aおよびピストンロッド17bを有している。ピストンロッド17bの先端部は後方(−X方向)に突出している。前記シリンダ17aはベース2に固定され、ピストンロッド17bの先端部は連結ブラケット18を介してX軸移動ブロック4r,5rに連結されている。
ピストンロッド16b,17bの先端(後端)がX軸移動ブロック4r,5rの連結ブラケット18に連結されているので、前記−X軸エアシリンダ16,17が前後方向に伸長した場合、X軸移動ブロック4f,4r,5f,5rが後方(−X軸方向)に移動する。
図1Aにおいて、前記可動プレート7の下面の左側部分(−Y側部分)の前後両端部には−Y軸エアシリンダ(伸長時に可動プレート7を−Y軸方向(左方)に移動させるエアシリンダ)21および22が固定されている。−Y軸エアシリンダ21および22は、前記一対のY軸循環型転がりガイドレール6a,6bの中間にY軸線を設定した場合に、前記Y軸線に関して対称に配置されている。
前記−Y軸エアシリンダ21は、シリンダ21aおよびピストンロッド21bを有している。ピストンロッド21bの先端部は右方(+Y方向)に突出している。前記シリンダ21aは可動プレート7下面に固定され、ピストンロッド21bの先端部は連結ブラケット23を介してX軸移動ブロック5fに連結されている。
また、前記−Y軸エアシリンダ22は、前記−Y軸エアシリンダ21と同様に構成されており、シリンダ22aおよびピストンロッド22bを有している。ピストンロッド22bの先端部は右方(+Y方向)に突出している。前記シリンダ22aは可動プレート7下面に固定され、ピストンロッド22bの先端部は連結ブラケット24を介してX軸移動ブロック5rに連結されている。
ピストンロッド21b,22bの先端(右端)がX軸移動ブロック5f,5rの連結ブラケット28に連結されているので、前記−Y軸エアシリンダ21,22が左右方向に伸長した場合、可動プレート7が左方(−Y軸方向)に移動する。
図1Aにおいて、前記可動プレート7の右側部分(+Y部)には前記一対のY軸循環型転がりガイドレール6a,6bの間に前後一対の+Y軸エアシリンダ(伸長時に可動プレート7を+Y軸方向(右方)に移動させるエアシリンダ)26および27が配置されている。+Y軸エアシリンダ26および27は、前記一対のY軸循環型転がりガイドレール6a,6bの中間にY軸線を設定した場合に、前記Y軸線に関して対称に配置されている。
前記+Y軸エアシリンダ26は、シリンダ26aおよびピストンロッド26bを有している。ピストンロッド26bの先端部は左方(−Y方向)に突出している。前記シリンダ26aは可動プレート7の下面に固定され、ピストンロッド26bの先端部は連結ブラケット28を介してX軸移動ブロック4f,4rに連結されている。
また、前記+Y軸エアシリンダ27は、前記+Y軸エアシリンダ26と同様に構成されており、シリンダ27aおよびピストンロッド27bを有している。ピストンロッド27bの先端部は左方(−Y方向)に突出している。前記シリンダ27aは可動プレート7に固定され、ピストンロッド27bの先端部は連結ブラケット28を介してX軸移動ブロック4f,4rに連結されている。
ピストンロッド26b,27bの先端(左端)がX軸移動ブロック4f,4rを連結する連結ブラケット28に連結されているので、前記+Y軸エアシリンダ26,27が左右方向に伸長した場合、可動プレート7が右方(+Y軸方向)に移動する。
前記ベース2には上面のほぼ中央部に前後方向(X軸方向)に延びるX軸方向位置検出用のスケール31(図1A、図1C参照)が固定されており、前記X軸移動ブロック4r,5rに連結された連結ブラケット18にはリニアエンコーダヘッド32(図1A、図1C参照)が設けられている。前記X軸移動ブロック4r,5rがX軸循環型転がりガイドレール3a,3bに沿ってX軸方向に移動すると、前記X軸移動ブロック4r,5rに連結された連結ブラケット18および前記リニアエンコーダヘッド32がX軸方向に移動する。前記リニアエンコーダヘッド32のスケール読み取り信号により、前記X軸移動ブロック4r,5rおよび可動プレート7のX軸方向の位置を検出することができる。
前記可動プレート7の下面のほぼ中央部には左右方向(Y軸方向)に延びるY軸方向位置検出用のスケール33(図1A、図1B参照)が固定されており、前記X軸移動ブロック4f,4rに連結された連結ブラケット28には、リニアエンコーダヘッド34(図1A、図1B参照)が設けられている。前記可動プレート7がY軸循環型転がりガイドレール6a,6bと共にY軸方向に移動すると、前記可動プレート7に固定されたY軸方向位置検出用のスケール33(図1A、図1B参照)もY軸方向に移動する。このときの可動プレート7およびスケール33の移動距離および位置は、前記X軸移動ブロック4f,4rの連結ブラケット28に固定支持された前記リニアエンコーダヘッド34のスケール読み取り信号により、検出することができる。
図2は、図1に示すエアシリンダの構造の説明図であり、図2Aは正面断面図、図2Bはエアシリンダの下面図で前記図2Aの矢印IIB−IIB線から見た図、図2Cは前記図2Aの矢印IICから見た図である。
前記図1に示す+X軸エアシリンダ(エアシリンダ)11,12、−X軸エアシリンダ(エアシリンダ)16,17、−Y軸エアシリンダ(エアシリンダ)21,22)、+Y軸エアシリンダ(エアシリンダ)26,27はいずれも、図2に示すような構成を備えている。
図2は、+X軸エアシリンダ11がベース2上に固定されている状態を示しており、
ベース2には吸気ポート2a、差動排気ポート2b,2c,2dが形成されている。1段目の差動排気ポート2bはシリンダ11a内のエア供給圧を大気圧に開放するポートである。2段目の差動排気ポート2cは低真空排気ポート、3段目の差動排気ポート2dは高真空排気ポートである。前記吸気ポート2aはシリンダ11内のエア室内に連通するポートであり、前記差動排気ポート2b〜2dは前記シリンダ11aのシリンダヘッドに形成されたロッド貫通孔11f(後述)に連通するポートである。
前記吸気ポート2aおよび差動排気ポート2b,2c,2dはベース2内部に形成された複数のエア通路2e(図2c)および図示しない柔軟なホース等を介して気体供給源、大気、真空源等に接続されている。
+X軸エアシリンダ11はシリンダ11aとピストンロッド11bと、前記ピストンロッド11bの内端に連結されたピストン11cと、吸気ポート11dおよび11eとを有している。
また、シリンダ11aのヘッド部分には前記ピストンロッド11bが貫通するロッド貫通孔11fが形成されている。ロッド貫通孔11fの内径は、ピストンロッド11bの外径よりもわずかに大きく形成されており、ロッド貫通孔11fとピストンロッド11bとの間には小さな隙間が形成されている。そして、ロッド貫通孔11fとピストンロッド11bとの間にはOリングのような摩擦抵抗を発生する部材は設けられていない。
このため、ピストンロッド11bはその移動時に大きな抵抗を受けることが無いので、小型のものを使用することができる。また、+X軸エアシリンダ11には、前記ベース2の差動排気ポート2b,2c,2dと前記ロッド貫通孔11fとを連通させるためのシリンダ側の差動排気ポート11g,11h,11iが形成されている。ベース2と+X軸エアシリンダ11とは、前記差動排気ポート11g〜11iの外端と差動排気ポート2b,2c,2dの外端とが直接接続された状態で、複数の連結ネジNにより連結されている。差動排気ポート11g,11h,11iの開口部の周囲にはシールリングが配置されており、差動排気ポート11g,11h,11iと差動排気ポート2b,2c,2dとの接続部を気密にシールしている。
前記+X軸エアシリンダ11は、前記差動排気ポート2b〜2d,11g〜11iにより高真空雰囲気中で使用可能になっている。
他の前記+X軸エアシリンダ12および−X軸エアシリンダ16,17も、前記+X軸エアシリンダ11と同様に構成されている。
また、前記−Y軸エアシリンダ21,22および前記+Y軸エアシリンダ26,27も前記+X軸エアシリンダ11と同様に構成されている。前記−Y軸エアシリンダ21,22および前記+Y軸エアシリンダ26,27は、可動プレート7に固定されており、前記可動プレート7も前記ベース2の吸気ポート2a,差動排気ポート2b〜2dと同様の図示しない吸気ポートおよび差動排気ポートが形成されている。
(実施例1の作用)
前記構成を備えた本発明の実施例1のXYステージでは、ベース2上に、X軸方向(前後方向)に延びる平行な一対のX軸循環型転がりガイドレール3a,3b上には、それぞれ2個づつ、合計4個のX軸移動ブロック4f,4r,5f,5rがX軸方向に移動可能に支持される。
前記+X軸エアシリンダ(X軸エアシリンダ)11,12は、前記X軸移動ブロック4f,4r,5f,5rのX軸方向の移動時に前記X軸移動ブロック4f,5fを常時前方(+X方向)に押圧する。また、−X軸エアシリンダ(−X軸エアシリンダ)16,17は、前記X軸移動ブロック4r,5rを常時後方(−X方向)に押圧する。
したがって、前記X軸移動ブロックはX軸方向の移動時に、−X方向および+X方向の両方向に押圧されながら移動する。このため、実施例1のXYステージは、ギヤを使用した移動装置のバックラッシュに相当するものがないので、X軸移動ブロックおよび可動プレート7のX軸方向の位置決めを高精度に行うことができる。
また、+X軸エアシリンダ11,12、−X軸エアシリンダ16,17を構成するエアシリンダは、発熱量が小さいので、前記X軸方向位置検出用のスケール31(図1A、図1C参照)およびY軸方向位置検出用のスケール33(図1A、図1B参照)の熱膨張による寸法変化が小さい。このため、位置決め精度を向上させることができる。
前記4個のX軸移動ブロック4f,4r,5f,5rと、前記4個のX軸移動ブロック4f,4r,5f,5rに支持された一対のY軸循環型転がりガイドレール6a,6bと、前記一対のY軸循環型転がりガイドレール6a,6bに固定された可動プレート7と、前記X軸移動ブロック4f,4r,5f,5rおよび可動プレート7間に配置されたY軸エアシリンダ21,22,26,27とにより可動部材(4f,4r,5f,5r,6a,6b,7,21,22,26,27)が構成されている。
前記一対のY軸循環型転がりガイドレール6a,6bと、可動プレート7とは、セラミック製であり、構成が簡単で軽量である。また、前記Y軸エアシリンダ21,22,26,27は作動用アクチュエータとしては構成が簡単で軽量である。したがって、前記可動部材(4f,4r,5f,5r,6a,6b,7,21,22,26,27)を軽量に構成することができる。
前記ロッド貫通孔11f内周面およびピストンロッド11b外周面間の間隙に多段の差動排気孔11g〜11iを設けることにより、前記ロッド貫通孔11f内周面およびピストンロッド11b外周面間にOリング等の摩擦接触部材を配置せずに、エアシリンダ作動用のエアの漏れを防止することが可能となる。また、摩擦接触部材を使用する必要がないので、出力の小さな小型のエアシリンダにより可動部材(4f,4r,5f,5r,6a,6b,7,21,22,26,27)を移動させることが可能となる。このため、Y軸エアシリンダ21,22,26,27を小型化できるので、Y軸エアシリンダ21,22,26,27を含む前記可動部材(4f,4r,5f,5r,6a,6b,7,21,22,26,27)の重量をさらに軽量化することができる。
前記一対の+X軸エアシリンダ11,12は、前記一対のX軸循環型転がりガイドレール3a,3bの中間に設定したX軸線に関して対称に配置されている。また、一対の−X軸エアシリンダ16,17も前記X軸線に関して対称に配置される。このため、前記一対の+X軸エアシリンダ11,12と一対の−X軸エアシリンダ16,17とは、前記可動部材(4f,4r,5f,5r,6a,6b,7,21,22,26,27)に回転モーメントを作用させずに、X軸方向に移動させる力のみを作用させることができる。
また、前記可動部材が軽量であると可動部材の慣性が小さくなるので、可動部材の移動、停止を高速度で行うことが可能となり、また、停止時の位置決めを高精度で容易に行うことが可能となる。
また、前記X軸移動ブロック4f,4r,5f,5rは、その下部被支持部が前記X軸循環型転がりガイドレール3a,3bに移動可能に支持されるので、X軸移動ブロック4f,4r,5f,5rとX軸循環型転がりガイドレール3a,3bとの間にはガタがほとんどない。このため、X軸循環型転がりガイドレール3a,3bに対するX軸移動ブロック4f,4r,5f,5rの位置決めを高精度で行うことができる。
また、X軸移動ブロック4f,4r,5f,5rは、その上部支持部が、前記X軸と直交するY軸方向に延びる一対のY軸循環型転がりガイドレール6a,6bをY軸方向に移動可能に支持するので、X軸移動ブロック4f,4r,5f,5rの上部支持部とY軸循環型転がりガイドレール6a,6bとの間にはガタがほとんどない。このため、X軸移動ブロック4f,4r,5f,5rに対するY軸循環型転がりガイドレール6a,6bおよび可動プレート7の位置決めを高精度に行うことが可能である。
前記X軸移動ブロック4f,4r,5f,5rと前記循環型転がりガイドレール3a,3b、6a,6bとを使用したXYステージは、微振動領域における転がり要素の弾性変形により(非線形バネ性により)ガイド方向に対しても剛性を有する(ガタがない)ので、前記従来技術の静圧空気軸受けを使用する場合に比較して、微振動領域におけるステージ剛性が高くなる。
(実施例2)
図3は本発明の実施例2の試料ステージ(前記実施例1のXYステージを備えた試料ステージ)の説明図で、図3Aは要部平面図、図3Bは要部側面図で前記図3Aの矢印IIIBから見た図である。
図4は同実施例2の試料ステージの要部拡大図で、前記図3BのIV−IV線から見た図である。
なお、この実施例2の説明において、前記実施例1の構成要素に対応する構成要素には同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
この実施例2は、下記の点で前記実施例1と相違しているが、他の点では前記実施例1と同様に構成されている。
図3、図4において、試料ステージUは、前記図1、図2で説明したXYステージ1を有しており、外壁41により形成される真空試料室A内部に配置されている。試料ステージUのXYステージ1のベース2の前後両端(X軸方向の両端)には、回転プレート42,42が連結されている。前記回転プレート42,42は、外壁41に回転可能に支持された傾斜軸43,43に連結されている。
前記ベース2の下面にはロッド連結ブラケット46が固定されている。前記ロッド連結ブラケット46には連結ロッド47の内端部が軸48により回転可能に連結されている。前記連結ロッド47の外端部は軸49によりスライドブロック51に回転可能に連結されている。
スライドブロック51は、前記外壁41の内面に固定されたガイド52に沿ってY軸方向(左右方向)に移動可能に支持されている。前記スライドブロック51にはスクリューシャフト53が螺合して貫通するネジ孔が形成されている。スクリューシャフト53は外壁41を貫通して真空試料室Aの外部に突出しており、その突出部はモータユニット54の回転出力軸54aに連結されている。
したがって、前記モータユニット54の回転出力軸54aが回転すると前記スクリューシャフト53が回転する。スクリューシャフト53が回転すると、前記スライドブロック51がY軸方向に移動する。スライドブロック51が移動すると連結ロッド47がロッド連結ブラケット46を押したり、引いたりすることになる。このとき、前記XYステージ1は、前記傾斜軸43,43と共に傾斜する。
(実施例2の作用)
前記実施例2では、図3A、図4から分かるように、XYステージ1が傾斜軸43回りに傾斜すると、前記−Y軸エアシリンダ21,22および前記+Y軸エアシリンダ26,27も傾斜する。このとき、各Y軸エアシリンダ21,22,26,27には、前記Y軸循環型転がりガイドレール6a,6bおよび可動プレート7に作用する重力による荷重が加わる。この場合、前記重力による各Y軸エアシリンダ21,22,26,27に加わる荷重をキャンセルするためには、各Y軸エアシリンダ21,22,26,27の、ピストンにより分割された下側の圧力室の圧力を上昇させればよい。すなわち、前記下側の圧力室の圧力を調節することにより、前記XYステージ1の傾斜時の重力により生じる各Y軸エアシリンダ21,22,26,27の荷重変化を補償することができる。
前記荷重変化は、コントローラ(図示せず)により自動的に補償することができる。なお、Y軸エアシリンダの発生力に余裕を持たせておくと、サーボバルブの飽和現象によるサーボ性能の悪化を避けることかできる。
(実施例3)
図5は本発明のXYステージの実施例3の説明図で、図5Aは平面図、図5Bは前記図5Aの矢印VBから見た図、図5Cは前記図5Aの矢印VCから見た図である。
なお、この実施例3の説明において、前記実施例1の構成要素に対応する構成要素には同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
この実施例3は、下記の点で前記実施例1と相違しているが、他の点では前記実施例1と同様に構成されている。
前記図1に示す前記実施例1では、X軸エアシリンダとして、合計4本のX軸エアシリンダ11,12,16,17を使用していたが、実施例3の図5では1個のX軸エアシリンダ16′のみを使用している。また、前記図1に示す前記実施例1では、Y軸エアシリンダとして、合計4本のY軸エアシリンダ21,22,26,27を使用していたが、実施例3の図5では1個のY軸エアシリンダ26′のみを使用している。
この実施例3では、X軸移動ブロック4f,4r,5f,5r、Y軸循環型転がりガイドレール6a,6b、可動プレート7、およびY軸エアシリンダ26′により可動部材(4f,4r,5f,5r,6a,6b,7,26′)が構成されている。
また、前記実施例1の図1では、前記X軸方向位置検出用のスケール31およびリニアエンコーダヘッド32(図1A、図1C参照)と、Y軸方向位置検出用のスケール33および前記リニアエンコーダヘッド34(図1A、図1B参照)とが設けられていたのに対し、本実施例3の図5では、X軸方向位置検出用のスケール31′およびリニアエンコーダヘッド32′(図5A、図5C参照)と、Y軸方向位置検出用のスケール33′および前記リニアエンコーダヘッド34′(図5A、図5B参照)が設けられている。
この実施例3は、X軸エアシリンダ16′およびY軸エアシリンダ26′が1個づつ使用されているので、部品数が少なくなるので、製作コストが低下する。また、XYステージ1の可動部分の重量をより軽量化することができる。
(変更例)
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内で、種々の変更を行うことが可能である。本発明の変更実施例を下記に例示する。
(H01)使用するエアシリンダの数を増加させるとエアシリンダ1個当たりの発生力が小さくても良いので、1個当たりのエアシリンダの大きさを小さくすることができる。したがって、多くのエアシリンダを使用することによりXYステージの高さを低くすることができる。また、高さの低い偏平型のエアシリンダを使用することにより、XYステージの高さをより低くすることができる。
(H02)位置検出センサとして、リニアエンコーダの代わりに、レーザ干渉計等の他の位置検出センサを使用可能である。
(H03)本発明は、ガイドレールと前記ガイドレールに対して相対移動可能な移動部材とが転がり部材(ボール、円柱等)を介して接触する種々の構造の前記ガイドレールを使用することが可能である。
図1は本発明のXYステージの実施例1の説明図で、図1Aは平面図、図1Bは前記図1Aの矢印IBから見た図、図1Cは前記図1Aの矢印ICから見た図である。 図2は、図1に示すエアシリンダの構造の説明図であり、図2Aは正面断面図、図2Bはエアシリンダの下面図で前記図2Aの矢印IIB−IIB線から見た図、図2Cは前記図2Aの矢印IICから見た図である。 図3は本発明の実施例2の試料ステージ(前記実施例1のXYステージを備えた試料ステージ)の説明図で、図3Aは要部平面図、図3Bは要部側面図で前記図3Aの矢印IIIBから見た図である。 図4は同実施例2の試料ステージの要部拡大図で、前記図3BのIV−IV線から見た図である。 図5は本発明のXYステージの実施例3の説明図で、図5Aは平面図、図5Bは前記図5Aの矢印VBから見た図、図5Cは前記図5Aの矢印VCから見た図である。
符号の説明
2…ベース、
3a,3b…X軸循環型転がりガイドレール、
4f,4r,5f,5r…X軸移動ブロック、
6a,6b…Y軸循環型転がりガイドレール、
7…可動プレート、
11f…ロッド貫通孔、
11g,11h,11i…差動排気孔、
11,12,16,17;16′…X軸エアシリンダ、
11,12…+X軸エアシリンダ、
16,17…−X軸エアシリンダ、
21,22,26,27;26′…Y軸エアシリンダ、
21,22…−Y軸エアシリンダ、
26,27…+Y軸エアシリンダ、
(4f,4r,5f,5r,6a,6b,7,21,22,26,27;4f,4r,5f,5r,6a,6b,7,26′)…可動部材
(11a,12a,16a,17a;16a′;21a,22a,26a,27a;26a′)…シリンダ、
(11b,12b,16b,17b;16b′;21b,22b,26b,27b;26b′)…ピストンロッド、

Claims (7)

  1. 下記の構成要件(A01)〜(A05)を備えたことを特徴とするXYステージ、
    (A01)前後方向に設定したX軸に沿って延びる平行な一対のX軸転がりガイドレールを支持するベース、
    (A02)前記一対の各X軸転がりガイドレール上にそれぞれ2個づつ移動可能に支持され且つ上方から見て長方形の各頂点に対応する位置に配置された合計4個のX軸移動ブロックであって、前記X軸転がりガイドレールにより移動可能に支持される下部被支持部と、前記X軸と直交する左右方向に設定したY軸の方向に延びる一対のY軸転がりガイドレールを移動可能に支持する上部支持部とを有するX軸移動ブロック、
    (A03)前記一対のY軸転がりガイドレールに固定され前記Y軸転がりガイドレールと一体的に移動する可動プレート、
    (A04)前記ベースと前記X軸移動ブロックとの間に伸縮可能に設けられ、伸縮した時に前記X軸移動ブロックをX軸方向に移動させるX軸エアシリンダ、
    (A05)前記可動プレートと前記X軸移動ブロックとの間に伸縮可能に設けられ、伸縮した時に前記可動プレートをY軸方向に移動させるY軸エアシリンダ。
  2. 下記の構成要件(A01′)〜(A03′),(A04),(A05)を備えたことを特徴とするXYステージ、
    (A01′)前後方向に設定したX軸に沿って延びる平行な一対のX軸循環型転がりガイドレールを支持するベース、
    (A02′)前記一対の各X軸循環型転がりガイドレール上にそれぞれ2個づつ移動可能に支持され且つ上方から見て長方形の各頂点に対応する位置に配置された合計4個のX軸移動ブロックであって、前記X軸循環型転がりガイドレールにより移動可能に支持される下部被支持部と、前記X軸と直交する左右方向に設定したY軸の方向に延びる一対のY軸循環型転がりガイドレールを移動可能に支持する上部支持部とを有するX軸移動ブロック、
    (A03′)前記一対のY軸循環型転がりガイドレールに固定され前記Y軸循環型転がりガイドレールと一体的に移動する可動プレート、
    (A04)前記ベースと前記X軸移動ブロックとの間に伸縮可能に設けられ、伸縮した時に前記X軸移動ブロックをX軸方向に移動させるX軸エアシリンダ、
    (A05)前記可動プレートと前記X軸移動ブロックとの間に伸縮可能に設けられ、伸縮した時に前記可動プレートをY軸方向に移動させるY軸エアシリンダ。
  3. 下記の構成要件(A06)を備えたことを特徴とする請求項1または2記載のXYステージ、
    (A06)シリンダと前記シリンダのロッド貫通孔を貫通するピストンロッドとを有し、前記ロッド貫通孔内周面およびピストンロッド外周面間の間隙に多段の差動排気孔を設けた前記X軸エアシリンダおよびY軸エアシリンダ。
  4. 下記の構成要件(A07)を備えたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか記載のXYステージ、
    (A07)前記X軸に沿う一方側に向かう方向を+X方向とし、他方側に向かう方向を−X方向とした場合に、前記X軸移動ブロックのX軸方向の移動時に前記X軸移動ブロックを常時+X方向に移動させる力を発生する+X軸エアシリンダと常時−X方向に移動させる力を発生する−X軸エアシリンダとを有する前記X軸エアシリンダ。
  5. 下記の構成要件(A08)を備えたことを特徴とする請求項2記載のXYステージ、
    (A08)前記一対のX軸循環型転がりガイドレールの中間にX軸線を設定した場合に、前記X軸線に関して対称に配置された一対の+X軸エアシリンダと一対の−X軸エアシリンダとの合計4本のエアシリンダを有する前記X軸エアシリンダ。
  6. 下記の構成要件(A09)を備えたことを特徴とする請求項2または5記載のXYステージ、
    (A09)前記Y軸に沿う一方側に向かう方向を+Y方向とし、他方側に向かう方向を−Y方向とした場合に、前記可動プレートのY軸方向の移動時に前記可動プレートを常時+Y方向に移動させる力を発生する+Y軸エアシリンダと前記可動プレートを常時−Y方向に移動させる力を発生する−Y軸エアシリンダとを有する前記Y軸エアシリンダ。
  7. 下記の構成要件(A010)を備えたことを特徴とする請求項6記載のXYステージ、
    (A010)前記一対のY軸循環型転がりガイドレールの中間にY軸線を設定した場合に、前記Y軸線に関して対称に配置された一対の+Y軸用エアシリンダと一対の−Y軸用エアシリンダとの合計4本のエアシリンダを有する前記Y軸用エアシリンダ。
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