(実施の形態1)
本発明の実施の一形態について図1ないし図6に基づいて説明すれば、以下のとおりである。
(1−1.ネットワーク構成)
図1は、本実施形態に係る通信ネットワークシステムの概略構成を示すブロック図である。同図に示すように、この通信ネットワークシステムは、コントローラ1、第1無線局(通信局)2、第2無線局(通信局)3、ターゲット4、第1IRM(Isochronous Resource Manager)5、第2IRM7、およびQAP/HC(通信リソース管理局)6を備えた構成となっている。
コントローラ1、第1無線局2、および第1IRM5は、第1有線ネットワーク8によって接続されており、これらによって第1有線ネットワークシステムが形成されている。また、第2無線局3、ターゲット4、および第2IRM7も、第2有線ネットワーク10によって接続されており、これらによって第2有線ネットワークシステムが形成されている。本実施形態では、これら第1および第2有線ネットワークシステムが、IEEE1394準拠のネットワークシステムであるものとする。
また、第1無線局2、第2無線局3、およびQAP/HC6は、無線ネットワーク9によって接続されており、これらによって無線ネットワークシステムが形成されている。本実施形態では、この無線ネットワークシステムが、IEEE P802.11e Draft8.0準拠のネットワークシステムであるものとする。
コントローラ1は、ユーザが上記通信ネットワークシステムを利用する際に、システム上の装置、この場合ではターゲット4の制御を行う際に用いられる装置である。本実施形態では、このコントローラ1として映像表示手段としてのテレビを想定している。この場合、テレビのリモコンなどによる入力手段によって、ユーザからの上記各機器に対する動作制御指示が行われることになる。
ターゲット4は、コントローラ1によって動作の制御が行われる機器である。本実施形態では、このターゲット4として、映像信号出力手段としてのVTR(Video Tape Recorder)を想定している。すなわち、本実施形態では、このVTRから出力された映像信号が、第2有線ネットワーク10、無線ネットワーク9、および第1有線ネットワーク8を介して、コントローラ1としてのテレビに送信され、テレビにおいて映像が表示される、というシステム動作が想定されている。
第1無線局2は、第1有線ネットワークシステムと無線ネットワークシステムとの間で信号の中継を行う装置であり、第1有線ネットワーク8および無線ネットワーク9に接続されている。また、第2無線局3は、無線ネットワークシステムと第2有線ネットワークシステムとの間で信号の中継を行う装置であり、無線ネットワーク9および第2有線ネットワーク10に接続されている。
第1IRM5は、第1有線ネットワークシステムにおける信号伝送の帯域・チャネル管理を行う装置である。また、第2IRM7は、第2有線ネットワークシステムにおける信号伝送の帯域・チャネル管理を行う装置である。また、QAP/HC6は、無線ネットワークシステムにおける送信権の管理を行う装置である。
(1−2.メッセージシーケンス)
次に、上記通信ネットワークシステムにおけるメッセージシーケンスについて図2を参照しながら以下に説明する。まず、ステップ1(以降、S1のように称する)において、コントローラ1は、ユーザからの操作などにより制御対象となるターゲット4を決定すると、自らの接続される第1有線ネットワークシステム上の帯域およびチャネルの取得要求を第1IRM5に対して送信する。第1IRM5は、要求された帯域およびチャネルを確保した上でリソース取得応答をコントローラ1に送信する(S2)。帯域およびチャネルの取得に成功したら、コントローラ1は第1無線局2に対してコネクション確立要求を送信する(S3)。第1無線局2は、指定されたコネクションが確立可能か否かを判断し、コネクション確立応答をコントローラ1に送信する(S4)。
第1無線局2は、コントローラ1からコネクション確立要求を受け付けると、自局は無線ネットワーク9上でストリーム受信を行うことと、自局および第2無線局3がQAP/HCではないことを確認した後に、自局と第2無線局3との間のコネクション確立要求を第2無線局3へ送信する(S5)。第2無線局3は、第1無線局2からコネクション確立要求を受信すると、QAP/HC6に対して帯域取得要求を送信する(S6)。
QAP/HC6は、第2無線局3から要求された帯域を割り与えるとともに、帯域取得応答を第2無線局3へ送信する(S7)。帯域取得応答を受信した第2無線局3は、帯域取得結果も踏まえて第1無線局2との間にコネクションを確立することが可能か否かを判断し、判断結果を含むコネクション確立応答を第1無線局2へ送信する(S8)。
第2無線局3は、続けて、自らの接続される第2有線ネットワークシステム上の帯域およびチャネルの取得要求を第2IRM7に対して送信する(S9)。第2IRM7は、要求された帯域およびチャネルを確保した上でリソース取得応答を第2無線局3に送信する(S10)。帯域およびチャネルの取得に成功したら、第2無線局3はターゲット4に対してコネクション確立要求を送信する(S11)。ターゲット4は、指定されたコネクションが確立可能か否かを判断し、コネクション確立応答を第2無線局3に送信する(S12)。
すなわち、上記従来のメッセージシーケンスにおいて、第1無線局2,第2無線局3,QAP/HC6を接続する無線ネットワーク9に注目すれば、第2無線局3は、第1無線局2からのコネクション確立要求(S5)に応じて、帯域を管理するQAP/HC6に帯域取得要求を送信し(S6)、これによって、必要帯域を確保している。
なお、コントローラ1はターゲット4を帯域確保処理開始前に認識可能であり、その認識結果に基づいてコントローラ1からターゲット4までの通信経路は事前に定めることが可能となっているものとする。これを実現する方法としては様々な方法が考えられるが、以下に1つの例について説明する。
まず、第1無線局2が、第2無線局3が接続されている第2有線ネットワーク10に接続されている機器の情報の取得要求を第2無線局3に対して送信し、この情報を取得する。その後、コントローラ1が第1無線局2にアクセスし、第2有線ネットワークシステムに接続されている機器の情報を得て、これら機器の中から接続を行いたい機器、すなわちターゲット4を選択する。第1無線局2は、コントローラ1によって選択されたターゲット4に関する情報、具体的には、ConfigROMおよびPCR(Plug Control Register)の情報を第2無線局3を介してターゲット4から取得し、これに基づいて仮想的なターゲット4を作成する。以降は、コントローラ1が第1無線局2内に設けられた仮想的なターゲット4に対してアクセスすることによって通信が行われることになる。
(1−3.無線局の構成)
次に、第1無線局2または第2無線局3の構成について説明する。
本発明は上記メッセージシーケンスのうち第1無線局2および第2無線局3によるS5実行前の判定方法、すなわち自局がQAP/HC6に対して無線帯域要求を行うか否かを判定する方法、についての発明であり、第1有線ネットワーク8および第2有線ネットワーク10との接続は必須ではない。説明の簡略化のため、以後は図3に示すように、QAP/HC6、第1無線局2、第2無線局3からなる無線ネットワーク9における動作を例にとって説明する。
第1無線局2、第2無線局3は、無線ネットワーク9を介して接続されている。また、QAP/HC6は、無線ネットワーク9における送信権の管理を行う装置である。
なお、第1無線局2または第2無線局3は、構成としてはほぼ同様のものであるので、ここでは、両者を無線AV機器(通信局)40と総称して説明する。無線AV機器40は無線通信機能を有するAV機器であって、放送などのストリームデータを無線通信することが可能である。以下の説明では、特に、第1無線局2としての無線AV機器40を想定しているが、基本的には第2無線局3にも同様に適用されるものである。
図4は、無線AV機器40の概略構成を示すブロック図である。同図に示すように、無線AV機器40は、アプリケーション42、無線パケット処理部25、無線PHY26、無線リソース管理部30、無線ネットワーク管理部31およびアドレス判定部41を備えた構成となっている。
アプリケーション42は、通信相手局の決定、通信帯域の予約要求、ストリームの送受信開始などの指示を行うものであり、情報をユーザに提示する機能とユーザからの入力を受け付ける機能を有する。
無線PHY26は、無線ネットワーク9に接続されており、この無線ネットワーク経由でパケットや制御信号を受信あるいは送信する処理を行う物理層である。無線パケット処理部25は、無線PHY26において受信されたパケットの種類を判定し、その種類に応じた処理を行う、あるいは、アプリケーション42や無線ネットワーク管理部31などからの要求によってパケットを作成し、これを無線PHY26へ渡す処理を行うものである。
無線リソース管理部30は、無線AV機器40が取得している無線リソースを管理するものである。無線ネットワーク管理部31は、無線ネットワーク中でどの局が帯域管理を行うQAP/HCであるかを記憶するものである。
アドレス判定部41は、アプリケーション42から得られる通信相手局のMACアドレスと、無線ネットワーク管理部31から得られるQAP/HCのMACアドレスとを比較し、同一か否かを判定する処理を行うものである。
(1−4.無線局における処理の流れ)
次に、無線AV機器40における処理の流れについて、図5に示すフローチャートを参照しながら説明する。ここで、無線AV機器40はテレビのようにストリームの受信のみを行う場合について説明する。
まず、無線リソース管理部30は、無線ネットワーク管理部31から自局が属しているQAP/HC6のMACアドレスを取得する(S111)。具体的には、無線リソース管理部30は、自局がQAP/HC6にアソシエートする際に用いるMACアドレスを検出し、検出したMACアドレスを無線ネットワーク管理部31に記憶させる。なお、アソシエートの対象となるQAP/HC6のMACアドレスは、QAP/HC6がブロードキャストするビーコンに含まれている。
次に、アプリケーション42は、ストリームの送信局となる通信相手局を決定する(S112)。具体的処理は、次のように行う。まず、アプリケーション42が、無線ネットワーク9に接続された他の無線AV機器の機器情報を、無線PHY26および無線パケット処理部25を経由して入手する。その後、アプリケーション42は、入手した他の無線AV機器の機器情報をユーザに提示する。これに応じて、ユーザがアプリケーション42の機能により、通信相手局となる他の無線AV機器を選択する。なお、ユーザが通信相手局を決定したら、アプリケーション42は、当該通信相手局のMACアドレスを記憶しておく。
通信相手局を決定すれば、アプリケーション42は、通信相手局上のアプリケーションと通信を行い、通信対象となるストリームを決定し、そのストリームの属性(ストリームの通信に必要な帯域幅など)を入手する。その後、アプリケーション42は、無線リソース取得のトリガー(リソース取得トリガー)の受信を待つ。リソース取得トリガーとなる事象としては、ユーザがアプリケーション42に対して「通信開始」ボタンを押すことなどが相当する。
アプリケーション42は、リソース取得トリガーを受信すると(S113)、アドレス判定部41の機能により、無線ネットワーク管理部31が記憶するQAP/HC6のMACアドレスと、自ら記憶する通信相手局のMACアドレスとを比較して、無線ネットワークにおける相手局となる無線局がQAP/HC6であるか否かを判定する(S114)。
S114における比較の結果、無線ネットワーク管理部31が記憶するQAP/HC6のMACアドレスと、自ら記憶する通信相手局のMACアドレスとが等しいなら、通信相手局はQAP/HC6であると認識できるため、アプリケーション42は、無線リソース管理部30の機能によって、当該無線ストリームにTSIDを割り与えた後に無線帯域確保要求を作成し、これを無線パケット処理部25、無線PHY26経由で相手局であるQAP/HC6宛てに送信することによって、自局から無線リソースの取得を行う(S115)。
一方、S114における比較の結果、無線ネットワーク管理部31が記憶するQAP/HC6のMACアドレスと、自ら記憶する通信相手局のMACアドレスとが異なっているなら、通信相手局はQAP/HCではないと認識されるため、無線AV機器40は、無線リソース(無線帯域)の取得を行わず、他局による無線リソースの確保を待機する(S116)。例えば、アプリケーション42は、トリガーコマンドを作成して、通信相手局に送信し、このトリガーコマンドを受信した通信相手局がリソースの取得を行うのを待機する。
これら処理によって無線リソースの帯域確保が成功した場合、アプリケーション42は、適宜、通信相手局への指示コマンド(例えばPlayコマンド)を作成し、無線パケット処理部25および無線PHY26を経由して、通信相手局に各種の指示を行う。
(1−5.本実施形態の変更例)
以上、本発明の適用範囲は、上記の説明に限られるものではなく、本実施形態に、例えば、次のような変更を施してもよい。
(1)IEEE P802.11eに準拠した無線ネットワーク9の代わりに、通信リソースを確保する他の無線ネットワークを用いてもよいし、有線ネットワークを用いてもよい。
(2)第1無線局2および第2無線局3の一例として、無線AV機器40を説明したが、通信構成が同等であれば、無線AV機器40の代わりに、電話など、他の種類の機器を用いてもよい。
(3)無線AV機器40をストリームの受信局として用いるものと説明したが、同様の構成によって、無線AV機器40をストリームの送信局として用いる場合にも、本発明を適用することができる。
(4)QAP/HCと非QAP/HCを識別する手段についても、受信ビーコンのMACアドレスに限られるものではなく、より上位層のアドレス(例えばネットワーク層のアドレス)などを用いてもよい。例えば、ネットワーク層のアドレスが特定の値であるか否かに基づいて、QAP/HCと非QAP/HCとを識別してもよい。
(5)S112において、通信相手局の決定はユーザの選択に基づくものとして説明したが、通信相手局の決定手法はこれに限られるものではなく、アプリケーション42が、あらかじめ保有する通信相手局情報に基づいて、自動的に選択・決定してもよい。
(6)前述の説明では、アプリケーション42は、通信相手局上のアプリケーションと通信を行い、通信対象となるストリームを決定し、そのストリームの属性(ストリームの通信に必要な帯域幅など)を入手するものとしたが、これに限られるものではない。例えば、アプリケーション42が、あらかじめ通信相手局、通信対象ストリームおよびストリーム属性などの各種情報を保有しておき、この保有情報に基づいて、通信対象ストリームを決定したり、通信対象ストリームのストリーム属性を無線リソース管理部30に通知したりしてもよい。
(7)S113では、ユーザからのリソース取得トリガー(ユーザがアプリケーション42に対して「送信開始」ボタンを押すことなど)が明示的に存在する例について記したが、リソース取得トリガーをユーザ以外から得る構成であってもよい。例えば、無線AV機器40が、常にストリームを出力可能としているチューナなどであれば、アプリケーション42は、無線AV機器40の内部で得る情報や、コントローラ1あるいは他の機器、無線局からの命令(特に送受信開始命令)や、他ネットワークからのストリームの受信の検出などをリソース取得トリガーとして用いてもよい。
(8)S116においては、アプリケーション42は、トリガーに対応する通信相手局へのコマンドを作成し、このコマンドを上記通信相手局へ送信して、待機するものとして説明したが、単に、待機するのではなく、通信相手局に対して、トリガーに対応するコマンドとは別の無線リソースの確保を要求するコマンドを明示的に発行することにより、通信相手局に無線リソースの確保を実行させてもよい。同様に、アプリケーション42は、下位層のネットワークの制約を満たす第三の局に無線リソースの確保を要求するコマンドを発行して、リソースの確保を実行させてもよい。
(9)また、無線AV機器40は、自局がリソース取得を行えない場合、他局(送受信相手局または第三局)にリソース取得、変更あるいは開放を要求してもよい。この場合、他局のうち、いずれの通信局にリソース取得、変更あるいは開放を依頼するかは下位層の仕様(例えば、IEEE P802.11eの仕様)に依存する。この構成によれば、上位層が下位層の制約を意識せずにリソース取得要求を発行できる。また、常に、送信局(あるいは受信局)からリソース取得要求を発行できるので、アプリケーション42の構成を簡潔なものとすることができる。
ここで、上記変更例(9)について詳細に説明する。
図6は、自局がトポロジの関係でリソースの取得要求をできない場合に、他局に対して、リソースを取得してもらうときのシーケンスの一例を示す。なお、トポロジは図3、他局のブロック図は、図11と同等である。
第2無線局3では、S21でアプリケーション42がリソースを取得するための命令を受信したが、通信経路判定部43にて、自局が帯域を取得できないことが分かったので、そのストリームのリソースを取得できる第1無線局2に対して、S22で、リソース取得をするためのフレームを送信している。このフレームの内容は、実際に、どのようなリソースを確保するのかを示す情報が含まれる。例えば、IEEE P802.11eのネットワークでは、TSPECと呼ばれるストリームの情報を示したものや、EDCAおよびHCCAといったストリームの送信方法、どのようなAckのタイプを使用するかなどが含まれる。
リソース取得要求フレームを受信した第1無線局2は、S22で、第2無線局3から受信したリソース取得要求フレームに入っている情報から、帯域確保要求フレームを作成し、S23で、QAP/HC6に対して、送信する。このときに、第1無線局2は、第2無線局3から受信した情報以外に、QAP/HC6に対して要求する情報を作成してもよい。例えば、そのストリームを識別するための識別子などである。
QAP/HC6は、第1無線局2から帯域確保要求フレームを受信した後、そのフレームに入っている情報から必要な帯域を計算し、その帯域が割り当てることが可能であるかどうかを判断し、結果を、S24で、帯域確保返答フレームを送信する。
第1無線局2は、S25で、S24で受信した返答フレームの結果を第2無線局3に対して送信を行い、結果を通知する。また、S24で返答フレームを受信した後、さらに、必要な設定を行ってもよい。
また、第1無線局2は、S22で第2無線局3からリソース取得要求フレームを受信したときに、もうすでに、全く同じストリームを定義していたら、新たに取り直す必要はない。また、すでにその帯域の取得ができていることを、第2無線局3に対して、S25のリソース返答フレームで返信してもよい。そのときは、リソースが取得できているというエラーで返してもよいし、リソースが取得完了したということを返してもよい。すなわち、本変更例の構成によれは、送信側、受信側関係なく、双方で、帯域取得のための命令をアプリケーションが出すことができる。
また、上記のS23、およびS24のフレームは、MAC層におけるフレームであるが、S22およびS25で送信するフレームはどのような層のフレームでもよい。つまり、MAC層で作成されたフレームでもよいし、それ以外の層で作成されたフレームでもよい。
ここで、帯域を取得するためには、必ず、その帯域を使用する送信局(DirectlinkとUplinkの場合)もしくは受信局(Downlinkの場合)が申請するというルールになっている。すなわち、Uplink(STA→QAP)の場合、STA(ストリーム送信局)が帯域を取得する。Directlink(STA→STA)の場合、STA(ストリーム送信局)が帯域を取得する。Downlink(QAP→STA)の場合、STA(ストリーム受信局)が帯域を取得する。
そして、自局が上記の場合のいずれにも当てはまっていない(リソース取得を行えない)と判断したとき、他局(相手局)に対して通知する。すなわち、自局がリソース取得を行えないと判定した場合には、上記通信ネットワーク上の他局に対して、リソース取得、変更あるいは開放を要求する。
そして、上記の通知を受信した局は、リソース取得を行えないと判定した相手局が、リソース取得、変更あるいは開放を要求してきた場合、通信ネットワーク上のリソース取得、変更あるいは開放を行う。
(10)前述の説明では、無線帯域の取得に関する処理について説明しているが、帯域の変更、開放も同様にして実現できる。
(11)前述の説明では、QAP/HC6がリソースを管理する場合に、QAP/HC6からリソースを取得する例について記したが、無線AV機器40は、自局の管理するリソースを取得、変更、開放してもよい。例えば、無線リソース管理部30は、自局と相手局との間で利用されているTSID(IEEE P802.11eに準拠したMAC層でストリームを識別するためのID)を管理しており、無線帯域の取得を行う局が、帯域割り当てを要求する無線ストリームに対して新規にTSIDを割り与える。すなわち、TSIDの値を決定するのはQAP/HC6に対して無線リソースを要求する局に相当する無線AV機器40(第1無線局2あるいは第2無線局3)であるから、本実施形態において、無線ネットワーク9に接続された無線AV機器40(第1無線局2あるいは第2無線局3)のうち、いずれの無線局がTSIDを決定すべきかを選択・決定する構成を採用してもよい。
なお、これら本実施形態の変更例は、以降の他の実施の形態にも同様に適用することが可能である。
(実施の形態2)
本発明の実施の一形態について図7、図8に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、前記した実施の形態1で説明した構成と同様の機能を有する構成には、同一の符号を付記し、その説明を省略する。
(2−1.ネットワーク構成)
図7は、本実施形態に関わる通信ネットワークシステムの概略構成を示すブロック図である。同図に示すように、本実施形態に係るシステムは、図3に示す構成に加えて、有線ネットワーク13と通信局14とが設けられている。有線ネットワーク13は、QAP/HC6と後述の通信局14とを接続するネットワークであり、ここではEthernet(登録商標)のみから構成されるものを想定する。通信局14は、有線ネットワーク13、QAP/HC6、無線ネットワーク9経由で第1無線局2と通信する。この通信には、下位層が無線か有線かを問わず、IP(Internet Protocol)を用いるものとする。
その他構成については図1に示す構成と同様であるので、ここではそれらの説明を省略する。
実施の形態1では、無線ネットワークにおいて、無線局がどの局がリソース管理局かを判定して、自局がリソースの取得を行うか否かを判定する場合の例を示した。本実施形態では、無線ネットワークと有線ネットワークが接続されている構成において、データの送受信を行う相手局が、自局と共通の通信リソースを管理する単位内(同一無線ネットワーク上)に存在するか否かを判定して、自局がリソースの取得を行うか否かを判定する場合の例を示す。
(2−2.無線局の構成)
本実施形態に係る無線AV機器40(第1無線局2または第2無線局3)の概略構成を示すブロックは、図4に示したものと同じである。ただし、本実施形態に係る無線AV機器40では、図4における、無線ネットワーク管理部31およびアドレス判定部41の機能が実施の形態1と異なっている。
本実施形態において、無線ネットワーク管理部31は、実施の形態1での機能に加えて、無線ネットワーク9内の機器に割り与えられるアドレスの情報を記憶する。具体的には、ある無線局が無線ネットワーク9に加入する際に割り当てられるIPアドレスの値の範囲についての情報を保有している。
また、本実施形態において、アドレス判定部41は、実施の形態1での機能に加えて、アプリケーション42から得られる通信相手局のアドレスと、無線ネットワーク管理部31の保有する無線ネットワーク9内の機器に割り当てられるIPアドレスの情報とを比較し、通信相手局が無線ネットワーク9内にいるものか否かを判定する処理を行う。
その他の構成については図3に示す構成と同様であるので、ここではそれらの説明を省略する。
(2−3.無線局における処理の流れ)
次に、無線AV機器40における処理の流れについて、図8に示すフローチャートを参照しながら説明する。
まず、アプリケーション42は、ストリームの送信局となる通信相手局を決定する(S121)。
具体的処理は、次のように行う。まず、アプリケーション42が、無線ネットワーク9に接続された他の無線AV機器の機器情報を、無線PHY26および無線パケット処理部25を経由して入手する。その後、アプリケーション42は、入手した他の無線AV機器の機器情報をユーザに提示する。これに応じて、ユーザがアプリケーション42の機能により、通信相手局となる他の無線AV機器を選択する。なお、ユーザが通信相手局を決定したら、アプリケーション42は、当該通信相手局(ここでは、通信局14)のIPアドレスを記憶しておく。
通信相手局を決定すれば、アプリケーション42は、通信相手局上のアプリケーションと通信を行い、通信対象となるストリームを決定し、そのストリームの属性(ストリームの通信に必要な帯域幅など)を入手する。その後、アプリケーション42は、無線リソース取得のトリガー(リソース取得トリガー)の受信を待つ。リソース取得トリガーとなる事象としては、ユーザがアプリケーション42に対して「通信開始」ボタンを押すことなどが相当する。
アプリケーション42は、リソース取得トリガーを受信すると(S122)、アドレス判定部41の機能により、無線ネットワーク管理部31が記憶する、無線ネットワーク内の機器に割り与えられるIPアドレスの情報と、自ら記憶する通信局14のIPアドレスとを比較して、通信ネットワークにおいて、データの送受信を行う相手局が、自局と共通の通信リソースを管理する単位内に存在するか否かを判定する(S123)。
S123における比較の結果、図7のネットワーク構成であれば、通信局14のIPアドレスは無線ネットワーク9の外部のもの(S123においてYes)と認識されるため、アプリケーション42は、無線リソース管理部30の機能によって、当該無線ストリームにTSIDを割り与えた後に無線帯域確保要求を作成し、これを無線パケット処理部25、無線PHY26経由で相手局であるQAP/HC6宛てに送信することによって、自局から無線リソースの取得を行う(S124)。
一方、S123における比較の結果、仮に、そのIPアドレスは無線ネットワーク9の内部のものであれば、通信局14が無線ネットワーク9に接続されているものと認識できるため(S123においてNo)、アプリケーション42は、実施の形態1のS26〜S30およびS111〜S114(図5参照)の各処理を実行することによって、無線ネットワーク管理部31が記憶するQAP/HC6のMACアドレスと、自ら記憶する通信相手局のMACアドレスとを比較して、無線ネットワークにおける相手局となる無線局がQAP/HC6であるか否かを判定し、自局から無線リソースの取得を行うか否かを決定する。
なお、無線リソースを確保した後の処理については、実施の形態1と同様であるので、ここでは説明を省略する。
以上、無線AV機器40を第1無線局2であるものとして処理の流れを説明したが、第2無線局3についても、基本的に同様である。
以上のように、本実施形態において、無線AV機器40(第1無線局2または第2無線局3)は、無線ネットワーク管理部31によって、無線ネットワーク9に関する事象および/または状態として、通信相手局のIPアドレスを検出し、アプリケーション42およびアドレス判定部41は、上記検出結果に応じて、無線ネットワーク管理部31において、自局が通信リソースを取得する処理を担当すべきか否かを判定し、この判定結果に基づいて、処理を実行するものである。
また、アプリケーション42およびアドレス判定部41は、無線ネットワーク9および有線ネットワーク13からなる通信ネットワークにおいて、データの送受信を行う相手局が、自局と共通の通信リソースを管理する単位内に存在するか否かを判定する接続ネットワーク判定部としての機能を有しており、この判定結果に基づいて、無線AV機器40(第1無線局2または第2無線局3)は、自局が通信リソースの取得する処理を担当するか否かを判定している。
なお、本実施形態では、アプリケーション42およびアドレス判定部41は、通信局14が、自局と共通の通信リソースを管理する単位内に存在するか否かを、無線ネットワーク9で割り当てられるIPアドレスの値の範囲に基づいて判定したが、他の情報、例えば有線ネットワーク13上のIPアドレスの範囲や、無線区間のみに有効なプロトコルを用いて収集した情報に基づいて判定してもよいし、通信局14やその他の局に問い合わせて判定してもよい。
(実施の形態3)
本発明の実施の一形態について図3、図9、図10に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、前記した実施の形態1で説明した構成と同様の機能を有する構成には、同一の符号を付記し、その説明を省略する。
(3−1.ネットワーク構成)
本実施形態に関わる通信ネットワークシステムの概略構成は図3に示す構成と同様であるので、ここではそれらの説明を省略する。
(3−2.無線局の構成)
図9は、本実施形態に係る無線AV機器40(第1無線局2または第2無線局3)の概略構成を示すブロック図である。図9に示す構成では、無線ネットワーク管理部31とアドレス判定部41とが存在しない点のみが、図3に示した構成と異なっている。
本実施形態では、無線ネットワーク9の内部において、自局がストリームの送信局か受信局かを判定して、自局がリソースの取得を行うか否かを判定する場合の例を示す。
(3−3.無線局における処理の流れ)
次に、無線AV機器40における処理の流れについて、図10に示すフローチャートを参照しながら説明する。
ここで、無線AV機器40は、第2無線局3であって、DVHSのようにストリームの送信(再生時)、あるいは受信(録画時)を行う無線局であるものとする。
また、QAP/HC6はいわゆるアクセスポイントであって、AV機器としての機能を持たないものとし、第2無線局3の通信相手局は第1無線局2であって、第1無線局2は、デジタル放送のSTBのように、ストリームの送信(放送受信時)あるいは受信(DVHSから送信されるデータの再生時)を行う無線局であるものとする。
まず、アプリケーション42は、ストリームの送信局となる通信相手局を決定する(S131)。
具体的処理は、次のように行う。まず、アプリケーション42が、無線ネットワーク9に接続された他の無線AV機器の機器情報を、無線PHY26および無線パケット処理部25を経由して入手する。その後、アプリケーション42は、入手した他の無線AV機器の機器情報をユーザに提示する。これに応じて、ユーザがアプリケーション42の機能により、通信相手局となる他の無線AV機器を選択する。なお、ユーザが通信相手局を決定したら、アプリケーション42は、当該通信相手局(ここでは、第1無線局2)のアドレスを記憶しておく。
通信相手局を決定すれば、アプリケーション42は、通信相手局上のアプリケーションと通信を行い、通信対象となるストリームを決定し、そのストリームの属性(ストリームの通信に必要な帯域幅など)を入手する。ここでは、第1無線局2と第2無線局3はともに非QAP/HCであり、この2つの無線局間で直接ストリームを送受信するために、IEEE P802.11eにおけるダイレクトリンクの設定を行うものとする。すなわち、通信相手局に対して、QAP/HC6経由でダイレクトリンクの確立要求を無線ネットワーク管理部31、無線パケット処理部25、無線PHY26経由で実行する。これが成功すると、以後の通信は当該局間で直接行われる。
また、アプリケーション42は、自局がストリームを送信するか受信するかも決定する(S132)。具体的には、アプリケーション42は、例えばDVHSの動作モードが「チューナ出力」になっていることの検出や、動作中のDVHSを停止したなどの無線AV機器40上のローカルな状態あるいは操作の他、送受信局間で行う通信内容に基づいて、自局がストリームを送信するか受信するかを決定する。ここでは、無線AV機器40(第2無線局3)はストリームを送信するものとする。
その後、アプリケーション42は、無線リソース取得のトリガー(リソース取得トリガー)の受信を待つ。リソース取得トリガーとなる事象としては、ユーザがアプリケーション42に対して「通信開始」ボタンを押すことなどが相当する。
アプリケーション42は、リソース取得トリガーを受信すると(S133)、先に定めたストリームの方向は、自局が送信側であるか否かを判定する(S134)。
S134における判定の結果、本実施形態では、第2無線局3から第1無線局2に送信する方向のストリームであるので、第2無線局3のアプリケーション42は、無線リソース管理部30の機能によって、当該無線ストリームにTSIDを割り与えた後に無線帯域確保要求を作成し、これを無線パケット処理部25、無線PHY26経由で相手局である第1無線局2宛てに送信することによって、自局から無線リソースの取得を行う(S135)。
一方、S134における比較の結果、仮に、ストリームの方向は、自局が送信側でなければ、送信局は第1無線局2であるものと認識できるので、第2無線局3のアプリケーション42は、無線リソース(無線帯域)の取得を行わず、通信相手局(第1無線局2)による無線リソースの確保を待機する(S136)。
なお、無線リソースを確保した後の処理については、実施の形態1と同様であるので、ここでは説明を省略する。
以上、無線AV機器40を第2無線局3であるものとして処理の流れを説明したが、第1無線局2についても、基本的に同様である。
以上のように、本実施形態の無線AV機器40(第1無線局2または第2無線局3)において、アプリケーション42は、無線ネットワーク9に関する事象および/または状態として自局がストリームを送信するか受信するかを判定するストリーム送受信判定部として機能し、さらに、この判定結果に基づいて、自局が通信リソースの取得、変更、または開放する処理を実行するものである。
(実施の形態4)
本発明の実施の一形態について図1、図11、図12に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、前記した実施の形態1で説明した構成と同様の機能を有する構成には、同一の符号を付記し、その説明を省略する。
(4−1.ネットワーク構成)
本実施形態に関わる通信ネットワークシステムの概略構成は図1に示す構成と同様であるので、ここではそれらの説明を省略する。
(4−2.無線局の構成)
図11は、本実施形態に係る無線AV機器40(第1無線局2または第2無線局3)の概略構成を示すブロック図である。図11に示す構成では、無線ネットワーク管理部31の機能、アドレス判定部41の代わりに通信経路判定部43が設けられている点のみが、図4に示した構成と異なっている。
無線ネットワーク管理部31は、実施の形態1と同様、QAP/HC6のアドレスを記憶するとともに、非QAP/HC局間の通信がQAP/HC6を介さず直接行われる場合に、各無線局の情報を記憶する。具体的には、QAP/HC6のアドレスに加えて、自局との間でダイレクトリンクプロトコルによるダイレクトリンク設定が成功した無線局のアドレスを保有している。
通信経路判定部43は、アプリケーション42から得られる通信相手局のアドレスと、無線ネットワーク管理部31から得られるダイレクトリンク設定中の無線局のアドレスとを比較し、通信相手局がダイレクトリンクで通信されるものか否かを判定する処理を実行する。
本実施形態では、無線ネットワーク9の内部において、非QAP/HCの無線局間でストリームの通信を行う際に、当該ストリームをQAP/HC経由で送信するか直接送信するかを判定して、自局がリソースの取得を行うか否かを判定する場合の例を示す。
(4−3.無線局における処理の流れ)
次に、無線AV機器40における処理の流れについて、図12に示すフローチャートを参照しながら説明する。ここで、無線AV機器40は、第2無線局3であって、テレビのようにストリームの受信のみを行うものとする。
まず、アプリケーション42は、ストリームの送信局となる通信相手局を決定する(S141)。
具体的処理は、次のように行う。まず、アプリケーション42が、無線ネットワーク9に接続された他の無線AV機器の機器情報を、無線PHY26および無線パケット処理部25を経由して入手する。その後、アプリケーション42は、入手した他の無線AV機器の機器情報をユーザに提示する。これに応じて、ユーザがアプリケーション42の機能により、通信相手局となる他の無線AV機器を選択する。なお、ユーザが通信相手局を決定したら、アプリケーション42は、当該通信相手局(ここでは、第1無線局2)のアドレスを記憶しておく。
通信相手局を決定すれば、アプリケーション42は、通信相手局上のアプリケーションと通信を行い、通信対象となるストリームを決定し、そのストリームの属性(ストリームの通信に必要な帯域幅など)を入手する。その後、アプリケーション42は、無線リソース取得のトリガー(リソース取得トリガー)の受信を待つ。リソース取得トリガーとなる事象としては、ユーザがアプリケーション42に対して「通信開始」ボタンを押すことなどが相当する。
次に、アプリケーション42は、通信相手局と通信するための通信経路を設定する(S142)。ここで、第1無線局2と第2無線局3はともに非QAP/HCであり、必要に応じて、この2つの無線局間で直接ストリームを送受信するために、IEEE P802.11eにおけるダイレクトリンクの設定を行う。すなわち、無線ネットワーク管理部31の有するQAP/HC6のアドレスと通信相手局のアドレスを比較し、当該通信相手局がQAP/HC6でない場合は、必要に応じて、ダイレクトリンクの確立要求を無線ネットワーク管理部31、無線パケット処理部25、無線PHY26経由で実行する。これが成功すると、以後の通信は当該局間で直接行われる。
その後、アプリケーション42は、無線リソース取得のトリガー(リソース取得トリガー)の受信を待つ。リソース取得トリガーとなる事象としては、ユーザがアプリケーション42に対して「通信開始」ボタンを押すことなどが相当する。
アプリケーション42は、リソース取得トリガーを受信すると、通信経路判定部43の機能によって、通信相手局との間の通信経路として、ダイレクトリンクが確立しているか否か(QAP/HC6を経由しないでよいか否か)を判定する(S144)。
S144における判定の結果、通信相手局との間の通信経路として、ダイレクトリンクが確立していなければ、アプリケーション42は、無線リソース管理部30の機能によって、当該無線ストリームにTSIDを割り与えた後に無線帯域確保要求を作成し、これを無線パケット処理部25、無線PHY26経由でQAP/HC6宛てに送信することによって、自局から自局とQAP/HC6との間の無線リソースの取得を行う(S145)。
一方、S144における比較の結果、通信相手局との間の通信経路として、ダイレクトリンクが確立していれば、ストリームの送信局である通信相手局がリソースの取得を行うため、アプリケーション42は、無線リソースの取得を行わず、通信相手局(第1無線局2)による無線リソースの確保を待機する(S146)。
なお、無線リソースを確保した後の処理については、実施の形態1と同様であるので、ここでは説明を省略する。
以上のように、本実施形態の無線AV機器40(第1無線局2または第2無線局3)において、アプリケーション42および通信経路判定部43は、無線ネットワーク9に関する事象および/または状態として、ストリームの通信経路を判定する通信経路判定部として機能し、さらに、この判定結果に基づいて、自局が通信リソースの取得、変更、または開放する処理を実行するものである。
(実施の形態5)
本発明の実施の一形態について図13、図14に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、前記した実施の形態1〜4で説明した構成と同様の機能を有する構成には、同一の符号を付記し、その説明を省略する。
上述した実施形態では、図3のように無線ネットワークが一つだけのトポロジであった。本実施の形態では、双方が無線ネットワークである図13のようなトポロジの場合の例について説明する。
(5−1.ネットワーク構成)
図13は、本実施形態に関わる通信ネットワークシステムの概略構成を示すブロック図である。同図に示すように、本実施形態に関わる通信ネットワークシステムは、両端に無線ネットワーク9A・9Bがあり、それを有線ネットワーク13で接続している。この構成において、第1無線局2Aから第4無線局3Bに対して、ストリームを送信する場合、リソースをそれぞれの無線ネットワーク9A・9Bで取得しなければならない。
(5−2.フレームシーケンス)
図14に、上記のような構成の通信ネットワークシステムにおいて、リソース取得を行うフレームシーケンスの一例を示す。
まず、第4無線局3Bでは、S31でアプリケーション42がリソースを取得するための命令を受信し自身で無線ネットワーク9Bの帯域を取得できると判定し、S32,S33で帯域を確保している。そこで、相手局が無線ネットワーク9Bの中にないことが分かったので、そのストリームの送信局である第1無線局2Aに対して、S34で、リソース取得をするためのフレームを送信している。
このフレームの内容は、実際に、どのようなリソースを確保するのかということが含まれる。例えば、IEEE P802.11eのネットワークでは、TSPECと呼ばれるストリームの情報を示したものや、EDCAおよびHCCAといったストリームの送信方法、どのようなAckのタイプを使用するかなどが含まれる。また、ネットワークにまたがるため、ネットワーク全体で守らなければならない値(ジッタ、ディレイなど)は、各ネットワークで分割されて送信されてもよい。
次に、リソース取得要求フレームを受信した第1無線局2Aは、S34で、第4無線局3Bから受信したリソース取得要求フレームに入っている情報から、帯域確保要求フレームを作成し、S35で、QAP/HC6Aに対して、送信する。このときに、第1無線局2Aは、第4無線局3Bから受信した情報以外に、QAP/HC6Aに対して要求する情報を作成してもよい。例えば、そのストリームを識別するための識別子などである。
QAP/HC6Aは、第1無線局2Aから帯域確保要求フレームを受信した後、そのフレームに入っている情報から必要な帯域を計算し、その帯域が割り当てることが可能であるかどうかを判断し、結果を、S36で、帯域確保返答フレームを送信する。
第1無線局2Aは、S37で、S36で受信した返答フレームの結果を第4無線局2Bに対して送信を行い、結果を通知する。また、S37で返答フレームを受信した後、さらに、必要な設定を行ってもよい。
さらに、無線ネットワーク9Bでは、リソースの取得が成功したが、無線ネットワーク9Aでは、リソースの取得が失敗した場合には、ストリームの送信を行わなくてもよい。また、ストリームの送信を行わない場合には、無線ネットワーク9Bの取得したリソースを開放するべきである。さらに、上記のような場合でも、ストリームを送信してもよい。この場合は、無線ネットワーク9Aでは、ベストエフォートや、優先度ベースでストリームが送信される。それゆえ、優先度をあげてストリームを送信することが望ましい。これにより、受信側できちんと再生できる可能性が大きくなる。
第1無線局2Aは、S34で第4無線局3Bからリソース取得要求フレームを受信したときに、もうすでに、まったく同じストリームを定義していたら、新たに取り直す必要なない。また、すでにその帯域の取得ができていることを、第4無線局3Bに対して、S37のリソース返答フレームで送信してもよい。そのときは、リソースが取得できているというエラーで返してもよいし、リソースが取得完了したということを返してもよい。すなわち、本実施形態の構成によれば、送信側、受信側関係なく、双方で、帯域取得のための命令をアプリケーションが出すことができる。
さらに、図13のようなトポロジでも、上記のようなS34,S38といったフレームを使用しなくても、実施の形態1や実施の形態2を組み合わせることによって実現は可能である。
(実施の形態6)
本発明の実施の一形態について図15、図16に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、前記した実施の形態1〜5で説明した構成と同様の機能を有する構成には、同一の符号を付記し、その説明を省略する。
リソースを取得して送受信できるネットワークが複数接続されている場合、リソースをそれぞれのネットワークで取得をしようとすると、ストリームを送受信するために通るネットワーク全体でのリソースの管理ができなくなる。そのような場合には、図15のトポロジに示すような、管理マネージャ60をネットワークのどこかに設け、その管理マネージャ60が各ネットワークのリソース取得局に対して、リソース取得の指示を出してもよい。
(6−1.ネットワーク構成)
図15は、本実施形態に関わる通信ネットワークシステムの概略構成を示すブロック図である。同図に示すように、本実施形態に関わる通信ネットワークシステムは、両端に無線ネットワーク9A・9Bがあり、それを有線ネットワーク13で接続している。さらに、有線ネットワーク13には、管理マネージャ60が接続されている。
(6−2.管理マネージャ)
上記管理マネージャ60は、ネットワーク監視局としての機能を有する。具体的には、管理マネージャ60は、例えば次の処理を行う。(1)ストリームの経路全体における帯域の管理(どのようなネットワーク・通信局を通過するのか、各々の経路に応じた帯域確保の要請)、(2)各ネットワークにおける状況の確認(帯域情報(どのくらい帯域が余っているのか)、通信局情報(AP/HC、STAなど)、通信方法(Eather、802.11a/b/g/eなど))。
そして、上記のような情報を、各ネットワークに参加している通信局のいずれかが、管理マネージャ60に対して通知する。例えば、QAP/HC6が代表となってネットワークの状況を調べて通知する。もしくは、それぞれの無線局2・3が管理マネージャ60に対して通知する。管理マネージャ60がそれぞれの無線局2・3に通知するように命令する、などが考えられる。
管理マネージャ60がリソース管理局であるQAP/HC6を知る仕組みについては、あらかじめ登録されていてもよいし、ブロードキャストのパケットを送信して探索したり、QAP/HC6が管理マネージャ60に対して、ネットワークが接続されたときに通知することが可能である。
また、実際に帯域を確保してストリームを送信する手順の概略は、次のとおりである。
[1]ストリームを送信/受信する通信局が、そのストリームの情報を相手局のアドレスを管理マネージャ60に通知する。
[2]管理マネージャ60が、その通知について経路・帯域などを計算し、各ネットワークに対して帯域確保の要求を行う。なお、(ア)経路上のネットワーク、通信局の情報は、あらかじめ取得しておいてもよいし、このときに取得するようにしてもよい。(イ)帯域は、ストリームの情報から計算する。また、計算方法はネットワーク経路に応じて変更してもよい。なお、オーバーヘッドなどが異なることが考えられる。
[3]管理マネージャ60が、送信局/受信局に対して、帯域確保の結果を通知する。なお、各ネットワークで要求が失敗するかもしれないが、そのような場合には、ストリーム自体を流さない、もしくは、帯域が確保されていないということを、送受信局に対して通知する。
[4]ストリームの送受信を開始する。
(6−3.フレームシーケンス)
図16に、上記のような構成の通信ネットワークシステムにおいて、リソース取得を行うフレームシーケンスの一例を示す。
上述した実施の形態4(図13、図14)のときと同様に、第1無線局2Aから第4無線局3Bに対してストリームを送信するときに、無線ネットワーク9A・9Bそれぞれでリソースを確保する。そこで、管理マネージャ60は、それぞれネットワーク9A・9Bのリソースを取得できる第1無線局2Aおよび第4無線局3Bに対して、リソースの取得を指示する(S41,S45)。そして、S44,S48で、管理マネージャ60がそれぞれのリソース取得の結果を取得し、実際にストリームの送受信を開始する。
なお、リソース取得のための情報は、前述したものでよい。また、実際に各無線ネットワークにおけるリソース取得する方法は、前述した実施の形態に記述したとおりである。
ここで、管理マネージャ60は、ネットワークの種類、構成、用途、特性に応じて、ある程度、情報を変更したり、ネットワーク全体で配分すべき情報を決定することが望ましい。そのために、管理マネージャ60の機能として、各ネットワークの情報を取得する機能があってもよい。例えば、どのようなネットワークなのか、送受信するストリームのためのリソースを確保できる局はいったいどの局なのかというような情報を取得できるようにしておいてもよい。この機能があれば、リソース取得の時に、リソース取得情報をより正確に記述できるはずである。
また、管理マネージャ60はどのネットワークにあってもよい。管理マネージャ60は、図15では有線ネットワーク13に接続されているが、例えば、無線ネットワーク9A・9Bの中にあってもよい。
さらに、管理マネージャ60は、各ネットワークで特定の局のみとしか通信できないような構成にしておいてもよい。例えば、有線ネットワーク13に接続されているQAP/HC6A・6Bのみとしか通信できないようにしておいてもよい。このような場合には、リソース取得要求フレームを受信した、QAP/HC6A・6Bは、実施の形態1の(1−5.本実施形態の変更例)(9)で前述したように、そのストリームのためにリソースを取得できる局に対してリソース取得の要求を出して、リソースの取得要求を行えばよい。
(実施の形態7)
本発明の実施の一形態について図17に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、前記した実施の形態1〜6で説明した構成と同様の機能を有する構成には、同一の符号を付記し、その説明を省略する。
本実施の形態では、通信局Bから通信局Cに対してストリームを送信するときに、IEEE P802.11eネットワークにおいてどの局が帯域確保の命令を送信する局であるかということを判定するために、DLPを使用して無線ネットワーク内でのトポロジ(Direction)を判定する方法を示す。
図17を用いて、DLP(Direct Link Protocol)の設定方法を説明する。通常のIEEE P802.11の通信方式では、AP(Access Point)がすべての通信の橋渡しをすることになっている。つまり、通信局Bから通信局Cにデータを転送しようとすると、通信局B→通信局A→通信局Cと送信する必要があったが、これでは、通信するための伝送帯域が2倍必要となり、データの送受信を行うのに無駄が生じる。このため、IEEE P802.11eでは、AP以外の通信局の間を直接通信できるように設定すれば、パケットを直接送受信してもよいということが定義されている。
具体的には、通信局Bと通信局Cが直接通信したい場合には、まず、通信局BがAP/HCに対して、通信局Cと直接通信したいということを伝えるためのDLP要求フレームを送信する(S51)。AP/HCは、通信局CがDLPを実行できるかどうかを判断して、実行できるようであれば、DLP要求フレームを通信局Cに対して送信する(S52)。通信局Cは、DLP要求フレームを受信したら、DLPをするかどうかの判断を行い、DLP返答フレームをAP/HCに送信する(S53)。AP/HCは、受信したDLP返答フレームを通信局Bに転送する(S54)。
以上のシーケンスがすべて成功すれば、通信局Bと通信局Cが直接通信できるようになる。AP/HCは、すべての局と通信ができることが前提となっているので、DLPをする必要はない。
なお、図17中、SME(Station Management Entity(IEEE802.11))は、ステーション(端末、通信局)の管理機能である。SMEは、特定のレイヤの管理を行うものでなく、MLMEやPLME(PHY Layer Management Entity)との間で様々な情報や制御信号のやりとり(MLME-DLP requestなど)を行って、MACやPHYを制御する。図4では、アドレス判定部41、無線ネットワーク管理部31、無線リソース管理部30などが、SMEに相当する。
また、MLME(MAC Layer Management entity(IEEE802.11))は、MAC管理機能である。このMLMEを通して、MAC層に命令・設定を行う。例えば、ネットワークの作成、加入や、帯域の確保、DLPの設定といった処理を実際に無線上で行うためのパケットを送受信する。図4では、無線パケット処理部25がMLMEに相当する。
AP/HCが通信局Cであれば、AP/HCに対してストリームを送信することになるので、Directionは、アップリンク(Uplink)となる。
AP/HCがDLP要求フレームを受信したときに(S51)、同じBSS(Basic Service Set(IEEE802.11))の中に通信局Cがいない場合には、BSSの中にいないというエラーを返す。この場合は、通信局BからAP/HCに対してストリームを送信することになるので、Directionはアップリンクとなる。すべてのシーケンスが成功して通信局Cとダイレクト(Direct)に通信できるようになったら、Directionはダイレクトリンク(Directlink)となる。なお、BSSは、IEEE802.11のインフラストラクチャモードにおける基本単位であり、APと複数のSTAで構成されるネットワークである。
通信局BがAP/HCの場合には、通信局Cが自身のBSSの中にいることが分かっているので、Directionはダウンリンク(Downlink)となる。
アップリンク、ダイレクトリンクの場合で自局が送信局(Sender)の場合には、自局が帯域確保を行い、ダウンリンクのときには、相手局が帯域確保を行うことになる。
(8.補足)
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
例えば、実施の形態1〜4において、いずれの局がリソース管理局であるか、通信ネットワークにおいて、データの送受信を行う通信相手局が自局と共通の通信リソースを管理する単位内に存在するか否か、自局がストリームの送信局であるか受信局であるか、通信経路がQAP/HC経由であるか否かなどの判定条件を、主に個別に用いる例について説明したが、これら判定条件の利用方法は、以上の説明に限定されるものではなく、実施の形態2で説明したように、これら判定条件を組み合わせることによって、リソースの取得を行う/行わないという判定を行ってもよい。
また、判定条件は上述したものに限定されるものではなく、対象となるネットワークにおける制約に応じて異なる条件となってもよい。
また、実施の形態1〜4において、アドレス判定部、通信経路判定部が自局にあるという説明を行ったが、各ネットワーク内におけるリソースを確保するために必要となる各判定部が、ストリームの送受信に関わらない他局にあってもよい。例えば、アドレス判定部が自局にあり、他局に通信経路判定部があって、情報を送信し、通信経路判定部を保持している局がリソース取得を行ってもよい。それぞれの判定部同士が通信するためにパケットを送信してもよい。また、そのパケットは、どのようなレイヤで送信されてもよい。さらに、それらのパケットの送信には、無線だけでなく、有線で接続された通信路を使用してもよい。
また、実施の形態1〜4において、無線ネットワークのリソースを確保することを重点に記述したが、有線ネットワークのリソースを確保したり、両者が混合したネットワークのリソースを確保するためにも利用でき、ネットワークの種別を問わない。
また、前記各実施の形態で説明した各通信局(無線局2・3、QAP/HC6、通信局14、管理マネージャ60、特に無線AV機器40、など)の各ブロックは、ハードウェアロジックによって構成してもよいし、次のようにCPUを用いてソフトウェアによって実現してもよい。
すなわち、前記の各通信局は、各機能を実現する制御プログラムの命令を実行するCPU(central processing unit)、上記プログラムを格納したROM(read only memory)、上記プログラムを展開するRAM(random access memory)、上記プログラムおよび各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)などを備えている。そして、本発明の目的は、上述した機能を実現するソフトウェアである前記の各通信局の制御プログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)をコンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体を、上記の各通信局に供給し、そのコンピュータ(またはCPUやMPU)が記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成可能である。
上記記録媒体としては、例えば、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD/CD−R等の光ディスクを含むディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM/EPROM/EEPROM/フラッシュROM等の半導体メモリ系などを用いることができる。
また、前記の各通信局を通信ネットワークと接続可能に構成し、上記プログラムコードを通信ネットワークを介して供給してもよい。この通信ネットワークとしては、特に限定されず、例えば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、CATV通信網、仮想専用網(virtual private network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等が利用可能である。また、通信ネットワークを構成する伝送媒体としては、特に限定されず、例えば、IEEE1394、USB、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL回線等の有線でも、IrDAやリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、802.11無線、HDR、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。なお、本発明は、上記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。
最後に、本発明に係る通信局は、一つ以上の通信ネットワークを介してデータの送受信を行う通信経路の一部もしくはすべての通信経路における通信リソースを確保した上でデータの送受信を行う通信局であって、上記通信ネットワークに関する事象および/または状態を検出する事象・状態検出部と、上記事象・状態検出部が検出した、上記通信ネットワークに関する事象および/または状態の内容に応じて、自局が通信リソースの取得、変更、または開放する処理を担当するか否かを判定する通信リソース処理担当判定部と、上記通信リソース処理担当判定部の判定結果に基づいて、上記通信ネットワークにおける通信リソースを取得、変更、または開放する通信リソース管理部とを備えた構成となっていてもよい。
また、本発明に係る通信局の制御方法は、一つ以上の通信ネットワークを介してデータの送受信を行う通信経路の一部もしくはすべての通信経路における通信リソースを確保した上でデータの送受信を行う通信局の制御方法であって、上記通信ネットワークに関する事象および/または状態を検出する事象・状態検出ステップと、上記検出した、上記通信ネットワークに関する事象および/または状態の内容に応じて、自局が通信リソースの取得、変更、または開放する処理を担当するか否かを判定する通信リソース処理担当判定ステップと、上記判定結果に基づいて、上記通信ネットワークにおける通信リソースを取得、変更、または開放する通信リソース管理ステップとを含む方法であってもよい。
上記の構成では、まず事象・状態検出部によって、通信ネットワークに関する事象および/または状態が検出される。この内容に応じて、通信リソース処理担当判定部によって、通信ネットワークにおいて、自局が通信リソースを取得、変更、または開放する処理を担当すべきか否かが判定され、これに基づいて、通信リソース管理部が、通信ネットワークの通信リソースを取得、変更、または開放する。なお、通信ネットワークは、複数であっても単体であってもよい。
すなわち、通信ネットワーク上のデータ送信局(通信局)が、通信ネットワーク上のデータ受信局に対してデータ送信を行う際、自局が通信リソースを取得、変更、または開放する処理を担当すべき場合には、データ送信局は、通信リソースを取得、変更、または開放する処理を行い、データ受信局との間の通信路を確立する一方、他局(データ受信局を含む)が通信リソースを取得、変更、または開放する処理を担当すべき場合には、他局(データ受信局を含む)によって通信路が確立されるまで待機する。
したがって、データ送信局のリソース取得等処理と、データ受信局のリソース取得等処理とが互いに衝突したり、逆に、データ送信局とデータ受信局との両者ともにリソース取得等処理を行わないことによって、通信路の確立が遅れたりすることがない。
それゆえ、通信ネットワークにそれぞれ設けられている通信局同士で通信を行う際に、各通信ネットワークの構成の複雑である場合や、接続される通信局の数が多い場合であっても、的確に通信リソースの取得、変更、または開放の処理を実行し、スムーズな相互通信を実現できるという効果を奏する。
また、上記の構成において、通信ネットワークは単一の構成であってもよいし、異なる種類の通信ネットワークを含む構成であってもよい。よって、利用者は、互いに異なる種類の通信ネットワークを含んだより広域の通信ネットワークを容易に導入することが可能となるという効果を併せて奏する。
また、本発明に係るネットワーク中継装置は、上記の構成において、上記通信リソース処理担当判定部は、上記通信ネットワークに接続された他の通信局のうち、いずれの局が通信リソース管理局かを判定する通信リソース管理局判定部を備え、上記通信リソース管理局判定部の判定結果に基づいて、自局が通信リソースの取得、変更、または開放する処理を担当するか否かを判定する構成となっていてもよい。
上記の構成では、まず、通信リソース管理局判定部によって、通信ネットワークに接続された他の通信局(自局を含む)のうち、いずれの局が通信リソース管理局かが判定される。通信リソース管理局判定部は、各局のアドレスや通信リソース管理局が発行する信号などの情報に基づいて、通信ネットワークに接続された他の通信局のうち、いずれの局が通信リソース管理局かを判定する。この判定結果に基づき、上記通信リソース処理担当判定部によって、自局が通信リソースの取得、変更、または開放する処理を担当するか否かが判定される。
これにより、上記作用効果に加えて、接続されたネットワーク上に帯域を管理する中央管理局が存在する場合にも、自局が通信リソースの取得、変更、または開放する処理を担当するか否かを的確に判定し、この判定結果に基づいて、より的確な通信リソースの取得、変更、または開放の処理を実行し、スムーズな相互通信を実現できるという効果を奏する。
また、本発明に係る通信局は、上記の構成において、上記通信リソース処理担当判定部は、上記通信ネットワークにおいて、データの送受信を行う相手局が、自局と共通の通信リソースを管理する単位内に存在するか否かを判定する接続ネットワーク判定部を備え、上記接続ネットワーク判定部の判定結果に基づいて、自局が通信リソースの取得、変更、または開放する処理を担当するか否かを判定する構成となっていてもよい。
上記の構成では、まず、接続ネットワーク判定部によって、通信ネットワークにおいて、データの送受信を行う相手局が、自局と共通の通信リソースを管理する単位内に存在するか否かが判定される。上記通信リソース処理担当判定部は、例えば上位層のアドレス(例えば、IPアドレス)の構造やQBSS内部に存在する通信局のMACアドレス一覧情報などに基づいて、IEEE P802.11eにおける同一のQBBSのように、自局と共通の通信リソースを管理する単位内に存在するか否かを判定する。この判定結果に基づき、上記通信リソース処理担当判定部によって、自局が通信リソースの取得、変更、または開放する処理を担当するか否かが判定される。例えば、通信リソース処理担当判定部は、データの送受信を行う相手局が、自局と共通の通信リソースを管理する単位内に存在しなければ、自局が通信リソースの取得、変更、または開放する処理を担当すると判定する一方、データの送受信を行う相手局が、自局と共通の通信リソースを管理する単位内に存在すれば、自局は通信リソースの取得、変更、または開放する処理を担当せず、他局によって通信路が確立されるまで待機する。
これにより、上記作用効果に加えて、上記通信ネットワーク内に、通信リソースを管理する単位が存在する場合であっても、的確な通信リソースの取得、変更、または開放の処理を実行し、スムーズな相互通信を実現できるという効果を奏する。
また、本発明に係る通信局は、上記の構成において、上記通信リソース処理担当判定部は、上記通信ネットワークにおいて、自局がストリームを送信するか受信するかを判定するストリーム送受信判定部を備え、上記接続ネットワーク判定部の判定結果に基づいて、自局が通信リソースの取得、変更、または開放する処理を担当するか否かを判定する構成となっていてもよい。
上記の構成では、まず、ストリーム送受信判定部によって、通信ネットワークにおいて、自局がストリームを送信するか受信するかを判定するか否かが判定される。ストリーム送受信判定部は、例えば、IEEE P802.11e通信方式のダイレクトリンクにおいて、自局が、ストリームを送信するのか、ストリームを受信するのかを判定する。この判定結果に基づき、上記通信リソース処理担当判定部によって、自局が通信リソースの取得、変更、または開放する処理を担当するか否かが判定される。
例えば、通信リソース処理担当判定部は、通信ネットワークにおいて、自局がストリームを送信する場合には、自局が通信リソースの取得、変更、または開放する処理を担当すると判定する一方、自局がストリームを受信する場合には、自局は通信リソースの取得、変更、または開放する処理を担当せず、他局によって通信路が確立されるまで待機する。
これにより、上記作用効果に加えて、ストリーム送受信による通信を行う場合に、自局が通信リソースの取得、変更、または開放する処理を担当するか否かを的確に判定し、この判定結果に基づいて、的確な通信リソースの取得、変更、または開放の処理を実行し、スムーズな相互通信を実現できるという効果を奏する。
また、本発明に係る通信局は、上記の構成において、上記通信リソース処理担当判定部は、上記通信ネットワークにおけるストリームの通信経路を判定する通信経路判定部を備え、上記通信経路判定部の判定結果に基づいて、自局が通信リソースの取得、変更、または開放する処理を担当するか否かを判定する構成となっていてもよい。
上記の構成では、まず、ストリーム送受信判定部によって、通信ネットワークにおけるストリームの通信経路が判定される。ストリーム送受信判定部は、例えば、IEEE P802.11e通信方式において、ダイレクトリンクでデータ通信を行うのか、QAP/HC経由でデータ通信を行うのかというストリームの通信経路を判定する。この判定結果に基づき、上記通信リソース処理担当判定部によって、自局が通信リソースの取得、変更、または開放する処理を担当するか否かが判定される。
例えば、通信リソース処理担当判定部は、IEEE P802.11e通信方式において、ダイレクトリンクでデータ通信を行う場合には、送信局−受信局間の1本の通信路を確保すればよいので、通信リソースの取得、変更、または開放する処理を担当せず、相手局に任せるものと判定する一方、QAP/HC経由でデータ通信を行う場合には、送信局−QAP/HC間およびQAP/HC−受信局間の2本の通信路を確保する必要があるので、自局が通信リソースの取得、変更、または開放する処理を担当するものと判定する。
これにより、上記作用効果に加えて、ストリーム送受信による通信を行う場合に、特に、2つの通信局間で直接通信を行うことも他の局を経由して通信を行うこともできる場合に、的確な通信リソースの取得、変更、または開放の処理を実行し、スムーズな相互通信を実現できるという効果を奏する。
また、上記の構成において、上記通信ネットワーク上には、該通信ネットワークのリソースを管理するリソース管理局が存在する場合に、本発明に係る通信局は、上記リソース管理局に対して、上記通信ネットワークにおける通信リソースを取得、変更、または開放する構成となっていてもよい。
また、本発明に係る通信局は、上記の構成において、自局が管理する上記通信ネットワークのリソースに対して、上記通信ネットワークにおける通信リソースを取得、変更、または開放する構成となっていてもよい。
これら構成によれば、それぞれ、通信ネットワークのリソースをリソース管理局が管理する場合、通信局が自ら管理する場合において、的確な通信リソースの取得、変更、または開放の処理を実行し、スムーズな相互通信を実現できるという効果を奏する。
また、本発明に係る通信局は、自局がリソース取得を行えないと判定した場合には、上記通信ネットワーク上の他局に対して、リソース取得、変更あるいは開放を要求する構成となっていてもよい。
上記の構成によれば、上位層が下位層の制約を意識せずにリソース取得要求を発行でき、また、常に送信局(あるいは受信局)からリソース取得要求を発行できるので、本発明に係る通信局を簡潔な構成で実現できるという効果を奏する。
また、本発明に係る通信局は、上記の構成において、上記事象・状態検出部は、上記通信ネットワークに接続された他の通信局にネットワークの状態の情報を要求する構成となっていてもよい。
以上の構成において、上記事象・状態検出部は、例えば、上記通信ネットワークに接続された他の通信局にネットワーク情報を要求する構成であってもよいし、上記通信ネットワークに接続された他の通信局のアドレス情報を検出する構成であってもよい。
さらに、本発明に係る通信局は、上記の構成において、リソース取得を行えないと判定した相手局が、リソース取得、変更あるいは開放を要求してきた場合に、上記通信ネットワーク上のリソース取得、変更あるいは開放を行う構成となっていてもよい。
また、本発明に係る通信局は、上記の構成において、リソース取得を行えないと判定した相手局が、リソース取得、変更あるいは開放を要求してきた場合に、すでに同じデータに対するリソースを自局から取得しているかどうかを判定し、自局からリソースを取得していない場合には、上記通信ネットワーク上のリソース取得、変更あるいは開放を行い、自局からリソースを取得している場合には、相手局に対して、リソースの取得は終了することを通知する構成となっていてもよい。
また、本発明に係る通信局は、一つ以上の通信ネットワークを介してデータの送受信を行う通信経路の一部もしくはすべての通信経路における通信リソースを確保した上でデータの送受信を行う通信局であって、上記通信ネットワークに関する事象および/または状態を検出する事象・状態検出部と、上記事象・状態検出部が検出した、上記通信ネットワークに関する事象および/または状態の内容に応じて、どの局がある通信ネットワークにおける通信リソースの取得、変更、または開放する処理を担当するか否かを判定する通信リソース処理担当判定部と、上記通信リソース処理担当判定部の判定結果に基づいて、ある一つの通信ネットワークにおける通信リソースを取得、変更、または開放する通信リソース管理局に対して、通信リソースの取得、変更、または開放する処理を指示する通信リソース取得要求部とを備える構成となっていてもよい。
また、本発明に係る通信局の制御方法は、一つ以上の通信ネットワークを介してデータの送受信を行う通信経路の一部もしくはすべての通信経路における通信リソースを確保した上でデータの送受信を行う通信局の制御方法であって、上記通信ネットワークに関する事象および/または状態を検出する事象・状態検出ステップと、上記検出した、上記通信ネットワークに関する事象および/または状態の内容に応じて、どの局がある通信ネットワークにおける通信リソースの取得、変更、または開放する処理を担当するか否かを判定する通信リソース処理担当判定ステップと、上記判定結果に基づいて、ある一つの通信ネットワークにおける通信リソースを取得、変更、または開放する通信リソース管理局に対して、通信リソースの取得、変更、または開放する処理を指示する通信リソース取得要求ステップとを含む方法であってもよい。
上記の構成によれば、通信ネットワーク上のデータ送信局が、通信ネットワーク上のデータ受信局に対してデータ送信を行う際、通信ネットワークにおける通信リソースを取得、変更、または開放する通信リソース管理局に対して、通信リソースの取得、変更、または開放する処理を管理マネージャが指示する。
したがって、データ送信局のリソース取得等処理と、データ受信局のリソース取得等処理とが互いに衝突したり、逆に、データ送信局とデータ受信局との両者ともにリソース取得等処理を行わないことによって、通信路の確立が遅れたりすることがない。
それゆえ、通信ネットワークにそれぞれ設けられている通信局同士で通信を行う際に、各通信ネットワークの構成の複雑である場合や、接続される通信局の数が多い場合であっても、的確に通信リソースの取得、変更、または開放の処理を実行し、スムーズな相互通信を実現できるという効果を奏する。
また、本発明に係る通信局は、上記の構成において、上記の通信局がリソース取得、変更あるいは開放を要求してきた場合に、上記ある一つの通信ネットワーク上のリソース取得、変更あるいは開放を行うように構成されていてもよい。
また、本発明に係る通信局システムは、一つ以上の通信ネットワークを介してデータの送受信を行う通信経路の一部もしくはすべての通信経路における通信リソースを確保した上で互いにデータの送受信を行う通信局を複数有する通信システムであって、上記通信ネットワークに関する事象および/または状態を検出する事象・状態検出部と、上記事象・状態検出部が検出した、上記通信ネットワークに関する事象および/または状態の内容に応じて、自局が通信リソースの取得、変更、または開放する処理を担当するか否かを判定する通信リソース処理担当判定部と、上記通信リソース処理担当判定部の判定結果に基づいて、上記通信ネットワークにおける通信リソースを取得、変更、または開放する通信リソース管理部との各々が、上記複数の通信局の少なくともいずれか一つに設けられて構成されていてもよい。
上記の構成によれば、事象・状態検出部、通信リソース処理担当判定部、通信リソース管理部は、通信システムを構成する、互いに通信可能な通信局に設けられる。このように、事象・状態検出部、通信リソース処理担当判定部、通信リソース管理部は、各通信局が通信をできるような状態であれば、いずれの通信局に設けられていてもかまわない。例えば、3つの通信局に事象・状態検出部、通信リソース処理担当判定部、通信リソース管理部をそれぞれ設け、各々の機能を有する通信局間で、情報が適宜に通信によって伝達されれば問題ない。なお、このように構成した場合、IEEE802.11とは異なるネットワーク構成となる。
本発明に係る通信プログラムは、本発明に係る通信局が行う各処理をコンピュータに実行させる構成となっている。また、本発明に係る通信プログラムは、本発明に係る通信局が行う各処理をコンピュータに実行させる通信プログラムを記録し、コンピュータ読み取り可能な構成となっている。
これら構成によれば、上記通信プログラムをコンピュータに読み取り、実行させることによって、上記の各作用効果を実現することができる。
発明の詳細な説明の項においてなされた具体的な実施態様または実施例は、あくまでも、本発明の技術内容を明らかにするものであって、そのような具体例にのみ限定して狭義に解釈されるべきものではなく、本発明の精神と特許請求事項との範囲内で、いろいろと変更して実施することができるものである。