JP4363915B2 - はんだ構造体、はんだ材料およびはんだ付け方法 - Google Patents

はんだ構造体、はんだ材料およびはんだ付け方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱膨張係数などが異なる異種特性部材間のはんだ付けに有益なはんだ構造体、はんだ材料およびはんだ付け方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、地球環境保護の観点から環境問題に対する関心が高まりつつある中、産業廃棄物の廃棄量の増大が深刻な問題となっている。産業廃棄物に含まれる、例えば、電力制御計算機の基板、家電製品、パソコンなどには、はんだが使用されており、このはんだから鉛などの有害な重金属が流出することがある。例えば、鉛が流出すると、酸性雨などに作用して鉛を含んだ水溶液を生成し、その水溶液が地下水に侵入することがある。
【0003】
国内では、1998年に家電リサイクル法が成立し、2001年には家電製品について使用済み製品の回収が義務づけられている。欧州では、電気・電子製品廃棄物EU指令により、2004年から鉛を含む特定物質の使用禁止が義務づけられている。このように、鉛の使用に関する法的規制が強化され、鉛フリーはんだの開発が急がれている(例えば、非特許文献1参照。)。
【0004】
はんだは、熱サイクル、機械的衝撃、機械的振動などを伴う厳しい環境下で使用される複数の要素部品を機械的かつ電気的に接続する重要な役割を担っている。しかし、従来のはんだを用いたエレクトロニクス製品の接合では、例えば、電子部品、基板、ベースなどのそれぞれ異なる熱膨張係数により、はんだ接合部に大きな歪みが生じ、これらの要素部品の変形や応力集中による疲労破壊などを生じて、最終的に製品寿命に至ることがあった。また、ベースなどの変形により、それらと接続される放熱フィンなどと全面接触することができなくなり、放熱効率が著しく低下することがあった。
【0005】
【非特許文献1】
Proposal for a Directive of the European Parliament and of the Council on Waste Electrical and Electronic Equipment, Commission of the European Communities, Brussels,13.6.2000)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
鉛フリーはんだは、従来用いられてきたSn−Pbはんだと同等の機械的性質や物理的性質が要求されている。しかしながら、上述したように、従来の鉛フリーはんだには、電子部品、基板、ベースなどのそれぞれ異なる熱膨張係数により、はんだ接合部に大きな歪みが生じ、これらの要素部品の変形や応力集中による疲労破壊などを生じるという問題があった。例えば、セラミックス基板とセラミックス基板を支持するCuベースのはんだ付けにおいて、Sn−Cu系の鉛フリーはんだを使用した場合、セラミックスと金属の熱膨張係数の差によりはんだ付け後、Cuベースが大きく変形し、熱伝導特性や疲労強度などの機械的性質が著しく低下し、要求特性が確保できないという問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、熱膨張係数などが異なる異種特性部材間のはんだ付けにおいて、熱膨張係数の差などによる熱伝導特性や機械的性質などの低下を抑制し、はんだ強度と信頼性の向上を図ることができるはんだ構造体、はんだ材料およびはんだ付け方法を提供すること目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明のはんだ構造体は、第1部材とこの第1部材とは異種特性材料からなる第2部材とを接合する、鉛を含有しないはんだで構成されるはんだ構造体であって、前記第1部材と前記第2部材との間に存在する第1はんだ相と、前記第1はんだ相中の前記第1部材側に偏在し、前記第1はんだ相より低い融点を有し、かつ凝固膨張の性質を有する第2はんだ相と、前記第1はんだ相と前記第2はんだ相の境界に存在する前記第1はんだ相よりも高い融点を有する境界層とを具備することを特徴とする。
【0009】
このはんだ構造体によれば、凝固時に膨張する性質を有する第2はんだ相を第1はんだ相中に存在させることで、第1部材と第2部材の熱膨張係数の差によるはんだ部材内の内部応力の発生が抑制され、その結果、第1部材および第2部材の変形を減少させることができる。また、第1はんだ相と第2はんだ相の境界に境界層が存在しているため、第1はんだ相と第2はんだ相との間において拡散または合金反応を伴わないので、第1はんだ材料の機械的性質や第2はんだ材料の凝固膨張性質などの固有な機械的性質や物理的性質を維持することができる。ここで、境界層は、第1はんだ相と第2はんだ相との間を区分するものであり、例えば、第2はんだ相の表面に被膜を形成して構成される。また、異種特性材料とは、組成の同一または非同一を問わず、機械的性質や物理的性質などの特性の異なる材料のことをいう。
【0010】
本発明のはんだ材料は、第1部材とこの第1部材とは異種特性材料からなる第2部材とを接合する鉛を含有しないはんだ材料であって、シート状の第1はんだ材料と、前記第1はんだ材料よりも高い融点を有する境界被膜が表面に形成され、前記第1のはんだ材料より低い融点を有し、かつ凝固膨張の性質を有し、貫通孔が形成されシート状の第2はんだ材料とを具備することを特徴とする。また、本発明のはんだ材料は、第1部材とこの第1部材とは異種特性材料からなる第2部材とを接合する鉛を含有しないはんだ材料であって、シート状の第1はんだ材料と、前記第1はんだ材料よりも高い融点を有する境界被膜が表面に形成され、前記第1のはんだ材料より低い融点を有し、かつ凝固膨張の性質を有し、球状または不定形状の粒子からなる第2はんだ材料とを具備することを特徴とする。
【0011】
このはんだ材料によれば、第1はんだ材料に、凝固時に膨張する性質を有する第2はんだ材料を含有させることで、第1部材と第2部材の熱膨張係数の差によるはんだ部材内の内部応力を緩和することができる。このはんだ材料を、第1部材と、この第1部材とは異種特性材料からなる第2部材との接合に用いることで、はんだ部材内の内部応力の発生が抑制され、その結果、第1部材と第2部材の変形を減少させることができる。また、第2はんだ材料が境界被膜で覆われているため、第1はんだ材料と第2はんだ材料との間において拡散または合金反応を伴わないので、第1はんだ材料の機械的性質や第2はんだ材料の凝固膨張性質などの固有な機械的性質や物理的性質を維持することができる。また、異種特性材料とは、組成の同一または非同一を問わず、機械的性質や物理的性質などの特性の異なる材料のことをいう。
【0012】
本発明のはんだ付け方法は、第1部材とこの第1部材とは異種特性材料からなる第2部材とを接合する、鉛を含有しないはんだを用いたはんだ付け方法であって、表面に境界被膜が形成されるとともに、この境界被膜を形成する材料の第1の融点よりも低い第2の融点を有し、凝固膨張の性質を有する第2はんだ材料を前記第1部材の表面に配置する第2はんだ材料配置工程と、前記第2はんだ材料の上に、前記第1の融点よりも低くかつ前記第2の融点よりも高い第3の融点を有する第1はんだ材料を配置する第1はんだ材料配置工程と、前記第1はんだ材料の上に、前記第2部材を設置する第2部材設置工程と、前記第2部材設置工程を経て、積層された積層部材を、大気中または不活性ガス雰囲気中において、前記第2の融点よりも高くかつ前記第1の融点よりも低い温度で加熱する加熱工程とを具備することを特徴とする。
【0013】
また、本発明のはんだ付け方法は、第1部材とこの第1部材とは異種特性材料からなる第2部材とを接合する、鉛を含有しないはんだを用いたはんだ付け方法であって、表面に境界被膜が形成されるとともに、この境界被膜を形成する材料の第1の融点よりも低い第2の融点を有し、凝固膨張の性質を有する第2はんだ材料と前記第1の融点よりも低くかつ前記第2の融点よりも高い第3の融点を有する第1はんだ材料とを一体的に複合化して形成されたはんだ材料を前記第1部材の表面に配置するはんだ材料配置工程と、前記はんだ材料の上に、前記第2部材を設置する第2部材設置工程と、前記第2部材設置工程を経て、積層された積層部材を、大気中または不活性ガス雰囲気中において、前記第2の融点よりも高くかつ前記第1の融点よりも低い温度で加熱する加熱工程とを具備することを特徴とする。
【0014】
これらのはんだ付け方法によれば、第1はんだ材料に、凝固時に膨張する性質を有する第2はんだ材料を含有させることで、第1部材と第2部材の熱膨張係数の差によるはんだ部材内の内部応力を緩和することができる。このはんだ材料を、第1部材と、この第1部材とは異種特性材料からなる第2部材とを接合に用いることで、はんだ部材内の内部応力の発生が抑制され、その結果、第1部材と第2部材の変形を減少させることができる。また、第2はんだ材料が境界被膜で覆われているため、第1はんだ材料と第2はんだ材料との間において拡散または合金反応を伴わないので、第1はんだ材料の機械的性質や第2はんだ材料の凝固膨張性質などの固有な機械的性質や物理的性質を維持することができる。また、異種特性材料とは、組成の同一または非同一を問わず、機械的性質や物理的性質などの特性の異なる材料のことをいう。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施の形態について説明する。
【0016】
図1には、本発明のはんだ付け構造の一例を示す。
図1(b)に示されたはんだ付け構造では、第1部材10とこの第1部材10とは異種特性材料からなる第2部材11とが、低融点金属元素または低融点合金からなる第1はんだ12および凝固膨張の性質を有する金属元素または合金からなる第2はんだ13からなるはんだ部材14によって接合されている。また、第2はんだ13の表面は、境界層または境界被膜として機能する反応防止膜15で覆われている。
【0017】
本発明の第1はんだ12に用いられる金属は、低融点金属元素または低融点合金であり、例えば、Sn、Sb、Sr、In、Ag、Znなどの元素金属、または、Sn合金、Sb合金、Sr合金、In合金、Ag合金、Zn合金などで構成される。Sn合金において、合金中のSnの含有率は、合金に求められる機械的特性、融点などによって適宜に設定される。その他のSb合金、Sr合金、In合金、Ag合金、Zn合金を用いた場合もSn合金に場合と同様である。
【0018】
第2はんだ13に用いられる金属は、凝固時に膨張する性質を有するBi、Sb、Ga、Geなどの元素金属、または、Bi合金、Sb合金、Ga合金、Ge合金などで構成される。第2はんだ13にBi合金を用いる場合、Bi合金中のBiの含有率が50重量%以上であれば良いが、58重量%以上がより好ましい。Biの含有率が50重量%未満では、Bi合金が膨張することによる第1はんだ12の熱収縮を緩和する効果が小さく、48重量%未満では、その効果がほとんど得られない。Bi合金の場合と同様に、Sb合金、Ga合金、Ge合金において、Sb、Ga、Geの含有率が50%以上であれば十分な効果を発揮することができる。
【0019】
また、第1はんだ12中の第2はんだ13の含有率は、第1部材10と第2部材11の熱膨張係数の差により算出したはんだ相内の歪み量によって、5〜50体積%の範囲で適宜に設定される。第2はんだ13の含有率が、5体積%未満では、十分な凝固膨張の効果が得られず、50体積%を越えると、複合はんだ相の延性が低下し、十分な機械的性質を確保することができない場合があるためである。
【0020】
また、第2はんだ13には、第1はんだ12の融点よりも低い融点の金属または合金が用いられ、その条件に適合するように、第1はんだ12および第2はんだ13に用いる金属元素、合金の種類、合金の組成などの選定や組み合わせが適宜行われる。これによって、第1部材10と第2部材11の熱膨張係数の差によるはんだ部材内の内部応力の緩和効果を最大限に発揮することができる。
【0021】
第2はんだ13の表面に形成される反応防止膜15は、第1はんだ12を構成する材料の融点より高い融点を有する金属、セラミックス、または樹脂から形成される。
【0022】
金属によって反応防止膜15が形成される場合、金属として、例えば、Cu、Ni、Cr、Al、Zn、Au、Ag、Cu合金、Ni合金、Cr合金、Al合金、Zn合金、Au合金およびAg合金のいずれか少なくとも一種から適宜に選定される。金属による反応防止膜15は、第2はんだ13の表面に、電解メッキ法、無電解メッキ法などによって形成される。
【0023】
セラミックスによって反応防止膜15が形成される場合、セラミックスとして、例えば、これらに限るものではないが、Al、SiO、AlN、SiN、SiC、TiC、TiOなどのいずれか少なくとも一種から適宜に選定される。セラミックスによる反応防止膜15は、例えば、ゾル・ゲル法などで形成され、この形成方法は極めて容易で経済的である。
【0024】
樹脂によって反応防止膜15が形成される場合、樹脂として、例えば、熱可塑性樹脂などが用いられ、反応防止膜15は、溶融樹脂のコーティング法やバインダを介して微粒子を付着させる方法などによって形成される。
【0025】
反応防止膜15の厚さは、10nm〜10μmの範囲ではんだ部材の要求特性に応じて適宜に設定されるものである。反応防止膜15の厚さは、10nm以上であれば第1はんだ12と第2はんだ13との反応防止効果を発揮し、10μmを越えると反応防止膜15の形成時間が長くなり不経済的である。反応防止膜15の厚さのより好ましい範囲は、0.1μm〜5μmである。
【0026】
ここで、図1(b)、図3(b)および図4(b)に示すように、第1部材10が第2部材11の熱膨張係数より大きい場合、第2はんだ13を第1はんだ12中の第1部材10側に偏在させることにより、凝固時における第1部材10の歪みを最大限に緩和する効果を得ることができる。
【0027】
図1(b)、図3(b)および図4(b)に示された、はんだ部材、例えば、次のようにして製造される。
まず、第2はんだ13の反応防止膜15を形成する材料が選択され、選択された材料が金属の場合には電解メッキ法、無電解メッキ法などにより、また選択された材料がセラミックスの場合にはゾル・ゲル法などにより、さらに選択された材料が樹脂の場合にはコーティング法などにより、それぞれ第2はんだ13の表面に反応防止膜15が形成される。
【0028】
このようにして得られた反応防止膜15が被覆された第2はんだ13を所定量第1部材10の表面に均一に配置する。続いて、第2はんだ13の上に、所定量の第1はんだ12を均一に配置する。そして、第1はんだ12の上に第2部材11を設置し、図1(a)、図3(a)および図4(a)に示すような積層部材を得る。続いて、その積層部材を大気中または不活性ガス雰囲気中において、第1はんだ12の液相線温度以上の温度に加熱する。加熱されることによって溶融した第1はんだ12は、第2はんだ13間の空隙部に含侵される。冷却工程において、第1はんだ12の融点を通過する際、第1はんだ12は、第1はんだ12より融点が低く、まだ溶融している状態の第2はんだ13を取り囲みながら凝固する。さらに冷却すると、第2はんだ13の融点を通過する際、第2はんだ13が凝固する。第2はんだ13が凝固する際、体積膨張して、第1部材10と第2部材11の熱膨張係数の差によるはんだ相内の歪み緩和効果を発揮し、図1(b)、図3(b)および図4(b)に示すような熱膨張係数の差による変形が生じないはんだ部材を得る。
【0029】
ここで、図1(a)に示すように、第1はんだ12は板形状に、第2はんだ13は、球状または不定形状の粒子形状に形成される。また、図3(a)に示すように、第1はんだ12は、第2はんだ13と同様に、球状または不定形状の粒子形状に形成されてもよい。さらに、図4(a)に示すように、第1はんだ12は板形状に、第2はんだ13は、貫通孔を有する板形状に形成されてもよい。なお、第1はんだ12および第2はんだ13の形状は、図1(a)、図3(a)および図4(a)示された形状および組み合わせに限るものではなく、溶融した第1はんだ12が第2はんだ13間の空隙部に含侵する構成ならばよい。
【0030】
本願発明のはんだ部材、はんだ材料およびはんだ付け方法において、図2に示すように、第1部材10と第2部材11の熱膨張係数の差によるはんだ部材14内の内部応力の発生が抑制され、その結果、第1部材10と第2部材11の変形を減少させることができる。特に、熱膨張係数の大きな部材側に第2部材11を偏在させることで、第1部材10と第2部材11の熱膨張係数の差によるはんだ部材14内の内部応力の発生を効果的に抑制することができる。
【0031】
また、第2はんだ13が反応防止膜15で覆われているため、第1はんだ12と第2はんだ13との間において拡散または合金反応を伴わないので、第1はんだ12と第2はんだ13が合金化して、第1はんだ12の機械的性質や第2はんだ13の凝固膨張性質などの固有な特性を失うことがなく、第1はんだ12と第2はんだ13のそれぞれの固有な特性を維持し、はんだ部材14の性能を最大限に発揮することができる。
【0032】
【実施例】
次に、本発明の具体的な実施例について説明する。
【0033】
(実施例1)
平均粒径が約20μmのSn−57重量%Bi粉末の表面に、ゾル・ゲル法によって、厚さ約50nmのAl皮膜を形成し、第2はんだを製作した。続いて、この第2はんだと平均粒径が約20μmのSn−0.7重量%Cu粉末からなる第1はんだとを、第2はんだの含有量が15体積%となるように混合し、複合はんだ材料を製作した。なお、複合はんだには、接合材の表面の酸化皮膜の除去およびスクリーン印刷、塗布などを容易するため、適量のフラックスと樹脂バインダーを添加し、クリーム状の複合はんだを調製した。
【0034】
続いて、厚さ3mm、幅100mm、長さ200mmの無酸素Cuベースの第1部材の表面に、複合はんだを厚さ約100μmでスクリーン印刷した。そして、スクリーン印刷された複合はんだの上に、両面が厚さ100μmの純Cuでラインニングされた厚さ0.3mm、幅80mm、長さ180mmのSiN基板の第2部材を設置し、積層接合部材を構成した。続いて、この積層接合部材を、Nガス雰囲気中において、250℃の温度で3分間加熱し、はんだ付けを行った。
【0035】
はんだ付けした第1部材と第2部材のはんだ付け部におけるはんだ相のせん断強度を測定評価した結果、せん断強度は30MPaであった。また、第1部材のCuベースの変形量は75μmであった。
【0036】
ここで、Cuベースの変形量について、図6を参照して説明する。
図6は、第1部材10を構成する厚さ3mm、幅100mm、長さ200mmのCuベースの幅の中心で長手方向における断面を示したものである。図6の(a)は、変形前の第1部材10の断面を示し、図6の(b)は、変形後の第1部材10の断面を示している。
【0037】
Cuベースの変形量は、第1部材10の長手方向に垂直な方向における基準面20と基準面20に接していた第1部材10の接触面21との最大変形距離Lを示すものである。
【0038】
(実施例2)
平均粒径が約20μmのSn−57重量%Bi粉末の表面に、ゾル・ゲル法によって、厚さ約50nmのAl皮膜を形成し、第2はんだを製作した。続いて、厚さ100μm、幅80mm、長さ180mmのSn−0.7重量%Cuシートからなる第1はんだの一方の面に、第2はんだを、第2はんだの含有量が15体積%となるように設置し、プレス成形して複合はんだシートを製作した。
【0039】
続いて、厚さ3mm、幅100mm、長さ200mmの無酸素Cuベースの第1部材の表面に適量のフラックスを滴下し、複合はんだシートの第2はんだの層の面が第1部材と接するように、第1部材の表面に複合はんだシートを設置した。そして、複合はんだシートの上に、両面が厚さ100μmの純Cuでラインニングされた厚さ0.3mm、幅80mm、長さ180mmのSiN基板の第2部材を設置し、積層接合部材を構成した。続いて、この積層接合部材を、Nガス雰囲気中において、250℃の温度で3分間加熱し、はんだ付けを行った。
【0040】
はんだ付けした第1部材と第2部材のはんだ付け部におけるはんだ相のせん断強度を測定評価した結果、せん断強度は32MPaであった。また、第1部材のCuベースの変形量は80μmであった。
【0041】
(実施例3)
平均粒径が約20μmのSn−10重量%Sb粉末の表面に、ゾル・ゲル法によって、厚さ約50nmのSiO皮膜を形成し、第2はんだを製作した。続いて、この第2はんだと平均粒径が約20μmのSn−2重量%Cu−0.2重量%Ag粉末からなる第1はんだとを、第2はんだの含有量が25体積%となるように混合し、複合はんだ材料を製作した。なお、複合はんだには、接合材の表面の酸化皮膜の除去およびスクリーン印刷、塗布などを容易するため、適量のフラックスと樹脂バインダーを添加し、クリーム状の複合はんだを調製した。
【0042】
続いて、厚さ3mm、幅100mm、長さ200mmの無酸素Cuベースの第1部材の表面に、複合はんだを厚さ約100μmでスクリーン印刷した。そして、スクリーン印刷された複合はんだの上に、両面が厚さ100μmの純Cuでラインニングされた厚さ0.3mm、幅80mm、長さ180mmのSiN基板の第2部材を設置し、積層接合部材を構成した。続いて、この積層接合部材を、Nガス雰囲気中において、300℃の温度で3分間加熱し、はんだ付けを行った。
【0043】
はんだ付けした第1部材と第2部材のはんだ付け部におけるはんだ相のせん断強度を測定評価した結果、せん断強度は50MPaであった。また、第1部材のCuベースの変形量は125μmであった。
【0044】
(比較例1)
実施例2で用いたSn−0.7重量%Cuの複合はんだシートを用い、実施例2と全く同一の条件で、第1部材と第2部材とのはんだ付けを行った。
【0045】
はんだ付けした第1部材と第2部材のはんだ付け部におけるはんだ相のせん断強度を測定評価した結果、せん断強度は35MPaであり、実施例2のせん断強度とほぼ同じ値を示した。一方、第1部材のCuベースの変形量は500μmであり、実施例2の変形量と比較して6倍以上である。
【0046】
この結果と実施例2の結果から、Sn−57重量%Biからなる第2はんだを含有することで、第2はんだの凝固膨張効果を得ることができ、第1部材のCuベースの変形を抑制できることがわかる。
【0047】
(比較例2)
厚さ100μm、幅80mm、長さ180mmのSn−0.7重量%Cuシートからなる第1はんだの一方の面に、Al皮膜を形成しないSn−57重量%Bi粉末からなる第2はんだを、第2はんだの含有量が15体積%となるように設置し、プレス成形して複合はんだシートを製作した。続いて、実施例2と全く同一の条件で第1部材と第2部材とのはんだ付けを行った。
【0048】
はんだ付けした第1部材と第2部材のはんだ付け部におけるはんだ相のせん断強度を測定評価した結果、せん断強度は25MPaであり、実施例2のせん断強度と比較して低くかった。また、第1部材のCuベースの変形量は350μmであり、実施例2の変形量と比較して4倍以上である。
【0049】
この結果と実施例2の結果から、第2はんだのSn−57重量%Bi粉末の表面に境界層を形成し、第1はんだと第2はんだとの合金化を防止することで、第1はんだの機械的性質および第2はんだの凝固膨張性質を維持できることがわかる。
【0050】
ここで、上記した実施例および比較例の測定結果を表1にまとめて示す。
【表1】
Figure 0004363915
【0051】
【発明の効果】
本発明のはんだ構造体、はんだ材料およびはんだ付け方法によれば、熱膨張係数などが異なる異種特性部材間のはんだ付けにおいて、熱膨張係数の差などによる熱伝導特性や機械的性質などの低下を抑制し、はんだ強度と信頼性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態のはんだ部材およびはんだ材料を模式的に示す断面図。
【図2】第1のはんだおよび第2のはんだの凝固時の特性を示す図。
【図3】本発明の一実施の形態のはんだ部材およびはんだ材料を模式的に示す断面図。
【図4】本発明の一実施の形態のはんだ部材およびはんだ材料を模式的に示す断面図。
【図5】本発明の一実施の形態のはんだ材料を模式的に示す断面図。
【図6】Cuベースの変形量を示すCuベースの断面図。
【符号の説明】
10…第1部材
11…第2部材
12…第1はんだ
13…第2はんだ
14…はんだ部材
15…反応防止膜

Claims (11)

  1. 第1部材とこの第1部材とは異種特性材料からなる第2部材とを接合する、鉛を含有しないはんだで構成されるはんだ構造体であって、
    前記第1部材と前記第2部材との間に存在する第1はんだ相と、
    前記第1はんだ相中の前記第1部材側に偏在し、前記第1はんだ相より低い融点を有し、かつ凝固膨張の性質を有する第2はんだ相と、
    前記第1はんだ相と前記第2はんだ相の境界に存在する前記第1はんだ相よりも高い融点を有する境界層と
    を具備することを特徴とするはんだ構造体
  2. 前記第1はんだ相と、前記第1はんだ相中に存在する前記第2はんだ相との間において拡散または合金反応を伴わず、前記第1はんだ相と前記第2はんだ相のそれぞれの固有な物理的性質および機械的性質を維持して構成されたことを特徴とする請求項1記載のはんだ構造体
  3. 前記第1はんだ相が、低融点金属からなる群から選ばれた1種の材料で構成され、前記第2はんだ相が、凝固膨張の性質を有する金属からなる群から選ばれた1種の材料で構成されたこと特徴とする請求項1または2記載のはんだ構造体
  4. 前記低融点金属が、Sn合金であり、前記凝固膨張の性質を有する金属が、Bi合金またはSb合金であること特徴とする請求項3記載のはんだ構造体
  5. 前記境界層が、セラミックスで形成されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載のはんだ構造体
  6. 前記境界層の厚さが、10nm〜10μmであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載のはんだ構造体
  7. 前記第2はんだ相が偏在する側の前記第1部材における熱膨張係数が、前記第2部材における熱膨張係数よりも大きいことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項記載のはんだ構造体
  8. 第1部材とこの第1部材とは異種特性材料からなる第2部材とを接合する鉛を含有しないはんだ材料であって、
    シート状の第1はんだ材料と、
    前記第1はんだ材料よりも高い融点を有する境界被膜が表面に形成され、前記第1のはんだ材料より低い融点を有し、かつ凝固膨張の性質を有し、貫通孔が形成されシート状の第2はんだ材料と
    を具備することを特徴とするはんだ材料。
  9. 第1部材とこの第1部材とは異種特性材料からなる第2部材とを接合する鉛を含有しないはんだ材料であって、
    シート状の第1はんだ材料と、
    前記第1はんだ材料よりも高い融点を有する境界被膜が表面に形成され、前記第1のはんだ材料より低い融点を有し、かつ凝固膨張の性質を有し、球状または不定形状の粒子からなる第2はんだ材料と
    を具備することを特徴とするはんだ材料。
  10. 第1部材とこの第1部材とは異種特性材料からなる第2部材とを接合する、鉛を含有しないはんだを用いたはんだ付け方法であって、
    表面に境界被膜が形成されるとともに、この境界被膜を形成する材料の第1の融点よりも低い第2の融点を有し、凝固膨張の性質を有する第2はんだ材料を前記第1部材の表面に配置する第2はんだ材料配置工程と、
    前記第2はんだ材料の上に、前記第1の融点よりも低くかつ前記第2の融点よりも高い第3の融点を有する第1はんだ材料を配置する第1はんだ材料配置工程と、
    前記第1はんだ材料の上に、前記第2部材を設置する第2部材設置工程と、
    前記第2部材設置工程を経て、積層された積層部材を、大気中または不活性ガス雰囲気中において、前記第2の融点よりも高くかつ前記第1の融点よりも低い温度で加熱する加熱工程と
    を具備することを特徴とするはんだ付け方法。
  11. 第1部材とこの第1部材とは異種特性材料からなる第2部材とを接合する、鉛を含有しないはんだを用いたはんだ付け方法であって、
    表面に境界被膜が形成されるとともに、この境界被膜を形成する材料の第1の融点よりも低い第2の融点を有し、凝固膨張の性質を有する第2はんだ材料と該第1の融点よりも低くかつ該第2の融点よりも高い第3の融点を有する第1はんだ材料とを一体的に複合化して形成されたはんだ材料を前記第1部材の表面に配置するはんだ材料配置工程と、
    前記はんだ材料の上に、前記第2部材を設置する第2部材設置工程と、
    前記第2部材設置工程を経て、積層された積層部材を、大気中または不活性ガス雰囲気中において、前記第2の融点よりも高くかつ前記第1の融点よりも低い温度で加熱する加熱工程と
    を具備することを特徴とするはんだ付け方法。
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