JP4363104B2 - 摺動部材 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐衝撃性と摺動特性に優れ、ブリードアウトが少なく、さらに高度な難燃性の付与も可能な熱可塑性ポリエステル樹脂組成物を成形してなり、摺動特性を要求される部品に好適な摺動部材に関する。
【0002】
【従来の技術】
熱可塑性ポリエステル樹脂の中でも、ポリブチレンテレフタレート(以下PBTと称する)は、成形性、耐熱性、機械的性質および耐薬品性などに優れているため、自動車用部品、電気・電子部品、および機械・機構部品として広く用いられている。
【0003】
しかしながら、PBTはポリアセタール樹脂と比較すると耐衝撃性、摺動特性に劣るため、摺動部材として用いられることは少なかった。しかし、プリンター、ファクシミリ、コピー機、オーディオ機器、およびVTR関連機器などの電気・電子部品の摺動部材、ギア、リール、および軸受けなどの機械・機構部品の摺動部材は、近年、火災に対する安全性のため、摺動特性以外に難燃性に優れる材料が求められている。しかしながら、前記のポリアセタール樹脂は、高度な難燃性を得ることが困難であることから、難燃化が容易なPBTからなる摺動部材が求められていた。
【0004】
これについて各種の方法が検討されている。例えば、特許文献1に記載のようにオレフィン系重合体とビニル系重合体のグラフトまたはブロック共重合体に脂肪酸エステルを添加する方法、特許文献2に記載のように無水マレイン酸変性オレフィン系重合体に脂肪酸エステルを添加する方法、特許文献3に記載のようにポリカーボネート樹脂、無水マレイン酸変性オレフィン系重合体、脂肪酸エステル、およびリン含有化合物を添加する方法、特許文献4に記載のα−オレフィンとα、β不飽和酸のグリシジルエステルからなるグリシジル基含有共重合体と直鎖状ポリオレフィンに脂肪酸エステルまたは脂肪酸エステルの部分ケン化物を添加する方法などが提案されている。前記の方法は、いずれも変性されたポリオレフィン系樹脂に脂肪酸エステルを添加する方法が提案されており、摺動特性には優れているものの、耐衝撃性に不十分であったり、増粘し流動性を低下させる課題があった。
【0005】
また、特許文献5に記載の固体潤滑剤と潤滑油剤を添加する方法、特許文献6に記載の高粘度と低粘度のシリコーンオイルを添加する方法、および特許文献7に記載の脂肪酸エステルと脂肪酸金属塩を添加する方法が提案されている。これらの方法は、摺動特性には優れているものの、耐衝撃性に不十分であることや、加工時や使用時にガスが大量に発生したり、乾燥時にペレット表面にブリードアウトするなど商品価値を損なう問題があり、十分に満足できる方法は得られていない。
【0006】
【特許文献1】
特許第3173936号公報
【特許文献2】
再公表特許国際公開番号WO00/55256号公報
【特許文献3】
特開2000−265048号公報
【特許文献4】
特開昭62−153338号公報
【特許文献5】
特開昭59−170138号公報
【特許文献6】
特許第2620541号公報
【特許文献7】
特開平11−71506号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述した従来技術における問題点の解決を課題として検討した結果達成されたものである。
【0008】
従って、本発明の目的は、耐衝撃性と摺動特性に優れ、ブリードアウトが少なく、さらに高度な難燃性の付与も可能な熱可塑性ポリエステル樹脂組成物を成形してなる摺動部材を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明の摺動部材は、(a)熱可塑性ポリエステル樹脂に(b)エポキシ化剤で変性されたエポキシ変性スチレン系樹脂、(c)脂肪酸エステルを配合してなる熱可塑性ポリエステル樹脂組成物を成形してなることを特徴とするものであり、これにより耐衝撃性と摺動特性に優れ、ブリードアウトが少なくなり、さらに、好ましくは、ハロゲンとリンを含まない窒素含有難燃剤を配合することにより前記の性能を保持しながら高度な難燃性が付与された摺動部材を提供するものである。
【0010】
すなわち、本発明は、(a)熱可塑性ポリエステル樹脂100重量部に対して、(b)エポキシ化剤で変性されたエポキシ変性スチレン系樹脂0.5〜20重量部、(c)脂肪酸エステル0.1〜15重量部を配合してなることを特徴とする熱可塑性ポリエステル樹脂組成物を成形してなる摺動部材を提供するものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0013】
本発明で用いる(a)熱可塑性ポリエステル樹脂とはジカルボン酸(あるいは、そのエステル形成性誘導体)とジオール(あるいはそのエステル形成性誘導体)とを主成分とする縮合反応により得られる重合体ないしは共重合体、あるいはこれらの混合物である。
【0014】
上記ジカルボン酸成分としてはテレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、ビス(p−カルボキシフェニル)メタン、アントラセンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカンジオン酸などの脂肪族ジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸およびこれらのエステル形成性誘導体などが挙げられる。また、ジオール成分としては炭素数2〜20の脂肪族グリコールすなわち、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、デカメチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジオールなど、あるいは分子量400〜6000の長鎖グリコール、すなわちポリエチレングリコール、ポリ−1、3−プロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどおよびこれらのエステル形成性誘導体などが挙げられる。
【0015】
これらの重合体ないし共重合体の好ましい例としてはポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレートおよびポリエチレン−1,2−ビス(フェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボキシレートなどのほか、ポリエチレンイソフタレート/テレフタレート、ポリブチレンテレフタレート/イソフタレート、ポリブチレンテレフタレート/アジペート、ポリブチレンテレフタレート/セバケート、ポリブチレンテレフタレート/デカンジカルボキシレート、ポリエチレンテレフタレート/アジペート、ポリエチレンテレフタレート/5−ナトリウムスルホイソフタレート、ポリブチレンテレフタレート/5−ナトリウムスルホイソフタレートなどが挙げられ、これらは1種または2種以上使用することができる。なかでも、熱可塑性ポリエステル樹脂組成物の成形性の観点から、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート/アジペート、ポリブチレンテレフタレート/デカンジカルボキシレート、ポリエチレンテレフタレート/アジペートなどが好ましく、さらに好ましいのはポリブチレンテレフタレートおよび/またはポリエチレンテレフタレートである。
【0016】
なお、使用する(a)熱可塑性ポリエステル樹脂は0.5%のオルトクロルフェノール溶液を25℃で測定した固有粘度が0.5〜1.5dl/gの範囲のものが好ましい。
【0017】
本発明における(b)エポキシ化剤で変性されたエポキシ変性スチレン系樹脂とは、スチレン系樹脂に過酸化物類、過ギ酸、過酢酸、および過安息香酸などのエポキシ化剤でエポキシ化したエポキシ変性スチレン系樹脂である。ここで、上記の変性スチレン系樹脂のベースとなるスチレンを10%以上含有するスチレン系樹脂の具体例としては、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル/スチレン樹脂、アクリロニトリル/ポリブタジエン(アクリロニトリルまたはスチレンが含有していても良い)/スチレン樹脂、ポリブタジエン/メタクリル酸メチル/スチレン樹脂、アクリロニトリル/ポリブタジエン/メタクリル酸メチル/スチレン樹脂、ハイインパクト−ポリスチレン樹脂、スチレン/ポリブタジエン/スチレン樹脂またはその水添物、スチレン/ポリブタジエン樹脂、スチレン/ポリイソプレン/スチレン樹脂またはその水添物、コア層に上記のスチレン系樹脂とシェル層にゴム成分を用いたコアシェル型のゴムなどが挙げられ、とくにスチレン/ポリブタジエン/スチレン樹脂、スチレン/ポリブタジエン樹脂を用いたスチレン系樹脂が耐衝撃性の向上から好ましく用いられ、上記の変性スチレン系樹脂は一種以上で用いられ、本発明の効果を損なわない範囲であれば、変性していないスチレン系樹脂との混合物であっても良い。また、(b)エポキシ化剤で変性されたエポキシ変性スチレン系重合体の配合量は、熱可塑性ポリエステル樹脂100重量部に対して0.5〜20重量部であり、1〜18重量部が好ましい、0.5重量部より少ない配合量では耐衝撃性の向上が少なく、20重量部を越えると機械強度などの物性低下が大きくなる。
【0018】
また、本発明において、(b)エポキシ化剤で変性されたエポキシ変性スチレン系樹脂と(a)熱可塑性ポリエステル樹脂のカルボキシル末端基との反応を促進する効果のある化合物を配合することができる。上記の反応を促進する効果のある化合物の例としては、トリフェニルアミンなどの3級アミン化合物、トリフェニルホスファイトなどの亜燐酸エステル化合物、ホスホニウム化合物、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸カルシウム、および酢酸マグネシウムなどのカルボン酸金属塩、スルホン酸金属塩などが挙げられ、配合量は、特に限定されるものではないが、熱可塑性ポリエステル樹脂100重量部に対して0.001〜1重量部が好ましく、1重量部を越えると副反応などによる物性低下が無視できなくなる。
【0019】
本発明における(c)脂肪酸エステルとは、一価または多価アルコールと飽和もしくは不飽和脂肪酸とから得られるエステルであり、具体的には、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、デカメチレングリコール、ペンタエリスリトール、グリセリンなどのアルコールと、カプリン酸、ラウリン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、モンタン酸、メリシン酸、リノール酸、リノレン酸などの飽和もしくは不飽和脂肪酸から得られるエステルである。また、脂肪酸エステルをアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属塩で部分ケン化した物であっても良い。また、上記の(c)脂肪酸エステルは一種以上で用いられ、本発明の性能を損なわない範囲であれば、公知の滑剤と併用して用いても良い。また、(c)脂肪酸エステルの配合量は、特に限定されるものではないが、熱可塑性ポリエステル樹脂100重量部に対して0.1〜15重量部が好ましく、特には0.2〜14重量部が好ましい、0.1重量部より少ない配合量では摺動特性の向上が少なく、15重量部を越えると機械強度などの物性低下が大きくなる。
【0020】
本発明における難燃剤とはハロゲン系難燃剤もしくはリン系難燃剤および/またはハロゲンとリンを含まない窒素含有難燃剤である。ここで、本発明で使用するリン系難燃剤および/またはハロゲンとリンを含まない窒素含有難燃は、ハロゲンの成分を全く含まない難燃剤であり、非ハロゲン系の難燃剤として位置づけられ、より好ましい難燃剤である
【0021】
また、難燃性を付与する目的は、プリンター、ファクシミリ、コピー機、オーディオ機器、およびVTR関連機器などの電気・電子部品の製品内部は、加熱される部品を有することがあり、その部品の近くで使用される摺動部材は優れた摺動特性の他に難燃性が要求されることがある。したがって、多くの用途に活用される摺動部材とするには難燃性に優れることも必要となる場合がある。
【0022】
上記のハロゲン系難燃剤としては、臭素化ポリスチレン化合物、臭素化ポリカーボネート化合物、臭素化ジフェニル化合物、臭素化フェニル化合物、臭素化芳香族ビスイミド化合物、臭素化エポキシ化合物、臭素化トリアジン化合物、臭素化ベンジルアクリレート化合物、臭素化ポリフェニレンオキサイド化合物などの公知の臭素系の難燃剤が挙げられ、臭素化エポキシ化合物が好ましく用いられる。また、上記の臭素系の難燃剤の難燃効果を高めるために三酸化アンチモン、四酸化アンチモン、五酸化アンチモン、ピロアンチモンソーダなどのアンチモン化合物を併用して用いることが好ましい。
【0023】
上記のリン系難燃剤としては、ハロゲンを含まない、赤燐、ポリ燐酸アンモニウム、リン酸グアニジン、リン酸グアニル尿素、ポリ燐酸メラミン、ホスファゼン化合物、燐酸エステル、亜燐酸エステルなどの公知のリン系難燃剤が挙げられ、その中でもレゾルシノールビス(ジキシレニルホスフェート)、レゾルシノールビス(ジクレジルホスフェート)、レゾルシノールビス(ジフェニルホスフェート)、ビスフェノール−Aビス(ジキシレニルホスフェート)、ビスフェノール−Aビス(ジクレジルホスフェート)、ビスフェノール−Aビス(ジフェニルホスフェート)などの燐酸エステルが好ましく用いられ、一種以上で用いられる。
【0024】
上記のハロゲンとリンを含まない窒素含有難燃としては、ハロゲンとリンを含まない、メラミン、グアニジン、トリアジン、メラミンとシアヌル酸および/またはイソシアヌル酸の塩などの窒素含有難燃剤が挙げられ、その中でもメラミンとシアヌル酸および/またはイソシアヌル酸の塩の窒素含有難燃剤が好ましく用いられ、一種以上で用いられる。なお、メラミン、グアニジン、トリアジン、メラミンとシアヌル酸および/またはイソシアヌル酸の塩などの窒素含有難燃剤においては、その表面を公知のカップリング剤(例えば、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤など)、さらには、シリカ、ステアリン酸、ポビニルアルコールなどの表面処理剤で処理して用いることもできる。
【0025】
ハロゲンとリンを含まない窒素含有難燃剤および/またはリン系難燃剤の配合量は熱可塑性ポリエステル樹脂100重量部に対して1〜40重量部が好ましく、特には2〜35重量部が好ましい、1重量部より少ない配合量では難燃性の効果が少なく、40重量部を越えると機械強度などの物性低下が大きくなる。
【0026】
本発明において熱可塑性ポリエステル樹脂組成物の機械強度その他の特性を付与するために(e)充填材を使用することが可能であり、その種類は特に限定されるものではないが、繊維状、板状、粉末状、粒状などの充填材を使用することができる。具体的には、ガラス繊維、PAN系やピッチ系の炭素繊維、ステンレス繊維、アルミニウム繊維や黄銅繊維などの金属繊維、芳香族ポリアミド繊維などの有機繊維、石膏繊維、セラミック繊維、アスベスト繊維、ジルコニア繊維、アルミナ繊維、シリカ繊維、酸化チタン繊維、炭化ケイ素繊維、ロックウール、チタン酸カリウムウィスカー、チタン酸バリウムウィスカー、ほう酸アルミウィスカー、窒化ケイ素ウィスカーなどの繊維状、ウィスカー状充填材、マイカ、タルク、カオリン、シリカ、炭酸カルシウム、ガラスビーズ、ガラスフレーク、ガラスマイクロバルーン、クレー、二硫化モリブデン、ワラステナイト、モンモリロナイト、酸化チタン、酸化亜鉛、ポリリン酸カルシウム、グラファイトなどの粉状、粒状あるいは板状の充填材が挙げられ、なかでもガラス繊維が好ましい。ガラス繊維の種類は、一般に樹脂の強化用に用いるものなら特に限定はなく、例えば長繊維タイプや短繊維タイプのチョップドストランド、ミルドファイバーなどから選択して用いることができる。また、上記の(e)充填材は2種以上を併用して使用することもできる。なお、本発明に使用する上記の(e)充填材はその表面を公知のカップリング剤(例えば、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤など)、その他の表面処理剤で処理して用いることもできる。また、ガラス繊維はエチレン/酢酸ビニル共重合体、ウレタンなどの熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂で被覆あるいは集束されていてもよい。
【0027】
(e)充填材の添加量は熱可塑性ポリエステル樹脂100重量部に対し1〜100重量部、特に好ましくは1〜90重量部である。
【0028】
本発明の摺動部材に用いる熱可塑性ポリエステル樹脂組成物に対し、本発明の目的を損なわない範囲で、通常の添加剤、例えば、核剤、紫外線吸収剤、熱安定剤、滑剤、離形剤、染料および顔料を含む着色剤などの1種または2種以上を添加することができる。また、他の熱可塑性樹脂(例えばポリアミド、ポリアセタール、ポリカーボネートなど)や熱硬化性樹脂(例えばフェノール樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂など)などを少量の割合で含有することもできる
本発明の摺動部材に用いられる熱可塑性ポリエステル樹脂組成物の製造方法は、特に限定されるものではないが、好ましくは(a)熱可塑性ポリエステル樹脂の融点以上において、(a)熱可塑性ポリエステル樹脂、(b)変性スチレン系樹脂、(c)脂肪酸エステル、必要に応じて(d)難燃剤、(e)充填材、および必要に応じてその他の添加剤をドライブレンドした後に押出機を用いて溶融混練する方法や、投入口を2カ所有する押出機を用い、スクリュー根元側に設置した主投入口から(a)熱可塑性ポリエステル樹脂、(b)変性スチレン系樹脂、(c)脂肪酸エステル、および必要に応じてその他の添加剤を供給し、主投入口と押出機先端の間に設置した副投入口から(e)ガラス繊維などの充填材を供給し溶融混練する方法などが挙げられる。
【0029】
なお、得られた組成物は、通常ペレット状で得られ、公知の射出成形、押出成形などの任意の方法で成形することができる。
【0030】
本発明の摺動部材に用いられる熱可塑性ポリエステル樹脂組成物は、耐衝撃性と摺動特性に優れ、ブリードアウトが少なく、さらに高度な難燃性の付与も可能な熱可塑性ポリエステル樹脂組成物であることから、プリンター、ファクシミリ、コピー機、オーディオ機器、およびVTR関連機器などの電気・電子部品の摺動部材、ギア、リール、および軸受けなどの機械・機構部品の摺動部材として広く用いることができる。
【0031】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。各特性の測定方法は以下の通りである。
【0032】
(1)摺動特性
250℃に設定した日本製鋼所製N70A射出成形機を使用して30mm×30mm×3mm厚みの角板を作成した。オリエンテック社製スラスト式摩擦摩耗試験機MODEL EFM−III−ENを使用して、鉄(S45C)製の外径25.6mm、内径20mm、長さ15mmの中空円筒を相手材として、面圧10kg/cm2、回転速度30cm/secの条件で20時間の試験を行い、1時間毎に動摩擦係数を記録し、20時間の平均動摩擦係数を測定した。
【0033】
なお、角板の摩耗量深さが約1mmに達するとスラスト式摩擦摩耗試験機は自動的に停止するように設定した。したがって、摺動特性に劣る材料は、20時間の試験をすることができずに途中で停止したため、停止した時間を測定した。
【0034】
(2)耐衝撃性
250℃に設定した日本製鋼所製N70A射出成形機を使用してASTM D256に準拠した厚み約3mmのアイゾット衝撃試験片を作成した。また、同じくASTM D256に従い、Vノッチを入れ、アイゾット衝撃値を測定した。
【0035】
(3)ブリードアウト
100ccアルミカップにペレットを50g入れ、110℃に温調された熱風乾燥機に2時間投入し、取り出し後、23℃に温調された室内で2時間冷却した。次ぎに、A−4の紙上にアルミカップを逆さにしてペレットを取り出し、その形状を観察し、下記の判定基準でブリードアウトを測定した。なお、このブリードアウトの測定方法は、ペレット表面に出る(ブリードアウト)成分があれば、ペレット同士がくっつくブロッキング現象が起きることを利用した試験方法である。また、前記の110℃の温度はPBTの標準的な乾燥温度であり、この温度でブロッキング現象が生じる材料は、乾燥して使用することは困難と判断される。
【0036】
1.アルミカップの底部の形状にペレットがブロッキング
2.数個〜数十個のブロッキングしたペレットが観察される
3.上記2のブロッキングしたペレットは観察されないが、アルミカップの内面にペレットが付着している
4.ブロッキングもアルミカップ内面への付着もない。
【0037】
(4)難燃性
250℃に設定した日本製鋼所製N70A射出成形機を使用して、難燃性評価用試験片の射出成形を行い、UL94垂直試験に定められている評価基準に従い、難燃性を評価した。難燃性レベルはV−0>V−1>V−2>規格外の順に低下する。また、試験片の厚みは1/16”厚みと1/32”厚みを用い、厚みが薄いほど難燃性は厳しい判定となる。
【0038】
[実施例1〜10参考例1〜2、比較例1〜15]
本発明に用いた(a)熱可塑性ポリエステル樹脂は、固有粘度0.82dl/gのポリブチレンテレフタレート、固有粘度0.65dl/gのポリエチレンテレフタレートを用いて、表1および表2記載の割合で(b)変性スチレン系樹脂、(c)脂肪酸エステル、必要に応じて(d)難燃剤、(e)充填剤をドライブレンドした後、250℃に設定した30mmφ二軸スクリュー押出機を使用して溶融混合ペレタイズを行い、各特性の評価を行い、各特性値を同じく表1〜3に示す。
[実施例1〜参考例1〜2、比較例1〜12]
【0039】
【表1】
Figure 0004363104
【0040】
【表2】
Figure 0004363104
【0041】
表1および2の結果から明らかなように、本発明の摺動部材に用いられる(a)熱可塑性ポリエステル樹脂、(b)エポキシ化剤で変性された変性スチレン系樹脂、および(c)脂肪酸エステルの特定組成からなる熱可塑性ポリエステル樹脂組成物は、摺動特性、耐衝撃性に優れ、ブリードアウトが少ないためブロッキングなどの現象を引き起こさない。
【0042】
また、比較例から、本発明の成分を欠いた場合、(b)エポキシ化剤で変性された変性スチレン系樹脂の替わりに従来技術の方法を用いた場合は、本発明のいずれかの性能、もしくは複数の性能が低下していることがわかる。
【0043】
[実施例6〜10、比較例13〜15]
【0044】
【表3】
Figure 0004363104
【0045】
表3の結果から明らかなように、本発明の摺動部材に用いられる(a)熱可塑性ポリエステル樹脂、(b)エポキシ化剤で変性された変性スチレン系樹脂、(c)脂肪酸エステル、(d)難燃剤、および(e)充填剤の特定組成からなる熱可塑性ポリエステル樹脂組成物は、摺動特性、耐衝撃性に優れ、ブリードアウトが少ないためブロッキングなどの現象を引き起こさない。さらに、上記の性能を保持しながら、高度な難燃性も付与可能であることがわかる。
【0046】
また、比較例から、本発明の成分が本発明の特定量を越した場合は、本発明のいずれかの性能、もしくは複数の性能が低下していることがわかる。
【0047】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の摺動部材に用いられる熱可塑性ポリエステル樹脂組成物は、耐衝撃性と摺動特性に優れ、ブリードアウトが少なく、さらに高度な難燃性の付与も可能な熱可塑性ポリエステル樹脂組成物であることから、電気・電子部品の摺動部材、および機械・機構部品の摺動部材として有用である。

Claims (5)

  1. (a)熱可塑性ポリエステル樹脂100重量部に対して、(b)エポキシ化剤で変性されたエポキシ変性スチレン系樹脂0.5〜20重量部、(c)脂肪酸エステル0.1〜15重量部を配合してなることを特徴とする熱可塑性ポリエステル樹脂組成物を成形してなる摺動部材
  2. 前記(a)熱可塑性ポリエステル樹脂に、ハロゲンとリンを含まない窒素含有難燃剤を配合してなる熱可塑性ポリエステル樹脂組成物を成形してなることを特徴とする請求項1に記載の摺動部材
  3. さらにリン系難燃剤を配合してなる熱可塑性ポリエステル樹脂組成物を成形してなることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の摺動部材
  4. 前記(a)熱可塑性ポリエステル樹脂100重量部に対して、ハロゲンとリンを含まない窒素含有難燃剤および/またはリン系難燃剤を1〜40重量部を配合してなる熱可塑性ポリエステル樹脂組成物を成形してなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の摺動部材
  5. 前記(a)熱可塑性ポリエステル樹脂100重量部に対して、充填材1〜100重量部を配合してなる熱可塑性ポリエステル樹脂組成物を成形してなることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の摺動部材
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