JP4363080B2 - 4輪駆動車のトランスファー装置 - Google Patents
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Description
【発明が属する技術分野】
本発明は、4輪駆動車のトランスファー装置に係り、特にエンジン縦置きレイアウトの4輪駆動車のトランスファー装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
エンジン、トランスミッション、トランスファー装置等が縦置きに配置され、トランスミッションの出力軸に連結されたトランスファー装置の入力軸と、後輪のプロペラシャフトに接続されたリヤ側出力軸を同軸に配置するとともに、前輪のプロペラシャフトに接続されたフロント側出力軸を平行に配置し、このフロント側出力軸にチェーンによる駆動伝達機構を介して駆動力を伝達するように構成し、前記エンジンから伝達された駆動力を、センターデフを介して前記リヤ側出力軸とフロント側出力軸とに分配するようにしたトランスファー装置が従来から知られている。
【0003】
前記従来のトランスファー装置では、エンジンからの駆動力を、センターデフの軸方向に配置したスプラインから入力するようになっているので、このスプラインの長さ分だけ軸方向の長さが長くなり、装置全体が大型化するという問題があった。また、軸の長さが長くなるため、この軸の強度を増す必要があり、軸の肉厚が増大して重量が増加するという問題もあった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記課題を解決するためになされたもので、センターデフのデフケース外周に入力部を設けることにより、軸方向の長さを短縮することができる4輪駆動車のトランスファー装置を提供することを目的とするものである。また、軸自体の長さを短くすることにより、軸の重量を軽減し、全体を軽量化することができる4輪駆動車のトランスファー装置を提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載された発明に係る4輪駆動車のトランスファー装置は、エンジンからの駆動が入力される入力軸と、この入力軸と同軸に配置され、後輪側に駆動力を出力するリヤ側出力軸と、前記入力軸と平行に配置され、前輪側に駆動力を出力するフロント側出力軸と、エンジンから入力された駆動力を前輪側と後輪側に分配するセンターデフと、センターデフにより分配された駆動力を前記フロント側出力軸に伝達する駆動伝達機構とを備 前記センターデフは、円筒状のデフケースと、前記デフケース内に回転自在に嵌合され、内周面に内歯が形成された内歯歯車と、前記内歯歯車の内周側にて同内歯歯車の回転軸線と同一軸線を中心に回転する外歯歯車としての太陽歯車と、前記内歯歯車と前記太陽歯車との間に配置され、これら両歯車と噛み合う複数の遊星歯車と、前記デフケースとは別体でかつ同デフケースと一体回転可能に連結され、前記複数の遊星歯車を自転可能に保持する保持空間が形成された鋳鉄からなるプラネタリキャリアとを備え、前記デフケースは鉄鋼材からなり、前記エンジンからの駆動力を同デフケースの前記内歯歯車と前記太陽歯車を収容する円筒部の外周に形成された外周スプラインから入力し、前記内歯歯車および前記太陽歯車から出力することを特徴とするものである。
【0006】
前記発明に係る4輪駆動車のトランスファー装置では、センターデフのデフケース外周に、エンジンからの駆動力の入力部が設けられており、センターデフと前記入力部とが軸方向に重なり合う構造なので、軸方向の長さを短縮することができ、装置全体がコンパクト化する。
【0007】
また、請求項2に記載の発明に係るトランスファー装置は、センターデフのリヤ側出力ギヤがフロント側に配置され、センターデフ内を貫通するリヤ側出力軸に連結されたことを特徴とするものである。
【0008】
この発明に係るトランスファー装置では、リヤ側出力軸の長さを短縮することができ、この軸の軽量化を図り、ひいてはトランスファー装置全体の軽量化を達成することができる。
【0009】
さらに、請求項3に記載の発明は、前記入力軸からセンターデフに入力する駆動力を高速と低速に切り換えるトランスファー副変速機を備え、このトランスファー副変速機の高速時および低速時とも、前記デフケースの外周スプラインに駆動力が入力されることを特徴とするものである。
【0010】
また、請求項4に記載の発明は、前記センターデフが、軸部以外には潤滑油の出入りする穴を持たない構造であることを特徴とするものである。
【0011】
この発明に係るトランスファー装置では、潤滑油が出入りする穴が軸部の穴だけなので、センターデフ内に導入された潤滑油を充分に保持することができ、潤滑性の向上を図り、耐焼き付き性の向上を図ることができる。
【0012】
また、請求項5に記載の発明は、外周スプラインからエンジンの駆動力が入力されるセンターデフのデフケースと、プラネタリキャリアとが別体であり、これらデフケースとプラネタリキャリアとがトルク伝達可能に連結されていることを特徴とするものである。
【0013】
この発明に係るトランスファー装置では、デフケースとプラネタリキャリアとを別体にしてあるので、センターデフに各種機能を持たせる場合に、遊星歯車機構は共通部品化し、デフケースだけを交換することにより対応することが可能である。
【0014】
また、請求項6に記載の発明は、前記デフケースを鉄鋼材により形成したことを特徴とするものである。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、図面に示す実施の形態により本発明を説明する。図1は本発明の一実施の形態に係る4輪駆動車のトランスファー装置の軸線に沿う縦断面図である。この実施の形態では、図示しないエンジン、トランスミッションおよびこのトランスファー装置(全体として符号1で示す)が、車輌の前後方向(図1の左側が車輌のフロント側)に向けて縦置きされており、このトランスファー装置1の入力軸2に、トランスミッションの出力軸が連結されて、エンジンの駆動力が入力される。
【0016】
前記入力軸2と同一軸線上に、リヤ側の出力軸4が配置され、その先端部が入力軸2の内部にベアリング6を介して支持されるとともに、後方側がボールベアリング8に回転自在に支持されている。リヤ側の出力軸4は、図示しないリヤプロペラシャフトおよびリアデフ等を介して後輪に接続されている。また、前記入力軸2と平行にフロント側の出力軸10が配置され、後に説明するチェーンによる駆動伝達機構12を介してエンジンからの駆動力が伝達される。このフロント側出力軸10は、図示しないフロントプロペラシャフトおよびフロントデフ等を介して前輪に接続されている。
【0017】
前記入力軸2は、このトランスファー装置1のハウジング14にベアリング16等を介して回転自在に支持されており、このハウジング14内に、低速高速切り換え用のトランスファー副変速機18を介して前記エンジンからの駆動力が入力されるセンターデフ20が設けられ、このセンターデフ20に入力された駆動力が、前記リヤ側出力軸4およびフロント側出力軸10に分配して伝達される。
【0018】
センターデフ20は、遊星歯車式の差動歯車装置であり、円筒状のデフケース22内に、内周面に内歯が形成された内歯歯車24が回転自在に嵌合している。この内歯歯車24の内周側に、内歯歯車24の回転軸線L1と同一軸線を中心に回転する太陽歯車26が配置されている。この太陽歯車26は、外周面に歯が形成された外歯歯車である。さらに、前記内歯歯車24と太陽歯車26との間に、プラネタリキャリア28に保持された複数の遊星歯車30が配置されてこれら内歯歯車24よび太陽歯車26に噛み合っている。プラネタリキャリア28の外周面には、スプライン28aが形成され、前記デフケース22の内面に形成されたスプライン22aに係合して回転方向に連結されており、プラネタリキャリア28はデフケース22と一体的に回転する。
【0019】
プラネタリキャリア28は、前記内歯歯車24および太陽歯車26の回転軸線L1を中心に回転し、このプラネタリキャリア28に保持されている遊星歯車30は、プラネタリキャリア28の回転によって、その中心軸線L2が前記プラネタリキャリア28の回転軸線L1を中心に回転、つまり公転するとともに、プラネタリキャリア28の保持空間内で、自らの軸線L2を中心に回転(自転)できるようになっている。これら内歯歯車24、太陽歯車26および遊星歯車30はいずれも捩れ歯を有しており、各遊星歯車30がそれぞれ外周側の内歯歯車24と、内周側の太陽歯車26に噛み合っている。
【0020】
内歯歯車24のフロント側(図1の左側)には、内周側に延びるフランジ部24aが形成されており、このフランジ部24aの内周面にスプラインが設けられている。このフランジ部24aのスプラインに、カップリング32の外周に形成されたスプラインが連結され、さらに、このカップリング32の内周面に形成されたスプラインに、リヤ側出力軸4の外面に形成されたスプラインが係合しており、前記内歯歯車24の回転がこのカップリング32を介してリヤ側出力軸4に伝達される。
【0021】
前記リヤ側出力軸4の外周の、センターデフ20とこの出力軸4を支持するボールベアリング8との間に、前記チェーンによる駆動伝達機構12を構成する出力側の第1スプロケット34が回転自在に嵌合している。この第1スプロケット34の内周側のボス部34aが、前記センターデフ20の太陽歯車26の内部に延びており、太陽歯車26の内面に設けられたスプラインがこの第1スプロケット34の外周面に形成されたスプラインに係合して、これら太陽歯車8と第1スプロケット34とが回転方向に連結されている。この第1スプロケット34と、前記フロント側出力軸10に設けられた第2スプロケット36にチェーン38が掛け回されてチェーンによる駆動伝達機構12を構成しており、このチェーン伝達機構12を介して、前記太陽歯車26の回転がフロント側出力軸10に伝達される。
【0022】
なお、前記ハウジング14内には、図示しないオイルポンプが設けられており、このオイルポンプから吐出された潤滑油が、各部に供給されて摺動部等を潤滑するようになっている。この実施の形態のセンターデフ20は、軸部以外には穴のない構造になっており、内部に供給されたオイルが確実に保持されるので、潤滑性が向上し、耐焼き付き性が向上する。
【0023】
低速段と高速段の切換を行うトランスファー副変速機18は、遊星歯車機構からなっており、入力軸2の外面に形成された太陽歯車40と、ハウジング14の内周面に形成され、前記太陽歯車40と同心に配置された内歯歯車42と、これら太陽歯車40と内歯歯車42の間に配置されて両歯車40、42に噛み合う複数の遊星歯車44を備えている。これら遊星歯車44は、軸芯を貫通するピン46が、入力軸2の外周にベアリング48を介して回転自在に嵌合したキャリア50に支持されている。また、このピン46のリヤ側端部(図1の右側端部)に、半径方向の断面がL字状をした低速用回転伝達部材52が取り付けられている。この回転伝達部材52のリヤ側端部内周面にスプライン52aが形成されている。
【0024】
前記入力軸2のリヤ側端部外周に、前記デフケース22の外径と同一の径を有するフランジ部54が設けられ、このフランジ部54の外周面にスプライン54aが形成されている。一方、デフケース22の外周フロント寄りに、前記フランジ部54のスプライン54aと同径のスプライン22bが形成されている。
【0025】
前記入力軸2のフランジ部54と前記デフケース22との間に、環状部材(シンクロ)55が配置されている。この環状部材55もフランジ部54およびデフケース22の外径と同一の外径を有しており、その外周面にスプライン55aが形成されている。前記デフケース22の環状部材55側と、環状部材55側のデフケース22側にそれぞれキー溝22c、55bが形成され、これら両キー溝22c、55b間にシンクロ用のキー57が嵌合している。従って、デフケース2が回転すると、このキー57を介して環状部材55に回転が伝達され、デフケース22と環状部材55とが同回転数で回転する。
【0026】
前記入力軸2のフランジ部54とデフケース22およびその間に配置された環状部材55の外周側に、低速段と高速段の切り換え用スリーブ56が軸方向に移動可能に嵌合している。この切り換え用スリーブ56は、内周面にスプライン56aが形成されて前記フランジ54と環状部材55およびデフケース22のスプライン54a、55a、22bに係合可能になっている。また、この切り換え用スリーブ56は、そのフロント側(入力軸2側)端部の外周面にもスプライン56bが形成されて、前記回転伝達部材52の内周面に形成されたスプライン52aに係合可能になっている。
【0027】
前記切り換え用スリーブ56をフロント側に移動させると(図1の上半分に示す状態)、その内周面のスプライン56aが、入力軸2のフランジ54と環状部材55およびデフケース22の外面にそれぞれ設けられたスプライン54a、55a、22bに同時に係合して、入力軸2の回転を直接センターデフ20のデフケース22に伝達する。また、切り換え用スリーブ56をリヤ側に移動させると(図1の下半分に示す状態)、その内周面のスプライン56aが、入力軸2のフランジ54および環状部材55に設けられたスプライン54a、55aから外れて、デフケース22のフロント側の外面に設けられているスプライン22bだけに係合するとともに、外周面のスプライン56bが、前記回転伝達部材52の内周面に設けられているスプライン52aに係合し、後に説明するように、入力軸2の回転をトランスファー副変速機18を介して減速してセンターデフ20のデフケース22に入力する。
【0028】
前記チェーン伝達機構12を構成する第1スプロケット34のフロント側に、前記デフケース22の外径とほぼ同一径のフランジ部58が設けられ、このフランジ部58の外周にスプライン58aが形成されている。また、デフケース22の外周面のリヤ側にも、前記フランジ部58外周のスプライン58aと同径のスプライン22dが形成されている。これらフランジ部58とデフケース22のスプライン58a、22dの外周に、内周面にスプライン60aが形成されたデフロック用スリーブ60が摺動自在に嵌合している。これらデフロック用スリーブ60と、前記デフケース22と第1スプロケット34のフランジ58に形成されたスプライン22d、58aによってトランスファーデフロック機構62が構成されている。なお、この実施の形態では、デフケース22のフロント側に形成された駆動入力用のスプライン22bとリヤ側に形成されたデフロック用スプライン22dとは、同一の径を有している。
【0029】
このデフロック用スリーブ60は、図1の下半分に示すように、センターデフ20のデフケース22と第1スプロケット34のフランジ部58にそれぞれ形成されているスプライン22d、58aに同時に係合しているときには、フロント側とリヤ側との差動をロックし、また、図1の上半分に示すように、第1スプロケット34のフランジ部58のスプライン58aから外れてセンターデフ20のデフケース22のスプライン22dだけに係合しているときには、フロント側とリヤ側との差動が行われる。
【0030】
なお、この実施の形態では、プラネタリキャリア28とデフケース22を別体にして、スプライン22a、28aにより連結する構造になっている。このようにプラネタリキャリア28とデフケース22とを別体にしたことにより、それぞれに適した材料によって製作することができる。また、必要な機能に応じてデフケース22だけを交換することも可能であり、その他の部品を共通化することができる。そして、プラネタリキャリア28は従来と同様に鋳鉄(FC)により形成されているが、デフケース22は鉄鋼材で形成されている。デフケース22は前記各スプライン部22b、22dの一部または全体に高周波焼き入れが施されて強度を高めているが、材料を鉄鋼材としているので、高周波焼き入れをより効率的に行うことができる。
【0031】
以上の構成を有する4輪駆動車のトランスファー装置1の作動について説明する。エンジンからトランスミッションを介してこのトランスファー装置1の入力軸2に伝達された駆動力は、トランスファー副変速機18を介してセンターデフ20のデフケース22に入力され、このセンターデフ20により差動分配されて、一方は、リア側の出力軸4からリアプロペラシャフト、リアデフ等を介して後輪に伝達され、他方は、フロント側駆動系のチェーンによる駆動伝達機構12を介して、フロント側の出力軸10、フロントプロペラシャフト、フロントデフ等を介して前輪に伝達される。
【0032】
前記トランスファー副変速機18は、低速段と高速段に切換え可能になっており、低速段に切り換えるときには、図1の下側に示すように、切り換え用スリーブ56を最もリヤ側(図1の右側)に移動させて、その内面側のスプライン56aを、入力軸2のフランジ部54に形成されたスプライン54aおよび環状部材(シンクロ)55の外周に形成されたスプライン55aから切り離すとともに、その外面側のスプライン56bを低速用回転伝達部材52のスプライン52aに係合させる。このときには、入力軸2に伝達されたエンジンの駆動力は、入力軸2に形成された太陽歯車40から、キャリア50に保持されるとともに前記太陽歯車40および外周側の内歯歯車42に噛み合っている遊星歯車44に伝達されて減速され、回転伝達部材52および切り換え用スリーブ56を介してセンターデフ20のデフケース22の外周スプライン22bに入力される。
【0033】
また、前記低速状態から高速状態に切り換えるときには、切り換え用スリーブ56を図1の下側に示す位置から図1の上側に示す位置に移動させる。この位置では、切り換え用スリーブ56の外周面のスプライン56bが回転伝達部材52のスプライン52aから外れるとともに、内周スプライン56aが、前記デフケース22の外周スプライン22bと、そのフロント側に位置している環状部材55のスプライン55aおよび入力軸2のフランジ54に形成されているスプライン54aに噛み合う。前記デフケース22と環状部材55とはキー溝22c、55bに嵌合しているシンクロ用キー57によって回転方向に連結されており、デフケース20の回転がキー57を介して環状部材55に伝えられて同回転数で回転する。入力軸2のフランジ54とデフケース22の間にこの環状部材55を介在させたことにより、切り換え用スリーブ56を移動させて低速から高速に切り換える際に、入力軸2のフランジ部54の回転数とデフケース22の回転数を同調させて、スムーズに切り換えることができる。
【0034】
図1の上側に示す高速時の状態では、入力軸2とセンターデフ20のデフケース22とが切り換え用スリーブ56によって直接連結されており、入力軸2の回転がそのままセンターデフ22に入力される。
【0035】
センターデフ20のデフケース22は、このデフケース22と別体に構成されたプラネタリキャリア28とスプライン結合されて回転方向に連結されており、デフケース22に入力された駆動力は、プラネタリキャリア28およびプラネタリキャリア28に保持されている遊星歯車30に伝えられる。遊星歯車30は外周側の内歯歯車24および内周側の太陽歯車26に噛み合っており、これら内歯歯車24および太陽歯車26に回転が伝達される。
【0036】
内歯歯車24は、フロント側に形成されたフランジ部24bの内周のスプラインが、カップリング32の外周スプラインに係合しており、さらに、このカップリング32の内面のスプラインがリヤ側出力軸4の外面に形成されたスプラインに係合している。従って、内歯歯車24の回転がカップリング32を介してリヤ側出力軸4に伝えられる。
【0037】
一方、太陽歯車26は、内周スプラインが第1スプロケット34のボス部34aの外周に形成されたスプラインに係合しており、太陽歯車26の回転が第1スプロケット34に伝達される。この第1スプロケット34と、前記フロント側出力軸10に設けられた第2スプロケット36にチェーン38が掛け回されて駆動伝達機構12を構成しており、このチェーンによる駆動伝達機構12を介して、前記太陽歯車26の回転がフロント側出力軸10に伝達される。
【0038】
この4輪駆動車が、通常の平坦路を直進走行している時には、前後の駆動輪は同一回転をしているため、センターデフ20の内歯歯車24と遊星歯車30と太陽歯車26とは噛み合ったまま相対回転はせずに、このセンターデフ20全体が一体となって前記回転軸線L1を中心に公転する。
【0039】
コーナリング時など前後駆動輪に回転差が生じたときには、プラネタリキャリア28に保持された遊星歯車30が、前記回転軸線L1を中心に公転しつつその中心軸線L2を中心に自転することによって前記回転差を補正する。つまり、前後駆動輪の回転差により、これら駆動輪にそれぞれ接続されている内歯歯車24と太陽歯車26の一方が加速する方向に、他方が減速する方向に、前記遊星歯車30が自転することにより差動機能を行う。
【0040】
また、このセンターデフ20は、デフロック機構62を有しており、デフロック状態とアンロック状態に切り換えられるようになっている。図1の上側に示す位置は、アンロック位置であり、前述のように、フロント側とリヤ側が差動を行う。一方、図1の下側に示す位置は、デフロック位置であり、第1スプロケット34と、プラネタリキャリア28に一体的に結合しているデフケース22とがロックされ、フロント側とリヤ側の車輪に同一の回転力が伝達される。
【0041】
この実施の形態に係るトランスファー装置1では、センターデフ20のデフケース22の外周面にスプライン22bを形成し、このスプライン22bにエンジンからの駆動力を入力するようにしたので、従来の構成のようにセンターデフ20の軸方向に配置したスプラインから入力する場合よりも軸方向の長さを短縮することができる。従って、トランスファー装置1を小型化するとともに、軽量化することができる。しかも、リヤ側出力軸4への出力ギヤ(内歯歯車24およびカップリング32)をセンターデフ20のフロント側に配置し、センターデフ20内を貫通するリヤ側出力軸4に連結する構造なので、リヤ側出力軸4の長さを短縮することができ、トランスファー装置1をコンパクト化することが出来る。また、リヤ側出力軸4を支持するボールベアリング8の近くに、チェーンによる駆動伝達機構12の第1スプロケット34を配置することができるので、リヤ側出力軸4の剛性を小さくすることができ、この出力軸4の軽量化を図ることができる。
【0042】
【発明の効果】
以上説明したように請求項1に記載の発明によれば、前記センターデフは、円筒状のデフケースと、前記デフケース内に回転自在に嵌合され、内周面に内歯が形成された内歯歯車と、前記内歯歯車の内周側にて同内歯歯車の回転軸線と同一軸線を中心に回転する外歯歯車としての太陽歯車と、前記内歯歯車と前記太陽歯車との間に配置され、これら両歯車と噛み合う複数の遊星歯車と、前記デフケースとは別体でかつ同デフケースと一体回転可能に連結され、前記複数の遊星歯車を自転可能に保持する保持空間が形成された鋳鉄からなるプラネタリキャリアとを備え、前記デフケースは鉄鋼材からなり、前記エンジンからの駆動力を同デフケースの前記内歯歯車と前記太陽歯車を収容する円筒部の外周に形成された外周スプラインから入力し、前記内歯歯車および前記太陽歯車から出力するので、トランスファー装置のコンパクト化をはかり、また、軽量化を達成することができる。
【0043】
また、請求項2に記載の発明によれば、センターデフのリヤ側への出力ギヤをフロント側に配置し、センターデフ内を貫通するリヤ側出力軸に連結したことにより、この出力軸を短くすることができ、しかも、軽量化を図ることができる。
【0044】
また、請求項4に記載の発明によれば、センターデフを軸部以外には穴を持たない構造にしたことにより、潤滑性を向上させ、耐焼き付き性を改善することができる。
【0045】
さらに、請求項5に記載の発明によれば、センターデフとプラネタリキャリアとを別体にして、回転方向に連結したので、デフケースだけを交換することにより、各種機能の変更に対応することができ、その他の遊星歯車機構については共通部品化することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る4輪駆動車のトランスファー装置の全体の構成を示す縦断面図である。
【符号の説明】
1 トランスファー装置
2 入力軸
4 リヤ側出力軸
10 フロント側出力軸
12 駆動力伝達機構
20 センターデフ
22 デフケース
22b デフケースのスプライン
62 デフロック機構
Claims (4)
- エンジンからの駆動が入力される入力軸と、この入力軸と同軸に配置され、後輪側に駆動力を出力するリヤ側出力軸と、前記入力軸と平行に配置され、前輪側に駆動力を出力するフロント側出力軸と、エンジンから入力された駆動力を前輪側と後輪側に分配するセンターデフと、センターデフにより分配された駆動力を前記フロント側出力軸に伝達する駆動伝達機構とを備えた4輪駆動車のトランスファー装置において、
前記センターデフは、円筒状のデフケースと、前記デフケース内に回転自在に嵌合され、内周面に内歯が形成された内歯歯車と、前記内歯歯車の内周側にて同内歯歯車の回転軸線と同一軸線を中心に回転する外歯歯車としての太陽歯車と、前記内歯歯車と前記太陽歯車との間に配置され、これら両歯車と噛み合う複数の遊星歯車と、前記デフケースとは別体でかつ同デフケースと一体回転可能に連結され、前記複数の遊星歯車を自転可能に保持する保持空間が形成された鋳鉄からなるプラネタリキャリアとを備え、前記デフケースは鉄鋼材からなり、前記エンジンからの駆動力を同デフケースの前記内歯歯車と前記太陽歯車を収容する円筒部の外周に形成された外周スプラインから入力し、前記内歯歯車および前記太陽歯車から出力することを特徴とする4輪駆動車のトランスファー装置。 - センターデフのリヤ側出力ギヤがフロント側に配置され、センターデフ内を貫通するリヤ側出力軸に連結されたことを特徴とする請求項1に記載の四輪駆動車のトランスファー装置。
- 前記入力軸からセンターデフに入力する駆動力を高速と低速に切り換えるトランスファー副変速機を備え、このトランスファー副変速機の高速時および低速時とも、前記デフケースの外周スプラインに駆動力が入力されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の4輪駆動車のトランスファー装置。
- 前記センターデフが、軸部以外には潤滑油の出入りする穴を持たない構造であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の4輪駆動車のトランスファー装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003125675A JP4363080B2 (ja) | 2003-04-30 | 2003-04-30 | 4輪駆動車のトランスファー装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2003125675A JP4363080B2 (ja) | 2003-04-30 | 2003-04-30 | 4輪駆動車のトランスファー装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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