JP4362665B2 - 高純度2,6−ナフタレンジカルボン酸の製造方法 - Google Patents

高純度2,6−ナフタレンジカルボン酸の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は2,6-ジアルキルナフタレンを酸化して得られる粗2,6-ナフタレンジカルボン酸より高純度2,6-ナフタレンジカルボン酸を製造する方法に関する。
【0002】
【従来技術】
2,6-ナフタレンジカルボン酸は優れた性能を有するポリエチレンナフタレート(PEN)樹脂の原料として有用である。
2,6-ナフタレンジカルボン酸とエチレングリコール等のジオール類とを重合させることにより得られるポリエステルは優れた耐熱性と機械的強度を持ち、飲料用ボトル、フィルム、繊維等の素材として、工業的に重要な用途をもつ。特に2,6-ナフタレンジカルボン酸とエチレングリコールを重合させてできるPENは、ポリエチレンテレフタレートに代わる優れた工業用樹脂として近い将来の需要拡大が見込まれている。
【0003】
2,6-ナフタレンジカルボン酸の製造方法としては、2,6-ジアルキルナフタレンを酢酸溶媒中でCoやMn等の重金属と臭素化合物の存在下に、分子状酸素により高温、高圧で酸化する方法が知られている。この酸化反応により得られる2,6-ナフタレンジカルボン酸には、酸化反応の中間生成物であるメチルナフトエ酸、フォルミルナフトエ酸、ナフタレン環の分解で生じるトリメリット酸、臭素が付加したナフタレンジカルボン酸ブロマイド、原料2,6-ジアルキルナフタレン中の不純物に由来するナフトエ酸、ナフタレントリカルボン酸等の有機物、構造不明の着色成分および酸化触媒由来のCoやMnといった金属成分が不純物として含まれている。
【0004】
これらの不純物を含む粗2,6-ナフタレンジカルボン酸をジオール類との重合の原料に用いた場合、得られるポリエステルは耐熱性、機械的強度、寸法安定性などの物性が低下したり、着色して品質が低下するなどの弊害を起こす。従って高品質のポリエステルを得るため、前述の不純物および着色成分が極めて少ない高純度な2,6-ナフタレンジカルボン酸を製造することが要求されている。
【0005】
酸化反応により得られた粗2,6-ナフタレンジカルボン酸は沸点を持たない為、蒸留による精製が不可能であり、また種々の溶媒に対する溶解度が小さく、工業的スケールでの晶析が可能となる適当な溶媒がない。そこで粗2,6-ナフタレンジカルボン酸を精製して高純度2,6-ナフタレンジカルボン酸を製造する方法として、粗2,6-ナフタレンジカルボン酸をアミン塩またはアンモニウム塩として、その塩を分解することにより高純度2,6-ナフタレンジカルボン酸を得る方法が提案されている。
【0006】
この場合、要すれば塩を分解する前に、塩を予め精製しておく方法もある。この精製法により、前述の不純物および着色成分が極めて少ない高純度な2,6-ナフタレンジカルボン酸を製造することが可能である。
しかしながら、この精製法によって得られた精製2,6-ナフタレンジカルボン酸中には、精製に使用したアミン、アンモニア由来の窒素成分が通常10〜数百ppm含まれることとなる。
【0007】
例えば、特開昭50-135062号および特開昭50-142542号では、粗2,6-ナフタレンジカルボン酸をアミン水溶液に溶解し、溶液を冷却、濃縮して2,6-ナフタレンジカルボン酸のアミン塩を析出させ、その塩を加熱分解またはアミン化合物を留出することにより、精製2,6-ナフタレンジカルボン酸を得る方法が示されているが、得られた精製2,6-ナフタレンジカルボン酸中には、アミン塩由来の窒素成分が10〜26ppm程度残存していることが記述されている。
【0008】
また特開昭51-52163号では、粗2,6-ナフタレンジカルボン酸をアンモニア水溶液に溶解し、その溶液から2,6-ナフタレンジカルボン酸のアンモニウム塩を析出させ、その塩を加熱分解することにより、精製2,6-ナフタレンジカルボン酸を得る方法が示されているが、得られた精製2,6-ナフタレンジカルボン酸中には、窒素成分が115〜130ppm程度残存していることが記述されている。
【0009】
更に特開平5-155807号、特開平5-294892号、特開平6-329585号、特開平7-118200号および特開平7-238051号では、粗2,6-ナフタレンジカルボン酸をアミンとアルコール溶媒に溶解し、晶析により2,6-ナフタレンジカルボン酸のアミン塩を析出させ、その塩を加熱分解して精製2,6-ナフタレンジカルボン酸を得る方法が示されている。この方法でも得られた精製2,6-ナフタレンジカルボン酸中に窒素成分が残存することになる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
発明者等は先に粗2,6-ナフタレンジカルボン酸をアミンと水−ケトン類またはアセトニトリルに溶解し、晶析により2,6-ナフタレンジカルボン酸のアミン塩を析出させ、その塩を加熱分解して精製2,6-ナフタレンジカルボン酸を得る方法を提案した(特開平10-53557号、特開平11-80074号)。
これらの方法についても本発明者等が検討した結果、アミン塩の分解条件を種々変化させても、得られた精製2,6-ナフタレンジカルボン酸中には、使用したアミン由来の窒素成分が10〜200ppm程度残存することが分かった。
【0011】
このような、アミン、アンモニア由来の窒素成分が残存した2,6-ナフタレンジカルボン酸を原料にしてPENを製造した場合、製品のPEN中に窒素成分が残存する可能性がある。また2,6-ナフタレンジカルボン酸中のアミン、アンモニア由来の窒素成分は、重合で得られるPENの着色原因となる可能性もある。
従って、それらの用途に耐えうる高品質のPENを得るための原料として、残存アミン、アンモニア由来の窒素成分が除去された、高純度な2,6-ナフタレンジカルボン酸を製造することが要求される。
本発明の目的は、残存窒素成分が除去された高純度2,6-ナフタレンジカルボン酸を工業的に有利に製造できる方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の如き課題を有する2,6-ナフタレンジカルボン酸の製造方法について鋭意研究を重ねた結果、2,6-ナフタレンジカルボン酸のアミン塩又はアンモニウム塩を分解して得られる精製2,6-ナフタレンジカルボン酸の粒径を50μm以下の2,6-ナフタレンジカルボン酸結晶とし、40〜350℃で加熱処理することにより、残存アミン塩またはアンモニウム塩由来の窒素成分が除去された高純度2,6-ナフタレンジカルボン酸が得られることを見出し、本発明に到達した。
【0013】
即ち本発明は、2,6-アルキルナフタレンの酸化反応より得られた粗2,6-ナフタレンジカルボン酸をアミン塩またはアンモニウム塩とした後、その塩を固体のまま加熱分解して精製2,6-ナフタレンジカルボン酸結晶を得た後、得られた結晶を粉砕することにより、粒径を50μm以下の精製2,6-ナフタレンジカルボン酸結晶とし、40〜350℃で加熱処理することにより、残存アミン塩又はアンモニウム塩由来の窒素成分を除去することを特徴とする高純度2,6-ナフタレンジカルボン酸の製造方法である。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明で精製に供される粗2,6-ナフタレンジカルボン酸は2,6-ジアルキルナフタレンの酸化反応により得られたものであればよく、酸化反応の方法については特に制限されない。酸化反応の原料の2,6-ジアルキルナフタレンとしては、2,6-ジメチルナフタレン、2,6-ジエチルナフタレン、2,6-ジプロピルナフタレン、2,6-ジイソプロピルナフタレン等がある。
【0015】
本発明では先ず粗2,6-ナフタレンジカルボン酸をアミン塩またはアンモニウム塩とする。この時に使用されるアミンには脂肪族アミンまたは脂環式アミンが好適に用いられる。例えばメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エチルジメチルアミン、ジエチルメチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ブチルアミン、イソブチルアミン、sec-ブチルアミン、tert-ブチルアミン、ジブチルアミン、ジイソブチルアミン、トリブチルアミン、ペンチルアミン、ジペンチルアミン、トリペンチルアミン、2-エチルヘキシルアミン等の脂肪族アミンや、ピペリジン、N-メチルピペリジン、ピロリジン、エチレンイミン、ヘキサメチレンイミン等の脂環式アミンが挙げられる。
これらの中では、取り扱いや入手の容易さからメチルアミン類とエチルアミン類が好ましく、その中でもナフタレンジカルボン酸とアミン塩を形成した場合に分解温度の低いトリメチルアミンとトリエチルアミンが特に好ましい。また二種類のアミンを混合して使用しても良い。
また2,6-ナフタレンジカルボン酸のアンモニウム塩を生成するためにはアンモニア水溶液が好適に使用される。またアミン類とアンモニアを混合して使用しても良い。
【0016】
本発明の方法では、先ず上記のアミン類やアンモニアを用いて粗2,6-ナフタレンジカルボン酸をアミン塩またはアンモニウム塩とした後、その塩を分解して精製2,6-ナフタレンジカルボン酸とする。
この精製2,6-ナフタレンジカルボン酸を得る方法としては、例えば2,6-ナフタレンジカルボン酸のアミン塩またはアンモニウム塩の水溶液を、加熱または酸析することにより、2,6-ナフタレンジカルボン酸のアミン塩やアンモニウム塩が分解され、2,6-ナフタレンジカルボン酸結晶が生成する。このように水溶液中で結晶を析出することにより精製2,6-ナフタレンジカルボン酸が得られる。
【0017】
また、2,6-ナフタレンジカルボン酸のアミン塩またはアンモニウム塩は晶析操作によって精製した後、分解する方法も行われる。晶析に用いる溶媒は、例えば水、アルコール、水−アルコール、水−ケトン類、水−アセトニトリル等の溶媒が用いられ、塩の溶解度の温度差を利用して2,6-ナフタレンジカルボン酸のアミン塩またはアンモニウム塩を析出する方法、塩を良溶媒に溶解させたのち貧溶媒を添加し2,6-ナフタレンジカルボン酸のアミン塩またはアンモニウム塩を析出する方法等がある。このように精製された塩を上記の方法より分解すれば、より純度の高い精製2,6-ナフタレンジカルボン酸が得られる。さらに、このように精製された塩は、直接固体のまま加熱分解するだけで精製2,6-ナフタレンジカルボン酸の結晶を得ることもできる。
【0018】
以上の方法により得られた精製2,6-ナフタレンジカルボン酸結晶中には、いずれの方法を用いても10〜数百ppmの窒素成分が残存する。この10〜数百ppmの残存窒素成分を含む2,6-ナフタレンジカルボン酸結晶からの残存窒素成分の除去は従来、非常に困難であり、単純に加熱処理しても残存窒素成分を除去することは不可能であった。また水(高温水)、エステル類、ケトン類、エーテル類等の有機溶媒、希酸水、酢酸水等による洗浄処理では、残存窒素成分を除去することは不可能であった。
【0019】
本研究者らは、このように残存窒素を含む精製2,6-ナフタレンジカルボン酸結晶を粒径を50μm以下とし、更に加熱処理することにより、2,6-ナフタレンジカルボン酸中の残存窒素成分が非常に良く除去され、残存窒素成分を含まない高純度2,6-ナフタレンジカルボン酸が得られることを見出した。
【0020】
この現象を解析する為、精製2,6-ナフタレンジカルボン酸結晶中に残存する10〜数百ppmの窒素成分の分析を行ったところ、その窒素成分の全てが精製操作に用いたアミン類またはアンモニアであり、精製2,6-ナフタレンジカルボン酸の結晶内部又は結晶粒子が凝集した界面に塩の形態で存在していることが分かった。このため塩に対して溶解性の乏しいエステル、ケトン、エーテル類の洗浄処理では、残存窒素成分を溶解、除去することができず、また塩に対して溶解性はあるが、2,6-ナフタレンジカルボン酸結晶に対して親和性の低い水、温水の洗浄処理では、溶媒が2,6-ナフタレンジカルボン酸結晶内部または界面まで浸透せず、残存窒素成分を溶解、除去することができないものと考えられる。
【0021】
これに対して本発明では、残存窒素を含む2,6-ナフタレンジカルボン酸結晶の粒径を50μm以下とすることで、残存アミン塩またはアンモニウム塩自身が2,6-ナフタレンジカルボン酸の結晶表面近くに現れ、残存窒素成分の分解、揮散が起こり易い形態となる。それを加熱処理することで、残存アミン塩またはアンモニウム塩の分解、揮散が促進され、残存窒素成分が除去された高純度な2,6-ナフタレンジカルボン酸が得られることになる。
【0022】
50μm以下の粒径の2,6-ナフタレンジカルボン酸は粉砕処理により容易に得ることができる。塩の分解で得られた2,6-ナフタレンジカルボン酸結晶を直接または溶媒に分散して粉砕処理を行っても良いし、2,6-ナフタレンジカルボン酸のアミン塩またはアンモニウム塩を熱分解する際、同時に粉砕操作を行っても良い。塩の分解で得られた2,6-ナフタレンジカルボン酸結晶を溶媒に分散して粉砕処理を行なう場合、溶媒は2,6-ナフタレンジカルボン酸に対して不活性であれば特に制限はないが、2,6-ナフタレンジカルボン酸のアミン塩またはアンモニウム塩に対して溶解性のある水やアルコールを用いると、粉砕時に残存アミン塩またはアンモニウム塩の洗浄効果が期待できる。2,6-ナフタレンジカルボン酸のアミン塩またはアンモニウム塩を熱分解する際、同時に粉砕操作を行う場合は、分解処理と残存窒素除去処理を同時に行うことができ、工程の短縮となり有利である。
【0023】
粉砕方法は2,6-ナフタレンジカルボン酸結晶の粒径を50μm以下にできれば特に制限されない。工業的な粉砕装置としてはハンマーミル、ロールクラッシャー、ボールミル、ピン型ミル、ジェットミル、ホモジナイザー、超音波粉砕機、ディスパーザー、コロイドミル等があり、どれを用いてもかまわない。
【0024】
また塩を固体のまま流動させ熱分解を行なうと、50μm以下の粒径の2,6-ナフタレンジカルボン酸結晶が得られ易い。塩分解で得られた2,6-ナフタレンジカルボン酸結晶が、すでに50μm以下となっていれば、特に粉砕処理を行なわなくとも良い。
【0025】
以上の処理で得られた50μm以下の2,6-ナフタレンジカルボン酸結晶を、更に加熱処理することで、2,6-ナフタレンジカルボン酸結晶中の残存窒素を除去することができる。加熱処理温度は40℃〜350℃、好ましくは 130〜280 ℃の範囲である。加熱処理温度が低すぎると残存窒素成分の除去効果が乏しく、加熱処理温度が高すぎると2,6-ナフタレンジカルボン酸の分解や着色が生ずる場合がある。
【0026】
加熱処理装置は50μm以下の2,6-ナフタレンジカルボン酸結晶そのもの、またはその懸濁液を、均一に乾燥、加熱処理できるものであればなんでも良く、工業的には気流乾燥装置、通気乾燥装置、ロータリーキルン、スプレードライヤーなどが用いられる。
粉砕処理と加熱処理を同時に行うことのできる粉砕機内蔵型気流乾燥機や加温圧搾空気型ジェットミル等を用いれば、工程の短縮となり有利である。
なお、本発明で得られる2,6-ナフタレンジカルボン酸の結晶が小さいので、該結晶の取扱いが困難であったり、PEN 製造時のエチレングリコールへの分散性が悪い場合には、造粒操作により粒径を大きくする必要がある。
【0027】
【実施例】
次に実施例および比較例により本発明の方法を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
以下の実施例および比較例において原料および精製2,6-ナフタレンジカルボン酸結晶中の残存窒素量については化学燃焼発光型全窒素分析計により分析し、平均粒径については湿式レーザー回折型粒度分布計で分析した。また精製2,6-ナフタレンジカルボン酸の純度はメチルエステル化処理後にガスクロマトグラフィーで分析した。
【0028】
各表中および実施例、比較例文中に記した略号は次の通りである。
2,6-DMN 2,6-ジメチルナフタレン
2,6-NDCA 2,6-ナフタレンジカルボン酸
TEA トリエチルアミン
TMA トリメチルアミン
【0029】
製造例1
2,6-DMNの液相酸化反応より得られた粗2,6-NDCA(純度97.5%) 20.0gとTEA 20.0g(2,6-NDCAに対して1.07当量)及び水50.0gを良く混合し、不溶物である重金属成分を1μmのフィルターで濾別して清澄な2,6-NDCAのTEA塩水溶液を得た。
この溶液を攪拌装置、濾過装置、給水ポンプ、ガス抜出し口を備えた300mlオートクレーブに移し、200℃、400rpmで加熱攪拌しながら、100℃/hr.の速度で水を加え、送水量と同量の留出液をオートクレーブ上部から抜出す塩分解操作を2時間半行なった。溶液中に析出した2,6-NDCAの結晶を100℃で加圧濾過した後、100℃の温水で洗浄し乾燥した。その結果、表1に示す純度、平均粒径、残存窒素量の2,6-NDCA 18.6gが得られた。残存窒素量は34.8ppmであった。
【0030】
製造例2
2,6-DMNの液相空気酸化反応より得られた粗2,6-NDCA(純度97.5%)30.0gとTEA30.0g(2,6-NDCAに対して1.07等量)および、15wt%の水を含むアセトン溶液130.0gを300mlのオートクレーブに採り、良く混合して塩を形成させた後、85℃まで加温し塩を完全溶解した。この溶液を25℃までゆっくり冷却し、この晶析操作で析出した2,6-NDCAのTEA塩結晶を濾別してアセトン50gで洗浄した。得られた2,6-NDCAのTEA塩結晶40.0gを水50.0gに溶解して、不溶物である重金属成分を1μmのフィルターで濾別して清澄な2,6-NDCAのTEA塩の水溶液を得た。この水溶液を製造例1と同様な操作により塩分解を行い、表1に示す純度、平均粒径、残存窒素量の2,6-NDCA 18.3gを得た。残存窒素量は35.7ppmであった。
【0031】
製造例3
TEA 20.0gに代えて、TMA 11.7g(2,6-NDCAに対して1.07当量)を用いた以外は製造例1と同様な操作を行ない、表1に示す純度、平均粒径、残存窒素量の2,6-NDCA結晶 19.2gを得た。残存窒素量は26.7ppmであった。
【0032】
製造例4
TEA 20.0gに代えて、30%アンモニア水11.2g(2,6-NDCAに対して1.07当量)を用いた以外は製造例1と同様な操作を行ない、表1に示す純度、平均粒径、残存窒素量の2,6-NDCA結晶 15.3gを得た。残存窒素量は89.3ppmであった。
【0033】
Figure 0004362665
【0034】
実施例1〜4
製造例1〜4で得られた2,6-NDCA結晶 10gを自動乳鉢で30分間粉砕し、得られた結晶を小型ロータリーキルンで加熱処理した(280℃、滞留時間 3秒)。その結果、表2に示す純度、平均粒径、残存窒素量の2,6-NDCA結晶を得た。残存窒素量は1.8〜4.3ppmまで低減した。
【0035】
実施例5〜8
製造例1〜4で得られた2,6-NDCA結晶 10gを水20gに分散し、ホモジナイザーにより回転数 10,000rpmで10分間処理した。得られたスラリー液から水を加熱留去し、結晶を小型ロータリーキルンで加熱処理した(280℃、滞留時間 3秒)。その結果、表2に示す純度、平均粒径、残存窒素量の2,6-NDCA結晶を得た。残存窒素量は2.0〜5.1ppmまで低減した。
【0036】
実施例9〜12
製造例1〜4で得られた2,6-NDCA結晶 15gを、小型の粉砕機内蔵型気流乾燥器で加熱処理した(熱風温度300℃、滞留時間1秒以内)。その結果、表2に示す純度、平均粒径、残存窒素量の2,6-NDCA結晶を得た。いずれも残存窒素量は検出下限以下であった。
【0037】
実施例13
攪拌装置に代えてホモジナイザーを備えた300mlオートクレーブを用い、塩分解中の攪拌に代えて粉砕処理(回転数5000rpm)を行なった以外は実施例1と同様に2,6-NDCAのTEA塩の水溶液の調製し、塩分解操作を行なった。得られた2,6-NDCA結晶をそのまま小型ロータリーキルンで処理した(280℃、滞留時間 3秒)。その結果、表2に示す純度、平均粒径、残存窒素量の2,6-NDCAが得られた。残存窒素量は2.1ppmと少なかった。
【0038】
実施例14
製造例2の晶析操作にて得られた2,6-NDCAのTEA塩結晶 10gをそのまま、窒素気流下で流動させながら280℃で15間加熱処理した。その結果、表2に示す純度、平均粒径、残存窒素量の2,6-NDCAが得られた。残存窒素量は検出下限以下であった。
【0039】
Figure 0004362665
【0040】
比較例1〜4
製造例1〜4で得られた2,6-NDCA結晶を、200℃の温水で洗浄処理した。その結果、表3に示す純度、平均粒径、残存窒素量の2,6-NDCAが得られた。いずれも残存窒素成分の除去効果は乏しかった。
【0041】
比較例5〜8
製造例1〜4で得られた2,6-NDCA結晶をそのまま小型ロータリーキルンで処理した(280℃、滞留時間 3秒)。その結果、表3に示す純度、平均粒径、残存窒素量の2,6-NDCAが得られた。何れも残存窒素成分の除去効果は乏しかった。
【0042】
Figure 0004362665
【0043】
【発明の効果】
以上の実施例からも明らかなように、本発明により粗2,6-ナフタレンジカルボン酸のアミン塩またはアンモニウム塩を分解して粒径を50μm以下の精製2,6-ナフタレンジカルボン酸結晶として加熱処理することにより、残存窒素成分の極めて少ない高純度2,6-ナフタレンジカルボン酸を容易に製造することができる。
本発明によって、高品質のPENの原料に適した、残存窒素成分が除去された高純度2,6-ナフタレンジカルボン酸を工業的に有利に製造することができる。

Claims (1)

  1. 2,6-アルキルナフタレンの酸化反応より得られた粗2,6-ナフタレンジカルボン酸をアミン塩またはアンモニウム塩とした後、その塩を固体のまま加熱分解して精製2,6-ナフタレンジカルボン酸結晶を得た後、得られた結晶を粉砕することにより、粒径を50μm以下の精製2,6-ナフタレンジカルボン酸結晶とし、40〜350℃で加熱処理することにより、残存アミン塩またはアンモニウム塩由来の窒素成分を除去することを特徴とする高純度2,6-ナフタレンジカルボン酸の製造方法。
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