JP4362585B2 - セルロースエステル、浸透気化分離膜及び浸透気化分離方法並びに浸透気化分離装置 - Google Patents

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本発明は、新規なポリマーと浸透気化分離膜及びそれを用いた浸透気化分離方法並びに浸透気化分離装置に関するものであり、特に、液体混合物を分離するためのセルロースエステル系浸透気化分離膜に関するものである。
浸透気化法(パーベーパレーション、Pervaporation)とは、膜による液体混合物の分離方法であり、共沸混合物やほとんど同じ揮発性を有する成分からなる混合物を分離するのに用いられている。
この分離方法は、膜の一次側(供給側)に分離対象の液体混合物を供給し、膜の二次側(透過側)を減圧にし、あるいは不活性ガスを供給して、膜を通過した透過物の蒸気をポンプ又は不活性ガスの連続流によって除去することを特徴とする。透過した蒸気は、冷却凝縮して捕集される。したがって、液体混合物から分離される成分(分離対象成分)は、通常、膜を優先的に透過する成分である。
この浸透気化分離膜としては、例えば、セルロースエステルから選ばれた第1重合体と、ポリビニルピロリドン等から選ばれた第2重合体とからなる重合体混合物であるセルロースエステル混合膜が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1では、この膜を用いて、炭化水素又はヘテロ原子を含有する炭化水素との混合物から、炭素原子数が1〜3個のアルカノールを除去している。
また、キシレンの構造異性体を分離した例として、2−ヒドロキシエチルアクリレートと2−ヒドロキシエチルメタクリレートの共重合体にジニトロフェニル基を導入した分離膜が提案されている(例えば、非特許文献1参照)。
この分離膜を使用すると、キシレンの構造異性体は、m−キシレン>o−キシレン>p−キシレンの選択性で分離されることが報告されている。
ところで、このような浸透気化分離膜、特に固定キャリア膜と呼ばれる膜には、分離能を発揮する部分(キャリア)と、このキャリアを固定する基盤としての役割を果たす膜部分(マトリクス)とが存在することが知られている。
この固定キャリア膜における透過機構については、液体混合物中の分離対象成分が、このキャリア間を膜の一次側から二次側へとホッピング輸送されながら拡散移動し、膜の二次側で気体として回収されると説明されている。
そして、固定キャリア膜のような浸透気化分離膜では、キャリアには、分離対象成分と“適度な親和性”を有することが要求され、またマトリクスには、(1)分離対象成分を含んだ液体混合物に溶解しないことと、(2)この液体混合物に膨潤しないこととが要求される。
特開平6−277473号公報 「ケミストリー・レターズ(Chemistry Letters)」、社団法人日本化学会、1985年、p.1663−1666
このような観点に従って、本発明は、浸透気化分離膜として有用な新規なポリマーを提供することを目的とする。
また、本発明は、優れた選択性を有する新規なセルロースエステル系浸透気化分離膜を提供することを目的とする。
さらに、本発明は、この新規なセルロースエステル系浸透気化分離膜用いた浸透気化分離方法と浸透気化分離装置とを提供することを目的とする。
かかる課題を解決するため、
請求項1にかかる発明は、ニトロ基を有する芳香族基で修飾されたセルロースエステルである。以下、本発明のニトロ基を有する芳香族基で修飾されたセルロースエステルを「修飾セルロースエステル」といい、ニトロ基を有する芳香族基で修飾されていないセルロースエステルを単に「セルロースエステル」という。
請求項2にかかる発明は、前記修飾セルロースエステルが、下記構造式で表されることを特徴とする請求項1に記載の修飾セルロースエステルである。
Figure 0004362585
請求項3にかかる発明は、請求項1又は2に記載の修飾セルロースエステルからなることを特徴とする浸透気化分離膜である。
請求項4にかかる発明は、請求項3に記載の浸透気化分離膜に、共沸混合物又は化学構造が類似する構造異性体を含む有機液体混合物を接触させ、前記混合物中の分離対象成分を分離することを特徴とする浸透気化分離方法である。
請求項5にかかる発明は、請求項3に記載の浸透気化分離膜を用いた浸透気化分離装置である。
本発明によれば、浸透気化分離膜として有用な新規なポリマーが得られる。
また、本発明によれば、優れた選択性を有する新規な修飾セルロースエステル系浸透気化分離膜が得られる。
さらに、本発明の浸透気化分離方法によれば、共沸混合物又は化学構造が類似する構造異性体を含む有機液体混合物から、分離対象成分を高い選択性で分離することができる。
本発明の修飾セルロースエステルとは、マトリクスがセルロースエステルであり、キャリアであるニトロ基を有する芳香族基で修飾されたものである。セルロースエステルとしては、例えば、セルロースジアセテート、グルコース残基の2位、3位又は6位の炭素原子に結合したヒドロキシ基の水素原子がアセチル基で置換されたセルロースアセテート、セルロースジプロピオネート、セルロースプロピオネート、セルロースジブチレート、セルロースブチレート、セルロースニトレート、カルボキシメチルセルロース、等が挙げられる。そのなかでも、セルロースジアセテートが好ましい。
マトリクスとしてセルロースエステルを用いることにより、浸透気化分離膜に加工した際に、この膜が液体混合物に溶解することと膨潤することを防止できる。
また、セルロースエステルの平均数分子量は、10,000〜100,000、好ましくは20,000〜80,000、最も好ましくは30,000〜70,000である。
また、セルロースエステルを修飾するニトロ基を有する芳香族基とは、ニトロフェニル基、ジニトロフェニル基、クロロニトロフェニル基、トリフルオロメチルニトロフェニル基、ニトロベンゾイル基、ジニトロベンゾイル基、クロロニトロベンゾイル基、トリフルオロメチルベンゾイル基、クロロニトロナフチル基、ニトロナフトイル基、ニトロベンジルオキシカルボニル基、等が挙げられる。このニトロ基が分離対象成分と“適度な親和性”を有することにより、キャリアとしての重要な役割を果たす。
そのなかでも、3,5−ジニトロベンゾイル基、3−ニトロ−5−クロロベンゾイル基、3−クロロ−5−ニトロベンゾイル基、3−ニトロ−5−トリフルオロメチルクロロベンゾイル基、3−トリフルオロメチル−5−ニトロベンゾイル基、が好ましく、3,5−ジニトロベンゾイル基がより好ましい。
また、ニトロ基を有する芳香族基は、グルコース残基の2位の炭素原子に結合したヒドロキシ基の水素原子を置換して結合していることが好ましい。
このようなニトロ基を有する芳香族基で修飾されたセルロースエステルのなかでも、下記構造式で表されるものが、浸透気化分離膜には最も好ましい。以下、下記構造式で表される修飾セルロースエステルを「CA−DNP」という。
Figure 0004362585
本発明の修飾セルロースエステルは、例えば次のようにして製造できる。ニトロ基を有する芳香族化合物に必要に応じてハロゲン化カルボニル基を導入し、これとセルロースエステルを反応させ、次いで、常法により洗浄、乾燥、再結晶等させることにより得ることができる。
次に、CA−DNPは、例えば以下の方法により製造することができる。セルロースジアセテートにハロゲン化ジニトロベンゾイルとピリジン塩基とを加えて反応させた後、ピリジンを留去する。次いで、この濃縮物を溶解、沈殿させた後、ピリジン塩を除去し、沈殿物を洗浄、乾燥、再沈殿させることによってCA−DNPを得る。
本発明の修飾セルロースエステルを、浸透気化分離膜にするには、例えば、この修飾セルロースエステルを溶媒に溶かし、ガラス板上に滴下し、乾燥させて膜とすることができる。
この浸透気化分離膜の膜厚は、1〜100μm、好ましくは10〜70μm、最も好ましくは20〜50μmである。膜厚が1μmより薄くなると、分離対象成分の選択性が低下し、また、膜厚が100μmを超えると、分離対象成分の透過流束が遅くなり、実用的でないからである。
この浸透気化分離膜を浸透気化分離装置に使用して、液体混合物からの分離対象成分の分離を行う。図1は、本発明の浸透気化分離膜を用いた浸透気化分離装置の一実施形態の概略図である。
本発明の浸透気化分離装置1は、浸透気化分離膜2と、膜の一次側3で供給液を溜める供給液槽6と、この供給液を循環させるポンプ5と、膜の二次側4で透過気体を液体にして溜めるトラップ8と、このトラップ8を冷却する冷却槽9と、真空に減圧するための真空ポンプ11とから構成されている。
膜の一次側3では、常時、新しい供給液が浸透気化分離膜2に接触できるよう、供給液槽6からポンプ5により供給液が循環されている。
また、膜の二次側4では、分離対象成分が分離膜2を透過しやすいよう、真空ポンプ11で減圧にされている。
混合物からなる供給液中の分離対象成分は、膜の一次側3表面に一旦吸着された後、キャリアとなるニトロ基を有する芳香族基上をホッピング輸送され、膜2内を拡散移動して膜の二次側4に運ばれる。
このようにして分離膜2を透過した分離対象成分は、膜の二次側4で気体となっている。この気体は、冷却槽9で冷やされたトラップ8内に液体として溜められる。
本発明の浸透気化分離方法で、分離させようとする供給液とは、共沸混合物又は化学構造が類似する構造異性体を含む有機液体混合物である。
このような共沸混合物としては、例えば、芳香族化合物のベンゼン(沸点80.1℃)と非芳香族化合物のシクロヘキサン(沸点80.9℃)との混合物、あるいはベンゼンとエタノール(沸点78℃)との混合物、ベンゼンとメタノール(沸点64.7℃)との混合物、ベンゼンと1−プロパノール(沸点97℃)との混合物、ベンゼンと2−プロパノール(沸点81〜83℃)との混合物、エチルベンゼン(沸点136℃)と2−エトキシエタノール(沸点135℃)との混合物等が挙げられる。
また、化学構造が類似する構造異性体を含む有機液体混合物としては、例えば、キシレンの構造異性体であるo−キシレン(沸点144.4℃)、m−キシレン(沸点139.1℃)、p−キシレン(沸点138.4℃)の混合物等が挙げられる。
このような混合物は、成分を二以上含むものであってもよい。また、混合物の組成は、特に制限するものではなく、通常、分離対象成分を数質量%から90質量%程度含むのが好ましい。
ここで、分離対象成分とは、二以上の成分からなる混合物中の目的とされる一成分をいう。分離対象成分は、通常、膜を優先的に透過する成分であり、膜の種類や性質によって、同じ混合物であっても得られる分離対象成分は異なる。
本発明の分離膜では、例えば、ベンゼン/シクロヘキサン混合物の分離対象成分はベンゼンであり、p−キシレン/m−キシレン混合物では、p−キシレンである。
本発明の浸透気化分離方法にあっては、膜の二次側の圧力は1〜2000Paが好ましく、5〜130Paが最も好ましい。また、温度条件は、25〜150℃で行うのが好ましく、60〜70℃が最も好ましい。
以下、実施例により、本発明をさらに詳しく説明する。本発明は、下記実施例に何ら制限されるものではない。
[実施例1]
〈CA−DNPの合成〉
50mlのナスフラスコにピリジン10mlをピペットで入れ、そこにセルロースアセテート(ALDRICH製、アセチル含量39.7質量%、平均数分子量50,000)1g(4.1×10−3繰り返し単位mol)を少しずつ入れた。これを2時間攪拌し、完全に溶解させた後、ジニトロベンゾイルクロライド(MERCK製)1g(4.1×10−3mol)を加えた。その後、4−ジメチルアミノピリジン(ALDRICH製)0.5mgを添加し、40℃で24時間攪拌した。
次いで、この反応液を室温まで冷却し、真空ポンプを用いてピリジンを減圧留去した。このピリジンは液体窒素で冷やしてトラップした。この際、トラップ管を、5分、5分、10分、10分、20分、20分の間隔で交換した。
ピリジンを留去した後、残渣にクロロホルムを15ml加えて、この濃縮物を溶解した。その後、この溶解物を350mlのジエチルエーテル中に滴下し、沈殿させた。
ジエチルエーテル中で2時間攪拌した後、続いて水で2時間洗浄してピリジン塩を除去した。次いで、これを濾過し、沈殿物を水で洗浄した後、ジエチルエーテルで洗浄した。これを1日乾燥させ、粗結晶を秤量した。
この粗結晶をジオキサン20mlに溶解させ、ジエチルエーテル中に再沈殿させた。ジエチルエーテル中で2時間攪拌した後、水で2時間洗浄した。これを1日減圧常温下で乾燥させ、沈殿物を秤量した。
合成したCA−DNPに不純物が含まれていないことと、セルロースアセテートがジニトロベンゾイル基で修飾されていることを、核磁気共鳴分光分析(NMR)により確認した。図2には、合成した本発明のCA−DNPの水素原子のNMRスペクトルを示す。図2で、3.5ppmから5ppmまでのピークは、セルロースアセテートの水素原子に由来するピークである。また、9ppm付近のピークはジニトロベンゾイル基の水素原子に由来するピークである。
〈CA−DNPから浸透気化分離膜の作製〉
50mlビーカーにジオキサン17.5gを入れ、そこにCA−DNP0.35gを少しずつ加え、2時間攪拌し、2質量%のポリマー溶液とした。次いで、桐山ロートと5Bの濾紙を用いて、この溶液を濾過した。内径60mmのガラスデッシュに濾液を8gキャストし、窒素ガスで満たしたドライボックス内で3日間室温で乾燥させた。
〈分離膜の性能評価−1〉
このCA−DNP分離膜を用いて、ベンゼン/シクロヘキサン混合溶液(質量比1:1)の分離を行った。分離対象成分はベンゼンである。分離条件は、有効膜面積13.7cm、透過側圧力5〜10Pa、膜厚40μm、温度70℃とした。透過流束と分離係数の結果を、表1に示す。ここで、透過流束とは、
透過流束(kg/mh)=透過物質の全質量(kg)/[有効膜面積(m)×測定時間(h)]
で表される。
また、分離係数αA/Bとは、B成分に対するA成分の分離係数を表し、供給側のA成分濃度をX、B成分濃度をX、透過側のA成分濃度をY、B成分濃度をYとすると、
αA/B=(Y/Y)/(X/X
で表される。
Figure 0004362585
〈分離膜の性能評価−2〉
実施例1で作製したCA−DNP分離膜を用いて、ベンゼン/シクロヘキサン混合溶液のシクロヘキサンの組成を70質量%、50質量%、30質量%、10質量%と変化させてベンゼンの分離を行った。分離条件は、分離膜の性能評価−1と同様とした。図3に、供給液のシクロヘキサン組成変化に伴うCA−DNP分離膜のベンゼンの透過流束と透過濃度を示す。
[比較例1]
〈CAの浸透気化分離膜の作製〉
50mlビーカーにジオキサン18mlを入れ、続いてセルロースアセテート0.4gを少しずつ加え、2時間攪拌し、2質量%のセルロースアセテート(CA)のポリマー溶液とした。次いで、桐山ロートと5Bの濾紙を用いて、この溶液を濾過した。内径60mmのガラスデッシュに濾液を8gキャストし、窒素ガスで満たしたドライボックス内で3日間室温で乾燥させた。
〈分離膜の性能評価−1〉
このCA分離膜を用いて、実施例1と同様に分離膜の性能評価−1を行った。透過流束と分離係数の結果を、表1に示す。
[実施例2〜4]
〈分離膜の性能評価−3〉
実施例1で作製したCA−DNP分離膜を用いて、p−キシレン/o−キシレン混合溶液(質量比1:1)、p−キシレン/m−キシレン混合溶液(質量比1:1)、m−キシレン/o−キシレン混合溶液(質量比1:1)の分離を行った。分離条件は、実施例1の分離膜の性能評価−1と同様とした。透過流束と分離係数の結果を、表2に示す。
Figure 0004362585
〈分離膜の性能評価−4〉
実施例1で作製したCA−DNP分離膜を用いて、p−キシレン/o−キシレン混合溶液のo−キシレンの組成を90質量%、70質量%、50質量%、30質量%、10質量%と変化させてp−キシレンの分離を行った。分離条件は、分離膜の性能評価−1と同様とした。図4に、供給液のo−キシレン組成変化に伴うCA−DNP分離膜のp−キシレンの透過流束と分離係数を示す。
[比較例2]
〈分離膜の性能評価−3〉
比較例1と同様にして、CA分離膜を作製し、これを用いて、実施例2と同様にp−キシレン/o−キシレン混合溶液(質量比1:1)で分離膜の性能評価−3を行った。キシレンはまったく透過しなかった。透過流束と分離係数の結果を、表2に示す。
表1に示した分離膜の性能評価−1の結果から、実施例1と比較例1とを比べると、実施例1の方が分離係数が高く、ベンゼンの透過選択性が向上することがわかった。
また、図3に示した分離膜の性能評価−2の結果から、供給液のシクロヘキサンの濃度が高くなるに従って、ベンゼンの透過流束は増加した。一方、ベンゼンの透過濃度は、シクロヘキサンの組成変化にかかわらず、ほぼ一定であった。
本発明のCA−DNP膜が、シクロヘキサンの組成変化にかかわらず、ベンゼンに対して高い選択性を示した原因としては、ベンゼンはCA−DNP膜に対して吸着性が高く、分離膜に取り込まれた速い段階でベンゼンの気化が起こり、分離膜内を気体状態で拡散することが考えられる。ベンゼンが気体状態で拡散することにより、CA鎖とDNP修飾基との相互作用が弱まったため、分離膜の膨潤が起こらなかったと考えられる。
また、表2に示した分離膜の性能評価−3の結果から、実施例2〜4と比較例2とを比べると、比較例2のセルロースアセテート(CA)分離膜では、キシレンはまったく透過しなかった。一方、CA−DNP膜(実施例2〜4)では、透過流束はほぼ一定となり、分離係数からキシレン構造異性体には、p−キシレン>m−キシレン>o−キシレンの順で透過選択性があることがわかった。
この原因としては、p−キシレンとo−キシレンとはその構造が類似しているため、CA−DNP膜に対して吸着性は両者でほとんど一定であり、吸着ではなく拡散が分離に影響していると考えられる。p−キシレンとo−キシレンとを比べると、極性を有するo−キシレンの方が、DNP基またはCA鎖のアセチル基と相互作用しやすいため、この相互作用を起こさないp−キシレンの方が膜内の拡散速度が速くなり、結果的にp−キシレンの選択性が高くなったと考えられる。
さらに、図4に示した分離膜の性能評価−4の結果から、供給液のo−キシレンの濃度が高くなるに従って、p−キシレンの分離係数は高くなった。この原因としては、CA−DNP膜ではp−キシレンの拡散速度が速く、透過性が高いことが考えられる。
以上のように、本発明のCA−DNP浸透気化分離膜は、優れた選択性を有することが確認された。
本発明の浸透気化分離膜を用いた浸透気化分離装置の一実施形態の概略図である。 本発明のCA−DNPのH−NMRスペクトルである。 供給液のシクロヘキサン組成変化に伴う本発明のCA−DNP分離膜のベンゼンの透過流束と透過濃度を示したグラフである。 供給液のo−キシレン組成変化に伴う本発明のCA−DNP分離膜のp−キシレンの透過流束と分離係数を示したグラフである。
符号の説明
1 浸透気化分離装置
2 浸透気化分離膜

Claims (3)

  1. 下記構造式で表される、ニトロ基を有する芳香族基で修飾されたセルロースエステルからなることを特徴とする浸透気化分離膜。
    Figure 0004362585
  2. 請求項1に記載の浸透気化分離膜に、共沸混合物又は化学構造が類似する構造異性体を含む有機液体混合物を接触させ、前記混合物中の分離対象成分を分離することを特徴とする浸透気化分離方法。
  3. 請求項1に記載の浸透気化分離膜を用いた浸透気化分離装置。
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