JP4362314B2 - 分析方法および分析装置 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、分析試料から射出される光の強さを利用して成分分析を行う分析方法およびそれに用いる分析装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、水溶液中の微量成分、特に多環式芳香族化合物や金属イオンを分析する方法として、吸光分析法、蛍光分析法あるいは発光分析法などの化学分析が採用されている。このような化学分析の分析対象物質を水溶液中から抽出する方法の一つとして、均一液液抽出法が知られている。これは、均一溶液の状態から、ある種の相分離現象を利用して目的溶質(抽質)を抽出分離する方法である。この方法の特徴は、水に不溶な有機相を用いてあらかじめ機械的な振り混ぜを行う通常の溶媒抽出法と比べ、水相の溶質と有機相との接触頻度が高く、しかも溶質が2相間界面を通過する際の障害がないので抽出速度が著しく大きくなるという点にある。この均一液液抽出法を用いれば、多環式芳香族化合物や金属錯体(金属イオンを配位子と反応させて錯体としたもの)などを濃縮することが可能となり高感度な分析ができる。
【0003】
均一液液抽出法を用いた例としては、例えば、水−酢酸−クロロホルムの3成分からなる均一溶液系における金属錯体の抽出操作が挙げられる。この場合、上記均一溶液に水酸化ナトリウム水溶液を添加することにより微小体積のクロロホルム相を分離させる。この際、クロロホルム相には金属錯体が抽出され、金属錯体がクロロホルム相に濃縮されることになる(非特許文献1)。また、均一液液抽出法を用いた他の例として、過フッ化オクタンカルボン酸(HPFOA)−有機溶媒−水の3成分からなる均一溶液系における多環式芳香族化合物または金属錯体の抽出操作が挙げられる。この場合には、HPFOAの酸解離を利用する。すなわち、HPFOA相は、溶解している状態ではH+ とPFOA- とに解離して存在しており、酸(H+ )を添加することにより以下の化1における平衡状態が右に偏り、HPFOAという化学種になる。HPFOAは疎水性が強く会合・凝集する。さらに、HPFOAは水よりも密度が大きいので、会合・凝集したHPFOAは沈降することとなる。この際、沈降するHPFOAに多環式芳香族化合物や金属錯体などが抽出され、HPFOA相に多環式芳香族化合物や金属錯体などが濃縮されることになる。なお、実際には、初めに存在した有機溶媒および水も、このHPFOA相に共存する。このときの濃縮倍率は、初めの均一溶液系の溶液体積とHFPOA相の体積との比、すなわち、以下の式(1)で表すことができる。
(濃縮倍率)=(初めの溶液体積)/HPFOA相の体積 ……(1)
このような式(2)で表される濃縮倍率は、例えば2×105 倍にもなることが報告されている(非特許文献2ないし7参照。)。この濃縮倍率は、上記したHPFOA相を用いない方法(クロロホルム相に濃縮する方法)に比べ、遙かに高い倍率である。
【0004】
【化1】
Figure 0004362314
【0005】
一方、生体関連物質などの分析を行う場合には、マイクロプレートという多数のウェル(窪み)を有する、例えばポリスチレン製の容器に液体試料と試薬とを投入して反応させ、これをマイクロプレートリーダーという装置で分光(吸光、蛍光または化学発光)分析する方法が一般的に用いられる。この装置によれば、多検体を同時に、かつ短時間で分析することができる。例えば、96個のウェルを有するマイクロプレートを使用した場合には、最大96試料の分析を数秒間で行うことが可能である。ウェルは一つ一つ独立しており、反応容器と比色セルとを兼ね備えている。ウェルの容量は、例えば0.3mlである。マイクロプレートを用いた分析方法の特徴としては、多検体の同時測定が可能であるほか貴重な試料や高価な試薬の使用量を少量化できる点が挙げられる。ウェル底面の形状としては、平坦である平底型(例えば特許文献1ないし3参照)、V字形状に窪んでいるV字型(例えば特許文献4参照)、または曲線状に窪んでいる丸底型などがある。また、マイクロプレートの測定をおこなうマイクロプレートリーダーは、一般的な機器分析装置、例えば、原子吸光分析装置やICP発光分析装置などに比べ安価であることや、小型であるため省スペース化が可能であることなどの利点を有している。
【0006】
【非特許文献1】
五十嵐淑郎著,「ぶんせき」,1994年,第43巻,p.1183−1188
【非特許文献2】
五十嵐淑郎他,「Mikrochim.Acta」, 1992年,第106巻, p.37−44
【非特許文献3】
五十嵐淑郎他,「ケミストリー レターズ(CHEMISTRY LETTERS )」1994年
【非特許文献4】
五十嵐淑郎他,「ジェイ・コロイダル アンド インターフェイス サイエンス(J.CCLLOIDAL AND INTERFACE SCIENCE )」, 1995年,第173巻,p.251−253
【非特許文献5】
五十嵐淑郎他,「タランタ(Talanta )」,1996年,第43巻,p.233−237
【非特許文献6】
五十嵐淑郎他,「ぶんせき」,1997年,第9巻,p.709
【非特許文献7】
五十嵐淑郎他,「アメリカン ラボラトリ ニューズ(American Laboratory News」,第34巻,p.15,p.29−30
【特許文献1】
特開平9−68532号公報
【特許文献2】
特開平10−19895号公報
【特許文献3】
特表2000−513819号公報
【特許文献4】
特開平8−201387号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、マイクロプレートを用いた分光分析では、液体試料に光が当たっている距離(光路長)に依存して検出感度が変化するので、容器内の試料の厚み高さによっては十分な検出感度が得られないなどの問題があった。この問題を解決する方法として、上記した均一液液抽出法を用いて液体試料の濃縮操作を施すことにより検出感度向上を図るという方法が考えられる。
【0008】
図14(A),(B)は、一般的なマイクロプレートを使用し、均一液液抽出法により液体試料中の微量成分の分析を行う方法を説明するものである。具体的には、図14(A),(B)はいずれも一般的なマイクロプレートの部分断面図であり、保持体111およびそれに形成された1つのウェル112を拡大して示したものである。ここでは、まず、図14(A)に示したように、深さH1,内径Φ1を有するウェル112を、相分離前の液体試料15によって高さL2まで満たした状態とする。こののち、フッ素系界面活性剤や酸などの添加物を添加して濃縮操作を施すことにより、図14(B)に示したように、ほとんど検出対象物を含まない抽剤相15Aと比較的高い濃度で検出対象物を含む抽質相15Bとに相分離した状態とする。次いで、光束径ΦPを有する測定光束70を鉛直方向から抽質相15Bに照射し、それに応じて抽質相15Bから射出される光を検出することにより分光分析を行う。しかし、このような方法は簡便ではあるものの、当初の液体試料15の体積が限られるので抽質相15Bの厚みL2Bが薄くなりがちである。このため、測定光束70が抽質相15Bを通過する際の光路長が不足し、十分な検出感度が得られない場合が多い。そこで、ウェル112の深さH1を大きく延伸することで高さL2を大きくし、相分離後の抽質相15Bの厚みL2Bを稼ぐ方法も考えられるが、分析装置の構成上、マイクロプレートの設置スペースは限られており、十分な検出感度を得られる程度まで深さH1を大きくすることは困難である。一方、内径Φ1を拡大することでウェル112の容量を増大しようとした場合には、内径Φ1が測定光束70の光束径ΦPよりも大きくなってしまい、不感領域Sが生じてしまう。このため、ごく一部の抽質相15Bのみを測定することとなり、効率的に光路長を稼ぐことが難しく、多くの抽質相15Bが検出感度に寄与せず無駄となる。さらに、極端に内径Φ1を大きくしてしまうと、多検体同時測定というマイクロプレート本来の特徴を失いかねない。このように、単にマイクロプレートのウェル112内において均一液液抽出法による濃縮操作を行っただけでは十分な検出感度が得られない。
【0009】
そこで、一旦、ウェル112と比べて十分に大きな容器に試料溶液115を入れ、所定の添加物を加え濃縮操作を行ったのち、抽質相15Bのみを取り出してウェル112に移し替えて分光分析を行う方法も考えられる。これによれば、ウェル112を十分に抽質相15Bで満たした状態で測定光束70を照射することができ、十分な光路長を稼ぐことができる。しかし、この方法では2段階の操作が必要であり煩雑となるうえ、大きな容器内に得られた抽質相15Bを完全にウェル112へ移し替えることは事実上困難であるので、測定精度に欠ける。
【0010】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、高い検出感度を容易に得ることのできる分析方法およびそれに用いる分析装置を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の分析方法は、検出対象成分を含有すると共に相分離現象を呈する液体試料を分析する方法であり、収容部分を備えた分析試料容器と付加収容部分を備えた分析試料容器用アタッチメントとを用意する第1のステップと、分析試料容器に鉛直方向上方から分析試料容器用アタッチメントを連結し、付加収容部分と収容部分とを連通させて両者を一体化することにより連結空間を形成する第2のステップと、連結空間に液体試料を注入したのち、この液体試料を相分離させる第3のステップと、分析試料容器用アタッチメントを、付加収容部分に収容された液体試料と共に、分析試料容器から取り外す第4のステップと、分析試料容器の収容部分に収容された液体試料に鉛直方向から測定光束を照射し、それに応じて液体試料から射出される光を検出する第5のステップとを含むようにしたものである。
【0014】
本発明の分析装置は、分析試料容器と、分析試料容器用アタッチメントと、光源と、検出部とを備えたものである。分析試料容器は、検出対象成分を含有すると共に相分離現象を呈する液体試料を収容するための収容部分を有する。分析試料容器用アタッチメントは、分析試料容器に装着されて液体試料の調製をおこなう際に用いられ、かつ、液体試料の測定時には取り外され、液体試料の注入口としての第1の開放端と、分析試料容器の収容部分の開放端に連結される連結口としての第2の開放端とを有すると共に、第2の開放端が収容部分の開放端に連結された状態において収容部分と連通し、この収容部分と一体となって液体試料を収容する連結空間を構成する付加収容部分を備えている。光源は、液体試料を照射する測定光束を発するものである。検出部は、測定光束に応じて液体試料から射出される光を検出するものである。
【0015】
本発明の分析方法または分析装置では、収容部分と付加収容部分とが一体となって構成する連結空間に、より多くの液体試料が収容されるので、相分離後の液体試料における比較的比重の大きい相に、より多くの検出対象成分が抽出される。このため、分析試料容器の収容部分に収容された液体試料に測定光束を照射すると、それに応じて、より大きな光度の光が液体試料から射出され、検出部で容易に検出される。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0017】
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る分析試料容器用アタッチメント1(以下、単にアタッチメント1と記す。)の構成を表す部分断面斜視図である。アタッチメント1は、いわゆるマイクロプレートと呼ばれる分析試料容器10(後出)に装着されるものであり、おおよそ直方体形状をなした本体2に複数の付加収容部分3が形成されたものである。各付加収容部分3は、一方の面に設けられた注入口T1から反対側の面に設けられた連結口T2まで連通したパイプ形状をなしており、連結口T2側の部分が、先端部に近づくほど細くなるようなテーパ状の外周面G1を有している。本体2は、さらに、注入口T1および連結口T2を含まない側面に形成された突起部4を備えている。ここで、注入口T1が、本発明の「第1の開放端」に対応する一具体例であり、連結口T2が、本発明の「第2の開放端」に対応する一具体例である。なお、本実施の形態では、後述する変形例および第2の実施の形態におけるアタッチメント1,本体2および付加収容部分3と区別するため、以下、アタッチメント1A、本体2Aおよび付加収容部分3Aと記す。
【0018】
図2は、アタッチメント1Aと、これが装着される分析試料容器10の構成の一部を示した斜視図である。また、図3(A),(B)は、アタッチメント1Aおよび分析試料容器10の断面構成を拡大して示したものである。さらに、図4は、1組の付加収容部分3Aおよびウェル12の断面をさらに拡大して示したものである。図2、図3(A),(B)および図4に示したように、分析試料容器10は、分析試料を保持する保持体11を有している。保持体11には、検出対象成分を含有すると共に、例えば比重差により相分離現象を呈する液体試料15(後出)を収容する収容部分としての複数のウェル12が設けられており、複数の液体試料15の検体を同時に分析できるように構成されている。アタッチメント1Aにおける複数の付加収容部分3Aの各々が、分析試料容器10の各ウェル12に対応して配置されており、各ウェル12の開放端12Tに連結口T2が連結されるようになっている。連結口T2が開放端12Tに連結された状態において、ウェル12と連通すると共に、ウェル12と一体となって液体試料15を収容する連結空間6が構成される。この場合、付加収容部分3Aのテーパ状の外周面G1が、分析試料容器10のウェル12の内面に密着するように構成されていることが望ましい。連結空間6に液体試料15を注入した場合に、連結口T2と開放端12Tとの隙間から液体試料15が外部へ漏れるのを確実に防止するようにするためである。また、突起部4は、連結口T2と開放端12Tとの連結状態を保持する保持手段として利用可能なものである。例えば、連結口T2と開放端12Tとを連結させた状態において、本体2Aにおける互いに反対の面に設けられた突起部4にゴムバンド80をくくりつけるなどしてアタッチメント1Aと分析試料容器10とを固定する(図3(B)参照)。さらに、付加収容部分3Aの連結口T2が注入口T1よりも小さいことが望ましい。その理由については、後述する分析方法の説明と併せて述べる。
【0019】
ウェル12は、例えば、図4に示したように、互いに隣接する第1領域13と第2領域14とに分けることができ、第1領域13および第2領域14の配列方向(以下、単に配列方向と記す。)に沿って深さH1を有している。第1領域13は、第1内壁面N1を含む内径Φ1のほぼ円柱形状を有する部分と、傾斜面N2を含み、配列方向に沿って第2領域14へ向かうに従い、配列方向と直交する断面(以下、配列方向直交断面と記す。)が漸次縮小する領域部分とによって構成されている。一方の第2領域14は、第2内壁面N3と底面N4とを含む領域であり、配列方向に沿った軸を回転中心とする、内径Φ2,深さH2の円柱形状の空間で占められている。第2領域14における配列方向直交断面は、第1領域13における配列方向直交断面よりも小さくなっている。すなわち、第2内壁面N3の内径Φ2は、第1内壁面N1の内径Φ1よりも小さくなっている。具体的には、内径Φ2は1mm以上4mm以下であることが望ましい。内径Φ1は内径Φ2よりも大きく、例えば4mmより大きく、かつ30mm以下であることが望ましい。また、第2領域14Aの深さH2は、例えば1mm以上10mm以下である。さらに、傾斜面N2が配列方向直交断面に対してなす傾斜角度θ12は、例えば30°である。
【0020】
図5は、本実施の形態に係る分析装置の構成を表すものである。この分析装置は、図1に示したアタッチメント1Aを分析試料容器10に装着して相分離がなされた液体試料15の分析を行うものである。アタッチメント1Aは、液体試料15の相分離をおこなう際に用いられ、相分離した液体試料15の測定時には取り外される。分析装置は、分析試料容器10と、少なくとも第2領域14の液体試料15を照射するレーザー光などの測定光束70を発する光源21を含む照射部20と、測定光束70に応じて第2領域14の液体試料15から射出される光を検出する検出部30とを備えたものである。検出部30は、分析試料容器10を挟んで光源21とは反対側に設けられている。さらに、この分析装置は、検出部30で検出した結果を処理し、かつ表示する処理部40と、操作を制御する制御部50とを備えている。また、照射部20、分析試料容器10および検出部30は、外来光が入らないように遮光板により囲まれた測光室60の内部に設けられている。
【0021】
光源21は、例えば複数の波長のレーザー光などを選択的に照射することができるものである。光源21は1つでもよいが、分析試料容器10のウェル12に合わせて複数設けるようにしてもよい。その場合、光源21は、全てのウェル12Aに対応するように設けるようにしてもよいし、あるいは列毎に対応するように設け、同一の列のウェル12に対して同時に測定光束70を照射しつつ、光源21あるいは分析試料容器10を移動させるようにして全てのウェル12に測定光束70を照射するようにしてもよい。光源21には例えば制御部50が接続されており、制御部50からの指示により波長が選択される。光源21から射出された測定光束70は、プリズム22で適宜調整されたのち、レンズ23で集光されて分析試料容器10に照射されるようになっている。なお、例えば、特定の金属イオンの分析のみを目的とする場合には、その測定に用いる特定波長の測定光束70のみを照射する光源21を用いるようにしてもよい。
【0022】
検出部30は、測定光束70に応じて第2領域14の液体試料15から射出される光の変化として、第2領域14の液体試料15の吸収スペクトルを検出するようにしてもよいし、発光スペクトル、蛍光スペクトルあるいはリン光スペクトルを検出するようにしてもよい。検出部30は、例えば、第2領域14の液体試料15を透過した光、あるいは第2領域14の液体試料15で発生した光を集光する対物レンズ31と、この対物レンズ31で集められた光をフィルタ32を介して受光する受光器33とを有している。受光器33は、例えばフォトダイオードにより構成されており、例えば光源21が複数設けられている場合には、それに対応して複数設けられている。受光器33は、複数の波長を検出するものであってもよいし、特定の金属イオンの分析のみを目的とする場合には、その測定に用いる特定波長のみを検出するものでもよい。なお、図5では、検出部30を分析試料容器10を挟んで光源21と対向する位置に配置するようにしたが、蛍光あるいは発光を検出する場合には、それらを測定可能な他の位置に配置するようにしてもよい。また、吸収を検出する場合においても、図示しない反射板などを用い、検出部30を他の位置に配置するようにしてもよい。
【0023】
処理部40は、検出部30からの出力信号を増幅し、波長整形あるいはパルス信号への変換などを行う変換部41と、変換部41から出力された検出結果を表示するディスプレイあるいはプリンタなどの表示部42とを有している、さらに、所定の波長における標準試料の吸光光度、蛍光光度あるいは発光光度を記憶しておき、その波長における分析試料の光度と比較して、分析試料に含まれる特定の金属イオンの濃度を算出する算出部43を有していてもよい。
【0024】
次に、図1ないし図8を参照して、図5に示した分析装置を用いた本実施の形態に係る分析方法について説明する。図6は、本実施の形態に分析方法における各ステップを表す流れ図である。図7および図8は、連結空間6に液体試料15を注入した状態を示す断面図であり、図4に対応するものである。
【0025】
まず、ウェル12を備えた分析試料容器10と、付加収容部分3Aを備えたアタッチメント1Aとを用意する(ステップS101)。ここでは、ウェル12の開放端12Tが鉛直方向上向きとなるように分析試料容器10を配置する。図2および図3に示したように分析試料容器10に鉛直方向上方からアタッチメント1Aを連結し、付加収容部分3Aとウェル12とを連通させて両者を一体化することにより連結空間6を形成する(ステップS102)。ここでは、注入口T1が鉛直方向上向きとなり、連結口T2が鉛直方向下向きとなるようにアタッチメント1Aを連結する。すなわち、連結口T2と開放端12Tとが連結するようにする。この場合、エッジ部5が保持体11の上面に突き当たることにより、連結空間6の長さH6を決めるようにしてもよいし、付加収容部分3Aの連結口T2における外径とウェル12の内径Φ1とを変化させることにより外周面G1と第1内壁面N1との重なり部分GPの長さHGを調整し、長さH6を決めるようにしてもよい。この場合、図4から明らかなように、長さH6は、付加収容部分3Aの注入口T1から連結口T2までの長さH3およびウェル12の深さH1の合計から重なり部分GPの長さHGを差し引くことにより決定される。
【0026】
連結空間6を形成したのち、この連結空間6に液体試料15を収容し、この液体試料15を相分離させる。具体的には、まず、検出対象成分を含む所定の成分からなる試料溶液を連結空間6に投入する(ステップS103)。さらに、連結空間6内の試料溶液に、図示しないフッ素系界面活性剤や酸などの添加物を添加し、保持体11を軽く揺らして混合することにより、検出対象成分を含むと共に比重差による相分離現象を呈する液体試料15が調製される。この結果、図7に示したように、第1および第2領域13,14の全てと付加収容部分3Aの一部とが液体試料15によって占められた状態となる。このときの液体試料15における底面N4からの液面高さをL1とする。添加物を添加したのち、例えば5分間ほど振動を加えないように放置することにより、図8に示したように、厚みL1Aを有する抽剤相15Aと厚みL1Bを有する抽質相15Bとに相分離することができる(ステップS104)。ここで、ステップS103およびステップS103が、本発明の「第3のステップ」に対応する一具体例である。
【0027】
ここでは、検出対象成分を沈降させることにより、第1領域13の鉛直方向下側に配置された第2領域14の抽質相15Bの中に検出対象成分を抽出する。すなわち、液体試料15に存在した検出対象成分を、抽剤相15Aよりも比重の大きな抽質相15Bに濃縮する。この場合、厚みL1Bは、第2領域14の深さH2と同等であることが望ましい。厚みL1Bが深さH2よりも小さい(L1B<H2である)場合には十分な検出感度が得られない可能性があり、逆に、厚みL1Bが深さH2よりも大きい(L1B>H2である)場合には厚みL1Bを稼ぐために効率よく抽質相15Bを用いることができず、一部が無駄になってしまうからである。また、撥水性の高い材料を傾斜面N2に被覆しておくことにより、沈降速度を向上させることができる。さらなる沈降速度の向上のためには、傾斜面N2の傾斜角度θ12をより大きくすることが効果的である。一方、抽剤相15Aは、厚みL1Aをなし、連結空間6のうち、主に第1領域13と付加収容部分3Aとを占めることとなる。
【0028】
液体試料15の相分離を完了したのち、アタッチメント1Aを、付加収容部分3Aに収容された液体試料15と共に、分析試料容器10から取り外す(ステップS105)。これにより、抽剤相15Aの一部と、抽質相15Bとがウェル12内に確保される(図5参照)。ここでは、注入口T1をポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム等で密封し、連結口T2から押し上げる大気圧を利用して付加収容部分3Aに収容された液体試料15(抽剤相15A)を保持したままアタッチメント1Aを分析試料容器10から取り外す。こうすることにより、相分離後の液体試料15(抽剤相15A)が周辺にこぼれたり、他のウェル12に抽出された抽質相15Bと混じり合うことがない。この場合、付加収容部分3Aの連結口T2が注入口T1よりも小さくなっているので、液体試料15(抽剤相15A)をこぼすことなく容易にアタッチメント1Aを取り外すことができる。
【0029】
アタッチメント1Aを分析試料容器10から取り外したのち、ウェル12に収容された液体試料15のうち特に抽質相15Bに対し、鉛直方向から光束径ΦPを有する測定光束70を照射し、それに応じて液体試料から射出される光の強度変化を検出することにより分光分析をおこなう(ステップS106)。この場合、光束径ΦPが第2領域14の内径Φ2に等しいことが望ましい。すなわち、第2領域14が測定光束70の通過する領域に対応していれば不感領域Sが生じないので、検出感度に寄与しない無駄な抽質相15Bを無くすことができるからである。
【0030】
ステップS106において、例えば吸光光度分析を行うのであれば、入射光強度I0 に対する透過光強度Iを測定することにより、吸光度K
K=log(I0 /I) ……(2)
を算出することができる。吸光度Kは、抽質相15Bに含まれる検出対象成分におけるモル吸光係数εおよび濃度c、ならびに光路長dを用いて、
K=εdc ……(3)
と表すこともできるので、モル吸光係数εが既知であれば透過光強度Iを測定することにより濃度cが求められる。
【0031】
ステップS106の測定に要する時間は数秒程度であり、ステップS102からステップS106までに要する時間は数分から30分程度と極めて短時間である。分光分析が終わったのち、ウェル12および付加収容部分3Aを、例えば塩酸および蒸留水で洗浄したのち(ステップS107)、再度、ステップS101に戻ることにより、新たな液体試料15の分析が順次可能となる。
【0032】
ここで、従来例と対比して、本実施の形態における分析方法の作用について以下に説明する。ここでは、図7および図8と図14(A),(B)とを参照し、分光分析で得られる吸光度の比較を行う。図14(A),(B)は、既に述べたように、従来の分析試料容器としてのマイクロプレートを使用し、均一液液抽出法を用いた水溶液中の微量成分の分析方法を説明するものである。
【0033】
ウェル112を有する従来の分析試料容器を用いた場合の相分離後における吸光度K2は、上記の式(3)により、
K2=ε・(L2A)・(c2A)+ε・(L2B)・(c2B) ……(4)
となる。但し、
c2A:ウェル112内の抽剤相15Aにおける検出対象成分の濃度(相分離後)
c2B:ウェル112内の抽質相15Bにおける検出対象成分の濃度(相分離後)
である。この場合、c2A<<c2Bであるので、式(4)は
K2≒ε・(L2B)・(c2B) ……(5)
と表すことができる。さらに、
c2:ウェル112内の液体試料15における検出対象成分の濃度(相分離前)V2:ウェル112内の液体試料15の体積(相分離前)
V2B:ウェル112内の抽質相15Bの体積(相分離後)
とした場合、c2B=c2・V2/(V2B)であるので、上記の式(5)は、K2≒ε・(L2B)・c2・V2/(V2B) ……(6)
と書き換えることができる。
【0034】
一方、本実施の形態のアタッチメント1Aを分析試料容器10に装着して相分離を行った場合の相分離後における吸光度K1は、
K1=ε・(L1A)・(c1A)+ε・(L1B)・(c1B) ……(7)
となる。但し、
c1A:連結空間6内の抽剤相15Aにおける検出対象成分の濃度(相分離後)
c1B:連結空間6内の抽質相15Bにおける検出対象成分の濃度(相分離後)
である。この場合、c1A<<c1Bであるので、式(7)は
K1≒ε・(L1B)・(c1B) ……(8)
と表すことができる。さらに、
c1:連結空間6内の液体試料15における検出対象成分の濃度(相分離前)
V1:連結空間6内の液体試料15の体積(相分離前)
V1B:連結空間6内の抽質相15Bの体積(相分離後)
とした場合、c1B=c1・V1/(V1B)であるので、上記の式(8)は、K1≒ε・(L1B)・c1・V1/(V1B) ……(9)
と書き換えることができる。
【0035】
ここで、式(6)と式(9)とを比較すると、図7,図8および図14(B)から明らかなように厚みL1Bは厚みL2Bよりも大きい(L2B<L1B)ので、濃度c1が濃度c2と同等以上(c2≦c1)であれば吸光度K1は吸光度K2よりも大きくなる(K2<K1)。さらに、体積V2よりも体積V1が十分に大きい(V2<<V1)ので、吸光度K1が吸光度K2よりも十分に大きくなる(K2<<K1)。すなわち、検出対象成分の濃度cを同等として比較した場合、分析試料容器10に装着したアタッチメント1Aを用いることにより、抽質相15Bにより多くの検出対象成分を抽出することができ、測定光束70の照射方向に沿った方向における検出対象成分の厚みが増すので、より高い感度で検出対象成分を検出することができる。
【0036】
このように、本実施の形態によれば、アタッチメント1Aが、検出対象成分を含有すると共に比重差による相分離現象を呈する液体試料15を収容するためのウェル12を備えた分析試料容器10に装着されるものであって、液体試料15の注入口T1と、分析試料容器10のウェル12の開放端12Tに連結される連結口T2とを有すると共に、連結口T2がウェル12の開放端12Tに連結された状態においてウェル12と連通し、この収容部分ウェル12と一体となって液体試料15を収容する連結空間6を構成する付加収容部分3Aを備えるようにした。このため、アタッチメント1Aを用いない場合に比べて、ウェル12と付加収容部分3Aとが一体となって構成する連結空間6に、より多くの液体試料15を収容することができるので、相分離後の検出対象成分を含有する抽質相15Bに、より多くの検出対象成分を抽出することができる。このため、分光分析を行うにあたり、測定光束70によって照射される検出対象成分の照射方向の長さ(光路長d)を長くすることができ、高感度な検出が可能となる。したがって、分析試料に含まれる検出対象成分が微量であったとしても、高精度かつ高感度な分光分析を容易に行うことができる。
【0037】
特に、液体試料15が、相対的に比重の大きな抽質相15Bに抽出される検出対象成分を含むものであり、かつ、第1領域13の水平方向断面よりも小さい水平方向断面を有する第2領域14が第1領域13の鉛直方向下側に位置するようにしたので、検出対象成分を照射する測定光束70の光路長、すなわち、厚みL2Bをより大きくすることができ、より高感度な検出が可能となる。
【0038】
また、特に、第2領域14の内径Φ2が、測定光束70の光束径ΦPに相当する大きさを有するようにしたので、検出感度に寄与しない無駄な検出対象成分の発生を防ぎ、液体試料15の少量化を図ることができる。高価な液体試料や大量に入手することが困難な液体試料を分析する場合に特に有益である。
【0039】
<変形例>
本実施の形態では、本体2Aと付加収容部分3Aとが一体に形成されたアタッチメント1Aについて説明したが、これに限定されるものではなく、以下に示す各変形例のように、本体と付加収容部分とが別体からなるアタッチメントとしてもよい。以下、図9および図10を参照して、本実施の形態の各変形例について説明する。
【0040】
図9は、第1の変形例(変形例1)としてのアタッチメント1Bの構成を示すものであり、図9(A)が断面構成を示し、図9(B)が部分拡大斜視図である。図9(A),(B)に示したように、本変形例のアタッチメント1Bは、本体2Bと付加収容部分3Bとが別体となっている。このため、液体試料15の種類や検出対象成分の含まれる濃度によって、付加収容部分3Bの長さや内径を適宜変更することができる。この場合、付加収容部分3Bの形状についても適宜変更可能であり、図9(A),(B)に示した形状に限定されるものではない。例えば、図10(A),(B)に示した第2の変形例(変形例2)としてのアタッチメント1Cように、注入口T1と連結口T2との大きさが同一である付加収容部分3Cを本体2Cに取り付けるようにしてもよい。また、アタッチメント1Cのように、付加収容部分3Cの注入口T1が本体2Cから突き出すように設けるようにすれば、注入口T1の側を鉛直方向上側として使用したとき、付加収容部分3Cが鉛直方向に沿って長い場合であっても、本体2Cと連結口T2との距離を短くすることができ、分析試料容器10とアタッチメント1Cとの連結操作が容易となる。
【0041】
[第2の実施の形態]
次に、図11ないし図13を参照して、本発明の第2の実施の形態に係るアタッチメントについて説明する。
【0042】
図11は、本実施の形態のアタッチメント1Dの構成を表す部分断面斜視図である。上記第1の実施の形態における図1に対応している。図11では、図1に示した構成要素と実質的に同一の部分には同一の符号を付している。なお、以下の説明では、本実施の形態のアタッチメント1Dの構成について、主に、上記第1の実施の形態と異なる点について説明し、他の説明は適宜省略する。
【0043】
アタッチメント1Dは、第1の実施の形態のアタッチメント1Aと同様に分析試料容器10に装着されるものであり、おおよそ直方体形状をなした本体2Dに複数の付加収容部分3Dが形成されたものである。但し、アタッチメント1Dの付加収容部分3Dは、互いに対向する2つの面を有する板状部材を貫通する貫通孔により構成されている。すなわち、各付加収容部分3Dは、一方の面に設けられた注入口T1から反対側の面に設けられた連結口T2まで貫通している。本体2Dには、さらに、連結口T2を含む面における外縁に沿ったフランジ7と、注入口T1および連結口T2を含まない面に形成された突起部5とが形成されている。
【0044】
図12は、アタッチメント1Dと、これが装着される分析試料容器10と、アタッチメント1Dと分析試料容器10との間に挟まれるパッキン8との構成の一部を示した斜視図である。また、図13(A),(B)は、アタッチメント1Aおよび分析試料容器10の断面構成を拡大して示したものである。図12および図13(A),(B)に示したように、分析試料容器10は、第1の実施の形態と同様に、液体試料15を収容する収容部分としての複数のウェル12を有している。アタッチメント1Dにおける複数の付加収容部分3Dの各々が、分析試料容器10の各ウェル12に対応するように配置されており、連結口T2が2mm程度の厚みを有するパッキン8を介して各ウェル12の開放端12Tに連結されるようになっている。パッキン8には、各付加収容部分3Dおよびウェル12に対応する位置に、開放端12Tに対応する大きさの開口部8Kが設けられている。連結口T2が開放端12Tに連結された状態において、ウェル12と連通すると共に、ウェル12と一体となって液体試料15を収容する連結空間6が構成される。ここで、パッキン8は液漏れ防止部材として機能するものであり、例えば、シリコーンゴム等の液体試料15と容易に反応せず、かつ弾性を有する材料によって構成される。また、フランジ7の取り囲む領域の内側にパッキン8および保持体11を収めることにより、それぞれ対応する開放端12Tと開口部8Kと連結口T2との位置合わせを行うようになっている。
【0045】
また、付加収容部分3Dの連結口T2が注入口T1よりも小さくなっているので、上記第1の実施の形態と同様に、アタッチメント1Dを用いて液体試料15の相分離を実施する際に、液体試料15をこぼすことなく容易にアタッチメント1Dを取り外すことができる。
【0046】
このように、本実施の形態によれば、上記第1の実施の形態と同様に、ウェル12と付加収容部分3Dとが一体となって構成する連結空間6により多くの液体試料15を収容することができるので、相分離後の検出対象成分を含有する抽質相15Bに、より多くの検出対象成分が抽出することができる。このため、分光分析を行うにあたり、測定光束70によって照射される検出対象成分の照射方向の長さ(光路長d)を長くすることができ、高感度な検出が可能となる。したがって、分析試料に含まれる検出対象成分が微量であったとしても、高精度な分光分析を容易に行うことができる。
【0047】
【実施例】
次に、上記実施の形態における具体的な実施例について説明する。
【0048】
本実施例は、図1ないし図4に示したアタッチメント1Aおよび分析試料容器10を使用し、上記実施の形態において説明した分析方法に基づき分析をおこなったものである。
【0049】
まず、図1に示した96個のウェル12を有するポリスチレン製の保持体11と、付加収容部分3Aを備えたポリメタクリル酸メチル製のアタッチメント1Aとを用意した(ステップS101;図6参照)。ウェル12のサイズは、深さH1が14.7mm、第1領域13の内径Φ1が7.15mm、傾斜面N2の傾斜角度θ12が30°、第2領域14Aの内径Φ2が3.0mm、さらに第2領域14の第2内壁面N3の高さが5.0mmである。一方のアタッチメント1Aは、付加収容部分3Aの長さH3が47.6mmであるものを用いた。
【0050】
この分析試料容器10Aとアタッチメント1Aを連結し、付加収容部分3Aとウェル12とを連通させて両者を一体化することにより連結空間6を形成した(ステップS102;図6参照)。連結空間6を形成したのち、各連結空間6に、鉄(II)−フェナントロリン錯体水溶液1500μlと、アセトン50μlと、0.1mol/lのPFOA−水溶液250μlとからなる均一な水溶液を投入した(ステップS103;図6参照)。次いで、各連結空間6に、添加物として0.1mol/lの硝酸水溶液を50μl添加し、軽く揺らして混合して液体試料15を調製した。こののち、そのまま5分間ほど振動を加えないように放置して相分離を行い、Fe(II)を沈降させた(ステップS104;図6参照)。
【0051】
液体試料15の相分離を完了したのち、各付加収容部分3Aの注入口T1をPETフィルムで密封し、アタッチメント1Aを、付加収容部分3Aに収容された液体試料15と共に、分析試料容器10から取り外した(ステップS105;図6参照)。続いて、ウェル12に収容された液体試料15のうち特に抽質相15Bに対し、鉛直方向から測定光束70を照射し、吸光光度分析により液体試料中のFe(II)を検出した。(ステップS106;図6参照)。
【0052】
この実施例の結果を、これらの本実施例に対する比較例1,2と併せて表1に示す。比較例1は、本発明のアタッチメント1Aを使用せずに分析試料容器10Aのみを用いて液体試料15を調製し、吸光光度分析を実施したものである。液体試料15の成分および分析手順は本実施例と同様であるが、アタッチメント1Aを使用しないため、当初の水溶液の投入量が本実施例に比べて少なく、5分の1となっている。また、比較例2は、図14に示した断面構造をなすウェル112を有する従来の分析試料容器を備えた分析装置を用いて吸光光度分析を実施したものである。ウェル112は、内径が7mmであり深さが11mmである円柱形状をなすものである。分析手順は、本実施例と同様である。表1の検出限界の数値は、実施例および比較例1,2はそれぞれ96個のデータの平均値である。
【0053】
【表1】
Figure 0004362314
【0054】
表1に示したように、本実施例によれば、比較例1,2に比べて低濃度の液体試料中のFe(II)を検出できることがわかった。同一形状のウェル12を備えた分析試料容器10を用いた比較した場合、アタッチメント1Aを用いたことによってより多量の液体試料15を相分離することができるので、より低濃度の液体試料15中のFe(II)を検出できることがわかった。すなわち、本発明の分析試料容器10を用いるようにすれば、水溶液中の微量成分を高い検出感度で、かつ容易に検出可能となることがわかった。さらに、比較例1は、第1領域13と、この第1領域13の水平方向断面よりも小さな水平方向断面を有する第2領域14とを含むウェル12を備えた分析試料容器10を用いたので、Fe(II)を含む相の鉛直方向の厚みを比較例2の場合よりも大きくすることができ、より低濃度の液体試料15中のFe(II)を検出できることがわかった。
【0055】
以上、実施の形態、変形例および実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明は、これらの実施の形態および変形例に限定されず、種々変形可能である。例えば、本実施の形態では、分析試料容器が収容部分を複数有し、分析試料容器用アタッチメントが付加収容部分を複数有するようにしたが、単一の収容部分あるいは付加収容部分を有するようにしてもよい。
【0056】
また、上記実施の形態、変形例および実施例では、分析試料容器用アタッチメントの形状および分析装置の構成について、具体的に例を挙げて説明したが、他の形状および構成を有するようにしてもよい。例えば、収容部分の底面が、上記実施の形態、変形例および実施例で説明した形状に限らず、丸底形状やV字形状をなすようにしてもよい。
【0057】
また、上記実施の形態、変形例および実施例では、液体試料として、比重差による相分離現象を呈するものを用いたが、本発明はこれに限定されず、検出対象成分を含有するものであれば、他の外力(磁力等)による相分離現象を示すものを用いるようにしてもよい。
【0058】
【発明の効果】
以上、説明したように、本発明による分析試料容器用アタッチメントによれば、液体試料の注入口としての第1の開放端と、分析試料容器の収容部分の開放端に連結される連結口としての第2の開放端とを有すると共に、第2の開放端が収容部分の開放端に連結された状態で収容部分と一体となって液体試料を収容する連結空間を構成する付加収容部分を備えるようにしたので、この分析試料容器用アタッチメントを分析試料容器に装着して試料調製を行うようにすれば、より多くの液体試料を連結空間に収容することができる。特に、液体試料が比重差による相分離現象を呈するものであれば、相分離後の液体試料における比較的比重の大きい相に、より多くの検出対象成分を抽出することができる。このため、分光分析を行うにあたっては、測定光束によって照射される検出対象成分が抽出された相の照射方向の長さ(光路長)を長くすることができ、より高感度な検出が容易に可能となる。
【0059】
特に、分析試料容器が収容部分を複数備える場合において、付加収容部分を複数設け、その各々を分析試料容器の各収容部分に対応して配置するようにした場合には、多数の液体試料の検体を同時に分析可能となる。
【0060】
本発明による分析方法または分析装置によれば、収容部分と付加収容部分とが一体となって構成する連結空間に、より多くの液体試料を収容し、相分離後の液体試料における比較的比重の大きい相に、より多くの検出対象成分を抽出することができる。このため、分析試料容器の収容部分に収容された液体試料に測定光束を照射すると、測定光束によって照射される検出対象成分が抽出された相の照射方向の長さ(光路長)を長くすることができるので、液体試料から射出される光の強度がより強くなり、液体試料から射出される光を容易に検出できる。
【0061】
特に、付加収容部分の第2の開放端が第1の開放端よりも小さい分析試料容器用アタッチメントを使用した場合には、付加収容部分に収容された液体試料を確実に保持したまま、分析試料容器から取り外すことが容易になる。
【0062】
特に、第2の開放端と収容部分の開放端との連結状態を保持する保持手段を備えた分析試料容器用アタッチメントを使用した場合には、連結がより確実になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る分析試料容器用アタッチメントの構成を表す一部破断斜視図である。
【図2】 図1に示した分析試料容器用アタッチメントと、これが装着される分析試料容器との構成を表す斜視図である。
【図3】 図1に示した分析試料容器用アタッチメントと、これが装着される分析試料容器との断面構成を表す断面図である。
【図4】 図1に示した分析試料容器用アタッチメントと、これが装着される分析試料容器との断面構成の詳細を表す部分拡大断面図である。
【図5】本発明の一実施の形態に係る分析装置を表す構成図である。
【図6】図5に示した分析装置を用いた本発明の一実施の形態に係る分析方法を表す流れ図である。
【図7】図6に示した分析方法を説明するための説明図である。
【図8】図6に示した分析方法を説明するための他の説明図である。
【図9】図1に示した分析試料容器用アタッチメントにおける第1の変形例(変形例1)の構成を表す断面図および斜視図である。
【図10】図1に示した分析試料容器用アタッチメントにおける第2の変形例(変形例2)の構成を表す断面図および斜視図である。
【図11】本発明の第2の実施の形態に係る分析試料容器用アタッチメントの構成を表す一部破断斜視図である。
【図12】図11に示した分析試料容器用アタッチメントと、これが装着される分析試料容器と、これらを介在する液漏れ防止部材との構成を表す斜視図である。
【図13】 図11に示した分析試料容器用アタッチメントと、これが装着される分析試料容器と、これらを介在する液漏れ防止部材との断面構成を表す断面図である。
【図14】均一液液抽出法を用いた従来例としての分析方法を表す説明図である。
【符号の説明】
N1…第1内壁面、N2…傾斜面、N3…第2内壁面、N4…底面、T1…注入口、T2…連結口、1…アタッチメント、2…保持体、3…付加収容部分、4…突起部、5…エッジ部、6…連結空間、7…フランジ、8…パッキン、10…分析試料容器、11…保持体、12…ウェル、12T…開放端、13…第1領域、14…第2領域、15…試料溶液、16A…抽剤、16B…抽質、20…照射部、21…光源、22…プリズム、23…レンズ、30…検出部、31…対物レンズ、32…フィルタ、33…受光器、40…処理部、41…変換部、42…表示部、43…算出部、50…制御部、60…測光室、70…測定光束、80…ゴムバンド。

Claims (11)

  1. 検出対象成分を含有すると共に相分離現象を呈する液体試料を分析する方法であって、
    収容部分を備えた分析試料容器と付加収容部分を備えた分析試料容器用アタッチメントとを用意する第1のステップと、
    前記分析試料容器に鉛直方向上方から前記分析試料容器用アタッチメントを連結し、前記付加収容部分と前記収容部分とを連通させて両者を一体化することにより連結空間を形成する第2のステップと、
    前記連結空間に前記液体試料を収容した状態で相分離させる第3のステップと、
    前記分析試料容器用アタッチメントを、前記付加収容部分に収容された液体試料と共に、前記分析試料容器から取り外す第4のステップと、
    前記分析試料容器の前記収容部分に収容された液体試料に鉛直方向から測定光束を照射し、それに応じて液体試料から射出される光を検出する第5のステップと
    を含むことを特徴とする分析方法。
  2. 前記分析試料容器の前記収容部分が、第1の領域と、使用時において前記第1の領域の鉛直方向下側に隣接配置されると共に前記第1の領域の水平方向断面よりも小さい水平方向断面を有する第2の領域とを有するように構成し、
    前記第2のステップにおいて、前記分析試料容器用アタッチメントの前記付加収容部分を前記第1の領域に連結する
    ことを特徴とする請求項1に記載の分析方法。
  3. 検出対象成分を含有すると共に相分離現象を呈する液体試料を収容する収容部分を有する分析試料容器と、
    前記相分離現象を利用して前記液体試料の相分離をおこなう際に用いられると共に、前記液体試料の測定時には取り外される分析試料容器用アタッチメントと、
    前記収容部分の液体試料を照射する測定光束を発する光源と、
    前記測定光束に応じて前記収容部分の液体試料から射出される光を検出する検出部と
    を備え、
    前記分析試料容器用アタッチメントは、
    前記液体試料の注入口としての第1の開放端と、前記分析試料容器の前記収容部分の開放端に連結される連結口としての第2の開放端とを有すると共に、前記第2の開放端が前記収容部分の開放端に連結された状態で前記収容部分と一体となって前記液体試料を収容する連結空間を構成する付加収容部分を有する
    ことを特徴とする分析装置。
  4. 前記分析試料容器が前記収容部分を複数有し、
    前記付加収容部分が複数設けられ、その各々が前記分析試料容器の各収容部分に対応して配置されている
    ことを特徴とする請求項3に記載の分析装置。
  5. 前記付加収容部分の、前記第2の開放端に近い側の部分が、先端部に近づくほど細くなるようなテーパ状の外周面を有し、この外周面が前記分析試料容器の収容部分の内面に密着するように構成されている
    ことを特徴とする請求項3または請求項4に記載の分析装置。
  6. 前記付加収容部分は、互いに対向する2つの面を有する板状部材を貫通する貫通孔により構成されている
    ことを特徴とする請求項3または請求項4に記載の分析装置。
  7. 前記付加収容部分は、前記第2の開放端の側に配置される液漏れ防止部材を介して前記分析試料容器の前記収容部分と連通するように構成されている
    ことを特徴とする請求項6に記載の分析装置。
  8. 前記付加収容部分の前記第2の開放端が前記第1の開放端よりも小さいことを特徴とする請求項3ないし請求項7のいずれか1項に記載の分析装置。
  9. 前記分析試料容器用アタッチメントが、前記第2の開放端と前記収容部分の開放端との連結状態を保持する保持手段を有することを特徴とする請求項3ないし請求項8のいずれか1項に記載の分析装置。
  10. 前記検出部は、前記分析試料容器を挟んで前記光源とは反対側に設けられていることを特徴とする請求項3ないし請求項9のいずれか1項に記載の分析装置。
  11. 前記分析試料容器の前記収容部分が、第1の領域と、前記第1の領域に隣接する第2の領域とを有し、前記第2の領域における前記第1および第2の領域の配列方向と直交する断面が、前記第1の領域における前記配列方向と直交する断面よりも小さくなるように構成され、
    前記光源が、少なくとも前記第2の領域の液体試料を前記配列方向から照射する測定光束を発するように構成され、
    前記検出部が、前記測定光束に応じて前記第2の領域の液体試料から射出される光を検出するように構成されている
    ことを特徴とする請求項3ないし請求項10のいずれか1項に記載の分析装置。
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