JP4361115B2 - 受信品質計算方法、受信品質計算装置及び通信装置 - Google Patents
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Description
コアネットワーク1は、移動通信システム内においてルーティングを行うためのネットワークであり、例えば、ATM交換網、パケット交換網、ルーター網等によりコアネットワークを構成することができる。尚、コアネットワーク1は、他の公衆網(PSTN)等とも接続され、移動局7が固定電話機等との間で通信を行うことも可能としている。
多重分離装置4、5は、RNCと無線基地局との間に設けられ、RNC2、3から受信した各無線基地局宛ての信号を分離し、各無線基地局宛てに出力するとともに、各無線基地局からの信号を多重して各RNC側に引き渡す制御を行う。
無線基地局61〜63はRNC2、無線基地局64、65はRNC3により無線リソースを管理されつつ、移動局7との間の無線通信を行う。移動局7は、無線基地局6の無線エリア内に在圏することで、無線基地局6との間で無線回線を確立し、コアネットワーク1を介して他の通信装置との間で通信を行う。
コアネットワーク1とRNC 2、3との間のインタフェースをIuインタフェース、RNC 2、3間のインタフェースをIurインタフェース、RNC2、3と各無線基地局6との間のインタフェースをIubインタフェース、無線基地局6と移動局7との間のインタフェースをUuインタフェースと称し、2〜6の装置で形成されるネットワークを特に無線アクセスネットワーク(RAN)と称する。コアネットワーク1とRNC2、3との間の回線は、Iu,Iurインタフェースのために共用され、RNC2、3と多重分離装置4、5との間の回線は、複数の無線基地局用のIubインタフェースで共用されている。
以上が一般的な移動通信システムに関する説明であるが、更に、高速な下り方向のデータ伝送を可能とする技術としてHSDPA(High Speed Downlink Packet Access)方式が採用されることがある(非特許文献1,2参照)。ここで、HSDPAについて簡単に説明する。
HSDPAは、適応符号化変調方式(AMC:Adaptive Modulation and Coding)を採用しており、例えば、QPSK変調方式(QPSK modulation Scheme)と16値QAM方式(16 QAM Scheme)とを無線基地局、移動局間の無線環境に応じて適応的に切りかえることを特徴としている。
また、HSDPAは、H-ARQ(Hybrid Automatic Repeat reQuest)方式を採用している。H-ARQでは、移動局が無線基地局からの受信データについて誤りを検出した場合、当該無線基地局に対して再送要求(NACK信号の送信)を行う。この再送要求を受信した無線基地局は、データの再送を行うので、移動局は、既に受信済みのデータと、再送された受信データとの双方を用いて誤り訂正復号化を行う。このようにH-ARQでは、誤りがあっても既に受
信したデータを有効に利用することで、誤り訂正復号の利得が高まり、結果的に再送回数が少なく抑えられることとなる。なお、ACK信号を移動局から受信した場合は、データ送信は成功であるから再送は不要であり、次のデータの送信を行うこととなる。
HSDPAに用いられる主な無線チャネルは、図7に示すように(1) HS-SCCH(High Speed-Shared Control Channel)、(2) HS-PDSCH(High Speed-Physical Downlink Shared Channel)、(3) HS-DPCCH(High Speed-Dedicated Physical Control Channel)がある。
HS-SCCH、HS-PDSCHは、双方とも下り方向(即ち、無線基地局から移動局への方向であるダウンリンク)の共通チャネル(shared channel)であり、HS-SCCHは、HS-PDSCHにて送信するデータに関する各種パラメータを送信する制御チャネルである。言い換えれば、HS-PDSCHを介してデータの送信が行われることを通知するチャネルである。各種パラメータとしては、例えば、どの移動局にデータを送信するかの宛先情報、伝送ビットレート情報、どの変調方式を用いてHS-PDSCHによりデータを送信するかを示す変調方式情報、拡散符号(spreading code)の割当て数(コード数)、送信データに対して行うレートマッチングのパターン等の情報がある。
一方、HS-DPCCHは、上り方向(即ち、移動局から無線基地局への方向であるアップリンク)の個別の制御チャネル(dedicated control channel)であり、HS-PDSCHを介して受信したデータのエラーの有、無に応じてそれぞれ受信結果(ACK信号、NACK信号)を移動局が無線基地局に対して送信する場合に用いられる。即ち、HS-PDSCHを介して受信したデータの受信結果を送信するために用いられるチャネルである。尚、移動局がデータの受信に失敗した場合(受信データがCRCエラーである場合等)は、NACK信号が移動局から送信されるので、無線基地局は再送制御を実行することとなる。
その他、HS-DPCCHは、無線基地局から受信した信号の受信品質(例えばSIR)を測定した移動局が、その受信品質をCQI(Channel Quality Indicator)として無線基地局に送信するためにも用いられる。すなわち、CQIは、移動局が基地局に対して受信環境を報告するための情報であり、CQI=1〜30の値をとり、その受信環境下でブロックエラーレートBLERが0.1を越えないCQIを基地局に報告する。
無線基地局は、受信したCQIにより、下り方向の無線環境の良否を判断し、良好であれば、より高速にデータを送信可能な変調方式に切りかえ、逆に良好でなければ、より低速にデータを送信する変調方式に切りかえる(即ち、適応変調を行う)。実際、基地局はCQI=1〜30に応じて伝送速度の異なるフォーマットを定義するCQIテーブルを保持しており、CQIに応じた前記パラメータ(伝送速度、変調方式、多重コード数等)を該CQIテーブルより求めてHS-SCCHで移動局に通知すると共に該パラメータに基づいてHS-PDSCHでデータを移動局へ送信する。
図8は、HSDPAシステムにおけるチャネルのタイミング説明図である。W-CDMAでは、符号分割多重方式を採用するため、各チャネルは符号により分離されている。CPICH(Common Pilot Channel)、SCH(Synchronization Channel)は、それぞれ下り方向の共通チャネルである。CPICHは、移動局においてチャネル推定、セルサーチ等に利用されるチャネルであり、いわゆるパイロット信号を送信するためのチャネルである。SCHは、厳密には、P-SCH(Primary SCH)、S-SCH(Secondary SCH)があり、各スロットの先頭の256チップでバースト状に送信されるチャネルである。このSCHは、3段階セルサーチを行う移動局によって受信され、スロット同期、フレーム同期を確立したり、基地局コード(スクランブルコード)を識別するために用いられる。SCHは1スロットの1/10の長さであるが、図では広めに示している。残りの9/10はP-CCPCH(Primary-common control physical channel)である。
次に、チャネルのタイミング関係について説明する。各チャネルは15個のスロットにより1フレーム(10ms)を構成しており、1フレームは2560チップ長相当の長さを有している。先に説明したように、CPICHは他のチャネルの基準として用いられるため、SCH及びHS-SCCHのフレーム先頭はCPICHのフレームの先頭と一致している。一方、HS-PDS
CHのフレームの先頭は、HS-SCCH等に対して2スロット遅延しているが、これは移動局がHS-SCCHを介して変調方式情報を受信してから、該変調方式に対応する復調方式でHS-PDSCHの復調を行うことを可能にするためである。また、HS-SCCH、HS-PDSCHは、3スロットで1サブフレームを構成している。
HS-DPCCHは上り方向のチャネルであり、そのサブフレームの第1スロットは、HS-PDSCHの受信から約7.5スロット経過後に、HS-PDSCHの受信結果を示すACK/NACK信号を移動局から無線基地局に送信するために用いられる。また、第2、第3スロットは、適応変調制御のためのCQI情報を定期的に基地局にフィードバック送信するために用いられる。ここで、送信するCQI情報は、CQI送信の4スロット前から1スロット前までの期間に測定した受信環境(例えば、CPICHのSIR測定結果)に基づいて算出される。
図9は従来の移動局の要部構成図である。基地局から送信された無線信号はアンテナにより受信されて受信機1に入力する。受信機1は該無線信号をべースバンド信号にダウンコンバートした後、得られたべースバンド信号に直交復調、AD変換、逆拡散等の処理を施してHS-PDSCHのシンボル信号、CPICHのシンボル信号、受信タイミング信号(フレーム同期、スロット同期信号)等を出力する。HS-PDSCHチャネル推定フィルタ2は、現シンボルの直前nシンボル例えば10シンボル及び現シンボルを含む次の10シンボルを合せた総計20シンボル分のCPICHシンボル信号の平均値を計算し、該平均値をチャネル推定値として順次シンボル周期で出力する。なお、CPICHの1スロットは10シンボルであるから、上記10シンボルは1スロットに相当する。
図10では両側複数個のチャネル推定値の平均値を計算して中央の着目シンボルのチャネル推定値とした点を明確にするために、スロットslot #nにおいてチャネル推定及びチャネル補償処理が行われているかのように示している。しかし、実際には、図11に示すように、チャネル推定及びチャネル補償処理はスロットslot#n+1において行われる。
CPICHシンボル信号の平均値を計算し、該平均値をチャネル推定値として順次シンボル周期で出力する。図12はCPICHチャネル推定フィルタ8の動作説明図であり、現スロットslot#nの第1シンボルのチャネル推定値は、前々スロットslot#n-2の第2〜第10シンボルと前スロットslot #n-1の第1〜第10シンボルと現スロットslot#nの第1シンボルを合せた総計20シンボルのCPICHシンボル信号の平均値である。また、現スロットslot#nの第2シンボルのチャネル推定値は、前々スロットslot#n-2の第3〜第10シンボルと前スロット#n-1の第1〜第10シンボルと現スロットslot#nの第1〜第2シンボルを合せた総計20シンボルのCPICHシンボル信号の平均値であり、同様に現スロットslot#nの第10シンボルのチャネル推定値は、前スロット#n-1の第1〜第10シンボルと現スロットslot#nの第1〜第10シンボルを合せた総計20シンボルのCPICHシンボル信号の平均値である。SIR算出用のCPICHチャネル推定フィルタ8が、HS-PDSCHチャネル推定フィルタ2のように現シンボルの直前10シンボルと現シンボルを含む次の10シンボルを合せた総計20シンボル分のCPICHシンボル信号を用いてチャネル推定値を計算できない理由は後述する。
CPICH-SIR・CQI報告値変換部12は、図13に示すようにCPICH-SIRとCQIとの対応テーブルを備えているから、入力されたCPICH-SIRに応じたCQI報告値を該テーブルより求めてHS-DPCCH生成部13に入力する。
以上と並行して下り受信タイミング監視部14は受信タイミング信号 (フレーム同期、スロット同期信号)に基づいて下りのタイミングを監視し、上り送信タイミング管理部15は送信タイミング信号をHS-DPCCH生成部13に入力する。HS-DPCCH生成部13は、図8で説明したようにサブフレーム毎に4〜1スロット前のCPICH-SIR(図9の例では2〜1スロット前のCPICH-SIR)に応じたCQI報告値を含み、かつ、ACK/NACK信号を適宜有するHS-DPCCHを作成し、符号化処理部16で符号化して変調処理部17に入力する。変調処理部17は拡散処理、DA変換、直交変調処理し、送信機18はべースバンド信号をRF信号に周波数変換してアンテナより基地局に向けて送信する。基地局は図示しないがHS-DPCCHを復調し、CQI報告値に基づいてCQIテーブルよりトランスポートブロックサイズ、多重コード数、変調方法を決定し、これらに従ってHS-PDSCHでデータを送信するとともに、ACK/NACKに基づいて再送制御を行なう。
以上から、SIR算出用CPICHのチャネル推定フィルタ8は、現シンボルを含む直前20シンボル分のCPICHシンボル信号の平均値を計算し、該平均値をチャネル推定値として順次シンボル周期で出力する。これは、たとえば現スロットslot#nの第1シンボルのチャネル推定値として、前スロットslot #n-1の第1シンボルのチャネル推定値を用いていることを意味している。このため、現スロットslot#nの第1シンボルに適さないチャネル推定値が算出され、SIR算出用のCPICHチャネル推定値はHS-PDSCHチャネル推定値に比べ精度の点で落ちる。特に、高速フェージング等でチャネル推定結果が短時間で変動し、過去のチャネル推
定値と現在のチャネル推定値が異なる環境において顕著になる。すなわち、高速フェージング環境において、SIR算出用のCPICHチャネル推定値はHS-PDSCHチャネル推定値に比べ精度の点で相当低下し、SIR算出用のCPICHシンボルの受信品質はHS-PDSCHシンボルの受信品質より相当劣化する。
図14と図15より明らかなように、フェージング速度が高速になるとHS-PDSCH の受信品質と比較してSIR算出用のCPICH の受信品質が劣化することがわかる。そのため図16に示すように高速フェージング時にCQI 報告値が本来のCQI報告値に比べて低く報告されてしまう。その結果、高伝送レートで誤り訂正能力の低いフォーマットでも高品質にHS-PDSCHによりデータを送受信可能な環境下において、基地局は移動局に対して伝送レートが低く誤り訂正能力の高いフォーマットでHS-PDSCHによりデータ送信する。このため、HS-PDSCH のブロックエラーレートBLERが既定値0.1より相当小さくなり、すなわち、過剰品質となり、通信システムのスループット特性が劣化する。
本発明の別の目的は、フェージング環境下であってもHS-PDSCH の受信品質を正確に計算し、該受信品質に応じたCQIを決定して送信装置に報告することである。
本発明の別の目的は、送信装置が正しくHS-PDSCH の受信品質に応じた伝送レートでデータを送信できるようにすることである。
3G TS 25.212(3rd Generation Partnership Project: Technical Specification Group Radio Access Network ; Multiplexing and channel coding (FDD)) 3G TS 25.214(3rd Generation Partnership Project: Technical Specification Group Radio Access Network ; Physical layer procedures (FDD))
本発明の受信品質計算方法は、過去に計算された受信品質を第1の受信品質として保存すると共に、該第1の受信品質の計算に用いた過去のCPICHシンボルを保存するステップ、現在のチャネル推定値を用いて前記保存されている過去のCPICHシンボルにチャネル補償を施し、該チャネル補償されたCPICHシンボルを用いて第2の受信品質を計算するステップ、該第2の受信品質と前記保存してある第1の受信品質との差を受信品質の補正値として求めるステップ、現在のチャネル推定値を用いて現在のCPICHシンボルにチャネル補償を施して得られたCPICHシンボルを用いて第3の受信品質を計算するステップ、該第3の受信品質を前記補正値で補正するステップを備えている。
上記の本発明の受信品質計算方法は、受信品質を所定の周期で測定するとき、前記第3の受信品質を前記第1の受信品質とし、前記現在のCPICHシンボルを前記過去のCPICHシンボルとして保存し、次の受信品質の補正処理を行うステップを有している。更に、本発明の受信品質計算方法は、受信品質を所定の周期で測定するとき、過去2周期分のCPICHシンボルを用いて前回の測定周期におけるチャネルを、現在の測定周期におけるチャネルとして推定するステップを有している。
上記本発明の受信品質計算装置は、更に、受信品質を所定の周期で測定するとき、前記第3の受信品質を前記第1の受信品質とし、前記現在のCPICHシンボルを前記過去のCPICHシンボルとし、それぞれ前記記憶部に保存する手段を有している。また、発明の受信品質計算装置は、受信品質を所定の周期で測定するとき、過去2周期分のCPICHシンボルを用いて現在の測定周期におけるチャネルを推定するチャネル推定部を有している。
本発明によれば、フェージング環境下であってもHS-PDSCH の受信品質を正確に計算し、該受信品質に応じたCQIを決定して送信装置に報告するため、送信装置はHS-PDSCH の受信品質に応じた伝送レートでデータを送信することができ、また、本発明によれば、品質過剰になることはなく通信システムのスループットを向上することができる。
図1は本発明の受信品質計算方法のおおまかな処理フローである。
スロット周期で受信品質、例えば、信号対干渉比SIR(Signal to Interference Ratio )を測定するものとすれば、第nスロットにおける誤りを含む受信品質(第1の受信品質) Aを算出し(ステップS100)、かつ、第nスロットにおける誤りを含まない正しい受信品質(第2の受信品質) Bを算出し(ステップS200)、第1の受信品質Aと第2の受信品質 Bの差を補正SIR(=ΔSIR)として求める(ステップS300)。ついで、第(n+1)スロットにおける誤りを含む受信品質(第3の受信品質) Cを算出し(ステップS400)、次式
SIR=C+ΔSIR
により、第3の受信品質 Cを補正して出力する(ステップS500)。
受信品質をスロット周期で測定するとき、スロットslot#nの現シンボルにおいて、過去2周期分(20シンボル分)のCPICHシンボルを用いてチャネルを推定する。すなわち、現シンボルを含む直前20シンボル分のCPICHシンボル信号の平均値を計算し、該平均値を現シンボルのチャネル推定値として順次シンボル周期で出力する。たとえば、スロットslot#nの第1シンボルのチャネル推定値は、前々スロットslot#n-2の第2〜第10シンボルと前スロットslot #n-1の第1〜第10シンボルとスロットslot#nの第1シンボルを合せた総計20シンボルのCPICHシンボル信号の平均値を用いて計算される。
以上のように、直前20シンボル分のCPICHシンボルを用いて現シンボルタイミングのチャネルを推定するため、計算されたチャネル推定値CCnが現シンボルタイミングの正確なチャネル推定値ではなく、20シンボルの中央シンボルのタイミング、すなわち、1スロット前(10シンボル前)のシンボルタイミングにおけるチャネル推定値を示していることである。
スロットslot#n における現CPICHシンボルをこのチャネル推定値CCnでチャネル補償し、該チャネル補償したCPICHシンボルを用いて受信品質Aを算出する(ステップS100)。しかし、チャネル推定値CCnは前述のように1スロット前のシンボルタイミングにおけるで値であるため正しいチャネル補償が行われず、受信品質Aに誤差が含まれる。なお、スロットslot#nの各シンボルはバッファに保存する。
ついで、次式
B−A=ΔSIR (1)
により、第1の受信品質Aと第2の受信品質 Bの差を補正値(=ΔSIR)として求める(ステップS300)。この補正値(=ΔSIR)は、スロット周期の間では変化が小さくほぼ一定である。
一方、上記補正値ΔSIRの算出処理と前後して、スロットslot#n+1における現CPICHシンボルを現チャネル推定値CCn+1でチャネル補償し、該チャネル補償したCPICHシンボルを用いて受信品質Cを算出する(ステップS400)。チャネル推定値CCn+1は前述のように1スロット前のslot#nのシンボルタイミングにおける値であるため正しいチャネル補償が行われず、受信品質Cに誤差が含まれる。
そこで、次式
SIR=C+ΔSIR (2)
により受信品質 Cを補正して出力する(ステップS500)。補正値(=ΔSIR)は、スロット周期では変化が小さくほぼ一定であるため、上式により受信品質を正しく補正することができる。
なお、スロットslot#n+1の各CPICHシンボルはバッファに保存され、以後、上記と同様の受信品質の補正処理が行われる。
図3は移動局の構成図である。
基地局から送信された無線信号はアンテナにより受信されて受信機51に入力する。受信機51は該無線信号をべースバンド信号にダウンコンバートした後、得られたべースバンド信号に直交復調、AD変換、逆拡散等の処理を施してHS-PDSCHのシンボル信号、CPICHのシンボル信号、受信タイミング信号(フレーム同期、スロット同期信号)等を出力する。
HS-PDSCHのチャネル推定フィルタ52は、スロットslot#nの現シンボルの直前Nシンボル例えば10シンボル及び現シンボルを含む次の10シンボルを合せた総計20シンボル分のCPICHシンボル信号の平均値を計算し、該平均値をチャネル推定値として順次シンボル周期で出力する(図10参照)。
HS-PDSCHシンボルバッファ53はHS-PDSCHのシンボルを1スロット期間(10シンボル期間)保持してHS-PDSCHチャネル補償処理部54に入力する。すなわち、チャネル推定値が求まるまでの1スロット期間、HS-PDSCHのシンボルを遅延してHS-PDSCHのチャネル補償処理部54に入力する。HS-PDSCHのチャネル補償処理部54は、HS-PDSCHのチャネル推定フィルタ52で計算したチャネル推定値を用いてHS-PDSCHシンボル信号にチャネル補償処理を施して出力する。復調処理部55はチャネル補償されたシンボル信号を用いてHS-PDSCHシンボルを復調し、復号処理部56は復調信号に対して誤り訂正復号処理を行ない、CRC演算部57は1トランスポートブロック毎に復号結果に誤りが存在するかCRC演算を行ない、誤りが検出されなければ復号データを出力すると共にACKを発生し、誤りが検出されればNACKを発生してHS-DPCCH生成部58に入力するする。
ル補償処理を施し、復調処理部61はチャネル補償されたシンボル信号を用いてCPICHシンボルを復調し、CPICH-SIR算出処理部62は復調されたCPICHシンボルを用いて周知のSIR算出処理を行なってCPICHの受信品質であるSIR (CPICH-SIR)を計算して出力する。CPICH-SIRバッファ63はCPICH-SIR算出処理部62から出力された受信品質CPICH-SIRを、次の測定周期slot#n+1において補正値ΔSIRを算出するために保存する。この保存された受信品質CPICH‐SIRが図1、図2で説明した受信品質Aとなる。また、slot#nのCPICHは次の測定周期slot#n+1において補正値ΔSIRを算出するためにシンボルバッファ71に保存される。
CPICH-SIR補正処理部64は、CPICH-SIR算出処理部62から出力された受信品質CPICH-SIRにCPICH-SIR補正値算出処理部75から出力する補正値(=ΔSIR)を用いてSIR補正処理を施し、補正結果を出力する。なお、受信品質の補正制御の詳細については次のスロットSlot#n+1の処理で説明する。
CPICH-SIR・CQI報告値変換部65は補正されたCPICH-SIRが入力すると、変換テーブル(図13参照)を用いて該補正されたCPICH-SIRに応じたCQI報告値を求めてHS-DPCCH生成部58に入力する。
また、補正用のSIR算出用CPICHチャネル補償処理部72は、slot#n+1のチャネル推定値を用いてシンボルバッファ71に保存されているslot#nのCPICHシンボルにチャネル補償を施し、復調処理部73は、チャネル補償されたシンボル信号を用いてslot#nのCPICHシンボルを復調し、補正用CPICH-SIR算出処理部74は復調されたチャネル補償されたCPICHシンボルを用いてSIR算出処理を行なってslot#nのCPICHの受信品質CPICH-SIRを計算して出力する。この受信品質CPICH-SIRが図1、図2で説明した受信品質Bとなる。
B−A=ΔSIR
により計算して補正値(=ΔSIR)として出力する。CPICH-SIR補正処理部64は、CPICH-SIR算出処理部62から出力された受信品質CPICH-SIR(図1、図2における受信品質Cに相当する)を、前記補正値(=ΔSIR)を用いて次式
SIR=C+ΔSIR
により補正して出力する。この補正されたCPICH-SIRは、フェージング環境下であってもHS-PDSCHシンボルの正確な受信品質SIRとみなすことができる。
slot#n+1におけるCPICHシンボルはシンボルバッファ71に保存され、CPICH-SIR算出処
理部62から出力された受信品質CPICH-SIRはCPICH-SIRバッファ63に格納されて次の補正処理において受信品質Aとなる。
CPICH-SIR・CQI報告値変換部65は補正されたCPICH-SIRが入力すると、変換テーブル(図13参照)を用いて該補正されたCPICH-SIRに応じたCQI報告値を求めてHS-DPCCH生成部58に入力する。
以上、移動局はフェージング環境下であってもHS-PDSCH の受信品質を正確に測定し、該受信品質に応じたCQIを決定して送信装置に報告することができる。
図4は基地局の要部構成図である。受信部31は移動局から送信された無線信号を受信してベースバンド信号にダウンコンバートした後、該べースバンド信号に直交復調、AD変換、逆拡散等の処理を施してHS-DPCCHのシンボル信号、その他のチャネルのシンボル信号を出力する。HS-DPCCH 復調/復号部32はHS-DPCCHのシンボル信号を復調、復号してCQI報告値、ACK/NACK信号をスケジューリング処理部33に入力する。スケジューリング処理部33はACK/NACKに基づいて再送制御を行なうと共に、CQI報告値に基づいて伝送レートを決定して送信データ制御部34、送信部35に設定する。すなわち、スケジューリング処理部33は、CQI報告値に応じたトランスポートブロックサイズ(ビット数)TBS、マルチコード数、変調タイプを内蔵のCQIマッピングテーブルCQIMTBLより求めて送信データ制御部34、送信部35に設定する。送信データ制御部34は、TBSおよびマルチコード数等に基づいてHS-PDSCHのデータを作成して送信部35に入力し、送信部35は入力データに拡散処理、DA変換処理すると共にスケジューリング処理部33から指示された変調方式で変調し、周波数アップコンバートしてアンテナより送信する。なお、送信データ制御部34、送信部35はHS-PDSCHに先立ってHS-SCCH制御データを作成して送信する。
以上の移動局のCPICH-SIR補正処理部64はフェージング環境下であってもHS-PDSCHシンボルのSIRを正確に出力できるため、移動局はフェージング環境に影響されることなくHS-PDSCHの受信環境に応じた適切なCQIを基地局に報告することができる。この結果、従来のように品質過剰になることはなく通信システムのスループットを向上することができる。
以上では(1)式により補正値(=ΔSIR)を計算したが、過去の複数の測定周期における補正値を保存しておき、これらに所定の重み付けをして合成することにより補正値(=ΔSIR)を適正化することができる。なお、重みは古い補正値ほど小さくして合成する。
図5は補正の適正化を行うCPICH-SIR補正処理部64の構成図である。
補正値記憶部64aは最新の複数個(m個)の測定周期における補正値ΔSIR(-1)〜ΔSIR(-m)を順次シフトしながら保存し、重み係数保存部64bは補正値ΔSIR(-1)〜ΔSIR(-m)の重みα-1〜α-mを記憶している。重みα-1〜α-mは古い補正値の重みほど小さく、α-1>α-2>・・・>α-mの関係がある。補正値算出部64cは(1)式により現測定周期における補正値ΔSIR(0)(=B−A)を計算し、補正値適正化部64dは次式
ΔSIR=α0×ΔSIR(0)+α-1×ΔSIR(−1)+・・・・+α-m×ΔSIR(−m)
により補正値を計算し、受信品質補正部64eは(2)式により受信品質を補正して出力する。ただし、α0>α-1である。また、ΔSIRはΔSIR(−1)となって補正値記憶部64aに保存される。
以上の実施例ではCPICHのシンボルの受信品質SIRを移動局の受信環境として測定したが別の手段により受信環境を測定することも可能である。
また、以上の実施例では受信品質算出周期を1スロット周期としたが、本発明はこれに限るものではない。
Claims (5)
- 過去のCPICHシンボルを用いて現在のチャネルを推定し、得られたチャネル推定値に基づいて現在のCPICHシンボルにチャネル補償を施し、該チャネル補償されたCPICHシンボルを用いて受信品質を計算する受信品質計算方法において、
過去に計算された受信品質を第1の受信品質として保存すると共に、該第1の受信品質の計算に用いた過去のCPICHシンボルを保存するステップ、
現在のチャネル推定値を用いて前記保存されている過去のCPICHシンボルにチャネル補償を施し、該チャネル補償されたCPICHシンボルを用いて第2の受信品質を計算するステップ、
該第2の受信品質と前記保存してある第1の受信品質との差を受信品質の補正値として求めるステップ、
現在のチャネル推定値を用いて現在のCPICHシンボルにチャネル補償を施して得られたCPICHシンボルを用いて第3の受信品質を計算するステップ、
該第3の受信品質を前記補正値で補正するステップ、
を有することを特徴とする受信品質計算方法。 - 過去のCPICHシンボルを用いて現在のチャネルを推定し、得られたチャネル推定値に基づいて現在のCPICHシンボルにチャネル補償を施し、該チャネル補償されたCPICHシンボルを用いて受信品質を計算する受信品質計算装置において、
過去に計算された受信品質を第1の受信品質として保存すると共に、該第1の受信品質の計算に用いた過去のCPICHシンボルを保存する記憶部、
現在のチャネル推定値を用いて前記保存されている過去のCPICHシンボルにチャネル補償を施すチャネル補償部、
該チャネル補償されたCPICHシンボルを用いて補正用の第2の受信品質を計算する第1の受信品質計算部、
該第2の受信品質と前記保存してある第1の受信品質との差を受信品質の補正値として出力する補正値演算部、
現在のチャネル推定値を用いて現在のCPICHシンボルにチャネル補償を施して得られたCPICHシンボルを用いて第3の受信品質を計算する第2の受信品質計算部、
該第3の受信品質を前記補正値で補正する受信品質補正部、
を有することを特徴とする受信品質計算装置。 - 受信品質を所定の周期で測定するとき、過去2周期分のCPICHシンボルを用いて現在の測定周期におけるチャネルを推定するチャネル推定部、
を有することを特徴とする請求項2記載の受信品質計算装置。 - 前記受信品質補正部は、
過去の複数の測定周期における補正値を保存する補正値保持部、
これら補正値と前記補正値演算部で求めた補正値とを用いて前記第3の受信品質の補正を行う補正部、
を有することを特徴とする請求項2記載の受信品質計算装置。 - 受信環境に基づいて伝送レートを切り替える送信装置へ該受信環境に応じたパラメータを送信する通信装置において、
過去に計算された受信品質を第1の受信品質として保存すると共に、該第1の受信品質の計算に用いた過去のCPICHシンボルを保存する記憶部、
受信品質を所定の周期で測定するとき、過去2周期分のCPICHシンボルを用いて現在の測定周期におけるチャネルを推定するチャネル推定部、
該現在のチャネル推定値を用いて前記保存されている過去のCPICHシンボルにチャネル補償を施すチャネル補償部、
該チャネル補償されたCPICHシンボルを用いて補正用の第2の受信品質を計算する第1の受信品質計算部、
該第2の受信品質と前記保存してある第1の受信品質との差を受信品質の補正値として出力する補正値演算部、
現在のチャネル推定値を用いて現在のCPICHシンボルにチャネル補償を施して得られたCPICHシンボルを用いて第3の受信品質を計算する第2の受信品質計算部、
該第3の受信品質を前記補正値で補正する受信品質補正部、
該補正された受信品質に応じたパラメータを取得するパラメータ取得部、
該パラメータを前記送信装置に送信する送信部、
を有することを特徴とする通信装置。
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