JP4360795B2 - スパウト付き袋状容器の充填方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガセット部を有する袋状の容器本体に、飲口または注口となるスパウトを取り付けたスパウト付き袋状容器の充填方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、清涼飲料等の液体飲料等の内容物を収容する容器として、自立可能なスタンディングパウチ又はフレキシブルパウチと称される袋状容器が周知である。かかる袋状容器は、合成樹脂フィルムにアルミホイル等をラミネートした内面が熱接着性のフレキシブルシートを相互にヒートシールすることによって袋状の容器本体を形成すると共に、この容器本体に、注口や飲口となる口部を有するスパウトを取り付け、そのスパウトの口部をキャップによって開閉可能に閉塞したものである。
【0003】
前記袋状容器は、十分な内容量を確保すると共に自立性を確保するために、容器本体の底部にはガセット部が設けられている。そして、内容物を充填する前においては、容器本体のガセット部が内側に折り込まれた扁平状態で、輸送、保管されており、充填装置によりスパウトを介して容器本体内に内容物が供給されている。
【0004】
前記充填装置では、通常、スパウト部分で吊り下げた状態で、スパウトの口部から液体飲料等の内容物を充填するようになっているが、空気中の酸素によって充填された内容物が酸化されて品質劣化の原因とならないように、内容物を充填する際に、容器本体内にできるだけ空気が侵入しないようにするのが望ましい。
【0005】
また、容器本体は、その底部のガセット部が内側に折り込まれた扁平状態で、輸送、保管されていることから、容器本体に、スパウトから液体飲料等の内容物を充填しようとしても、折り込まれたガセット部の折り癖によって袋状の容器本体が容易に膨らまず、充填しようとする内容物がスパウトから溢れ出してしまい、所定量の内容物をスムーズに充填することができないといった問題がある。
【0006】
そこで、予め偏平状の容器本体内にスパウトを介してに空気を入れて容器本体を一旦膨らませて折り癖を緩和させた後に、容器本体内を脱気し、その脱気後に充填する方法(従来例1、例えば、特許文献1参照)や、機械的に容器本体の低部を強制的に開口させてから充填する方法(従来例2)が周知である。
【0007】
【特許文献1】
特開2001−58602号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
前記従来例1の充填装置は、容器本体内に気体を一旦供給することでガセット部を強制的に広げる供給手段と、容器本体内を脱気する脱気手段とを有するが、一旦脱気し、充填装置により、容器本体内に気体を供給しても、容器本体の全体が略同時に膨らんでしまうため、容器本体の底部がガセット部となっている袋状容器の場合、そのガセット部を迅速且つスムーズに開くごとは困難である。
【0009】
また、従来例2のように、機械的に容器本体の低部を開口させる場合も、例えば開口用の吸着手段が必要となり、充填装置が複雑化且つ大型化する問題がある。
【0010】
そこで、この発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたもので、充填される内容物の流体圧を利用して容器本体の底部のガセット部を迅速に広げることにより、容器本体に所定量の内容物をスムーズ且つ確実に安定して充填でき、しかも、充填装置の簡素化を図ることを課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題を解決するためになされたもので、本発明に係るスパウト付き袋状容器の充填方法は、底部にガセット部を有する袋状の容器本体に、スパウトを取り付け、前記スパウトが、前記容器本体の前後壁部の上縁部同士をヒートシールにより封着する際に同時に挟持されるシール部及び液体が充填又は排出される口部を有する取付部と、該取付部より容器本体内に延設された導管部とを備えたスパウト付き袋状容器の充填方法において、前記容器本体を、前記取付部の下方の近傍から前記導管部の下端と同等の位置までの範囲に渡って両側から押圧することで、前記容器本体を偏平にして脱気すると共に該容器本体の偏平状態を維持した状態にし、この状態でスパウトから前記導管部を通してガセット部に向けて内容物を充填し、更に、容器本体の偏平状態を解除して容器本体内に内容物を充填した後に、スパウトを閉塞することにある。
【0012】
そして、充填される内容物は、偏平状態の容器本体内を通り、ガセット部からなる底部に噴出される。容器本体が偏平状に保持されていることから、内容物は容器本体の偏平部分側に流れることはなく、容器本体の底部のガセット部を広げる。底部を広げた後に、容器本体の偏平状態が解除されるため、内容物は、容器本体を広げながら順次充填されていくこととなり、内容物を容器本体から溢れることなく、スムーズ且つ確実に安定して充填することができる。
【0013】
また、本発明に係るスパウト付き袋状容器の充填方法は、前記容器本体を両側から押圧する押圧体を備え、その押圧体が、本体と該本体の内面に固定された弾性体とから構成され、前記容器本体を両側から押圧する押圧時に、前記弾性体が導管部の形状に応じて弾性変形することを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。図1〜図6は、本発明の一実施の形態を示す。図5は自立可能なスタンディングパウチとしてのスパウト付き袋状容器Aを示し、該容器Aは、可撓性を有するシート体を袋状に形成してなる容器本体1と、注口や飲口となる筒状のスパウト10とを備えている。
【0015】
前記容器本体1内には、内容物としてスポーツ飲料や果汁飲料、化粧水、液体洗剤等の各種の液体や粘体等の流動物が充填される。容器本体1は、前後壁部3,4と、内側に屈曲(ガセット折り)可能なガセット部(底壁部)5とをヒートシールすることにより形成されている。尚、図5にドットで示す部分がシール部である。
【0016】
前記シート体は可撓性を有するものであればその材質は特に限定されるものではないが、例えばポリエステルやポリアミド等の合成樹脂フィルムとアルミホイル等のガスバリアー性シートとの積層フィルムが、内容液の保存性に優れており好ましい。また、該積層フィルムの最内層はポリエチレンやポリプロピレン等の公知の熱融着性樹脂より形成されている。
【0017】
前記スパウト10は、上記容器本体1の前後壁部3,4の上縁部12同士をヒートシールにより封着する際に同時に挟持されるシール部13a及び液体が充填又は排出される口部13bを有する取付部13と、該取付部13より容器本体1内に延設された棒状体からなる導管部14とがポリエチレン等の合成樹脂により一体に成型されたものである。
【0018】
また、導管部14の上部は取付部13内に臨んでおり、両者間には、間隙が設けられている。導管部14は所定の長さに設定されており、その下端は例えば容器本体1の上下方向の中間部かまたは若干下方に位置している。更に、取付部13の上方には、口部13bを閉塞するためのキャップ15が着脱自在に螺合されている。16は前記取付部13に形成された一対のフランジ部である。
【0019】
本実施の形態のスパウト付き袋状容器は以上の構成からなり、次にその袋状容器Aに飲料等の液体を充填する充填装置の概略について図6を参照しながら説明する。かかる充填装置30は、液体飲料商品の製造ラインに設置されており、同ラインの上流側に設置された製袋装置(図示省略)によって製袋され、ガイドレール等の搬送手段Rにスパウト10が吊り下げられた状態で搬送されてくるスパウト付きパウチ容器Aに液体を充填した後、スパウト10の口部13bにキャップ15を取り付けるようになっている。尚、搬送手段としては、ロータリー回転する一対の挟持体であっても良く、かかる場合には、該挟持体でスパウト10のフランジ部16,16間を挟持する。
【0020】
具体的には、充填装置30は、容器本体1を偏平にして脱気すると共に容器本体の偏平状態を維持するための保形手段31と、保形手段31によって脱気されたスパウト付きパウチ容器A内に、液体を充填する充填手段33と、この充填手段33によって液体が充填されたスパウト付きパウチ容器のスパウト10の口部13bをキャップ15によって閉塞する閉塞手段35とから構成されている。
【0021】
前記保形手段31は、図1及び図2に示す如く容器本体1に対して両側に配置された一対の押圧体37,37を備えている。両方の押圧体37,37は、図示省略のシリンダ等の移動手段により容器本体1のガセット部5よりも上方部分を両側から押圧すべく、互いに接近又は離間自在に設けられている。また、図2に示す如く、押圧体37,37の水平方向の長さは、偏平状態の容器本体1の水平方向の長さよりも長く、しかも、図1に示す如く押圧体37,37の上端は、スパウト10の取付部13の下方の近傍に位置すると共に、押圧体37,37の下端はスパウト10の導管部14の下端と同等に設定されている。各押圧体37,37は金属製の本体38と該本体38の内面に固定された合成樹脂又はゴム材料等からなる弾性体39とから構成されている。
【0022】
前記充填手段33は、容器本体1に充填しようとする液体が貯留された貯留タンク40と、この貯留タンク40から液体を汲み上げてスパウト10の上方に位置する充填ヘッド41に供給する充填ポンプ43とを備え、充填ポンプ43と充填ヘッド41を接続するチューブ45には、前記保形手段31の押圧体37,37の作動と連動するように制御された電磁弁46が介在されている。
【0023】
前記閉塞手段35は、容器本体1に取り付けられているスパウト10の口部13bを閉塞すべく、キャップ15をクランプした状態で回転させるキャッピングヘッド48を備えている。
【0024】
次に、上記充填装置を使用してスパウト付きパウチ容器Aに液体を充填する場合について説明する。スパウト付きパウチ容器Aが、搬送手段Rによって保形手段31及び充填手段33を備える脱気及び充填工程位置まで搬送されると、先ず、保形手段31の両方の押圧体37,37が接近して容器本体1を両側から押圧し偏平状態を維持する。
【0025】
各押圧体37,37には、弾性体39がそれぞれ設けられていることから、容器本体1内にスパウト10の導管部14が挿入されているにもかかわらず、その形状に応じて弾性体39が弾性変形し、容器本体1の押圧部分を略偏平にすることができる。また、容器本体1の押圧部分よりも下方の押圧されていない部分は、スパウト10が存在せず、しかも、底壁部5に折り癖が形成されていることから略偏平状になっているため、容器本体1内を十分に脱気することができる。脱気は容器本体1内上部に位置するスパウト10の間隙からスムーズに行うことができる。しかも、スパウト10の導管部14は、偏平状の容器本体1内にスパウト10から底壁部5に向けて流体が噴出する流通路を形成する(図3(イ)参照)。
【0026】
容器本体1内が脱気された直後に、充填手段33が作動し、充填ヘッド41が下降してスパウト10の口部13bに上方から嵌合し、液体が容器本体1内に充填される。充填された液体は、流通路となっているスパウト10を通り、導管部14がノズルの機能を発揮するため、液体が容器本体1の底壁部5に向けて勢い良く噴出され、該底壁部5を含む容器本体1の底部を広げようとする(図3(ロ)参照)。
【0027】
液体の噴出初期において容器本体1の下部には液体が充填されておらず、しかも、液体は勢い良く噴出されるため、底壁部5に直接噴出される。尚、容器本体1は、各押圧体37,37により偏平状態に拘束されているため、液体が容器本体1の押圧体37,37に押圧された部分よりも上方に流れることはなく、更に、液体を底壁部5に噴出しながら充満することによって、底壁部5を効果的に広げることができる(図4(イ)参照)。更に、底部が広がると略同時に押圧体37,37が開き、容器本体1の偏平状態を解除するため、充填される液体により容器本体1は、次第に膨出することとなり、液体が安定して所定量充填される(図4(ロ)参照)。
【0028】
液体の充填が完了したスパウト付き袋状容器Aは、充填ヘッド41が上昇してスパウト10の口部13bから外れ、更に搬送されて、閉塞手段35のキャッピングヘッド48により、キャップ15がその容器本体1に取り付けられているスパウト10の口部13bに螺合され、充填作業が終了する。
【0029】
尚、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。前記スパウト10は、棒状体として筒状の導管部14を備えていたが、導管部14に代えて断面十字状、H字状、星形状等の棒状体を備えたものでも良く、かかるものであっても、容器本体1の偏平状態において、前後壁部3,4と棒状体との間に、流通路が形成できることから、導管部14と同様の効果が得られる。
【0030】
また、例えば、図7及び図8に示す他の実施の形態のように、スパウト10は、必ずしも導管部14を備える必要はない。スパウト10が導管部14を備えていない場合には、各押圧体37,37の対向面に縦方向の溝50を形成しておいて、両方の押圧体37,37が閉塞し、充填時の流体圧により容器本体1を溝50に沿って開口させることにより、流通路51を形成するようにしても良い。尚、図7及び図8は、液体を充填する際の容器本体1の断面形状を示している。また、液体を充填する前には、図8に仮想線で示す如く、前後壁部3,4の前記溝50に対応する部分が若干弛んでいるのが好ましい。しかも、本実施の形態の押圧体37,37の対向側には、充填時の流体圧で変形することがないように、若干硬質の押圧部材39aを設けるのが好ましい。
【0031】
また、図9及び図10に示す他の実施の形態は、スパウト10が導管部14を備えていないのは前記図7及び図8に示す他の実施の形態と同様であり、両方の押圧体37,37の対向面は、偏平に形成されている。そして、両方の押圧体37,37の対向面に、所定の間隙を有することにより、容器本体1の幅全体にわたって流通路52を形成するようにしても良い。尚、図9及び図10においても液体を充填する際の容器本体1の断面形状を示している。
また、前記実施の形態では、押圧体37,37によって容器本体1内を脱気したが、押圧体で押圧する前に吸引手段等で脱気しても良い。
【0032】
【発明の効果】
以上のように本発明のスパウト付き袋状容器の充填方法は、スパウトからガセット部に向けて内容物が流通するように、前記ガセット部よりも上方部分を偏平状に維持した状態で、スパウトから内容物を容器本体のガセット部に向けて充填し、更に、容器本体の偏平状態を解除して容器本体内に内容物を充填した後に、スパウトを閉塞するので、脱気工程と容器本体の底部の開き工程を略同時に行え、しかも、容器本体内に所定量の内容物を迅速に且つ確実に安定して充填でき、充填作業の高速化を簡単な構成により容易に達成できる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示し、スパウト付き袋状容器及び保形手段の断面側面図である。
【図2】図3のX−X線矢視断面図である。
【図3】(イ)は脱気状態を示す断面側面図、(ロ)は充填開始状態を示す断面側面図である。
【図4】(イ)は充填状態を示す断面側面図、(ロ)は充填終了状態を示す断面側面図である。
【図5】本発明の一実施形態を示すスパウト付き袋状容器の断面斜視図である。
【図6】本発明にかかる充填方法を実施するための充填装置の概略図である。
【図7】本発明の他の実施の形態を示す断面側面図である。
【図8】図7のY−Y線矢視断面図である。
【図9】本発明の更に他の実施の形態を示す断面側面図である。
【図10】図9のZ−Z線矢視断面図である。
【符号の説明】
1…容器本体、5…底壁部(ガセット部)、10…スパウト、13a…口部、14…導管部(流通路)、31…保形手段、35…充填手段
Claims (2)
- 底部にガセット部を有する袋状の容器本体に、スパウトを取り付け、前記スパウトが、前記容器本体の前後壁部の上縁部同士をヒートシールにより封着する際に同時に挟持されるシール部及び液体が充填又は排出される口部を有する取付部と、該取付部より容器本体内に延設された導管部とを備えたスパウト付き袋状容器の充填方法において、前記容器本体を、前記取付部の下方の近傍から前記導管部の下端と同等の位置までの範囲に渡って両側から押圧することで、前記容器本体を偏平にして脱気すると共に該容器本体の偏平状態を維持した状態にし、この状態でスパウトから前記導管部を通してガセット部に向けて内容物を充填し、更に、容器本体の偏平状態を解除して容器本体内に内容物を充填した後に、スパウトを閉塞することを特徴するスパウト付き袋状容器の充填方法。
- 前記容器本体を両側から押圧する押圧体を備え、その押圧体が、本体と該本体の内面に固定された弾性体とから構成され、前記容器本体を両側から押圧する押圧時に、前記弾性体が導管部の形状に応じて弾性変形することを特徴とする請求項1に記載のスパウト付き袋状容器の充填方法。
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