JP4360749B2 - 撮像素子及び画像入力装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、所定の長さの直線状光電変換素子列を複数備えた撮像素子であるリニアセンサに関し、特にその光電変換素子列の構造とそのリニアセンサにより取り込んだ画像データの処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のリニアセンサは、例えば特開平5−227364号公報(以下、公知例とする)に開示されたカラーリニアセンサのように、センサ部は各色毎に複数の受光素子を一方向に単列で配列した構成となっていた。
【0003】
図9は、この公知例に開示されたカラーリニアセンサの模式的な平面図である。このカラーリニアセンサ900は、青色フィルタを上面に有して複数の受光素子902Bを一方向に配列した青色センサ部(即ち青色センサ列)903Bと、赤色フィルタを上面に有して複数の受光素子902Rを一方向に配列した赤色センサ部(即ち赤色センサ列)903Rと、緑色フィルタを上面に有して複数の受光素子902Gを一方向に配列した緑色センサ部(即ち緑色センサ列)903Gとが互に平行に配され、各センサ列903B,903R,903Gの一側にそれぞれCCD構造の青色用、赤色用及び緑色用の電荷転送レジスタ部904B,904R及び904Gが配される。更に、各電荷転送レジスタ部904B,904R及び904Gの終段にそれぞれ信号電荷を電圧に変換するためのフローティングディフージョン部905B,905R,905Gを介して出力回路906B,906R,906Gが接続されている。尚、各色センサ列903B,903R,903Gの面積は同一になっている。
【0004】
このカラーリニアセンサ1は、各センサ列903B,903R,903Gの受光素子902B,902R,902Gに受光量に応じた信号電荷が蓄積され、各受光素子902B,902R,902Gの信号電荷がそれぞれ対応する電荷転送レジスタ部904B,904R,904Gに転送された後、各電荷転送レジスタ部904B,904R,904G内を転送され、各フローティングディフージョン部905B,905R,905Gで電荷−電圧変換されてそれぞれの出力回路906B,906R,906Gを通して出力される。
【0005】
図9のカラーリニアセンサの例にも示される通り、従来のリニアセンサは各色毎に単一の光電変換素子列を備え、各光電変換素子列を構成する受光素子の配置ピッチが一定で、少なくともリニアセンサが直接読み取る主走査方向の解像度は通常一定である。
【0006】
リニアセンサを使った代表的な装置である走査式撮像装置(通称スキャナ)は、撮像対象である写真等の原稿や現像済みフィルムの表面を光学的に走査することにより2次元的な画像情報としてパソコン等の電子装置へ取り込む機能を持つ。従って、センサ部である所定の長さの直線状光電変換素子列をより小さな光電変換素子をより多く配列して構成する、即ち単位長当たりの画素数をより多くして解像度を高くすることにより、撮像対象により近い精細な画像を得ることができる。しかし、高解像度化を単位長当たりの画素数の増加のみで実現しようとすると、画素数の増加はデータ量として直接反映されるため精細な画像ほどデータ量が巨大となると共にリニアセンサも高価なものとなる。そうなると、その情報をパソコン等で取り込み加工して利用しようとした場合、逆にそのデータ量の巨大さがそれを取り扱う上での障害となるため、利用目的に応じて適切な解像度を選択し、データ量を随時適正化することが行われている。
【0007】
上述した従来のリニアセンサを用いた撮像装置では、取り込んだ画像情報に所定の演算処理を施して解像度変換を行うことで、所望のレベルの解像度の画像情報を擬似的に作り出している。この解像度変換の方法としては、例えば特開20000−149004号公報に開示されているような、解像度変換後の画素が存在する位置を、変換前解像度の画素位置を基準として求め、隣接する変換前解像度の画素との距離に基づいて重み付け演算を行うことで、解像度変換後の画素値を求める方法がある。
【0008】
具体的には、例えば変換前解像度dpi値をm、変換後解像度dpi値をnとし(但し、m,nは、いずれも2以上の整数とする)、変換前解像度のh番目の画素データをP(h)(但し、hは1≦h≦mを満たす任意の整数)、変換後解像度のj番目の画素データをQ(j)(但し、jは2≦j≦n−1を満たす任意の整数)、((m−1)/(n−1))=αとして、α×jを超えない最大の整数をk(j)、即ちk(j)≦α×j<(k(j)+1)を満たす整数としたとき、解像度変換後の画素値Q(j)(但し、2≦j≦n−1)を、次のように算出する。
Figure 0004360749
【0009】
また、j=1,j=nについては、それぞれ
Q(1)=P(1),Q(n)=P(m)とする。
【0010】
或いは、解像度変換後の画素に対応する変換前解像度の全ての画素の画素値を平均化処理する方法もある。この場合は、1≦j≦nに対して、やはり(m/n)×jを超えない最大の整数をk(j)、即ちk(j)≦(m/n)×j<(k(j)+1)を満たす整数とすると、次式のようになる。
Figure 0004360749
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
上述した、従来のリニアセンサでは、いずれも一つのリニアセンサ内での画素ピッチ、即ち光電変換素子列の素子配置ピッチは一定で(通常、当該センサに求められる最高解像度に対応するピッチ)、光電変換素子列で定まる基本解像度以外の解像度(通常は基本解像度よりも低解像度)データを生成するには、上述のように基本解像度データの間引き或いは平均化処理のような演算処理により生成していた。そのため、変換後解像度が、光電変換素子列で定まる基本解像度である変換前解像度の整数分の1倍、即ち(m/n)が整数となるような変換の場合は、基本解像度データの単純な間引き或いは、(m/n)個の画素値の平均化処理で変換できるため、(m/n)が整数とならない場合の変換より、画質の劣化は比較的緩和されるが、(m/n)が大きいほど演算処理に伴う誤差が大きくなるという問題がある。
【0012】
また、高解像度化を単にリニアセンサの単位長当たりの画素数を増やすことのみで対応しようとすると、リニアセンサが高価なものになるという問題もある。
【0013】
本発明の主な目的の一つは、リニアセンサが有する基本解像度で取り込んだ画像データから、演算処理により他の解像度の変換画像データを生成する際に、変換画像の画質の劣化を抑制できるリニアセンサを提供することにある。
【0014】
また、本発明の他の目的は、このリニアセンサを用いて予め取り込んだ複数の解像度の画像データとそれらの明度情報により、部分画像毎に明度に応じた最適解像度データによる合成解像度画像を生成し、画質劣化を抑制しながら情報量を低減できる画像処理方法を提供することにある。
【0015】
また、本発明の他の目的は、リニアセンサが有する基本解像度よりも高解像度の画像データを、演算処理による変換画像の画質劣化を抑制しながら、擬似的に得ることができる画像入力装置を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段
【0017】
そのため、本発明による撮像素子、所定の色フィルタと、この色フィルタに対応して設けられた所定の数の光電変換素子を直線状に配列した光電変換素子列と、この光電変換素子列に沿って設けられ前記光電変換素子列の信号電荷を並列に読み出して直列に転送するCCDシフトレジスタと、このCCDシフトレジスタの電荷転送方向の先端部に設けられた電荷/電圧変換を行う出力回路とを含むセンササブブロックを複数備え、更に前記センササブブロックの各々が有する前記光電変換素子列の長さは全て等しく且つ前記光電変換素子の数が互いに異なっているセンサ部を同一チップ上に複数有し、且つ一つの前記センサ部内の前記色フィルタは全て同じ色であり、異なる前記センサ部の色フィルタの色は互いに異なっているように構成することを特徴としている
【0018】
このとき、複数の前記センサ部は、色フィルタを除く構成要素が全て同一構成となっているのが望ましい。また、前記所定の色フィルタが、赤色フィルタである第1のセンサ部と、緑色フィルタである第2のセンサ部と、青色フィルタである第3のセンサ部を有するようにしてもよい。
【0019】
また、上述の撮像素子は、いずれも複数の前記センササブブロックのそれぞれの前記出力回路からの全ての出力信号を、互いに独立に外部出力できる出力端を更に備えることができる。また、複数の前記センササブブロックを、それぞれに含まれる前記光電変換素子列が互いに並行になるように配置するのが好ましい。また、一つの前記センサ部が備える複数の前記センササブブロックの各々が有する前記光電変換素子の数は、前記光電変換素子の数が最も少ない第1センササブブロックの前記光電変換素子の数の整数倍となっているのが望ましい。また、一つの前記センサ部が備える複数の前記センササブブロックの中の前記第1センササブブロック以外の任意のセンササブブロックを第2センササブブロックとし、前記第1センササブブロックと前記第2センササブブロックの各々が含む前記光電変換素子の数をそれぞれN1,N2、各々が含む前記光電変換素子1個当たりの面積をそれぞれS1,S2としたとき、
(N2/N1)2 =S1/S2
とすることもできる。
【0020】
また、本発明の画像入力装置は、撮像対象からの信号光を分岐する光分岐手段と、分岐された各光路上の所定位置にそれぞれ配置された撮像素子と、少なくとも一つの前記撮像素子を前記所定位置から移動させる移動手段と、この移動手段を制御する画素位置制御手段とを少なくとも含み構成される。
【0022】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0023】
図1は、本発明のリニアセンサの一実施形態の要部構成を模式的に示す図で、(a)はリニアセンサの全体平面図であり、(b)は(a)の中の一つのセンサ部の詳細平面図である。図2は、本発明のリニアセンサの動作を説明するための図で、撮像対象となる原稿の模式的な平面図である。図3は、本発明のリニアセンサを用いた画像入力装置の要部回路構成の概略を示すブロック図である。
【0024】
図1を参照すると、本実施形態のリニアセンサ10は、少なくとも表面に赤色,緑色,青色(以下、それぞれR色,G色,B色とする)の各カラーフィルタが設けられたR色センサ部100、G色センサ部200、B色センサ部300を、例えばシリコン基板からなる同一チップ基板(図示せず)上に含み、各センサ部100,200,300は、それぞれ異なる解像度に対応した複数のセンササブブロックを備えている。具体的にはR色センサ部100を例にとると、それぞれ異なる第1,第2,第3解像度に対応するセンササブブロック110,120,130を備えている。第1解像度に対応するセンササブブロック110は、16個の光電変換素子111からなる光電変換素子列112と、光電変換素子列112に沿って並行に設けられたCCDシフトレジスタ113と、このCCDシフトレジスタ113の電荷転送方向の先端部に設けられた出力回路115と、出力回路115の出力を外部に接続するための出力端117と、を含み構成されている。同様に、第2解像度に対応するセンササブロック120は、8個の光電変換素子121からなる光電変換素子列122と、光電変換素子列122に沿って並行に設けられたCCDシフトレジスタ123と、このCCDシフトレジスタ123の電荷転送方向の先端部に設けられた出力回路125と、出力回路125の出力を外部に接続するための出力端127と、を含み構成されている。また、第3解像度に対応するセンササブロック130は、4個の光電変換素子131からなる光電変換素子列132と、光電変換素子列132に沿って並行に設けられたCCDシフトレジスタ133と、このCCDシフトレジスタ133の電荷転送方向の先端部に設けられた出力回路135と、出力回路135の出力を外部に接続するための出力端137と、を含み構成されている。各CCDシフトレジスタ113,123,133は、それぞれ光電変換素子列112,122,132で生成した信号電荷を並列に読み出して直列に転送し、電荷転送方向の先端部にそれぞれ設けられた出力回路115,125,135で電荷/電圧変換を行って各出力端117,127,137より外部に出力する。尚、各光電変換素子列112,122,132の長さは全て等しくなっている。また、本実施形態では、光電変換素子111,121,131の受光面形状を正方形とし、それぞれの1辺の長さをS1,S2,S3とすると、S3=2×S2=4×S1となるようにしてある。従って、センササブブロック110による第1解像度は、センササブブロック120による第2解像度の2倍であり、センササブブロック120による第2解像度は、センササブブロック130による第3解像度の2倍である。
【0025】
尚、G色センサ部200,B色センサ部300も、表面に設けられたカラーフィルタが異なるだけで、その他はR色センサ部100と全く同じ構成であり、図示、説明は省略する。
【0026】
次に、このリニアセンサ10を、例えば図3のような画像入力装置1で用いたときのリニアセンサ10の動作について、図2,3も参照しながら説明する。尚、以下では、各光電変換素子列112,122,132の長手方向(図中、X方向)、即ち光電変換素子111,121,131の配列方向を主走査方向とし、主走査方向に直角な方向(図中、Y方向)を副走査方向として説明する。
【0027】
画像入力装置1は、例えば撮像対象を照射する図示されていない光源と、撮像対象からの画像情報を取り込むリニアセンサ10と、リニアセンサ10を駆動する駆動回路12と、リニアセンサ10で取り込んだ画像データを処理する信号処理回路20と、処理された画像データをメモリ制御回路21を介して記憶する記憶手段23と、画像メモリブロック25と、画像表示部30と、装置全体の同期信号を生成し制御する同期制御回路27を備えている。尚、記憶手段23としては、半導体メモリ或いはハードディスク等を用いることができ、画像表示部30としては、ディスプレイ或いはプリンタ等の印画装置を用いることができる。また、画像メモリブロック25は、信号処理回路20からの画像データ或いは記憶手段23に記憶されている画像データを画像表示部30に適したフォーマットに変換して画像表示部30に供給する。
【0028】
上記の画像入力装置1のリニアセンサ10上を、図2に示すような撮像対象となる例えばカラー写真等の原稿500を、所定の光を照射しながら所定のピッチd、時間間隔t(通常は、最高解像度に対応するピッチ、時間間隔)で副走査方向に相対的に移動させる。このとき、センササブブロック110では、原稿の移動に合わせて、このピッチd、時間間隔tで順次画像データを取り込むとすると、センササブブロック120では、ピッチ2d、時間間隔2tで画像データを取り込み、センササブブロック130では、ピッチ4d、時間間隔4tで画像データを取り込むようにしてある。これにより、一つの原稿を1回走査するだけで、3段階の解像度の画像データを取り込むことができる。しかも、それぞれの光電変換素子111,121,131の受光面を、それぞれの1辺の長さS1,S2,S3が、S3=2×S2=4×S1となる関係を満足する正方形に形成している。従って、各センササブブロック110,120,130により取り込まれる原稿500上の画素は、それぞれ画素510,520,530となるので、解像度が異なっていても原稿500の情報の欠落は生じない。
【0029】
上記のようにして、リニアセンサ10により取り込まれた各色、各解像度のデータは、例えば信号処理回路20で信号処理され、メモリ制御回路21を介して記憶手段23に記憶される。このとき、記憶手段23中の画像データを、例えば図4のように、各色単位で第1,第2,第3解像度の画像データをまとめたファイル構成となるようにしておくのが望ましい。
【0030】
上述の通り、本発明のリニアセンサ10を画像入力装置のリニアセンサとして用いることにより、撮像対象を1回走査するだけで、異なる解像度間での撮像対象情報の欠落なしに複数の解像度の画像データを取り込むことができる。従って、複数の解像度を適切に選択(使用頻度の高い解像度を選択)するようにしておけば、選択された解像度については、従来のように高解像度データからの演算処理による解像度変換処理が不要となり、且つ撮像対象の情報欠落のない画像データが得られるので、画像品質が向上する。また、複数の解像度に含まれない解像度への変換に際しても、直近の上位解像度の画像データから変換するようにすることで、画像データ補間時の誤差が大幅に低減され、変換画像の画質の劣化が抑制される。
【0031】
次に、本発明の画像入力装置について説明する。
【0032】
図5は、本発明の画像入力装置の一実施形態を説明するための模式的なブロック図である。図5を参照すると、本実施形態の画像入力装置50は、図示されていない撮像対象からの信号光80を例えば3路に分岐する光分岐手段であるダイクロイック・プリズム(以下、単にプリズムとする)51と、このプリズム51が分岐した信号光の光路上に配置したいずれも同一解像度の撮像素子であるリニアセンサ53,54,55と、リニアセンサ54,55の位置を調整する移動手段である微動装置57,58と、微動装置57,58を制御する画素位置制御手段である画素位置コントロール回路61と、リニアセンサ53〜55を駆動する駆動回路62と、リニアセンサ53〜55で取り込んだ画像データを処理する信号処理回路64と、処理された画像データをメモリ制御回路66を介して記憶する記憶手段68と、画像メモリブロック70と、画像表示部72と、装置全体の同期信号を生成し制御する同期制御回路74を備えている。リニアセンサ53〜55は、全て同一解像度のリニアセンサで構成している。記憶手段68としては、半導体メモリ或いはハードディスク等を用いることができ、画像表示部72としては、ディスプレイ或いはプリンタ等の印画装置を用いることができる。画像メモリブロック70は、信号処理回路64からの画像データ或いは記憶手段68に記憶されている画像データを画像表示部72に適したフォーマットに変換して画像表示部72に供給する。尚、記憶手段68としては、半導体メモリ或いはハードディスク等を用いることができ、画像表示部72としては、ディスプレイ或いはプリンタ等の印画装置を用いることができる。また、画像メモリブロック70は、信号処理回路64からの画像データ或いは記憶手段68に記憶されている画像データを画像表示部72に適したフォーマットに変換して画像表示部72に供給する。
【0033】
この画像入力装置50は、信号光80をプリズム51で分岐し、リニアセンサ53〜55に信号光80を分岐した同一の信号光80a,80b,80cをそれぞれ入力するようにし、リニアセンサ54,55をそれぞれ微動装置57,58に搭載して、プリズム51の当該リニアセンサに対する信号光の出射面と並行に移動させることができるようにし、取込画像の画素位置を調整できるようにしてある。リニアセンサ53の位置は、可変にしてもよいが、リニアセンサ53〜55それぞれが取り込む画像の相対的な画素位置のみが重要であるので、ここでは固定位置としてある。図6はこの画像入力装置50により擬似的に解像度を向上させる方法を説明するための図で、同一画像信号に対するリニアセンサ53,54,55の光電変換素子150の位置を模式的に示す図である。また、図7はリニアセンサで取り込まれる画像情報の撮像対象600上での対応位置を模式的に示す図で,(a),(b)及び(c)がそれぞれリニアセンサ53,54,55で取り込む位置を示している。図6及び7を参照すると、例えば画素ピッチをdとすると、リニアセンサ54の取込情報は、リニアセンサ53の取込情報に対してd/3ずれており、リニアセンサ55の取込情報は、リニアセンサ54の取込情報に対してd/3,リニアセンサ53の取込情報に対しては2d/3ずれるように、微動装置57,58を画素位置コントロール回路61で制御して、リニアセンサ54,55の位置を調整してある。即ち、リニアセンサ53〜55が、例えば撮像対象600から取り込む画像情報は、それぞれ図7(a),(b),(c)の位置の画像情報を取り込むように調整される。従って、このように構成された画像入力装置51で取り込んだ画像情報を、例えばリニアセンサ53〜55で取り込んでものをそれぞれE1−1,E1−2,…E1−k,…、E2−1,E2−2,…E2−k,…及びE3−1,E3−2,…E3−k,…としたとき(但し、図7では“E”の表記は省略してある)、これらの画像情報をE1−1,E2−1,E3−1,E1−2,E2−2,E3−2,…E1−k,E2−k,E3−k,…、のように並べて表示することで、演算処理を行うことなく擬似的に各リニアセンサ53〜55の解像度のほぼ3倍の解像度の画像にすることができる。
【0034】
尚、リニアセンサ53〜55に、上述した本発明のリニアセンサを用いれば、それぞれの基本解像度のほぼ3倍の解像度の画像データを一度に生成することもできる。
【0035】
次に、本発明の画像データの処理方法の一実施形態について説明する。
【0036】
本実施形態の画像データ処理方法は、
撮像対象からp種類(但し、pは2以上の整数)の解像度の画像データを取り込むと共に、q番目(但しqは、1≦q≦p−1を満たす整数)の解像度のdpi値をN(q)で表したとき、N(q)<N(q+1)となるように各解像度の画像データを順序づけておく第1ステップと、
所望の画質の画像を得るために必要な解像度を明度に応じて示す明度・解像度相関グラフを準備し、q番目の解像度で必要な画質の画像を得ることが出来る明度領域を第1明度領域B(q)と表したとき、p種類の解像度の各々の第1明度領域B(1)〜B(p)を予め区分する第2ステップと、
q番目の画像データの各第1画素から第1明度情報を抽出すると共に(q+1)番目の画像データの各第2画素から第2明度情報を抽出し、第1明度が第1明度領域B(q)内に含まれている第1グループと、第1明度領域B(q)の外にある第2グループとに第1画素を分類するする第3ステップと、
第1グループに属する第1画素の各々について、当該第1画素に対応する撮像対象上の第1画素領域に対応する(q+1)番目の画像データの複数の第2画素の各第2明度が第1明度領域B(q)内に含まれているか判定し、一つの第1画素領域に対応する全ての第2画素の第2明度が第1明度領域B(q)内に含まれているときは、第1画素のデータを当該第1画素領域の画素データとして保持し、一つの第1画素領域に対応する第2画素の第2明度が一つでも第1明度領域B(q)外にある場合は、当該第1画素領域の画素データを当該第1画素領域に対応する第2画素のデータに置換する第4ステップと、
第2グループに属する第1画素については、それぞれの第1画素のデータを当該第1画素領域に対応する第2画素のデータに置換する第5ステップと、
を含み、第3ステップから第5ステップまでをq=1からq=(p−1)まで順番に実行するようにして構成される。
【0037】
次に、図8を参照して具体的な動作について説明する。
【0038】
図8は、本実施形態の画像データ処理方法の動作を説明するための図で、(a),(b)はそれぞれ、所望の画質の画像を得るために必要な解像度を明度に応じて示す明度・解像度相関グラフと、本処理方法により処理された結果の画像データの撮像対象上に模式的に並列した例を示す配置図である。尚、ここでは分かり易くするため高解像度の第1解像度が一段階下の第2解像度の4倍になっている例で説明する。
【0039】
図8(a)から分かるように、画像の明度が中間の領域bが最も高解像度を必要とし、明度の低い領域a或いは高い領域cにおいては、必要解像度は例えば一段階低い第2解像度以下となっている。従って、まず第1ステップで、撮像対象700から第1解像度の画像データA1,A2,…と、第2解像度の画像データa1,a2,…,b1,b2,…,c1,c2,…,d1,d2,…を取り込み、第2解像度の画像データを1番目とし、第1解像度の画像データを2番目とする。
【0040】
次に第2ステップで、図8(a)のグラフから1番目の解像度である第2解像度で必要な画質の画像を得ることが出来る第1明度領域B(1)として、領域A,Cが得られる。
【0041】
次に、第3ステップで、1番目の画像データの各画素A1,A2,…から第1明度情報を抽出すると共に2番目の画像データの各画素a1,a2,…,b1,b2,…,c1,c2,…,d1,d2,…から第2明度情報を抽出し、第1明度が第1明度領域B(1)内に含まれている第1グループと、第1明度領域B(1)の外にある第2グループとに画素A1,A2,…を分類する。ここでは、A1,A2,A3,A6,A7は第1グループに属し、A4,A5は第2グループに属しているものとする。
【0042】
次に、第4ステップの処理を行う。まず、第1グループに属する例えば画素A1に対応する撮像対象上の第1画素領域A1(以下、画素と対応する画素領域は同じ参照符号を用いることとする)に対応する2番目の画像データの図示されていない画素a1,b1,c1,d1の各明度が第1明度領域B(1)内に含まれているか判定し、ここでは、全て含まれているものとすると、画素A1のデータを第1画素領域A1の画素データとして保持する。画素A2についても同様の処理を行い、第1画素領域A2に対応する2番目の画像データの図示されていない画素a2,b2,c2,d2の各明度がやはり第1明度領域B(1)内に全て含まれているので、第1画素A2のデータを第1画素領域A2の画素データとして保持する。画素A3については、第1画素領域A3に対応する2番目の画像データの画素a3,b3,c3,d3の明度の中で、例えば画素c3の明度が、第1明度領域B(1)外の図8(a)の領域bにあるとすると、第1画素領域A3の画素データをこの第1画素領域A3に対応する2番目の画像データの画素a3,b3,c3,d3のデータに置換する。以下、全ての第1グループに属する画素Axについて同様の処理を施す。
【0043】
次に第5ステップで、第2グループに属する例えば画素A4,A5についてはそれぞれの画素データを第1画素領域A4,A5に対応す2番目の画像データの画素a4,b4,c4,d4と、画素a5,b5,c5,d5のデータにそれぞれ置換する。以下、全ての第1グループに属する画素Ayについて同様の処理を施す。
【0044】
以上説明したとおり本実施形態の画像データ処理方法によれば、明度が領域bの範囲にあるときは、解像度の高い第1解像度のデータを用いるが、明度が領域a或いは領域cの範囲にあるときは、一段階低い第2解像度のデータを用いるようにして、部分画像毎に明度に応じた最適解像度データによる合成解像度画像を生成し、画質劣化を抑制しながら情報量を低減できる。尚、このときの画像データは、図4に示すように各解像度のデータと共に合成解像度データもまとめたファイル構成にしておくのが好ましい。
【0045】
又、上記した本発明のリニアセンサを用いて画像データを取り込むようにすれば、複数の解像度の画像データを一度に取り込むことができるので、この画像データ処理方法に適した画像データを容易に取り込むことが出来る。
【0046】
尚、解像度の種類が3種類以上ある場合でも、低解像度側から上記手順を繰り返していけば、同様にして明度に応じた最適解像度のデータによる合成解像度画像を生成し、画質劣化を抑制しながら情報量を低減できる。
【0047】
尚、本発明は、上記実施形態の説明に限定されるものでなく、その趣旨の範囲内で種々変更できることは言うまでもない。例えば、リニアセンサに含まれる光電変換素子の形状を正方形の例で説明したが、同一光電変換素子列内では同一形状且つ同一サイズであり、異なる分解能の光電変換素子列に属する光電変換素子の形状とは所定の比率の相似形になるようにしておけば、矩形、円形及び楕円形を含む任意の形状であってよい。
【0048】
また、画像入力装置のリニアセンサの数も3個の例で説明したが、リニアセンサの解像度と目標とする解像度の差に応じて必要数を適宜定めればよい。
【0049】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の撮像素子は、異なる解像度の画像情報を一度に取り込むことができ、撮像素子が備える基本解像度と異なる変換解像度の画像情報を生成する際に、最も近い基本解像度の画像情報を用いることができ、変換画像の画質劣化を抑制できるという効果が得られる。
【0050】
また、画像の明度情報に基づき、画像の位置毎に最適解像度の画像情報を組み合わせることで、画質の劣化を抑制しながら画像情報のデータ量を低減できるという効果も得られる。
【0051】
また、本発明の画像入力装置は、取込画像の位置が所定量だけずれた複数のリニアセンサを備えることで、高価な高解像度のリニアセンサを用いなくても、擬似的にではあるが当該リニアセンサの解像度よりも高解像度の画像データを演算処理を施すことなく、従って変換画像の画質の劣化を抑制しながら、得ることができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のリニアセンサの一実施形態の要部構成を模式的に示す図で、(a)はリニアセンサの全体平面図であり、(b)は(a)の中の一つのセンサ部の詳細平面図である。
【図2】本発明のリニアセンサの動作を説明するための図で、撮像対象となる原稿の模式的な平面図である。
【図3】本発明のリニアセンサを用いた画像入力装置の要部回路構成の概略を示すブロック図である。
【図4】本発明のリニアセンサを用い画像入力装置における画像データのファイル構成例を模式的に示す図である。
【図5】本発明の画像入力装置の一実施形態を説明するための模式的なブロック図である。
【図6】図5の画像入力装置により擬似的に解像度を向上させる方法を説明するための図で、同一画像信号に対する複数のリニアセンサの光電変換素子の相対的な位置を模式的に示す図である。
【図7】リニアセンサで取り込まれる画像情報の撮像対象上での対応位置を模式的に示す図で,(a),(b)及び(c)は、3個のリニアセンサそれぞれが取り込む撮像対象上の位置を示す。
【図8】本発明の画像データ処理方法の一実施形態の動作を説明するための図で、(a),(b)はそれぞれ、明度・解像度相関グラフと、本処理方法により処理された結果の画像データの撮像対象上に模式的に並列した例を示す配置図である。
【図9】特開平5−227364号公報に開示されたカラーリニアセンサの模式的な平面図である。
【符号の説明】
1,50 画像入力装置
10,53,54,55 リニアセンサ
12,62 駆動回路
20,64 信号処理回路
21,66 メモリ制御回路
23,68 記憶手段
25,70 画像メモリブロック
27,74 同期制御回路
30,72 画像表示部
51 プリズム
57,58 微動装置
61 画素位置コントロール回路
80,80a,80b,80c 信号光
100 R色センサ部
110,120,130 センササブブロック
111,121,131,150 光電変換素子
112,122,132 光電変換素子列
113,123,133 CCDシフトレジスタ
115,125,135 出力回路
117,127,137 出力端
200 G色センサ部
300 B色センサ部
500 原稿
510,520,530 画素
600,700 撮像対象

Claims (8)

  1. 所定の色フィルタと、この色フィルタに対応して設けられた所定の数の光電変換素子を直線状に配列した光電変換素子列と、この光電変換素子列に沿って設けられ前記光電変換素子列の信号電荷を並列に読み出して直列に転送するCCDシフトレジスタと、このCCDシフトレジスタの電荷転送方向の先端部に設けられた電荷/電圧変換を行う出力回路とを含むセンササブブロックを複数備え、更に前記センササブブロックの各々が有する前記光電変換素子列の長さは全て等しく且つ前記光電変換素子の数が互いに異なっているセンサ部を同一チップ上に複数有し、且つ一つの前記センサ部内の前記色フィルタは全て同じ色であり、異なる前記センサ部の色フィルタの色は互いに異なっていることを特徴とする撮像素子。
  2. 複数の前記センサ部は、色フィルタを除く構成要素が全て同一構成となっている請求項記載の撮像素子。
  3. 前記所定の色フィルタが、赤色フィルタである第1のセンサ部と、緑色フィルタである第2のセンサ部と、青色フィルタである第3のセンサ部を少なくとも有する請求項またはに記載の撮像素子。
  4. 複数の前記センササブブロックのそれぞれの前記出力回路からの全ての出力信号を、互いに独立に外部出力できる出力端を更に有する請求項1乃至いずれか1項に記載の撮像素子。
  5. 複数の前記センササブブロックを、それぞれに含まれる前記光電変換素子列が互いに並行になるように配置した請求項1乃至いずれか1項に記載の撮像素子。
  6. 一つの前記センサ部が備える複数の前記センササブブロックの各々が有する前記光電変換素子の数は、前記光電変換素子の数が最も少ない第1センササブブロックの前記光電変換素子の数の整数倍となっている請求項1乃至いずれか1項に記載の撮像素子。
  7. 一つの前記センサ部が備える複数の前記センササブブロックの中の前記第1センササブブロック以外の任意のセンササブブロックを第2センササブブロックとし、前記第1センササブブロックと前記第2センササブブロックの各々が含む前記光電変換素子の数をそれぞれN1,N2とし、各々が含む前記光電変換素子1個当たりの面積をそれぞれS1,S2としたとき、
    (N2/N1)=S1/S2
    である請求項記載の撮像素子。
  8. 撮像対象からの信号光を分岐する光分岐手段と、分岐された各光路上の所定位置にそれぞれ配置された撮像手段と、少なくとも一つの前記撮像手段を前記所定位置から移動させる移動手段と、この移動手段を制御する画素位置制御手段とを少なくとも含み、前記撮像手段が、請求項1乃至いずれか1項に記載の撮像素子である画像入力装置。
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