JP4359960B2 - エポキシ樹脂組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エポキシ樹脂組成物に関するものであり、優れた低温硬化性を有し、かつ硬化物に優れた可撓性を与えるエポキシ樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、エポキシ樹脂及び変性ポリアミンからなる硬化性組成物は、室温付近での硬化が可能であり、塗装剤、接着剤、シーリング剤、グラウト剤、注型剤、成形剤、ポッティング剤、印刷インキバインダー等様々な分野での用途をもっている。該硬化性組成物は、土木、建築用途で冬場の屋外施工等の低温環境下では硬化反応に長時間を要するため、硬化促進剤を添加する必要がある。硬化促進剤としては、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールが安価で硬化促進性能が高いことから幅広く用いられている(例えば特開昭61−162516号公報等)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した硬化促進剤、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールは臭気及び毒性の面で問題があり、代替触媒が望まれている。また、該硬化促進剤はその添加量を増やした場合、硬化塗膜の可撓性が低下するといった問題がある。また、他の第三アミン化合物、フェノール性水酸基を有する化合物、カルボン酸化合物といった化合物は、いずれも2,4,6−トリス(ジメチルアミノ)フェノールに比べると、低温での硬化促進性能が低いといった点で問題がある。
【0004】
一方、特開平8−325360号公報には硬化剤であるポリアルキレンポリアミンを部分メチル化して、硬化促進剤としての機能を付加させる方法が開示されている。該特許ではポリアルキレンポリアミンの部分メチル化物を、エポキシ樹脂及び変性ポリアミンからなる硬化性組成物に硬化促進剤として添加することも含まれているが、この方法によっても硬化促進性能は不十分である。
【0005】
本発明は上記の問題に対して鑑みられたものであり、その目的は、臭気の改善された、優れた低温硬化性を有し、硬化物に優れた可撓性を与えるエポキシ樹脂組成物を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記したような課題に対し鋭意検討を行った結果、硬化促進剤として特定の第三級アミン化合物とポリアルキルポリアミンとの混合物を用いることにより、優れた低温硬化性を有し、かつ硬化物に優れた可撓性を与えることを見い出し、本発明を完成させるに至った。
【0007】
すなわち本発明は、a)エポキシ樹脂、b)変性ポリアミン、及びc)硬化促進剤としてN,N,N’,N’−テトラメチルヘキサメチレンジアミンとポリアルキレンポリアミンとの混合物、からなることを特徴とするエポキシ樹脂組成物である。
【0008】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0009】
本発明で用いられる、a)エポキシ樹脂については特に限定はなく、1分子当たり平均2個以上のエポキシ基を含むエポキシ樹脂が使用できる。好適には例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ダイマー酸グリシジルエステル型エポキシ樹脂、ポリアルキレンエーテル型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルトクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂等が挙げられ、これらを単独の他、2種以上混合して用いても良い。さらに難燃化のためにブロム化エポキシ樹脂を使用することもできる。
【0010】
本発明で用いられる、b)変性ポリアミンについては特に限定はなく、例えば、ポリアミノアミド、ポリアミノイミド、ポリアミノエステル、ポリアミノウレア、ポリアミンのエポキシド反応物、ポリアミンとアルデヒド、フェノールとの反応物、ポリアミンとアクリル系化合物との反応物、ケトイミン等が挙げられ、その中でもポリアミノアミド系硬化剤が好適なものとして挙げられる。ポリアミノアミド系硬化剤としては、例えば、ポリアミンとポリカルボン酸との脱水反応により合成されるポリアミノアミド、さらにこの脱水反応が進行して生成するポリアミノイミダゾリン、また、ポリオキシアルキレンポリアミンとポリカルボン酸とから合成されるポリアミノアミド等が挙げられる。ここで原料として用いられるポリアミンとしては、例えば、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン等の脂肪族ポリアミン、あるいは、メンセンジアミン、イソフォロンジアミン、ジアミノジシクロへキシルメタン、アミノエチルピペラジン等の脂環式ポリアミンが挙げられる。また、ポリオキシアルキレンポリアミンとしては、ポリオキシプロピレンジアミン、ポリオキシプロピレントリアミンが例示される。一方、原料として用いられるポリカルボン酸としては、例えば、ひまし油等の脂肪酸、重合脂肪酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカ二酸、脂肪酸とアクリル酸との付加反応物、イソフタル酸、ジヒドロイソフタル酸、テトラヒドロイソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸等が挙げられる。
【0011】
ポリアミノアミド系硬化剤のエポキシ樹脂に対する添加量は、特に限定するものではないが、好ましくはエポキシ樹脂1当量に対して0.1〜10当量の範囲で添加される。
【0012】
本発明で用いられる、c)硬化促進剤としては、N,N,N’,N’−テトラメチルヘキサメチレンジアミンとポリアルキレンポリアミンとの混合物であり、ポリアルキレンポリアミンについては特に限定するものではないが、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン好適なものとして挙げられ、その中でもテトラエチレンペンタミンが特に好適なものとして挙げられる。これらポリアルキレンポリアミン中には、直鎖状のもの以外に分枝したもの、環状となったものもを含んでいても良い。特に規定はないが、ポリアルキレンポリアミン中の全アミノ基に対する1級アミノ基の存在量は30〜100%、2級アミノ基は30〜60%、3級アミノ基は0〜20%のものが好適なものとして使用できる。
【0013】
また、硬化促進剤の組成割合については、硬化促進性能、硬化物の可撓性等を考慮すると、N,N,N’,N’−テトラメチルヘキサメチレンジアミン20〜90重量%、ポリアルキレンポリアミン80〜10重量%の範囲が好適である。
【0014】
本発明で用いられるc)硬化促進剤のエポキシ樹脂組成物への添加量は、特に限定するものではないが、硬化促進性能、硬化物の可撓性を考慮すると、好ましくはエポキシ樹脂100重量部に対して0.2〜10重量部、さらに好ましくは0.5〜5重量部である。さらに、本発明における硬化促進剤である、N,N,N’,N’−テトラメチルヘキサメチレンジアミンとポリアルキレンポリアミンとの混合物に、該混合物の特性を損なわない範囲で、公知の硬化促進剤を併用することも可能である。
【0015】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、本発明の目的を損なわない範囲で必要に応じて通常のエポキシ樹脂に用いられている他の添加剤、例えば、顔料、充填剤、有機溶剤、難燃剤、染料、変色防止剤、酸化防止剤、離型剤、光安定剤、熱安定剤、液状ゴム、レオロジー変更剤、流動助剤、粘着性付与剤、カップリング剤、消泡剤、界面活性剤等を適宜に配合することができる。
【0016】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、土木、建築用途で要望されている室温あるいは低温、すなわち0〜30℃で硬化するのに好適に用いられる。
【0017】
【実施例】
以下、実施例、比較例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
【0018】
実施例、比較例で示されるエポキシ樹脂組成物は以下の方法により評価した。
【0019】
<低温硬化性>:エポキシ樹脂組成物をガラス板(25×353×1.8mm)の表面に75ミクロンのドクターブレードを用いて塗布し、硬化温度5℃においてRCI型塗膜乾燥測定時間測定器により硬化性を評価。この試験で示される2次線条痕開始時間により硬化性を評価した。
【0020】
<可撓性>:エポキシ樹脂組成物を500ミクロンのドクターブレードを用いてブリキ板(150×50×0.3mm)上に塗布し、19〜21℃で7日間乾燥、硬化させた。その後、塗膜屈曲試験機を用いて屈曲試験を行い、試験片上の塗膜のワレ、ハガレの有無を見た。なお、心棒は2mmあるいは3mmのものを使用した。(JIS K−5400:1997に準拠)
<エポキシ樹脂組成物の臭気>
得られたエポキシ樹脂組成物の臭気をかいで、以下の基準で評価した。
【0021】
〇:アミン臭が強い
×:アミン臭が弱い
実施例1
エポキシ樹脂としてエポキシ当量475のビスフェノールA型エポキシ樹脂の70%キシレン溶液(油化シェルエポキシ(株)製エピコート1001×70)を100重量部、硬化剤としてアミン当量が508のポリアミノアミドの60%キシレン/イソブタノール溶液を36.2重量部、硬化促進剤としてN,N,N’,N’−テトラメチルヘキサメチレンジアミン(MR)0.5重量部及びテトラエチレンペンタミン(TEPA)0.5重量部を用い、これらを20℃、カップ中、ヘラで攪拌、混合しエポキシ樹脂組成物を得た。こうして得られたエポキシ樹脂組成物の5℃における硬化性、可撓性及び臭気の測定を行い、この結果を表1に示した。
【0022】
【表1】
Figure 0004359960
【0023】
実施例2〜実施例4、比較例1〜比較例5
硬化促進剤として、それぞれ表1に示した硬化促進剤を所定量用いた以外は実施例1と同様の方法によりエポキシ樹脂組成物を得た。このエポキシ樹脂組成物の評価結果を表1に示した。
【0024】
実施例1〜実施例4では、いずれも5℃における2次線条痕開始時間がエポキシ樹脂に対して1重量部の場合には4時間以内、3重量部の場合には3時間以内と低温硬化性に優れた。硬化塗膜の可撓性も2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールに比べ優れていた。また、得られたエポキシ樹脂組成物の臭気も問題なかった。一方、比較例1、比較例2では硬化塗膜の可撓性が劣り、エポキシ樹脂組成物の臭気には問題があった。また、比較例3〜比較例5では、得られたエポキシ樹脂組成物の臭気には問題ないものの、低温硬化性が劣っていた。
【0025】
【発明の効果】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、臭気の改善された、低温硬化性に優れる、硬化物に優れた可撓性を与えるといった特徴があり、塗装剤、接着剤、シーリング剤といった幅広い用途に好適に用いられる。特に屋外作業となる土木、建築分野で好適に用いられる。

Claims (4)

  1. a)エポキシ樹脂、b)変性ポリアミンとしてポリアミノアミド系硬化剤、及びc)硬化促進剤としてN,N,N’,N’−テトラメチルヘキサメチレンジアミンとポリアルキレンポリアミンとの混合物、からなることを特徴とするエポキシ樹脂組成物。
  2. 硬化促進剤の組成割合が、N,N,N’,N’−テトラメチルヘキサメチレンジアミン20〜90重量%、ポリアルキレンポリアミン80〜10重量%の範囲であることを特徴とする請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。
  3. ポリアルキレンポリアミンがジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミンからなる群から選択される請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。
  4. ポリアルキレンポリアミンが、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、及びペンタエチレンヘキサミンからなる群より選択されることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物
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